国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi ● ● ● ●


■2019年5月10日 本会議 消費税増税後の値引き競争 中小企業圧迫
<赤旗記事>

2019年5月11日(土)記事

値引き 中小企業圧迫
消費税増税 大門議員が指摘
参院本会議

質問する大門実紀史議員
=10日、参院本会議

 金融機能早期健全化法改定案が10日、参院本会議で審議入りしました。日本共産党の大門実紀史議員が、金融危機の時に、金融機関救済に使われ、その後、回収された公的資金の一部を、10月の消費税増税対策に活用する法案の問題点をただすとともに、消費税増税を中止すべきだと主張しました。

 大門氏は、預金保険機構の剰余金のうち8000億円を、10月からの消費税率引き上げ対策の財源に充てようとしていると指摘。「消費税を増税し、消費を落ち込ませておいて、その落ち込み対策に使うなど、ただのマッチポンプにすぎない」と批判しました。大門氏は「増税そのものをきっぱりやめて、社会保障や教育など国民の切実な要求となっている喫緊の課題に使うべきだ」と強調しました。麻生太郎財務相は「恒久的な財源が必要だ」と強弁しました。

 大門氏は、消費税増税は、物価を上昇させ、国民の実質可処分所得を減少させ、実質賃金の上昇や社会保険料の負担軽減がなければ、消費を押し下げ、景気を悪化させると指摘しました。大門氏は、政府の「消費税率の引上げに伴う価格設定について」という「ガイドライン」で、消費税増税前に価格を引き上げることも、増税後の引き下げも自由にできるとし、増税後の「値引きセール」を奨励していることについて「大手には有利であっても、中小業者、特に地方の中小店などを苦境に追い込む」と批判しました。

<議事録>

○大門実紀史君 日本共産党を代表し、金融機能早期健全化法一部改正案について質問します。
 本法案は、預金保険機構の剰余金のうち約八千億円を一般会計に繰り入れ、それを本年十月からの消費税率引上げの影響を緩和するための対策、すなわちポイント還元やプレミアム付き商品券などの財源に充てようというものです。
 預金保険機構の剰余金のうち業務に必要のない分を一般会計に繰り入れることは当然ですが、問題はその使い道です。消費税を増税し消費を落ち込ませておいて、その落ち込み対策に使うなど、ただのマッチポンプにすぎません。
 しかも、ポイント還元も商品券も政策効果が疑われており、そんなものに使うくらいなら、増税そのものをきっぱりやめて、社会保障や教育など国民の切実な要求となっている喫緊の課題に使うべきではありませんか。麻生財務大臣の答弁を求めます。
 この間、経済指標が軒並み悪化する中で、安倍首相の側近である萩生田自民党幹事長代行が消費税増税を見送る可能性もあるという趣旨の発言をし、消費税に賛成という立場の方々からも、この経済情勢の下で本当に増税していいのか、景気が更に悪くなれば元も子もないなど、懸念の声が広がっています。
 消費税の増税は、物価を上昇させて国民の実質可処分所得を減少させます。それが購買力を奪い、消費を押し下げるのです。このことは、内閣府の経済財政白書も指摘してきたことです。逆に言えば、消費税増税分を上回るだけの実質可処分所得の増加、すなわち実質賃金の引上げや税と社会保険料の負担軽減がなければ、消費は押し下げられ、景気が悪くなってしまうのは明らかではありませんか。茂木経済財政担当大臣の認識を伺います。
 実際、一九九七年四月の三%から五%への消費税率引上げは、社会保険料の引上げと同時に強行され、消費を急激に落ち込ませました。二〇一四年四月の八%への引上げも、実質賃金が低迷する下で消費を一気に冷え込ませ、景気を悪化させました。
 本年十月の一〇%への増税はどうでしょう。賃金の伸びは増税幅の二%には程遠く、社会保険料負担は増大し、この間、実質可処分所得は減少しています。さらに、今回は、これまでと大きく異なり、消費の低迷に加え、世界経済も悪化しています。米中経済対立や英国のEU離脱などを背景に、世界貿易は既に停滞局面に入っています。日本経済を支える内需と外需が同時に停滞しているときに消費税の増税を強行すれば、増税による打撃は今まで以上に大きなものとなることは明らかです。
 先月の決算委員会で、茂木大臣は、私のこの指摘に対し、景気は緩やかに回復している、連合などの賃金は上がっているなどと、従来と同じ答弁を繰り返すだけでした。
 茂木大臣、どうしても消費税増税を強行するというのなら、同じ言葉の繰り返しではなく、この十月に消費税増税を強行しても、実質可処分所得は減少しない、外需の落ち込みも吸収できる、日本経済が悪化しないという、具体的根拠をお示しください。
 次に、昨年十一月、政府が公表した消費税の引上げに伴う価格設定についてというガイドラインに関して質問します。
 政府の説明によれば、このガイドラインの目的は、消費税増税に伴う駆け込み需要、反動減を抑え、消費を平準化することにあるとのことです。
 そのモデルとされているのがヨーロッパです。ヨーロッパでは、付加価値税の税率引上げに当たり、事業者がどのようなタイミングでどのように価格を設定するかは、それぞれの経営判断に任されています。そのため、税率引上げの日に一斉に価格の引上げが行われることはなく、税率引上げ前後に大きな駆け込み需要、反動減も発生していません。
 日本も、ヨーロッパに見習って、消費税の税率引上げの期日前に価格を上げることも自由、税率引上げ後に価格を下げることも自由、今まで抑制的だった増税後の値引きセールもどんどんやっていい、こんなガイドラインを政府が打ち出したのです。
 しかし、このガイドラインは、便乗値上げを誘発するとともに、中小事業者を苦境に追い込む危険性があります。
 そもそも、ヨーロッパは日本と違いインフレです。インフレの下で、物価も上がるが実質賃金も上がる状況が続いてきました。だから、付加価値税が増税されても実質可処分所得は減らず、消費も落ち込まなかったのです。また、インフレのときならば、付加価値税の税率引上げに当たり、いつどのように価格設定するかも自由に決めやすくなります。中小事業者でも価格を上げやすくなります。
 しかし、デフレの日本で同じことができるでしょうか。もちろん、価格決定力のある大手の事業者なら、消費税の税率引上げ前に価格を引き上げることは可能です。ただし、その際、便乗値上げが行われる可能性は排除できません。
 政府は、便乗値上げについては厳しく対処すると言いますが、政府自身が増税前の値上げを奨励しておいて、どうやって対処するというのでしょうか。便乗値上げは消費者庁が対応することになっていますが、消費者庁に便乗値上げを防ぐ力などありません。
 一方、中小事業者は、デフレの下で、ただでさえ厳しい価格引下げ競争にさらされています。税率引上げ前に価格の引上げなどできるわけがありません。
 茂木大臣、そもそも、インフレのヨーロッパで行われていることをデフレの日本に当てはめようとしていること自体、根本的に間違っているのではありませんか。答弁を求めます。
 また、税率引上げ後の値引きセールを奨励することも、大手には有利であっても、中小事業者、特に地方の中小商店などを苦境に追い込むものではないでしょうか。
 例えば、大手スーパーが大々的に値引きセールをやっているときに、近くの小さな商店がキャッシュレスのお客さんにだけ五%ポイントを還元しますなどという面倒くさいことをやっていて太刀打ちできるでしょうか。さらに、大手が五%以上の値引きセールを始めたら、中小商店はもうひとたまりもないのではありませんか。世耕経済産業大臣の認識を伺います。
 結局、政府の対策も、消費税増税の影響を緩和するどころか、かえって混乱をもたらし、中小事業者を苦境に陥れ、地域経済を一層疲弊させるものではありませんか。麻生大臣にそういう認識はありますか。
 改めて、消費税増税中止の決断を求めます。
 最後に、本法案には、本来国に納付されるべき早期健全化勘定の利益剰余金を金融再生勘定へ繰り入れて、公的資金の穴埋めに使うことが盛り込まれています。
 二〇〇八年のリーマン・ショックの際には、公的資金を使った金融機関の救済がアメリカでも大問題になりました。金融危機に対処する財源は、国民のお金を使うのではなく、金融危機を引き起こした金融業界の負担で行うべきではありませんか。
 麻生金融担当大臣の答弁を求め、質問を終わります。(拍手)

   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

○国務大臣(麻生太郎君) 大門議員からは、預金保険機構から国庫納付の使途等について、計三問お尋ねがあっております。
 まず、預金保険機構から国庫納付の使途についてのお尋ねがありました。
 少子高齢化の進む日本におきまして、幼児教育無償化を始め、社会保障の充実、その安定化は、議員御指摘のとおり、喫緊の課題だと考えております。その実現に向けましては、預金保険機構からの国庫納付を含む臨時の収入ではなく、安定的かつ恒久的な財源を確保することが必要であり、このため、法律で定められたとおり、本年十月に消費税率を引き上げることを予定をいたしておるところであります。
 その上で、引上げに当たりましては、前回の経験を踏まえ、プレミアム付き商品券など、引上げに伴う経済的影響を平準化するための十分な対策を講じることとし、預金保険機構から国庫納付を含む臨時の収入は、こうした臨時特別の措置の財源としてお示しをしているところであります。
 次に、消費税率引上げに伴う対策等についてのお尋ねがありました。
 消費税の引上げに当たりましては、前回引上げ時の経験も踏まえ、消費税率引上げ前後において事業者がそれぞれの判断によって柔軟な価格設定を行えるようガイドラインを定めるとともに、中小・小規模事業者を支援するポイント還元事業などの十分な対策を講じることといたしております。
 こうした施策の実施に当たりましては、議員御指摘のように、中小企業者に混乱をもたらすことがないよう、関係省庁において、施策の周知を含め、適切に執行していくことが必要であると考えております。
 消費税の引上げについては、急速な高齢化を背景とした社会保障給付費が大きく増加をしていく中にあって、全世代型社会保障の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するためにどうしても必要なものであると考えております。
 したがいまして、先ほども申し上げましたとおり、本年十月に一〇%に引き上げることを予定をいたしております。
 最後に、金融再生勘定の損失は金融業界が負担すべきものではないかというお尋ねがありました。
 早期健全化勘定と金融再生勘定の廃止の際の対応につきましては、それぞれ勘定設置の当初より、残余があった場合は国庫納付すると定められております一方、逆に損失が発生している場合の対応は定められておりません。
 両勘定は、平成金融危機への対応のため、言わば車の両輪として一体として運用されてきたという経緯も踏まえれば、利益剰余金が生じている勘定は国庫納付を行い、損失が生じている勘定は業界負担とするよりも、両勘定を一体として捉え、利益剰余金が生じている勘定から損失が生じている勘定に繰入れすることができることとすることの方が適当であると考えております。(拍手)

   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕

○国務大臣(茂木敏充君) 大門議員から、消費税率引上げに関連して御質問いただきました。
 まず、可処分所得の増加と増税による景気悪化の懸念についてお答えをいたします。
 消費の持続的な拡大のためには、可処分所得の増加、そしてその基となる賃上げが鍵となります。本年の春季労使交渉においても、多くの企業でベースアップが継続し、力強い賃上げの流れが続いていると認識をいたしております。
 その上で、今回の消費税率引上げに際しては、税率引上げの使い道を変更し、二%の引上げによる税収のうち半分を教育無償化などで国民に還元をいたします。
 また、ポイント還元や、低所得者、子育て世帯向けのプレミアム商品券により、期間を限って集中的な消費喚起を行います。
 さらに、自動車、住宅への支援策については、例えば十月一日以降に軽自動車や中古車を購入する場合や住宅の簡易なリフォームを行う場合なども含めてメリットが生じるよう、きめ細かい税制、予算措置を講じるといった消費の落ち込みや駆け込み需要、反動減を防ぐための万全の対策を講じることとしており、消費税率引上げの影響をしっかりと乗り越えてまいります。
 次に、最近の景気動向と増税に関する日本経済への影響についてでありますが、我が国の経済は、中国経済の減速などから輸出の伸びが鈍化し、一部の業種の生産活動やこれに関連する出荷に弱さが続いているものの、雇用・所得環境の改善、高水準の企業収益など、内需を支えるファンダメンタルズはしっかりしていると考えております。
 その上で、消費税率の一〇%への引上げは、財政の健全化のみならず、社会保障の充実、安定化、教育無償化を始めとする人づくり革命の実現に不可欠なものであり、法律で定められたとおり、本年十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定であります。
 その際、前回引上げ時の経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応することとし、既に軽減税率の導入や幼児教育無償化等によって二兆円程度に抑制される経済への影響に対して、これを十二分に乗り越える二・三兆円の予算、税制上の措置など具体的な対策も決定をいたしております。
 こうした施策を着実に実行し、また、国際経済の動向にも注視しつつ、今後とも経済運営に万全を期してまいります。
 次に、消費税率の引上げに伴う価格設定のガイドラインについてでありますが、我が国においては、消費税が一九八九年に導入されて以降、税率引上げ時に一律一斉に価格が引き上げられるものとの認識が広く定着をしております。実際、二〇一四年の消費税率引上げの際にも、引上げ時に価格が一斉に上昇し、引上げ前後に大きな駆け込み需要、反動減が発生しました。
 これに対して、一九六〇年代から七〇年代前半に付加価値税が導入され、税率引上げの経験を積み重ねてきている欧州諸国では、税率引上げに当たり、どのようなタイミングでどのように価格を設定するかは事業者がそれぞれ自由に判断をしております。
 こうした我が国の過去の経緯、諸外国の事例を踏まえ、消費税率引上げ前後において事業者はそれぞれの判断によって柔軟な価格設定が行えるように、また消費者は安心して購買ができるようにとの観点から、昨年十一月、御指摘の価格設定ガイドラインを公表したところであります。
 一方で、いわゆる便乗値上げには引き続き厳格に対応していきます。インフレであってもデフレであっても、物価の動向やコストの上昇、需要の増加などの合理的な理由のない値上げは厳しく対処してまいります。
 こうしたガイドラインの考え方につき、事業者から消費者まで広く周知、広報を行っていくことにより、需要変動の平準化を図ってまいりたいと考えております。さらに、中小事業者の価格転嫁対策にもしっかりと取り組んでまいります。(拍手)

   〔国務大臣世耕弘成君登壇、拍手〕

○国務大臣(世耕弘成君) 大門議員にお答えをいたします。
 税率引上げ後の値引きセールの地方の中小商店などへの影響と、ポイント還元による大手との競争についてお尋ねがありました。
 価格設定のガイドラインは、消費税率引上げ前後で事業者がそれぞれの判断で柔軟な価格設定が行えるよう整備、公表したものであります。
 その上で、大企業と比べて体力が弱く、自ら価格の引下げを実施できない場合もある中小・小規模事業者に限って、消費者へのポイント還元に対する支援を行います。中小・小規模事業者にとり、キャッシュレス導入は、現金取扱いの直接、間接のコストを減らすことで生産性を高めるとともに、インバウンド消費取り込みの大きなチャンスとなるなど、需要平準化対策にとどまらない様々な効果が期待されることから、ポイント還元事業は、中小・小規模事業者への強力な支援になると考えております。(拍手)

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