<議事録>
○大門実紀史君 大門です。
関税法、また、後の世銀の関係については必要な改正だというふうに思っておりまして、賛成でございます。既に同僚議員からもいろいろ指摘があったところをしっかり対応していただきたいと思います。
ダブって質問しても仕方ありませんので、今日は税法に関連して確認しておきたい二つのことを、二つに質疑も分かれますが、聞いていきたいと思います。
一つは、所得税法第五十六条のことでございまして、もう長いこと取り上げてまいりました。財務省ともいろいろ相談をしながら進めてきているところではあります。現時点での到達点とこれからの方向をこの時点で一旦お聞きしておきたいということでございます。
まず、初めて委員の皆さんもお聞きになる方いらっしゃると思いますので、星野さん、所得税法五十六条とはどういう法律なのか、また趣旨を簡単に説明をしていただけますか。
○政府参考人(星野次彦君) お答え申し上げます。
所得税法第五十六条は、納税者と生計を一にする親族がその納税者の営む事業に従事したことなどにより対価の支払を受ける場合は、その対価の金額は、当該納税者の所得の計算上、必要経費に算入しないこととする規定でございます。これは、親族間の恣意的な所得分割による租税回避を防止する観点から、所得税の計算上、親族への給与の支払は必要経費に算入しないこととするものでございまして、昭和二十四年にいわゆるシャウプ勧告が出ておりますけれども、その中で、所得税の課税単位を個人とすべきという指摘とともに、家族従業員を雇用することによる所得分割を抑制する措置を併せて導入すべきとの指摘があったことを踏まえまして、昭和二十五年の税制改正において規定が創設されているところでございます。
この規定に関連して、所得税法では、この規定を原則としつつも、第五十七条におきまして、事業に専従する親族である場合の必要経費の特例等の規定を設けております。この五十七条には、一つは青色申告者については帳簿等により家計と事業の分離や給与支払の実態を確認できることから、家族従業員への給与の実額による経費算入を認めております。
他方、白色申告者につきましては、青色申告者と異なり、資産、ストックの状況まで記帳が求められておらず、同様の確認を行うことが困難であることなどを踏まえて、実額による経費算入を認めていないのですけれども、実際の給与支払の有無にかかわらず、概算的な定額の控除を認めて配慮を行っているという、そういう体系になってございます。
○大門実紀史君 要するに、お店をやっておられるような、お父ちゃん、お母ちゃんでやっているようなお店とか事業所の場合、お母さんの給料は、一緒に住んで家族従業員だから、白色申告の場合は基本的に認めなくて、白色専従者控除ですか、で概算で引くというのが今の現状ということですね。そういう問題がずっとあって、これは戦後の状況の判断があってそういうふうになったと思うんですが、長い間その問題が国会でもいろいろ取り上げられてまいりまして、もう二十年、三十年前からこの、ついての議論があったわけでございます。
で、いろいろ時代も変わってまいりまして、家族従業員といえど、いえどといいますか、実際に働いているのに、なぜ認めてくれないんだというような議論があって、あと、特にお母さんたちの労働についてをどう考えるかという点で、女性の人権あるいは男女共同参画というような、その文脈でも議論になってきた問題であります。
ただ、財務省的に言いますと、人権とかいろんなこと言われても、財務省は先ほど言われたような考えでやっていると、簡単に言えば、もういろいろそうおっしゃるなら青色申告にしてくれと、そうしたら引けるんだからと、その一点張りで長い間来られた問題でありましたが、もう十年前になりますけど、二〇〇九年の三月二十四日の麻生内閣、与謝野財務大臣のときに私が質問させていただいて、そういう考え方、今のその財務省の考え方というのは間違っているんじゃないかという点を三つの点で指摘をさせていただいたわけであります。
まず、とにかく働いている実態があるとしたら、あるならば、それを税法ごときがですね、はっきり言って、人が働いていることを税法ごときが否定すると、認めないというような偉そうな話は何なんだと、実際に働いていればそれは認めるべきではないかという基本的な認識が一つですよね。
もう一つは、青色申告なら認めますというのも、それは戦後のいろんな、まだ記帳が普及しない時期なら財務省の理屈としては、大蔵省の理屈ではあったと思うんですけれど、しかし、その目的は、先ほどおっしゃったように、意図的に所得分割をして、つまり、お母ちゃんはそれほど実際にお店の手伝いとか事業所で働いていないのに、意図的に所得を分割するために、税金を安くするためにやるんじゃないかというようなおそれがあって認めずに、青色だけ認めてきたというようなことを言ってきたわけですけれども。
考えてみれば、所得分割なんてのは青色だってあることですよね。実際、調査入ってみないとそれは分からないわけね、労働の実態があったかどうか。だから、青色と白色関係なく所得分割の問題はあり得るし、大抵の方は一生懸命きちっとやっているわけですけれども、だから青にしろという話もそれは違うんじゃないかな、違うんじゃないかということを申し上げて、つまり所得分割の防止と青色申告とは関係がないということを申し上げたわけです。
もう一つは、そういいながらも白色申告者も記帳の義務化がずっと進められてきておりまして、戦後間もなくの状況とは違うわけですね。大抵の人は帳面ぐらい付けているわけです、給料の支払のも付けているわけですよね。そういうふうに状況変わってくる中で、もうその戦後間もなくの話でずっと認めないというのは違うんじゃないかというのを、今からもう十年たちますね、二〇〇九年三月二十四日のこの委員会で与謝野財務大臣にお聞きしましたら、与謝野大臣はもうさすがだなと。この前もいろいろ申し上げましたけど、大変優れた方でありまして、財務省が用意した答弁書読まないで私の議論を聞いていただいて、ちょっと考えさせてくれと、ちょっと研究させてくれということになりまして、本当にその後、事務方に指示をされて、当時は加藤主税局長、そして星野さんが担当課長でございましたけれど、本当に研究をして、諸外国の海外の例なども含めて、あるいは、もっと極端に言えば、もしこれを廃止したらどれぐらいの税収減になるかという、そこまで試算もされたり、いろんなことをやったわけであります。
そういう流れがあって、その後、民主党政権になりましたけれども、民主党政権のときは政府税調の検討項目の中にこの五十六条問題が入りました。そしてまた安倍内閣になったわけですけれども、安倍内閣になってからは私は特に質問を時間取ってやっておりませんけれど、今日この場にもおられますけれど、副大臣、政務官になられた方に要請したときは、引き続き検討しなきゃいけないことだというふうなことは答弁をいただいてきたところでございます。
それで、資料をお配りいたしましたけれど、今現在、この五十六条を廃止してほしい、白色申告であれ何であれ、実際働いている人たちの給料は認めるべきだという自治体請願がもう五百十六にまでなっております。下の方に、税理士会、税理士団体ですけれども、これも、北海道、千葉、関東信越、東京、東京地方、北陸、近畿青年、中国、四国、九州北部税理士会、全国女性税理士会もこの五十六条については見直すべきだという意見書を上げてきていただいているし、弁護士団体も意見書を上げてきていただいていると、ここまで来ているわけであります。
いろいろ御検討いただいているのは存じておりますけれど、星野さん、現在の検討状況とこれからの方向を少し教えてもらえますか。
○政府参考人(星野次彦君) この五十六条の問題につきましては、ただいま大門先生からもるる経緯も含めて御説明がございました。平成二十一年の三月に先生から問題提起があって、与謝野大臣の答弁がございまして、その後、当委員会でもやり取りがございました。
この問題自体、青色申告者と白色申告者の記帳水準の違いを勘案して、経費算入の在り方に現在の制度は違いが設けられているということではございますけれども、五十六条の見直しの検討に当たっては、白色申告者について、税制上、制度上どの程度の記帳を求めているか、また実際の記帳状況はどうかといった点を踏まえる必要があると考えております。
この問題が提起されまして、二十三年度の税制改正が行われまして、平成二十六年以降、全ての白色申告者に一定の記帳義務が課せられたというところが制度的な変化でございますけれども、現時点の制度を見ても、白色申告者には資産の記帳が求められていないといった課題がありますし、また実態面を見てみますと、白色申告者の中には記帳や帳簿等の保存が不十分であるものが見受けられるといったような実態であるということを承知しております。
青色申告者と白色申告者の記帳レベルにはやはり依然として違いがあるというふうに考えております。
また、ここ数年、所得税改革として、控除の見直し、所得の全体の控除の見直しなどを進めてきております。平成三十年度税制改正におきましては、働き方の多様化を踏まえて、働き方改革を後押しするなどの観点から、特定の収入のみに適用される給与所得控除等の一部を振り替えていくと、個人事業者を含め、どのような所得にも適用される基礎控除に振り替えるといった見直しを行ってきております。この控除の拡大に併せまして、例えば与党の税制改正大綱の中で、適正な記帳の確保に向けた方策を講じつつ、事業所得等の適正な申告に向けた取組を進めるといったことが要請されているところでございます。
以上申し上げましたとおり、五十六条の見直しについては、白色申告者による記帳や帳簿等の保存の状況、また所得税改革の一環として適正な記帳の確保に向けた方策を講じることとされていることを踏まえまして、引き続き丁寧に検討を行うべき課題であるというふうに考えております。
○大門実紀史君 与謝野さんがここにおられたらどう言われるかなと思うんですけれど。
私たちは、基本的な私の問題提起をしたのは、記帳の前に、実際に働いていると。働いていない人まで認めるべきとか、そんなことを言っていないんですね。実際に労働している人が、一日何時間という人がいて、その経費を認めないことはおかしいんじゃないかという当たり前の提案をしてきているわけですけどね。
それを、財務省的に言えば、分かりますよ、財務省的に言えば記帳で。しかし、その資産を帳面に付けなきゃ給与の支払分からないですか。関係ないですよね、資産の記帳とね。給料の支払実態が財務省的にはきちっと分かるようにしていてくれればいいんじゃないかということになるわけでありまして、星野さんのその論理を、まあそればっかりと思っていらっしゃらぬのは分かってはおりますけれど、余りそればっかり強調しますと、だったら、戦後、青色申告認めたときに、青色申告の記帳レベルが高まってから給与認めたんですか。違うでしょう。制度とともに、あめとむちじゃないですけど、制度とともに最初認めたはずですよね。だから、白色の記帳義務化してきたと。記帳義務化したときに、やっぱり義務化するならそれなりの特典をきちっと認めるというのが当たり前だったんですけど、今の話だと、記帳の程度がもっと伸びてこないと認めないというのは、それはちょっと今までの財務省のいろんな制度と、かえってちぐはぐですよね、話が。
そういうこともありますので、そこばっかり思っていらっしゃらないの分かっていますから、星野さんらしく真面目に強調されたんだと思いますけれども、その論理でいくと永遠に解決しないということになりますので、当初指摘された原点に戻ってほしいなというふうに思います。
これはひとしく、与謝野さんのときと同じように、やっぱり政治家が、財務省はもう頭固いですから、政治家が判断していくマターだと私は思っておりまして、そうはいっても、財務省であれ、与党の皆さん、自民党の皆さんであれ、まれに野党の意見、共産党の意見でもそれは正しいということで取り入れていただいたことがございます。それはこの前ここで申し上げた、証券税制を一〇%から二〇%にするときの話ですよね。
もう一つは、現場的にはまだありまして、認可外保育園の消費税を非課税にするときですね。あれは二〇〇五年だったと思いますが、ここで私が質問したら、自民党の尾辻先生がいらっしゃって、さっきの質問は大変重要だと思うということで、すぐ自民党の税調に尾辻先生が提案していただいて、素早く認可外保育所の消費税が非課税になったんですね。認可保育所は非課税だったんですけど、認可外は課税されていたんですよね。それをすぱっとやっていただいたことがあるわけです。
だから、本当に宮沢先生に答弁を求めたいぐらいなんですけれど、本当に、今、認可外保育所を回ると、私が質問したことはもう忘れられていて、もう尾辻さんの名前ばっかり出てきますね。だから、これ宮沢先生がやっていただくと宮沢先生の銅像が建つんじゃないかと思いますので、全国の商売やっているお母さんたちが喜ぶと思いますので、是非政治家として検討していってほしいと思いますが。
最後に、麻生大臣、これは麻生大臣のときの与謝野大臣の英断から始まった問題でございますので、是非、麻生大臣のときに検討から具体的に一歩踏み出していただきたいなと思っているんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) これは本当長い話ですな。本当、もう大分前からもうこの五十六条の話等々、また五十七条等々。これは昔から、この青色申告、白色申告、いろいろ話があるんですけれども。
今まで星野の方から説明をさせていただいたところなんですけれども、これは与党税制改正大綱の中で、適正な記帳の確保に向けた方策を講じつつ、事業所得等の適正な申告に向けた取組を進めるということにされておりますので、青色申告をしていない事業主の記帳レベルを引き上げていくということが重要なことははっきりしていますけれども。
いずれにいたしましても、これは以前から所得税法第五十六条を見直すべきとの御指摘を受けておりますので、これは引き続き丁寧に検討させていただきます。
○大門実紀史君 終わります。