国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi ● ● ● ●


■2022年3月4日 本会議 内部留保を還元せよ 所得税法等改定案
<赤旗記事>

2022年3月5日(土)

内部留保を還元せよ
所得税法等改定案 大門氏迫る
参院本会議

質問する大門実紀史議員
=4日、参院本会議

 日本共産党の大門実紀史議員は4日の参院本会議で、所得税法等改定案に関連して、賃金を抑制して巨額に蓄積した大企業の内部留保への課税を求め、「重要なのは分配から成長の好循環だ。大企業に偏在する富を国民に還元することだ」と迫りました。

 大門氏は冒頭、ロシアによるウクライナのザポロジエ原発への攻撃に「厳重に抗議する」と表明。「即時攻撃を中止させるべきだ」として政府の早急な対応を求めました。

 そのうえで、日本の長期経済低迷の原因が、2001年からの小泉・竹中「構造改革」による非正規雇用の拡大、大企業・富裕層の利益増大と国民への消費税増税の押し付けなどで「富が一部の大企業の富裕層に集中し、世の中全体にお金が回らなくなった」ことにあると指摘。「分配の原資をつくるためにはまず成長だ」と従来の「トリクルダウン論」を繰り返す岸田文雄首相に「分配の原資はすでにたっぷりためこまれている」として、日本共産党の内部留保課税の提案を示しました。

 大門氏は、安倍政権以降、内部留保に回された減税は必要のなかった減税だとして、その一部を返させるのが基本的な考え方だと指摘。過去に課税しなかった分の追徴であり、二重課税には当たらないと強調しました。

 岸田首相は「慎重な検討が必要だ」「成長の果実が内部留保だけでなく、賃金や設備投資に向けられることで次の成長につなげ、持続可能な経済をつくりあげていくことが重要だ」と答弁しました。

<議事録>

○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 会派を代表し、所得税法等改正案に関連して、総理に質問をいたします。
 まず、先ほどNHKが報道したロシアのウクライナ・ザポリージャ原発への攻撃に厳重に抗議をいたします。現在、火災が発生しており、もし爆発したらチェルノブイリの十倍の被害が及ぶと言われております。即時攻撃を中止させるべきです。政府としても早急に厳重な対応をされるように申し入れておきたいと思います。
 こういうロシアの無法で野蛮なウクライナ侵略をやめさせるには、即時撤退を求める大きな国際世論で包囲するとともに、各国と連携した強力な経済制裁が必要です。政府は、昨日、SWIFTからロシアを排除する措置、また一定の資産凍結について発表されましたが、今後の取組について、抜け道を防ぐことも含めて、総理の考えをお聞きします。
 同時に、現在、多くの中小企業は、コロナ禍に加え、ウクライナ情勢による原油、原材料などの高騰で更に苦境に追い込まれています。ガソリン補助金の引上げや無利子融資の延長などにとどまらず、事業者への直接支援、給付金の思い切った拡大など、従来の枠を超えた大規模な中小企業支援策が必要だと考えますが、総理の認識を伺います。
 次に、日本経済の現状と税制の在り方について質問します。
 この二十年、日本は成長できない国になってしまいました。
 二〇〇一年から二〇二〇年の年平均GDP成長率は、アメリカは三・六五%、EUは二・五九%、それに対し日本は僅か〇・〇六%です。なぜ日本の成長率だけがこんなに落ち込んだのか、総理の見解を伺います。
 日本が成長できない国になってしまったのは、二十年以上にわたる新自由主義政策の結果です。
 二〇〇一年に開始された小泉・竹中構造改革は、非正規雇用を拡大し、低賃金構造を固定化しました。アベノミクスは、株価をつり上げて大企業や大株主、富裕層を大もうけさせた上に、法人税減税まで行いました。一方で、国民には消費税増税が押し付けられました。
 企業がもうかれば個人の所得も増え、経済が良くなるというトリクルダウンは起こらず、大企業の内部留保は巨額に膨らみ、富裕層の資産は二倍、三倍に急増しました。富が一部の大企業や富裕層に集中し、世の中全体にお金が回らなくなった。だから、内需が低迷し、経済は長期停滞に陥り、日本は成長できない国になってしまったのです。総理にそういう認識はありますか。
 さらに、日本は競争力の弱い国になってしまいました。
 スイスのシンクタンク、IMDが発表している各国の競争力ランキングで、日本は一九九〇年代初めの世界第一位から、直近では三十四位に落ち込んでいます。また、日本の半導体は、一九八〇年代には世界一の市場シェアを有していましたが、今や韓国や中国に圧倒され、電気自動車の生産、販売台数も中国に追い付けない状況です。なぜ日本はこんなに競争力の弱い国になってしまったのか。総理の見解を伺います。
 日本の競争力が落ちていった最大の理由は、人を大事にせず使い捨てにしてきたからです。
 二〇〇〇年以降、大手の半導体や電機メーカーは、目先の利益ばかりを追求し、リストラを繰り返して、優秀な人材を海外に追いやりました。日経新聞によれば、二〇〇〇年代半ばには、既に数千人の日本人技術者が中国や韓国のIT企業に採用され、新しい技術開発に取り組んでいたとのことです。その後、中国の通信大手ファーウェイや韓国のサムスン電子など中韓のメーカーが急成長したことは周知のとおりです。一方、日本の大企業は賃金を抑え込んで利益を確保し、巨額の内部留保をため込んだものの、競争力は地に落ちてしまいました。
 目先の利益、株主の利益ばかりを追いかける、人間をコストとしか考えないような新自由主義的な経営が日本の競争力を低下させた元凶ではないでしょうか。総理の見解を伺います。
 こういう新自由主義の結果、大企業の内部留保は四百六十六兆円にも膨らみました。一般に、内部留保は企業にとって大事な貯蓄です。設備投資や、いざというときに備えて蓄積するのは当然です。財務省の法人企業統計によれば、九〇年代までは、大企業は売上げを伸ばし、利益を伸ばし、その結果として内部留保も増加させています。この頃は賃金も設備投資も一定伸びていたので、言わば健全な内部留保の蓄積と言えます。
 ところが、二〇〇〇年以降は、売上げは伸びないのに内部留保がどんどん膨らんでいきます。なぜそうなったのか。政府の新しい資本主義実現会議の資料によれば、この点について、大企業が人件費と設備投資を抑えて利益を拡大し、株主への配当と内部留保を増やした。同時に、余剰資金である現預金も倍増させたと指摘しております。
 総理は、分配を重視すると言いながら、結局、分配の原資をつくるためにはまず成長だと、従来のトリクルダウン論を答弁で繰り返しておられます。しかし、分配の原資は既にたっぷりため込まれています。今重要なことは、成長から分配ではなく、大企業に偏在する富を国民に還元する、分配から成長への好循環をつくり出すことです。総理の認識を伺います。
 また、安倍政権以降の法人税減税も大企業の内部留保の拡大に大きく貢献したのは間違いありません。減税額を試算すると三十兆円を超えます。政府の説明では、賃上げや設備投資の促進が減税の目的でしたが、そのようにはならず、結果的にその多くが内部留保の積み上げに回ったのです。
 二月の二十四日、我が党は、大企業の内部留保に課税する新しい案を発表いたしました。安倍政権以降、内部留保の積み増しに回された減税分は、言わば減税する必要のなかった減税です。その一部を返してもらおうというのが基本的な考え方です。過去に課税しなかった分を追徴するという意味であり、いわゆる二重課税には当たりません。
 具体的には、二〇一二年度から二〇年度までに増えた内部留保の額から、その間の設備投資の増加額、人件費の増加額、環境対策、いわゆるグリーン投資額を控除した残りの額に税率二%を掛けます。期間は、ストックとしての内部留保への課税ですので、五年間に限定をします。五年で約十兆円の財源が生まれますが、これは最低賃金を大幅に一気に引き上げるための中小企業等への支援に使います。この課税は、賃上げ効果だけでなく、不公平な税制を正し、同時にグリーン投資を促進する効果もあります。
 岸田総理は、二月二十五日の参議院予算委員会で、この提案に対し、一つの手法と否定はされませんでした。総理は、賃金抑制と減税のおかげで増え続ける大企業の巨額の内部留保をこのまま放置していいとお考えでしょうか。総理の見解を求めます。
 我が党は、分配だけでなく、成長も、成長戦略も重要だと考えております。
 賃金を引き上げ、社会保障を立て直す。応能負担の税制を取り戻し、消費税を減税し、内需を活性化していい投資を呼び込む。気候危機打開の取組、ジェンダー平等社会の実現も経済成長につながります。そういう、人を大事にする、人を優しい経済こそ、本当の意味で強い経済であり、国民本位の成長戦略だということを申し上げ、質問を終わります。(拍手)

   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 大門実紀史議員の御質問にお答えをいたします。
 ロシアに対する経済制裁についてお尋ねがありました。
 ロシアのウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがすものであり、国際社会が結束して毅然と対応することが重要です。
 今般、EUがロシアの七つの銀行をSWIFTから排除する決定を発表しました。この取組に参加してきた日本として、決定を支持いたします。この措置を他のG7諸国とともにしっかり履行するため、日本として、昨日、既に資産凍結を決めている三銀行に加え、新たに四つのロシアの銀行に対し資産凍結措置を講じました。これにより、SWIFTから排除される七行全てが資産凍結の対象となりました。
 引き続き、国際社会への影響を見極めつつ、ロシアに対して今回のウクライナ侵略のような暴挙には高い代償が伴うことを示すべく、G7を始めとする国際社会と緊密に連携して、ロシアに対する経済制裁の実効性を確保するべく努めてまいります。
 原油等の高騰で苦しむ中小企業への支援策についてお尋ねがありました。
 原油価格高騰対策としては、エネルギー価格の狂騰、高騰から、あっ、急騰から国民生活や日本経済を守るため、まずは、今年度の一般予備費を三千五百億円活用し、緊急避難的にガソリン、軽油、灯油、重油を対象とする激変緩和措置の支給上限を最大二十五円に拡充することで小売価格の急騰を抑制してまいります。
 さらに、ウクライナ情勢や原油価格高騰の影響を受けている中小企業の資金繰りに万全を期すため、全国千か所に特別相談窓口を設けるとともに、日本公庫のセーフティーネット貸付けの金利を引き下げることにより支援をしてまいります。
 また、新型コロナの影響が長引く中で、中小企業の事業継続を支援するため、固定費の約半分を目安として、五か月分を一括給付する事業復活支援金の支給も行っています。
 今後、更に原油価格が上昇した場合の対応については、何が実効的で有効な措置なのかという観点から、あらゆる選択肢を排除することなく、政府全体でしっかりと検討し、対応していきます。
 そして、我が国のこの経済成長の低迷と競争力の低下についてお尋ねがありました。
 我が国では、一九九〇年代のバブル崩壊以降の低い経済成長と長引くデフレにより、企業は賃金を抑制し、消費者も将来不安などから消費を抑制した結果、需要が低迷し、デフレが加速し、企業に賃上げを行う余力が生まれにくい悪循環であったと承知をしています。
 この中で、我が国では、企業収益が国内投資に十分向かわず、現預金が増加している状況が続いている一方で、人的投資の対GDP比やIT投資を含む設備投資の伸びは主要先進国に対して劣後してきました。
 岸田政権では、新型コロナ危機を乗り越えた上で、新しい資本主義の下、市場や競争に全て任せるのではなく、官と民が協働して、賃上げ、人材投資といった人への投資や、デジタル化など、我が国の課題を投資分野とすることで、課題を克服しながら、競争力を回復し、持続可能な経済成長を実現してまいります。
 成長と分配についてお尋ねがありました。
 岸田政権では、成長か分配かではなく、成長も分配もが基本的なスタンスです。まずはしっかりと成長を実現し、その成長の果実を国民お一人お一人に官民協働で分配することで成長を支える新たな需要を創出し、次の成長につなげてまいります。
 その際、成長の果実が内部留保だけではなく賃金や人材投資といった人への投資、設備投資、取引価格などに適切に分配されることが持続可能な経済を実現する上で重要であると考えています。このため、デジタル化や気候変動問題への対応などの方向性を示す中で、呼び水となる予算や、規制改革、将来の市場規模を示すことなどにより、民間の投資を促すインセンティブを与えられるよう工夫をし、官と民が協働して、あるべき成長を実現してまいります。
 また、賃上げ税制の拡充、中小企業が適正な価格転嫁を行うための環境整備など、あらゆる施策を総動員し、企業が賃上げをしようと思える雰囲気を醸成してまいります。
 内部留保への課税等についてお尋ねがありました。
 内部留保への課税については、二重課税に当たるとの指摘があることなどから、慎重な検討が必要であると考えております。一方で、成長の果実が内部留保だけでなく賃金や設備投資に向けられることで、次の成長につなげ、持続可能な経済をつくり上げていくことが重要であると考えています。
 このため、賃上げ税制の抜本強化に加え、公的価格の引上げ、中小企業が適正な価格転嫁を行うための環境整備など、あらゆる施策を総動員して企業の賃上げを促進してまいります。同時に、デジタルや気候変動などの社会課題を投資分野として、官と民が協働して、デジタル投資やカーボンニュートラルに向けた投資を促進するための税制も活用し、企業の積極的な設備投資を促してまいります。(拍手)

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