国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2018年3月7日 議院運営委員会 日銀副総裁候補への所信聴取と質疑
<赤旗記事>

2018年3月8日(木)記事

金融緩和「正常化メッセージを」
日銀副総裁候補への聴取 大門氏が質問

大門実紀史議員

 参院議院運営委員会で7日、日本銀行副総裁候補の若田部昌澄早大教授と雨宮正佳日銀理事の所信聴取が行われ、日本共産党から大門実紀史議員が質問に立ちました。

 雨宮氏は、金融緩和について「効果と副作用の評価や将来の出口戦略のありかたなど、検討課題は多岐にわたる」と説明しました。大門氏は、450兆円もの国債を日銀が保有するようになった事態を批判し、「正常化に向けたメッセージを打ち出すべきだ」と迫りました。

 雨宮氏は「重要なのは市場とのコミュニケーションだ」と主張し、「出口の手段はあるが、どのような手段をどういった組み合わせでやるかは、その時々の経済・物価情勢によって変わる」と述べ、具体策には言及しませんでした。大門氏は、2%物価目標にとらわれず「金融政策として物価の安定や雇用のフォローをすべきだ」と提言しました。

 若田部氏は、デフレからの完全脱却に向け「日銀はあらゆる手段を駆使すべきだ」と強調。現行金融政策の継続が「何よりも大事」として、2%物価目標が「依然として有効であり有用」との認識を示しました。

 大門氏は、副総裁候補2人分の枠のうち、政府や日銀の“行きすぎ”に歯止めをかけるため外部の有識者に1人分を充ててきた慣例に言及。安倍政権が進める金融緩和政策を積極的に進める人物が有識者枠に推薦されたのは異例だとして、日銀の政治からの独立性について見解をただしました。

 若田部氏は「目標について独立性を持っているのではない。政府が決めた目標のなかで、いかに手段の独立性を確保するかということだ」と表明しました。

≪議事録≫

○参考人(若田部昌澄君) 早稲田大学の若田部昌澄でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、所感を述べる機会をいただきまして誠にありがとうございます。
 私は、早稲田大学とカナダ・トロント大学の両大学院で経済学を学んだ後、一九九八年から現在まで、早稲田大学政治経済学部及び大学院経済学研究科で教鞭を執り、研究と学生の指導に当たってまいりました。
 私の専攻は経済学史ですが、主としてマクロ経済学の歴史、特に、一九三〇年代の大恐慌、一九七〇年代の大インフレ、一九九〇年代からの日本の大停滞、二〇〇七―八年からの世界的金融経済危機など、過去と現在の経済危機とそれに対するマクロ経済政策対応について研究を進めてまいりました。二〇〇三年頃からは、現日銀副総裁岩田規久男先生やほかの研究仲間とともに、歴史的研究を基に、日本経済、殊にデフレと金融政策についても研究を積み重ねてまいりました。
 この度、日本銀行の副総裁候補に挙がりましたが、国会の同意が得られましたならば、これまでの研究を金融政策に生かし、もうお一方の副総裁とともに総裁をお支えし、全力で職務を全うしたいと考えております。
 この所信表明では、現状についての理解と今後の課題について述べさせていただきます。
 二〇一三年から、日銀はデフレ脱却を明確化すべく物価安定の目標二%を掲げ、積極的な金融緩和政策を推進してまいりました。その後五年間で、失業率は下がり、有効求人倍率は上がり、就業者数は増えております。近年は、男女共に正規雇用の増加につながっております。こうした良好な雇用状況の結果、自殺率が下がり、貧困率も減少に転じてきました。また、実質賃金につきましては上下動を繰り返しておりますが、総雇用者報酬は、名目でも実質でも増加しております。今後、積極的な金融緩和政策を持続することで実質賃金も上昇していくことが期待されます。
 物価につきましては、二〇一四年三月には消費者物価指数が前年同月比で一・六%近くまで上昇したものの、その後、二〇一六年九月にはマイナス〇・五%まで下落しました。ただ、近年、物価については持ち直しが続いており、二〇一八年一月には一%程度にまで回復しております。継続的に物価が下がるのをデフレとする意味では、現在はデフレではない状況に達したと言えるかと思います。しかしながら、物価安定の目標である二%には到達しておらず、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数では〇・四%の上昇にとどまるなど、デフレからの完全脱却が依然として課題として残っております。
 次に、今後の課題について三点述べさせていただきます。
 第一に、何よりも大事なのは、デフレからの完全脱却を目指すという、これまでの五年間の金融政策の基本的なスタンス、レジームを継続することです。これまで得られた成果を改善し、日本経済を再びデフレに戻さないためにも、デフレからの完全脱却が必要であると考えます。
 第二に、二%の物価安定目標は依然として有効であり有用であると考えます。金融政策の目的は、物価上昇率を中期的な目標としながら、最終的には国民経済の健全な発展に資することにあります。そこで重要なのが雇用であります。経済学では、インフレを加速しない失業率という考え方があります。この失業率は働きたい人がほぼ職を得られる状態に対応しておりますが、日本経済のそれは恐らく二%台半ばから前半であり、物価目標二%を達成することで、そこまでは失業率を下げることができると考えられます。
 第三に、リスクへの適切な目配りです。経済危機の歴史は、様々なリスクへの警戒が必要であることを教えてくれます。例えば、大恐慌時代の一九三七年、米国の政府と連邦準備制度理事会は、デフレから脱却したと思い、マクロ経済政策を引き締めましたが、その後、米国経済はデフレに逆戻りしてしまい、再び政策の再緩和に転じました。
 現在、世界経済の好調に支えられて、日本経済には追い風が吹いていると言われます。しかしながら、最近の状況を踏まえますと、この好機がどこまで続くか慎重に検討する必要があると考えます。特に、時期尚早に政策を変更してデフレに逆戻りするリスクは避けなければなりません。デフレからの完全脱却の前にいわゆる出口政策を行うことは避けなければなりません。
 デフレからの完全脱却を達成するために日銀はあらゆる手段を駆使すべきではありますが、政府と日銀が協力することも欠かせません。デフレ脱却と日本経済再生という原点に立ち戻り、金融政策、財政政策、成長政策、そして所得再分配政策のバランスの取れた連携が必要であると考えます。
 今は、日本経済のデフレからの完全脱却が懸かっている極めて重要な時期です。この時期に日本経済再生のためのお手伝いをできる機会をお与えいただけましたならば、全力で職務に努めたいと考えております。
 ありがとうございました。

○参考人(雨宮正佳君) 雨宮でございます。
 本日は、所信を述べる機会を賜り、光栄に存じます。
 私は、一九七九年に日本銀行に入行して以来、四十年近くにわたり中央銀行の実務に携わってまいりました。近年では、考査局参事役、政策委員会室組織運営担当審議役、企画局長などを務め、金融政策運営、金融システム問題対応のほか、日本銀行の業務、組織運営など、多岐にわたる分野で経験を積み重ねてきました。黒田総裁就任以降は、理事として、当初の量的・質的金融緩和の導入から現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和に至るまで、金融政策の企画立案やその実践を担当してきております。
 今般、副総裁としてお認めいただきましたならば、これまで日本銀行で得られた経験と知見を生かして、職員の力を束ねつつ、もうお一方の副総裁と力を合わせ、全力で総裁を支えてまいる所存です。また、政策委員会の一員として、しっかりと議論に貢献してまいりたいと考えております。
 今後の課題として、まず第一に、金融政策運営からお話し申し上げます。
 日本経済は、一九九〇年代後半以降、約二十年近くデフレに苦しんでまいりました。日本銀行は、この間、ゼロ金利政策、量的緩和、包括緩和と、世界でも最先端の新しい政策を開拓しつつ、デフレ脱却のために努力してまいりました。そして、五年前に量的・質的金融緩和を導入した後、経済・物価情勢は大きく改善しました。企業収益が過去最高水準まで増加しているほか、家計の雇用・賃金情勢も好転しております。物価面でも、もはや物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっています。物価安定の目標である二%は達成できておりませんが、日本経済は、その実現に向けて着実に歩みを進めております。
 私は、日本銀行におけるキャリアの約半分、二十年近くにわたってデフレとの戦いの最前線に身を置いてきた者として、積年の課題である物価の安定という使命達成の総仕上げのため、全力を尽くす覚悟であります。もちろん、歴史的にも、また世界的にも類例を見ない大規模な政策を講じておりますので、その効果と副作用の評価や将来の出口戦略の在り方など、検討課題は多岐にわたります。これまで築き上げた中央銀行員としての実務知識もフルに生かしつつ、適切な政策運営に努めていく所存です。
 第二に、金融システム面での課題について申し述べます。
 我が国の金融システムは安定性を維持していますが、金融機関を取り巻く経営環境は、人口や企業数の減少、産業構造の変化、長引く低金利環境など、厳しさを増しています。これに対して、金融機関では、多面的なビジネス展開やITを活用した業務見直しなど、幅広い経営改革を進める動きが広がっています。日本銀行としても、こうした金融機関の前向きな動きを的確に把握し、サポートしてまいります。また、日本銀行は、金融システムの安定を図るため最後の貸し手機能を有しており、近年、金融取引の市場化やグローバル化が進展する中で、金融市場への流動性供給や外貨の流動性供給などの新たな機能も含め、その役割は一層重要性を増しております。このほか、金融分野におけるIT技術の応用、いわゆるフィンテックの急速な発展に対応していくということも重要な課題です。
 このように、金融を取り巻く環境が大きく変革していく中においても、日本銀行が持っている機能や能力を十分に発揮することで、金融システムの安定を図り、金融仲介機能の更なる向上に貢献してまいる所存です。
 第三に、業務、組織運営について申し述べます。
 物価の安定と金融システムの安定という日本銀行の使命達成の基盤は、銀行券の発行と流通、決済システムの運営、預金、貸出し、債券取引など、中央銀行としての日々の業務遂行であります。日本銀行の本支店、事務所約五千人の職員は、高い士気を持ってそうした業務を日々遂行するとともに、災害等の緊急時にも我が国の金融インフラをしっかり守るという強い決意を持って臨んでいます。職員一人一人の持てる力を引き出し、日本銀行の組織力をフルに発揮させていくことが、長年にわたり日本銀行に奉職してきた私に課せられた重要な責務と考えております。
 以上、所信を申し述べました。
 副総裁として日本経済のために貢献する機会をいただくことになれば、全身全霊を懸けて職務に取り組んでいく所存でございます。よろしくお願い申し上げます。

○委員長(山本順三君) 以上で候補者からの所信の聴取は終了いたしました。

<若田部昌澄氏への質疑>

○大門実紀史君 大門でございます。
 本当に、若田部先生にお会いできてうれしいなと思っております。まさか若田部先生が日銀副総裁に出てこられようとは本当に思っておりませんでして、リフレ派としても、何といいますか、かなり刺激的といいますか過激といいますか、よくそういう方が出てこられたなというふうに思っております。
 立場は全然違いますけれど、先生のレポートとか御本は結構、反面教師といいますか、違う立場で読ませていただいてきたんですけど、本当に驚きなんですけど、もしお聞かせいただければ、どういう経過で、どういうどこからの要請があってこうやって出てこられたのか、ちょっと教えてもらえないかと思います。

○参考人(若田部昌澄君) 人事の過程に関することは、これはプロセスの話ですのでコメントを差し控えさせていただきます。

○大門実紀史君 私、若田部先生となら本来リフレ云々の議論をしなきゃいけないんでしょうけど、ちょっともう同じ話ばっかりでうんざりしておりますので、せっかく目の前にいらっしゃるので、ずっと気になっていたことをちょっとこの機会にお聞きしたいんですけれども、日銀の独立性の問題です。
 昨日も黒田さんとは議論したんですけど、若田部先生が二〇〇六年三月の日経の「経済教室」で、これは、このとき何があったかというと、福井総裁が三月に量的緩和を一旦解除したときでしたね。財政金融委員会でもいろんな議論があったときなんですけど、そのときに若田部先生が日経の「経済教室」で書かれていることは、要するに、量的緩和政策を解除したのは、それに疑問を先生は呈されて、その上で、今回の政策転換でデフレ不況が再発したら日銀は責任を問われる、今や中央銀行の独立性は政府から超然したものではない、現状では日銀総裁が失政をしても総裁の辞任は自主性に任されていると。で、御提案されているのが、制度として日銀の責任を問う明確な規定を設ける必要が生じる、更に言えば、日銀法の再改正も真剣に検討するべきというふうにおっしゃっております。
 当時、思い出しますと、国会でも、リフレ派の議員の方が日銀に相当圧力といいますか、質問も含めて掛けていた時期でありまして、日銀法の改正なんかも、ちょっと私から見ると脅しじゃないかと思いましたけれども、そういうことを言われた時期でありますけれども。
 若田部先生は今でも、あれですかね、日銀の政策が失敗したら総裁は辞めるべきだと、辞めなければ日銀法の改正も含めて考えるべきだというお考えは今でも同じでしょうか。

○参考人(若田部昌澄君) 今のは私が経済学者時代に書いたものですので、それについてのコメントであるということで申し上げますと、私は、やはりこれは、民主主義国家においてはいかなる組織も民主主義から超越した存在ではあり得ないというのが大前提だと思います。そのようなことで、国会の同意を得て総裁、副総裁の人事というのも決まっているわけですし、そういった理解を踏まえて、最近では、中央銀行というのは、独立性を持っているけれども、その独立性というのは目標について独立性を持っているのではないと。中央銀行が持っている独立性というのは、その与えられた目標の中で、つまり民主的に選ばれた政府が決めた目標の中でいかにその手段の独立性を確保するかということだというふうに理解しております。
 なので、私としてはその理解というのは今でも正しいと思いますし、現状では、現状の日銀法がどうなっているのかということについてはそれ以上はコメントいたしませんが、政府と日銀の共同声明が作られたことによって、現在の日銀法の下で物価の安定ということに対してより明確な目標が与えられた、その下で、日銀というのは組織としてその目標を達成すべく全力を尽くすという形で望ましい関係ができたのではないかというふうに思います。
 そして、その結果が、所信表明でも述べさせていただきましたが、一九九〇年代の半ばぐらいから二〇一三年ぐらいまで続いたデフレというのがようやく終わりつつあるということであるので、この方向性というのは正しいし、中央銀行あるいはこういった専門組織の民主的統制という観点からも非常に正しいと、私はこう考えております。

○大門実紀史君 今日は論戦の場ではありませんので、お考えを聞くということで、また副総裁になられたらじっくりやりたいと思うんですけれども。
 もう一つ、そこまで行く手前でいろんなことをおっしゃっていて、この本も面白いなと思って読んだことは読んだんですけど、二〇一〇年ですね、「伝説の教授に学べ」というやつで、浜田宏一さんと勝間和代さんと先生、三人の共著ですけれども、この中でも、このときは、ターゲットは福井さんじゃなくてもう白川さんですね。福井さんならいいというわけじゃないですけど、白川さんは私は特に非常に尊敬しておりましたので、これはいかがなものかと思うんですけれども、これも同じような責任論なんですけどね。浜田さんが明らかに間違った政策をやった場合問題だとおっしゃって、若田部先生は確かに問題だと。ここでおっしゃっているのは、総裁を辞めさせるべきだということの物差しをおっしゃっているんですけれども、金融政策の運営がひどければ辞めさせるべきだ、ただ、ひどいかどうかは基準が必要だ、それがインフレターゲットだというふうにおっしゃっているんですね。つまり物価上昇目標ですね。
 つまり、日銀が掲げた、当時はインフレターゲット、目標も掲げることも日銀は抵抗していたわけですけれど、今はもう掲げておられるわけですね。ところが、その掲げた目標ができなかったらもう責任取って総裁辞めるべきだというようなことをおっしゃっていたわけですよね。その後、黒田さんになって物価目標を掲げてきたんですけど、五回も六回もうまくいかないですよね。だから、当然黒田さんは五回も六回も辞めておる話ですよね、その主張だったら。
 そういうことまで中央銀行に負わせるというふうにお考え、もっと言えば、これから五年間もし黒田さんと若田部さんが総裁、副総裁になったら、次は、何ですか、二〇一九年二%ですか、これ達成しなかったら黒田さんも若田部さんも、御自身も辞めるべきだと、今度は御自分にも関わるわけですけど、そういうふうに中央銀行の責任といいますか、捉えておられるのかということをお聞きしたいと思いますが。

○参考人(若田部昌澄君) 二〇一〇年の時期というのは、思い起こしてみても非常に大変な時期でして、為替が七十円台にまで行くというふうなこともあって、日本経済のデフレからの出口というのが一向に見えないという時代でございました。ですので、ここで対談したときはそういう時代背景が反映しているのではないかというふうに御理解いただければと思います。
 それを越えて日銀法をどうすべきかということにつきましては、経済学者としての立場としてはいろいろと議論もいたしました。けれども、日銀副総裁の候補者としましては、やはり現行の日銀法の下で日銀と政府の共同声明を遵守するという形で二%の物価安定の目標の達成に全力で努力したいというふうに考えております。

○大門実紀史君 岩田前副総裁が二%達成できなかったら辞めるということをおっしゃって、私はそれを追及したことはありませんけど、かなり野党の皆さんが追及をして、私の方はばかばかしくて追及する気もしなかったんですけど、かなり厳しく追及されたことがあるんですね。そのときおっしゃったのは、前提が違う、前提が違うというようなことで、責任回避といいますか、されたわけですけど。
 大体、私、国会に長くいますと余り学者さんの言うことを信用しなくなってきて、竹中平蔵さんとか今の岩田さんとか、それから、何といいますか、余り軽く学者気分で副総裁の任を受けられるべきじゃないというふうに思っているんです。それはちょっと指摘だけにしておきますけれど。
 もう一つ、この本の中でよくここまでおっしゃる方を副総裁に、与党の方賛成するのかな、よく安倍内閣は引っ張り上げてきたなと思うんですけれど、本だから自由だとかいう限度を超しているのが、この勝間さんと浜田さんとこの議論の中で、先ほどの話よりもっとすごい話を平気でおっしゃっているんですけれども。要するに、日銀の総裁、何か辞めさせるべきどころか、ふだんから影の金融政策決定会合、こういうものをつくるべきだ、もっともっと金融と財政、政府と日銀が一体となって特別司令部をつくって日銀なんか動かせと。ここまでおっしゃる方をよく推薦してきたな、ちょっと限度を超しているんじゃないかなと私は思うんですけれど、これについても同じ考えでしょうか。

○参考人(若田部昌澄君) ちょっと引用に誤解があるようなんですけれども、ここでシャドーと申し上げているのは、アメリカでやったまさにシャドーFOMCのことを申し上げています。シャドーというと何か影の政府かなんかのようなものがあるかのように思われがちですけれども、そこで申し上げているのは、実際にアメリカにおいて民間の学者やエコノミストが中心になってつくった影の、彼らがそういうふうに呼んでいる機関のことでございます。
 それで、何を言いたかったのかというと、政府がやっていることに対して、同じように、例えば民間の側からもこういう政策が望ましいのではないかということを提言すべきではないかということでございます。それは政府とつながって何かをするということでなくて、全く民間がやろうということで、これがアメリカにおいて実際に行われていて、なおかつ、研究によりますと、そのシャドーと言われている影のFOMCの方が予測の精度などが高かったというような研究がございましたので、それを参照したということでございます。

○大門実紀史君 そうは書いてありませんので、またこれはやりたいと思うんですけれども。
 この副総裁の枠が二つあって、一つは、別に日銀法に書いてあるわけではありませんけれども、外部の有識者というのが慣例で今まで枠が当てられてきたと。これ何にも法的な根拠はないんですよ。それは、最初は共同通信の方でしたけど、あとは大体学者の方ですよね。これは非常に、何といいますか、バランス感覚がありまして、日銀が、あるいは政府かも分かりませんけれど、何かちょっと行き過ぎたときに、やっぱり外部の有識者の知見でバランスを取っていただくというようなことがそもそもだと思うんですけれど、今度は、もうバランスどころか、もう安倍政権にどんといっちゃうような方をこの有識者枠に入れ、推してこられたというのは、ちょっとこれも私は実は異例なことではないかと思っておりますので、これは別に若田部さんに言う話ではありませんけれど。
 それで、最後に若田部さんに聞きたいのは、若田部先生のこのリフレといいますか、この思いがありますよね、この理論がありますよね。私は余り信用していませんけど、とにかくありますね。それと違う政権ができたら、どうなさいます。安倍政権がこれ替わる可能性ありますよね。別に野党とは限りませんよ、もちろん、与党の中でも。そのときに、もう二%なんかはもう無理だ、いや、二%そもそも間違っていたんだ、正常化していくんだ、量的緩和ももう抑えていくんだと、つまり先生がおっしゃるのと違う方向のことを言う政権が出てきたときに、この五年以内であり得るわけですね、若田部先生はどうなさいますか。それでも副総裁続けられますか。

○参考人(若田部昌澄君) 仮定の話には答えられないというのが私の一番簡単な答えでございます。

○大門実紀史君 仮定の話には答えられないって、どこかで聞いたようです、この間。役人答弁のようなことは、本当にもう副総裁、こういうときの、非常に難しい時期の副総裁だから、そういうときだけ逃げて、前提とかで逃げて、もうそれだと財政金融委員会でまた大変なことになると思うんですよね。もうちょっときちっと誠実な対応を求めたいというふうに思いますけど、今日はこれぐらいにしておきます。
 ありがとうございました。

<雨宮正佳氏への質疑>

○大門実紀史君 雨宮さんは、本当にいろいろ教えてもらったり、お世話になってまいりました。
 日銀マンというのは本当にいい人が多いですよね。時々世間離れした人もいらっしゃいますけど、何というか、霞が関と違って、当時、本当にいろんな意味で日銀マンと付き合いさせてもらってきております。
 まずお聞きしたいのは、先ほど若田部先生といろいろお話をというか聞いたんですけど、本当に期待どおりの方で、何というんですか、実は日銀の、日銀マンは私いろいろ知っていますからいろんな話聞くと、かなり現場的に言っても若田部先生がええという感じがあるということは感触として伝わってきていて、雨宮さん、副総裁で若田部さんとやるようになったら、いや、相当、方向はそんなに違わないということになっていたとしても、大変かなというふうに思ったりするんですけど、どうなんですか、うまくやっていく自信というか、あるんですかね。

○参考人(雨宮正佳君) 二つ申し上げますと、元々この副総裁という仕事は、日銀法上、職務は二つ明定されておりまして、一つは政策、業務の執行上総裁をお支えするということと、政策委員会においては独立してその職務を遂行する、要するに議論の活発化に貢献しなさいと、こう書いてあるわけであります。
 それで、今の日本銀行の政策決定の仕組みは、やはりポリシーボード、政策委員会における活発な議論を通じて適切な政策を探っていくということでありますので、いろいろな多様な意見の中で議論を交わしていくということはむしろ非常に重要なことではないかというふうに思っております。
 それから、私自身は、若田部先生とはもう随分以前から金融政策運営や経済情勢をめぐっていろいろ議論をさせていただいてきた仲でございますので、二人でタッグを組んで総裁をお支えしながら、同時に活発な議論にも資するということは十分可能であるというふうに考えております。

○大門実紀史君 そうはいっても、御苦労多いなというふうに思いますけれども。同じ金融緩和論でもやっぱり違うわけですよね、いろいろ見ておりますと。
 雨宮さんは、とにかく黒田さんの一番のブレーンで、この五年間いろんな意味で大変御苦労されたと、相当お疲れのような気もしますけれども。昨日は、黒田さん、物すごく元気なかったんですよ。あのバズーカ砲と言われたのが、何かライフル銃程度というか、本当にびっくりするぐらい元気なくて、相当お疲れじゃないかなと思ったりするんですけれども。
 やっぱり今までの五年とこれからの五年では違って、いろんなことを考えなきゃいけない五年のはずなんだと思うんですよね。雨宮さんは、いろんなところでお話を聞いていても、何といいますか、今はもう前と違って、日銀の政策決定会合もリフレ派ばっかりが占めてきていて、前はいろんな方いらっしゃっていろんな議論があったと思うんですけど、そういう中で、私と雨宮さんはもう立場が違うんですけど、そうはいっても雨宮さんが最後の良識といいますか、最後の見識を発揮してほしいなと、そういう点では期待はしているんですね、人事に賛成はしませんけど。そういう点の期待は個人的にはしているところはあるんですね。
 そこで、一番思うのは出口論で、私は出口ないと昨日申し上げたんですけど、ただし、そうはいっても正常化の道を示していく、そういうメッセージがこの次の五年はないと、かなり違うことになるのではないかと。もう最後の最後まで言えなくなって、言うチャンスも失ってしまうような五年になってしまうのではないかという危惧もあるわけなんですけれども。
 そこは、雨宮さんはもう少しいろんなことをお考えになっているのかなというのはありますけど、いろいろ言えること言えないことあると思うんですけど、今の、とにかく二〇一九年の二%が見えるまで言わないと。じゃ、二〇一九年、二%近づかないと更に言わないと。その間にどんどんどんどんまた国債を保有していくというようなことになると、ちょっと話が違ってくると思うんですけれども。もう少し、この次の五年は正常化に向けた何らかのメッセージが、今日あしたという意味じゃないですよ、やっぱり考えていかれるべき、打ち出していかれるべきではないかと。シミュレーションいろいろされているというふうに思うんですけれども、その辺いかがお考えですか。

○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。
 出口に関する議論をいたしますと、どうしても出口に関しては具体的に議論することは時期尚早であるというふうに申し上げると、どうしてもその時期尚早というところだけ捉えられて、日銀は口をつぐんで何も出口について語らないというようにお叱りを受けることがあるんですけれども、実は、よく聞いていただくと、総裁も含めて、出口に関する基本的な論点とか考え方を申し上げているつもりでございます。
 例えば、私どもにとって出口の課題はまず二つありますと。一つはこの拡大したバランスシートをどうやって正常化するか、もう一つは政策金利をどうやって引き上げるかという二つの課題がありますということを申し上げてあります。その上で、じゃ、この課題を実行する手段として何があるかというと、例えばしばしば心配されることは、出口においてそのバランスシートを縮小するために日銀が国債をばんばん売り出したらマーケットが崩壊するじゃないかという心配を持たれる方がいらっしゃるんですけれども、例えばそのバランスシートを縮小する上で、国債というのは期限がありますので、期限償還を使えばだんだんだんだん減っていくわけでありますし、短期オペレーションでもって資金を吸収することも可能でございます。
 例えば、我々はFRBが持っていない売出し手形という、自分たちが手形をつくって供給する、それによって資金を吸収するという手段も持っております。さらに、金利を上げるときも、我々の当座預金に今金利を付けておりますので、その当預付利を上げていくという手段もあります。要するに、このように、実は出口の課題を実施、実行していくための手段は十分ありますので、こういう手段を使えば、出口において十分マーケット、市場の安定を確保しながら徐々に出ていくことは可能であると思っているわけです。
 ただし、じゃ、そのときにどういう手段をどういう組合せでどういう順番で使うのか。例えば、短期金利から上げていくのか長期金利から上げていくのか。そうしたことについていうと、そのときにおける経済や物価情勢次第であるので、具体的な議論をするのは時期尚早である、こういう意味で時期尚早ということを申し上げているつもりでございます。
 いずれにせよ、その状況になれば、これはやはりマーケットとのコミュニケーションが非常に重要になると思っております。出口で本当に重要なのは、そうした手段の使い方ではなくて、マーケットとのコミュニケーションであるというように思っておりますので、そこは注意深く設計をしてまいりたいというふうに考えております。

○大門実紀史君 いや、よく分からないですね。
 実は、その段階はもう超えちゃったと。もう四百五十兆でしょう。そうなると、市場と対話してテクニカルに国債の年限を変えて、もう到底、それだと百年掛かるんじゃないかと思うんですね。だからこそ、もっと早い段階でいろいろな話をしていて、そういうことでみんな安心させているんですけど、専門家はもうそんなのは超えているという指摘もかなりあるわけですね。
 私なんかがちょっと申し上げたことがあるんですけれども、今日はそういう論戦、議論しているんじゃないんですけれども、もう別勘定に移して、今持っているものを、日銀は正常業務に入ると。こんなやり方ぐらいしかもう考えられないぐらいの規模のバランスシートになっているのではないかというようなことも思いますし、もうそこまでの指摘がかなりされているようなことがあるので、今、雨宮さんがおっしゃったのは、確かにそれで安心しちゃう人がいっぱいいると思うんですけど、ちょっともうその規模は超えているのかなというふうに思いますので、またこれは委員会でもお話しさせてもらいたいと思います。
 もう一つは、二%なんですけど、これ一体誰の目標、昨日もありましたよね、誰もそんなこと気にしていないよと、日銀が掲げてやっているの、ああ、そうなのということでね。しかし、日銀は二%ということを目標を立てたので、それに何というか自縄自縛といいますか縛られて、ほとんどみんな余り気にしていないのに日銀だけが縛られて、そのために国債を買い続けるというようなことで、今、日銀の言うことに注目しているのはマーケットぐらいなもので、今日何か言ったら、為替をどうするか、株の売買、証券の売買をどうするかということですね。マーケットのディーラーぐらいなもので、ほとんどは余りそんなに世間では注目されていない。
 しかし、日銀だけが二%にこだわっているので、この異常なことまで続けているというような、ちょっともう裸の王様的に私はなってきているのではないかと思いますし、異次元金融緩和が最初始まったときは株が上がりましたよね。それはもう昨日も申し上げましたけど、誰だって予測できたわけですよ、株が上がるというのは。当時は、株が上がった上がったと言って、株を持っていない人まで喜んで、期待をすると。それは、自分の仕事にも、株は持っていないけど良くなってくるんじゃないかという期待があったからですね。ところが、もう五年たってもほとんど関係ない話になってきたと。
 だから、異次元金融緩和、アベノミクスに対する失望感がもう五割超えてきているというふうになって、この前、財政金融委員会でも青森と北海道行きましたけど、ほとんど、異次元金融緩和とかで自分たちが良くなったんじゃない、自分たちが頑張ってきたんだと。あるいは、むしろマイナス金利の副作用を指摘されるということで、そんなに、何といいますか、実体経済の方から、現場の人たちから金融緩和続けてくれ、もっとやってくれというようなのは実際もうここまで来ると余りないですよね、保守的な方、商工団体、商工会議所から聞いても、この前もそうだったですけど。
 だったら、もうその二%の目標そのものに縛られる必要はなくて、金融政策として、もちろん物価の安定とか雇用をフォローしていくということで頑張られていいので、二%に縛られる必要がなぜまだあるのかというふうに思うんですけど、いかがですか。

○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。
 今、大門先生が最後におっしゃった、結局は物価の安定と雇用の確保だろうということは全く私どもそういうふうに考えております。と申しますのは、これ時々誤解されるんですけれども、二%物価上げるというと、これは二%の物価安定目標というのは、何か人為的にインフレを起こして、インフレでもって問題を解決しようというような、例えば昔あったような調整インフレ論ではないと私は理解しております。
 むしろ、今先生が最後におっしゃった物価の安定ですね、中央銀行の目的はあくまで物価の安定でありますので、その物価の安定ということをこの消費者物価指数ということに具体的に落とし込むとどのぐらいがいいかというと、びったりゼロではなくて、ちょっとプラスがいいねというのが世界的な合意事項なわけであります。
 なぜかというと、一つは大変技術的になりますけれども、CPIという統計に上方バイアスがある、実態より高めに出るとか、あるいはデフレに陥らないような政策運営上の言わばのり代をちょっと持っておいた方がいいということを考えると、物価の安定ということを定義した場合、これ実際に、我々はターゲット、アメリカはターゲット、ゴールと言っていますけれども、ECBはディフィニションと言っているわけでありまして、それを具体的に定義しようとすると、びったんこゼロじゃなくて、ちょっとプラスがいいねということなんだろうと思うんです。じゃ、そのちょっとプラスが一か二か三かについては自動的な答えはないんですけれども、大事なことは、今主要先進国はみんな共通して二%を目標にしているということであります。
 これは、関係国が同じ目標を共有し同じような物価情勢を持っていますと、結局長い目で見ると為替相場のトレンドが安定すると。それによって金融資本市場が安定し、結局は企業経営の基盤も安定するということにつながるということでございますので、やはり物価の安定ということを確保する上でこの二%という数字は今のところ大事な目標であるというふうに考えているということでございます。

○大門実紀史君 主要国、二%を確かに掲げてきたりしていますけど、それはいついつまでやるとか、二%やるまでこういうことをやり続けるとか、ちょっと日銀とは違うんで、それだけ持ってきてというのは違うと思うのと、私、最初申し上げた、若田部さんが副総裁になったときにやっぱり違いが出るんではないかと思って、今のところなんですよね。
 雨宮さんは、その辺はやっぱり実体経済とかいろんなことを含めて、二%なり物価の安定とかをそういうイメージを持っていらっしゃいますけど、決して、若田部先生はそれとは違って、金融政策だけでも、それだけでも上げるというようなことをおっしゃってきた方なんで、そういうところがやっぱり違いがあって、私は、雨宮さんがおっしゃるような意味の、実体経済を大事にした意味の物価の安定ということを追求していただきたいなということを期待しているわけでありますので、うまくやってほしいなというふうに思いますけれども。
 これからの五年間はやっぱり今までと違うと思いますので、是非、いろんなことを雨宮さんは全部知っているわけですから、今までの総括も含めて、話も含めて当たっていっていただきたいなということを申し上げて、終わります。

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