<議事録>
○大門実紀史君 大門実紀史でございます。
朝から熱心な議論が続いておりまして、私の質問は真夜中に放送されるそうでございますが、頑張ってまいりたいと思います。
まず、ウクライナ問題、経済対策、もういろいろありましたので、一点だけ萩生田大臣に確認、お願いをしておきたいと思いますけど、原油高、原材料価格の高騰が既に起きております。
特に中小企業事業者にもう既に大打撃になっておりますけれども、この点でもいろいろ対策の話ありましたが、もう時間の関係で一点だけお願いしたいのは、結局、その中小事業者が価格に転嫁するときに転嫁できるかというのが、もう取りあえず目の前の最大の問題になります。
もちろん、激変緩和措置、いろいろ対策をお願いしたいんですけれど、その点で、価格、大手が下請に負担を押し付けるというようなことがあってはならないと思うんですね。
この点では経産省は今頑張ってくれていまして、大企業と中小企業の取引適正化の取組がされております。三月はちょうど価格交渉促進月間ということで、価格交渉で転嫁できるようにという応援もされておりますけれど、これはウクライナ情勢を受けて特に大事になると思うんですね、この三月の取組が。
この点で一段と力を入れてほしいですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(萩生田光一君) ウクライナ情勢の緊迫化などを受けて原油価格は高止まりをしており、コスト増を取引先に転嫁することが困難だと感じている下請事業者もおられると思います。
こうしたウクライナ情勢の変化を踏まえた中小企業向けの対策として、原油価格高騰等に関する特別相談窓口を全国約千か所に設置するとともに、事業者への資金繰りの支援や、原油価格上昇に伴う価格転嫁の配慮を業界団体を通じて親事業者に要請するなど、各種取組を実施します。
加えて、昨年十二月の転嫁円滑化施策パッケージに基づく価格転嫁対策や、下請Gメン倍増による体制強化を行うほか、昨年九月に引き続き、今年三月も価格交渉促進月間と位置付けることで価格交渉の浸透と定着を図ってまいります。
こうした取組を通じ、より一層価格交渉を円滑にするとともに、適切な利益が下請企業に残るような取引環境の整備を進めてまいります。特にウクライナで状況が変わりましたので、改めてしっかり業界団体にも働きかけをしてまいりたいと思います。
○大門実紀史君 とにかく、コロナに加えてウクライナですから、経済的に大変な打撃が中小企業、中小事業者に行くんじゃないかと思いますので、万全の対策をお願いしたいと思います。
それでは、岸田内閣の経済政策について聞いていきたいと思います。
総理は、新自由主義の弊害に言及されて、格差の是正の必要性も述べてこられました。また、当初は例の一億円の壁の見直しも掲げておられました。
これはもう有名なグラフでございますけれど、(資料提示)所得一億を超えると所得税の負担率が下がると。それは、一億を超える富裕層、株主、ほとんど株取引ですね、その所得が特別に分離課税で低い税率が適用されているんでこういうグラフになるということでございまして、与党の税制調査会でも、不公平だということと金持ち優遇ということで何度も問題になってきたテーマであります。
総理は、なぜこの見直しを一旦口にされているのに先送りされたんでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の金融所得課税の見直しですが、これは、新しい経済モデル、新しい資本主義と言われるこういうこの経済モデルの中で、この分配政策の選択肢の一つとして掲げました。
そして、実際この新しい資本主義を稼働するに当たって、その分配の原資を、まず、この増税によって成長の果実を、成長の原資を得るのではなくして、まずは成長、これをしっかりと実現した上で、その成長の果実を分配する、賃上げを実現するということで、まず順番として賃上げ税制のこの改正から取り組んだということであります。
御指摘のように、金融所得課税につきましては与党の税制調査会においても議論が行われています。高所得者層において所得に占める金融所得等の割合が高いことにより所得税負担率が低下する状況を是正し、税負担の公平性を確保する観点から検討する必要がある、一般投資家が投資しやすい環境を損なわないよう十分配慮しつつ、諸外国の制度や市場への影響を踏まえ総合的な検討を行う、このようにされているものであり、引き続き議論を行っていきたいと考えております。
○大門実紀史君 優先順位と言われるのなら、これもう格差是正の最優先課題で、もう一丁目一番地だと思うんですね。というのは、もうこれ十五年前から、総理、あれですかね、このグラフ、最初に国会で示したのは誰か御存じでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 済みません、承知しておりません。
○大門実紀史君 これ、二〇〇七年三月十四日の参議院予算委員会、ここで私が最初に示したグラフで、今やOECDを含めて他党の何とかプランにも使ってもらっておりまして、総理も知らないで使ってもらって大変光栄でございますけれども、一応著作権は私にございますので。別にいいんですけれども。
当時、繰り返し繰り返しもう十五年前から追加やって、一〇から二〇に上げたんですよね。でも、海外では三〇%水準で、まだ低いということでこういうグラフになってしまうと。ということで、私も長いので、なぜこれだけ長いこと課題になっているのか、いろんな方に事情も聞いたりすると、結局、与党の税調じゃないと、官邸だと。官邸が、これをやると株価が下がると、それを非常に官邸が気にしていると、懸念していると。官邸の決断だということを繰り返し私は漏れ聞いているわけであります。
そういう点では、税調の話じゃなくて、岸田総理が決断すればできる話だと、私はもう、ちょっと長くやっているものですから思うんですが、いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 金融所得課税に対する判断は官邸の判断であるという御指摘でありますが、過去の官邸の判断というのは十分承知しておりませんが、私の内閣、私の官邸における判断は、先ほど申し上げたように、この分配の原資をまず増税によって得るのではなくして、成長をしっかりと果たした上で成長の果実を分配していく、賃上げ税制をまず優先して、先行してしっかりと取り組んでいく、こうした方針の下に取組を進めたということであります。
一つの選択肢ではありますが、優先順位をしっかり考えた上で、新しい資本主義を稼働させるためにどうあるべきなのか真剣に考えた上で、順番を考えた結果であると認識をしております。
○大門実紀史君 まあしかし、これ一つ手付けられないで、新自由主義の弊害是正とか格差是正なんてできないと私は思いますよ。
もう一つ、この間大きな問題になってきているのが大企業の内部留保問題です。今日も議論がございました。パネルに示しましたけど、私、内部留保というのは企業にとっては大変大切な貯蓄でありますから、設備投資とか、いざというときのために蓄えるのは当たり前のことだと思っております。
ただ、現在の大企業の内部留保は余りにもため込み過ぎじゃないかということで、これは安倍前首相、麻生財務大臣もここで繰り返しこの内部留保を賃金や設備投資に回してほしいということは、もう本当一致する話で、やってきたわけでありますけど、その点、岸田総理も同じ考えでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 内部留保については、成長の果実が内部留保だけではなく、賃金や設備投資に向けられることが重要であると思います。この成長の果実が賃金や設備投資に向けられることで次の成長につながっていく、持続可能な経済ができ上がっていくという観点から、成長の果実の分配のありようとして賃金や設備投資を重視していきたいと考えております。
○大門実紀史君 このグラフ、若干説明しますと、大体、この九〇年代までは売上げが伸びて、利益が伸びて、内部留保も蓄積と。この頃は賃金も設備投資も伸びていたので、言わば健全な内部留保の蓄積だったと思うんですよね。ところが、二〇〇〇年代以降を見てもらうと、売上げは横ばいなのに、利益だけが伸びて内部留保も膨らんだと。どうして売上げが伸びないのに利益が増えて内部留保が増えたのかと、これが問題であります。
これ、政府の新しい資本主義実現会議の配付資料が物語っておりますので、担当の山際大臣の説明をしてもらえませんか。
○国務大臣(山際大志郎君) 説明はそちらの方に関してでよろしいですか。そちらに今出していただいている資料は、第三回新しい資本主義実現会議において示された資料でございまして、二〇〇〇年度から二〇二〇年度にかけての資本金十億円以上の企業の財務について分析したものです。企業収益の増加を背景として、内部留保や配当が増加したものと考えております。
○大門実紀史君 もうちょっとゆっくり説明してもらってもいいんですけど。
要するに、二〇〇一年に始まった小泉・竹中構造改革以来、非正規雇用が増えて、賃金、人件費が抑え込まれて増えないと。で、その代わり増えたのが配当と内部留保と。で、バランスシートの反対側の、いわゆる余剰資金ですね、現預金が増えたと、こういうことを表しております。ですから、人件費を抑えたのが内部留保の蓄積につながったということを政府の資料が、設備投資にも回さないでですね、示しているわけであります。
さらに、この間、法人税の減税もかなりやられました。これも内部留保を増やす大きな要因になったということはいろんな方が指摘をされております。
二〇〇〇年以前は、法人税三税の実効税率というのは四九・九八%だったんですね。それがだんだん下げられて、特に安倍政権のときにですね、法人税率は二八パーから二三・二%、実効税率も三七から二九・七四に大幅に引き下げられたわけであります。もちろん課税ベースの拡大もあったんですけれども、安倍政権で、少なくともこの減税だけで、課税ベースを若干引いてもやっぱり三十兆オーダーぐらいの負担減になって、それがこの内部留保の蓄積につながったんではないかというふうに思います。
先ほどから総理は、これは要するに、賃金抑制と法人税の減税によって内部留保がこれだけ膨らんだということは、全額とは言いませんよ、かなり寄与したということはもう否定できないと思うんですけれど、先ほどから総理は、分配の原資をつくるために成長が大事だと。一般論で言えばそうだと思いますね、成長して分配だと。二者択一じゃなくて、どちらも大事ですよね。
ただ、この二十年以上ここまでため込んだということは、やっぱり分配がおろそかになってきたんではないかと。ですから、まず分配、分配だけって言っていませんよ、分配を成長に結び付けて、成長、また分配と、そういう循環が今はこの数字を見ると必要になっているんではないかと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 成長の果実を分配する、この分配する先でありますが、先ほど申し上げたように、内部留保だけではなくして、この賃上げあるいは設備投資、この次の成長につなげるためにもこうしたこの分配は重要だと思いますし、そもそもこれは資本主義、株主、株式会社ですので、株主への配当、これも当然重要でありますし、また、この物価高騰の中で、価格転嫁、これは、その下請の中小企業のこの賃上げの原資ということから考えても、価格転嫁にもしっかりと分配されなければいけない、こういったことだと思います。
ステークホルダー資本主義などと言われていますが、このように成長の果実が適切に分配されることが重要であると思います。内部留保そのものが悪というような言い方は誤解を与えることになります。今申し上げた、様々なところに成長の果実が適切に分配されることが持続可能な経済をつくっていく上で重要であると認識をいたします。
○大門実紀史君 ほとんどおっしゃるとおりだと思うんですけど、フローの話なんですよね、総理おっしゃっているのは。この今までの減税と賃金を抑えることによってため込んだストックをどうするかという話を先ほどからしているわけでありまして、我が党は、ちょうど昨日、志位委員長が記者会見をして新たな政策提案を発表いたしました。内部留保のストックに税を掛けようという、これは新しい提案でございます。
安倍政権以降、二〇一二年から二〇二〇年の間に大企業の内部留保は約百三十兆円増加しております。それが、先ほどから申し上げているように、人件費の抑制、減税が大きく貢献したと。言わば、必要のない減税もしたということが言えるんではないかと思います。その一定部分を、全部じゃないですよ、その一定部分を国民に還元してもらって、国民のために使ったらどうかという提案でございます。
ただし、内部留保の増加額から、これはちょっと骨子だけで、詳細なものは昨日発表しておりますけど、本当に骨子だけなんですけど、内部留保の増加額から国内設備投資を控除します、設備投資額を控除します。また、人件費の増加、いわゆる環境対策、グリーン投資、この投資分も控除をいたします。税率はもう二%に抑えて、これはストックへの課税ですので期間限定する必要あります、五年間で限定と。これで毎年二兆円程度、五年で約総額十兆円程度の財源になります。
で、賃金も抑えてためたということがありますので、賃金引上げに使ったらどうかということで、最低賃金を五年間で一気に大幅に引き上げる。これ、フランスやりましたね、アメリカもやりましたね。三、四年掛けて一気に上げるというときに、中小企業支援で相当なお金使いましたね。それと同じように、最低賃金を五年で一気に引き上げると、そのときの中小企業支援の財源に使うと。
つまり、賃金を抑えて税、減税で、そのお金を中小企業を支援して賃金引上げに使ってもらおうという提案でございます。詳細いろいろもっと制度設計しているんですけど、大まかこういう考え方を総理はいかがお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げたように、成長の果実を、内部留保のみならず、賃金、設備投資、価格転嫁、そして株主に対する配当、こうしたものに適切に分配することが重要であると考えます。そのために、一つの手法として内部留保への課税を提案されたわけでありますが、政府としましては、賃上げ税制を始めとして、その分配が適切になるような税制、仕組みを用意したということであります。
これは、どちらが有効なのかという議論であるとは思いますが、政府としては、賃上げ税制、公定価格、さらには補助金や公共調達における賃上げに積極的な企業を優遇するなど、様々な手法を通じて適切な分配を実現することがこの現実に合っているということで判断し、政策を用意したということであります。
○大門実紀史君 ですから、もう当面の賃上げ、重要でございまして、何度も申し上げるように、それは投機、投機の話で、フローの話ですね。私はもう何度も申し上げたストック、この果実の、おっしゃった、果実のストックがたまったままになっていると、これをちゃんと世の中に還元してもらおうということを再三申し上げているわけで、初めての提案でございますので、どこかで参考にしてもらえればと思います。
次のパネルですけど、これもよく言われていますけれど、日本だけがアメリカ、EUに比べてGDP成長率こんなに落ちております。成長しない国と言われております。
総理は、なぜ日本がアメリカ、EUに比べて成長率こんなに低いのかと、総理の認識、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 我が国においては、バブル経済崩壊後、デフレと、そして低成長によって企業の投資が減少する、そして、消費者も将来への見通しの厳しさから消費を控える、こうしたことでこの悪循環が生じてしまってきた。こういったことから諸外国に比べて低成長に甘んじてしまっている、こういった状況が続いてきたと認識をしています。
是非、こうした状況に対して、成長と分配、この好循環を取り戻すために官民協力して政策を進めていく、これが新しい資本主義の基本的な考え方であると認識をしております。
○大門実紀史君 半分ぐらい一致するんですね。
要するに、申し上げたように、富が一部の大企業とか富裕層にもう偏在してしまって世の中全体にお金が回らないと、まあ違う言い方で総理言われましたけど。で、内需が低迷して、消費も低迷して、いい投資も、内需で、国内で生まれないということがこの低成長につながっているんだと思います。したがって、先ほどから申し上げているように、今はまずそのたまったものを分配してもらう、賃金引き上げてもらうということを含めて使う必要があるんじゃないかということを再三申し上げているわけです。
その上で、分配だけ言っているわけじゃありません。我が党は成長も大事だということで、ただし人と環境に優しい成長ということをこの間訴えております。優しく強い経済へというビジョンでございます。
つまり、今までの新自由主義のような、人を使い捨てにして、そういう冷たい経済やってきて、結局さっきのような成長しない国になってしまったと。やっぱり賃金を上げて、社会保障を立て直して、応分の負担を実現して、そして気候危機打開、ジェンダー、こういうところに打って出れば成長する経済になるのではないかと、パンデミックにも強い経済にはなるのではないかということであります。
裏を返せば、株主、先ほど言われた株主資本主義のこのゆがみを是正するということにもつながって、総理とそれほど考え方違うと思いませんが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 済みません、今資料を見て、十分に内容を吟味する時間がありませんので、完全に一致しているとは考えにくいですが、重なる部分は多分にあるんだと思います。しかし、一つ一つの要素、消費税減税とかですね、ちょっと一部完全にこれは一致できない部分もあります。
ですから、いま一度よく吟味しなければならないと思いますが、私が申し上げている新しい経済のモデルは、一つ一つの要素、これはもちろん重要でありますが、これがうまく組み合わさることによって循環が生じていく、持続可能な経済を実現する、これが一つのポイントでありますので、一つ一つ一致する部分があったとしても、全体のこの組立てにおいてどのように委員の方が考えておられるか、この点が大変重要なポイントになるのではないかと、済みません、短時間でありますので今想像をしたところであります。
○大門実紀史君 ありがとうございました。
新自由主義の弊害をなくすにはこの方向しかないということを強調して、質問を終わります。
ありがとうございました。