<議事録>
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。
ロシア・プーチン政権によるウクライナ侵略、既に様々議論がございました。今、二百五十万人が国外退避を余儀なくされているということで、そのほとんどは女性や子供たちということでございます。人道支援の強化が急がれるわけであります。我が党も独自に募金活動をして、第一次分を国連事務所に届けさせていただきました。政府としても、特に非軍事の人道支援に全力を尽くされるように改めて要望しておきたいというふうに思います。
今回のこのロシアのウクライナ侵略は、ロシアと世界、ロシアと日本の政治的、経済的関係に大きな構造変化をもたらすというふうに思います。経済的に言えば、コロナ禍に加えて、今後の日本経済により厳しい事態をもたらすのではないかと、私たちが直面するんじゃないかと思います。とにかく、今は国も自治体も、国民の暮らしを、経済を守るために財政もマンパワーも集中すべきときではないかというふうに思います。
ところが、こんなときに、事もあろうにカジノ、IR建設が粛々と進もうとしております。IR、統合型リゾートと幾らごまかしても、本質は民間賭博場の建設にほかなりません。なぜなら、IRの収益全体の八割はカジノの収益であります。
来月の四月二十八日に、このカジノ、IR計画の認定申請が、国に対する認定申請が締め切られます。現在のところ、大阪府、和歌山県、長崎県から計画が提出されようとしております。それを受けて、政府も審査、認定審査に入るということであります。ただ、このカジノ、IR実施法、成立したのは四年前、二〇一八年の七月であります。今とは全く状況が違うときの議論で成立をいたしました。コロナ前だったわけですね。
一つは、コロナ後は、もう言われているとおり、人々の生活、社会、経済の在り方は大きく変化するともう誰もが予測していることであります。大手カジノ事業者自身も、コロナ後はカジノ、IRのように大規模施設に客を集めると、そういうスタイルはもうこれからは成り立たないというふうに考えておりますし、事実、オンラインカジノというのが今急速に拡大しております。
インバウンドも、コロナ後はかつてのような、かつてのようなレベルには戻らないと、中国の動向を見てもですね、これもいろんな方が言われていることであります。また、IRのような巨大な国際会議場、イベント施設造っても、そんな需要がどこにあるのかということも言われております。ですから、当初参入を予定していた海外のカジノ大企業が次々と撤退をしてきたわけですね、撤退していったわけですね。
加えて、ウクライナ問題、ロシアとの各国の経済関係、世界経済の構図、大きく変化しております。日本経済、これからどんな影響を受けるか予想が付かない事態になっておりますので、そういう状況であります。
我が党は、そもそもカジノの解禁そのものに反対の立場で、整備法、実施法にも一貫して反対をしてきましたけれども、しかし、仮に推進する側の立場から見ても、カジノ、IR建設ですね、このときにこのまま進めるのは余りにもリスクが大きい、危険ではないかというふうに思います。失敗、破綻すれば、そのツケは結局住民負担に回るわけでありますので、カジノ、IR賛成派の方々も少なくとも今は思いとどまるべきではないかと申し上げておきたいと思いますけれど。
まず、総理の基本的なお考え聞きたいんですけど、もう経済情勢も、また政治判断としても、こんなときにカジノのIR建設なんてやっている場合じゃないと思うんですよね。一旦、今この申請、審査の流れを止めて計画全体を見直すべきときではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 現在、コロナの影響もあり、国内外の人の往来、制約を受けるなど、御指摘のように、それ以外も様々な情勢変化の中で、社会経済情勢、変化をしています。しかし、中長期的な観点から、我が国が観光先進国となる上でIRは重要な取組と考えています。
IRの整備には、計画が認定された後にも数年規模の時間を要するものであり、実際にIRが開業するのは二〇二〇年代後半になると想定しています。我が国のIRは、カジノだけでなく、国際会議場や大規模ホテルなどを併設し、家族で楽しめる観光拠点をつくるものです。こうしたIRは、将来的に多くの観光客を呼び込み、地域への経済効果大きいと考えられます。
引き続き、IR整備法などに基づき、厳格なカジノ規制の実施を含め、必要な手続、適切に進めていきたいと考えます。
○大門実紀史君 今総理が読まれた答弁書が全て崩れてますよということを申し上げたわけであります。
これがその大阪、和歌山、長崎、三地域の整備計画であります。(資料提示)
どう見ても、コロナ以前の世界とコロナ後の世界など何にも考えていない計画で、もう非現実的で、今となっては本当に非現実的な、絵に描いたような餅の計画になっております。
大阪、和歌山には直接、私、ヒアリングでこの具体的な数字の根拠、需要予測、示してほしいと言ったけれども、示さないんですよね。示さないんです。
まず、斉藤さん、IR担当大臣ですかね、大臣にお聞きしますけど、この初期投資額の大阪一兆八千億、和歌山四千七百億、長崎四千三百億ですけれども、これを、これの財政的裏付け聞いてもはっきり説明できないし、それぞれの議会で自民党などからも根拠が不明だというふうに疑問が出されております。当局は何か希望的観測みたいな説明しかしていないんですよね。
斉藤大臣に聞きますけど、この政府の審査基準には、事業者の能力、安定性が審査基準になっておりますし、また実施法第九条一項三に基づくと、資金調達の確実性について、証拠資料の提出を求めるということを想定しております。当然審査のときは、私たちには出しませんでしたけれども、この根拠となる証拠資料、確認することになると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) IRの整備は観光立国の実現や地域の活性化等、資する重要な施策であり、その効果を十分に発揮していくためには、今御指摘のように、長期間にわたる安定的な運営を確保することが重要です。
こうした観点から、御指摘の需要予測などの経済的効果や財務面の安定性については、認定のための審査基準等を定めたIR整備のための基本的な方針において重要な評価項目とされております。
具体的には、経済的効果については、IRの整備により見込まれる国内外からの来訪者数、IRの整備により見込まれる旅行消費額、これらの推計方法、財務面については、経営の安定性、それから業績が下振れした場合の対応等について審査することとなっております。
○大門実紀史君 法律に基づきますと、それらをきちっと証拠書類に基づいて審査するとなっておりますので、私はもう最初の資金調達の時点でこの三地域の計画は全てアウトじゃないかと思います。なぜなら、地元の議会にもきちっと説明できないような状況で国に出してくるわけですから、きちんと審査したら、何かガラス細工のような、ちょっとはっきりしない資金計画だとすぐ分かるはずでございます。
需要予測もいろいろ書いてございまして、来場者数、売上見込み、経済波及効果、雇用創出効果、これも過大な数字が並んでおります。例えば大阪ですけれども、夢洲への来場者、毎年二千万人と、うち国内一千四百万人、これも根拠聞いてもよく分からないんですよね。どんな規模かというと、数字的に言いますと、国際会議場の来場者数を考えると、毎月ここでG7をやるような話になっていたんですね。そんな規模なんですね。イベント会場の来場者数は、ここで例えば嵐のコンサートを月に一回も二回もやるような、そんな、そんなことはないと思うんですけれども、そんな規模の大きな、過大な計算になっております。
私たちが最初から指摘したように、カジノのターゲットは結局日本人が中心という計画になっております。中国の富裕層は、御存じのとおり、中国当局が今締め付けをやっておりまして、マカオでさえ出られないと。日本に来るということはもうありません。したがって、ターゲットは日本、しかも日本の庶民ということになります。
一般層がカジノで遊ぶのはスロットマシーンですね。大体三万から五万円ぐらいの範囲ですね。ところが、日本は全国どこにもパチンコ店にスロットマシーンがあるわけですよね。なぜわざわざ全国から夢洲まで、しかも六千円の入場料を払って来るかということなんですね。あり得ないし、そうなると、関西、特に大阪、地元の人たちを呼ぶしかないんですけれども、当然大阪にもパチンコ店があってスロットマシーンがありますから、なぜわざわざ来るのかというような話になって、余りにも非現実的な話ばっかりが並んでいると。
和歌山と長崎の計画について言えば、そもそもどだい無理な計画を出してきているんです。カジノ、IR整備法、実施法は、巨大IR、カジノを想定したものであります。ですから、施設規模なども大都市を想定した基準になっております。地方都市は想定しておりません。
和歌山や長崎というのは、私も行きましたけど、元々は中規模のカジノをやりたいというのがあったんですが、国の方の方針が巨大カジノということになってしまったので、諦めればよかったんですけど、それでも首長さんはどうしても諦めないと、やりたいというので、無理に、無理に大都市規模の巨大カジノの計画を、背伸びどころか身の丈の何倍もの計画を作って出そうとしているということであります。
そんな無謀な計画にどういうわけか海外の投資会社とか余り有名でないカジノ会社が絡んできていますけれど、大変不思議でございまして、私はむしろ心配しておりまして、そういう事業者の実態、意図をよく調査すべきではないかと、逆に和歌山と長崎の場合は思います。いずれにせよ、三地域とも余りにも過大な見積りではないかというふうに思います。
聞いてみたら、どうやって試算積算したのと、この数字、聞いたら、大阪も和歌山も、事務方は事業予定者が専門業者に委託して試算させましたと、試算の方法、根拠は分からないと答えたんですね。情報公開で試算の根拠を請求しても、この黒塗りのさっぱりよく分からない資料しか出てこないんですよね。もう自信があるならば堂々と全部出せばいいんですけど、もうそんな事態になっているわけですよね。伏魔殿になっているわけであります。
先ほど斉藤大臣は、そういうことも含めてきちっと審査をするとおっしゃってもらいましたので、していただきたいと思いますし、具体的には有識者委員会で審査されるということでありますけれど、まともに審査すれば根拠のない試算というのはすぐ分かるはずでございますので、何か試算、審査以前の問題、もうちょっと試算、審査以前の、こんな数字、こんなもの出してくるなんという以前の問題だ、審査してもらうのかというようなレベルだと思いますので、こんなのでもしも認定したら、有識者委員会の責任が問われるのではないかと私は思っております。
次のちょっとパネル見てもらいたいんですけれども、これは大阪と和歌山県のIRカジノ計画の位置関係を示した地図でございます。この大阪湾周辺のこんな狭い地域に二つの巨大カジノをつくろうとしております。
しかも、大阪も和歌山も、過大な需要予測に加えて、お互い相手の需要予測は全く考慮しておりません。それぞれ勝手に予測を出しておりますね。だから、万が一これで二つのIRカジノが認可されたらどうなるかというと、関空に降りる外国人の人たちを大阪、和歌山で取り合うわけですね、取り合うことになるわけですね。日本人も関西圏中心とすると大阪、和歌山で取り合うことになります。特に和歌山は人口が少ないですから、大阪から人を引っ張るしかないと、奈良とか京都とかですね、なるわけですね。そういうのを当てにしているわけでありますから、二つとも許可するとまさに共食い状態になるわけですね。
申し上げたいのは、今そういうことを考慮をしないでこれ計画出しているんですけど、もし二つとも認定するとなると、それぞれダブった需要予測、少なくともですね、これは訂正して出し直してもらわなきゃいけなくなるわけですね。このまま、今出しているものをこのまま二つとも認めるというのは論理的にあり得ないと思うんですよね。
そういうことになると思いますから、二つとも認定というのは、この計画上ダブっていますから、認定するのならダブっていないのを出し直せということになると思うので、このままでは認定とならないんじゃないですか、二つとも。いかがですか。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 現在、先ほどおっしゃいましたように四月二十八日が申請基準でございます。
国は各自治体から申請された区域整備計画について認定の可否を判断する立場にありますので、御指摘のような、申請を予定している個別自治体をめぐる状況についてコメントすることは、今後の計画の公正かつ中正、中立的な審査に影響を与えるおそれがありますので、差し控えさせていただきます。
その上で、一般論として申し上げると、IR整備に伴う様々なメリットやリスクの評価については、まずはIRの誘致を検討している自治体及び自治体が選定した事業者がしっかりと行うべきものと考えております。
国といたしましては、自治体から区域整備計画が申請された場合には、経済的効果や財務面の安定性についてしっかりと審査をしてまいります。
○大門実紀史君 最後におっしゃったそのとおりで、出された場合よく見なきゃいけないということだと、あり得ないと私は思います。
全てが荒唐無稽なんですよ。こういう計画そのものがもうばくちなんですよ。そんなものを出してきているんですよね。
大阪では、とうとう自民党の皆さんもいろんな声を上げ始めました。三月十日、自民党大阪市議団が市内の各新聞にビラを折り込まれまして、タイトルが大阪IRカジノ誘致是か非かと、三つの問題点が浮上ということで、大変いいビラでございます。本当はここでパネルにしたかったんですけど、そういうわけにいかないんでね。ですけれども、中身、大変よくできたビラでございます。
ちょっと紹介いたしますと、第一の問題点は、IRに公金が投入されると。IR建設予定地の夢洲の土壌汚染、液状化対策に公金七百九十億が投入されると。さらに、整備費が膨らんで、千五百七十八億円、大阪市が負担する危険性もあるということも自民党の市議団がおっしゃっております。まだまだ膨らむ可能性ですね。
吉村知事と松井一郎大阪市長は、IR、カジノには税金は使わないとずっと言ってきたわけであります。ですから、話が違うということになっているわけですね。何だと、そんなに、だったら話が違うじゃないかとなっているわけですね。
ちなみに、事業者のMGMリゾーツなんですけど、これ、ひどいんですね。また、この基本協定で契約の解除権まで入れさせたんです。どういうことかというと、国の認定を受けた後で、コロナ禍以前の状況まで観光需要が回復が見通せないと判断したら協定を事業者が解除できるとかですね、あるいは国のカジノ管理委員会のルールによって国際競争力が保てないと判断したら協定を解除できると。要するに、大阪市、大阪府、大阪に巨額の公費を出させた挙げ句、事業者はもしもうからなければ撤退しますと。国がギャンブル依存症などうるさく言うんだったら撤退しますと。わがまま放題のこういうものを協定に入れさせたわけであります。
ちなみに、MGMリゾーツしか残ってくれなかったんで、一社なんで、足下見られているんだと思いますけれども、このMGMはベトナムの場合もオープン直前に撤退しているんですよ。そんな企業なんですね。に対して、そんな公費負担をして、もうからなきゃ出ていくというようなことになったら、負担だけが大阪府、大阪市、府民、市民に残るということであります。
第二の問題を自民党市議団、指摘しているのは、IR誘致の条件が大きく変わったと。当初はMICE中心だったと。ところが、もうカジノ中心じゃないかというようなことですね。これは、さっき言ったいろんな需要予測も変化しているということもあるかと思います。
第三の問題点として自民党市議団が指摘しているのは、私がずっと言ってきました経済波及効果などの根拠が怪しいと。IR経済波及効果は事業者が試算し、大阪市が検証していないと。先ほど私が言ったとおりであります。
大阪市議会でも、維新市政に対して、我が党も頑張っておりますけど、自民党市議団がIR、カジノを鋭く追及されております。自民党市議団の北野妙子幹事長はこんなことをおっしゃっているんですね。党としてIRを推進する立場にあるが、大阪で計画されているIR誘致についてはいろんな疑義があり、会派として賛否を決することはできないということをおっしゃっております。まあ自民党大阪市議団、この問題では難しい立場なんでしょうけれども、最大限真っ当な対処、対応をされているというふうに思います。
総理に伺いますけれども、北野幹事長が言われるように、たとえ推進する立場でも、余りにも大阪のこの維新が作った計画はずさんだと、懸念があると。一旦契約すると三十五年間縛られますので、途中でやめたくてもやめられないわけでございますから、やっぱりこのままで見切りスタートをしていいのかというふうに自民党市議団、北野幹事長はおっしゃっているわけですね。
総理、一体何が大阪で起きているのか、自民党総裁ですから、大阪市の自民党市議団の思いですね、意見を聞くべきではないでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、今計画されているIR、これは開業は二〇二〇年代後半を想定しています。そして、我が国としては、観光というもの、コロナを乗り越えて、そして、この人口減少を迎えているこの我が国において、この成長戦略の柱、地方創生の切り札として期待されている、これが観光です。そして、IRについては、この家族で楽しめる観光拠点をつくるということで、中長期的な観点から、我が国が観光先進国となる上で重要な取組だと認識をしています。これが基本的な認識でありますが、その中で、今地方自治体において申請を出すべく準備を進めているということです。
そして、先ほど来、斉藤大臣の方から再三申し上げておりますように、この国土交通省においては、地方自治体から申請された計画について、外部有識者から成る審査委員会において現在の経済社会情勢を勘案してしっかりと評価をする、審査をするということになるわけであります。様々なこのこれからの見通し、経済社会情勢の変化、これはこの審査会においてしっかりと審査をされるべき課題であると思います。その上で、是非このしっかり評価した、評価されたものがIRとして将来計画を進めていくことになると考えています。
IR整備法に基づいて、厳格なカジノ規制の実施を含め必要な手続を今申し上げたような形で進めていくことが重要であると思っています。
○大門実紀史君 自民党の大阪市議団、頑張っているのに残念ですよね、総裁にこうやって見捨てられたわけでありますけれども。
しかし、住民の気持ちはそこにありますので、この計画このまま進めるにいかないということを申し上げて、また改めて取り上げたいと思います。
終わります。ありがとうございました。