国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2017年3月27日 本会議・反対討論 改定所得税法/大企業優遇税制残す
<赤旗記事>

2017年3月30日記事

大企業優遇税制残す
改定所得税法 大門氏が批判

反対討論に立つ大門実紀史議員=27日、参院本会議

 改定所得税法が27日の参院本会議で自民、公明などの賛成多数で可決され成立しました。採決に先立ち日本共産党の大門実紀史議員が反対討論を行いました。

 大門氏は、大企業に特別に偏った優遇税制である研究開発減税を温存・拡充したことが最大の問題だと批判。大企業の利益が巨額の内部留保としてためこまれ、雇用や賃金を通じて国民のくらしに回らないところに日本経済の構造的な問題があるとし、「研究開発減税を中小企業支援を中心としたものに改めると同時に、国民の暮らしを応援する予算に振り向けるべきだ」と主張しました。

 また、国税犯則取締法(国犯法)を廃止して、国税通則法(通則法)に編入する問題を指摘。一般勤労者に向けた法律と脱税犯などの犯罪者を取り締まる法律を一本化する大改定にもかかわらず、「手続き上、一本化したほうが便利だから」といった「軽薄」な理由しか示していないことを批判。通則法の任意調査と、相手を脱税犯と決めてかかる犯則調査の境目があいまいになることで強権的な調査が増加し、納税者の権利が侵害される懸念が払しょくできないと強調しました。

≪議事録≫

○大門実紀史君  私は、日本共産党を代表して、所得税法等改正案に反対の討論を行います。
 今回の改定には、相続税等の納税義務の見直しや中小企業向けの租税特別措置など賛成できる内容もありますが、以下に述べる重大な問題点が含まれていることから、反対をいたします。
 最大の問題は、大企業に特別に偏った優遇税制である研究開発減税を温存、拡充したことです。
 現下の日本経済の構造的な問題点は、アベノミクスの円安・株高政策で大もうけした大企業の利益が巨額の内部留保としてため込まれ、雇用や賃金を通じて国民の暮らしにほとんど回っていないことにあります。
 例えば、二〇一〇年度から一五年度までの推移を見ると、この間に経常利益は一・五五倍の伸びとなっていますが、株主への配当は二・三四倍、役員報酬は一・〇九倍の伸び、それに比べ賃金は僅か一・〇一倍で、ほとんど横ばいです。つまり、大企業がもうけた利益は、株主配当や役員報酬には回されたが、働く者の賃金には僅かしか回らず、内部留保として積み上がってきたということです。
 かつての日本企業の経営者は、会社が苦しいときでも従業員の賃金をできるだけ減らさず、自分たちの報酬をカットしたりボーナスを我慢したりしたものでした。資源の少ない日本にとって人材こそ資源であると考え、今に比べれば随分従業員を大切にしました。ところが、九〇年代半ば頃から新自由主義的な経営に方向転換が行われ、今や大企業においては従業員は使い捨ての部品のごとく扱われ、その賃金はただの費用、コストにすぎなくなりました。
 賃金をカットすれば企業価値が上がり、株価も上昇するというあしき慣行がはびこり、リストラを実行した役員が多額の報酬とボーナスを受け取るということが恥ずかしげもなく行われております。株価至上主義、人間軽視の経営がまかり通っています。目先の利益ばかり追いかけ、企業としての社会的責任の自覚も人材を育てる意思もない。こんなことを続けていては、日本企業だけでなく、日本経済の未来もありません。巨額に積み上がった内部留保は、そういう貪欲経営の結果であります。
 我が党は、内部留保を国民の暮らしに回すべきだと早くから主張してまいりました。ただし、内部留保を全て吐き出せなどと言っているわけではありません。ほんの一部を賃金、国民の暮らしに回すだけで消費の大幅な拡大につながり、企業の利益も増え、日本経済の好循環が生まれるということを提案してきました。
 この点では、安倍総理も麻生財務大臣も、内部留保を賃金などを通じ国民の暮らしに回すべきだと主張してこられました。にもかかわらず、今回の税制改正では、識者の間からも、単なる補助金と化している、内部留保を増やすだけだと指摘されてきた研究開発減税が温存、拡充されてしまいました。
 我が党は、研究開発減税をもっと中小企業支援を中心としたものに改めると同時に、膨大な利益を上げている大企業に何千億円も減税するくらいなら、その財源を国民の暮らしの支援に回すべきだと主張してまいりました。
 例えば、二兆円もの利益を上げているトヨタに研究開発減税で毎年一千億円も減税する必要性がどこにあるのでしょうか。その減税分も含め、トヨタの内部留保は、連結ですけれども、今や十八・三兆円にまで膨らんでおります。この間、待機児童が大問題になっておりますけれども、一千億円があれば一千か所近い保育所がつくれます。トヨタ一社への減税より、全国にたくさんの保育所をつくる方が経済波及効果も大きいのは明らかではないでしょうか。
 研究開発減税を抜本的に見直し、その財源を国民の暮らしを応援する予算に振り向けるべきです。
 もう一つ重大な問題は、国税通則法の中に国税犯則取締法を編入することです。
 国税通則法は、税務行政の公正な運営、国民の納税義務、一定の納税者の権利などの基本的な事項を定めたものです。一般の勤労国民を念頭に置いた税法で、税務調査もあくまで任意調査であり、納税者の権利を尊重しなければならないとされております。一方、国税犯則取締法は、文字どおり、脱税犯などの税に関する犯罪事件について、強制調査の手続や罰則を定めた法律です。
 一般勤労者に向けた法律と犯罪者を取り締まる法律を一本化するという大改定にもかかわらず、財務省はその改定理由を一行も文書で国会に示すことなく、改定案を通そうといたしました。
 委員会での私の要求に対し財務省が文書で示してきた改定の理由は、戦後民主主義と税制との関係や、二つの法律の歩んできた何十年という歴史の重みに何ら言及することなく、手続上、一本化した方が便利だから程度の余りにも軽薄な中身でありました。
 納税者の立場から懸念されるのは、任意調査と相手を脱税犯と決めて掛かる犯則調査の境目が曖昧になるのではないかということです。今でも、任意調査でありながら、おとり調査、納税者の承諾なしの反面調査など、納税者をまるで犯罪者扱いにした調査が横行しております。現場の実態を見ると、今回の改定により更に強権的な調査が増加し、納税者の権利が侵害される懸念は払拭できません。
 以上のことを主な理由として、本改定案に反対をいたします。
 最後に一言申し上げます。
 森友学園問題に対する財務省の対応です。
 国民の財産である国有地がなぜ異例の手続と破格の安値で売却されたのか、政権や政治家などの関与があったのかどうか、その解明は、税の公平性や国有財産の公正な管理を審議する財政金融委員会としても重要な課題でありました。
 しかし、問題の解明は遅々として進まず、国民の疑念は深まるばかりです。その最大の理由は、記録がないとごまかし、問合せにもまともに答えようとしない財務省の隠蔽姿勢そのものにあります。
 このことに厳重に抗議するとともに、今後の国会審議に財務省が真摯に協力することを強く求め、反対討論を終わります。(拍手)

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