<議事録>
○大門実紀史君 大門です。
既にいろいろ質問がありましたので、私の方は一問だけ、少し大きな角度での質問をさせていただきます。コロナの経済危機の中でのマネーの動き、これ全体をどう見るかという点に絞ってお聞きしたいというふうに思います。
資料をお配りしているかと思いますが、一枚目に日経新聞の記事を載せておきました。高リスク資産九百六十兆円、十年で倍増、備え不十分ということですが、これはIMFが二十二日に公表した国際金融安定性報告書というのがありますが、その中で、低格付、リスクの高い低格付の資産への投資がこの十年で倍増しているという記事でございます。
この投資家というのは当局の監視が緩いファンドなどの資産運用業者が多く、損失への備えが不十分であると、新型コロナウイルスによる収益悪化が長引けば、これがかつてのリーマン・ショックのときのサブプライムのように、あのときはハイリスクのいかがわしい商品がきっかけになって金融システムが破綻したわけですが、そのリスクも大きくなるということをIMFの報告書が指摘していると、そういう記事でございます。
要するに、リーマン・ショック後に、監視の緩い投資ファンドなどのマネーがハイリスク・ハイリターンの投資、投機に向かって、それはもちろん、世界的な低金利、緩和マネーをファンドが調達をして、利ざやを稼ぐためにこういうハイリスク・ハイリターンの危ないものにどんどん投資してきたと、それが今後のこのコロナ危機の後のリスクにつながるのではないかということを端的に示した記事でございます。
このファンド等の規制については、日銀の政策委員会審議委員だった木内登英さんが先月出された時事論述の中で指摘をされております。要するに、あのリーマンの後、金融規制は強化されたんだけれども、こういう投資ファンドなどの資産運用会社は非常に抵抗して、規制させないということでやってきて、それがそのままになって規制が緩い中で放置されてきたということが指摘されております。
その金融規制に反対してきた資産運用会社の筆頭に挙げられるのが、世界最大の資産運用会社のブラックロックであります。ブラックロックというのはもう有名ですけど、幾つもの投資ファンドを使って、今運用資産は今年の三月末で何と七百兆円もの運用をしているという途方もない資産運用会社でございます。例えば、日本のGPIFでは、日銀と並ぶ大株主になっているのはブラックロックということでございます。
資料の二枚目ですけど、そのブラックロック含めて、資産運用会社と日本のメガバンクが、MアンドA、合併、買収を繰り返している姿をお示しした記事でございます。要するに、日本のメガバンクもこういうブラックロックなどの投資ファンドと一体になってマネーを運用しているということでございます。
次の三枚目の資料が、そういうファンドマネーが、日本のメガバンクも一緒になったファンドマネーが、タックスヘイブン、この問題は度々取り上げてきましたが、ケイマンへの、タックスヘイブン、ケイマンへの証券投資残高の推移のグラフですけれども、どんどん増えていると、こういうマネーが結局税逃れでさんざん利ざやを稼いで、税逃れでケイマンに行っているというのがその資料でございます。
四枚目が、日本の銀行ですけど、日本の銀行というふうな指標で取っても、ケイマンへの与信残高がどんどん増えているということであります。ケイマンというのは税逃れだけじゃなくて、非常に、シャドーバンキングといいますか、アンダーグラウンドな分からない投資ができるところでありますので、そこへの投資が日本の銀行としても増えているということでございます。
こういう事態をどう見るかということなんですけど、このマネーには、当然、日本の銀行の貸出し、つまりは日銀の金融緩和による緩和マネー、あと世界の中央銀行がコロナ対策といって緩和マネーを出しておりますので、そういう世界中の緩和マネー、全部とは言いませんけどね、それがこのファンドの利ざや稼ぎに使用されて、しかも税逃れをしているという構図で、これは国の税収の損失でもあるという構図でございます。
質問はたった一つなんですけれども、このブラックロックなど資産運用会社、投資ファンドが、金融規制を逃れて、先ほど言いました世界の中央銀行のコロナ対策を含めた緩和マネーも活用して荒稼ぎをしていると。これは、勝手に何かやっているんだなじゃなくて、このまま放置すると、最初の日経新聞の記事にありましたけれど、リーマン・ショックが、サブプライムローンという危ない商品、高リスク資産の破綻によって一気に顕在化したわけですけど、そういうことは先ほどのリスク資産にどんどんどんどんやっていますから、危ないものにですね。これ一旦そこで破綻すると、この金融緩和マネーの中、どんどんつぎ込んでいますから、同じような新たな金融危機を招く危険性があるというのが最初の記事に戻るわけですね。
こういうふうな、今のコロナ対策と言いながら、マネーがそういうところにも流れているということに対してやっぱり危機感を持つべきだというふうに思うんですけれど、こういう面もきちっと見ておくべきだと思うんですが、黒田総裁のお考えはいかがですか。
○参考人(黒田東彦君) まず、日本銀行が二〇一三年の量的・質的金融緩和を導入した以降、強力な金融緩和を続けております。さらに、御指摘のとおり、コロナ対策という形で更に金融緩和を強化しているということであります。
そうした下で、確かに金融機関とか企業による海外向けの投融資あるいはMアンドAが増加しているというのは御指摘のとおりでありまして、ただ、こういった企業や金融機関の取組については、適切なリスク管理は必要ではありますけれども、グローバル需要の取り込みなどを通じて我が国の経済の成長力の強化にもつながっているというふうにも見ております。
そこで、一方で、日本銀行がこういった強力な金融緩和を続ける、そうした下で、企業や家計の資金需要は高まっておりまして、銀行の国内貸出しですが、七年以上にわたって前年比二、三%の高い伸びを続けておりますので、日本銀行の金融緩和が一方で国内における貸出しの増加を通じて経済活動にプラスの影響を及ぼしているということもお考えいただきたいと。
他方で、御指摘のようなリスクについては私どもも十分注視しておりまして、累次の考査等を通じて、また金融庁ともよく連絡を取りながら、特に金融機関もリスクという面についてはよく見ておりまして、今のところ、この配付された資料の一でも御覧になっていただけますように、このレバレッジド・ローンなんかの保有の割合は、邦銀の割合はまだ小さいと。それから、CLOを特定の経営機関がかなり所有していたんですけど、今は余り新たな投資していないようですけれども、ほとんど高い格付のものだけですので、リスクはそれなりに管理されているというふうには見ておりますが、このところ、確かにクロスボーダー融資の最大の金融機関は邦銀でありまして、BISの統計でもそうなっているわけですので、そういったものの広い意味でのリスクというものは十分私どもも注視しておりますし、金融機関、それから金融庁もよく見ていると。
今のところ大きな問題になるというふうには見ていませんが、ただ、おっしゃるとおり、今、全世界の中央銀行が物すごい勢いで流動性を供給していますので、それがそういったものに流れていくという可能性は否定できない。ただ、今のところ、もう圧倒的に国内の企業、事業者の資金繰りの方に向かっているというふうに見ております。
○大門実紀史君 ありがとうございました。
黒田総裁への質問はこれだけでございますので、御退席いただいて少しでもお休みいただければというふうに思います。
○委員長(中西祐介君) 黒田総裁、御退席いただいて結構でございます。
○大門実紀史君 それで、今、当面の緊急課題になっている持続化給付金について伺います。
これは十二日のこの委員会で、牧原副大臣にも来てもらって、いわゆる雑所得や給与所得などの方々が門前払いになっている話ですね、持続化給付金で。あのときに私、提案させてもらったのは、今の電子申請が事業所得だけになっていますけれど、それに加えて、それ以外の所得の方は申告書とともに事業の実態が分かる書類を添付してくださいというふうに変えればいいじゃないですかという提案をさせてもらったんですね。で、牧原副大臣は、選択肢の一つにしますというふうにそのときはお答えいただいたんだけれども、ところが、それから十日間、実は検討されたのは別の制度を検討されていたと。つまり、電子申請を変更するとシステムを止めたりいろいろしなきゃいけないので、そういうわけにはいかないので、別の制度で対応することを検討をされていたと。しかし、結局、結局今は、今の私が提案したような電子申請の中で、入口を、事業所得の入口はそのままにして、止めないようにして、もう一つ入口をつくって、雑所得や給与所得、フリーランスの方を救済しようということでお考えになっていると。
まあ、言ってしまえば、この十日間何を検討してきたのかと。最初からやっていれば、この十日って大きいんですよね、現場の方にとっては。だから、もう今更ぐだぐだ言うつもりはありませんが、もうちょっと右往左往しないで検討していかないと、これ二度目はないですよ、本当に、この前も言ったけど。また検討のし直しとかね、またなんかないのでね。
例えば、この十日間が大きいという意味は、その別の書類を何出してもらうかを検討するためにいろいろやっていらっしゃると思うんですけれど、それがまだ決まらない。それが決まったら、今度はそれに基づいて、さっき言ったシステムをもう一つルートをつくると。これをやっていると、確かにそうですね、やっと開始で、受付開始が六月の半ばぐらいになると、支給はまた七月とか八月になってしまうと。これもたないですよね、現場は。
というようなこともありますので、急いで、もうこの方向で行くなら行くで、ぐだぐだ言いませんので、六月半ばと決めないで、できるだけ早く受付できるようにまず頑張っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(奈須野太君) お答え申し上げます。
収入を税務上、雑所得とかそれから給与所得として計上しているフリーランスの方について、国会でも御指摘、先生からいただいております。二十二日に、通常の審査と比べて若干時間をいただくことになるとは思うんですけれども、一定の要件の下で持続化給付金の対象とするということで梶山大臣から発表させていただいております。
こうした雑所得それから給与所得の中には、事業性のないものも含めて様々なものが入っています。雑所得については、ネットオークションの売上げとかあるいは株取引の収益とかあるわけでございます。
そういった中で、事業の実態をしっかり把握することができる制度設計が必要だというふうに考えておりまして、そこが先生から見るともたもたしていたというお叱りを受けるところだと思いますが、我々としてはいろいろ努力をして、一番、正直申し上げると、当初は別の仕組みでと考えていたわけですが、給付金方式にした方が皆さんの利便性は良いだろうということで、あえて大きな軌道修正をして、給付金制度にのせるという決断をさせていただいたということでございます。
今後でございますけれども、御指摘もございますので、ただ一方で、現在やっている給付金の作業にデータがなだれ込んだりしたりして、データが消えてしまったり、あるいは審査が滞ってしまうということはあってはいけませんので、具体的な制度設計であるとか、審査システムをしっかりするとか、あるいは既存のシステムと接続、こういったものを進めていきたいと思っております。
このため、若干その準備に一定の時間が掛かる点は御理解いただきたいと思いますが、御指摘を踏まえて、最大限努力したいと思っております。
○大門実紀史君 その別に出してもらう書類も、今のところ聞いているところによれば、支払調書とか源泉徴収票とか、あるいは請負契約書と。ただ、これは、仕事を頼む方にとっては別に義務になっているものではありませんので、場合によってはメールで頼んだり、いろいろなことがあるわけですね、現場では。電話一本でやる仕事もあるわけですね。
だから、電子申請だからできるだけ、もちろん善意で早く給付するためにはもう定式化してぱっぱと判断できるようにする、これはもう頑張ってほしいんだけど、ただ、それは迅速化という観点であって、事業をやってきた人は、本当に売上げが減っている人はやっぱりちゃんと支給してあげなきゃいけないわけですね、支給しなきゃいけないわけですね。それを考えると、迅速化とともに、やっぱり、そういう書類も出せない人はまた何で認めてあげるかとか、そういう判断はどうしても必要になると思うんですね。
結論から言いますと、電子申請というのは、先ほど言ったように、迅速化の点では否定いたしませんので、しかし、後になればなるほど、今もいろんな審査されていると思いますけれど、いろいろ形式的なものが出せない方が出てくる。そうすると、結局は、ほかの制度がそうですけれども、個別の窓口受付、窓口受付ということも視野に入れないと、もうコンピューターの画面では相談できないわけですね、コールセンターに掛けても細かいことは分かりませんって言われるわけですね。やっぱり、その窓口、窓口受付ということも視野に是非入れてほしいんですけれど、いかがですか。
○政府参考人(奈須野太君) 電子申請で対応できないような方についてどうすべきかというお尋ねでございます。
私ども、まず申請サポートセンターということで全国の五百か所に申請窓口のようなものをつくって、その場で助言をしながら入力をするということができるようにして、順次場所を開設しております。
それからもう一つ、税理士であるとか、あるいは行政書士であるとか、商工会、商工会議所、そういったところにも経営指導員とか税理士とか、ある程度のノウハウを持った方がおられますので、そういう方の御指導を受けながらデータ入力ができるように、私どもからその各団体に対しては協力要請を行っておりますので、これも順次御対応いただけるものと思っております。
もう一つ、今ちょっと触れた商工会、商工会議所も、本来、こういった仕事は商工会、商工会議所で窓口になっていただけることがよくて、今回たまたまほかの仕事で今は忙しいということで当てにしていなかったというか、十分に頼んでいなかったということはあるんですけれども、今後は人を増やすなどして、商工会、商工会議所の窓口対応ということも働きかけていきたいというふうに思っております。
○大門実紀史君 是非そうしてほしいなという、もうそれが視野に入れてほしいなというふうに思うんですよね。
もう一つは、これはちょっと個別に何件か来ている例なんですけど、事業承継の問題なんですけど、一月一日から四月一日の間ならば事業承継した方にこの持続化給付金は支給いたしますと、しかし、四月一日以降は駄目ですよとあるんですね。これは何かといいますと、一月から四月一日の間に、実はうちはもうお店閉めようと思っていた、もう辞めようと思っていたと、ところが百万円もらえるという話になったので、急に誰かに後を継がせて形として申請して、売上げも減っていることは事実だからというような、何といいますかね、そういうものを防ぐために、一月から四月一日の間だけの事業承継だけ認めますよという制度になっているわけですね。
つまり、不正といいますか、そういうものを防ぐための制度なんですが、実際に四月に入って亡くなられた事業主の方って結構いらっしゃるんですよね。そうすると、不正でも何でもない、ちゃんと商売続けられてきたと、しかし売上げが減っていると、で、息子さんが後を継いだと、でも、その事業承継の期間が勝手に決められているので申請もできないというような事例があるんですが、これはもう当然、死亡届とかいろんな書類さえあれば当然特例として、特例と言うほどではないんだけど、柔軟な措置をしてあげるべきだと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(奈須野太君) 御指摘のように、個人事業主の方が先代が亡くなられて事業承継をしたという場合においては、現時点のルールですと、今年の四月一日までに開業届を提出しているということをもって持続化給付金の対象としております。
他方、こうしますと、四月一日以降に先代が亡くなられて、どうしましょうというケースにおいては、現在のルールでは対象とならないということでございますけれども、今先生御指摘になられたとおり、制度の趣旨に照らして支援すべき事業者の方がいらっしゃるということは十分承知しております。
問題は、一体どのような書類を御提出いただくのが前の事業形態と新しい事業形態の同一性を担保することになるかと、持続化給付金が始まったから開業しようかなみたいなそういうのじゃなくて、真に必要な方に持続化給付金をお届けするにはどうしたらよいかということで、ちょっとどういう資料を要求したらいいかということは今検討中でございます。何というんですかね、本当にこういう、先代が亡くなられて本当にお忙しい中で死亡届出してくださいというのは本当にいいのかどうかとか、ちょっと我々もいろいろちゅうちょするところがあって、どのようなことをお願いしたらいいかということは悩んでいるところなんですけれども、何ができるか検討したいと思っております。
○大門実紀史君 当然の対応ですので、お願いしたいと思います。
最後に、この間、京都を中心に、企業組合の方々、企業組合の組合員の方々が給与という形でやってきたために、実際には事業を営んでおられるんですけれども、制度融資から除外されてきたと、いろんな問題があったんですけど、結局財務省は公庫で融資を受けますと、保証協会も融資は受けますと、それは事業をやっていらっしゃる実態があるからと、代わりに書類を出してもらえればオーケーということになってきたんですね。
ところが、財務省は早かったね、決断。そういうことを投げかけて、二日で検討して、受け付けますと。中小企業庁、保証協会の方は四日掛かりましたけど、受け付けさせてもらいますというふうになってきたんですね。この方々は事業主として雇用調整助成金の申請もされていますから、実態として事業をやっていらっしゃるんですけどね。
ところが、持続化給付金に関して言えば、もう二週間前に、これは当然、事業をやっているんだから支給の対象になると思うので検討をと言ったけど、いまだ検討中と。まあ認めてもらえる方向のようなんですけれど、まだ検討中ということなんですね。
これは京都の本当に中心で、組合員の方には西田さんの支持者はいっぱいいらっしゃるんですよ、本当に、本当に。だから、そういうのだって、与党に行った方が仕事ができるという方もいらっしゃったわけですから頑張ってほしいなと思うんだけれども、党派を超えた、何党という話じゃないんですよね。ですから、これは現場で頑張っている事業者を救うという点ではこれ早く決断をしてほしいと思いますが、一言だけお願いします。
○政府参考人(奈須野太君) 御指摘を踏まえて取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございます。
○大門実紀史君 終わります。