<議事録>
○大門実紀史君 大門です。
久しぶりの日銀報告質疑でございます。よろしくお願いします。
今日の議論をずっと今まで聞いていてやっぱり思うのは、この際、やっぱり二%のこの物価目標というのをもうやめたらどうかと思うんですよね。五年もやって駄目なんだからもう十分、もう十分だと思うんですよね。かえってこの目標があるために自分で自分の首を絞めているというか、日銀がですね、身動き取れない状況に陥って、いつまでも出口といいますか正常化のところに踏み出せないと。二%というのをやめちゃえば、いろいろもっと楽に、いろいろ考えられるんじゃないかと。もっと楽になったらどうかと思うんですよね。こういう議論ばっかり何年もやっているのはいかがなものかというふうに思うわけでありますけど。聞いても同じ答弁ですよね、ですのでやめておきますけど。本当に、こういうの、何年こんなことをやっているのかなと思いますけれど。
それで、ちょっと具体的なことでお聞きしたいと思うんですが、三月六日の議院運営委員会で、総裁の所信聴取ですかね、の質疑のときに、私の質問のときにこういうふうにお答えになっているんですけれども、正常化というか、あるいは出口というか、その際に論点になるのは二つあると。短期政策金利をどうするかということ、拡大したバランスシートの調整をどのように行うかと、この二つが議論になるでしょうと。ただ、それを具体的にどのような手順で動かしていくかは、やはり出口に差しかかったときの経済、物価、金融情勢を踏まえて最適な方法でやっていくということに尽きるということをおっしゃっていて、相変わらず、今具体的に議論するのはやはり早いということで、つまり、出口に差しかかってきたときに、そのときの経済、物価、金融情勢を見て考えると、まだ先の話だということをおっしゃっているわけですね。
同時に、日銀は長期金利を抑える等の十分な手だてを持っているからともお話をされております。本当に何があっても対応できる手だてをお持ちなのかと、あれば示してもらいたいなと思いますが、ないんじゃないかと私は思っていますけれども。
ただ、いざ正常化に踏み出すときの、総裁がおっしゃったように、何か日銀の手持ちの手だて、日銀の範囲でやれる手だてだけでは対応できないリスクも生じてくるんではないかと思います。日銀の手のうちの範囲を超えたリスクもあるんではないかと。今日はその点質問させてもらいたいんですが。
資料を用意いたしましたけど、国債マーケットにおける海外投資家の問題です。投機筋の問題です。
配付資料の一枚目は、国債市場における海外投資家の存在感ということで、先物、現物の売買に占める割合、あと保有割合ですね。売買でいえば現物で三割、先物でも五割を超えるという水準になってきております。保有割合もじりじり着実に伸びて一割強になっているというところですね。
二枚目は、期間別に見たものですけれども、海外投資家のですね、見たものですけど、注目すべきはやっぱり長期債、十年債で五割前後に海外投資家の比率が高まっているということで、特にもう売買に関していえば、国債の売買に関していえば、海外投資家、もうはっきり言ってヘッジファンド含めて投機筋が多いわけですけれども、が国債市場の中心的存在になってきております。
国債市場において、基本的認識をまずお伺いしたいんですけれど、総裁は、二年前の参議院の予算委員会のときに、国債市場というのは海外の人が買ったっていいんだと、誰でも自由に取引、売買していいんだというふうに思っていますというふうに、二年前は割と気楽なことをおっしゃっていたんですけれども、国債市場において海外投資家の存在が高まっていくことはいろいろ考えなきゃいけないと思うんですけれども、金利の水準とか、こういう海外投資家の存在が、プレゼンスが高まっていくことに対して、金利の水準とか国債の価格変動リスクにとってどういう影響があるというふうに、一般論でも結構なんですけれども、今のところ認識されているか、お伺いしたいというふうに思います。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、我が国の国債市場における投資家別の売買動向を見ますと、確かにここ数年、海外投資家のプレゼンスが高まっているということはそのとおりであります。
そうした海外投資家の動向につきましては、国内外の景気動向あるいは国債利回り、それから、海外投資家は特にそうでしょうが、外貨を用いて円貨を調達する際のプレミアムの動向など、様々な要因が影響しているというふうに見られます。この点、日本銀行では、こういった海外投資家など国債市場の主要な投資家の売買動向につきましても、その背景にある様々な要因も含め、日々注意深くモニタリングを行っているところであります。
御指摘のとおり、この海外投資家は海外の状況と日本の状況との言わば両方を踏まえて投資をするということでございますので、その動向というのは特に海外の経済、金融の市況、そういったものの動きにも影響されますので、そういった動向は注意深くモニターしております。
○大門実紀史君 資料の次のページにちょっと用意させてもらいましたけれども、これは財務省の、二〇一四年に債務在り方懇談会というのが開かれまして、その中で大手の外資系の金融機関の担当者が提出してくれた資料であります。
これは、日本国債の市場、マーケットにおける海外投資家の実態について報告をしていただいたわけですけれども、これのところのメモに線を引いておきましたけれども、要するに、ヘッジファンドが円債市場に本格参入するのは以下のタイミングだということで、最初に書かれているのが日銀の緩和縮小、つまり出口といいますか、正常化に向けてのところだと思うんですけど、この金融政策変更のタイミングだというふうに、こういうところを簡単に言えば海外投機筋は狙うだろうということを指摘されております。そういうことはきちっとリスクとして思っていなきゃいけないというふうに思うわけです。
もう一つは、具体的にこの海外のヘッジファンドが最も投機的な動きをするのが空売りの問題です。
この点では、一昨年の、これは衆議院の公聴会で発言されておりますけれども、投資会社の代表の方、松田さんという方で、トレードの現場にいる方が、衆議院の公聴会で国債に関するリスク提言ということで発言をされております。
これによりますと、三つ重なるんじゃないかと。そのヘッジファンドが国債に何かを仕掛けるときは、一つは格付会社、いわゆる勝手格付といって、海外の格付会社が日本国債のランクを下げるようなタイミングと、外国人勢の空売り、ヘッジファンドの空売りと、この三つが、先ほど申し上げましたけれども、日銀の政策変更のときに狙って仕掛けてくるのではないかということを、具体的に現場の方が国会の公聴会で指摘をしてくれているわけであります。
もちろん、今まで海外の投機筋が日本の国債に空売りを仕掛けて暴落、空売りを仕掛けて失敗をしたという例はもう承知しております。今までは防いできたとありますけど、ただこれからもずっと大丈夫と言えるのかと、言えない、あるいはそれも備えておかなきゃいけないのではないかという立場で、先ほど総裁も言われていましたけど、リスクを認識しておくべきだというふうに思います。
その点で、資料の四枚目に、この国債含めた空売り規制について日本とEUの状況を比較したものを金融庁に出してもらいました。
これ、池田局長ですかね、株と国債についての空売り規制の比較なんですけど、時間の関係で国債の空売り規制の部分だけEUと日本でどういう違いがあるのか、簡潔に説明をしていただけますか。
○政府参考人(池田唯一君) お答え申し上げます。
空売りについての、例えば上場株式等についての空売りポジション、こうしたものについては報告、公表制度がございます。これは、空売りの状況を投資家に周知することなどを通じまして、投資家における適切な投資判断を可能として公正な価格形成に資するようにしようとするものでございます。
こうした考えの下で、日本におきましては、御指摘のように、上場株式については空売りポジションの報告、公表制度の対象となっているわけですけれども、国債についてはその対象とはされていないところでございます。
他方、欧州につきましては、国債の空売りポジションにつきましては公表制度の対象とはなっていませんが、空売りポジションが一定水準を超える場合には当局に対して報告を行う義務があると承知してございます。この資料にございますように、空売りポジションが一定水準を超える場合については当局への報告が必要であると。この一定水準については国ごとに定められているという状況でございます。
○大門実紀史君 そういうことで、更に言えば、緊急時にはEUの場合は個々の投資家に対しても様々な金融取引の持ち高を、ポジションを報告させることができるというのがありまして、こういった仕組みは日本にはないということでございます。
アメリカなんですけれど、これはもう口頭で御紹介いたしますと、アメリカでも国債管理政策の一環として一九八〇年代に国債法というのが制定されまして、国債の市場取引に対して公的な規制が導入されております。大口の持ち高制度というのがございます。これも同じように大口の持ち高を当局に報告する制度でありまして、これ、国債の持ち高の集中状況とか支配力が過度に強まっていないかなどをモニタリングするというようなことを中心の目的にしております。
とにかく、EUでもアメリカでも国債の大口ポジション、大口の投資家に対しては一定の報告制度を求める公的規制が導入されております。それぞれ、EUの場合だと、二〇一〇年ですかね、ソブリン危機とか、アメリカだといろんな不正取引がありましたので、そういう背景があって導入されたものですけれども、日本においてもEUとかアメリカの教訓を踏まえて備えておく必要があると思うんですけれども、これは財務省の担当ですかね、こういう、投機筋がいざというときに狙ってくるという可能性があるわけなんですけれども、日本もこれからこういう報告制度とか規制の枠組みを、規制を作って備えておく必要があるんではないかと思いますが、財務省、いかがでしょうか。
○副大臣(木原稔君) 委員の問題意識はよく分かりました。
大量の国債の確実かつ円滑な発行、それと中長期的な調達コストの抑制というものを図るためには、市場のニーズを踏まえた国債発行を行う、それと併せて、流通市場の機能が十分に発揮され、国債の保有者がいつでも適正な価格で売買できるように、国内外の多様な投資家によって取引が活発に行われること、これが重要であるというふうに考えております。
このため、私ども国債発行当局といたしましては、今後とも国債市場の状況等を注視しつつ市場ニーズを的確に把握して、取引が活発に行われるよう流通市場の機能の維持向上に向けて、金融規制を所管する金融庁や、また金融政策を所管する日本銀行とも引き続き密接に連携してまいる所存でございます。
○大門実紀史君 せっかくなんでもう一つ財務省に聞きますけど、今現在、日本も国債市場特別参加者制度ですかがありますよね。これが一定機能しておりますというような話もあったんですけれども、実は、この現在の国債市場特別参加者制度、プライマリーディーラー制度では、二十ですか、プライマリーディーラーといって二十の金融機関、内外の、入っているんですけれども、これ二〇一四年にこの委員会で私、例のLIBOR問題、ロンドン銀行間取引の不正取引ですかね、そのときにこの委員会で取り上げた記憶あるんですけれど、この今ある制度の国債市場特別参加者制度に名前を連ねているJPモルガンとかシティグループとかドイツ証券とか、こういう、この二十のうち六社があのときにLIBOR問題で軒並み罰金を受けるというようなことがありましたので、今あるこの制度が必ずしも抑止力働いていないというようなこと思いますので、今副大臣おっしゃったように、きちっとした、EUあるいはアメリカ並みの、こういう投機筋の動きを少なくとも把握できるような制度を早急に考えていただきたいというふうに思います。
先ほど紹介した公聴会に来られた松田さんという現場のトレーダーの方がおっしゃっているのは、とにかく当局がなめられることが一番駄目なんだと、日本政府とかあるいは日銀とかがヘッジファンドとかになめられることが一番駄目だと、そのさせないためにもこういう報告制度をきちっと設けることが必要だということをおっしゃっておりますので、その点を踏まえて検討していただきたいというふうに思います。
最後に、そうはいっても黒田総裁にお伺いしたいんですけれども、出口について語らないといいますか、正常化への道に口を、何もおっしゃらないということなんですけど、ここまで来ると、逆に、何もおっしゃらないことがいざ正常化に踏み出したときのリスクをかえって高めると、何も言わないことがかえって踏み出したときのリスクを高めると。今日申し上げたようなことも含めて、いきなり正常化と、いつやりますとか何かはまたおいておいたとして、いろんな備え、いろんな構え、備えはやっぱりきちっとしておく、もう五年もたったんですから、そろそろ、今日御指摘したことも含めて、備えや構えをきちっと準備しておくことが必要ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 将来のいわゆる出口の局面では、従来から申し上げているとおり、金利水準の調整あるいは拡大した中央銀行のバランスシートの扱いなどが課題になるわけでして、その際、委員御指摘のとおり、国債市場の動向を始め様々なリスク要因に留意する必要があるというふうに認識しております。
その上で申し上げますと、日本銀行は既に長短金利を操作するためのオペレーション面での様々な手段を有しておりますし、また、各種の資金吸収オペレーションのほか、超過準備に対する付利金利の引上げなどによって対応していくことも考えられます。特にFRBを始めとする海外の先行事例なども踏まえながら、市場とのコミュニケーションを適切に行っていくということが必要であるというふうに考えております。
日本銀行といたしましては、海外の中央銀行の経験からも学びつつ、様々な政策手段を活用することで市場の安定を確保しながら、その時々の状況に応じて適切な政策運営を行うことが十分可能だと考えております。
なお、御指摘の国債の空売り規制の問題につきましては、日本銀行は規制の当局ではございませんので、具体的なコメントは差し控えさせていただきますが、常に国債市場の動向をモニタリングしている立場から、一部の市場参加者による国債の空売りなどが国債利回りに特段の影響を及ぼす動きにつながるかどうかという点も含めて、今後とも国債市場のきめ細かい把握に努めてまいりますとともに、その上で、日本銀行としては、引き続き関係当局と連携を密にしてまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 よろしくお願いします。
冒頭申し上げたように、二%の目標にどれだけの意味があるのかということを本当に、大体二%というのは、議運のときにも申し上げましたけど、二%が続くという状況は、日本でいえば、戦後でいえば高度成長期あるいはバブルのときぐらいですから、ほかはありませんので、そんなものを目標にしてどれだけの意味があるのかということと、物価は金融だけで決まりませんから、やっぱり二%の物価目標というと、賃金でいえば三%以上の引上げがないと実現しないというふうな関係もあるわけですから、もう金融政策ではなくて、政府を挙げて本当に今賃金引上げ政策に専念すべきではないかということを与党の皆さん、財務省の方にも申し上げて、私の質問は終わります。
ありがとうございました。