国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi ● ● ● ●


■2020年3月31日 財政金融委員会 IFCへの増資批判 大門氏「問題案件融資の機関」
<赤旗記事>

IFCへの増資批判
大門氏 「問題案件融資の機関」
参院財金委

質問する大門実紀史議員
=31日、参院財金委

 日本共産党の大門実紀史議員は31日の参院財政金融委員会で、労働者を弾圧しているなど問題のあるプロジェクトに投資をしている国際金融公社(IFC)へ増資するべきではないと批判しました。

 IFCは、開発途上国への支援を目的としている世界銀行グループの一機関であり、途上国の民間企業のプロジェクトに投資、融資を行っています。

 2012年に賃上げを求めた労働者が警察により34人射殺された南アフリカのマリカナ鉱山に融資するなど、IFCは数多くの問題案件に融資をしています。大門氏は「そういう問題をおこしているところに出資をして良いのか」とただしました。

 大門氏は、問題が起こっているにもかかわらず、法案審議で情報提供がされていないことを批判。「世銀グループとはいえ、分析をし、情報の提供を含めきちっとした評価を財務省としてするべきだ」と迫りました。

 麻生太郎財務相は、理事会や審議会等を通じて世銀グループの中での取り組みを精査し、適切な対応を求めていくと答えました。

 「国際金融公社・国際開発協会への加盟に関する法律の改定案」は、同日の参院本会議で可決・成立しました。共産党は反対しました。

<議事録>

○大門実紀史君 大門です。
 この十年ぐらい、世銀グループの増資、出資には賛成をしてまいりまして、今回も衆議院の委員会採決の二日前までは賛成の方向で審査もしていたんですけれど、ただ、今回、IDAだけでなくて、国際金融公社、IFCの増資が入っております。これはこの間なかったものですので、今回入っているということで、ちょっと調べてみたんですよね。
 そうすると、大変問題のある世銀グループの一つの単位ではないかというふうに分かってまいりましたので、あらかじめ申し上げておきますと、今回の法案については、そういう懸念を示すということ、警鐘を鳴らして今後を見守りたいという意味で、賛成するわけにはいかないというふうに判断をさせていただきました。これ反対討論まではしませんので、質問通じて問題点を指摘したいというふうに思います。
 IDAというのは、これはもうずっとやってきましたけれど、途上国、貧困国の公的部門に対する資金援助という形が基本でございます。ところが、このIFCは、国際金融公社というのは、同じく途上国、貧困国ではあるんですけれど、その民間プロジェクトに投資をする、融資をするという、しかもそのお金は投資家から集めるという、ちょっと世銀グループの中でも異質なやり方をしているところでございます。
 このIDAやIFCなど世銀グループがやっていることというのは、やっている資金援助とか投資というのは、融資というのは、オンブズマンが評価するという形になっておりまして、いろんな問題があればオンブズマンに見てもらって意見を聞くというふうに世銀全体としてなっております。あるいは、その住民から、そのプロジェクトの住民からいろんな問題点の指摘とかいろいろあれば、そのオンブズマンが苦情を受けて調停をするということになっております。IFCの場合は、CAOといいまして、コンプライアンス・アドバイザー・オンブズマンという国際オンブズマンが苦情を受けたりしております。
 財務省参考人に聞きますけど、過去五年間、このIFCの案件で、今言いました国際オンブズマンのCAOに持ち込まれた案件、受理した案件、何件でしょうか。この五年間、ちょっと教えてください。

○政府参考人(岡村健司君) お答え申し上げます。
 IFCのコンプライアンス・アドバイザー・オンブズマン、CAOが受理した案件の数でございますが、過去五年間、二〇一五年度が十六件、一六年度が九件、一七年度が十二件、一八年度が十四件、一九年度が十二件でございます。

○大門実紀史君 それは、CAO、オンブズマンが受理した件数だと思うんですね。持ち込まれた数はその倍以上あると思うんですけどね。
 いずれにせよ、世銀グループで年間十件を超えてオンブズマンが受け付ける、案件を受け付けるというのは、ちょっとこれそのものが異常な数字じゃないかと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(岡村健司君) お答え申し上げます。
 CAO、IFCのCAOのその受理件数が、ただいま御報告申し上げましたように、年十数件。この数字が異常な数字かということは直ちには差し控えますが、世銀本体、IBRD、IDAのプロジェクトへの不服申立て、こちらの、これは名前としてはインスペクションパネルという名前ですけど、世銀本体の受理件数は年五件程度、五件以下ということで推移しておりますので、それと比較すれば多いというのは事実だと存じます。

○大門実紀史君 その案件そのものが大変深刻な案件が多いんですね。
 取りあえず資料を二枚お配りいたしましたけれども、これは大臣も御存じないことが多いと思いますので、各委員の皆さんにも、是非、今後の審議の点でも、このIFCどう見るかという点で知っていただきたいと思います。
 資料の一枚目は南アフリカです。
 二〇一二年に、マリカナ鉱山という、プラチナですね、プラチナの発掘している鉱山です、ここで労働争議が起きまして、低賃金で過酷な労働を強いられていて労働争議が起きたんですけど、警察が動員されて、労働者が三十四人射殺をされております。これはIFCの投資ですね。本来、貧困国の雇用を増やしてあげる、所得を向上させる、そのためにIFCは投資するんだ、融資するんだと言っていましたけれど、ところが、低賃金、過酷労働を強いていた事業、会社に出資をして、しかもその労働者が殺されるという事態になっているわけですね。これ、大変な大問題になりました。
 二枚目はホンジュラスですね。
 これは農園の企業、いわゆるパームオイルの農園企業でございますけど、その企業はディナント・コーポレーションというんですが、この企業が農地を拡大したいと、その事業にIFCが融資をしたんですね。その農地を拡大するのに強引なやり方をやって、住民に立ち退きを迫るとか、武装部隊までつくって住民や農民の運動を弾圧して、これも銃撃殺人が行われました。これはもうNGOが、何でこんなところにIFCが融資したんだということで、融資責任を問うということで裁判にもなっております。
 資料にはありませんけど、いっぱいあるんですよね。インドの石炭火力発電所、これは水質汚染が問題になりました。住民の反対運動が起きました。環境基準を守らなかったということでIFCがやり玉に上がっております。ウズベキスタンの綿花、綿の畑では、これはIFCが行った投資で、ここでは何と児童労働、強制労働がさせられていたんですね。
 もうこんなのいっぱいあるんですけど、ミャンマーでは、何と高級ホテルにIFCが融資をしていると。なぜこういうことが世銀グループはやるのかということですね。ミャンマーで困っている人たちのことならまだ分かるんですけど、なぜ高級ホテルに出資をするのかと。ペルーの鉱山でも労働争議が起きて、これは環境汚染も伴って住民が健康被害を訴えました。これは、ここも労働争議が起きましたが、警察動員して、五人が射殺されております。
 ほかにも、インドのダム、ブラジルのダムとか、こういう問題がいっぱいあると。なぜこういうことがこの審議の資料に出てこないのかということが不思議なんですね。財務省、知らなかったのかどうか分かりませんが、当然、こういうことを、委員の皆さんがこの法案を審議するときに資料として出すべきだというふうに思います。
 しかも、もっと調べてみますと、このIFCが投資した、投資したプロジェクトの企業というのは、タックスヘイブンを利用して税逃れをやっていたということも指摘されております。これは国際NGOが指摘しております。特にアフリカに投資しているような企業、それにIFCが支援するわけですが、その企業がタックスヘイブンを利用して税逃れをしてきたと。ここまでのことを、ひどいことをやっているんですよね、このIFC。
 そもそも、こういうこと全体を財務省は承知していたんでしょうか、知っていたんでしょうか。

○政府参考人(岡村健司君) IFCにおいて個別案件の支援を行う際に、その案件組成を担当します部署と独立した部署が、法令、財務、環境社会配慮、こういった審査を行うという体制になっておりまして、その上で、その案件についての理事会での審議をいたしますので、その限りにおいて、先生御指摘の点、こういった案件についてIFCが融資をするということは知っておりましたし、その後の、CAOに、これ事後の話でございますけれども、苦情が申し立てられたという事実を把握はしておるところでございます。

○大門実紀史君 把握をしていたなら、まず、そういうところに出資していいかというのを、すべきかというのを、IDAはいいとは思うんですけど、出資すべきかということを財務省としてもよくお考えになるべきだし、提案するときに、そういう公社ですよという情報提供は、やっぱり国会の審議に当然情報提供すべきだと、みんな知らないまま、額面ではいいことやっているとなっていますから、賛成、うちも最初賛成と思ったのはそういうことなんですけど、そういうことになってしまいますので、ちゃんと資料を出すべきだということで、もう審議の前提が崩れちゃうと思うんですよね、そういうこと、情報公開が、情報をちゃんと知らせないと。
 そもそも、知っていたということならなんですけど、なぜIFCはこんなことをやっているのかと。なぜこんな問題案件ばっかり、全部とは言いませんよ、うまくいったところもあるかも分かりませんが、これだけことごとくニュースになるようなことをやっているのか、そこはどういう原因があると財務省はお考えですか。

○政府参考人(岡村健司君) コンプライアンスアドバイザーにIFCが苦情を受ける件数が多いという点からでございますけれども、世銀本体と比べて多いという点でございますけど、IFCのその制度自体は、二つの点で、一つはその不服申立ての対象となるプロジェクトの範囲が広いという点、それから、世銀本体と比べまして手続面で内部の手続を経ることなく直ちにCAOに訴えを提起することができる、こういう点で、IFCの方が世銀本体に比べて訴えを提起しやすく、逆に申し上げますと、何か問題事例があればそれを把握しやすいという制度を整えているところでございまして、CAOでの訴えを提起を受けるということを提起しやすくし、そしてそのCAOでの問題解決を促す仕組みが取られているところでございます。
 ただ、それが件数が多いという点の背景として申し上げておきたかった点でございますが、それから、IFCの環境社会配慮の面での高い基準の確保、これは私どもも非常に重要だと思っておりますし、IFCが世銀グループの機関として高い環境社会面での基準確保ということを求められるという点から、プロジェクトの準備段階から、環境保全でありますとか、地元住民に与える影響の緩和など十分な措置を講ずるため、そのためにIFCスタンダードという高い基準を設定しているところでございます。
 ただ、委員から御指摘がありましたように、一部の例、全体から見れば数としては一部の例でございますが、住民との間で紛争が長期化しているという例があることは遺憾、残念だと考えております。
 IFCには、これまで以上に環境社会配慮への対応の強化、迅速化が求められるわけでございますが、既にIFCとしても現在取組を始めておりまして、具体的に申し上げますと、第一に、昨年七月でございますけれども、従来法務担当副総裁の下に置かれておりました環境問題担当の部局を、IFCの長官直属の組織に格上げをいたしました。それから、第二に、住民から苦情が寄せられた場合、CAOに訴えが提起して具体化する、手続が開始する前であっても、苦情に対してはIFCとして能動的、積極的に対応するということを宣明いたしまして、そのため、IFC内に組織横断型の専門チームを立ち上げているというところでございます。
 それから、財務省としても、引き続き、NGOとの定期協議などを通じましてNGOの方々の問題提起に耳を傾けるとともに、理事会の審議などを通じまして適切な対応を求めていきたいと思っております。

○大門実紀史君 私が聞いたのは、なぜこんなことが起きるのかということを聞いたんですね。何か問題が顕在化しやすいからだって、そういうことじゃなくて、そういうことじゃなくて、じゃ、顕在化しないのがいっぱいあるのかという話になりますからね。そうではなくて、これだけの問題が起きていて、これ少ない話じゃないですよ、全然。世界のNGOじゃ有名だし、実は世銀グループの中でも、このIFCは異質だと、異質のグループだということで、実はこれも調べてみたら問題になっているんですね、この間。おっしゃったように、もうこれ何とかしなきゃいけないということで、改革しなきゃいけないということで乗り出し始めたところなんですよね。
 だから、問題だからそういうことをやっているわけで、世銀としてもそういう意識を持ってやっているわけですよね。それについて、そういうこと、何の情報も私たちに言わないで何か法案通してもらいたいというのはちょっと違うんじゃないかというふうに、ちょっとそもそもこういう法案審議の仕方って違うと思うんですよね。もっと率直に、こういう点はあるけど今後こういう改善の方法があるので、そういう点を見守りたいから増資に賛成してくれと率直に言えばいいんですけど、何も言わないで増資だけしてくれというのは違うんじゃないかというふうに思います。
 最後に麻生大臣にお聞きしますけれど、今言ったこともやっぱり法案審議の問題点だと思うんですけれど、世銀だから、世銀はもう目的は途上国、最貧国の支援ですから、大目的は誰も否定しないんですけど、世銀グループだからオーライとならないというのがこのIFCの例ではないかと思います。
 私は、今回増資を見送るべきだというふうに思いますけれども、やっぱり世銀グループといえど、きちっと分析をして、情報の提供も含めてきちっとした評価をまず財務省としてすべきだというふうに思いますが、いかがですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 今、岡村からあったように、国際局長の方から申し上げましたとおりなんですが、いずれにしても、これ、地元住民ともめておりますのは、結構いろいろありますのは事実です。そして、そういった意味では、まあ訴えやすいこともあるせいもありますでしょうけど、確かに地元でもめておるという話も、結構長期化していますもんね、一部は。そういった意味ではこれはなかなか問題なんだと思っておりますので、私どもとしては、民間投資というのが入ってくると、そことの関係がまた難しくなるというのはよくある話なんです。
 そういった意味では、きちんと増資をして民間投資の分を少し抑えていったら、いろんなことを考えて世銀グループとしては社会配慮への対応の強化というのに向けて既に取組を開始しておるというように承知しておりますけれども、いずれにいたしましても、今回のように増資を行われる場合はもとよりですけど、常日頃から理事会とか審議会とか等を通じて世銀グループの中での取組というものをきちんと精査して、引き続き適切な対応というものを世銀を通じて求めていくということにしないと、何となく世銀のイメージまで悪くなってくるというのはいかがなものかという感じがしますので、このIFCだけは少々ちょっとほかの組織と違う形になっておるところも踏まえて、今後対応させていただきます。

○大門実紀史君 何が違うかと、私、投資を募って途上国にいろいろ援助するというこの仕組みは何も否定しないんですよね。先ほど申し上げましたが、タックスヘイブンを利用しているような人たちですから、そういうところの出資で、しかもこのIFCが集めているお金というのは投資家から募っているんですね。つまり、リターンを求めるわけですよね。そうすると、稼げる案件、リターンを返せる案件に出資するというのでこういうちょっと危ないのに出資する仕組みがありますので、いわゆるマイクロファイナンスのようなお金を集めて貧しい人たちを助けるという仕組みには否定しませんが、ちょっと異質だということは是非今後注意していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

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