≪議事録≫
○大門実紀史君 大門です。今国会最後の質問だろうと思いますので、金融行政の在り方全体、基本的なことについて質問をしたいと思います。
この国会、財務省は本当にみっともない姿をさらしたわけですけど、金融庁は本当に頑張っていただいたなというふうに思っております。銀行のカードローンの問題でも、過剰貸付け改善の方向にアンケート調査もしていただいているということであります。ただ、まだまだサラ金と同じようなことをやっているメガも地銀もありますので、引き続き指導をお願いしたいと思いますし、損害保険の問題も、業界全体のやり方に関わりますけど、ヒアリング開始していただいているということで、いずれにせよ、対応を迅速にしていただいているところであります。
しばらく質疑の場がないというふうに思いますので、現場の情報などを引き続きお知らせすることがあればお知らせしたいと思いますけれども、カードローンも損保の問題も大事なことは、あれこれよりも顧客本位に考えてどうなのかということに尽きると思うんですけれども、そういう点で引き続き御尽力をお願いしたいと、秋にはまた質問させていただきますけど、その点、一言、遠藤さんにお願いできればと思います。
○政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。
銀行や損害保険会社が、委員御指摘のような顧客本位の業務運営、この観点から、何が顧客や借り手のためになるかを顧客、借り手の立場に立って自ら考え適切に業務運営を行っていくことは、これ極めて重要であるというふうに考えております。
こうした観点から、金融庁といたしましては、引き続き銀行のカードローン業務の運営状況や損害保険会社の代理店に対する対応が顧客目線から適切なものとなっているか実態把握に努めるとともに、今後も必要に応じて改善に向けた対応を求めてまいりたいというふうに考えております。
○大門実紀史君 ずっと見てまいりまして、この間、やっぱり今までの金融庁に比べると変化を感じると言いますか、顧客本位、利用者保護の姿勢が明確に具体的になってきているなというふうに思っているところであります。
国会に来てから今まで、銀行とか保険会社の不祥事をもういっぱいこの委員会で取り上げさせていただいてまいりましたけれども、何といいますか、口では顧客保護とかいうことを言うんですけれど、それがもう建前になっていて、例えば金融の通貨スワップの商品の問題を取り上げたことがありますけれど、銀行が取引先の中小企業に優越的な地位を利用して通貨スワップ商品をよく分からない相手に販売した問題だったんですけれども、銀行は、ちゃんと説明をしましたと、説明して判こをいただきましたと、だから説明責任は済んでいるんですというふうな、何か、説明責任とか法令遵守とかそういうものが逆に、そういうことをクリアすれば何をやってもいいみたいなというようなことがずっとあったのではないかというふうなことを感じてきて、それはやっぱり金融機関だけの責任ではなく、金融庁自身が業界をそういうふうに仕向けていったような過去の歴史があったのではないかということも含めて大変厳しく指摘させてもらってきたんですけれども、このしばらくで見ると、麻生大臣、畑中前長官そして森長官、スタッフとして遠藤さんや池田さんがおられて、本当に、更に本気でやれと、顧客第一主義をですね、ということを大変感じるところで、歓迎しているところであります。
その一つのまとめ的なものが今年三月三十日に出た、お手元に資料配付いたしましたけれど、顧客本位の業務運営に関する原則というものであります。大変重要な文書で、これだけで本当に三十分ぐらい質疑したいぐらいなんですけれど、時間の関係で申し訳ありませんけど、ちょっと要点だけ簡潔に説明してもらって、特に、ちょっと難しい言い方なんですけど、フィデューシャリーデューティーですかね、これ大変重要な言葉だと、これは今の金融庁のいろんな文書に出てきますけれど、改革のキーワードだというふうに思いますので、その意味も含めて、ちょっと時間ないところで申し訳ありませんが、簡潔にちょっと説明をお願いしたいというふうに思います。
○政府参考人(池田唯一君) お答え申し上げます。
人口の減少や高齢化が進展する中で、国民の安定的な資産形成を推進していくということが大きな課題とされているわけですが、その際には、何よりも、金融事業者において顧客本位の業務運営が行われることが重要であると考えるところでございます。
そして、御指摘がありましたように、顧客本位の業務運営という点につきましては、フィデューシャリーデューティーという言葉も使わせていただいておりますが、これは、金融サービスを受ける方々が金融事業者に対してサービスを依頼するということは、委託している、託していると、そういう信頼にもとることのないような顧客本位の業務運営を求めていくという考え方に基づくものでございます。
こうした観点から、金融審議会におきまして審議を行ってまいりました。昨年十二月に報告書を取りまとめていただいておりますが、その際には、先ほど御指摘がありましたように、これまで法令改正等により投資家保護のための取組を進めてまいりましたが、一方で、これらが最低基準、いわゆるミニマムスタンダードとなってしまい、金融事業者による形式的、画一的な対応を助長した面もあるのではないかと。むしろ、本来、金融事業者が自ら主体的に創意工夫を発揮し、顧客本位の良質な金融商品・サービスの提供を競い合って、より良い取組を行う金融事業者が顧客から選択されるメカニズムの実現が望ましいのではないかと。そのためには、従来型のルールベースの対応のみを重ねるのではなく、プリンシプルベースのアプローチを用いることが有効であるということが提言されまして、こうした提言を踏まえまして、この三月三十日に金融庁としまして、顧客本位の業務運営に関する原則を取りまとめ、公表させていただいたものでございます。
私どもとしては、この原則が全ての金融事業者において幅広く採択されていくことを期待しておるところでございますが、原則は七つの原則から構成されておりますけれども、その中核となります二番目の原則におきまして、金融事業者は顧客の最善の利益を追求すべきであり、こうした業務運営が企業文化として定着するよう努めるべきであるとされているところでございます。
さらに、原則では、この顧客の最善の利益の追求の重要な構成要素としまして、利益相反の適切な管理、あるいは手数料の明確化、重要な情報の分かりやすい提供、顧客にふさわしいサービスの提供といったことを規定しているところでございます。この原則では、金融事業者に対しまして、顧客本位の業務運営に関する方針を策定し公表し、その方針に係る取組状況を定期的に公表することを求めているところでございます。
また、この原則は、金融事業者に対しまして、以上申し上げたような事項を促進するよう、報酬・業績評価体系の整備や従業員の研修あるいはガバナンス体制の整備等を適切に行うといったことも求めているところでございます。
金融庁としては、今後、金融事業者においてこの原則が適切に実施されていくよう、努力を積み重ねてまいりたいと考えているところでございます。
○大門実紀史君 今までこういう文書を見たことないんで、重要な文書だなと思います。フィデューシャリーデューティーですか、これは金融庁の姿勢を示す大事な言葉だというふうに思いますけれど、余り国会では、今の金融庁を示す大変大事な言葉なんですけど、ほとんど議論されてこなくて、中西さんがちょっとどこかでこの言葉を使われたと思いますが、ほとんど国会では議論されず、もっと議論されるべきいい中身だというふうに思います。
これは、資産運用関係だけでなく金融機関全体に向けられた、金融行政全体に向けられた言葉だと思いますけれども、一言で言いますと、麻生大臣と一度議論させてもらったことがありますけれど、企業が自分たちの利益ばっかり追いかけて、働く人とか消費者とか下請とかを大事にしないと、結局その企業の利益にもならないよと、中長期的に言えばですね。それは金融機関も同じで、目先の利益ばっかり追いかけるのではなくて、顧客の利益、顧客と共通の利益を追求することが中長期的にその金融機関も発展するんだというような哲学ではないかというふうに思うわけですね。これは、単に無担保でどんどん貸せとかそういうことではなくて、きちっと寄り添って目利きをして本当に一緒に発展していけと、いくべきだというようなことではないかなというふうに思って理解しております。
ただ、余り片仮名は使わない方がいいんじゃないかと。覚えにくいし、これ特に発音しにくいんですね。大体、政府が片仮名を使うときはうさんくさいと思われがちなので、これいい内容なんだから何かいい日本語ないのかなと思いますし、顧客本位というんだったら顧客が使える言葉がいいと思うんですよね。お客さんが金融機関に対して、おたくフィデューシャリーデューティーやっているのかというふうに言えないですよね。もっと、顧客本位ならお客さんにも使える、お客さんが金融機関を諭すときに使える言葉を考えてもらいたいななんて思ったりもするんですけど。顧客本位の業務運営だとちょっと当たり前過ぎて今までと何が違うのかとなりますので、工夫はお願いしたいと思いますけれども。
麻生大臣に、これ大事な問題なので本当にお伺いしたいんですけれども、先ほど申し上げましたとおり、基本的な経営姿勢が問われているといいますか、一番大事なところが問われている言葉だと思うんですけれども、この国会で取り上げた銀行がサラ金化していく問題とか、生保、損保の不払もありましたけれど、そういう保険会社の問題とか全て、やっぱりそういう経営の根本的な在り方のどっかが間違っていて絶えずそういう不祥事を起こすのではないかと思うわけですね。
ですから、いま一度、企業全般は特にそうですけど、銀行、保険会社もいま一度自分を振り返って、目先の利益ばかり追うのではなくて、顧客本位とは本当は何なのかということを徹底的に考え抜いて、このフィデューシャリーデューティーですかね、言いにくいんですけれども、この考え方を、金融業界全体は当たり前で、経済界にもやっぱり浸透していくべき言葉ではないかというふうに思うんですけれど、そういう点で更にこれを広げてほしいし、徹底してほしいと思いますが、大臣のお考え、伺いたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) フィデューシャル、いわゆる信託されるというような意味ですけれども、いわゆるフランス語でノーブレスオブリージュという言葉がよく一般的に昔言われたんですけれども、最近、まずそういった感じのする人が国会にもいませんし、余り一般的に見かけなくなったせいもあるんだと思うんですが。
このフィデューシャリーデューティーという言葉は、間違いなく今後広まっていくかというと、こんな発音しにくい言葉が広まっていくはずがないと、私はそう思っておりますので、これをしかるべき日本語というのはちょっとなかなか考えにゃいかぬところなのかもしれませんけれども、少なくとも信託される側の義務というのを満たしているかという話を簡単にはしているんですけれども、もうちょっときちんとした、ちゃんと意味のある内容の言葉を考えないとちょっといかぬのじゃないのかなと思っております。
例えば、よく最近、どうですかね、いい例で、今、アパート経営というのを、結構高齢者が退職した後に建てたうち、マンションにしてというのじゃなくて、そこをアパートにしてアパート経営というのをやるというわけですよね。結構地方でもおられると思いますし、京都なんかでも結構あるはずなんですが。銀行は持ってくるわけですよ、土地担保に建物全部建てます、入居者も全部探しますよと。全部見たら、全く文句ないようにできているんですよ。それに乗るでしょうが。余り訳の分かっていない御高齢者の方々は、まあ息子も帰ってこないし、じゃあというので。入室者を確実に探してくれるといったら、何も努力しなくて金が入ってくるし、遺産相続対策にもなるじゃねえかとかいろんな、全部うそじゃありませんから。
しかし、じゃ、その隣にもっと立派なアパートというか二十階建ての高層マンションができたら、少なくともこちらの入居する予定者はこちらに移りますよ。こちらの分は探してくれる約束だったじゃないか、約束していますよ。だけど、これ多分、当然のこととして値段が下がるんですよ、一部屋二十万円が、一部屋十万円じゃなきゃ借りてくれる人はいませんと。その種の話になってきたら、いや、それはちゃんと契約書そう書いてありますからって。よく読むと小さな字で書いてあるわけです。
これはフィデューシャリーデューティーとしてどうですかって。これ、私、質問した内容の一つなんですけれども、それは間違いなく、これちゃんとそこに、近くにマンションが建つかもしれないという情報というのは、持っているのは金融側若しくは建設業者側ですから。そういったところも一つの例として、私の周りで見ているとそういった話になるんですが、こういった話は残念ながら永田町とか霞が関にいたら絶対入ってこないんですよ、こんな話は。だって、この辺にそんなやついませんから。だから、自分で歩いて探さなしゃあない。だから、国会議員ってちゃんと地元歩いたり人の情報を集めにゃいかぬというのを僕はよく、国会議員も二回生、三回生になってきたやつ以上になってくると、みんな必ずその話をするんですけれども。
是非そういった意味で、こういったものは基本中の基本なんですけれども、これはなかなか、商売をする側からいったら、それは黙っておいて、とにかくこれだけというのを先に考えるのは分からないこともありませんので、ここのところはやっぱり、ノービリティーオブリゲーションとかノーブレスオブリージュという言葉と重なってくるところなんですけれども、是非そういった基本的なところを定着させていく、あきんどとして又は商売人としてのきちんとした魂というものの一番の根源のところだと思いますので。これはなかなか浸透させていくには時間が掛かるんだとは思いますけど、きちんと、これは日本人がもう本来持っていた一番肝腎なところだと思いますので、大事にさせていきたいと思っております。
○大門実紀史君 終わります。