国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi ● ● ● ●


■2018年6月14日 内閣委員会 個人情報保護がおろそかになる 大門氏 TPP11で追及
<赤旗記事>

個人情報保護がおろそかになる
大門氏 TPP11で追及

質問する大門実紀史議員
=14日、参院内閣委

 日本共産党の大門実紀史議員は14日の参院内閣委員会で、米国を除く11カ国による環太平洋連携協定(TPP11)について追及しました。

 大門氏は、政府のTPPの「経済効果」が恣意(しい)的な手法や検証もない理論値に基づくもので、トリックだらけの試算であることを暴露しました。内閣府の渋谷和久統括官は「(試算は)予測ではない」と認め、大門氏は「ただの仮定ということ。大々的に宣伝するものではない」と指摘しました。

 協定第14章11条には「事業のために個人情報を含む電子的手段による国境を越える移転を許可」すると明記されています。大門氏は「TPP11に参加すれば個人情報保護がおろそかになる」と指摘。茂木敏充経済財政担当相は「電子情報を過度に規制して移転させないことも問題で、自由な移転が必要だ。個人情報保護法とのバランスをどうとるかという問題だ」としながら、個人情報保護を担保する対策は示しませんでした。

 大門氏は、欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)にある、個人情報に対する権利、被害の救済、違法行為への罰則、域外移転の原則禁止という基準こそ次世代ルールだと指摘しました。

<議事録>

○大門実紀史君 大門でございます。
 二年前もTPPの特別委員会に参加をさせていただきました。あのときやり残した質問がまだ残っておりますので出てまいりましたけれども、澁谷さんもお久しぶりでございます。

   〔委員長退席、理事藤川政人君着席〕

 先ほど、舟山さんとの議論もありましたけど、政府は、茂木大臣もそうなんですけど、TPPの意義について、繰り返し、自由で公正な貿易ルール云々と、各国の地域経済や国民に繁栄をもたらすということを繰り返し述べてこられました。
 ちょっと最初ですので、そもそも論を聞きたいんですけれども、あと、自由貿易に反対するものを保護主義というふうなレッテルも貼ってこられたわけですけれども、何かあたかも遅れた考え方のような、言われてきましたけれども。ただ、世界見渡しますと、本当にそうなのかと。自由貿易という括弧付きで私は思っておりますけれども、それは本当に全ての人々の繁栄をもたらすものなのかとかですね。本当にそういうものならば、なぜ、この間、アメリカでTPP含めてNAFTAも含めて自由貿易に対してあれだけの反対の国民の声が上がるとか、ヨーロッパでもアジアでも自由貿易がこのままでいいのかと、本当に恩恵が及んでいないというような声が本当に各国で上がっているわけですけど。市民運動としても、市民運動は昔はNGOとか環境団体が多かったんですけれども、最近は商工業団体までこういう自由貿易に対して批判の声を上げておられるようになったというのが世界の状況だと思うんですけれど。
 そんなに各国を繁栄させて国民に繁栄をもたらすものなら、なぜ今世界各国でこれだけの自由貿易に対する批判の声が上がっているのか、茂木大臣の認識を聞きたいと思います。

○国務大臣(茂木敏充君) 自由貿易がプラスかマイナスかと、これはデービッド・リカードの世界からもうずっと続いている論争もあるわけでありますが、例えば自由貿易によって格差が拡大すると、こういった意見も一部にあるのは承知しておりますが、格差を恐らく生じさせる主な原因、現在においてはグローバルなレベルで進む技術革新などほかの要因によるところが大きいと、こういう見解も多いと考えております。
 自由貿易、間違いなく、消費者にとっては購買力の向上、そして生産者にとっては生産性の向上をもたらして経済成長につながるものでありまして、これは大企業だけではなくて、中小企業・小規模零細事業者、さらには農林水産業者、そして労働者、消費者にとっても新たな経済的機会をつくり出していくものであると考えております。こういった経済的な機会を中小企業であったり農林水産業が幅広く活用できるように、政府としてもしっかりとした支援策を取っていくことが必要だと考えております。
 細かい施策について御質問があるようでしたら、追加してお答えをさせていただきます。

○大門実紀史君 いや、別に細かいことを聞くつもりはないんです。要するに、そういうふうにおっしゃるならば、なぜ起きているかということを聞いたわけですね。
 アメリカなんかは、調査団でも行ってきましたけれども、参議院のですね。簡単に言いますと、アメリカの場合は、製造業よりも、金融、IT、農産物、これで世界展開を考えると。その犠牲になったのはアメリカの中の国内産業、製造業であって、雇用が失われて、そういうグローバル企業の株主はもうかって、雇用は失われて、低賃金化が進んで格差が広がるということで、茂木大臣がおっしゃったとおり、格差というのはいろんな要因で起きるのは確かですけど、ただ、このグローバル化の中でも起きているということで、トランプさんが当選するに至るぐらいのことになっているということであります。日本の場合は、逆に製造業で世界展開をしてきて、国内産業と農業を犠牲にしてきたというような、その国によって違いますけれども、世界展開する多国籍の企業を中心のグローバル化、自由貿易になっているからそういうことが起きて、いろんなことが起きているという現実を申し上げているわけでございます。

   〔理事藤川政人君退席、委員長着席〕

 茂木さんとは、二〇〇一年ですかね、アフリカのブルキナファソでIPUの会議があって、ずっと一緒にはいられませんでしたけれど、いろいろお話も聞きましたけど、世界にはやっぱり光と影があって、いいことばっかりおっしゃいますけど、やっぱりその影の部分、いろいろ起きている部分を見ながらやっぱり政治というのは考えていかなきゃいけないと思いますので、そういう点を申し上げているということでございます。
 余りこれだけで議論するつもりはないわけですが、そういう認識を問いたかったわけでございます。
 そういう点で、次に、TPP11で本当に日本経済が成長して国民が豊かになるのかという点ですけれども、とにかく政府の話は何かみんな良くなるバラ色の話が多いわけですけれども、その点で具体的に、政府が出されましたTPPの影響試算について伺います。
 農林水産物の影響評価については舟山さんからも白さんからもありましたけれども、要するに、意味不明の答弁が繰り返されております。要するに、政府がおっしゃっているのは、影響が出ないように対策を取るから影響が出ないみたいな話ですね。その対策とは何かというと、生産性の向上だと。
 つまり、いろいろあるけど頑張ればいいんだというような、何か、いろいろ聞いていると、余り科学的な試算でも何でもなくて、ただの精神論じゃないかというふうに思うんですね。したがって、JAとか農家の方々も既にもう目いっぱい頑張っていると、TPPの二年前の議論もそうですけど、これ以上何頑張れというんだという声があるわけであります。
 この点で最大の打撃を受けるのは農業の問題なんですけれども、これは後、連合審査もあると思うので、そのときにまた我が党の紙智子議員が出てきて厳しく追及させていただくと思いますので、今日は私、経済全体の効果について、お手元に配りましたけれども、ちょっと、これそのものも疑問が幾つかありますので、お聞きしたいというふうに思います。
 資料を配付いたしましたけれども、まず、茂木大臣、経済財政の担当大臣でもありますので、この試算のメカニズムですね、根拠について説明をしていただけますか。

○国務大臣(茂木敏充君) 大門先生とは、たしか二〇〇一年九月十一日だったと思いますが、ブルキナファソで御一緒させていただいたと今でも鮮明に記憶に残っているところでありますが、今回、御案内のとおり、政府としては、GTAPモデル、これを用いまして分析というのを行っております。この経済効果につきましては、GDPの押し上げ効果、これが七・八兆円、四十六万人の雇用増と大きな効果が見込まれると、このように試算をされているところであります。
 そして、これ、GTAPモデルでありますので、ダイナミックなモデルということで、経済連携協定によります関税削減等の直接的な効果だけではなくて、貿易・投資機会の拡大が国内の生産性向上、雇用の拡大につながることを示したものでありまして、まさに海外への経済連携の推進、これが国内経済の拡大にもつながると、こういったTPPによる成長のメカニズムを定量的に明らかにしたものであると理解をいたしております。

○大門実紀史君 この中身なんですけど、そもそも、この経済分析のやり方なんですけれども、GTAPのモデル使うのはほかの国もやっていることなんですけど、問題はそこに入れる数値とか使い方なんですけどね。
 そもそも、この経済分析はいわゆる静学モデルといいまして、静かに学ぶ、静学モデルといいまして、要するに、何といいますか、時間的な経過とか、何かから何かの変化のですね、原因と結果とか、因果関係とか、そういうものを全く無視をして、ある状態からある状態の変化だけを取ったものなんですね。
 つまり、TPPに、11に参加する前の状態と、TPP11が発効していろんなことが起きて、我が国が新たな成長過程に乗って均衡状態に達した、良くなったときですね、この参加する前と、いずれ良くなるだろうと、良くなったときを単純に比べたのがこの試算でありまして、つまり途中の話がないんですよ。
 例えば、TPP11の参加によって、農業にしろ、ある国内産業、ある分野が競争で負けたり衰退して、失業が起こると。失業者は仕事を探して苦労するわけですね。そして、やっと見付けると、しかも賃金はまだ安いというようなこととか、いろんなつらさとか苦しみがあるんですけど、その時間の長さというものが一切考慮されなくて、いずれ良くなるだろう、良くなったときとの差だけ示しているようなモデルです。静学モデルというのはそういうものだから、仕方がないといえば仕方がないんですけれども、余り人に説明するときはこういう、みんなが心配するときにはこういうモデルを使うべきなのかと、一つ思います。例えば、農業をやっていた方が、仕事を失っても翌日から自動車の技術者になれるみたいな、即時完全雇用が実現するというような錯覚を与えるような試算でありまして、余りこういうモデルを示されるのは私は適当ではないというふうに一つ思っております。
 また、その試算の、ちょっとこれ、幾ら何でもいいかげんじゃないかと思うんですけど、二段目のところに成長メカニズムを内生しているということで、@、A、Bとあるんですけど、これどういう根拠なのかということなんですけれども、聞いても説明ちゃんとできないんですよね、はっきり言って、内閣府。
 まず、@で、所得増が需要増、投資増へつながると。これは、こうなったらいいですけれども、これ、ただの希望ですよね。
 A、貿易開放度上昇。つまり、いろんな輸入品が入ってくると競争が激しくなって、これはそうでしょう、生産性を上げる努力をするでしょう。それはあるかも分かりません。生産性向上が実質賃金を引上げと、生産性が上がれば賃金が増えるという理屈が入っていますけれど、これはそうなっていないですね。多国籍企業が賃金の安い国に生産拠点移していますから、国内でも非正規雇用増やしていますから、生産性向上が賃金に結び付いておりません。だから問題になっているんですね。生産性向上分が内部留保に積み上がっているから今問題になって、安倍内閣も賃金を引き上げようとおっしゃっているわけでありますので、Aのこのベクトルは何を根拠におっしゃったのか、実際は何も起きていないんじゃないかと思うんですね。
 Bもまた変なんですね、実質賃金の上昇が労働供給を拡大すると。これ、どこの国の話かと聞いたら、オーストラリアとノルウェーでそういう現象がありますと、たまたまそうなっている国を持ってきた。日本はどうなんだって聞いたら、日本にもそういうことを書いた論文がありますと。私、その論文読みました。これ、「金融研究」の中に出ている個人の論文でありまして、全然オーソライズされておりません。若干言いますと、そこに出てくる労働供給という意味は、雇用の増ではありません、雇用の増ではありません。労働供給の増というのは、実質賃金が上がったら稼げるからもっと働こうということまで含めたのが労働供給なんですね。そうでなきゃ余暇に回ると、稼いだから休もうと。そういうふうな数字でありまして、これがなぜ雇用の増の数字のところに持ってくるのかと。これ、フリッシュ弾性値というのがあるんですけど、そもそも、学会でも余り現実味がないものに書かれた論文なんですね。それがこのBの、いかにも何かオーソライズされたようなもので出てくるんですね。
 ですから、@、A、Bとも、何かいかにも、何ですか、これ、成長メカニズムの内生といったらよっぽど何かすごい話に見えますけど、ほとんどこれ、データの捏造とまで言いませんけど、都合のいいデータを、やり方を持ってきた非常にトリッキーな、トリックっぽい試算だというふうに思います。
 大体生産性向上効果というのは、今、安倍内閣大変好んで使いますけど、これ大変マジックなんですね。生産性向上というのはマジック、どこでも使えるマジックなんですよ。生産性向上と入れちゃえば何だって話ができちゃうと。例えばこのTPP11の関係でも、輸入が増えて価格が下がっても生産性向上すればコストダウンをして利益はそのままというふうに、どこでもこれを使っちゃうと、何だってうまくいくような、使えるのは、生産性向上という大変マジックの言葉なんですね。
 ですから、茂木大臣、これ率直に言って、この出された経済効果というのは専門家は誰も信用していないんじゃないかと思うんですよ。もうこの際撤回されたらどうかと思うんですが、いかがですか。

○政府参考人(澁谷和久君) 私の方から御説明させていただきますが、TPP12のときと同じやり方をさせていただいております。
 今先生お配りいただいた資料、@、A、Bと書いているわけでございますが、元々のGTAPモデルで@は内蔵されているものでございます。A、Bは、三年前ですかね、TPP12のときの経済効果分析で……(発言する者あり)はい、いずれにしても、これはこうなるという予測ということではなくてですね、私どもとしてこういうメカニズムでTPPの効果が成長につながるんだというメカニズムを表すことで今後の政策展開につなげていきたいと、こういう趣旨でこういう分析をさせていただいたということでございます。

○大門実紀史君 ですから、これは一つのただの仮定みたいな、仮定というか、非常につくり上げた仮定、こんなこともあるでしょうぐらいのものなんですよね。それをこんな政府が大々的にそんな宣伝して、良くなりますよって宣伝に使うような代物ではないというふうに思います。
 実は、二〇一六年の五月に、アメリカ政府の国際貿易委員会、ITCですね、ここは正直ですよ、二〇一六年の五月に、TPPに経済効果はないというふうな衝撃的な報告書を出しまして、アメリカ政府としてですね、これがアメリカの世論を変えたんですよ。何だ、そうだったのかと、だったら考え直そうということで、後にトランプさんが当選するほど、何だ、そういう話だったのかということで反TPPの世論が広がったわけであります。つまり、こういう政府のトリッキーな試算というのは大変国民を惑わして、あらぬ方向に世論を導くということでございますので、もう本当これやめた方がいいですよ。厳しく指摘しておきたいというふうに思います。
 その上で、TPP11というのは、農業を始め国内産業、医療、食の安全、様々な危惧、懸念、問題点が示されておりますけど、実は、TPP11というのは個人情報保護との関係でも大変懸念が広がっておりますので、この問題を取り上げたいと思います。
 現在、巨大IT企業の情報占有が急速に拡大しております。ちなみに、アップル、マイクロソフト、グーグル、フェイスブックの四企業で全人類の個人データの八〇%が占有されております。その下であの例のフェイスブックの個人情報が大量流出して世界的に大問題になりました。日本人の個人情報も十万人以上流出した可能性があると言われております。そういう中で、個人情報の保護というのがもう世界的な課題になってきております。
 こういう状況の下にもかかわらず、TPP11では電子取引、個人情報がどう位置付けられているのかということで、ちょっと時間の関係で私の方でもう紹介しますが、第十四章にこう書かれております。十四章の十一条、事業のために、ビジネスのためにですね、個人情報を含む電子的手段による国境を越える移転を許可していると。ただし、公共目的のための規制は妨げないと。一応この一文はあります。また、そういう類するものがいろいろ書かれていて、要するに、このTPP11の第十四章の十一条では、個人情報の国外移転については原則自由だと。で、規制は例外的にやると。しかも、十一条の中には、必要以上に情報移転を規制してはならないという条文まで入っているわけですね。つまり、個人情報保護よりもビジネスを重視するという立場になっております。
 TPP11に参加すれば、この個人情報の保護がおろそかになっていくんではありませんか。大臣、いかがですか。

○国務大臣(茂木敏充君) 細かいこと、時間の関係でですね、もしありましたら御説明を申し上げますが、確かに委員おっしゃるように、公共政策の正当な目的の達成のために電子情報の国境を越える移転、フリー・フロー・オブ・データですね、これを規制することを妨げない、こういうふうに明記をされております。
 重要なのはバランスでありまして、電子情報を過度に規制して移転をさせない、こういったことも問題で、自由な移転というのは必要でありますが、同時に、消費者保護であったり個人情報保護、このバランスをどう取っていくかという問題でありまして、TPPにおきましてはそのバランス、しっかり確保していると考えております。

○大門実紀史君 実は、そうならない危険性があるので質問しているわけなんですけれども、このTPP11の第十四章というのは、実はTPP12から引き継いでおりまして、十一条もそのまま引き継がれているわけですね。
 すなわち、元々この個人情報の対応のところは、日米で、しかも日米政府だけではなくて、日米の財界と一緒に検討してきた経過があるわけです。
 振り返りますと、両国の民間経済団体によります民間作業部会というのがありました。もう一つは、このインターネットエコノミーに関する日米政策協力対話というのがございまして、これは政府も入ったものですけれども、この電子商取引について検討を進めてきて、それで、その民間作業部会が、TPP12の方ですね、アメリカがやると言ったときの話ですけれども、が合意された後の二〇一六年二月に公表した共同声明では、むしろこんなことを言っているんですね。日米両国を含むTPP交渉参加者が、国境を越える情報の自由な移転を義務付けたと、自由に移転しようということを義務付けたことを歓迎していると。同時に、規制する国に対しては日米両国共同で規制緩和を、撤廃を働きかけていくと。つまり、先ほど申し上げましたけれども、原則としてビジネスのために個人情報をどんどん利用、活用していこうと、規制する国があったら日米共同で取り除いていこうということを打ち出して、その流れがずっと来ているわけですね。
 そうはいっても、茂木大臣おっしゃったように、個人情報の保護を真っ向から否定はできませんので、そこで、一定のルールは守るということでこの共同声明の中でも触れられているのが、資料をお配りいたしましたけれども、CBPRと、クロスボーダープライバシールールというものでございます。この仕組みについて、経済産業省、ちょっと説明してくれますか。

○政府参考人(吉田博史君) お答えいたします。
 CBPR、クロスボーダープライバシールールズの略でございますが、これは、越境移転される個人情報が適切に保護されるためのAPECの仕組みでございまして、二〇一一年十一月のAPEC閣僚会議で承認されたものでございます。アメリカ、メキシコ、カナダなどが参加しており、日本は二〇一四年から参加しております。
 具体的には、企業の個人情報保護体制を、APECの情報プライバシー原則に基づき、各国において独立した第三者認証機関が認証する制度でございます。加えて、その第三者認証機関は、認証された企業のモニタリング、認証企業に対する苦情への対応、また状況に応じて認証の一時停止や取消しを行う機能を有しております。
 また、APECの情報プライバシー原則はOECDのプライバシー原則に準拠して策定されており、プライバシー保護の国際的な準則に則したものとなってございます。

○大門実紀史君 これは、以前のといいますかね、古いといいますか、今いろいろ問題になっている前に合意されてきたルールで、もちろん一定保護しようと、ルールにはなっているんですよ。ただ、先ほど述べましたように、これは元々、原則はどこにあるかというと、個人情報の自由な越境移転と、海外越えると、これがまず原則で、その上で例外的に、原則自由、規制は例外的というものであって、TPPの文書にもなっているとおり、まず自由にやって、規制はしてもいいけれどもそれは限定的という流れの下で作られているのがこのCBPRでございます。
 もう一枚めくっていただいて、時代は変わってきております。
 先月の二十五日から施行されているのが個人情報保護のための規制を大幅に強化するものでありまして、GDPRというふうに、呼び方をしておりますが、EUが打ち出したものでございます。これは、EUがこの十年余り、先ほど言いましたフェイスブックのような事件がまだ起きる前から、アメリカのIT企業が個人データを半ば勝手に入手してプロファイリングまでやって営業に生かすような、いろいろ勝手に加工して使ってきたことに対してEU各国が対抗措置を打ち出したということで議論されてきて、二十五日から施行されているものでございます。
 この新聞の比較を見てもらうと分かりやすいんですけれども、左が今の日本の個人情報保護の現状で、CBPR、先ほど申し上げましたCBPRはこの程度でございますが、右の方のEUのGDPRというのは、大変それに比べて厳しいものになっております。例えば、保護すべき個人情報の定義の範囲とか個人データに対する権利、被害の救済、違法行為への罰則など、様々な面で規制が強化されております。そもそも、基本的なスタンスがCBPRと違いまして、個人情報の域外移転については、域外移転、海外移転については原則は禁止なんだというスタンスから組み立てております。
 これは、何といいますかね、今まで一部のフェイスブックやグーグルなどの巨大企業が情報を占有して、いろいろ使って、個人、本人の知らない情報をいろいろ使ってプロファイリングまでして、とうとう事件まで起こすというようなことに対して、まあEUだけじゃなくて世界に広がっている危惧を一つ反映した改革案であります。
 こういうものを考えていかなければいけないときに、このTPP11というのはもう何年も前の発想で個人情報保護を捉えているんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君) TPPの電子商取引、これは、電子情報の自由な国境を越える移転を認める一方で、先ほど申し上げましたが、締約国が公共政策の正当な目的の達成のために電子情報の国境を越える移転を規制することを妨げない、こういったことが明記をされている、その上で、今後の国際的な個人情報保護政策につきましては、個人情報の保護を図りつつ、国際的なデータ流通を円滑に行うと、こういったことが重要であると認識をいたしております。
 EU、御案内のとおり二十数か国から形成をされておりまして、当然、EUとしては、EUの域内に住む人たちのメリット、そしてEUの域外に住んでいる人たちの差別化、こういったことは考えるということは当然理解できるわけでありますが、我が国として、日EU間の相互の円滑な個人データの移転を図る枠組みの構築も含めて、今後もしっかりと取組を検討してまいりたいと考えております。

○大門実紀史君 今はTPP11の議論をしております。TPP11の問題点を議論しております。将来、政府として考えている方向を聞いているわけじゃなくて、このTPP11の中に重要な問題として個人情報の保護が、何というか後にされて、企業のビジネスチャンスが先だというようなことは明確にTPP11に入っているわけですから、このTPP11をこのままでいいのかという議論をしているわけであります。
 これ、ちょっと専門的かも分からないから澁谷さんに聞きますけど、EUは、逆に言うと、二十五日からこれを施行しておりますから、EUのデータを日本企業は、個人情報を扱わせてもらおうと思うと、今の日本の、先ほどこの新聞で比べたこの状況では基本的には駄目ですよとなります。今は、個人個人、それぞれの企業が厳しくやりますからと言ってやっているところがありますが、国対国との関係では、こういうGDPR、これ私は世界の流れだと思います。これだけ情報が、一部の四つの企業で八割の人類の情報が独占されていると、事件が起きると、勝手にプロファイリングやるというようなことになってくると、これはもう世界の流れで、アメリカの中だってこういう声起きていますからね、なってくると思います。
 そういう中で、日本が、日本の企業がですよ、日本の企業がEUの個人情報を使わせてもらいたいと思ったとき、国と国との関係ですけど、やっぱりこのCBPR、今のレベルじゃなくてGDPRの方向に国として合わせていかなければいけないのではないかというふうに思いますけれども、いや、TPPのというか、個人情報の制度じゃないんです、さっきと同じような答弁じゃないんですよ。TPP、貿易の点でどうですかということを言っているんです。

○委員長(柘植芳文君) どちらですか。

○政府参考人(澁谷和久君) まず私が。

○委員長(柘植芳文君) 澁谷統括官。

○政府参考人(澁谷和久君) TPPの観点からということの御質問であれば、このTPPの御指摘いただいた電子商取引章を受けて私どもの国内制度も一切変えないということでございますので、TPPによって何かが変わるということではなくて、個人情報保護制度を我が国としてどうするかという問題をまた別途政策的な御議論をいただきたいという、そういう趣旨でございます。
 では、経産省の方から。

○大門実紀史君 そうじゃなくて、TPP11に入っている今の条文というのは、先ほど説明したでしょう、どこから来ているかというと、TPP12で、日米の協議の中で政策対話があって、そういう経過でできたんですよ、そういう経過で。その一つのモデルにCBPRがあるわけですよ。TPPとは関係ないじゃなくて、TPPの11の中に組み込んでいるこの十四章の十一条というのはそういう流れでなっているわけです。だから、TPP11とは関係なく制度をつくっていくということではなくて、このTPP11の十四章十一条が想定しているのはCBPRレベルだから、これでは駄目じゃないですかということを聞いているわけです。何か別に制度があるということじゃないんです。お分かりでしょう。

○政府参考人(澁谷和久君) 御紹介いただいた第十四の十一条は第一項がございまして、各締約国が必要な自国の規制上の要件を課することができることを認めるというのがまず第一項で書いてあって、その上で、先ほどから先生御紹介いただいたように、原則データフリーフローであって、三項めに個人情報の保護は可能であると、こういう立て付けになっております。
 したがいまして、この第一項が、ある意味、今後、各国においていろんな政策を取る上で様々な規制を課すことができるという規定でございますので、このTPPが発効しても十四・十一条の第一項があることをもって国内の別途の個人情報保護の流れに十分対応できるというふうに考えているところでございます。

○大門実紀史君 そうならないと思うんですけど、何度も言っても同じこと言うでしょうから。この経過が、経過をよく御存じだと思うから、澁谷さんね、日米で作ったこの経過というのは、そもそも、原則自由、規制は例外と。ヨーロッパ、EUが今出してきているのは、世界の事件も含めて原則駄目と、それで海外越境は例外という、立て付けが違いますから、もしそうおっしゃるのならば、この第十四条十一章を入れ替えなきゃいけないんですよ、入れ替えなきゃ、条文をですね。まず越境は原理的に考えて例外としてという、そうしないと今申し上げた方向にならないわけでありますから、おっしゃっていることがちょっと矛盾をしていると私は思います。
 もう時間がないので、申し上げたいことは、非常にこれアリバイ的な対応だということでありまして、冒頭申し上げましたけど、自由貿易とは何かというところで、この問題でも現れていると思うんですね。企業のビジネスを最優先するか、個人情報の、人間の個人の情報、個人情報の保護を優先するかと、これが問われているということを、こういうことが問われていることを最初申し上げたわけでありますので、このTPP11はそういう点では本当に個人情報の保護の観点からも国民を危ない世界に招き入れてしまうという点でもう廃棄すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

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