<議事録>
○大門実紀史君 大門です。
日本銀行に質問をいたします。
この七年間、黒田総裁には厳しいことばかり申し上げてまいりまして、一度たりとも評価したことはないんじゃないかと思いますが、今回初めてちょっとだけ見直したといいますか、先ほど大塚さんからあった、資料を配っておりますけれども、日銀の中小企業支援策でございます。
日銀による中小企業、地域金融機関の支援スキームでございまして、なかなか今までにない踏み込んだ、大変現場には喜ばれる支援を打ち出されたというふうに思います。
この資料でいいますと真ん中の段ですね。これ、まだ十分御存じない方いらっしゃると思うので、簡潔に説明をお願いできますか。
○参考人(黒田東彦君) 今回の金融政策決定会合では、三月に導入しました企業金融支援の特別オペについて三つの拡充措置を講じることといたしました。これは、金融機関が企業を中心に幅広く民間部門に対する金融仲介機能を一層発揮することをしっかりと支援することが目的であります。
具体的には、第一に、対象担保範囲を家計債務に係るものを含め民間債務全般に拡大いたしました。第二に、対象先を中小企業向け貸出しの割合が高いいわゆる系統会員金融機関などに拡大をいたしました。そして第三に、特別オペの利用を促進する観点から、金融機関に有利な条件で資金供給を行うことといたしました。すなわち、貸付金利をゼロ%としているほか、本オペの利用残高に相当する当座預金にプラス〇・一%付利することといたしました。
また、先ほどもちょっと申し上げましたが、今後更に中小企業等の資金繰りを支援するために、政府の緊急経済対策における資金繰り支援制度も踏まえた新たな資金供給手段を早急に検討するということも決めました。
○大門実紀史君 本当、私は、すごいなと思いますね。
やっぱり、信用組合、農協、そういうところにも日本銀行が手を差し伸べるということと、この表でいうとAの、このオペで当座残高増えたと、それに対して〇・一、こちらから利息を付けるというわけですから、これは大変、地域金融機関が中小企業を支援するときに大変な応援策になるのではないかというふうに思います。
ちょっと具体的にお聞きしたいのは、このスキームの中で、四月二十七日、「金融緩和の強化について」という日銀の文書が出されましたが、その中に別紙というのがございまして、別紙があって、その中に新たな資金供給手段の骨子という、で、(1)となっていて、資金供給を受けられる金額というのがございます、資金供給を受けられる金額と。これは、対象先の金融機関が政府の緊急経済対策、この間の無利子融資とかいろんなものがありますね、それを利用して貸出しを行うと、その状況を踏まえて算出した金額ということですね。日銀が資金供給する金額についてはそういうことだということと、対象とする貸出しの範囲などについては今後検討するというふうになっております。
先ほどもちょっと大塚さんのときに少しやり取りあったと思うんですが、具体的に言いますと、今、政府が今回打ち出されている資金繰りのいろんな対策ありますよね。それに見合う金額とか、それを見て対象の範囲を決めるということかなというふうに思うんですが、これはどういうことを指しているんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) これは、先ほど来申し上げましたとおり、今回の政府の緊急経済対策における保証料・利子減免制度などを利用して中小企業などへ、このなどには個人事業主も入ると思われますけれども、それはあくまでもその保証制度、あるいはその保証料、利子を減免するという制度を新たに政府がつくられるわけですから、それに合わせてやっていくということになると思います。
ただ、具体的にどういう形になっていくのか、そこがはっきりしないとこちらも制度を実施できませんので、早急に関係省庁と詰めて、先ほども申し上げたように、六月中旬の金融政策決定会合を待つことなく、臨時の会合でもやって早急に始めたいというふうに思っております。
○大門実紀史君 例えば、今、無利子融資の場合は利子補給を国がやるということになっていますよね。それ以外で日本銀行が支援をしていくということでいえば、例えば、今、地域金融機関なんかにお話を聞きますと、公庫だけじゃなくて地域金融機関も無利子で貸して五年間返済を据置きをやってくれとなっていますよね。ただ、民間の場合、この五年据え置くということの負担とかあるわけですよね。発生するわけですよね、負担、五年間返さなくていいよということは。そういうことにも日銀がこのスキームで支援していってあげれば、大変そういうところは、手の届かないところが日銀によってフォローされるのかなというふうに思ったりするんですが。
そういうことにも、これから検討かも分かりませんが、使っていける方向になるんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますように、緊急経済対策における信用保証付融資の保証料・利子減免制度、これを利用して行う貸出しに対してバックファイナンスをすると、しかも、その際には、日銀からの貸出しの金利はゼロにするだけでなく、相当する金額について当座預金へプラス〇・一%付利をするということ、ここまでは政策委員会で議論したわけですけれども、その政府が行われる信用保証付融資の保証料・利子減免制度の中身を、それからその対象とかその他、仄聞するところによると保証協会とか地方とかいろんなところをインボルブするようですので、それを私どももきちっと把握して、現実的に素早くできるようにしていきたいというふうに思っております。
○大門実紀史君 あと、先ほど大塚さんからもあったんですけど、このオペが対象となる担保の範囲を民間債務全般、具体的には住宅ローン等も含めてということに拡大した、そもそも、まずその拡大した意味なんですけど、なぜ拡大されたんでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 従来の三月につくったこの新型コロナウイルス対応の資金繰りの特別オペというのは、銀行、金融機関の対企業債務で担保に入れられるものがたしか七、八兆円ぐらいだと思っていたんですけれども、今回、住宅ローン信託とかその他の債権も入れますとたしか二十数兆ぐらいになるので、既に三月につくったもので四、五兆円もう使われているんですけれども、その対象範囲を広げて、特に対家計債務も担保に入れて、こちらから〇・一%付利を付けるということにしたわけでございます。
○大門実紀史君 私は、最初これ見させてもらったときに、要するに、民間の金融機関が持っている債権全体を担保にしてあげれば、それだけいろいろ自由にという、まあボリュームの問題かと思ったんですけど、先ほど大塚さんの質疑聞いていて、例えばですけれど、個人の住宅ローンを今後この推移によっては国が、例えばですよ、個人の住宅ローンの減免制度を国が打ち出すというときに、日銀がその国の制度に合わせてこのスキームで個人の住宅ローンの減免なんかも支援するということにも、使うかどうかはまだあれですが、そういうふうな流れのスキームではあるんですか。
○参考人(黒田東彦君) にわかにお答えできないんですけれども、やはり日本銀行に差し入れる担保には一定のその担保の基準がありますので、なかなか個々の住宅ローンというのは難しいような気がしますけれども、いずれにいたしましても、使いやすい、特に中小企業その他幅広く、こちらは民間債権全体を相手にするということをしましたので、中小企業を中心に、しかし、もちろん家計にも恩恵が行くように担保の範囲を大幅に拡大しましたので、そういう効果はあると思いますけれども、個々の住宅ローン債権を日銀の担保に入れるというのは、なかなか、実は、住宅ローン信託を担保にするというのも実は最近始めたんですね。ですから、にわかにはそのようにやりますとは言えませんけれども、いずれにせよ、幅広く使われるように設計していきたいと思っております。
○大門実紀史君 これからだと思うんですけれど、考え方としては、個人の債権も担保として見るということはそういうことにもつながるのかなと思いますし、そういう事態が起きないことを望みますけれど、そうなったときには、このスキームで日本銀行として、個人の、資金繰りじゃないですけど、支援にも是非全力を尽くしてほしいなと申し上げておきたいと思います。
ただ、この表でいくと一番下なんですけれど、上げたり下げたりして申し訳ないんですけど、やっぱり、国債を無制限に購入というのが新聞記事に躍りましたよね。私、こう思うんですけど、前、西田さんとのMMTの議論のときもそうですけど、国民が目の前で生きるか死ぬかというときに政府は借金してでも助けるのは当たり前だと思うんですよね。それが政治の役割だと思うんです。仮に、そのときに借金、国債が増えて金利が上がるという状況があれば、日本銀行が、金利上がったらみんな大変になりますから、金利を上げないために国債を支えると、これも非常時ではそういうことはあり得ると思うんですよね。
だから、今回の事態を批判しているわけじゃないんですけど、問題は、非常時でもないのに今まで国債を爆買いして、掲げた物価上昇目標も達成できないし、これまでの日銀の姿勢はやっぱり問われるべきだし、それがなかったらもっと大胆なことを今やれたかもしれないなという点は厳しく指摘をさせてもらいたいと思いますけれど。
この国債買入れを無制限にやりますというのは、私、ずっと日銀のことを見てきて思うんですけど、大体、そもそも今現行八十兆というのがありますけど、そんな買っていないですよね、この間、減らしてね。そのときにわざわざ、今回も新規国債の発行、これからちょっと増えたとしても二、三十兆のオーダーですよね。それを、八十兆の枠はあるのに、撤廃してもっと買いますと言う必然性がどこにあるのかと。わざわざ無制限と言う必要が今どこにあるのかということを思ったんですけど、これは日銀の姿勢を示したかったんではないかなと一つは思うんですね、今までのパターンでいきますとね。
ただ、最近、黒田さんが思い切ったつもりでおっしゃっても、もうかつてのようなサプライズインパクトがなくて、すぐ忘れられちゃうと。だから、言ったことだけ残って、これはFRBが国債を限度なく買うと言いましたから、そういうことの、向こうが言った、こっちも言わなきゃとかいろいろあったかも分かりませんけれど、余りこういうことを言う意味があるのかと。もっと地道に、この非常事態で日銀は中小企業支援にどんと力を尽くしますということで十分ではなかったんではないかというふうに思います。
記者会見で、財政ファイナンスじゃないかとか質問されておられますけど、改めて財政ファイナンスの議論をするつもりはありません、また同じ答弁だと思いますけど。一つ言えば、この間議論されているMMT、何か西田さんに聞きたいぐらいですけど、短期的な非常時のMMTみたいな発想でやられているとしたら、それはちょっと危険じゃないかと私は思うんですけどね。だから、余り余計にこういうことを言わないで、中小企業支援全力ということだけを打ち出された方がよっぽど好感が持たれたんではないかということだけ指摘をさせていただきたいというふうに思います。
最後に、麻生大臣に、いずれにせよ、日本銀行、これだけ踏み出していただいたので、政府の施策と日銀のこのスキームをもう最大限生かして、中小企業支援ですね、今大変な状況になっていますので、急いで、全力を尽くすということと、新たなスキーム、いろいろ支援のために打ち出していただきたいと思いますけれど、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今、日銀の話のこの〇・一という話は、予算委員会で聞いた人一人もいらっしゃいませんしね、なかなか気が付かれないものですけど、すごく僕はでかい話だなと、私も全く同じ意見です。
そういった意味で、いわゆる金融機関への資金の供給オペという話ですけれども、特別なオペレーションを創設されたということなんだと思いますけれども、いわゆる、四月でしたかね、政策決定会合においても、これ、あれを、何て言うのかな、本当の枠組みというのも拡大するということを言っておられますし、新たな、金融機関に対して、資金繰り支援というものを踏まえた金融機関への、特に中小ということになりますでしょうか、新たな資金提供手段というのを決定を行うということを決められたということなんで、私どもとしては、これは極めて景気等々に大きな影響が出てくるんで、これ意味が分かる人の方が少ないのかもしれませんけど、金融やっていたらこれは物すごく意味がでかい話だと思って、大変いいことだと思って、引き続き日銀と連絡を密にしてやってまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 終わります。