国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi ● ● ● ●


■2020年3月27日 本会議 現下の情勢に合致せず/2税法改定案成立 共産党は反対
<赤旗記事>

2020年3月28日(土)

現下の情勢に合致せず
2税法改定案成立 共産党は反対

反対討論に立つ大門実紀史議員
=27日、参院本会議
反対討論に立つ伊藤岳議員
=27日、参院本会議

 2020年度予算に関連する所得税法等と地方税・地方交付税法等の改定案が27日の参院本会議で、自民党、公明党、日本維新の会の賛成多数で可決・成立しました。日本共産党と、立憲民主党、国民民主党などの共同会派は反対しました。

 所得税法等改定案の反対討論に立った大門実紀史議員は、巨額の内部留保をため込んでいる大企業にさらに補助金を与えるような同改定案は「現下の経済情勢が求める税制改正に逆行するものだ」と批判しました。

 大門氏は、政府が大企業の海外生産を積極的に後押ししてきたことを取り上げ、その結果、産業の空洞化が進み内需の低迷、国内産業が疲弊したと指摘。「中小企業や労働者を大事にした国内重視の生産・産業構造を形成していたら、新型コロナへの経済的な対抗力はもっと蓄積されていた」と追及しました。

 大門氏は、早急に消費税の5%への減税に踏み出すことや、中小企業支援も含めた国内生産基盤の立て直しを求めました。

 地方税・地方交付税法等改定案については伊藤岳議員が討論に立ち、「本法案を含め、政府が今国会に提出したものはコロナ危機を前提としておらず、深刻な状況から住民の健康と暮らしを守る法改正に抜本的に改めて出し直すべきだ」と主張しました。

 その上で、安倍内閣は自治体リストラ推進・地方財源抑制路線を進め、「住民福祉の向上を図る」という自治体の役割を果たす力を弱めたと指摘。「(改定案は)こうしたやり方を踏襲したもので、反対だ」と表明しました。

 コロナ対応で大きな負担がかかっている保健所の体制強化、感染症指定医療機関をはじめとする地域の公的公立病院の体制強化を主張し、公衆衛生・感染症医療にしっかりとした財政措置を構築するよう求めました。

<議事録>

○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 会派を代表して、所得税法等改正案に反対の討論を行います。
 討論に入る前に、新型コロナに関する経済対策について、何点かに絞って政府に要望しておきます。
 政府は、感染拡大の終息に全力を尽くし、その先はV字回復だと述べています。しかし、新型コロナが終息する前に倒産、廃業、解雇、失業に追い込まれてはV字回復のしようがありません。今全力を挙げるべきは、目の前で必死に頑張っている中小企業を潰さないこと、職を失う人を出さないことです。
 二〇〇八年のリーマン・ショックの後、麻生内閣のときには思い切った対策が幾つも打ち出されました。そのときのことも参考に、新型コロナの影響から中小企業と国民生活を守るあらゆる手だてを緊急に取るべきです。
 特に、中小企業の資金繰りは一刻を争います。信用保証の認定などに時間が掛かり過ぎ、カードローンなど高金利の融資でつなぐ事業者が急増しています。至急、人員の増強などを行い、手続の迅速化を図るべきです。無担保、無利子融資を拡大するとともに、この際、大銀行などのカードローンの異常な高金利も緊急に引き下げさせるべきです。金融機関も、既存の借入金について、再度の条件変更や返済猶予、場合によっては一部返済免除に応じるべきです。
 政府は、個別の営業損害は補償できないとしています。しかし、営業の自粛やイベントの中止は感染防止対策そのものです。直接支援をするのは政府の当然の責任です。しかも、倒産、廃業が続けば、その産業や地域経済そのものが崩壊してしまいます。この点では、グループ補助金の発想で、地域産業や企業グループ単位での損失補填、事業継続を支援する補助金制度を創設すべきです。
 麻生内閣のときには、経済危機対策臨時交付金が一兆円の予算で打ち出されました。地域の実情に応じた事業に活用できる地方交付金で、当時、大変喜ばれた制度です。同様の臨時交付金を創設し、顧客、販路の回復、仕事おこしなど、地域レベルの事業に活用できるようにすべきです。
 イタリアは、六十日間の解雇禁止措置に踏み出しました。リーマン・ショックのとき、日本の大企業は、巨額の危機対応融資を受けながら派遣切りなど大量のリストラを行いました。今回の大企業向けの特別融資には解雇禁止要件を付けるべきです。
 中小企業の雇用を維持するため、雇用調整助成金の助成率を早急に十分の十に引き上げ、手続を簡素化するとともに、二か月以上も後になっている助成金支給日の大幅前倒しを行うべきです。
 イギリスでは、従業員給与の八割を政府が補助し、数週間以内に支給する制度を新設しました。イタリアでも迅速に支給する賃金補償制度を開始するとしています。日本もこれ以上事態が悪化すれば、従来の雇調金の仕組みでは対応できなくなります。緊急対応の大胆で迅速な賃金助成制度を検討すべきです。
 我が党だけでなく、各党各派の具体的提案を聞き、政府の対策に反映させるよう、重ねて要望しておきます。
 本改正案に反対する最大の理由は、現下の経済情勢が求める税制改正に逆行するものだからです。
 昨年十月の消費税増税による景気の落ち込みに新型コロナウイルスによる深刻な打撃が加わり、日本経済は大不況に突入しています。しかも、新型コロナは世界中に拡大し、世界経済全体を危機に陥れています。重大なことは、金融危機がきっかけとなったリーマン・ショックと違い、需要の激減と生産の停滞が両面から重なり合うという実体経済の深刻な危機に世界が直面しているということです。
 多国籍大企業は、この二、三十年の間に製品の生産工程を分離あるいは独立させ、中国を始めアジアや東ヨーロッパなど低賃金の国で部品生産を行い、最も効率よく利益を上げる仕組み、すなわち世界的なサプライチェーンを構築してきました。
 しかし、今、新型コロナの世界的広がりによってこのサプライチェーンが寸断され、生産に大混乱をもたらしています。イギリスのフィナンシャル・タイムズは、新型コロナはグローバルサプライチェーンの弱点を我々に示したと指摘しました。国境を越えたネットワークがかえって経済危機を増幅する装置と化してしまったのです。
 今まで、日本政府も大企業の海外生産を積極的に後押ししてきました。そのため、国内では産業の空洞化が進み、労働者の賃金は低く抑えられ、不安定な非正規雇用が拡大されました。それが国内需要の低迷を招き、国内産業も疲弊させてきました。
 日本の中小企業や労働者をもっと大事にした国内重視の生産、産業構造を形成していたなら、新型コロナへの経済的な対抗力はもっと蓄積されていたのではないでしょうか。また、国内生産の発展は国内の所得向上にもつながり、インバウンドに頼らない内需の力も蓄積され、これほど国内消費が落ち込むこともなかったのではないでしょうか。
 今こそ日本経済の在り方を問い直すべきときです。今回、政策投資銀行も、大企業が海外の生産拠点を日本に移した場合に特別融資するメニューを創設しました。中小企業支援も含め、国内生産基盤の立て直しに本腰を入れるべきです。
 そのためにも、内需の回復が急がれます。この点では、まず消費税の五%への減税に踏み出すべきです。消費税減税は家計にも中小企業にも直接負担減となり、給付金と同じ効果があります。しかも、所得の少ない人ほど負担が減ります。今や消費税の減税を求める声は与野党を超えて広がっています。政府として、早急に消費税減税を決断すべきです。
 ところが、今回の税制改正案は、家計と中小企業を応援するどころか、巨額の内部留保をため込んでいる大企業に更に補助金を与えるような時局をわきまえない恥ずべき内容が含まれています。
 例えば、オープンイノベーション促進税制です。この税制は、大企業を中心とした事業会社がベンチャー企業に出資あるいは買収する場合に法人税を減税するものです。大企業は、それぞれの経営戦略から、既にベンチャー投資を急速に拡大させています。巨額の内部留保を積み上げ、十分な余力のある大企業が前から取り組んでいることを、わざわざ支援する必要は全くありません。そんなお金があるならコロナ対策に回すべきです。
 世界各国とも、新型コロナへの緊急経済対策には莫大な財源が必要です。さきに述べた多国籍大企業は、世界を股に掛けてもうけを追求するだけでなく、タックスヘイブンなどを利用して税逃れを行ってきました。この数年、OECDやG20でも多国籍大企業の税逃れは問題視され、現在、国際的な課税の具体案が議論されるところまで到達しています。早急に案をまとめ、多国籍企業に税金を払わせ、コロナ対策などの財源に充てるべきです。
 この点での日本政府の一層の努力を求め、討論を終わります。(拍手)

戻る▲