国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi ● ● ● ●


■2018年6月6日 消費者問題に関する特別委員会 「認知症なども対象に」消費者契約法改正案で畑野衆院議員が答弁
<赤旗記事>

2018年6月7日(木)記事

認知症なども対象に
参院特別委 消費者契約法改正案を可決
大門氏が質問 畑野氏が答弁

質問する大門実紀史議員
=6日、参院消費者特委

 参院消費者問題特別委員会は6日、消費者契約法で契約を取り消せる不当な商法の類型に、過大な不安をあおった場合や恋愛感情を利用した場合を加える改正案を全会一致で可決しました。法案には、加齢などで判断力が著しく低下した場合と霊感商法の2類型を追加する修正が衆院で行われています。

 採決に先立つ質疑で日本共産党の大門実紀史議員は、修正部分では認知症やうつ病も対象になるのかと確認。修正案共同提出者の畑野君枝衆院議員は「認知症は一般的には判断力が著しく低下している場合に該当する」と答弁し、軽度認知障害とうつ病については「個別具体的に判断される。判断力が著しく低下している場合は救済の対象になりうる」と述べました。

 大門氏は、法案にある「著しい」という表現が対象者を狭めるものであってはならないと指摘。畑野氏は「過度に厳格に解釈されてはならないのはご指摘の通り」と答えました。

 大門氏は、政府原案に対象を若年層に絞る「社会生活上の経験が乏しい」との要件が入った理由の一つは、すでに規定にある不退去、監禁など実力行使の事例と同程度の要件の厳しさを想定したからだと指摘。「最近は精神的に囲い込む手口に変化している。消費者を守る立場で考えるべきだ」と求めました。

 消費者庁の川口康裕次長は「取消権は消費者法の世界で普通になってきている。相場観と照らして検討したい」と述べました。

≪議事録≫

○大門実紀史君 まず、修正案の第五号について、衆議院の修正提案者に質問をいたします。
 配付していただいていますが、その資料の二枚目に今回の衆議院での修正を文書にしてあります。ゴシックの五号、六号の部分が修正で追加されたということで、この五号の中の「著しく」という言葉が議論になってきたわけであります。つまり、これが対象を狭くするんじゃないかということが消費者団体等、弁護士さんからも懸念が出されてきて、これを削除してもらいたい、あるいはもう五号そのもの要らないんじゃないかという意見まであったわけであります。
 五月三十日のこの委員会で公明党の熊野さんが、この著しくが過度に厳格に解釈されないで広く取れるように周知してほしいという趣旨で大変いい質問をされたわけであります。ただ、認知症のところで、修正案提案者の御答弁が、答弁の方が少し誤解を招いた部分があって、やっぱり狭い解釈なのかというような懸念、不安が現場の方々からも寄せられたという状況があったわけです。これは先ほど矢田さんからもありましたので、細かくもう経過とか文言はたどりません、なぞりません。
 改めて、この認知症についての修正案提案者の統一した考え方を、先日答弁された党の方ではありませんけど、答弁をしてもらえればというふうに思います。

○衆議院議員(畑野君枝君) 大門実紀史委員から、衆議院での与野党修正案に対し、提出者としての統一した考え方について御質問がございました。
 修正案により新設された法第四条第三項第五号の、加齢又は心身の故障によりその判断力が著しく低下しているか否かは、消費者契約の締結について事業者が勧誘をする際の事情に基づき判断されるものでございます。
 消費者が認知症を発症している場合は、一般的には判断力が著しく低下している場合に該当いたします。軽度認知障害の場合もこれに該当するかについては、当該消費者に係る個別具体的な事情を踏まえて判断されるべきものと考えております。軽度認知障害の方が判断力が著しく低下している場合に該当すると認められる場合には、もちろん救済の対象になり得るものでございます。

○大門実紀史君 つまり、確認ですけれど、この著しいという表現が第五号の適用要件を過度に狭めるものであってはならないと思いますし、それが与野党提案者の総意だという理解でよろしいでしょうか。

○衆議院議員(畑野君枝君) 修正案の第五号の著しくという要件は、消費者に取消し権を付与する場合を適切に限定するためのものであるとともに、事業者の不当性を基礎付けるためのものとして設けられているものでございます。
 この要件が過度に厳格に解釈されてはならないことは委員御指摘のとおりでございます。

○大門実紀史君 実は、そもそもこの心身の故障という文言には、主に高齢者の認知症だけではなく、年齢に関係なく陥りやすいうつ病なども含まれるということでございます。これは消費者庁から伺っております。
 そのうつ病も、認知症と同様に軽度とか重度とかそういうもので区別できるものではないし、何が著しいかというのは個別具体的なことになるかというふうに思います。
 むしろ、うつ病の場合は、重度だけを対象にするとかえって救済できないということがあるわけです。なぜならば、例えばばりばりに働いていた中年のサラリーマンが、それなりのキャリアもある方がリストラに遭ったり、過労でうつ病になってしまって休職するあるいは失業するというような、重度になったから、重度のところまで追い込まれたからそうなるわけですね。しばらく自宅で、病院等通う間も引きこもり状態ですね、自宅にいる状態。したがって、こういうときはなかなかこういう消費者被害に遭わなくて、回復していって外に出てみようと、働こうかという軽度になったときに、例の再就職セミナーとか自己啓発セミナー、いかがわしい、そういうものに引っかかることが多いわけでありまして、うつ病でいえば、逆に重度より軽度の方が消費者被害に引っかかりやすいというようなことがありますので。
 したがって、うつ病の場合も、この著しいという要件は、そういうふうな軽い重いとかではなくて、事業者の勧誘方法、悪質さや消費者に係る個別具体的な事例を踏まえて判断されるべきだというふうに思うんですけど、いかがでしょうか。

○衆議院議員(畑野君枝君) 修正案の第五号の心身の故障によりその判断力が著しく低下しているか否かは、消費者契約の締結について事業者が勧誘をする際の事情に基づき判断されるものでございます。
 消費者が認知症を発症している場合は、一般的には、判断力が著しく低下している場合に該当いたします。うつ病の場合も、判断力が著しく低下している場合に該当するかについては、当該消費者に係る個別具体的な事情を踏まえて判断されるべきものと考えております。うつ病に罹患している方が判断力が著しく低下している場合に該当すると認められる場合には、もちろん救済の対象になり得るものでございます。

○大門実紀史君 また、その著しいというのは個別具体的に判断するということでありますので、要するに、この五号というのは、この心身の故障というのは、取引実態、事業者の悪質さまで含めて、そういうものと個別具体的に判断していくということになるかというふうに思います。
 提案者への質問はありませんので、もしあれでしたら退席していただいて結構です。

○委員長(三原じゅん子君) それでは、退席していただいて結構です。ありがとうございました。

○大門実紀史君 その上で、この第五号の著しくはというのが過度に厳格にしない、個別事案でという解釈でしたら、私は、むしろこの第五号をできるだけ現場の、先ほどもありましたけど、現場の被害者救済に活用する方向で考えたらどうかと、前向きに考えたらどうかと思うわけですね。その点で、第五号と三号、四号の関係をどう捉えるかということが大変大事ではないかと思います。
 資料三をちょっと御覧いただければと思うんですけれど、これは、社会生活上の経験が乏しいの要件についてという文書ですけれど、これ、実は衆議院の法案審議に入る前の段階、四月の段階で消費者庁が出してくれていた文書でございます。
 つまり、もう法案審議に入る前から、院内集会もありましたけれど、社会生活上の経験が乏しいという文言には相当の、この要件には相当の疑問や批判、削除しろという要求が殺到していたわけですね。それに対して消費者庁は、高齢者も対象にしますとか、もういろいろ事例で答えていた段階での事例集でございます。この中には、いろいろ意見が出てきたらそれを追加するという形で、何といいますか、追加しながら出していた事例集であります。
 先ほどのうつ病に関して言えば、この事例集のもう一枚目の最後の二つ、うつ病と認知症なんですけれど、このうつ病の方は、実は私が四月の二十日に消費者庁の方に来てもらって、三号の解釈で高齢者は救済しますと言うので、高齢者だけじゃないでしょうと、さっき言ったばりばりで働いている中高年だって社会生活上の経験があっても今それを使えない、判断力を失っている状態があるでしょうと、さっき言ったうつ病とかですね、リストラに遭ってうつ病になって大変な状況というようなことも該当するんじゃないかという話をしたら、該当しますということで、この事例集の下から二つ目、企業において、うつ病の事例を加えられたわけであります。そのときにその下の認知症も加えられたわけですね。
 つまり、申し上げたいことは、衆議院で、修正案で五号ができる前に、法案審議の前に、つまり三号に該当すると対象になるということで、うつ病と認知症の事例がもう加わっていたと。だから、三号でうつ病と認知症は対象になるという、もちろん社会生活上の経験を失っている状態ならばですよ、うつ病も認知症も対象になるというのが、そういう解釈だったんですね、これは既に。
 これは、ちょっと消費者庁、確認しますけど、それはそのとおりでいいですね。

○政府参考人(川口康裕君) お答え申し上げます。
 五号、六号ができたわけでございますが、三号、四号の解釈がそれによって変更されるということはございません。私どもの方は、私どもといいますか、三号、四号は、判断力の低下という要件、そこに注目するのではなくて、社会生活上の経験が乏しいというところで判断していくと。その結果、両方に当てはまるというものがあり得ると、あるいは、個別にはどちらかにより当てはまりやすい、証明しやすいと、説得力があるという場合は当然ありますが、両方に当てはまり得るというケースが出てくるというふうに理解しております。

○大門実紀史君 したがって、申し上げたいことは、いろいろあります、いろいろな議論があります。ありますけれど、今日この法案が委員会で上がるとしたら、今ある材料を、今あるものを最大限使って現場の救済に役立てるという意味では、三号、四号で救済できないケース、これを五号で救うということだってあり得るわけなので、先ほど言った、著しくが過度に限定したものではないという前提ですけれど、そういうふうに使って、現場の方々に、まあこれからいろいろ改正も必要だと思いますけれど、理解してもらえればいいんじゃないかと思いますが、川口さん、いかがですか。

○政府参考人(川口康裕君) 消費者庁といたしましては、衆議院で修正があったものも、これも成立した暁には併せてコンメンタール、注釈書の中で説明をしていきます。特に、相談員の方、全国三千四百人いて、全国どこに住んでいても質の高い相談が受けられるということで頑張っておりますが、相談員の方からしますと、一つ一つの意味をまず理解すると、次はより実践的に使っていくという研究会をされるというふうに思います。その過程でいろいろ御質問が出てくると思いますので、それについても消費者庁は個別に丁寧にお答えをしていきたいと思っております。

○大門実紀史君 それで、もうずっと議論になっております社会生活上の経験が乏しいという文言なんですけれども、まあ、もうずっと聞いていて、川口さんね、答弁すればするほどよく分からなくなるというような状況になっていますので、もう余りしゃべり過ぎない方がいいんじゃないかと。もう整理するだけでいいんじゃないかと思うんですね。
 申し上げたいのは、衆議院で修正があって、附帯決議があって、今はその修正部分や衆議院の附帯決議が元の原案にしみ込んだ段階での議論なんですね。衆議院であの混乱した原案についての議論と違うんですよね。そういう点でいきますと、一定整理されてきているんじゃないかと思いますので、議事録上、ただ、議事録は残っているんですよね、衆議院の議事録って。で、心配なのは、何かのときにその事業者が、一つの部分だけ取り上げて、議事録のですよ、後でそんなことがあっては困るので、先ほど森本理事からもあったとおり、ちょっと整理して、今の段階でですね、出してもらった方がいいんじゃないかなというふうに私も思うんです。
 その点でいくと、余り例をいろいろ言うんじゃなくて、基本的な枠組みの答弁だけを、太い筋の話だけを、こういうものだという点で、この間でいえば、大臣がちゃんと答弁されていますけど、社会生活上の経験の積み重ねが、契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていないことであることとか、あるいは、高齢者であっても、契約の目的となる勧誘や態様との関係で、本要件に該当する場合があることとか、もうそういう基本的なものだけにして、そういう見解を示していただければいいんじゃないかと思うんですね。
 それで、参考人質疑のときに、相談員の増田さんがおっしゃっていましたけれど、大事なことは、現場の相談員の方が変な事業者と相手をするときに、すぱっと相手に言えると。逐条解説とか議事録とか、そんなもの、悪質業者に言ったってぐちゃぐちゃ言いますから、増田さんが言われていましたように、ファクス一枚ぱっと事業者に、これが見解なんですよと、これが消費者庁の見解なんですよと、解釈なんですよというのを一枚で送ってあげると、そういうことに私たちはやっぱり努力すべきだと思うんですよね。
 そういうものに資するような、整理した、この社会生活上の経験が乏しいとは何なのかということを、今言ったような本当に太い筋だけで結構ですから、そういうものを整理してこの委員会に出してもらって、そして、現場にそれを更に分かりやすくしたものを、ファクス一枚で分かるようなものを現場に送れるようにしたらどうかと思うんです。
 そういう点で、森本理事も言われましたけど、私の方からも、委員長、理事会でそういうものを求めるように協議してもらいたいと思います。いかがでしょうか。

○委員長(三原じゅん子君) ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

○大門実紀史君 その上で、ただ、この文言については意見だけ申し上げておきたいというふうに思います。
 やはり、今後、このまま残していかない方がいいという意味で、今の話とは別に、今後の考え方なんですけれど。
 実はいろいろ今日も議論がありましたけれど、今日も川口さん言われていましたけど、政府部内で検討したという、その政府部内というのは内閣法制局。私は、どういう検討をされたのかと思って、内閣法制局の方に来てもらって聞いてみました。議論もしました。そもそもなぜ入れたのかの一番大きいのは、やっぱり、先ほどもありましたけど、成年年齢の引下げ、民法との関係ですよね、この政策的対応であれをぐっと打ち出したかったと。しかし、結局、年齢にはかかわらず、場合によっては救うになったわけだから、だから最初から消費者委員会のとおり取っちゃっても、なくても結果的に余り変わらなかったんじゃないかなと私は思うんですね。
 もう一つは、消費者委員会の答申のままだと対象が広過ぎちゃうと、変なことを言うんですね、内閣法制局は。対象が広がったら行為で狭めるしかないと、対象を狭めたら行為はいいと。私はちょっと、論理的に違って、対象のカテゴリーと行為の規制のカテゴリー、違うんですよね。それを何か混乱して、だって、対象年齢、年齢的に絞っても、行為が広ければこれ防げないわけですよね。だから、その二つのものを、何か混乱して、内閣法制局ともあろうところがそんなことを言い続けてきたのかなというのが分かって、違うでしょうと言っていたんですね。そうかなみたいなこと言っていましたけど。
 問題は、その上で、もう残ったのはただ一つですね。これは、資料の一枚目に議事録をコピーしておきましたけれど、福井大臣が五月の二十一日に言われている話でございます。これは、つまり、今、既に消費者契約法の中にある取消し権の適用される範囲との見合いで考える必要があるというふうな言い方をされているんですね。言われているのは、不退去、監禁と同様に不当性の高い事業者の行為を特定すると、明確化すると、こういうものに合わせようとして限定を付けましたというようなことを答弁されているんですね。
 これは明らかに私はおかしいと思います。なぜならば、不退去とか監禁というのは、これは契約法の四条三項なんですけど、要するに、押売とか居座っているとか、居座って帰らないとか、あるいはどこかに閉じ込めて契約するまで帰さないとか、こんな世界ですよ。これは、こういう実力行使といいますか、物理的な、そういう世界に見合うものでなければなんということをいいますと、大体この困惑類型が当てはまっていくのかと。
 困惑類型というのは、これは、何か法律用語的なことなんでしょうけれども、要するに、精神的自由な判断ができない状況、恐れおののいた状態、こういうものを困惑というんですね。精神的なものですよね。最近もうこの間、そんな押売とかどこかに閉じ込めるなんてないですよ。大抵は、この精神的に囲い込むといいますかね、あの手この手でというようなことが問われていて、消費者法の改正もそういう方向で議論しているときに、こんな不退転とか監禁と同様になんということを言うべきではないし、こういうことを物差しにすると、これから、これからですね、消費者契約法の立法趣旨、いろんな点、立場の弱い消費者を救っていこうという目的に沿った改正ができなくなると思うんですね。
 ただ、これだけかなと思って探してみたら、二十三日に川口さんが答弁されておられます。それは、こういう不退去、監禁と同様にみたいな、こんなむちゃくちゃなことを言わないで、要するに、取引取消しというのはそんなに軽いものではないと、だから、それにどう合わせるかといいますかね、そういうことを考えて書き込んだんだと。これならまだ分かるんですよね、これならまだ分かるんです。確かに契約取消しというのは軽いことではありませんよ。経済にとって基本的な約束事ですからね。
 ただ、今回、これは悪質業者を相手に考えておりますので、と思いますけれど、少なくとも川口さんの答弁のレベルぐらいが妥当で、ちょっとこの不退去とか、これ誰がこの答弁書書いたのかと思いますけど、監禁とか、こんなものに見合うようなことで考えているといったら、これとんでもない話になると思うんですけど。
 余り厳格に厳格にじゃなくて、やっぱり消費者を守る立場で今後は全体のことを消費者契約法そのものは考えた方がいいと思うんですけど、基本的なスタンスだけでいいですから、川口さん、いかがですか。

○政府参考人(川口康裕君) いろいろ不退去、監禁に遡って御指摘をいただきまして、ありがとうございました。
 消費者契約法の立法趣旨ということにやはり立ち戻って考えるべきというふうに今お話を聞いていて思いました。
 やはり、消費者問題は、同種の行為を反復継続的に行っている事業者とそうでない個人と、ここに構造的な格差があるんだ、情報の質及び量並びに交渉力に格差があるんだということを出発点にしておりますので、消費者と事業者にはそういう構造的格差があるんだということを大前提にいたしまして、そこを出発点に取消しと。これ自体、御指摘がありましたように、重大でございます。ただ、重大ではございますが、一方的に消費者にそういう権利を与えるんだということです。
 そういうことで、客観的、明確にするという要請はございますけれども、既存のもの、一回目に作るときは確かに民法にしか前例がなかったので非常にハードルが高かったわけでございますけれども、消費者契約法に取消しが入って、その後、特商法にも取消しが入ってと、だんだん消費者法の世界でも普通のものになってきておりますので、その辺の相場観とも照らし合わせながら今後検討をしていきたいというふうに思っております。

○大門実紀史君 もう一つ、今後の課題で、ジャパンライフのような事例に対応できる改正をやっぱり本格的に考える必要があると思うんですね。
 先ほど杉尾さんから、消費者庁は何の役にも立っていないと言われましたけど、まあそこまで言うとちょっとかわいそうかなと、ちょっとは頑張ったなと。最後の一年ぐらいは頑張ったんじゃないかなというふうに、ただ、もっと早く手は打てたんじゃないかという意味で、私、ちょっと批判的に言っていましたけれど、名誉のためにちょっと言っておきますと、最後は頑張ったということです。
 ただ、ジャパンライフのような巧妙な事例について契約取消しまで持ち込めるかどうかといいますと、衆議院の議論で、尾辻さんですかね、ジャパンライフ、救えるのかと言ったら、川口さんは使えるケースもあるんじゃないかとおっしゃいましたけど、どんなケースか教えてほしいけど、ほとんど無理じゃないかと思いますよね。
 豊田商事もジャパンライフも、ほかのこの間のマルチとかみんな大体同じなんですけれど、お年寄りが中心のターゲットですね、まず。ジャパンライフの場合でいえば、まず、おじいちゃん、おばあちゃんに、体の調子どうですかと若い人が、まずそういうことから始めて、何も契約させようとしないで、健康相談に来てくれとかいろんなことをやって囲い込んで、これを買ったらどうかということから始まって契約して預託商法に引き込んでいくというようなことの事例であって、相手はもう、おじいちゃん、おばあちゃんにとっては娘さんとか息子とか孫みたいな人ですね。
 そういうものが何でこの四号で救えるのかと。恋愛感情とかその他の好意を、感情を抱いて、同様の感情を抱いている、相思相愛、それを過信している、関係が破綻、全然違いますよね。これ、やっぱりデート商法を念頭に置いているわけでありまして、しかも、細か過ぎますよ、四号ね。そういうものでは全然救えません。
 そこで思うのは、消費者委員会が昨年八月答申された、これちょっと参考人のときに申し上げましたけど、ような改正なら私は救えるんじゃないかと思うんですよね。
 どういう提案をされているかといいますと、当該消費者を勧誘に応じさせることを目的として、消費者と事業者又は勧誘を行わせる者との間に緊密な関係、恋愛感情じゃありませんよ、好意じゃありませんよ、緊密な関係を新たに築き、契約を取ること、勧誘するために新たに築いて、それによって消費者の、おじいちゃん、おばあちゃんの、意思決定に重要な影響を与えることができる状態になったとき、時間掛けてやるんですよね、彼らは、その状況になったときにおいて、契約をしてくれないともう来ないよと、来週来ないよというような、そういう例なんですね、これ。見事にこの消費者委員会の答申というのは、豊田商事やジャパンライフの手口を想定していただいて、それに該当、それに使えるようなこととして提案をされていたと思うんですよね。
 あのジャパンライフのような大事件を消費者庁もあれだけ苦労して対応しながら、なぜこの方向で、このままとは言いませんけれど、なぜこの方向で法案化されなかったんでしょうか。

○政府参考人(川口康裕君) ジャパンライフにつきましては、主として行政処分という形で、大門先生の御指導もいただきながら、対応、努力してきたわけでございますけれども、個々の消費者についてはやはり契約を何らかの形で早く解約をしてもらうということを働きかけてきたところでございまして、これは相談員を通じてお知らせするということになりますけれども、あるいはクーリングオフができるとか、特商法の重要事項の不告知、これは行政処分と同じですから、これに当たるということで取消しを主張できるとか、あるいは説明に不実、事実と異なることがあった場合は消費者契約法の適用があるということが、今の改正前のものでもできるということがあり得るわけでございまして、そういうことを使っていただきたいと思っていたところでございますが、今の大門先生の、典型的なジャパンライフの例ということに即して言えば、衆議院の修正の五号の方は、これは、高齢者が多いということからしますと、加齢等による判断力の低下や、生計、健康その他についての不安を不当に利用している類型でございますので、これは私どもの、恋人商法のものも、親子関係が恋人、恋愛関係と類似の場合というふうに解釈ができれば適用の余地があると思っておりますが、この五号については、親切商法、高齢者、加齢の場合について適用の場合というのがいろいろあるのではないかというふうに思います。
 ただ、事案がそれぞれございますし、全体としてまだまだ救うべきものが救えていない、取消しができるようになっていないというふうに考えておりますので、今後も、ジャパンライフも含めまして、深刻な被害、多数発生している被害を中心に事例の一層の分析をいたしまして、取り消すべき事由の類型化に努めたいと思います。それによりまして、被害の防止、あるいは消費者の迅速、円滑な救済が図られるよう努めてまいりたいと思います。
 また、その際、取消しだけじゃなくて解除、解約、いろんな手段がございます。どういうものが適切か、そのための要件として対象をどうすべきか、消費者契約法に限らず議論をしてまいりたいと考えております。

○大門実紀史君 五号はなぜ使えないかといいますと、判断力の低下が入っております。ジャパンライフの契約、預託商法で契約させられた人たちは、もちろん判断力低下している人もいるかも分かりませんけれど、それよりも、むしろこの消費者委員会が提案した、緊密な関係を築いて、こちらの判断力があっても、これで引き込まれているのがほとんどでございますので、そういう点で申し上げておりますし、手口が巧妙ですから、もう御存じのとおり、いろんな法律でやらないと防げないのはそのとおりですけど、この契約でいえば、やはり消費者委員会の答申のようにしていただく必要があると思いますので、今後、そういう検討もしてもらいたいというふうに思います。
 最後に、消費者委員会の提案の中にございましたけど、事業者の情報提供の努力義務という点なんですけれど、消費者委員会の提案はいろいろ書いてありますが、私、余り難しいこと言わないで、現場にどう役に立つかということを考えますと、成年年齢の引下げ、十八歳、十九歳がターゲットになってくる、さらに高齢者の被害が増えているということでいえば、法改正とか何か、それはそれでやらなきゃいけないんですけど、努力義務を規定するというのは必要なんですけど、まず、民法の年齢引下げが恐らくやられるというような状況でありますので、そうなりましたら、消費者庁としては、そういう事業団体に、成年年齢引下げに伴って若い人への勧誘とか契約については配慮してほしいとか、きちっと配慮してほしいとか、高齢者の被害が増えているので、契約における配慮とか、勧誘についてはこういうことをきちっと注意してほしいとか、そういう事業者団体に消費者庁として注意喚起といいますか、そういうことをやることは、幾らでも何か法改正を待たないでもできることだと思うし、やらなければいけないことだと思うんですけど、最後、大臣、そういう点の努力をお願いしたいんですけど、いかがですか。

○国務大臣(福井照君) おっしゃるように、事業者、事業者団体に対して、本法案の成立後、改正消費者契約法の内容につきまして分かりやすい説明資料や事例集を作成した上で説明会を開催することなどによりまして、若年者を含む消費者に対する丁寧な情報提供の必要性について積極的に周知徹底をしてまいりたいと存じております。こうした取組を通じまして、事業者による情報提供義務に関する認識、それに基づいた適切な情報提供等により、消費者トラブルの未然防止に資するよう努めてまいりたいと存じております。
 何よりも、先生おっしゃるように、事業者に対しては、必要な情報提供、重要だという認識で頑張っていきたいと思っております。

○大門実紀史君 終わります。

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