国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi ● ● ● ●


■2019年11月19日 財政金融委員会 金融緩和が悪影響 日銀総裁を追及
<赤旗記事>

2019年12月1日(木)

金融緩和が悪影響
大門氏 日銀総裁を追及

質問する大門実紀史議員
=19日、参院財金委

 日本共産党の大門実紀史議員は19日の参院財政金融委員会で、長期にわたる金融緩和政策が家計に悪影響を与えているとして、日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁の認識をただしました。

 大門氏は、1991年の金利水準が2017年まで続いたと仮定した試算として、家計の利子所得が年平均16・7兆円、27年間で450兆円にのぼる一方、企業が支払わずにすんだ利子は年平均24・5兆円だとして、「家計から企業への所得移転ではないか」と追及。黒田総裁は、所得移転の事実と家計への悪影響を認めた上で、「金融緩和の効果は、投資が雇用・所得に与えた影響等全体で評価すべき」だと答弁しました。

 大門議員は「実質賃金は上がらず、消費は低迷している」として、経済の循環で家計にプラスは及んでいないと批判。エコノミストからも「(低金利は)家計へのステルスタックス(隠れた税金)」だとの指摘があると紹介しました。

 さらに、長期の金融緩和により金融資産が実体経済に比べて急拡大した実態をデータで示し、株高を通じた資産格差の拡大が進んだ結果だと指摘しました。

<議事録>

○大門実紀史君 大門です。
 今日は、金融政策のマクロ的な意味について取り上げたいと思っておりますけれど、その前に、日銀の物価目標二%についての議論がありました。これは何度も何度もこの委員会で議論がされて、今日も熊谷さんから、改めてなぜ二%かというような質問ありまして、これについてちょっと取り上げさせてもらいたいと思うんですけれど、ずっと同じ答弁を繰り返されているんで聞いておきたいなと思ったわけでございますが。
 要するに、自民党の甘利さんが、税制調査会の会長ですかね、今ね、一日に都内で講演をされまして、報道もされておりますけれども、アベノミクスの物価目標二%の達成は非常に難しいと、物価一%でもデフレ脱却と言っていいんじゃないかというようなことをおっしゃっているんですね。よく言うなと思いますよね。大体、甘利さんは、安倍内閣発足当時から国会でも何度も質問されて、なぜ二%が必要なのかと、で、二%は必ずやれるんだということを度々国会で答弁していた人が、あっさり撤回と。あっさり、もういいんじゃないのと。何なんだと思いますよね。
 麻生大臣も、この委員会で私の質問に対して、日銀は二%にこだわり過ぎじゃないかというような、こういう発言が続いているわけなんですけれど、大体、安倍政権は二%という物価目標はもうどうでもよくなっているんじゃないかというふうに思うんですね、率直に言ってね。もう株も上がったし、期待どおりね。
 ところが、日銀だけがこだわり続けていると。たしか七年前になるんですね、もうそろそろ。共同声明があって、二%掲げて、日銀と政府で共同声明まで出して二%と言ったのに、政府の方だけもう別にいいんじゃないのと言ってやっているわけですよね。
 言いたいことは、だからもう日銀もこだわらないで、何度も申し上げておりますけれど、二%にこだわるから、いこじにこだわるからいろんなことを続けなきゃいけないとなっていると思うんで、二%ということを、もうここまで甘利さんまで言われるような状況だから、もう取り下げて、何度も申し上げているとおり、正常化の道にもう踏み出されるような政治的な環境になっているんじゃないかと思いますが、まずその点、黒田総裁、いかがですか。

○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げているような三つのポイントも含めて、二%の物価安定の目標というのは必要であり、今後も必要だというふうに考えておりまして、ちなみに、この二%の物価安定の目標というものは日本銀行の政策委員会が自ら決定したものでありまして、もちろん政府との共同声明に盛り込まれていることは事実でありますけれども、あくまでも物価の安定という日本銀行の使命を果たすためにその実現を目指すことが必要というふうに考えているという点には変わりはございません。
 日本銀行としては、引き続きその使命を果たすために、自らの責任において二%の目標の実現に向けた適切な政策運営を行ってまいりたいというふうに考えております。特に、現在は海外経済の減速の動きが続き、下振れリスクについて引き続き注意が必要な状況にあると思いますので、物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれるおそれが高まることがないか、様々なリスクを注意深く点検してまいりたいというふうに考えております。

○大門実紀史君 世界経済の悪化は取り上げますけど、その対応と二%の目標とは別だと思うんですよね。対応はしなきゃいけないけれども、二%というのは関係ないと。別にそんなの掲げなくたっていいわけですね。そういう黒田総裁の姿勢がいかに家計にもマイナスになってきているかということを今日は取り上げたいというふうに思います。
 おっしゃったように、世界経済は悪化しておりまして、欧米でも各中央銀行が金融緩和を続ける状況になってきております。
 ただ、金融緩和が家計に直接何をもたらすかという点でございますけれども、これも何度か取り上げてきたテーマで、お配りした資料も、この委員会でも大塚耕平さんも使われたと思いますが、よく使われてきた、私も何回か出してきた資料の一番最新版ということでございます。
 低金利政策による家計と企業の損得勘定について示したものでございますが、具体的に言いますと、一九九一年の金利水準が二〇一七年まで続いていたとしたらどうかというような資料でございまして、家計でいえば、利子の受取が増える一方で住宅ローンについては支払が増えますので、その差引きで見ないといけないわけでございますが、二十七年分を年平均でいいますと、下の方の枠にありますけれども、家計部門でいえば、利子の受取が二十六・三兆円増えて支払が九・六兆円増加して、差引き逸失利子所得、つまり、利息が高ければもっと受け取れたであろう利子が年平均で十六・七兆円になるということでございます。企業の方は、受取が十一・一兆で支払が三十五・六兆でございますので、差引きマイナス二十四・五兆、つまり年平均二十四・五兆円支払わないで済んだという意味でございますね。したがって、家計部門から利子の受取が年平均ネットで十六・七兆、二十七年間でいいますと四百五十兆円マイナスになっていて、安倍内閣になってから二〇一七年まででいえば二十四兆円のマイナスになっているというのがこの表で分かるわけでございます。
 これ、何度もこのところは黒田さんに、私も二回目か三回目になりますけど、改めて、この数字は新しいものでございますから、マクロ的に言いますと、家計部門から企業部門に所得移転が行われたというふうに見られるのではないでしょうか。いかがでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) 一般論として申し上げますと、確かに金融緩和は資金の貸し手から借り手への所得移転を伴うという性格、性質を持っております。ただ、金融緩和の効果につきましては、経済全体に与える影響を踏まえて評価する必要がございます。実際、金利水準の低下は、設備投資や住宅投資などの経済活動を刺激して雇用・所得環境の改善、資産価格の上昇などを通じて、家計全体にとってもプラスの効果を及ぼしていると考えております。
 日本銀行としては、低金利環境が家計に及ぼす悪影響にも注意を払いつつ、マクロの金融経済情勢の改善を通じてそのメリットが国民全体に広く及ぶよう金融政策運営面から努めてまいりたいと考えております。

○大門実紀史君 全く四年前の質問と同じ、対する、質問と同じ答弁なんですよね。
 随分四年前と変わっているわけでございまして、いろいろおっしゃいますけど、実質賃金上がらないし、消費も停滞から抜け出しておりませんし、予算委員会でもお示ししましたが、一番大事な消費者動向指数も落ち込んでいるというような状況でありまして、いわゆるいろいろ循環して家計部門にもプラスが及ぶというのは、そうなっていないんですよね。だから、企業から家計への所得移転が全然ないとは言いませんけど、低レベルのままだから内部留保が増えているという関係にもなるわけでありますし、もう一つは、その二%目標の関係でいえば、四年前のときは二%が実現すればデフレマインドは払拭をされるんでというようなこともおっしゃっていましたけど、もうその二%も実現していないということでございますので、ちょっと四年前と同じことを言われても困っちゃうんですけれども。
 もう一つ、さらにマイナス金利で見たらどうなるかというのが二枚目の表でございます。これ、みずほ総研が試算をしていて、大変興味深いので示させてもらっておりますけれど、日銀が二〇一六年にマイナス金利を導入した後、これは二〇一八年の第二・四半期までの期間にどういうふうなことが起きたかということなんですが、各経済主体がマイナス金利によってどんな影響を受けたかということなんですけど、その所得移転効果、そういうものを試算したものでございます。
 家計は、要するに、損失が六百十八億円、利益は四百五十八億円、差引き百六十億円の損失と。金融機関以外の企業は差引き四千四百二十三億円の利益が出ていると。政府は六千百九十一億の利益になっていると。預金取扱機関、金融機関は大変な時代になっておりまして、マイナス七千五百八十七億と、こうなっているわけでございます。
 この資料を見て、改めて黒田総裁、どういうふうに捉えられますか。

○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたとおり、金融緩和の効果については、金利低下に伴う直接的な経済主体間の所得移転という点に限定するのではなく、経済全体として国民所得の増加を実現するという幅広い観点から確認する必要があるというふうに考えております。
 こうした観点から見た場合、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みは、名目金利から予想物価上昇率を差し引いた実質金利を引き下げることを通じて経済活動の改善に大きく寄与しております。実際、家計部門につきましても、失業率は大幅に低下し雇用者数が着実に増加する下で、雇用者所得も緩やかに増加しております。
 このように、現在の金融緩和は家計部門の所得増加にも貢献してきたというふうに考えております。

○大門実紀史君 これ、ネットなんですよね。ネットで具体的にこの利子の受取、支払でいえばマイナスになっていると、このことを申し上げているわけで、循環していろいろあるだろうというようなことを申し上げているわけではないんですね。逆に言えば、家計がプラスになったっていいわけですよね。家計がプラスになったり金融機関もプラスになってもらわな困るわけですよね。そうなっていないということを申し上げているわけで、あれこれの全体的な話に話を広げられると困るんですけどね、金融政策の問題でございますので。
 この数字をどう見るかというのは、みずほ総研の高田創さんが、このタイトルになっておりますけれど、要するに何が起きたかというと、単純化すれば、勝ち組は政府と企業で負け組は金融機関と家計であると、これがマイナス金利政策の利子の受取、支払という世界でいく結果であるという、見たとおり、そのとおりになっているということですね。したがって、もう少し言いますと、家計が政府と企業に所得を吸い上げられる構造になっているということで、高田、みずほ総研の方は、金融機関や家計はステルスタックス、隠れた税金、見えない税金ですね、を掛けられたようなものだということをおっしゃっていて、私もそのとおりだなというふうに思います。企業には逆に言えば補助金を払っていることになると、それが株高につながっているんではないかというのがみずほ総研の高田さんの見方ですけど、もう普通に見ればそう見られるなというようなことになるというふうに思います。
 これは聞いてもまた同じ答弁だと思いますので、もう一つは、ちょっとそもそも論なんですけど、長期にわたる長い間のこの超低金利政策は何をもたらすかという点をよく考えてみなきゃいけないと思うんですね、そもそもですね。総裁おっしゃったように、貸し手から借り手への所得移転を伴う性質をこういうものは持っているというのがございますよね。ただ、一般的なものではなくて、大体、何で低金利が景気対策に役に立つのかというふうにいいますと、それは低金利が、当たり前のことですが、資金を借りやすくして設備投資とか住宅投資を促進する効果があるからと。ただ、それは一般論でありまして、需要がないときに幾ら金利を下げても、設備投資をしようと思っても、世の中不景気で物が売れないときに設備投資しようと思わないから、お金借りないわけですよね。あるいは、幾ら住宅ローンの金利が下がっても、幾ら下がったといっても、毎月払える所得がなければ、あるいは自己資金がためられていなければ、幾ら住宅ローンの金利が低くても住宅ローンを組まないわけですよね。だから、需要といいますかそういうものが、景気が大変大事なわけでありまして、ただ下げれば良くなるとは限らないということが一つありますね。
 もう一つは、これは専門家の方々が指摘されていて面白いなと思ったんですけれど、金利の高低に対する人々のマインドと。そもそも金利というのは高いときがあって低いときがあると。だからこそ、高いときに、金利が低くなれば借りようと、低くですね、借りるなら今だというような、これは専門家に言いますと異時点、異なる時点での代替効果と呼ぶそうなんですけれども、そういうものがあって、金利の高低があるから、つまり金融政策そうですよね、上げたり下げたりして人々に刺激を与えるというのがそうですけれども、ずっと低いと、ずっと低金利だとその異時点の代替効果が表れない、刺激効果が働かないと。急いで借りる必要はない、下がったわけでもないし上がる見込みもないし、今借りる必要ないということで、低金利政策というものがそもそも経済に与える影響から考えて、こんなに長期に低金利状態が続くということそのものが、この今大きな、何というんですかね、ジレンマといいますかね、はまり込んでいるんじゃないかというふうに思うわけです。
 こういうときに何が起きるかというと、いわゆる経済効果的なものが表れないで、単に、単に資金の余ったところから資金の不足しているところにお金が動く、所得が移転されるというふうなことが起きているんではないかというのが、これも専門家の方々も指摘しておりますけれど、つまり、マクロでいえば、日本の場合でしたら、金融資産を有する家計から国債を発行している政府に所得移転が生じるということが起きているんではないかということですね。もっと分かりやすく言えば、国民から政府が資金を吸収していると。
 ですから、先ほど、この高田さんも言われていましたけど、低金利は、長期化すればするほど実際の経済効果は余り表れないで、資金の移動、所得の移転だけが行われると。国民から政府に移転が行われるので、これは隠れた税金と同じだと、ステルスタックスだというようなことも指摘されるぐらい異常な事態になっているんではないかというふうに思うわけでございます。
 そういうふうに見た方が、先ほどいろいろおっしゃいましたけど、ほとんどそんな効果表れていないと思うんですけど、表れないで、今日申し上げたような利子所得の問題とか家計部門から企業部門、政府部門にの移転ということが説明付くんじゃないかと、逆にですね、そういう事態が今、主なことが起きていると。
 つまり、日銀の異次元金融緩和は、マイナス金利も含めてですけど、最大の副作用は家計所得を奪っているということに私はあるんじゃないかと思いますが、いかがですか、そういう指摘に対して。

○参考人(黒田東彦君) 二〇一四年の四月から量的・質的金融緩和を導入して、現時点では長短金利操作付きの量的・質的金融緩和ということになっておるわけでございます。その間、明らかに経済は改善し、失業も減り、雇用も増え、そして雇用者所得も増加しております。したがいまして、何と比較するかということですけれども、こうした量的・質的金融緩和を行わなかった場合と比べて現在の経済状況が大幅に改善しているということは、多くのエコノミストも認められるというふうに思います。
 それから、先ほど来申し上げていますように、金融緩和自体は、資金の出し手から借り手への所得移転を伴うということはいかなる金融緩和においてもそのとおりでありますけれども、そういうことを通じて経済全体が拡大し、雇用者所得も増加しているということは事実であるというふうに思っております。
 失礼しました。二〇一三年の四月に量的・質的金融緩和を導入したということであります。

○大門実紀史君 何といいますかね、そんなに効果が出ているんだったら、こんな消費の落ち込みとか先行き不安がこんな広がっていることはないと思うんですよね。だから、やっぱりこういう数字をもっと謙虚に受け止められるべきではないかと。家計の所得がこれだけ減っているということは何なんだろうと、金融はどうなっているんだろうというふうに、謙虚にやっぱり見られるべきだなと思うんですけれどね。
 もう一つ、三枚目の資料なんですけれども、これは、先ほど申し上げた、名前が出たみずほ総研の高田創さんが参議院の国民生活・経済に関する調査会に参考人として来られたときに配付された資料であって、大変興味深いので御紹介している、配付をしたんですけれども、要するに、何を言っているかというと、上の方は、簡単に言いますと、金融緩和、この流れが結局資産格差の拡大につながったプロセスを描いておられて、これについていろいろ述べておられるんですね、調査会では。是非、議事録面白いんで見てもらえればと思いますけれど。
 下の方のグラフですね、そういう金融緩和、金融資産拡張がもたらした格差ということでタイトルになっておりますけれども、要するに、棒グラフは世界の金融資産の総額の推移ですね。株式等々を合わせたものがどんどんどんどん膨らんできていると。折れ線グラフの方は世界のGDPと金融資産の比率です。つまり、実体経済と金融資産との比較でありまして、簡単に言いますと、金融資産と実体経済の比率というのは、七〇年代、八〇年代までは大体一対一、一〇〇%ぐらいですから一対一だったんですけれど、今や三〇〇%。つまり、実体経済の三倍も金融は膨張していると。ここに格差の原因があるということを調査会で述べておられるわけでございます。
 実はこれ、国際決済銀行、BISもこういう指摘をしておりまして、二〇一六年にBISが発表した富の分配格差と金融政策というのがありますが、これもこういう、結論から言いますと、金融の膨張の中で、株価の上昇を通じて資産格差の拡大を促したということを、各国の例を引きながら国際決済銀行も指摘しているところでございます。
 こういう、家計部門から企業部門にだけではなくて、格差の拡大も進んでいるということなんですけれど、そこで、ちょっと私、この間、気になるのは、アメリカとヨーロッパの中央銀行は、一遍リーマン・ショックの後、量的緩和やって、それからまたそれを脱却して利上げをやろうとして、また景気悪くなって利下げをやると。また量的緩和、つまり資産の買入れもやろうというふうに揺れ動いてきていますよね。
 世界経済の悪化といいますけれども、米中貿易戦争ですけどね、具体的には、それが量的緩和やったら金融で何か何とかなるのかなというふうにちょっと思うところがあるんですけれどね。要するに、FRBも短期債の購入を続けるということを発表しましたし、欧州の中央銀行、ECBも、資産購入、二百億ユーロですかね、毎月、の購入を発表いたしました。つまり、量的緩和、資産の買入れの方にまた戻ってきたといいますか、やるわけなんですけど、これは、私、景気の悪化を懸念というけれども、そうではないんじゃないかと思うんですよね。
 一旦、何度もこの委員会で日銀に対して厳しく申し上げましたけど、金利政策ではなくて、この資産の買入れ、量的緩和をやり始めますとなかなか抜けられませんよと、なぜならば抜けるときに債券の価格や株が値下がりするから抜けないでくれという市場の圧力が掛かるから、一旦資産の買入れ、量的緩和に踏み込むとなかなか抜けられませんよということを指摘させてもらってきましたけど、今、FRBもECBもその金融圧力といいますか、今そうはいっても株価すごいですよね。高止まりですよね。これが下がらないように下がらないように金融で支えてくれというようなことが実は主要な圧力であって、FRBもECBも一旦金利引上げとか正常化の方向に動いたのが、また同じことをやらざるを得ないと。
 これはやっぱり、日本がもうそうなっていますけど、資産買入れに走りますとこういうことになってなかなかやめられないと、一旦踏み込むとということを表しているんじゃないかと私は見ているわけでございまして、だから、引き続き金融緩和をやれ、マネーを入れろ、買い支えろ、売ると下がるからやめろというようなことがわあっとあって、実はそうなっているような気がするんでございます。だから、量的緩和にはまり込むと、一遍はまり込むと、もうわなにはまるようにそれを続けなきゃいけないようなところに、実は、世界経済の悪化とかいろんなことを言いながら、結局、FRBもECBもそんなところにはまり込んでいるのではないかというふうに思うわけですけれども。
 黒田さんにお聞きしたいと思います。そのとおりとはおっしゃらないと思いますけど、相当そんなことが、日銀と同じようなことが広がっているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○参考人(黒田東彦君) ほかの国の金融政策についていろいろコメントするのは若干気が引けるわけですけれども、まず、FRBの方は、いわゆる量的緩和を再開したわけではありません。御指摘の短期のものを買ってそのリクイディティーを市場に供給しようというのは、数か月前にありましたレポ金利が急騰して二桁になったということに対応する措置でありまして、長期債を購入してやる量的緩和、量的・質的緩和というものを再開したわけではないということであると思います。
 ただ、金利をずっと上げてきたのを中断して三回金利を下げたということの意味では、金融緩和を再開したことは事実ですけど、それはあくまでも世界経済の下方リスクが高まったということと、現に世界経済自体は減速したわけですけれども、それと通商政策をめぐる不確実性というものに対応して、一種の保険として三回金利を下げたということだと思います。
 ECBの場合は、実際にユーロ圏の経済自体がかなり減速して、御承知のように、ドイツ経済のごときは四―六はマイナス成長、七―九もプラス〇・一%成長ということで、経済の実態が相当悪化したということで、本格的に正常化を止めて、むしろ金融緩和に、量的なものも含めて金融緩和を始めたということであるというふうに思います。

○大門実紀史君 終わります。

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