国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi ● ● ● ●


■2020年5月15日 地方創生及び消費者問題に関する特別委員会 先端技術で監視強化/スーパーシティ法案追及
<赤旗記事>

2020年5月16日(土)

先端技術で監視強化
スーパーシティ法案 大門議員が追及

質問する大門実紀史議員
=15日、参院消費者特委

 日本共産党の大門実紀史議員は15日、参院地方創生・消費者問題特別委員会で、人工知能(AI)やビッグデータなどの最先端技術で「まるごと未来都市」を実現すると政府が主張しているスーパーシティ法案(国家戦略特区法改定案)の問題点をただしました。

 大門氏は、先端技術をどう活用するかは住民全体で考えることで、一内閣にこれが未来社会だと示されるのには違和感があると指摘。中国などでは、監視カメラと顔認証、AI技術の組み合わせで事実上の監視社会が実現しているが、監視社会競争に加わるのかと追及しました。北村誠吾規制改革担当相は「個人の行動履歴を個人が特定可能な形で用いる場合は同意等を得ることが必要だ」などと答弁しました。

 大門氏は、現実はサービスの利用に個人情報提供の同意が前提となっている場合があり、生体認証への反発も世界中で広がっていると指摘。政府は新型コロナの経験があるからこそスーパーシティの実現が急がれるというが、いったん立ち止まって考えないと深刻な問題が起きると述べました。

 コロナ対策でも大事なのはアプリによる監視より情報提供によって市民の協力を引き出すことだとの議論があり、先端技術活用には文明論や文化論も踏まえた議論が必要だと迫る大門氏に、内閣府の村上敬亮審議官は「考察が不足しているという指摘については改めて肝に銘じてよく考えたい」と述べました。

<議事録>

○大門実紀史君 大門です。
 一回目ということですので、幾つかそもそも論をお聞きしたいというふうに思います。
 本会議で我が党の田村智子議員もお聞きいたしましたけど、改めて大臣に聞きます。政府が言うスーパーシティ丸ごと未来都市というのは、どういう都市なのか、どういう社会なのか、説明をお願いします。

○国務大臣(北村誠吾君) 丸ごと未来都市とは、自動走行や自動ごみ収集、高齢者や子供の見守り、行政手続のフルオンライン化など、最先端技術を活用したサービスを日々の暮らしに実装することによりまして、より良い未来の社会あるいは生活を包括的に先行実現するものでございます。
 この際、重要なことは、それが単なる技術の実証ではなく、住民が住みたいと思うような町づくりにつながっているかどうかが大切であり、内閣府も区域会議の一員としてそうした町づくりにしっかりと関わってまいらなければならないと考えております。

○大門実紀史君 最先端の技術を大いに活用して住民の利便を図ると、これは誰も否定しない話だというふうに思います。
 ただ、それはみんなで考えていくべきことであって、政府が何かこういうものが未来社会だと、未来都市だというようなことを何か示すべきような話なのかと。ましてや、一内閣が未来社会について何かこれですよなんというのは押し付けがましいんじゃないかというふうに大変違和感をまず感じます。ましてや、竹中平蔵さんに押し付けられたくないなというようなことも思うわけでありまして。
 そもそも、なぜそういう言い方をするのかな。丸ごと未来都市ですか、そういうものをなぜそういう言い方を、こう押し付けがましくですね。もっと普通に、普通にこれからのそういう最先端技術を地域社会に生かすことだけ言っていればいいのに、あんまり、何かちょっと押し付けがましいなということをまず感じるわけであります。
 その上で、技術革新、AIをどう活用するかとか自動運転をどう取り入れるか、それはあると思うんですけど、そうはいっても、これは大変な問題でありまして、どういう社会を目指すのかとか社会の在り方ですね、大きく言えば未来社会論、文明論にも関わるようなことまで含まれるものだというふうに思うわけです。
 ですから、企業の提案とか産業論だけで考えちゃ駄目で、もっと社会学的な立場あるいは歴史学的な立場も含めて、もっとちゃんとした議論をして示すべきことではないかというふうに思います。
 その点で、大臣、あれですかね、イギリスの作家のジョージ・オーウェルが「一九八四年」、「一九八四」という小説を書いたことがありますけれど、読まれたことございますかね。村上さん、読んだことありますかね。いやいや、それは質問じゃないんだけれど、読んでいてほしいんですけれども、読んでもらっていればいいんですけど。
 オーウェルが書いた「一九八四」、映画にもなりましたよね、リチャード・バートンでしたかね。何を示しているかというと、もう今から数十年前ですけれど、そのときの近未来を予測して大変不気味な監視社会を描いたわけですね。まさに今起きているような、マイクで、あるいはテレビで、テレビカメラですね、で住民の全生活を監視するというような社会について描いたのが「一九八四」ですよね。
 あれから数十年たって、今はもう監視カメラがあちこちにあると。まさにそういう社会が今実現していると、しつつあるということなわけですよね。
 既に中国始めいろんな国で、インドなどもそうですけど、監視カメラで市民を監視して、しかも、顔認証も組み合わせて個人の行動履歴を集積してアルゴリズム分析して、AIによって分析して利活用するという、ある意味で事実上の監視社会がもう実現しているということなわけでありまして、今回のスーパーシティ法案が目指す国際競争に勝つというのは、言ってみれば、こういう、中国や東アジアなんかは日本より進んでいるかも分かりませんが、そういうオーウェルが心配したような監視社会、ある意味ではですよ、監視社会競争、それに遅れていると。そういう監視社会、市民の監視社会を目指すと。その競争、表裏一体ですから、そういうことを目指していることと余り変わりがないという認識は、村上さんで結構ですけど、ありますか。

○国務大臣(北村誠吾君) スーパーシティは、最先端技術を活用して、国民が住みたいと思うより良い未来社会を先行実現するというものでありまして、技術開発側あるいは供給側の目線だけではなく、住民目線で町づくりを行うことが重要であると考えております。
 確かに、複数の異なるサービス間のデータの連携、共有を図る中で個人の行動履歴も活用されることは考えられますけれども、こうしたデータの連携や共有は、それが地域の社会的課題の解決に資するものとして関係者間の合意で得られることが大切であり、必要なことであります。
 加えて、個人の行動履歴を個人が特定可能な形で用いる場合は、法にのっとり個人の同意等を得ることが必要となるため、個人の意向に反するような市民監視社会につながるのではないかとの御指摘は当たらないと考えるところでございます。

○大門実紀史君 当たらないと言う前にもっとよく分析してもらいたいんですけれども。
 こういう質問に必ず同じパターンで言っているんですね、個人情報関係の法令に基づいて本人の同意を得てやりますから、そういうことにはならないと。これ繰り返しおっしゃっているんだけれども、例えば、先ほどもありましたが、カナダのトロントでスマートシティー、まあスーパーシティ構想みたいなものですけれども、が中止にはなりましたが、なぜあんな大きな反対運動が起きたかなんですよね。それは、もちろんカナダでも個人情報の保護しております、本人の同意なしには提供できません。にもかかわらず、なぜあんな大きな反対運動が、裁判にもなって起きたのか、その点はどう認識されていますか。

○政府参考人(村上敬亮君) トロントの、お答え申し上げます、スマートシティー事業を手掛けていたサイドウォーク・ラボ社が企業として計画からの撤退を表明したということは承知をしてございます。
 本プロジェクトにつきましては、その途中の経緯で、かなり町じゅうにいろいろなセンサーを付けまして、いろいろな個人の方々の動きを押さえると、それを一体何に使うんだということでは、担当の方が四名辞められるような事態も含めて、いろいろな経緯があったということも私ども承知をしてございますが、実は最終的に、ちょっと直接当事者に聞いたわけではないので調査ベースでございますけれど、最終的に、やっとこの五月二十六日に、この計画管理をしている公社の方で最終的に事業計画の承認が得られるところまで来ていたところ、残念ながらコロナでその五月二十六日の決定の理事会自体が延びてしまったと。で、六月のいつかどうか分からぬという状況になっている中で、このサイドウォーク・ラボ社が五月七日に、私はその事業の計画からは撤退いたしますと。
 報道発表でございますのでこれも調べないと分かりませんが、御本人たちは財政上の理由ということで、報道等によれば、そのグーグルグループの持ち株会社の経営方針その他も含めて、コロナに伴う経済状態を鑑みて事業の縮小若しくは撤退方針が出たのではないか等の評価が出ておりますが、ちょっとこれ改めて確認をしないと政府としての公式見解として申し述べようがないところあると思いますけれども、基本的には財政上の事由で最後の段階では企業が撤退をされたというふうに理解してございます。

○大門実紀史君 私は、中止になった理由聞いているわけじゃないんですね。中止になったのは複合的なんですよね。コロナもあれば、利権問題もあれば、反対運動もあればと。私が聞いているのは、なぜあんな大きな反対運動が起きたのかと。個人情報の保護はきちっとしていて、本人の同意なしには情報を提供できない。カナダも同じです。にもかかわらず、なぜあれだけの反対運動が起きたのかということです。
 これはもう報道ベースじゃなくていろんなところにレポートが出ておりますけれど、簡単に言いますと、個人情報を本人が提供するときの同意じゃないんですよね。町じゅうに、トロントの町じゅうに、街角にセンサーを置いて、それによって人と物の動きを監視するシステム、これにみんな反発したんですよね。
 ですから、先ほどからおっしゃっていますけど、個人情報の提供は同意を得ますので大丈夫ですという話が続いているんだけど、そうじゃなくて、今問題になっているのは、例えばサンフランシスコの市議会で条例が可決されました。どういう条例かというと、顔認証システムを公共機関が導入すると。これに反対なんですよね。これが反対だということで条例が可決されたわけですね。ちょっと個人情報の提供と別に、生体認証なんですよ。勝手に認証される、この世界をみんな反発しているわけですね。
 ですから、その個人情報の提供、同意云々の別の世界が一つあるということなんですよね。生体認証というのは今進んでいまして、顔、体温、指紋、脈拍、皮膚の外からだけじゃなくて皮膚の中に入っていくというところまでもう既にやれるようになっているわけですよね。
 ですから、このスーパーシティ法案だけじゃないんですけど、こういうものの問題点の一つ、問題点二つあるんですが、一つはこの生体認証、これが世界中で反発を受けているということですね。
 もう一つは、じゃ、個人情報は本人が同意するんだから、同意して出すんだからとおっしゃいますけれど、いろんなサービスを受けたければ情報を提供してくださいと、これがずうっと広がっているわけですね。あのリクナビがそうですよね。学生さんたちが就職したければ自分の情報を提供すると。それが悪用されたわけですけれども、いろんなサービスで、受けたければ情報を提供するということで、もちろん同意しなきゃいいじゃないかというのはあるんだけれども、サービス等はどうしても受けたいときありますよね。そのときには提供するように誘導するふうになっていると。
 この二つが、今この個人情報とかプライバシーの問題では問題になっているわけですね。このことを、この法案を検討するときとか、何とか会議とかでちゃんと検討なり分析はされたんでしょうか。

○政府参考人(村上敬亮君) お答え申し上げます。
 例えば顔認証技術につきましても、一つ御提案があったところでいえば、駅を降りたところで、同意が得られる観光客の方について顔認証データを取得した上で、それを観光地を巡る中でのキャッシュレス決済等に使うといったようなアイデアなどをいただいてございます。この辺もまだ別に何か確定したものではございませんが、御提案いただく方も、顔認証技術そのものの顔認証データそのものが要配慮につながるかどうかも含めて、非常に慎重を要する検討である問題ということは御理解をいただいていると思っておりますので、そうした中から実際にやるべき事業と計画を、特にデータ連携をして他のサービス間で使うということであれば、それも基本構想の中でよく確認をしながらどのような形で使っていくのか、合意の下で進めていきたいというふうに考えてございます。

○大門実紀史君 先ほど松沢先生からあったとおりですね。
 じゃ、そこをどこで担保するのか、どこで住民の意見が反映されるのか、どこで異議申立てができるのかというのは、ほとんど何も担保がないんですよね。
 したがって、これは、本当に今国民の皆さんはこのスーパーシティ法案、余りよく御存じないと思うんだけれど、地域ごとにこれは具体化になったときに必ずこの、必ず反対の声、反発の声、必ず上がってくると思うんですよ、このままでいきますと。何のその保証がありませんから、そういうものに対するね。ですから、トロントと同じようなことが日本のあちこちで起きる、このままではですね、起きる懸念があるというのは指摘しておきたいというふうに思います。
 もう一つは、この前、これも田村智子議員が本会議で質問したときに、なぜこんな法案を今コロナのときに急ぐのかというと、コロナの経験があるからこそこういうものは急がなきゃいけないというふうにおっしゃいましたよね、ですね。確かに今、中国なんかもスマホでアプリをつくって、健康コードというアプリをつくって、それぞれの人がスマホでもって自分の体温と脈拍とかを、健康コードを、あるお店に、ショッピングセンターに入りたいときにそれを示すと緑のランプがついて入れてくれるというふうに、自分の情報を提供してショッピングをやるというふうに、コロナ対策でそういうことが一気に進んできているわけですね。
 これは、コロナだけを考えれば大変感染防止に役に立つということはあるかも分かりませんが、これは本当に、コロナが終息して平時に戻ったときに冷静に考えてみると、こういうみんなが個人情報をコロナだということで、もう情報パンデミックみたいなところありますが、提供して、平時に戻ったときに相当の個人情報を提供している社会になっているんではないかと。そんなときに、非常にもっと、もっと深く考えてほしいんですよね。
 このコロナがあったからもっと先に行きたいんだみたいなこのスーパーシティ法案の説明ありましたけど、コロナがあったからいま一度こういうプライバシーとか個人情報の問題は立ち止まって考えるべきではないかということを提案されているのが、資料でお配りいたしましたが、ハラリさんでございます。
 このハラリさんは「サピエンス全史」というベストセラーの本を書かれた歴史学者でありますけれど、要するに、まあちょっと長くなりますけど、長くも説明できませんが、何をおっしゃっているかといいますと、この新型コロナのことでこういう監視社会、ある意味では監視社会ですね、情報提供みんながすると、が一気に進んだけれども、これは一遍立ち止まらないと、このまま行くと大変な社会になるということをおっしゃっているわけですね。監視社会という面でいえば一気に進めたと。これは、冷静になったときに改めてこの監視社会のまま行くのか違う世界を目指すのかということを考えるべきだということを、簡単に言えばそういう提案をされているわけであります。
 実は、韓国、台湾、シンガポールではコロナ感染防止対策は日本より進みましたけれど、確かに、こういういろんな最先端技術を使ったアプリを含めて、スマホを含めていろんなことをやって、それもあったんですが、実はこの論文にも書いてございますとおり、それだけではなかったんですね。IT技術だけじゃなくて、やっぱり市民社会の強さがあったから早く解決できたということがあるわけでありまして、決してこういう最先端技術だけで日本より防止対策は進んだということではないということをおっしゃっておりまして、要するに、何かこの前の本会議の大臣の話じゃないですけど、コロナがあったからこそこのスーパーシティを進めなきゃじゃなくて、コロナの終息したときにやっぱり一遍立ち止まってこのプライバシーや情報提供の問題、個人情報保護の問題は考えないと、相当監視社会的に進んでいるということを提案されているわけですね。
 何といいますか、先ほど申し上げたとおり、もう少しこういう法案を提案するときはもっと深くいろんなことを考えて提案をされるべきだというふうに思うわけなんですけど、こういうハラリさんの指摘についてきちっと踏まえていただきたいなというふうに思います。
 そういう点では、何かこの間の議論も薄っぺらといいますけど、薄っぺらというか、何というのかな、教養の一かけらもないといいますか、もっともっと文明論とか文化論とか、そういうことをちゃんと踏まえた提案、答弁、解説が必要かと思うんですけど、村上さんでも大臣でも結構ですが、最後に一言いかがですか。

○政府参考人(村上敬亮君) お答え申し上げます。
 文明論、文化論的考察が不足しているという御指摘につきましては、主観的には評価しようもございませんし、常に反省すべき命題であると思いますので、改めて肝に銘じてよく考えたいと思いますけれども、やはり、最先端技術を暮らしへ実装するために集中的な規制改革プロセスをつくりたいと。ある意味、今回の法案は、町づくりの中身そのものに対してコミットしているものではなくて、それをやろうとする人たちに対する、それを実現しやすい手続を提供しているものでございます。
 それにしたって、後押しをするわけですから、そうした考察も当然必要だというふうに思いますけれども、私どもとしてはそうしたチャレンジをする人たちのためにもこういった手続を用意したいということでございますので、そういったことも踏まえて御理解を賜れれば、推進している事務方としては大変幸いでございます。

○大門実紀史君 終わります。

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