<議事録>
○大門実紀史君 大門です。
まず、経済の今の認識について少しだけ伺いたいと思います。
先日の本会議でも安倍総理に質問いたしましたし、今日も大塚さんからもありましたので、ダブらないようにお聞きいたしますけれど、要するに、いろんな数字を政府は挙げてこられておりますけれども、それでも国民の七割以上が景気回復を実感していないのはなぜかということで、それでまた改めて数字を言われても、また同じことの繰り返しになるんですけど、そういう数字があるけど、なぜ実感がないのかということなんですが、いろいろあの本会議では指摘をさせていただきましたが、総理からかみ合った答弁はなかったわけでございます。
加えて申し上げたいのは、GDPの数字が膨らんでいると。にもかかわらず、国民の多くが実感がないのは、もう一つ、本会議では言いませんでしたけれども、格差の拡大があるのではないかという点です。つまり、GDPもどこに偏って膨らんでいるかと、どこが低迷しているかというところに、その低迷しているところに実感を感じない方々がたくさんいるのではないかということでございます。その点で、アベノミクスの中心は異次元の金融緩和ということで、後で日銀にお伺いするんですけれども。
つまり、円安・株高政策とは言いませんが、誘導があって、結果的に誘導になって、大企業の利益は輸出をする企業中心に純利益が二・三倍、株を持っている富裕層の資産は一・五倍ということになったわけです。しかし、株を持っていない方とか、輸出大企業、大企業と関係のない人たちにとっては、そういう恩恵はほとんどないわけでありますので、八〇年代後半のバブルのときは、同じ金融政策のバブルではありましたけれど、株価の上昇、利益の上昇が賃金に波及するような賃金と雇用の構造がありましたから、まだ給料も上がるというのがあったんですけれど、まあいいか悪いかは別にしてですね、今はその賃金に波及する回路がシャットダウンされておりますので、昔と違って、非正規を増やす、正社員減らすということですね。
したがって、幾らそういう株が上がっても回らないということが続いているわけでありますので、つまり、大企業と中小企業、大企業の労働者でも正社員と非正規の人たち、あるいは大企業と中小企業という、大企業労働者と中小企業労働者ですね、というのは、格差が広がっていると。そういう中でGDP全体が増えても、回らない人たちがたくさんいると。それで実感が得られないというのも一つの大きな理由ではないかというふうに思うんですけれど、麻生大臣、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) これは、数字とは違って実感の話なんだと思いますので、確かに、そうですね、ちょっと世代が違うのかもしれませんけれども、私、東京に出てきて学校に入ったときに、革のランドセルをしょっている人というのは全校で一人だったと記憶します。学習院に入ったんですけど、制服を着ていたのが、全学生の三分の一は着ていなかった、そういう時代。
小学校を出るときに、六年後、どうなったかといえば、全校で革のランドセルじゃなかったのが私と私の弟二人、あとは全員革のランドセルに変わっておりましたので、世の中が経済的にわあっと良くなっているというのは実感しましたし、中学に入ったときに、麦の弁当、麦飯で弁当を食っているのはもう三年生で私一人しかいませんでしたので、そういった意味では実感はしますよ。そういうのが一番実感する話でしょう。私はそう思っていますから。
だから、そういった意味ではえらい目に遭いましたので、吉田茂の孫のおかげで割を食った話ばっかりしかなかったんで、そういう実感が私にはあるんですけれども。
今言われましたように、やっぱり給与の話というのはかなり大きな話でして、あのバブルのときはと言いますけど、あのバブルのときに、税金を見ていただいたら分かりますが、あのときの税金は、増えたのは所得税ですよ。所得税だけがばあんと増えて、あとの法人税やあれは伸びていませんから。しかし、今回は、所得税も法人税も、いわゆる基幹三税と言われる、消費税も含めて全部上がっているというので六十二兆ということになっているので、内容としては今の方がはるかにいいことははっきりしています、数字の上では。
しかし、今言われたように、給与の面でいったらどうかと言われる点は、この間からもお話し申し上げているとおりで、少なくとも、企業収益が上がっている割にはその収益の内容が、設備投資に回る分も意外と少なく、配当に回っているのは意外と前に比べて増えましたけれども、いわゆる給与という部分に関して言わせていただければ、企業が年間二十五、六兆の利益剰余金、内部留保に増えている割には、少なくとも設備投資が七、八兆、所得というか賃金で五、六兆、残りが内部留保ということになっているような状況というのは、少なくとも、やっぱり賃金に対するものが最初の六年前はマイナスだったとあのときは記憶しますんで、その頃に比べれば増えてきているとはいえ、少なくとも企業の利益の剰余金の割には少ないというのが、私どもも同じような感じは持っておりますので、その点に関しましては、そういった給与を支払う、積極的に支払っているところに対してのいわゆる税制面の支援をしたり、いろいろさせていただいてはおりますけれども、今言われたのは、実感としてそういう感じがあるのではないかというのは、私どもも同じ実感があります。
いわゆる配当性向、そうですね、労働分配率が全然、昔は七四、五%あったのに、今は六五、六に下がっていませんかね。そんな感じがしますんで、そこらのところが、企業者の経営マインドとしては、そこらの点の発想が大きくマインドが変わっていかなきゃならぬというのが、我々も同じような実感を持っているのは確かです。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
そこで、今日は、その格差を広げた異次元の金融緩和政策について質問をしたいというふうに思います。政策論議ですので、本来なら黒田さんに来てもらうところでございますけれど、最近元気がないというか、答弁も痛々しい感じがしますけど、そこで今日は元気な雨宮さんに来ていただいたわけですけど。
異次元の金融緩和、アベノミクスの中心で、これは日銀が勝手にやっていることじゃなくて、二〇一三年の共同声明からスタートしておりますので、政府の政策そのものだというふうに思いますけれども、したがって、日銀単独で、まあ出口の議論がさんざんされていますけど、日銀単独で方向転換するのは難しいのかも分かりませんけれど、ただ、私は、もう出口は見えないというところまで来ちゃっていて、出口に向かって、正常化に踏み出して出口を探るというような段階ではないかなと思っておりますけど、それを本当に、これお世辞じゃなくて、雨宮さんと一度じっくり議論させてもらったことありますけれど、かじ取りができるといいますか、方向を変えるときのことを考えられるのは雨宮さんしかいないんじゃないかという点も思っておりますので、今日は雨宮さんに来てもらったということでございます。
政策の話の前に、資料をお配りいたしましたけれど、一点だけ、この間マスコミで話題になっている点について確認だけしておきたいと思います。
配付させていただいたのは日銀が出しております展望レポートの一月なんですけれども、何がマスコミでちょっと話題になったかといいますと、一番右の欄ですね。消費税引上げ、教育無償化政策の影響を除くケースというのがあります。今までも消費税引上げの影響を除くケースというのはこういうふうに書かれてきて、今回はわざわざ「(参考)」となっていると、参考値になっていると。
これはどういう意味なのかと。今まで参考値というのは、参考というのはなかったんですね。こういうふうに書いてあったんですけど、参考じゃなかったと。この参考に入れた点について、朝日新聞含めていろんな書き方をされております。
つまり、特に不正統計とか数字のかさ上げが問題になっている時期なので、特にそういうふうに思われたのかも分かりませんが、要するに、日銀は二%の物価上昇目標を追いかけていると。当たり前のことですけど、消費税の二%分は、引上げ分はそれには入らないと。それは一時的なものだから、除外したもので日銀の目標は考えていると。これは従来、最初からそうですよね。にもかかわらず、今回、参考としちゃったものだから、何か日銀が本来目指すべき目標値の方が参考扱いになっているというので、簡単に言いますと、二%が達成できないので、もう何といいますか、少しでも、消費税の影響を含んでもいいから、少しでも高い見通しを出したがってそうしたのではないかというふうな書かれ方をしているわけですけど、私は誤解ではないかなと実は思っておりまして。
改めてお聞きしたいんですが、なぜ参考というのをわざわざ入れたのか、今回からですね。それと、あくまで日銀の二%の目標というのは、消費税、あっ、一時的ですよね、一時的なそのときなんだけど、消費税上げたのは入れない、除外したものでの二%目標と、これは変わらないですよね。その点だけちょっとお願いします。
○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。
まず、済みません、総裁の黒田でございますが、先週末からスイスのバーゼルのBISの総裁会議に出席しておりまして、多分ちょうど今頃成田か羽田に着いたところでございますので、大変今日は失礼いたしました。御容赦いただければと存じます。
その上で、物価の問題でございますけれども、御指摘のとおり、私どもは、物価を判定する際には一時的な変動要因の影響を取り除いた基調を把握するように努めているわけでございます。そうした観点から、一時的な変動要因ですとか大きな変動を取り除いて基調を判断するということで、例えばコアとかコアコアといった手法を採用もしているわけでございます。
今回について申し上げますと、ちょうどこれは脚注で、今先生御指摘の脚注でもお示ししたとおり、税率引上げに伴います物価に対する影響と教育無償化政策に伴う物価ヘの影響がほぼ大体同じぐらいということでございますので、これを一つの政策パッケージ、対応として捉えると物価への影響は比較的軽微ということで、脚注で解説するという扱いにさせていただいたということでございます。
基本的な考え方としては、先生御指摘のとおり、先ほど申し上げた物価の基調の判断という観点から申し上げますと、消費税の引上げなどの一時的な要因で物価上昇率が二%まで上昇したとしても、事後的にはその影響が剥落するということが見込まれるような場合には、これは物価安定が実現したと判断することはできませんので、基調を判断するときにはそのような一時的な要因は除外して考えるというのは先生御指摘のとおりでございます。
○大門実紀史君 ですから、参考というのをもっと、今までなかったんだから取られた方がいいんじゃないかな、誤解されるからね、というふうに思います。
それと、今おっしゃったように、影響が軽微だというのは、下の注三のところに、引き上げた場合は何%物価が上がるけれども、教育の無償化等を含めてマイナスがあって、プラスマイナス軽微だというのが注三に書いてございますが、これは、ちょっとこれ詳しく追及するつもりはないんですけど、ちょっと余り機械的で、本当にこうなのかというのを、これ一つの仮定なのでね、これそのものがちょっといかがなものかというのは思っているところであります。
いずれにせよ、参考というのは取られた方が、余計な誤解を生まないんじゃないかと思いますので、それだけは指摘しておきたいと思います。
異次元の金融緩和ですけれども、二%の物価目標を当初二年間で成し遂げるというふうに打ち出したわけですけれども、それが六年たってもできないということで、この間、この前の予算委員会でも本会議でも野党の批判が、そのなぜ二%できないんだというところにかなり集中しているわけでございます。
ただ、改めて今回、その異次元の金融緩和がスタートした頃の、二〇一七年の三月のこの委員会の議事録を見てみますと、黒田総裁は自信満々に二年で二%やれるというふうにおっしゃっておりまして、そのときのこの委員会というのは、与党はもちろんですけど、野党の議員も二年でやれると、自信を持って頑張れというような激励、持ち上げの、私以外ですよ、質問が相次いで、随分野党も変わったなというふうに私は実は見ているわけですけれども。
そんな中で、議事録読んでいて思ったのは、冷静に見ておられた方が一人いらっしゃいますね、いらっしゃいました。麻生財務大臣でございまして、三月二十一日のこの委員会で中西委員長の質問に答えて、二年で簡単に行くもんかいなと正直思わないではないというふうに麻生大臣はおっしゃっているんですね。本当に先見の明があったと、私と同じだと思いますけど。
なぜ、麻生大臣はあのとき二%は簡単に行かないだろうというふうに思われたのか、ちょっと思い出していただけますか。
○国務大臣(麻生太郎君) 最近記憶がないって表現がはやっておるそうですけれども、今ちょっと、何を言ったかちょっとよく読んでみないと分からぬのですけれども、少なくとも、あの頃はみんな各国大体二%ぐらいのものを目標とするとイギリスも言い、ドイツも言い、みんな言っていたんですよ、あの頃。したがって、その頃は二年で二%とかいう話が日本銀行との間ででき上がったというのがあの当時の記憶なんですけれども。
そのときに、私の場合は、石油の値段が当時百何十ドルだった時代からごそっと下がって三十ドルなんという時代になって、四分の一ですよと。そういった時代にどう考えても物価に関してはマイナス影響を与えるんだし、日本の場合はデフレーションで、ほかの国とは違ってデフレーションからスタートしていますので、そういった状況の中で、こういう国際的な状況で二%上がるかねというのが正直な実感でして、大門先生の数値を詰めた上で話なんというのは、私には全くそういった趣味はありませんので、全体的な思い付きで、ぱっとした勘では行くかなという感じがあったのでそう申し上げたというような記憶であります。
○大門実紀史君 中西さんとの議事録見ていると、何かそういうことを、二%やれるというようなことを言う学者の方もおられて、やっぱり学者というのはこんなものかなと、実体経済が分かっておらぬなというようなこともこのときにおっしゃって、まさにそういう実感なんですよね。
それと、デフレを克服することは重要でありますけれど、デフレの原因の処方箋が違うんではないかというふうに私は何か思っているところでございます。
で、雨宮さんに、黒田さんには何回も聞いているんですけど、雨宮副総裁に改めて聞きますけれど、二年どころか六年もたつのになぜ二%が達成できないのか、雨宮副総裁としてのお考えを聞きたいというふうに思います。
○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、まだ二%の物価安定の目標は実現できていないわけであります。
その背景、いろいろ複雑な要因があろうかと思いますけれども、一つは、先ほど大臣からも御指摘もありましたが、二〇一四年以降の原油価格の大幅な下落等を背景に、それまで上昇した人々の物価観、いわゆる物価上昇率予想がまた落ち込んでしまったということが一つございますが、より大きな、根源的な背景としては、やはり相当長期にわたる低成長ですとかデフレの経験を背景に、企業サイド、あるいは家計サイドも、物価、賃金は上がらないんだ、上がりにくいんだということを前提とする考え方、これをざくっと申し上げればデフレマインドということになるんだろうと思うんですけれども、やっぱり二十年掛けてこれを定着したものを変えるのに相当時間が掛かっているということがやはり大きな要因かと思います。
それに加えて、ここ一、二年、私どもが大変注目しておりますのは、これ、言わば日本の企業の得意分野かと思うんですけれども、労働力不足を一つのきっかけに相当生産性上昇の取組が始まっておりまして、賃金やコストの上昇を、生産性向上、技術進歩、IT技術、あるいは事業再編を伴いながらコストを吸収すると。結果的に生産性上昇になるわけですけれども、そういう努力が目に見えて始まっておりまして、これ自体は日本経済にとっては明らかに良いことが起きているわけでありますけれども、これも物価を上げにくくする要因として作用し始めているように思っております。
○大門実紀史君 消費税増税は別にして、経済というのは元々生き物ですから、デフレマインドの問題から、原油価格の問題から、いろんな外的要因で起こるのは当たり前のことで、そういうことは、織り込むのは難しいかも分かりませんが、いろいろ想定してやっぱり目標というのを立てるべきであって、非常に、そもそも、さっき申し上げましたけど、このデフレを克服するというのは大事なことだということは思っておりましたけれど、原因といいますか、原因の捉え方、金融政策の結果だみたいなのがありましたから、金融政策であると、だから無理があったんじゃないかと。私どもは賃金デフレではないかということを主張してきたわけですけどね。
そういうのがあってなんですが、いずれにせよ、私思うのは、二%という目標、二という数字が間違っているとかいうふうには思わないんですけれど、目標というものの立て方といいますか、位置付けといいますか、何というんですかね、それがちょっと違うんではないかと。
つまり、欧米のセントラルバンクの場合は、がんじがらめでどうしてもやるということじゃなくて、政策目標ではありますけれど、それはやれないこともあると。必ずいついつまでにやらなきゃいけないというのは、ちょっと何か命懸けみたいなそんな目標ではないんですよね。
日銀の場合はなぜそういうふうに、もう自分で自分の首絞めていると今思うんですけど、その目標がですね、なってきたかというと、当時のインフレターゲット論、あれが強烈に影響してこんな目標の立て方になってしまって、それに縛られているんではないかというふうに思うわけです。
つまり、あのときは日銀がそんなに政治家の圧力に屈しないと、速水さんから始まって、軽々しく金融緩和はできませんというような姿勢があって、その日銀に対してやれやれやれという政治的な圧力があって、言うこと聞かなければ総裁を辞めさせる、日銀法改正して解任権を持つということとかいろんなことがあったので、そういう質問をされる議員もいっぱいいたわけですよね。で、安倍内閣が復帰するときに、まさにインフレターゲット論を掲げて復帰されたと。
したがって、何というんですかね、あのインフレターゲット論の議論がなければ、欧米のように政策目標は掲げてもいろんな要因でやらないこともある、まあ努力はしていくというようなものになったのが、本当に首が懸かったような目標になってしまったのは、あのときのインフレターゲット論があるんではないかと、それにいまだ縛られているのではないかと思うんですよね。
そういうふうに考える必要はないんではないかと思うんですけれど、麻生大臣、いかが思われます。この二%にこだわってこだわってこだわって、やり遂げるまでもう今の政策やり続けるやり続けるやり続けると。どう思われます。もういいかげんどうですかね、これ本当に。
○国務大臣(麻生太郎君) これは先生御存じのとおりに、この種の話、この種の話というか、この金融政策の話は、これはかかって、ちょっと財務省が口を差し挟むのは非常に問題が起きるところなんで、ちょっと発言としては御希望されるような答えを私の口から申し上げるわけにいかないんですが。
少なくとも世の中、二%に行っていないからといって怒っている一般の庶民がいるかと。僕は一人もいないと思いますね、私の知っている範囲では。上がらなくて何が悪いのというのは普通の人の感情なんだと思いますがね。したがって、この二%というのに、やっぱり最初に目標に掲げましたので、どうしてもそれをやらざるを得ないという形のものになっているんだと思いますが。そのためそればっかりが頭にこびりついちゃっているんじゃないかと言われると、ちょっと黒田さんの頭の中までちょっと分解しているわけじゃないんで、よく分かりませんけれども。
全体として、今おっしゃるように、ドラギ、ドラギって欧州銀行の総裁ですけれども、この人なんかの話聞いていても、まあ先生と同じように極めてアバウトに、大体、大まか、大体っていう話で、物すごくきちんとしていない。頭にきて、これだけは絶対と言って、一・九九じゃ駄目で二・〇じゃなきゃ駄目だというような発想は全くありませんから、そういった意味では少し考え方を柔軟にやってもおかしくはないのではないのかという感じは率直私もいたしますけど、ちょっとこれから先はちょっと日銀の金融政策の話になりますので、差し控えさせていただきます。
○大門実紀史君 本当に貴重な発言をしていただいたと思います。
このまま、二%があるものだからどんどんどんどんいろいろやっていこうとすると、もう何度も指摘されているように、ハイパーインフレになるのか、日銀の利払いが膨らんで大変なことになるのか、いずれにせよいいことはないというふうにみんな思っているわけですね。ただ、だからこのままでいいのかということで、出口どうするんだという議論がさんざんされているわけですけど。
私は、もはや出口は見えない状況になっていると、もっと早く出口のことを考えるべきであったと思うんですけど。少なくとも、だからといってこのまま行っていいというわけじゃなくて、やっぱり正常化の方に踏み出して出口を探るということに入らなきゃいけないんじゃないかというふうに思いまして。
前回、委員会でも紹介させてもらいましたけど、私、本書かせてもらって、雨宮さんに謹呈しようと思ったら既に買って読んでいただいたということで、さぞや気分を害されたと思うんですけど、日銀批判ですから。ただ、提案も入っておりまして、正常化に向けて、まずやっぱり二%の呪縛から解かれなきゃいけないと。掲げてもいいんですけど、掲げるのはいいんだけど、どうしてもやらなきゃ、それまでやるとかじゃなくて、もう少し政策的なものに変えてもいいんじゃないかということと、もう一つ、一番大事なのは、国債の保有をどう減らすか、あるいは、後で申し上げますが、ETF、株をどう減らすかというときに、率直に、率直にもう市場関係者に協力を求めていくといいますか、もう対話を始めていくといいますかね。国債も、国内で保有されているのが多いうちに、今のうちに国債の国内の保有者、機関投資家も含めて、多いうちにそういう対話を始めていくことが重要ではないかというふうに思います。
ちょうどJPモルガンのエコノミストの方も、もうこういうことをおっしゃっていますね。将来の手じまいの道筋を市場関係者と正面から議論すべきときに来たと。JPモルガン、投資を促進するようなエコノミストまでもそういうことを言う、私と同じようなことをおっしゃっているわけでございまして。
今までサプライズばっかり狙ってきた日銀なんですけれど、これからは本当に対話を、対話に入って、堂々と、恐れないで市場関係者と対話を、率直な対話に入ってやっぱり正常化の道に踏み出すべきだと思いますけれど、雨宮さんのお考え、聞きたいと思います。
○参考人(雨宮正佳君) 御指摘のとおり、その出口の局面になりますと、課題としては、金利水準をどうやって調整するか、オペレーション上どう対応するかということと、この増大したバランスシート、国債や株式の保有をどう処理するかという大きな二つの課題があるわけでございます。
私ども、政策手段としては、例えば保有国債の償還ですとか、いろいろな短期オペレーションも利用しながら、対応は十分可能であるというふうに考えております。問題は、マーケットとうまくコミュニケーションしながらそうした手法をどうやって使っていくかということでございますので、その際には、マーケットのコミュニケーションが重要であるという点は先生御指摘のとおりだろうというふうに思っておりますので、いずれかの時点で、今申し上げたような点に関する戦略や方針について、あるいは出口の進め方について情報発信していくということは必要であり、重要であろうと思っております。
ただし、これはあくまで、先ほど先生からいつ出れるか出れないかというお話がございましたけれども、やはりその物価安定の目標、二%の目標が見えてきた段階で議論を始めるべきことであると考えておりまして、今の段階では、まずはこの物価安定目標の達成に全力を挙げていくことが重要であるというふうに考えておりますが、いずれそこの出口に向けた戦略や方針については適切に情報発信していく、あるいはコミュニケーションしていくことは必要であり、重要であるということは十分認識しているつもりでございます。
○大門実紀史君 ですから、二%を取り下げないと動きが取れないですよというふうに申し上げているわけでありまして、このまま続けていくようになっちゃうわけですね。
資料の二枚目ですけれど、国債よりも減らすに減らせない、売るに売れないのが株式、日銀が保有する株式ETFでございます。今もう二十九兆円に膨らんできております。
ちょっと改めてお聞きしますけれど、これ何のためにETF、そもそも増やして、保有を増やしてきたんでしょうか。
○参考人(雨宮正佳君) もう先生御案内のとおりだと存じますけれども、ETFの買入れでございますが、現在の緩和政策の枠組みの一つの重要な要素として、株式市場のリスクプレミアムに働きかけることを通じて、経済、物価にプラスの影響を及ぼしていくという観点から実施しているものでございます。
○大門実紀史君 リスクプレミアム縮小の効果がどうなのかとかいろいろ聞きたいことはあるんですけど、要するにこれも、何といいますか、一月末ですかね、株価急落したときに、まあ持ち直しましたけど、日銀が七百億ぐらいですかね、後から分かって、株をETFで買い支えたと。その七百億ぐらいが全体を支えるだけの金額とは思わないんですよ。日銀が支えたと、今までも支えたと。これが、この効果が大きくて、金額じゃなくてね、それが続きますと、下がっても日銀が支えてくれるだろうということでまた買うと。要は、結果的に株価の下支えを、日銀が意識しているとまでは言いませんけれど、そういうふうになっちゃっていますよということは、やっぱり市場の価格形成をゆがめているという点で副作用として認識をもうちょっときちっと持っていただきたいのと、もう一つは、日銀自身がこの株を保有し続けますと、急落したときにやはり損失が生まれるわけですよね。
ちょっとお聞きしたいんですけれど、今、日銀が保有しているETFは、簿価の関係ですが、日経平均が幾ら以下になると簿価割れになるのか。これ、昨年九月末の公表値とか一定の条件の下でも結構ですから、日銀保有ETFが簿価割れになるのは日経平均が幾ら以下になったときなのか、ちょっと教えてもらえますか。
○参考人(雨宮正佳君) 御指摘のとおり、私ども、上半期末及び事業年度末についてETFを含む保有有価証券の含み損益を公表しておりますので、現時点での公表資料が昨年の九月末ということでございますので、それを前提に申し上げますと、機械的に試算しますと、日経平均株価が一万八千円程度を下回ると保有ETFの時価が簿価を下回るという状況になるという試算でございます。
○大門実紀史君 つまり、一万八千円、日経平均下回ったら簿価割れになっていくということが、一つの仮定を置いたそのときの数字ですけれど、これは十分あり得ることで、いろいろ経済、株価については不安材料出てきておりますから。それで、どうされていくのかなと思うんですけれども。株価があの一月のようなことがぼんぼんと更に続いたり、やったときに、日銀は自分の、自らのためにも支えるということもあるかも分かりませんが、要するに金融の世界というのは、何といいますかね、楽観論というのは、暴落する前日まで楽観論が続くというのが金融の世界でありますので、急に訪れるわけですね。
そういう点でいくと、いろんなことを考えておかなきゃいけないわけでございますけれども、簿価を、日銀が保有するETFが簿価を割って損失が膨らんでいった場合、赤字転落といいますか、資本が減るということになると思うんですけど、どういう対応がなされることになるんですか。仮定の話で結構ですよ、これが、ずっと簿価が割っていった場合、どういう対応になるんですか。私が申し上げたのは、引当金積むというのは、これは当たり前の話で、それも超えての場合の対応として、どういうことが準備されるべきなんでしょうか。
○参考人(雨宮正佳君) まず、御質問のETFの時価が簿価を下回った場合には、これは損失を積むことになるわけでありますけれども、日本銀行の収益は、このほか国債の利息収入ですとかETFの分配金等もありますので、どういう条件になると全体として赤字になっていくかというのはいろいろな要因によって決まってまいりますので、今の一万八千円がそういう状況になるということではないわけであります。ただし、収益については下押し要因になっていくわけでありますけれども、そのために私ども準備金というのを持っておりますし、そうした準備の範囲内で対応をするということがまず第一になると思います。
ただし、あくまで御理解いただきたいのは、私どもの目的は、何といっても物価の安定の下での経済の安定の発展に資するということが目的でございますので、あくまでこうしたバランスシートの問題、あるいは収益の問題もしっかり念頭に置きながら、まずは中央銀行としての使命達成を優先して政策運営をするということになろうかと存じます。
○大門実紀史君 もう終わりますけれど、指摘だけしておきたいのは、国債の保有リスクもありますが、ある意味ではこの株の保有リスク、大変高いものがございまして、一遍に何兆円の損失を生むわけですね、場合によっては。そうしますと、日銀の、国に対しては国庫納付金ができなくなる、あるいは日銀そのものが資本が減ると、政府が資本注入ということも最悪の場合あるわけですね、そういうことにつながっていく。そうなると、通貨の信認そのものも低下して、非常に経済パニックを引き起こす可能性も、この国債のリスクからだけじゃなくて、株の保有からもそういう道筋はあり得るので、この株の保有については、本当にこれも方向転換をよく考えていただきたいという点を指摘して、今日は質問を終わります。
ありがとうございました。