≪議事録≫
○大門実紀史君 大門です。
今回の改正案は、高速取引への規制強化、あるいは上場会社の情報開示など、顧客保護に必要な措置が入っているということで、賛成したかったんですけれども、一点、取引所グループの業務範囲の柔軟化、拡大化のところが、これが後々どう影響するのかという点にどうも懸念が払拭できないということでございます。
なぜかといいますと、そもそもこれは、いわゆる金融ビッグバン以来、取引所集中義務を撤廃して取引所外の取引を拡大してきた方向を促進することにつながるんではないかという懸念があるわけでありまして、取引所外取引というのは、今日もちょっとありましたけれども、情報格差、不公正取引を拡大してきたという指摘も多いわけであります。
そういう点で、今日は取引所外取引の現状と問題点について質問したいというふうに思いますけれども、御存じのとおり、株の取引には東証とか大証などの取引所での取引と、取引所を通さない取引所外の取引、いわゆる取引所外取引というのがあるわけですけれども、この取引所外取引というのは、要するに取引所以外の場所で成立する取引なんですけれども、これは、先ほど申し上げたように、九八年の十二月に取引所集中義務が撤廃されてから証券会社のところで取り扱えるようになってきたということであります。
この取引所外取引には、PTS、私設取引所とか私設取引システムと言いますけれども、PTSというものとPTS以外の取引所外取引に分かれるわけですけれども、改めて、PTSとは何か、ちょっと具体的に説明をしてください。
○政府参考人(池田唯一君) お答えします。
私設取引システム、PTSとは、証券会社が電子情報処理組織を利用しまして、取引所を介さずに、同時に多数の者を相手に有価証券の売買等を集団的、組織的に行うものということで、証券会社が行っているものですが、金融商品取引所と類似の機能を有するもの、有していると考えられるところでございます。こうしたものをPTSと称しているところでございます。
○大門実紀史君 もう少し具体的に言いますと、東証、大証を通さないで証券、通常は東証、大証に売買注文というのは通すわけですけれども、証券取引所に通さないで自社で処理するという取引でありまして、一般的には日中取引ですね、証券取引所は九時から三時、平日は九時―三時までですかね、で取引できる時間帯と。このPTS取引だと、市場が、取引所が閉まった後でも取引ができるわけであります。もちろん開いているときもできるんですけれども。したがって、三時以降に何か海外でいろんなニュースが入るとか企業決算が出てサプライズが出るとか、そういうときでも、次の日を待たずに株式の処分、売買ができるというところでございます。
ただし、このPTS取引は信用取引ができないと、現物取引しかできないというふうに限定されております。信用取引ができないということは、証券会社から資金を借りたり株を借りての取引はできないと、現物だけの、自分が持っている現物だけの取引ということでございます。
現在、ただ、もう一つ、この個人投資家の売買代金の六割が今信用取引ということが背景にあるわけなんですけれども、今、このPTS、私設取引所では信用取引ができない、それはなぜでしょうか。
○政府参考人(池田唯一君) PTSにおけます信用取引については、従来、PTSを提供する業者自身が信用取引に伴います資金の貸付けですとか株券の貸付けですとかを行いますと、利益相反のおそれがあるのではないかというのが一つ。それからもう一つは、PTSを提供する業者に自主規制機関と同等の自主規制機能の発揮を求めることができるのかといった点がもう一点。その二つの論点が存在しておりましたことから、従来、PTSにおける信用取引は認められてこなかったということでございます。
○大門実紀史君 資料をお配りいたしましたけれども、これが今の取引所外取引での売買の状況であります。棒グラフでいきますと、水色の部分が取引所の取引でありまして、小さい紺色のところがPTS、私設取引所での取引ということになります。赤い折れ線グラフが全体に占めるPTSの割合でありますけれども、ずっと伸びてきましたが、今、頭打ち、減少傾向になっております。緑のラインというのはPTSとPTS以外の取引所外取引の合計、つまり取引所外取引全体が取引に占める割合であります。これは伸びております。
PTS以外の取引所外取引というのは別途質問することにして、まずPTSなんですけれども、今お話がありましたけれども、このPTS、私設取引所というのは証券会社の中でやる取引ですから、証券会社が資金を貸したり株を貸したりしてやると利益相反になるということで信用取引は認められてこなかったわけですけれども、この間、金融審議会のことも踏まえて、金融庁は信用取引を認める方向に今進んでおります。日本証券業協会も、具体的にPTSの信用取引について、規制の在り方などの検討会を設置いたしております。
先ほど言われたように、利益相反の可能性があるのに今度は認める方向になぜ変わってきたのか、説明をお願いします。
○政府参考人(池田唯一君) このPTSにおけます信用取引の問題については、昨年の金融審議会におきまして、取引所市場の問題について幅広く議論がされましたときの一つのテーマとして取り上げられたところでございます。
そちらの議論では、先ほど従来からの考え方を申し上げましたが、関係者によるその後の議論等を踏まえますと、例えばさっき二つの問題点があるということを申し上げましたけれども、例えばPTSを提供する業者等が実質的に資金、株券の提供者にならない、それから自主規制機関がPTSにおける信用取引についても一定の自主規制機能を発揮する、そういった手当てがスキーム上適切にできる、そうしたスキームが構築された場合には上記の問題点はクリアされるものと整理できるのではないかということが議論され、その旨が報告書に記載をされたということでございます。
○大門実紀史君 それがよく分からないんですけどね。信用取引というのは、証券会社から資金を借りたり株を借りて、もちろん担保を出しますよね、証拠金出してですけれども、それが信用取引なんだけれども、今もおっしゃったように、PTSを提供する業者、つまり証券会社が資金や株券の提供者にならないということですね、今おっしゃったのは。
じゃ、どこからその人は資金を借りたり株を借りるんですか。どういう信用取引が考えられるんですか、証券会社から借りない場合というのは。
○政府参考人(池田唯一君) それ自体は、仮にこういうスキームで信用取引を業務の中に組み入れていこうと考えられる方があるとすれば、そういう利益相反にならない供給者をどう見付けてくるかということに関わっているかと思います。
取引所の場合でいいますと、御案内のとおり、取引所で信用取引をやるときには、証券金融会社という全く独立の会社がありまして、そちらの方で株式等の貸付けをしているわけですけれども、自分自身で貸し付けると利益相反が生じる、そういう中で、何かそういう利益相反関係に立たない供給者が見出せるかどうか、それはスキームを組まれる方自身が基本的には考えられること、それが適切と考えられれば認可の対象になってくるということかと考えております。
○大門実紀史君 私は、実質的にそういう信用取引だと思ったより広がらないというか、見付けるのに相当困難だと思うんですね、実質的に利益相反にならないという形を取るのはですね。
元々、なぜこのPTS、私設取引所に信用取引を認めてほしいのか、認めなきゃいけないのか、どこにニーズはあるのかということなんですけれど、これはどこにニーズがあってこういう法改正の方向になってきているんですか。
○政府参考人(池田唯一君) PTSに信用取引を解禁してほしいという要望は、これまで過去も規制緩和要望などの場において度々要望が出されてきたところでございますけれども、要望の主体としては、投資家あるいは証券会社などの市場関係者からの要望というものが多かったと承知をしております。
○大門実紀史君 大前提として何を申し上げたいかといいますと、今の証券市場、株の売買が、前にもそういう議論をしたことありますけど、投資の、中長期的な日本経済を支えるような投資の世界というよりも、もう投機の世界になっていて、個人投資家という言い方はしますけれど、投資家と呼べるような人がどれだけいるのかと。
大体、いろんな資料あるんですけど、最初に、例えばネットのトレーディング、トレードをやる人もほとんどもう素人ばっかりで、今でいえば主婦の方とか若者とか、あるいは年金生活に入った方が将来不安だとか老後の資金足りないと。一部宣伝されますよね、幾らもうけたという話をですね。で、やる、入ると。入って損をして出ていくわけですけどね。そういう人を巻き込んでいるのが今なんですね。
実際問題としてそういうマーケットになっていて、そういう人が入ってくればくれるほど、結局、証券会社と一部の特別な情報を握ってもうける大口投資家、ヘッジファンドはもうかるわけですよね、彼ら利ざやを稼ぎますから、パイが大きいほど利ざやが大きくなりますのでね。そういう人を巻き込んでもうけるために入ってほしいと。
その中に、何といいますか、PTSにも信用取引を入れれば、個人投資家は大体信用取引やっていますから、広げられるんじゃないかというところがあるし、それは金融審議会のワーキンググループの議論でもそういうことをおっしゃっている、もうあからさまにおっしゃっている委員もいらっしゃるわけですね。個人投資家のシェアを伸ばすために信用取引をPTSで認めるべきだということをおっしゃっている方がいらっしゃるわけであります。
申し上げたいことは、今の、個人投資家といってもそういう人たちが多い、そういう人たちが引き込まれて損をしてもう出ていくというようなことを繰り返しておるわけですけど、そういう中でこのPTSに信用取引を認めていくことになれば、更にそういう個人投資家を引き入れていく、素人のということにつながるのではないかという危惧を大変持っているわけですけれども、そうならないようにすべきだと思うんですけど、いかがでしょうか。
○政府参考人(池田唯一君) 私設取引システム、PTS制度につきましては平成十年以降導入されてきたわけですけれども、利用者のニーズに合った取引手法の提供といった効果も一定程度で見られるところだというふうに考えております。もちろん、適切な投資者保護、あるいは先ほど来の利益相反の払拭等は適切に図っていく必要があると考えておりますが、信用取引を解禁する場合にも、先ほど言いましたような条件が満たされた場合には認められるということでございますように、取引の公正確保というのは大前提になると考えております。
私どもとしては、PTSの取引量を増やすとか、そうした目的のためにやっているものではなくて、取引所取引とPTS取引、そうしたものの間の適切な市場間競争が図られることによって証券市場全体の利用者利便の向上が進んでいくということを期待し、そうしたものを目指し、一定のスキームが構築された場合にはそうしたものを容認していく余地があるというふうに判断をしておるということでございます。
○大門実紀史君 そういうことですね。個人投資家といっても、一定の知識があって、そしてマーケットが公正で、そして自己責任で、そういう部分なら分からなくはないんですけど、今大変そういう素人の人が引き込まれている段階で安易に解禁していくことはいかがなものかということは申し上げておきたいと思います。
その個人投資家というか、そういう素人投資家の問題に関して、一点、デートレードの中心に先ほど申したネットのトレードがあるわけですね。今、大体ネットでやるわけですよね。そのシステム障害の問題でちょっと質問しておきたいんですけれども、株式とかFXのネットトレードの利用者は相当広がっておりまして、ネット証券の最大手のSBIでは口座数だけで三百五十万突破したということであります。初心者も含めて、そういう顧客獲得競争が進められております。ネットトレードを始めた人の八割が経験なしと、先ほど申し上げました主婦とか若者とか年金生活に入った人とかが大変多いということであります。
そういう中で、二年前にカブドットコム証券でシステム障害をめぐって金融庁から厳しい行政処分を受けていたということが分かりましたけれども、その処分の概要を簡単にちょっと説明してもらえますか。
○政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。
委員御指摘のように、平成二十七年五月に証券取引等監視委員会より、カブドットコム証券に対する検査の結果、金融商品取引業等に係る電子情報処理組織の管理が十分でないと認められる状況、いわゆるシステム管理が十分ではない状況という金融商品取引法令の違反の事実が認められるとして行政処分を求める勧告を受けました。このシステム管理が十分でない状況の一例として、金融庁長官に報告されるべき多くのシステム障害が報告されていないことなどをこの勧告の内容の一部として掲げているところでございます。
これを受けて、二十七年五月、カブドットコム証券に対して業務改善命令を発出したものでございます。
○大門実紀史君 それで、その点に関してこの間、私の方にも、システム障害はほかでもありまして、顧客といいますか利用者の方から苦情相談来ているんですけど、今現在、システム障害は金融庁に、金融庁というか、公表されていないわけですよね。インターネット取引を行う十四社が必要と思ったものだけを公表しているということで、一体どこでどれだけシステム障害が起きて、そのためにどれだけの顧客の人が被害とか被ったということは報告されていないんですけれど、これはもう、こういう事件、システム障害がかなり多くなってきていますので公表すべきじゃないかと思うんですが、今の段階でいかがお考えですか。
○政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。
証券会社のシステム障害の情報でございますけれども、当庁におきましては、監督指針に基づいて、証券会社にシステム障害が発生した場合にその報告を受けております。より具体的には、証券会社の登録時に証券会社に対して報告徴求命令、これを発出いたしまして、このシステム障害の報告の履行を確保している次第でございます。
当局に報告されるシステム障害発生に係る情報は、このように報告徴求命令という行政権限に基づいて収集したものでございまして、これは直ちに、そもそもが一般的に開示を予定をするものではないというふうに考えております。
他方、今、大門委員のおっしゃった問題意識は、投資家に対して必要十分な投資情報というものは提供されるべきだということだと思いますけれども、こうした情報につきましては、個々の証券会社において、システム障害の発生時には関係する顧客に障害情報の周知を行っているほか、大きな障害の発生時には一般向けに障害情報の開示、これは主に会社ホームページでの発表でございますけれども、これを行っているというふうに承知しております。
このように、証券会社による顧客への情報提供、一般向けの開示の取組を超えて、当局が報告徴求命令に基づき報告を受けた情報を主体的に一般向けに開示するということに関しては、慎重であるべきではないかなというふうに考える次第でございます。
○大門実紀史君 ただ、まだまだ個人投資家といっても素人の皆さんが多い状況でありますので、顧客保護を第一に考えていっていただきたいというふうに思います。
時間がちょっと少なくなったんですけど、もうありませんが、資料をお配りしたところで、PTSとともに取引所外取引のもう一つの大きな問題がダークプールの問題であります。資料を用意して、大変興味深い問題だと思うんですけれども、時間がありませんので、次回、このダークプールについては触れさせていただきたいというふうに思います。
いずれにしても、今回の法改正とPTSとこのダークプール、直接すぐ結び付くという話ではないんですけれども、今回の改正がこういう取引所外取引の機能強化といいますか促進につながる懸念があるということを指摘して、今日は質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。