<議事録>
○大門実紀史君 参考人の皆さん、お忙しいところ、ありがとうございます。
参考人の皆さん、全て、一歩前進、大きな前進という評価で、一番喜んでいるのは消費者庁じゃないかと私は思いますけれども、確かに、環境整備、濱田参考人言われたように、刑事罰という引締め効果、こういう効果はあると思うんですが、ただ、私、国会で具体的に言えばもう二十件以上、内部告発に基づく質問とか問題取り上げてきて、いろいろ、偽装請負とか保険金不払とかジャパンライフとか企業年金、そうした問題いろいろあるんですけど、二十七人の方の告発によって取り上げさせてもらって、その方々の顔が浮かぶわけですよね。ですから、私の物差しは一つで、そういう方々が今回の法改正で守られるだろうか、あるいは守られたであろうかということが、もうそのひとえなんですね。
それでいくと、連絡取れる人何人かに聞くと、到底安心できる制度ではないというのが答えでありますので、もちろん消費者庁、ぎりぎり頑張ってきてくれたの分かるんですけれど、やっぱりその当事者の立場、当事者の気持ちに、濱田さんみたいに強い方ばかりじゃないんで、まあみんな強いんですよ、みんな気骨のあるすごい人なんだけど、闘い切れるかとか、いろんなことあるわけですね。
その物差しでこの問題を考える必要があるというふうに思って質問したいと思いますが、まず、拝師参考人なんですけど、拝師さんとは、消費者庁つくる運動から長い間、長い付き合いなんですが、今日は初めてちょっと意見が違ったというふうに思うんですね。
十四年間何もしなかったかと思うと、一歩前進と。私は、十四年も掛けて半歩前進じゃないかと。何より残念なのは、今日も本会議で言ったんですけれど、不利益扱いの行政措置が導入されなかったこと、あれが導入されていたら、私も、そうはいってもやっぱり大きな前進になるんじゃないかと思ったんですが、すっぽり抜け落ちて、あれが一番残念なことであります。
その点で具体的に拝師参考人にお聞きしたいのは、今日答弁があったんですけど、衆議院でもありましたが、なぜ今回見送られたかというと、一つは体制上の問題と。これ、ちょっといろいろ問題はあるんですけどね。
二つ目なんですけど、要するに、その不利益扱いが報復によるものなのか、あるいは本人の責任、例えば本人の成績不良とか、それによって解雇とか降格がされたのか、報復でされたのかと、この区別が難しいというようなことがあったんですけれども、私でいえば秋田書店の問題というのを取り上げたんですけれど、あれは、あれだけじゃなくて幾つか同じことはあるんですけど、企業内の不正をまずおかしいと言うじゃないですか、まず会社の中でね。そうすると、会社の経営側が冷遇するわけですね。いじめたりするわけですね。シカトするわけです。みんなでやるわけですね。そうすると、精神的にちょっと追い詰められてきて、会社に行けなくなって、仕事休んで欠勤という、長期欠勤になると。そうすると、会社側は、長期欠勤で勤務態度不良だということで解雇すると、こういうパターンなんですよね。だから、これは過労死裁判、いじめによる過労死自殺とか、ああいうのと同じように、経過さえ調べれば、既に労働部局もやっている話ですし、分かる話なんですね。だから難しくないと私は思っているし、当然労働部局がやるべき話だと思うんですけれど、そういう点で拝師参考人のまず御意見を聞きたいというふうに思います。
○参考人(拝師徳彦君) まず申し上げたいのが、先ほど十四年掛かってようやく一歩踏み出したと申し上げましたけれども、決してゴールだというふうには申し上げておりませんで、あくまで進んだという意味での一歩でございます。
そして、不利益取扱いに対する行政措置が今回入らなかったことについては、私も大変遺憾に思っております。その理由として、今、大門議員二点おっしゃられました。体制上の問題、それから事実認定が難しいということですかね、という二点なんですけれども、やはり私も、いずれもいかがなものかと理由については思っています。
まず、体制上の問題については、これは本末転倒でして、やはり必要性があると、規制の必要性があるということであれば、それだけの人員、体制を補充してやるというのが行政の責務、あるいは政治の責務ではないかというふうに思っておりますので、これを理由にしてしまうともう国として成り立たなくなってしまうのではないかなというふうに思っております。必要性があるというふうに判断している以上は、それに対応する体制を整えるべきだというのが本来の筋だと思います。
それから、その不利益取扱いが報復なのか本人によるものなのかの区別が難しいということですけれども、確かに、単純に消費者被害でこういうことについて書面を交付しなかった、あるいは虚偽の説明をした等の案件に比べると難しい面はあるかもしれません。ただ、やはり民事裁判との違いは、行政側は立入調査等を通じて事業者側の情報をある程度入手することができます。
そういう意味での立証上の優位であるとか、あるいはこれはもう行政処分、行政権限全般に言えることですけれども、民事裁判で一審、二審、三審と、最高裁まである、そういう緻密なかなり丁寧な司法の構造と行政の構造は元々違うわけですから、やはり行政は、行政権限を行使する以上は、自分たちなりの調査手法を使って情報を仕入れて、そこで行政なりの判断をするしかないと思うんですね。これを放棄してしまうと、最後に裁判で負けるかもしれない、それは可能性としてはありますよ、手続が違うんだから。でも、そこをやっぱりちゅうちょして判断をしないという選択肢は、私はおかしいのではないかというふうに思っています。
○大門実紀史君 田中参考人にも同じことを伺いたいんですけど、今回の一番のポイントが、そこが抜けていることでいろんな質問集中しているんですけど、今、消費者庁側が言っているその二つの理由を挙げてしまうと、これ五年後に解決されるような話じゃないんじゃないかと思うんですよね。その点も含めて、同じ質問ですけど御意見いただければと思います。
○参考人(田中亘君) ありがとうございます。
その点は、拝師参考人の御意見が誠にもっともだと思いまして、本来必要性があれば行政は人員の整備を含めて必要な措置を講じるということが政府の責務であると思います。ちょっとそれ以上言いようがないといいますか、これはもうやっていただくしかないと思います。体制に関してはそれ以上申し上げられません。
事実認定につきましては、やはり行政は本来的に、今も拝師参考人がおっしゃったように優位な状況にありますので、これを本来的には生かすことが重要であると思います。
その上で、司法に行けば、より緻密な裁判ということになりますから判断が変わるということはあり得るわけですけれども、最終的に司法で負けたから行政がやるべきでないことをやったということには直ちにはならないわけでありまして、その点からしても、重要な事件である場合は果敢に行政が必要な措置をとっていくと、その点が重要であると思います。
○大門実紀史君 濱田参考人に伺います。
集会でお話を伺ったことがございまして、もう本当、心から敬意を、長い闘いですね、すごい方だなというのは、そういう印象でしたけど。
ただ、先ほどおっしゃった守秘義務、刑事罰三十万円のところなんですけど、これもちょっと私の経験で申し訳ないんですけど、第一生命の保険金不払事件というのがございまして、そのときは、第一生命が初めて生命保険会社としては株の上場をしようということで、金融庁を挙げて大きな課題だったんですね。そのときに内部告発で、一方、保険金の不払を大量にやっているというのがあって、国会で取り上げていったんですけど、そのときに、例えば、最初に、こんなことをやっていると第一生命はおかしくなると言って、善意で、勇気を出して言った人がやっぱり漏らされて、誰がそういうことを言っているということになって報復的な扱いを受けたんですが、それでもめげずに頑張られたんですけれども。
あのときに刑事罰があったとして、三十万円の罰金があったとして、その第一生命の一社員ですよね、その担当者もですね、が、もうそういう、先ほどありましたけど、物すごい大きな、会社としての大きな使命を抱えたときに、この問題だけでその情報をそこだけで収めるということがあり得ない場合も、そういう場合もあるんじゃないかと思うんですね。
ですから、この守秘義務、刑事罰、おっしゃったように、もう非常に効果、引締め効果みたいなのがあると思うんですけど、現実的に言うと、オリンパスと東芝ともまた違いますよね、企業によっていろいろ違って、そのとき抱えている課題とかあると、もちろん刑事罰を入れたというその効果、いろんな効果は、波及効果はあるんですけれど、実際問題、先ほどあった、企業にとって外部に漏れるのを防がなければいけない情報であればあるほど、その担当者は、あるときにはその刑事罰を受けてでも、あるいは受けないように、いろんな手を使って経営トップにそういうことを漏らさないと大変なことになるというような意識で、本当はそういうことをやるとかえってマイナスなんですけれど、そういうこともあり得るんで、私はこの守秘義務、三十万刑事罰というのは、私も評価しているんですけど、万能ではないし、これによって全て歯止めが掛けられるわけではないと。やっぱり慎重に考えて、もっとほかのいろんな、先ほど言った行政措置の問題もやる必要があるというふうに捉えるべきことで、これだけ余り評価するんではないかというふうに私は見ているんですけど、率直な、濱田さんの闘ってきた歴史も含めて、ちょっとコメントいただければと思います。
○参考人(濱田正晴君) 私、これまで内部通報に特化した話にかなり集中してきましたけど、なぜかというと、一号通報、今回かなり改正されるという部分と、強化されると、必要性が重視されると、こういう意味で言っていますけど、今この話に関連しては、やっぱり外部通報というところに関しては、オリンパスは過去に粉飾決算、これやっておりまして、社内でそれを、いわゆる、これ朝日新聞の取材によると、私は誰か知らないんですけど、私の闘いを参考にして、それで外に告発したということであの粉飾、これが分かって、損失隠しということで、今は一新されておりますけど、そういう意味からすると、やはり三十万円の罰金とか、そういったところでは不十分であるというのは、これは現実的には私、事実だと思います。
したがいまして、やはり、たまたまその方、誰か分かりませんけど、私がこういう、社内でこういう目に遭っているというのを知って、それで自分は内部は駄目だということですから、それがこの法改正になったからといって、それが直ちに内部で大丈夫というふうにはならないというふうに思います。
したがいまして、やはり、余りに一号通報を重視して、ステップを踏まなければやっぱり二号に行けないとか、そこのところの話をやっぱり余りし過ぎると、要するに一号通報に力を入れてやるんだぞというところが、かえって二号通報を阻止する、三号通報を阻止するという形になるので、その部分においては大変危惧はしています。
それで、結局、結論としては、確かに行政罰ぐらいは、不利益ということが認定されたら、少なくとも裁判上で確定したら、これは行政罰を入れるという条項。要は、政府として、行政の方とかですね、そちらとして司法の仕事だから、こちらはそういうことを判定できないというんだったら、最低でも司法で、そういうことになると行政罰が不利益をした企業等に入りますよという条項がびしっと要ると思います。それがない限りは、おっしゃるとおり、なかなか急激な変化と、いい方向の変化にはならない法律だと思います。
繰り返すと、その中でも一歩前進ということでは、私としては、まあよくやったから、今後の課題も多くなったなということで、関係の皆様には期待しているということです。
○大門実紀史君 終わります。