国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi ● ● ● ●


■2019年3月8日 本会議 大企業優遇 見直せ/「増税対策」を批判
<赤旗記事>

2019年3月9日(土)記事

大企業優遇 見直せ
大門氏「増税対策」を批判
参院本会議 所得税法等改定案

質問する大門実紀史議員
=8日、参院本会議

 10月の消費税増税に向けた「対策」を柱とする所得税法等改定案の趣旨説明と質疑が8日、参院本会議で行われました。

 日本共産党の大門実紀史議員は、消費税増税を強行すればいくら「増税対策」を行っても消費を落ち込ませることは明らかだと述べ、大企業・富裕層優遇税制を見直すだけで数兆円財源が生まれ、消費税増税の必要などまったく必要ないと主張しました。

 安倍政権下の6年間で増えた就業者のうち7割は65歳以上の高齢者です。大門氏は、高齢者が年金だけで生活できず働かざるを得ない一方で、企業が低賃金の定年退職者の再雇用を増やしてきたと指摘。「賃金を抑えたい企業と、政府の年金切り下げ政策で働かざるを得なくなった高齢者の『マッチング』によって雇用が増えただけだ」と批判しました。

 大門氏は、返済が不安で奨学金を借りられないことや高学費などを理由に学生アルバイトも増えたと述べ、どちらも「一国の総理が誇れるような話ではない」と糾弾。安心できる年金制度の確立と、学費の大幅引き下げや奨学金制度の抜本的改善を要求しました。

 安倍首相は「高齢者への対策は社会保障全体で総合的に講じる」「これまでも進学支援の充実を図ってきた」などと強弁しました。

 大門氏は「庶民に増税するより、もうかって余裕のあるところに負担を求めるべきだ」と主張。主に大企業に適用される研究開発減税や、富裕層ほど優遇される証券税制などの見直しを求めました。

<議事録>

○大門実紀史君 日本共産党を代表して、所得税等改正案に関連して質問します。
 まず、現下の経済情勢について、安倍総理の認識を伺います。
 総理は、総雇用者所得や名目賃金の増加などを挙げて、景気は回復していると自慢してこられました。しかし、どの世論調査を見ても、景気回復を実感しているは一割台にすぎず、逆に、実感していないは六、七割、圧倒的多数となっています。なぜ総理の認識と国民の実感との間に乖離があるのか、丁寧に説明をしてください。
 多くの国民が景気回復を実感できないのは、実際に暮らしが良くなっていないからです。総理がしきりに持ち出される総雇用者所得は、労働者一人当たりの賃金に雇用者数を掛けた数値です。したがって、実質賃金が下がる下で実質雇用者所得が増えたのは、低賃金の労働者が増えた結果にほかなりません。
 しかも、衆議院の質疑で我が党の志位委員長が指摘したように、安倍政権の六年間で増えた就業者三百八十四万人のうち、七割の二百六十六万人が六十五歳以上の高齢者です。内閣府の調査でも示されているように、その多くは、年金だけでは生活できず、働かざるを得ない高齢者です。一方、企業も、業績が伸びても、正社員の新規採用を抑え、低賃金で雇える定年退職者の再雇用を増やしてきました。
 総理は、高齢者にも仕事があるという状況を自分がつくり出したかのように言われますが、実態は、賃金を抑えたい企業と政府の年金切下げ政策で働かざるを得なくなった高齢者とのマッチングによって雇用が増えただけのことです。こんなことは、一国の総理が誇れるような話ではありません。
 今総理に求められているのは、年金削減をストップし、安心できる年金制度を確立してほしいという働く高齢者の願いに真っすぐに応えることではありませんか。
 また、学生のアルバイト就労が七十四万人も増加しています。一昨日の予算委員会で我が党の吉良よし子議員が指摘したように、学生の就労が増えているのも、学費が高い、親の収入が減り仕送りが減少した、奨学金は将来の返済が不安で借りられないなどの生活苦が一番の理由です。つまり、アベノミクスで新たな雇用が増えたから就業者数が増えたのではなく、アルバイトで働かざるを得ない学生が増えたから就業者数が増えたのです。これも、総理として誇れるような話ではありません。むしろ、先進国で最低レベルの教育予算や貧弱な奨学金制度が学生たちを働かざるを得ない状況に追い込んでいる、その責任を自覚すべきです。
 限定的な無償化にとどまることなく、学費の大幅引下げ、奨学金制度の抜本的改善に踏み出すべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
 以上指摘したように、この間の就業者数の増加は、経済政策の成果どころか、暮らしに冷たい安倍政治の結果です。野党の指摘に一々反論するのではなく、もっと謙虚に耳を傾けるべきです。
 昨日内閣府が発表した景気動向指数も、三か月連続悪化しています。国民多数の暮らしが良くなっていないことを端的に示すのは、家計消費の落ち込みです。
 二〇一四年の消費税増税後、二人以上世帯の実質家計消費は、年換算で二十五万円も落ち込んでいます。消費が回復しないのは、国民の購買力が上向かないからです。購買力は、名目ではなく実質の賃金によって決まります。総理が幾ら名目の数字を強調しても、一人一人の実質賃金が低迷したままでは消費は伸びません。
 したがって、実質賃金が低迷している現在の状況で消費税増税を強行すれば、幾ら小手先の増税対策を行っても、消費を一気に落ち込ませ、二〇一四年増税の過ちを繰り返すことになるのは明らかではありませんか。総理の認識を伺います。
 総理は、今回の消費税増税の目的について、教育の無償化などの少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するためだと説明されてきました。
 しかし、本来、少子化対策も社会保障も、消費税増税と引換えにするような問題ではありません。このロジックでいけば、今後、教育の無償化を一層拡大してほしいという声が上がれば、それならば消費税の更なる増税を受け入れろ、そういう話になりかねません。それは事実上の消費税の目的税化ではありませんか。総理の答弁を求めます。
 そもそも、なぜ社会保障の財源というと、逆進性のある消費税しか思い浮かばないのでしょう。ヨーロッパ各国は、付加価値税だけでなく、応能負担の原則の下、法人税や所得税、社会保険料などを組み合わせて社会保障財源を賄っています。社会保障財源に占める付加価値税の比率は高くないのです。それは、国として所得の再分配機能を重視しているからです。
 この間、アベノミクスの異次元の金融緩和による円安、株高誘導によって、資本金十億円以上の大企業の純利益は、一二年度の十九・五兆円から一七年度の四十四・九兆円に、二・三倍にも増加しました。金融資産一億円以上を保有する富裕層の資産も百四十四兆円から二百十五兆円に一・五倍に増えています。苦しい生活を強いられている庶民に増税するより、こういうもうかっている余裕のあるところに負担を求めるべきではありませんか。
 にもかかわらず、今回の税制改正では、研究開発税制の拡充によって更に大企業の負担を減らそうとしています。先月公表された財務省の資料によれば、二〇一七年度分の研究開発税制による減税総額は六千六百六十億円、そのうち上位十社だけで千九百七億円、実に三割近くを占めています。減税額トップのトヨタは一社で約八百億円もの減税です。製造業だけでも数十万の会社がある中で、余りにも特定の巨大企業に偏った減税です。
 研究開発税制の大半を占めるのが総額型という仕組みです。総額型は、研究費の総額を基準に減税するため研究費が減っても減税になります。研究費を増加させるインセンティブなど全くなく、ただの補助金と同じです。政府税制調査会も、二〇一四年に総額型は大胆に縮減すべきだと指摘しています。
 麻生大臣、なぜ四百四十兆円を超える史上最高の内部留保を積み上げている大企業に巨額の補助金を出し続ける必要があるのですか。中小企業に対する支援は重要ですが、大企業向けの研究開発減税については、この際抜本的な見直しを行うべきです。答弁を求めます。
 また、巨額の株取引をする富裕層ほど優遇されている証券税制については、昨年の与党の税制大綱でも公平性の観点から見直しを検討するとしています。見直しの方向ははっきりしています。株式譲渡益については二〇%でよしとせず、アメリカ、ヨーロッパ並みに税率を三〇%に引き上げ、将来的には総合課税にすべきです。配当については直ちに総合課税にすべきです。他の所得と合算する総合課税にすれば、累進税率が適用され、格差が是正され、国の税収も増えます。麻生大臣の決断を求めます。
 これら大企業、富裕層優遇の税制を見直すだけで数兆円の財源が生まれます。景気を悪化させるだけの消費税の増税など全く必要ありません。我が党は、消費税増税中止の一点で共同を広げ、増税阻止のために全力を尽くします。その決意を申し上げて、質問を終わります。(拍手)

   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大門実紀史議員にお答えをいたします。
 景気回復の実感についてお尋ねがありました。
 二〇〇〇年代の景気回復はデフレ下での成長であり、名目GDPの成長は期間全体で二・五%にとどまったのに対し、今回の景気回復では、アベノミクスの三本の矢で取り組み、もはやデフレではないという状況をつくり出す中で、名目GDPは一〇%以上成長しました。
 また、日銀短観の地域別の景況感では、二〇〇〇年代の回復期を通じてプラスであったのが関東地方と東海地方のみであったのに対し、今回の景気回復ではこの五年間にわたって、北海道から九州、沖縄まで全国九地域全てプラスで推移しております。全国津々浦々に景気回復の暖かい風が届いています。
 さらに、今回の景気回復では、特に国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しており、二〇一二年から二〇一八年までの六年間で生産年齢人口が五百万人減少する中にあっても、就業者数は三百八十万人増加し、景気回復により仕事が増加したことにより、正社員の有効求人倍率は調査開始以来最高の水準となり、正規雇用者数も百三十一万人増加、そして賃上げも、連合の調査によれば、五年連続で今世紀に入って最高水準の賃上げが実現、中小企業の賃上げは過去二十年で最高となっております。また、この春、高校、大学を卒業される方々の十二月時点の就職内定率は、過去最高の水準であります。確実に経済の好循環が生まれています。
 実感については、様々な世論調査がある中で、平成三十年の内閣府の調査によれば、現在の生活に満足と回答した者の割合は七四・七%と過去最高となっており、多くの方々に景気の回復を実感いただいています。
 また、実感できないと感じる方もいらっしゃることも承知をしており、今後とも、少子高齢化が進む中にあっても、我が国経済が力強く成長し、国民一人一人に景気回復の波が広がっていくよう、あらゆる政策を総動員してまいります。
 安心できる年金制度の確立についてお尋ねがありました。
 平成十六年の改革により、将来世代の負担を過重にすることを避けつつ、制度を持続可能なものとするため、将来の保険料水準を固定し、その範囲内で給付水準を調整する仕組みを導入しました。これにより、物価等の上昇率ほどに年金額は上昇しないということとなりますが、現役世代と高齢世代のバランスを確保しつつ制度の持続可能性を高める仕組みとなっており、平成三十一年度は年金額がプラス〇・一の改定となっております。
 その上で、低所得の高齢者の方への対策については、既に、年金受給資格期間の二十五年から十年への短縮や、医療、介護の保険料負担軽減を実施したほか、今年の消費税率の引上げに合わせて、低年金の方への年金生活者支援給付金の創設、介護保険料の更なる負担軽減を実施するなど、社会保障全体で総合的に講じることとしています。
 さらに、人生百年時代の到来を見据えながら、元気で意欲あふれる高齢者の皆さんが、希望すれば、年齢にかかわらず、学び、働くことができる環境を整えることが必要です。既に、未来投資会議において、こうした観点から生涯現役時代の雇用制度改革に向けた検討を開始しており、この夏までに計画を策定し、実行に移す考えです。
 高等教育の無償化についてお尋ねがありました。
 高等教育の無償化については、経済状況が困難な家庭の子供ほど大学等への進学率が低い状況にあることなどを踏まえ、真に支援が必要と考えられる低所得世帯の学生に対し、確実に授業料等が減免されるよう、大学等を通じた支援を行うとともに、学生生活の費用をカバーするために十分な給付型奨学金を支給しようとするものであります。
 また、これまでも、無利子奨学金の対象者の拡大を進めるとともに、経済的理由から奨学金の返還が困難となった方には、返還の期限を猶予したり、将来の収入に応じて返還できる制度を導入したりするなど、きめ細やかな救済措置を講じ、高等教育への進学の支援の充実を図ってきたところであります。今後も、こうした措置を適切に実施してまいります。
 消費税率の引上げと消費への影響についてお尋ねがありました。
 家計消費について、世帯当たりの消費を捉える家計調査の家計消費支出は、世帯人員の減少などから長期的に減少傾向となっております。一方で、一国全体の消費を捉えるGDPベースで見ると、二〇一六年後半以降増加傾向で推移しており、持ち直しています。
 消費を取り巻く環境を見ると、生産年齢人口が減少する中でも雇用が大幅に増加し、国民みんなの稼ぎである総雇用者所得は名目でも実質でも増加が続くなど、雇用・所得環境は着実に改善しており、消費は引き続き持ち直しが続くことが期待されます。
 その上で、今回の消費税率引上げに当たっては、前回の八%への引上げの際に耐久財を中心に駆け込み需要と反動減といった大きな需要変動が生じた経験を踏まえ、いただいた消費税を全て還元する規模の十二分な対策を講じることで、消費を下支えし、景気の回復軌道を確かなものとしていきます。
 なお、御指摘の実質賃金については、毎勤統計では、アベノミクスによる雇用拡大で女性や高齢者などが新たに雇用された場合は平均賃金の伸びも抑制され、さらに、デフレではないという状況をつくり出す中で物価が上昇すれば一層抑えられるという特徴があることに留意が必要だと考えます。
 消費税の社会保障目的税化についてお尋ねがありました。
 国民全てが人生の様々な段階で受益者となり得る社会保障を支える経費は国民全体が皆で分かち合うべきとの理念の下、現役世代だけでなく幅広い世代が負担する消費税を充てるのがふさわしいという考え方に立ち、消費税収については、年金、医療、介護、少子化対策の社会保障四経費に充てることを法律で明確化することで社会保障目的税化されたところです。
 このことにより、お預かりした消費税が国民の皆様に年金、医療、介護、さらには少子化対策という形で用いられ、他の経費には使われないということが明確化されることとなり、消費税を御負担いただく国民の皆様の御理解を得ることに寄与してきたものと考えます。
 その上で、消費税率については、全世代型社会保障の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源確保のため、法律で定められたとおり、一〇%に引き上げる予定です。
 その後について検討を行っていることはありません。
 消費税率引上げと富裕層と大企業に対する税制の在り方についてお尋ねがありました。
 消費税は、負担が特定の世代に集中せず、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定していることから、社会保障に係る費用を賄うための財源としてふさわしいと考えており、今回の消費税率引上げは、全世代型社会保障の構築に向けた安定財源を確保するためにどうしても必要なものであります。
 また、企業に対する税制については、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から成長志向の法人税改革に取り組んでまいりましたが、同時に、租税特別措置の縮減、廃止等による課税ベース拡大により財源をしっかり確保しております。
 また、これまで、再分配機能の回復を図るため、所得税の最高税率の引上げや金融所得課税の見直し等の施策を既に講じてきたところであります。
 今後の税制の在り方については、これまでの改正の効果を見極めるとともに、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ検討する必要があるものと考えています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

○国務大臣(麻生太郎君) 大門議員からは、研究開発税制、金融所得課税の見直しにつきましての計二問お尋ねがあっております。
 まず、研究開発税制についてのお尋ねですが、議員御指摘の研究開発税制につきましては、これは大企業を優遇するだけのものではなく、将来の経済成長の礎となります企業の研究開発投資を後押しするものであり、利用件数を見ますと、中小企業も含め、幅広く利用されておりますのは御存じのとおりです。
 平成三十一年度税制改正におきましては、研究開発投資の増加インセンティブを強化するという観点から控除率を見直すほか、質の高い研究を後押しする観点からオープンイノベーション型を拡充するなど、めり張りを付けた見直しを行うことといたしております。
 金融所得課税の見直しについてのお尋ねがありました。
 金融所得課税につきましては、平成二十六年度から、上場企業の譲渡益や配当等に係る税率を一〇%から二〇%に引き上げたところであります。これにより、高所得者ほど所得税の負担率が上昇する傾向が見られ、所得再分配機能の回復に一定の効果があったのではないかと考えております。
 なお、上場企業の譲渡益の配当等の課税方式は一律二〇%の分離課税とされておりますが、これにより、税制が金融市場にゆがみを与えないほか、特定口座制度の下で納税者自身が申告を行わなくても簡便な仕組みが実現しているところであります。
 いずれにせよ、金融所得課税を始め、所得税の在り方につきましては、経済社会の情勢の変化も踏まえつつ、不断に検討を行ってまいりたいと考えております。(拍手)

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