<議事録>
<参考人>
東洋大学国際観光学部准教授 佐々木一彰君
静岡大学人文社会科学部教授 鳥畑与一君
阪南大学教授 桜田照雄君
<意見陳述>
○参考人(佐々木一彰君) ただいま御紹介にあずかりました東洋大学国際観光学部の佐々木一彰でございます。このような意見を述べる場所を設けていただきまして、誠に感謝しております。
それでは、特定複合観光施設区域整備法案につきましての私の意見を述べさせていただこうかと思います。それでは始めさせていただきます。
基本的に、私の観点と申しますのは、経済的観点と社会的観点で論争点を御紹介し、その後に、どうあるべきかという話をさせていただく形になるわけであります。
経済的観点からでございますが、もう既に日本は人口減少社会に入ってきております。二〇四七年には一億人程度になる見通しでありまして、定住人口一人当たりの年間消費額は、旅行者の消費に換算しますと、外国人旅行者八人分、国内旅行者、これは宿泊でありますけれども、二十五人分、国内旅行者、これは日帰りに当たりますけれども、八十人分に当たるわけであります。
人口減少社会に入っている中で、新しく経済振興をしなきゃいけないという形になっておりますので、その点を鑑みまして観光立国推進基本法といいますものが作成されたわけであります。
この法律は、御存じのとおり、昭和四十八年に制定されました旧観光基本法の全部分を改正いたしまして、題名を観光立国推進基本法と改めることによりまして、観光を二十一世紀におけます日本の重要な政策の柱として明確に位置付けているものでございます。実際のところは、先ほど申しましたとおり、人口減少分を補うためのものとして観光を一つの基幹産業と見ていこうという考え方の下に作成された法律であります。
先ほども、定住人口一人当たりの年間消費額は旅行者の消費に換算しますと外国人旅行者八人分という話をさせていただきましたけれども、インバウンド振興といいますものがかなり重要になっているということでございます。
二〇一六年三月三十日策定の明日の日本を考える観光ビジョン、世界が訪れたくなる日本へ、概要によりますと、二〇二〇年には訪日外国人旅行者四千万人、二〇三〇年には六千万人と、最も重要な消費額と思われるわけでありますが、二〇二〇年には八兆円と、二〇三〇年には十五兆円を目指しているという形になっております。このような数値目標を出して、先ほど申しましたように人口減少分を補おうという考えであります。
産業としての観光でありますが、二〇一七年の観光庁によります訪日外国人消費動向調査によりますと、訪日外国人は二千八百六十九万人、消費総額は四兆四千百六十二億円で過去最高であったわけでありますが、一人当たりの消費額は十五万三千九百二十一円で、前年比としましては残念なことに一・三%減となっているわけであります。
これは、一つには物消費、事消費ということから考えられるわけでありまして、日本でなければ購買できないという比較優位性が崩れているということも原因のうちの一つとして考えられているわけであります。したがいまして、事消費の重要性が着目されてきておりまして、なおかつ、より高額な物消費を向上させるためには、物にプラスしてその場でしか提供できない事の提供が比較優位を保つために必須という形になっているわけであります。
しかしながら、事消費を拡大するには、必ずしもそうとは言えないんですが、器が必要な場合が多いわけであります。事消費の器を建設するためには莫大な費用が必要となっております。代表的なものとしましてはMICE施設であるわけでありますけれども、MICE施設は建設に莫大な資金が必要であります。
現状、地方自治体等の公的セクターの財政状況を考えた場合でありますが、税金を投入することによって世界規模の大規模なMICE施設を建設しまして、そして維持、投資を回収をすると、その費用を負担し続けることは不可能のように思われるわけであります。そこで考えられますものが、民間の資本によりましてMICE施設を建設することであるわけでありますが、それにも困難が付きまとうわけであります。
これは都市再生の推進に係る有識者ボード、MICE施設機能向上ワーキンググループによります検討結果がもうこれは既に出ておりまして、二〇一三年三月二十八日に第三回参考データ集としまして内閣官房地域活性化統合事務局より公表されております。そこには、MICE施設の建設を民間が全て請け負い、そして、なおかつ運営することは、採算ベース上、不可能だという結論が出ているわけであります。
そして、オリンピック、二〇二〇年にオリンピックが開催されるわけでありますけれども、その二〇二〇年に開催されるオリンピックといいますのは第二回目のオリンピックであるわけです。
第一回目の東京オリンピックでありますが、一九六四年の第一回東京オリンピック後でありますが、オリンピック終了後、需要の急減ですとか過剰在庫といったことが主な原因となりまして、一九六五年には、山陽特殊製鋼が倒産と、そして山一証券は日銀特融を受けるなど、記憶に残っていらっしゃる方残っていらっしゃると思いますけれども、一気に日本の景気は冷え込んだわけであります。しかしながら、当時の内的、外的要因、国債の発行などにより、そして、なおかつ当時は高度経済成長の真っただ中にあったわけでありますので、不景気は一年ほどで収束しまして、再び高度経済成長に戻ることとなったわけであります。
次の、第二回二〇二〇年の東京オリンピック後の話であります。この件につきまして様々な機関等々が検討をしているわけでありまして、けれども、日本銀行統計調査局は、報告書、二〇二〇年東京オリンピックの経済効果におきまして、東京オリンピックがインバウンド観光客に与える影響と直接的、間接的投資が及ぼす影響等について分析を中で行っているわけでありますが、その中で、規制緩和ですとか様々な対策を取ることにより、一層のインバウンド観光客を東京のみならず日本各地に回遊させることが可能であるとしております。ただ一方で、関連する建設投資は、二〇一七年から二〇一八年頃にかけまして増加しますけれども、二〇二〇年にかけてピークアウトする可能性があることも予想しております。
一九六四年の第一回の東京オリンピック後でありますが、当然のこと、当時は景気の落ち込みが見られたわけでありまして、二〇二〇年以降もその傾向が見られる可能性は極めて高いと、なおかつ当時の日本と比べまして勢いとしましては現在はないと私は見ておりますので、それらを一つの緩和する材料としての特定複合観光施設というのは、経済的には効果があるものと考えるわけであります。
しかしながら、今回も様々な論点が上がってくると思われるわけでありますけれども、社会的観点であります。
そのことにつきましては、依存症の問題につきまして一番関心が高いということでありますけれども、二〇一七年の全国調査によりますと、成人の三・六%、三百二十万人程度が生涯のいずれかの一年間でギャンブル障害を疑われる状態と推計しているとなっております。これは、二十年前、三十年前に一時的にギャンブルにはまった人たちの数字も含まれているわけです。ただし、直近一年間では、ギャンブル障害を疑われる状態の成人は〇・八%、これは七十万人、〇・八%に減少をします。
従来、それはいいことではなかったわけでありますが、日本では本格的な依存症教育、介入等は行われていなかったわけでありまして、そのような状態でも、生涯から直近一年間で二百五十万人が自然治癒などで回復している可能性が存在するということであります。直近一年間の他国比較を見てみました場合でありますが、米国が一・九%、英国が〇・八%と、直近一年間でいえば他国と変わりない状態になっているという現状が存在するわけであります。
今自然治癒という言葉を使いましたが、これには研究論文等々が多く出ております。河本先生という精神科医の先生が書かれた論文でありますけれども、モデルで考えるギャンブル障害、臨床精神医学第四十五巻第二十号におきましては、様々なギャンブル依存症に関する論文のレビューを行っております。その中で、ギャンブル障害の疑いのある者の中でコントロールギャンブル、小遣いの範囲内でのギャンブルを取り戻す者も少なからずいると、事によれば八割にも及ぶ可能性があること、そして疫学調査においても一年を超えるギャンブル障害継続率は二〇%から三〇%にすぎない報告もあることに言及されております。
ただ、比率ですとか自然治癒の問題があるといえども、ギャンブル依存症の問題は放置していい問題ではないわけであります。それで、ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議というものが、今回のテーマとなっております特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、整備法の成立を契機に、幅広く、いわゆる既存のギャンブル産業まで包括したギャンブル等依存症全般について、関係行政機関の緊密な連携の下、政府一体となって包括的な対策を推進するために開催されておりました。回数的には、二〇一六年末から二〇一七年まで年三回開催されております。同時に、ギャンブル等依存症対策関係閣僚会議幹事会、これは実務者レベルというか局長レベルの会議でありますけれども、それも四回開催されております。
したがいまして、既存のゲーミング、ギャンブル産業に対する依存症対策につきましてもしっかりと向き合っていこうという姿勢が出ておりまして、その中で、いわゆる既存のゲーミング産業、ギャンブル産業に対しましての依存症対策等々も今現状では整えられつつありまして、実行されつつあるというのが現状であるわけであります。
それをもちまして、もう少し強い規制を与えようという形でありまして、つい最近のことでありますが、ギャンブル等依存症対策基本法が二〇一八年七月六日に成立したわけであります。ギャンブル等依存症でありますが、本人、家族の日常生活、社会生活に支障を生じさせるものであり、多重債務、貧困、虐待、自殺、犯罪等の重大な社会問題を生じさせているギャンブル等依存症対策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民の健全な生活の確保を図るとともに、国民が安心して暮らすことができる社会の実現に寄与すると、そのような法律でありまして、今、既存のギャンブル産業も含めまして、将来もし法律が通った場合でありますが、特定複合観光施設区域が日本に現れるわけでありますけれども、その中を含めまして対策をしていくという制度は整えられつつあるというのが現状であるわけであります。
そして、そのことにつきまして、同じような経路を取ったというものが海外の事例に数多くあるわけであります。
それは、ギャンブル依存症対策でありますけれども、やはりどのような国におきましても、新しいゲーミング産業、ギャンブル産業を導入する場合には、様々な対策が新しく取られたり、若しくは既存のギャンブル産業に対して依存症対策が取られたりということがあるわけでありますけれども、日本政府がベンチマーキングしていると言われておりますシンガポールでは、国、規制当局による有効な対策の結果、国民のギャンブル依存症有病率は、IR開業前よりはるかに減少しているわけであります。シンガポールにつきましては、IR、いわゆるカジノを駆動部分とするカジノができる前におきましても、競馬ですとか宝くじ、一種のスロットマシンが存在した状態の中で、いわゆるIRを導入するという状況にあったわけであります。
そして、失敗した事例としましてよく取り上げられる韓国江原ランドでありますけれども、IR開業当初は、明確な対策を講じてこなかった結果、国民のギャンブル依存症の社会問題がIR開業後顕在化したと。しかしながら、対策後、有病率は減少しているという現状があるわけであります。
これらの論点から鑑みますと、現時点では、特定複合観光施設区域整備法といいますものは、今の時点では必要なものと私は判断するわけであります。
以上をもちまして、私の報告は終わらせていただきます。
○委員長(柘植芳文君) ありがとうございました。
次に、鳥畑参考人にお願いいたします。鳥畑参考人。
○参考人(鳥畑与一君) この度は、本法案への意見陳述の機会をいただき、ありがとうございました。
時間も限られておりますので、お配りした資料を基に発言をさせていただきます。
一昨年十二月のカジノ推進法に当委員会で発言させていただいたときは、カジノ実施法では建設的な議論ができるものと期待しました。しかし、提出されたカジノ実施法案でのその期待は大きく裏切られました。本文二百五十一条、三百ページを超える複雑な法案は、三百三十一項目もの政省令委任と、さらには条文等にも書かれないルールを忍び込ませ、極めて不透明な法案となっています。それは、カジノ事業の健全な運営を確保するために、カジノ事業者に大きな自由を委ねるために意図的につくられた不透明さであり、この法案の本質はカジノ支援法案だと思わざるを得ません。
以下、衆議院内閣委員会参考人質疑に続き、改めて私の意見を述べさせていただきます。
まず、日本型IRとは何なのでしょうか。
カジノではなく、統合型リゾート、IRだと繰り返し強調されます。しかし、本法案の最大争点が刑法の賭博禁止の違法性を阻却できるか否かにあるように、本質は紛れもなくカジノを合法化し実施するための法という点にあります。
私は、IRにカジノを組み込んだものをIR型カジノと呼んでいますが、国際的コンサルティング企業PwCもIRカジノ、IRCと定義しています。では、IR型カジノとはどのようなカジノなのでしょうか。
政府は、大きな経済効果、公益性を発揮するMICE等のIR施設を支える収益エンジンだとします。しかし、その本質は、カジノ以外のIR施設で集客した客をカジノに誘導して、ギャンブル収益最大化を目指すビジネスモデルにほかなりません。
IR型カジノのモデルとされるラスベガス、図表一を御参照ください、では、カジノ目的の初訪問客はごく僅かですが、三泊四日の滞在期間中に七十数%がギャンブル体験をし、ギャンブル目的の再訪率が大きく増大しています。注目すべきは、最大支出額がギャンブルの負けであり、ショッピング支出等を大きく上回っていることです。
カジノ以外のIR施設のためにカジノがあるのではなく、カジノのためにIR施設があるのであり、このことは、シンガポールの二つのIRの収益構造を見れば明らかです。マリーナ・ベイ・サンズもリゾート・ワールド・セントーサもカジノ収益は約八割を占め、EBITDAは五〇%前後という高収益を誇っています。マリーナ・ベイ・サンズは、過去六年間で百九十億ドル近い利益の株主還元を実現しています。
IR型カジノの特徴は、IR施設の集客力を増すために、カジノ収益を原資としたコンプと呼ばれる料金サービスや豪華施設等で他の類似のサービス提供者に対して競争的優越性を確保する点にあります。アトランティックシティーのボルガタは、収益の三割以上を延べ千三百万人近くの顧客への多様なコンプに費やしています。ラスベガスでも同様です。カジノ収益を持たない競争相手は、極めて不平等な競争上の劣位を負います。
このIRカジノの収益力、消費力が大きいほど、地域社会は顧客の喪失、売上げ減少というリスクにさらされます。IR以外の施設は、決して公益性を発揮する施設ではなく、地域社会の公益性を破壊するものです。
地域社会を破壊するリスクの大きいIR型カジノ。
PwCは、IRカジノの特徴をその巨大さにあるとします。IR型カジノではない欧州型カジノでは、極めてその規模が小規模です。しかし、様々なIR施設を集客装置とするIR型カジノは、巨大な設備投資を必要とし、その投資を回収し、巨大施設を維持運営し、かつ利益を追求するほど、カジノを巨大化せざるを得ないビジネスモデルなのです。
しかし、当初予定されていたカジノ面積上限一万五千平方メートルでは、ラスベガスの事例を見るように、到底、一兆円規模の投資を行い、目標とする収益率は実現し得ません。IR延べ床面積三%とされていますが、法案上は、カジノ事業の健全な運営を図る見地から適当な面積とされているだけで、必要なカジノ収益を実現するために比率規制も緩和できる仕組みになっています。カジノ面積規定もカジノ管理委員会規則に委ねられていますが、約五十億ドルのカジノ収益実現には、例えばラスベガス基準では二十万平方メートルものカジノが必要になります。収益エンジンとしてのカジノの馬力拡大には、カジノ面積の拡大か、ゲーム機器ごとの収益力アップが必要となります。カジノの射幸性規制や依存症対策強化と根本的に矛盾するメカニズムではないでしょうか。
全てを賭けの対象にするギャンブル大国の英国ですら、IR型カジノ建設を候補地が決まった最終段階で中止しました。地域社会に危険とされたその規模は、テーブル五十台、スロット千二百五十機、カジノ面積五千平方メートルでしかありませんでした。
カジノは、賭けを通じた消費力の移動でしかありません。同時にそれは、胴元側であるカジノ事業者が確率的に確実に収益を実現するように設計されたものであり、カジノのもうけの裏返しは顧客の負けというカニバリゼーション、共食いと呼ばれるゼロサムの行為です。もちろん、それは誰にとってもゼロを意味するものではなく、食う側、食われる側の食う側に巨大な利益をもたらすビジネスです。したがって、私たちの社会は、ギャンブルを認める場合でも、この巨大な利益を私益とせず、社会全体に還元する仕組みを担保としてきました。
しかし、今回のカジノ実施法は、初めて私益のカジノを認めるものであり、その私益追求を野放しとした仕組みとなっています。ラスベガス・サンズの巨額の株主配当の受取手は、ほぼ一〇〇%がアデルソン一族です。このようなファミリービジネスの私益のために、日本や地域社会を犠牲にすることはあってはならないことです。
カジノのギャンブルは、顧客が賭け行為を継続するほど胴元側が安定的収益を実現できるビジネスモデルです。無制限の賭け金額とともに、途中でやめさせない仕組みの一つが、カジノによる信用枠の設定、カジノ・クレジット又はマーカープレーです。貸すのはお金ではなくチップであり、そのチップ貸付証書であるマーカーにサインすることで金銭債権として米国では法的に保護されたものとなります。
この信用枠の供与は、米国では富裕層だけではなく一般顧客に対してもなされていますが、例えばラスベガス・サンズの場合は、テーブルゲームの賭け金額の約六割はこの信用枠で行われています。問題は、この信用枠設定が所得だけではなく、預貯金等の金融資産を担保として設定されており、そういう資力の返済能力を超えた負けで自己破産が急増していることです。VIP客においても、ぎりぎり財産がなくなるまで賭けを続けたことで巨額の負けを背負った事例が後を絶ちません。
信用枠の設定は、支払能力ぎりぎりまで賭けさせるいわゆる略奪的カジノにおいてはなくてはならない手法ですが、決して世界標準ではありません。英国では、持っていない金で賭けてはならないという原則の下、カジノ事業者による信用供与は禁止されております。また、オンラインカジノでのクレジットカードの禁止も検討されています。また、韓国、江原ランドでは、昨年九月にカジノによる信用供与の禁止措置がとられたと報道されています。
日本でも、せめて日本人に対しては、特定貸付業務は禁止するか、貸金業法の所得制限を適用すべきではないでしょうか。
国際観光振興としてのIRの最大の根拠は、アジアの富裕層、とりわけ中国VIPギャンブラーの獲得でしたが、その市場は大きく縮小しています。マカオでもピークの四割減で、この一年間、一割ほど戻しておりますが、プレミアムマスと呼ばれている一般客が有望視されています。確かに、マカオ市場はこのマス層をターゲットに、カジノ数やゲーム機器を増大させつつ、カジノ収益を回復させつつあります。
しかし、この回復を支えているのは、中国の高速鉄道網を中心とした交通インフラの整備により、中国北東部も含めた全域がマカオのマーケットに組み込まれつつある結果と言えます。このことは、日本にとって空白の中国市場が急速に消えつつあることを意味します。また、このマス層のギャンブル支出は六百ドル程度であり、より多くの交通費と宿泊費を負担して遠い日本のカジノに来ることは非現実的と考えます。一方で、韓国におけるIR建設を含めたアジアでのカジノ市場は急速に飽和化しつつあり、また、カジノ目的のギャンブラーを日本に集客することはますます困難になっています。あのラスベガスですら外国客比率は一六%です。
実際、外国カジノ資本は日本の富裕層と家計金融資産をターゲットにしています。香港の投資銀行CLSAの市場分析によれば、カジノ解禁で年間二百五十億ドルのカジノ収益が生まれる根拠は、日本の家計金融資産や所得の大きさと同時に、パチンコ等のギャンブル支出の大きさとなっています。このことは、IR型カジノの成功は日本の家計金融資産の収奪の成功を意味し、日本人の不幸の裏返しを意味することになります。
終わりに、カジノなしではIRは不可能なのでしょうか。MICE戦略の展開は不可能なのでしょうか。日本の国際観光振興は不可能なのでしょうか。
世界のMICE市場は、停滞するカジノ市場とは違い、二〇二三年には一・二兆ドルを超えると予想されています。そのほとんどはカジノに依存することなく高成長を遂げています。例えば、世界の展示施設のランキング上位を見れば、カジノとは関係なくMICEを実現しています。
例えば、図表二十を御覧になっていただき、ちょっと縦になりますが、例えば世界のMICE大国ドイツ。ハノーバー、フランクフルト、ケルン、デュッセルドルフ等がありますが、ドイツのカジノ市場は全体で六十五カジノで六・九億ユーロの収益しかありません。ハノーバーを運営するメッセ・ドイチェのアニュアルレポートを見ますと、償還を含めてしっかり黒字を確保して運営がなされております。
米国を見ても、ほとんどはカジノに依拠することなくMICE戦略を進めています。図表二十一を御覧になってください。例えば、米国の展示会場とカジノという表を御覧になっていただきたいんですけれども、例えばテキサスは商業型カジノは合法化されておりません。そういうヒューストンでも巨大な展示、MICE施設が展開をされて、巨大な集客能力を発揮をしているということです。
公設民営であっても民営部分でしっかり収益を確保することで、カジノに依拠することなくMICE戦略を進めるのが世界の主流ではないのでしょうか。また、国際観光客増大がIRなしの日本がシンガポールを大きく上回っていることは、IRカジノなしでも国際観光振興が可能であることを示しています。それどころか、カジノなしではMICEは無理だという虚構にとらわれることで、本来のMICE戦略展開の可能性を閉ざしているのではないでしょうか。本当にIR型カジノしか選択肢はないのか、その立法根拠はあるのか、慎重な調査と検討が必要であることを強調して、私の発言を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○委員長(柘植芳文君) ありがとうございました。
次に、桜田参考人にお願いいたします。桜田参考人。
○参考人(桜田照雄君) 阪南大学の桜田でございます。本日は、参考人として意見を述べる機会を与えていただきまして感謝します。ありがとうございます。
お手元に配付させていただいた原稿を御参照いただきながら、衆議院でのこの間の議論も踏まえて、以下六つの論点にわたって私の意見を述べさせていただきます。
まず最初に、第一の論点ですが、第一の論点は、立法府には法律の立法責任というものがあるということです。
消費者被害を防止するために、平成六年に製造物責任法が成立しました。この法律は、製造業者等が自ら製造、加工、輸入又は一定の表示をし引き渡した製造物の欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、過失の有無にかかわらず、これによって生じた損害を賠償する責任があるということを定めています。
今回の特定複合観光施設区域整備法案、以下ではカジノ実施法案と呼ばせていただきますが、この法案の審議過程をこの製造物責任法の見地に照らしてみれば、衆議院での審議時間は僅か十八時間程度で、実質的な討議を回避したに等しく、ここ参議院では、十分な審議を得ることなしに成立した法案が国民の損害を生み出すようなことがあってはならないわけですから、慎重に審議されることを望みます。すなわち、立法府の責任を是非全うしていただきたいということです。
次に、第二の論点は、このカジノ実施法は、経済政策なのか、それとも刑法の特別法、三十五条に該当するような特別法なのかということです。
カジノ実施法の議論を混乱させている要因の一つは、この法案が刑法の違法性阻却事由を満たしているとは考えられない、そのことにあるのではないでしょうか。
例えば、目的の公益性について見れば、カジノ収益がIR施設あるいはMICE施設における収益エンジン、つまりカジノ収益でIR施設、MICE施設の建設、運営を行うとの考えの下、法案の百九十二条、百九十三条において、カジノ行為粗収益、すなわち、カジノ事業者から見たときのチップの受取額と交付額との差額並びに顧客同士の賭博から得られたいわゆるテラ銭の合計額の三〇%が、この三〇%には消費税だけでなく法人税や法人事業税、法人住民税も含まれますが、この三〇%部分が国と地方自治体に納付金として納められ、そのことをもって目的の公益性は満たされると考えているようです。
ところが、カジノ収益の粗利の七〇%はカジノ事業者の収益となります。どういうことになるのか、このことを考えてみたいと思います。
具体的な事業計画あるいは事業規模は、カジノが立地される地域が特定されていないので、それらの計画や事業内容は明らかではありません。そこで、ラスベガス・サンズ社の公表財務諸表、これはアメリカ証券取引委員会に提出されるいわゆるフォーム10Kと呼ばれるものですが、それによれば、二〇一六年度の場合、八十七億七千百万ドルのカジノ収益があったので、三〇%といえば二十六億三千百万ドル、邦貨に換算すると約二千八百九十四億円になります。サンズ社の営業費用は四十八億三千八百万ドル、これには償却費や貸倒引当金は含みません。それであったので、七〇%相当額は六十一億四千万ドル、差引き十三億二百万ドル、約千四百三十二億円が事業者の取り分になります。
このように、数千億円ものカジノ税が得られるのだから公益性はあると考えるべきなのでしょうか。ここに経済政策と違法性阻却との接点があるように思います。
第三の論点は、カジノ実施法は違法性を阻却できない。このことを経済行為の観点から見てみたいと思います。
カジノ事業者にとって、さきの事例に見たように、カジノ税は大きな負担と意識されます。費用を控除した後の感覚でいえば、三千億円のカジノ税と一千五百億円の自分の取り分という感覚に陥るわけですから、当然のことながら、その負担分をできるだけ軽くしようとするはずです。
カジノビジネスは慈善事業ではなく、他のカジノ事業者との競争関係にある民間事業なのですから、当然のことだと私は思います。その結果、より大きなカジノ行為粗収益の獲得に駆り立てられる構図を実はそこに見ることができます。この構図の下では、射幸心をあおることなくしてカジノ業務が成り立たないということになってしまいます。これは明らかに公序良俗に反するビジネスと言わなければならないでしょう。つまりは、目的の公益性は果たされていないのです。
もちろん、一連の業務から得られる利益がカジノ事業者の株主に配当として配分されるわけですから、この意味でも、私的な経済的利益の追求と目的の公益性は両立してはいないのではないでしょうか。
第四の論点は、全体として違法性は阻却されているという主張についてです。
法務省は、違法性阻却の八要件を示してきましたが、昨年、二〇一七年七月の特定複合観光施設区域整備推進会議の取りまとめには、刑法との整合性は、これらの要素の一つの有無や程度により判断されるべきものではなく、制度全体を総合的に見て判断されるべきものであることが説明されています。
私事で恐縮ですけれども、私は会計監査論で大学に職を得て、会計学の論文で博士の学位を京都大学から得ましたが、公表財務諸表の適正性を検証し、監査意見を表明する会計監査論の考え方からすれば、この違法性の阻却は、なるほど確かに制度全体を総合的に見て判断されるべきものなのですが、判断の前提には、監査論でいえば、要証命題の立証を通じた監査人の心証形成過程が厳然として存在しています。法案の審議過程で行われたように、一つ一つの要証命題を検証することなく全体を総合的に判断するのは、最初に答えありき、あるいは決め付けに等しいものです。つまり、違法性を阻却する論理が成立していないということです。
第五の論点、カジノ実施法では経済政策の巧拙を論じるべきではないと私は思います。
経団連やみずほ総合研究所、大和総研といったシンクタンクが様々にカジノ開設の経済効果を測定しています。いずれの調査も、IRに係る経済効果は建設による経済効果と運営による経済効果としています。
マカオにはベネチアン・マカオというカジノがあります。五万平米のフロアに三万七千平米のカジノ面積を持ち、三十五あるマカオのカジノでも最大のカジノです。二〇一七年度のカジノ収益は二十五億七千七百万ドル、約二千八百三十五億円でした。シンクタンクが測定する経済効果は、このカジノ収益を経済効果額として認識するはずです。ところが、こうした経済効果、ひいては経済政策からカジノを観察することは、賭博というカジノの本質を覆い隠してしまいます。
公表財務諸表によれば、ベネチアン・マカオで一般客が投じた賭け金、ノンローリングチップと表現されています。それは七十三億九千九百万ドル、約八千百三十九億円であり、そのハウスエッジが二五・二%であること、VIP客が投じた賭け金、ローリングチップが二百六十二億三千九百万ドル、約二兆八千八百六十三億円であり、そのハウスエッジが三・三四%、さらに、スロットマシンでは二十九億二千九百万ドル、約三千二百二十二億円が投じられ、五・三%のハウスエッジであったことが報告されています。
法案の審議を通じて立法府が考えなければならないことは、カジノ事業者が二千八百三十五億円もの収益を生み出していることではなくて、八千億円もの大金、スロットマシンを合わせれば一兆円を超える金額を一般の人々が賭博に投じている。しかも、三十五あるカジノのたった一つのカジノですらこういう状況なのだ、そういう事実ではありませんか。つまり、カジノ実施法は経済効果や経済政策のレベルで議論されるべきではなくて、日本社会がどう賭博に向き合うのか、そして、仮に違法性を阻却できないままに賭博を合法化すれば、深刻な社会問題を引き起こしはしないかという論点ではないでしょうか。
第六の論点。カジノ実施法が特定貸付資金業務を採用したことについてです。
富裕層が対象だと言いますが、貸付業務の前提となる預託金額は明示されていません。しかも、貸金業法では年収の三分の一に規制する総量規制が設けられていますが、この貸金業法は適用されません。
このほか、MICE施設には夜のエンターテインメントであるカジノが必要との議論は成立しないことが審議過程の中で明らかになりました。そもそも、国際会議の開催はエンターテインメントの有無ではなく、会場への航空路線のアクセスや通訳の確保が条件なのであって、また、見本市などのイベントは企業間の取引関係や経済的諸条件が開催の前提となります。いい施設があるからといって利用が進むわけではありません。ましてや、カジノがあるからといって利用が進むわけでもないでしょう。また、MICE施設整備がクローズアップされた前提にある国家や地方自治体財政の単年度決算主義という制約をクリアする努力も必要でしょう。
最後になりますが、ロシアの文豪トルストイは、誠実に生きるとき、人生において恐れるものはないと記しました。カジノ実施法の前提には、少子高齢化社会の様々な困難を克服するに当たって、観光の力、訪日外国人観光客の力を借りようというもくろみがあります。観光振興では、例えばおもてなしの精神が訪日外国人観光客の誘客を促進する切り札とされています。おもてなし、つまり他人への思いやりの心は、その人の誠実さの中にこそ生まれると私は考えているので、他人の不幸の上に我が身の幸福を築くカジノの開設は、日本の観光文化を、そして日本の経済社会の土台を毀損してしまう、このことを訴えて私の発言とします。
どうも御清聴ありがとうございました。
○大門実紀史君 まず、佐々木先生に伺います。
〔委員長退席、理事藤川政人君着席〕
佐々木先生、先ほど依存症対策が海外では進んでいるというお話がありました。依存症対策というのは私二つあると思っておりまして、一つは、まず依存症を出さない、つくらない対策ですよね。二つ目は、やっぱり依存症になった後の対策だと思うんですけれども、先生がおっしゃったのは、その二つ目のなった後の対策が進んでいるという話ではないかと思うんですけれど、そもそも依存症を出さない対策なんですが、これはもうカジノをつくらないのが一番いいんですけれども、つくるための今回の法案で、つくっても依存症を出さない、つくらないという点はどういうふうに担保されているとお考えか、お聞かせください。
○参考人(佐々木一彰君) ありがとうございます。
先行研究から見ると、海外の事例から見るとという形でありまして、先ほども公害問題の例を出しましたけれども、韓国の江原ランドにつきましては、当初はそこら辺の仕組みをつくらずに導入したために依存症の比率が高くなったと。途中でそれに気が付きまして、対策取り始め、依存症の比率が……(発言する者あり)あっ、この法案、ごめんなさい。なので、その先行事例から見るとという形であります。
なおかつ、出さない方法としましては、ギャンブルに対する教育等々もしっかりと行うというようなことになっておりますので、それは担保されているかなと私は思っております。
○大門実紀史君 議論の中では、そういうことよりも入場制限とかそういう話になっているんですけれど、射幸性の程度をどうするかというのは、この違法性の阻却の一つの重要な点なんですけれど、実は、この公営ギャンブルといいますか日本で賭博を認めるかどうかのときの八つの要素があって、その一つが射幸性の程度とあるんですが、これは要するに、事業者が賭博行為における回数とか開催とか入ってくるなとかなんかじゃなくて、一個一個の賭博行為の射幸性を、程度をコントロールできることというような要件になってきたわけですね。具体的に言いますと、競馬法ならば馬券の種類によって射幸性をコントロールするというようなことが行われてきましたし、パチンコですと風営法で出玉を規制するということで、ギャンブル性、射幸性をコントロールしてきたという点でいきますと、今回の法案はないんです。カジノはなかなか難しいですね、あり得ないですね。
強いて言うなら、今回の法案に書いてあるのは、そういうカジノ行為については海外の基準を物差しにすると書いてあるんですね。つまり、海外でやっている射幸性のレベルを物差しにしますから、海外でやっているカジノと同等ということで何のコントロールにも何にもならないんですけれど、そういう点で、私、賭博行為の射幸性の程度というのは今回の法案で担保されていないと、コントロールできていないと思うんですけれど、先生、いかがお考えですか。
○参考人(佐々木一彰君) ありがとうございます。
射幸性のお話でありますけれども、日本には元々カジノという、いわゆる合法的なカジノはなかったわけでありますので、そこは海外の事例に、先行事例に倣うしかないかなと思っております。
そちらのところにつきましては、それで、私としましては、法学者でもないんですが、違法性阻却はできているかなと、その点につきましては、射幸性のことにつきましてはクリアしているかと思っております。
○大門実紀史君 クリアしていないんですね。だから、八要素に照らしているわけですからね。一応、指摘だけ申し上げたいと思います。
鳥畑先生に伺いますけれども、今の違法性阻却の八要素の一つの、一番重要なのは目的の公益性なんですけど、これも何かというと、もう法務省がずっと一貫して見解を出して、若干いろいろ変化はあるかも分かりませんけれども、基本的には、収益の使途を公益のあるものに限るということがあったわけですね。これが実は今回の法案を変な法案にしている。これを無理やりクリアしようとするからと私見ているんですけど。
鳥畑先生、海外のカジノの、企業のいろいろ分析をされていて、アメリカなどの海外のカジノが公益性があるというのは、主に納付金と、まあちょっと見方はいろいろですけど、雇用効果とか、そういうものはあるから、アメリカなんかで一定の公益性があるだろうというようなことがあると思うんですけれど、日本の場合は、納付金と雇用効果だけだと、先ほど申し上げました法務省のルートで出してきた八つの要素をクリアできないんですよね。使途を、使い道を公益性のあるものに限るというふうにしてきたものですから、単に納付金を納めるとか雇用効果だけでは違法性の阻却はできないと。
そこで、昨日も議論したんですけど、変なこと言い始めたんですよ。さっきもありましたけど、カジノ収益を内部還元すると、そのことが公益性なんだと。つまり、もうからない展示場とか会議場の運営に回すと、内部還元すると、だから公益性があるというような論を立てたわけですね。これちょっと非常に無理があると思うんですけれども。しかも、努力目標で、努力目標を評価すると。訳分からないですよね、この辺ね。
そういう、そうしなければこの目的の公益性をクリアできないと思って内部還元みたいなことを言い始めているんですけど、現実的に、じゃ、海外のIR、カジノで、カジノの収益がほかのところに回っているかといったら、回っていないですよね。それぞれペイしていますよね。わざわざそんな回して、大体、民間のアメリカの資本が、もうからない会議場わざわざ造ってカジノの収益を充ててなんて、そんなことやるわけないですよね。だから、内部還元なんかないと思うんですけれども、そういうふうに認識してよろしいでしょうか。海外カジノ。
〔理事藤川政人君退席、委員長着席〕
○参考人(鳥畑与一君) アメリカの場合は、やはり地域振興を目的、明確にして、例えばアトランティックシティーの場合は、カジノ収益だけじゃなくて、例えばそのホテルに税金を掛けるとか、もちろんゲーム機器に税金を掛けるとか、そういったもので例えばファンドをつくって、それを地域振興に使うとか。かなりのある意味税制上の負担を掛けて地域振興に使うという縛りは結構強いところが多い。州によっては、いわゆるゲーミングタックスもかなり高率のところもあるわけですね。
そういった意味では、アメリカの場合には、そういう税収を確保するであるとか雇用を確保するというところを強く意識して認めているというのは事実だろうなと思うんですね。
ただ、今、日本で、先ほどの御指摘があったような、カジノの収益を内部還元するから公益性がある、カジノ以外のIR施設はそこで様々な雇用とか税収を生み出すので公益性があるという議論は私は非常に違和感を感じておりまして、先ほども発言させていただきましたけれども、アメリカのカジノのビジネスモデルというのは、カジノ収益をコンプとして還元して、そこで集客をしてカジノ収益を高めるビジネスモデルであって、そのコンプを活用することによって、例えばホテルを安くするとかレストランを安くするとか、そういう周りとはできない価格競争を仕掛けて客を集めるわけですね。
だから、そこで生まれる一見経済効果というものは、結局周りの地域から見れば、客を奪われた、消費力を奪われた、そこを公益性があると言っていいんですかという部分では、昨日の審議も少し聞きながら非常に違和感を感じたところです。
○大門実紀史君 桜田先生に伺います。
阪南大学ということで大阪のことを伺いたいんですけれども、大阪は今、万博とカジノをセットでというようなことがありまして、もちろん、安倍さん、安倍首相も経産省も別のものだという言い方をしておりますけれど、先日、大阪へ行って、夢洲に行って大阪市当局のヒアリングをしたら、別のものどころか一体ですというようなことでありました。
夢洲まちづくり構想というのがあって、これ、一期、二期、三期に別れているんですけど、一期目はまずカジノだけ、IR、カジノだけつくる、二期目に万博をやる、三期目以降はカジノ、IR、カジノだけでやっていくと。この二期目に万博が入らないと、一期目にカジノをつくるその全体のインフラ整備の税からの支出の名目が立ちにくいとか、あるいは、関西経済界から、万博のということならお金を出すという人たちがいるけれども、カジノ、IRだけだと少なくなるというようなことがあって、万博を挟むことによってカジノをやっていくと。これ、夢洲そのものが大阪にとっては負の遺産ということで、いろんな失敗してきて、何とかしたいという気持ちはあるんでしょうけれど、そういうふうになっているということが分かりましたので。
大阪市当局も、もし万博の誘致に失敗したらどうするのと、どうなるのと聞いたら、大幅に夢洲まちづくり構想が変わってしまうと。それはそうですよね、当てにしたことができなくなるんですから。
つまり、もうカジノ、私はセットかな、セットぐらいかなと思って行ってみたら、もうカジノありきのことが非常に強く大阪の場合感じたんですけれど、先生はその万博とカジノの関係、いかがお考えですか。
○参考人(桜田照雄君) やっぱり、カジノ万博、そのとおりだと思うんですね。関西財界が、カジノには、やるから、その夢洲の関連整備について幾らかのお金を負担してほしいという議論は、これは株主代表訴訟の懸念があるから、それには到底乗れないという。万博ならばそれがクリアできるので、だからその夢洲の周辺開発の公共事業を展開したいという思惑なんですよね。
それで、夢洲の方もまちづくり構想はありますけれども、あれ実は、夢洲自体について言いますと、あの産業廃棄物の処分場で、平成五十年まで当初使うということになっていたところで、だから、まちづくりをするということを前提にした処分場の設計になっていないはずなんですね。
そうすると、まちづくり構想自身が、それ自身が、やっぱり万博あるいは夢洲の商業的活用を前提とした計画、言ってみればその夢洲自身の、本当にそれができ上がるのという、そういうことができるんですかというレベルの構想なんですね。だから、仮定の構想の上にまた輪を掛けてカジノだ万博だと言っているわけですから、そういうことを実際に計画としてやらされている府や市の職員の立場に立って考えてみれば、やっぱりちょっと、本当にもう、何といいますか、痛々しいという思いをしてしまいます。
それで、万博について言えば、実は大阪府に大阪万博についてのいろんな幻想というものがやっぱりあるような中で、かつ、何か新しいもの、何かわくわくするようなもの、そういうものをやってくれるんだったらいいんじゃないのという、こういうレベルなんですね。
したがって、夢洲というところがどういうところであるのか、それに建物を造るということがどれだけ無謀なことなのか、そして災害、地震とか、そういうことを想定したときに、あそこに集客施設を造るというのがどれだけ理不尽なことなのかということをきちっとやっぱり分かってもらう必要があるのかなという思いがあります。
また一番最初の話に戻りますけれども、やっぱりカジノ万博とんでもないことだというふうに、こっちには考えています。
○大門実紀史君 終わります。