<議事録>
○大門実紀史君 今回の法案は全会一致ということでございまして、一歩か半歩かは別にして、とにかく今までよりは改善されるということで、少なくとも公益通報の環境整備あるいはアナウンスメント効果というのは私もあるというふうに思いますが、ただ、参考人質疑のときにも申し上げたんですけれど、やはり私自身としては、たくさんの内部告発者と一緒にいろんな取組してきたので、そういう方が救われるかどうか、守れるかどうか、守られたかどうかというのがやっぱり物差しになるわけであります。そういう点では、やっぱりそこまで到達していないなというふうに残念ながら思います。
そうはいっても、国会で取り上げるぐらいですから、大企業とか官庁の大変社会的な責任を問うような重大案件が多いわけですね。そうすると逆に、組織、会社や官庁にとっては、逆に言うと、重大案件ですから、それだけ外に出したくないというような、必死で潰そうとするような案件が多いわけですね。それは、オリンパスや東芝のように、教訓からですね、それも含めて自浄作用に生かそうというふうになればいいんですが、なかなかそこまでならないと。
例えば、私、もう十年以上前ですけど、大手町の大手町開発の国有地払下げ問題を取り上げたときに、財務省のふだんは野党の部屋には絶対来ないような幹部クラスが十人以上一遍に来て、説明させてくれと来るというような、やっぱり重大案件ほど外に出したくない、何とか抑えたいというようなことを働くわけでありまして、そういうシビアな案件を考えると、なかなか今回の法案のようなレベルでは助けられないんではないかと思います。
もちろん消費者庁や専門委員会で、いろいろあって、みんな一生懸命議論をされたのは分かりますし、で、やっと、十四年ぶりですかね、改善策が出たと、その努力は評価をするんですけれど、ただ、もう正義感一つで、首を覚悟で、あるいは命の危険もさらされて、家族も危険にさらされて、そういう修羅場をくぐってきた人たちにとっては、ちょっと何か今回のこの話はほかの世界のようなところがまだあるんではないかと思います。
実は、この前、参考人質疑ありましたけれど、ある有名な事件を、大手企業のですね、内部告発した女性がインターネット中継でこの前の参考人質疑を見ておられまして、こういうメールが来ました。何か雲の上で議論され、雲の上で妥協され、その中の人たちだけで九十点、六十点と褒め合っていると、それだけに見えたというふうな、何というか、冷めた意見が、それはやっぱりそういうことなんですね、現場で闘ってきた人たちにとっては。ここで幾ら一生懸命、やっているんですよ、一生懸命ね、私も大変国会の一員として寂しい思いをしたところであります。
そういう思い踏まえて、ただ、大事なことは次のステップでございますので、今後のことについて聞いていきたいと思いますが。
まず、今日はわざわざ忙しい中、修正案提案者の国民民主党の青山衆議院議員と我が党の畑野衆議院議員に来ていただきました。ありがとうございます。
これ、みんなの修正が参議院に来ているわけですから、その経過もちょっとお聞きしたいんですけど、青山議員は、フェイスブックなども見させてもらいましたけど、この法案に大変思い入れを強く、一生懸命頑張っておられた方でございます。
まず青山議員に聞きますが、この修正案を提案するに至った経緯とかその思いを簡潔に述べていただければと思います。
○衆議院議員(青山大人君) 大門議員の御質問にお答えします。
今回の改正案が提出されるに当たっては、内閣府消費者委員会公益通報者保護専門調査会において検討がなされ、そこで取りまとめられた報告書の内容が踏まえられているものと承知をしております。その報告書の中でも通報対象事実や通報者の範囲の拡大については、改正案において一定の対応がなされていると評価はしております。
一方で、報告書において導入すべきとされた不利益取扱いに対する行政措置は法改正の対象とはなりませんでした。また、裁判手続において通報者の負担を軽減するための立証責任の転換についても今後の検討課題とされたことから、法改正の対象とはなりませんでした。しかし、実際に不利益取扱いを受けている通報者を救済するという観点からは、これらを法制化することが極めて重要でございます。
このうち、行政による勧告処分等の導入については、改正案の附則第五条の検討の対象になることが文言上明確でございますが、立証責任の転換については検討の対象になるのかが必ずしも明らかではありませんでした。
立証責任の転換については、一昨日のこの委員会においても、私も実際、この場に来て傍聴させていただきました。三名の参考人の皆様からも立証責任の転換の必要性に関して御指摘もございました。また、公益通報者保護法の制定当時の大門議員の御党の修正案では、立証責任の転換のための規定も明記されていたものと私は承知をしております。
そこで、立証責任の転換に関する規定の創設も視野に入れて検討することを政府に義務付けるため、裁判手続における請求の取扱いを明記することとしております。なお、立証責任は、裁判手続において請求を根拠付ける事実が存否不明の場合の取扱いを定める概念であり、裁判手続における請求の取扱いという文言で立証責任の転換についても読み込めるものと考えます。
以上です。
○大門実紀史君 ありがとうございます。よく分かりました。
次に畑野議員に、今後の課題は今も触れられたようにいろいろあると思いますが、具体的にどういう課題があるのか、ちょっと教えてください。
○衆議院議員(畑野君枝君) 大門実紀史議員にお答えいたします。
公益通報をしたことを理由とする不利益取扱いに対する行政措置の導入や、立証責任の転換規定の創設など、今回の改正案で検討の対象となった事項について十分に検討を加え、必要な措置をとっていただくことは言うまでもありません。また、この検討を行うに当たっては、是正命令及び命令違反に対する刑事罰の導入についても併せて検討することが期待されます。
しかし、これだけではなく、今後の課題といたしましては、一、通報対象事実の範囲の一層の拡大、二、公益通報者の範囲を拡大し、退職者の期間制限を設けないことや役員の保護要件の緩和、取引先、下請事業者を公益通報者として保護すること、三、証拠資料の持ち出しに対する免責規定、四、外部通報要件の更なる緩和、五、民間における通報、相談の受付窓口の更なる充実などがあると考えております。
修正案提案者といたしましても、今後の運用状況を注視し、必要な提案を行っていきたいと考えております。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
与野党力を合わせて、できるだけ早く現場に役に立つ実効性のあるものにしていかなければいけないというふうに思います。
質問は以上ですけど、もしお忙しければ御退席いただいても、いてもらってもどちらでもいいんですけど。委員長、ちょっと御判断を。
○委員長(佐藤信秋君) それでは、修正案提出者は御退席いただいて結構です。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
もう随分いろんな質問がございまして、聞くことも少ないんですけど、通告していないものでもいいですかね。事務方なら分かりますよね。もうちょっと、もう全部ほとんどやられましたので。
今回最大の焦点が不利益扱いに対する行政措置の導入でございまして、これはもういろいろ触れられているとおり、見送られた理由としては、意見の不一致、体制が整わない、そして事実認定が難しいという点があったということですが。
まず一点目の意見の不一致なんですけど、つまり、簡単に言えば消費者側と経営者側の意見がなかなか合わないということなんですが、ちょっとずっと感じていることがございまして、何が合わないんだろうということなんですけどね。つまりは、通報者というのはどういう人なのかと、どういう人を想定しているところの食い違いがずっとこの問題に、聞いていてあるような気がするんですよね。
要するに、経済界、企業の経営者側は、会社に不満を持つ人が、会社に不満を持つ者が腹いせとか、何か外にばらしてやろうとかそういうふうな、中にはデマもあるかも分かりませんですけど、そういう密告とかそういうふうな、何か会社から冷遇されているからとか、不満があるから何かこう外に持ち出す、やるというふうな人が多いから、そういう人もいるから簡単にはこの制度、うんと言えないんだというふうなのがもうずっと前から言われていることですね。消費者庁もそういう話何度も聞いていると、ああ、そうなんですか、そういう人がいるんですねと、それじゃそう簡単にはいきませんみたいな、いうことがもう何年も前から、もうずうっと昔からそんな話ばっかりが続いているんですけれども。
私の、先ほど言いました、国会で取り上げてきた方々で言いますと全く違いまして、特に大企業、官庁でそんな不満分子といいますか、不満を持って何かやる、やった人は一人もいませんでした。もちろん匿名でいろんな情報来ますけど、そういうのは取り上げませんよね、国会で。取り上げるときは裏付け取りますし、何かこう悪口だけ言いたいとか、そういうのは国会でそもそも受け付けません、私のところはですね。国会で告発すべきような行為というのは、やっぱり社会的、先ほど言いました重大な案件だと。そうすると企業や官庁にとっても重大な過失になると。
こういう情報というのは、よく考えてみると誰でも入手できないんですよね。その会社とかその官庁の中の幹部、エリートでないとその情報にアクセスできないんですよ。誰でもできないんですね。つまり、そういう情報にアクセスできる人というのは幹部、エリートクラスなんですね、私のところに来られている人は。そういう方は処遇にそもそも不満があるわけではないんですよ。まあ、むしろ処遇はいいんですよね。ところが、会社が、あるいは役所がこのままでいいのかと、このままで本当にいいのかというふうな、何というか、不満分子というよりもむしろ愛社精神に富んだ人が勇気を持って告発された例が多いわけでありまして、そういう人を守る話なんだということを消費者庁もきちっと捉えていただいて、いや、もういろんなのが来るからさ、みたいに、それは、そういうところとやっているといつまでも意見の不一致というのはクリアできないというふうに思うんですよね。
そもそも公益通報の趣旨というのは、会社も自浄作用を発揮してもらって、いい会社になってもらおうという趣旨なわけですから、その通報者というのはどういう人なのかということですね、ちゃんと一致させないと、この話は何年たっても、この十年間同じようなことばっかり言っていますからね、進まないんではないかと思いますが。
その点、消費者庁の中にも、いや、そういう人もいるからそう簡単にはいかないんですって、簡単に私に説明する人いますけど、そういう認識をまず変える必要があると思うんですけど、次長、いかがですか。
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
消費者庁といたしましては、今後はこの改正法案の趣旨を踏まえまして、先生の御指導もしっかり肝に銘じて、適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 それで、この点でよく考えなきゃいけないのは、今回の三百人以上の企業に公益通報制度の体制を整備してもらうと、義務付けると。ただ、ほとんどの大企業は既にそういう体制を、そういうというか似たような体制をつくっていまして、コンプライアンス窓口というのをつくっているわけですね。これがそのまま使われると全然違う話になるということは指摘しておかなきゃいけないと思うんですけど。
今、大きな企業にあるコンプライアンス窓口というのは、まあはっきり言って社員の不満相談口、パワハラ、セクハラ、ガス抜きもあるわけですね、いろいろ不満を聞いてあげると。この目的の一つは、社内での不祥事を外に出さないということも一つの目的でやっているわけですね、やっているわけですね。そういうイメージがあるから、先ほどの話になって、いろんな不満持っている人がいろいろ言うと、そういうのいるんだみたいな話を、そういうことをやっているからこう思っちゃったりするわけですよね。消費者庁もそういうのに引きずられて言っているところはあるんじゃないかと。
私たちが守ろうとしているのは、その会社への愚痴を言いたい人を守るわけではないんですよね、あくまでですね。そこはちゃんと考えておかないと、今回、三百人以上の企業に体制を義務付けるといっても、企業は今まであるコンプライアンス窓口をそのままこの公益通報の窓口にして、同じように不満分子何だかんだとやっていると、全然これ体制つくったって何も変わらないということになりかねないと思うんですけど。
その今まである企業、三百人以上大企業にあるコンプライアンス窓口と今回の義務付ける内部通報の体制というのは、明確にきちっと位置付けないとぐちゃぐちゃにされる可能性があると思うんですけど、いかがですか。
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
今回の法改正によりまして、大企業に対しましては体制整備義務が義務付けられるところでございます。必要な支援は今後関係者の意見も聞きながら検討してまいりたいと思いますけれども、この今回の改正の趣旨が適切に反映されるような体制整備義務が進むように取り組んでまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 ですから、内部通報体制の整備というのはそもそももろ刃の剣なんですね。今のようなコンプライアンス窓口の、先ほども申し上げました、中の不祥事が外に出ないようにと、いろんな話があるわけですよね、会社の中の不倫だとかいろんな話。それが外に出ないようにということも今の大企業のコンプライアンス窓口の一つの役割なんですよね。
そうしますと、今回、この内部通報体制整備していって、それ、そういうふうに使われたとしたら、今までそもそもいろんな事件というのは、実は内部で処理できなく、内部では解決してくれないから外部通報で、マスコミとか時には国会とかですね、外部通報でみんな表に出てきたんですよね。みんなそうですよね。三菱のリコールから全てそうですよね。
したがって、企業としてはそれをやっぱり表に出したくないと、中で封じ込めたいというのはありますから、今回の内部通報体制の整備というのは、中でうまくやれば中できちっとそういうことを改善していこうということに使われますけど、外に出さないための仕組みとして使われるということがあったら全く本末転倒になるという、なる可能性があるというふうに思うので、この点はちょっと留意してほしいと思いますが、衛藤大臣、一言いかがですか。
○国務大臣(衛藤晟一君) それで、やっぱり行政とかあるいは第三者に対する通報ということも考えて今回ちゃんと規定をしたということでございまして、この体制づくりというのは今後大変だという具合に思っております。
先ほどからもお話がございましたように、消費者庁は現場を持っていないちっちゃな役所だということは私どもも自覚いたしておりますので、だから、それをちゃんとどう広げていけるのかということについて、相当今から真摯な議論をしなければいけないという具合に考えているところでございます。
○大門実紀史君 ですから、例えば、その公益通報対応の業務を設けて、そこに従事する人は守秘義務を課して、三十万円の罰金と。
実は、今、企業のコンプライアンス窓口もどうなっているかというと、私の友人、大企業におりますので聞いてみたら、要するに、今だってコンプライアンス窓口の担当者というのは、社内の規定ではありますけど、守秘義務掛けられているんですよね。社員から相談あったのをぺらぺら上に上げたら誰も相談に来ないから、一応守秘義務は社内規定で掛けられているんですよ。今度はそれとは違うんだけれども、公益通報で罰金三十万と。ただ、余り変わらないといったら変わらないんですよね。今だって守っているという話ですからね。
そういうこともあるので、これは何か急速にこれで何か進むというわけではなくて、そういう場合だって、今だって、はっきり言って、会社に非常に重要な情報はやっぱり上げていますよ、上げていますよ。それで、つまらない、なんかのことは上げていないかも分からないけど、やっぱり社運に関わるようなことは経営陣に上げていますから。そういう点でいきますと、これがあるから公益通報者は守られるというような甘い世界ではないと。会社にとって重大な案件であればあるほど、これは守られないであろうと、みんなサラリーマンですからね、最終的にはという点も、これは指摘だけしておきたいというふうに思います。
その不利益扱いに対する行政指導の導入が見送られた二つ目の理由ですけど、体制がない。
これは本会議でも指摘いたしましたが、厚労省が人手がないから対応できないと言っていたり、消費者庁は地方に手足がないと、消費者庁は協力してくれないというようなことは文書に残っているんですけど、これもいろいろ言ってもしようがないんですけど、厚労省に聞いてみたら、やっぱり消費者庁、やっぱり役所の縦割りみたいな世界があって、なかなか意思の疎通が、頑張ってやっているんですけど、なかなか難しいところがあるんですね、役所同士が協力するというのは。
そういうことがうまくいかなかったり、やっぱりその点では官僚任せにしないで、政治がもっときちっとプレーすべきだったと私は思いますけど。大臣ころころ替わりますからね、消費者担当大臣ですね、というようなこともあったのではないかと思います。
これからどうするかが大事で、本会議のときに加藤厚生労働大臣が私の質問に大変な、大変重要な答弁をしていただいております。前向きな答弁をしていただいております。
一つは、そういう公益通報に関わって労働問題の通報があったときは、今までもやっているけれど、解雇されたとかなんか、今までだってやっているんですよね、それは引き続き厚労省の労働部局としてやりますということですね。もう一つは、今回の法律が通ったら公益通報に関して更に周知徹底をいたしますと、労働部局にですね。
もう一つ、一番重要なのは、今、各都道府県に労働相談の、労働紛争の関係機関連絡協議会というのがあるんですけれど、これには労働部局に裁判所とか弁護士会とかいろいろ入っているんですが、そこに消費者庁も入っていただいて、参加を求めて、消費者庁の連携もしていくというふうなことを加藤大臣は踏み込んで御答弁いただいていたわけでありますので、まずこれを具体化していってもらって、私は、これはもう厚労省分かっているんですよ、労働問題、自分たちでやると分かっているんですね。消費者庁に特別に地方に労働相談所つくったって、専門家もいなければ、地域の連絡って大事ですから、無理なんですよね。だから、労働部局でやるのはもう分かっているんですけど、それを、協力ということじゃなくて、労働者を守るのは厚労省の労働部局の仕事でありますので、やってもらうと、やってもらうと。ただし、それに当たって、もっともっと消費者庁との連絡、消費者庁との密接な関係をこれからつくっていくことが一番大事ではないかと思います。
それをやっていけば、何年後かに、今回のような、厚労省と消費者庁と予算をどちらが出すんだとか、いろんなちぐはぐがあったわけですけど、それはなくなっていくと思いますので、これは衛藤大臣にお願いしたいんですけれど、役所同士だけに任せない、もちろん役所同士もやってもらうんですけど、役所同士だけに任せないで、やっぱり内閣としてイニシアチブ取ってもらって、何年後かにはすぱっと一緒に協力してやれるように考えてほしいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(衛藤晟一君) 役所同士の話ですと、やはりなかなか権限や対応というのは難しいということでありますが、加藤大臣が委員の質問で、本会議でお答えしたように、やっぱり労働問題に関わるところは自分たちだという意識を持たれています。また、そういうところに、今連絡協議会もあるわけでございますので、是非消費者庁も参加を求めて、そして公益通報者保護制度について情報共有をしたいと思いますし、そしてまた、具体的な、やっぱり労働局でなければ、実際のところ、各地においていろんな調停をしたりしています、内部のこともよく知っているわけでありますし、またそれだけの権限も持っているわけでございまして、今消費者庁がそこまで権限を地方まで持っているかというと、正直言って持っておりませんから、とにかく、この法律の成立と同時に、連携をどう強めていくかということについて、うんと必要な力は借りたいという具合に思って指示をさせていただいているところであります。
○大門実紀史君 是非その点を、もう内実的に実際問題一緒にやっていくことが大事だと思うんですよね。よろしくお願いしたいと思います。
不利益扱いに対する行政措置の導入を見送った理由の三つ目ですけれど、事実認定が難しいと。つまり、不利益、解雇とか降格とか左遷とかですよね、の理由が報復によるものなのか、通告したことによる報復によるものなのか、本人の、別の本人の責任によるものなのかの判定が難しいというようなことも何か言われています。これはそんな難しくありません。
実際問題、労働局、私、労働問題も何度も取り上げていますけど、労働局何やっているかというと、解雇された、いろんな契約切られた、この訴えを受け付けるんですよね。その次にその原因を調査するということでありますので、その原因調査から、原因から入るわけじゃないんですよね。事実から入りますので、これは事実認定していけば、もちろん、微妙なものは、裁判まで行くのは別に公益通報だけじゃないんですよ、普通の労働問題だって裁判にまで行くしかないのはあるんですけど、少なくとも私が知っている幾つかの事件は、明らかに報復というのがもう事実経過で分かるのいっぱいありますので、それはそんな事実認定難しくないというふうに思います。調べれば分かるということが大変多いということですね。
もう一つは、じゃ、海外はどうしているのかということでいいますと、EUとか韓国とかは、簡単に言いますと、通報すると。それから一年とか二年とか期間ありますけど、その間に降格とか解雇とか契約打切りとか昇進のストップとかあれば、それは報復とみなすと、推定するというふうな思い切った措置をとっております。これは、何段階か行かないと、そこまで行かなきゃ分かりませんけれど、結局、判定難しけりゃ、もうそれで見るという形もあるわけですよね。
そういうことも含めて、今後、この事実認定が難しいなんていうと、これ五年後だって難しくなりますので、何が海外で行われているか、どうやってみんな判断しているかというような研究も含めて検討してほしいと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
附則にある検討を進めるに当たりましては、委員御指摘のとおりのような海外の事例ですとか、あるいは労働局の現場での実情がどうなっているか、あるいはその裁判の判例等々がどうなっているか、そういうことも調べながら検討してまいりたいと思います。
○大門実紀史君 もうお聞きすることもなくなってまいりましたので、最後に大臣にお聞きしたいのは、ずっと見ておりまして、やっぱり政治のイニシアチブね。本当に事務方頑張ってくれているんですよ。でも、いろんな限界があって、それを突破するのはやっぱり政治の役割だと思うんですよね。
この間でいえば、大臣が預託法をちゃんとやると言われたから、預託法の改正もこれからいい方向で出てくると思っておりますので、やっぱり、引き続き、衛藤さん、腕力ありますから、力発揮してもらって、いろいろなことに政治家の役割を果たしていただきたいと、大臣の役割を果たしていただきたいというふうに思いますが、その点、一言いただければと思います。
○国務大臣(衛藤晟一君) 今回、私も大臣に就任いたしましたけど、やっぱり自民党、党で委員会つくって、今日は徳茂先生もお話ありましたけれども、大変相当突っ込んだ議論をしていただいて、今までの議論を踏まえた中で、思い切って突っ込もうじゃないかという議論ができて、それで一気に進んだというところがございます。我々も是非思い切って進ませていただきたいということをお願い申し上げましたりですね。
その中においては、やっぱり、自民党の先ほど来ました穴見さんとかいろいろな方はやっぱり経済界の説得に、あるいは宮腰さんなんかもテーブルたたいての議論をして説得をしたりいたしたというところは実情でございますので、そういう中で我々もやっとここまで来たというのが正直なところです。これを一つの大きな一歩として、今後とも、更に実効性あるものとしてやれるように懸命に努力を続けてまいりたいと思っています。
ですから、例えば労働関係では労働局との提携ですね、これは早急にやっていって、日本の場合、そこまで、EUとか韓国の例も見ながらですが、そこまで行けるかどうか分かりませんが、まずは提携を強めていって、相当なところまで行けるように頑張ってまいりたいというように思っております。
○大門実紀史君 終わります。ありがとうございました。