≪議事録≫
○大門実紀史君 総理は、十七日にアメリカのトランプ新大統領と面談をされます。TPP脱退を宣言してきたトランプ氏がどういう姿勢を示すのかが大変注目が集まっているところであります。与党の皆さんから楽観的な、あるいは希望的観測の話もありましたけれども、そう甘くはないのではないかと思います。
トランプ氏は、選挙最終盤の十月下旬に改革百日プランというものを出しました。この百日プランのことをトランプ氏は、アメリカの有権者と私の契約であると、コントラクトであるという強い言葉で表現をしております。その百日プランの、アメリカ労働者を守るための七つのアクションの二番目にTPPから脱退、離脱すると書かれているわけであります。ですから、ただ演説で言ったとかというような軽い話ではなくて、これはトランプ氏のれっきとした選挙公約であります。総理は、そのトランプさんの選挙公約を守らないでほしいということをおっしゃりに行くことになるのではないかと思うわけであります。
トランプ氏がTPP離脱するということを堅持すれば、当然、アメリカ抜きにTPPは発効しないんですから、このTPP協定をここで審議する意味はないわけでありますし、また、もしもトランプ氏がTPPからすぐには脱退しないというようなことをにおわせた場合、何が考えられるかといいますと、TPP反対のアメリカ世論が多数である、選挙公約でもあるということですから、トランプ氏は当然、現在のこの協定じゃなくて、更にアメリカに有利な協定でなければ参加をしないと。彼自身も後ろからそう押されるわけですね。したがって、離脱をちらつかせながら再交渉を迫るということが、それ以外はもうほかにはないというふうに思います。
総理は再交渉には応じないと言ってこられましたけれども、応じなければTPPそのものが成立しない状況になります。すなわち、今のTPP協定でないものをアメリカが求めてくることになるわけでありまして、その場合も、この協定案を審議しても意味がなくなるということだというふうに思います。
我が党は、元々このTPP承認案、関連法案を廃案にすべきだという立場でありますけれども、この状況からいって、政府としても、もう潔くTPPから撤退すべきではないでしょうか。総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) トランプ次期政権の方針について、現時点で予断を持ってコメントすることは差し控えたいと思います。
自由で公正な貿易を堅持をし、そして発展させる。これこそが、大企業のみならず中小企業、ひいては労働者や消費者にとって適切な経済的機会をつくり出すものであり、世界経済の成長の源泉であります。戦後、自由貿易体制の下で経済成長を遂げてきた我が国こそが、世界の自由で公正な貿易・投資ルールを牽引していかなければなりません。国会でTPP協定が承認され、整備法案が成立することで、自由貿易を主導する我が国の決意と結果を出す力を世界に示すことができると考えています。これは、TPP以外の通商交渉も刺激をし、加速させ、保護主義の蔓延を食い止める契機になると思います。
TPP協定は、厳しい交渉を経て、我が国にとって高い戦略的、経済的価値を持つものとなりました。米国が政権交代期にある今、我が国こそがその早期発効を主導しなければならないと考えておりまして、TPP協定の国会承認により、再交渉はしない、早期発効を目指すとの立法府を含めた我が国の意思が鮮明になるわけでありまして、今後、様々な機会を通じて米国並びに他の署名国に国内手続の早期の完了を働きかけていきたいと、こう思っておりますが、今般、ペルーで開催されるTPP首脳会議におきましても、国内の手続の早期の完了に向けて努力をするよう、そういう認識で一致をしたいと、こう考えておりますが。
日本は、受け身で他国の動きを待つのではなくて、日本にとってもアジア太平洋地域にとっても望ましい結果を実現するこの取組を自ら主導していくべきだと、こう考えております。
○大門実紀史君 朝から同じことを繰り返されておりますけれど、もうそういう状況ではないと私は思っておりまして、個々には後で取り上げますけれど、要するに、TPPはそんな経済成長の柱に、目玉になるようなものではないと思います。国民の雇用、賃金を抑え込んで、日本農業に壊滅的な打撃を与えます。食の安全、医療、薬価、公正取引など、国民の暮らしが脅かされる懸念が広がっているわけであります。審議を続けるということでございましたら、我が党は徹底的に各角度から問題点を明らかにしていきます。
今日は、特別委員会の最初の総括質疑でありますので、まず、そもそもTPPとは何なのか、誰のための経済協定なのか、総論、経済論を中心にまず質問をさせていただきます。
総理は、先ほども述べられたことにもつながりますが、TPPの意義について、我が国は戦後、自由貿易の下で経済成長を遂げてきた、これからもそれが大事だ、世界のリードをするんだということを繰り返し述べてこられましたけれども、ところが今、総理の言う自由貿易に対して各国の国民から猛烈な反対の声が起きているわけであります。アメリカでもTPP反対の声が多数になっておりますし、ヨーロッパでは、EUとカナダの自由貿易協定であるCETA、セタにも、あるいはEUとアメリカの自由貿易協定である環大西洋貿易投資連携協定、TTIP、ティーティップですけれども、言わば欧米版のTPPですが、これにも各国民の激しい抗議行動、あるいは政府の閣僚の反対の声まで上がっているわけであります。
総理がおっしゃるように、今日もずっと述べてこられたように、自由貿易は経済成長をもたらして人々を幸せにするものであれば、なぜこれだけ世界中で反対の声が起きているというふうに総理はお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この自由貿易あるいはグローバルな経済が進んでいく中において、一部の企業に利益が集中した結果、一部の人が豊かになってあとはみんな貧乏になっているじゃないかと、こういう不満が恐らくあるのは事実であろうと、このように思うわけでございます。
しかし、それは自由貿易そのものが悪いのか、他国の言わば再配分機能がどうなのかということもあるわけでございます。先ほど小川委員ともやり取りをさせていただきましたが、自由貿易は肯定しつつ、しっかりと再配分機能をこれは進めていくということにおいては、これ一致したと思います、それが十分かどうかということでは意見が相違しているわけでありますが。その中において対応もしっかり対応していく。
例えば農業においても、全くこれは、我が国の農業が産業という側面だけ見て、そこに付いていかないところは切り捨てるという考えでは我々はないわけでございまして、農業が果たしている多面的な機能を十分に評価しつつ、守るべきものはまさに守っていく。
日米においても、その意味においては、自動車産業を始めとした工業製品、そして我が国においては農業というセンシティビティーをお互いに理解しながら交渉を進め、そして関税の撤廃においてもしっかりと時間を置きそれに対応する、それぞれの業界やそこで働く人々が対応する期間を設ける中で緩やかに進めていくということにおいてお互いに大体理解はできていると、こう思うわけでございまして、農業においては、先ほどやり取りの中で御紹介をさせていただいたように、他の国々はほぼ一〇〇%関税がなくなっている中において、我々は二〇%、言わばその関税等を残す、保護措置を残すことができたわけでございまして、そういうことにも留意しながら進めていきたいと。
大門委員がおっしゃったように、なるべくこれハッピーと考える方が増えていくようなものにしていきたいと、こう考えております。
○大門実紀史君 もう少し具体的にそれでは質問したいと思いますけれども、今日も何度も出てきましたけど、自由貿易対保護主義というようなそんな単純な話ではなくて、自由と公正ですか、度々おっしゃっていますけども、これは誰にとっての自由なのか、誰にとっての公正なのか、このことが今問われているわけでありますが、パネルにしましたけれど、具体的に今世界で何が起きているのかということ、あるいは何が起きてきたのかということですが、ちょっと字が細かくて申し訳ありませんが。(資料提示)
まず、アメリカでは、今日もお話ありましたけど、北米自由貿易協定、NAFTAがありました。これは一九九四年一月一日に発効したカナダ、アメリカ、メキシコの三国の自由貿易協定でありますが、二〇〇三年までにほとんどの品目で関税が撤廃されました。アメリカからの農産物の輸入が激増して、メキシコ農業に壊滅的打撃を与えて、農民の四割に当たる二百五十万人が離農して、その多くが職を求めてアメリカに入っていった、これをまたトランプさんが問題にしていると、こういう構図であります。一方、アメリカのゼネラル・モーターズのような多国籍企業がメキシコに工場を移して、メキシコで自動車を製造してアメリカ本国に売ると、こういうことをやり始めましたので、アメリカ国内の雇用が失われて、メキシコとの低賃金競争にさらされて賃金が低下するということで、このNAFTA一つ取っても多国籍大企業が、あるいはアグリビジネスの大きな企業が独り勝ちをして、それぞれの国内では雇用と賃金が低下する、アメリカでは中間層が没落する、貧困と格差が広がるということがあったので、今回のTPPも反対だというアメリカの世論が高まっているわけであります。
もう一つは、ヨーロッパなんですけれども、欧州連合、EUとカナダの自由貿易協定のセタ、CETAですけど、これはもう大変な反対運動がベルギー、オランダ、フランス、ドイツで行われてまいりました。調印はされましたけれども、国民投票で覆そうという動きまで出ていることであります。最大の懸念は、実は、今日も話題になりましたが、ISDS、投資家対国家の紛争といいますか、多国籍企業が各国政府を訴えられると、損害賠償を求める仕組みでありますけれど、これが大変CETAでは問題になりまして、多国籍企業の暴挙を許すな、国の主権を守れと、どちらかというと経済主権の問題で抗議行動が起きて、そういうプラカードが写真で見てもあちこちの集会で掲げられているということになっているわけであります。
もう一つは、EUとアメリカとの環大西洋貿易投資連携協定、TTIPですけれども、これは言わばアメリカとヨーロッパのTPP版なんですけど、これ動きがいろいろあります。交渉の状況が今直近の状況でどうなっているか、外務大臣の方からちょっと教えてください。
○国務大臣(岸田文雄君) TTIPの状況ですが、御指摘のように、EU加盟国内で様々な議論があること、報じられており、年内妥結は容易ではない、こうした関係者の声もある、こういった点は承知をしております。
第三者間の交渉ですので評価は控えなければなりませんが、交渉当事者であるEU、米国、これ、貿易投資拡大に係るTTIPの意義は減じていないとして、交渉の早期妥結に向け引き続き交渉を行っているものと承知をしております。
○大門実紀史君 報道ではそうなっておりませんけれども、外務省の先日のレクでもそうはなっておりませんけれども、要するに、一番新しい話が十一日ですね、アメリカ大統領選挙の後の十一日に、EUの貿易相の会合でTTIP交渉を凍結するということが話し合われております。これは、フランスでは八月三十日にオランド大統領が年内合意はしない、交渉停止をすると。ドイツでも、ガブリエル経済担当大臣がTTIPは事実上決裂したということを宣言されております。
ここで各国で不安が広がったのは、環境・食品安全基準、賃金、雇用、農業、そして先ほどのISDS、こういうものがやっぱり各国で不安が広がって反対の声が起きたものですから、閣僚自身が、政府自身が見合わせるという動きになっているわけであります。これが今の世界の動向なんです。自由貿易はバラ色だというふうに言っているのはもう日本ぐらいのものでございまして、いろんな深刻な問題が今生まれているということでございます。
確かに、第二次世界大戦後、八〇年代ぐらいまでは自由貿易が各国の経済を発展させたというのは言って言えることだと思いますけれど、その後、九〇年代に入ってグローバル化が一気に進むという中で、世界を股に掛ける多国籍大企業が利潤の最大化を目指して賃金の安いところに生産拠点を移して動き回る、各国に市場開放、規制緩和を求めて圧力を掛けると。このことによって先進国、特に先進国での国内雇用が失われて、賃金も低下して格差が広がるというような時代ということになってきているわけであります。
総理は、官房長官もそうですけれど、こういう各国の動きに対して保護主義というようなレッテルを貼っておられますけれど、自由貿易か保護主義かじゃなくて、この貿易の多国籍企業を中心としたルール作りの中で被害を被っている各国の国民が今怒りの声を上げているということであって、保護主義とか自由貿易と、そういうことではないわけでありますけれど、総理はそういう認識はもう一かけらもないわけでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これ、一かけらもないわけではもちろんないわけでございまして、言わば自由貿易の中で、一定のルールの中で、それは当然一定のルールであれば強い企業がどんどん利益を上げるのはこれは当然だろう。そのために各国が切磋琢磨して生産性を上げ、より良いものをつくっていくという努力、これは消費者にとって悪いことではないんだろうと思います。
一方ですね、一方、一部の人々に富が集まれば、これは様々ひずみを起こすのは事実であり、国を分断をしていく、そういう状況をつくらないような努力も共にしていく必要があるんだろうと思います。
日本においては、例えば自動車産業がこれは将来輸出が増えていくという利益、しかしこれは自動車産業一部の、例えばトヨタだけのものではなくて、そこと取引している企業がたくさんあります、そういう取引している企業にもちゃんと利益が落ちていくように我々は取引条件を改善するよう求めているわけでありまして、その我々の要望に対して彼らも応じている。そしてまた、我々は、自由主義経済ではありますが、企業に対して、これは大門さんからも要請がございましたが、企業に対して賃上げをするように要請すると、異例の措置をとっているわけでございまして、完全なこれ新自由主義とは違うと言ってもいいんだろうと思います。
そういう中において、そうした自由貿易で得た利益、生み出された富ができるだけ多くの人たちに均てんしていくように努力もしていきたいと、こう思っている次第でございます。
○大門実紀史君 私たちも自由貿易の全て、グローバル化の全てを否定しているわけではないんです。今、余りにもその自由貿易のルールが多国籍企業を中心に作られていていろんな国民の被害が起きている、各国の国民の被害が起きているということでありまして、何といいますか、人間あっての経済でございますから、人間あっての貿易でありますので、各国の国民の暮らし、雇用、賃金、社会保障は守らなければならないんですね。
農業についていえば、食料自給率や環境のことも含めて、各国とも大変重要な産業に位置付けております。守るべきものは守っているわけですね。当たり前のことだというふうに思います。これから総理がおっしゃるように世界の国々で本当に人が幸せになっていくような貿易を発展させていくためにも、やはり経済主権はきちっと守る、守るべきものはきちっと守る、お互いに認め合うと、そういうルール作りをやらないで、やらないで企業がISDS設けていく、そればっかりやるとこういう弊害が生まれてきたんではないかと思うわけであります。
ちょっと具体的にもう一つお話ししたいのは、政府がおっしゃるようにこのTPPで本当に日本が良くなるのかという話なんですけれども、TPPの影響について政府が経済効果について試算をされております。
下段の方の農産物ですけれど、これについては、もう我が党の紙智子議員始め各党の議員の皆さんから、余りにも過小評価過ぎる、試算に含めていない項目があるなど、厳しい追及、批判があったわけであります。
同じ質疑を繰り返す気はありませんが、要するに、書かれているとおり、農林水産業への影響はまず軽微であるというふうな数字をつくって、書かれているとおり、体質の強化とかコスト削減とか生産性の向上を図って乗り越えていってほしいと。要するに、頑張ってくれと言っているだけなんですよね、これ。だから、科学的な試算でも何でもなくって、本当に精神論ですよね。みんなで頑張っていろいろあるけど乗り越えていってくれと、こういう話だと思うんで、だから、農家の皆さん、JAの皆さんも既に一生懸命効率化図って頑張っておられるわけでありまして、これ以上どうしろというのかという声が上がっているわけであります。だから、農家の方々には全く説得力のないのがこの農林水産物への影響評価であります。
今日は、この上の方の経済効果全体についてお聞きしたいと思いますけれども、TPPでGDPが実質で二・六%増えて雇用が八十万人増えるという試算であります。私、最初、この数字見たときに、たったこれしか増えないのかと。これだけ大騒ぎして、TPP入る入らないといって、たったこれだけの数字しか増えないのかと。これぐらいの数字だったら、まともな経済政策をちゃんとやっていけば十分達成可能な数字なのに、これだけいろんな人が不安になるTPPに入ってもこれしか増えないというような、ちょっと驚いたんですけれども。
そもそもこの数字がよく分からないんですけれども、もう一枚、計算根拠ですね、どうやって内閣府がこの数字を出したのかという計算根拠をパネルにいたしました。
石原大臣、簡潔に説明してください。
○国務大臣(石原伸晃君) もう既に二枚のパネルで大門委員が御説明をいただいているとおりでございますが、簡単に説明をいたしますと、TPPの効果が発現したと考えられる時点で、GTAPモデルを使った内閣府の分析によりますと、先ほども御答弁させていただいておりますが、実質GDPの水準は二・六%増加して、これは何年度を基準にするかということでございますが、二〇一四年に当てはめてGDPを用いて換算いたしますとおよそ十四兆円、労働供給は委員御指摘のとおりプラス一・二五%、二〇一四年度の就業者数を用いて換算するとおよそ八十万人の拡大が見込まれるという計算でございます。
じゃ、具体的にということで、今お示しいただいている内生的なメカニズムでございますけれども、TPPを通じて貿易投資が拡大します。輸出入が当然増えるわけでございます。それによりまして、我が国の生産性、実質所得が高まる、それに賃金が押し上げられる。賃金が押し上げられることによりまして、消費性向は高まる、労働供給も促される。こういうメカニズムが回ることによりまして、十四兆円、GDP比でいきますと二・六%、大体世銀の数字と同じでございます。
○大門実紀史君 これ、大変問題があるんですよね。
まず、この試算は、実際に人々の生活や暮らし、人々の苦しみやその時間というものは全くカウントされておりません。説明書きにもあるとおりなんですけれども、これは、TPPに参加する前の状態と、TPPが発効して、いろいろあって、新たな成長経路を均衡状態に移行した時点とを単純に比較したものであります、静学モデルといいますけれど。
したがって、実際、TPP参加によって、ある分野が衰退して失業が起こるといたします。その失業者は仕事を探して苦労いたします、時間が掛かります。やっと仕事を見付けても、低賃金の仕事と。そういう人々のつらさや苦しみや時間の長さというものを一切考慮されないで、どこかで仕事に就いただろう、就くだろうというようなことになっておりまして、言ってしまえば、この試算というのは、失業が起きても労働者はすぐほかの仕事を見付ける、即座に労働移動するということが大前提になっております。農業をやっていた方が、農業の仕事がなくなった、しかし翌日から自動車産業の技術者になれると、こういうようなことを想定しているような、完全雇用を想定した机上の空論であります。
もう一つは、GDPの増加も、あるいは八十万人の雇用増という数字も、根拠が希薄なんですよね。この数式のあちこちに生産性の向上という項目が出てまいります。
真ん中のAの労働供給メカニズムのところも、生産性が上がれば賃金が増えるとなっていますけれど、これはNAFTAの例でもよく分かるんですけれども、多国籍企業が賃金の安い国に生産拠点を移して、国内でも非正規雇用を増やすと。そんな下で、こんな生産性が上がれば賃金が上がるなんて、どこにも起きておりません。こんな現象はどこにも起きておりません。あくまでこれも机の上の仮定であります。
もう一つは、所得増が需要になり賃金として循環なんてことも書いていますけど、こんなことも日本のどこにも起きておりません。需要といいますけど、個人消費は二年連続マイナスですよね。このメカニズムに当てはめている数字もまたこれ恣意的でありまして、例えば百九か国のデータ、これほかのデータだったらどうなるんですか。あるいは、複数国の先行実証研究を利用して想定、これも違う数字持ってきたらどうなるんですか。
ですから、都合のいい数字を持ってきて数式に当てはめれば、都合のいい数字が、程々の数字が出てくると、こういうものでありますので、幾らでも結果を変えることができるようなものなんですね。こういうものでGDPが二・六%増える、雇用が八十万人増えると言われても、これ誰も信用しないと。だから、この試算そのものはやっぱりもう撤回したらどうですか、石原大臣。
○国務大臣(石原伸晃君) 大門委員が御指摘いただきましたとおり、これは静学モデルでありますので、今委員が仮定の話で、例えば失業した労働者がどれだけの仕事に、何日間掛かって職をどこどこで得たみたいなこの仮定を、その割合が半分である、半分の人は一週間以内に就業できたみたいな仮定を置くダイナミックモデルでいいますときっとまた違う数字になるのかもしれませんが、これはあくまでも基礎的なデータを各国のものを入れさせていただいて、特に日本の場合は日本のデータを入れさせていただいて、およそ十年から二十年たったときにこういうものが顕在化してくるというモデルでございますので、仮定を置くというようなことが経済モデルで私ども持っておりませんので、また、そういう何が客観的な状況になるのかを予見するようなデータがございませんので、こういう形になっているというふうに御理解をいただきたいと思います。
○大門実紀史君 ですから、これは宣伝するような中身ではありませんので、申し上げておきます。
もう一つは、輸出が伸びれば国内の雇用や賃金が上がるんじゃないかというような話を一般的に言われておりますけれど、本当にそうなのかということで、ちょっと自動車産業の例を見てみたいと思います。
世耕大臣、二〇〇八年のリーマン・ショック以降の自動車産業の海外生産台数と海外雇用、国内生産台数と国内雇用の推移を、ちょっと簡潔に説明していただけますか。
○国務大臣(世耕弘成君) お答えいたします。
今、パネルへ出していただいているその海外生産台数の数字はどうも暦年ベース、一月から十二月、国内生産の方は逆に年度、四月から三月、両方使われているようで、私は、ちょっと今、年度ベースしか持っていませんので、トレンドは変わりませんから年度ベースの数字でお話をさせていただきたいと思いますが、リーマン・ショックの二〇〇八年度に、まず海外生産については、千四十八万台と底を打ちました。それ以降、二〇〇九年には千百三十九万台、そして一貫してその後生産拡大の傾向にありまして、足下の二〇一五年度は千八百三十一万台となっています。
こうした拡大基調の背景には、特に中国と北米を中心とした需要拡大が挙げられると思います。
また、国内生産台数につきましては、二〇〇八年度までは一千万台程度で推移をしていましたが、リーマン・ショックの影響と思われますが、二〇〇九年度に輸出台数が大幅に落ち込んで八百八十六万台となりました。その後、国内生産は二〇一三年度まで緩やかに回復をしてきていますが、理由としては、エコカー補助金とか新型車の投入、あるいは新興国、ヨーロッパ向けの輸出の増加が挙げられると思っています。二〇一四年度からは、消費税率の引上げの影響かと思いますが、国内販売台数が低下していることを受けて生産減少に転じておりまして、二〇一五年は九百十九万台というふうになっています。いろんなファクターの影響を受けて海外、国内の生産台数は変化しているかというふうに思っております。
また、雇用ですけれども、一定の推計になるかもしれませんけれども、まず、海外における自動車関連産業の雇用者総数は、二〇〇九年度は百十四万人、それに対して二〇一四年度は百六十万人というふうになっています。増えています。これは、海外マーケットが成長していることによる現地生産の拡大によるものだというふうに思います。
一方で、国内の雇用者については、景気や自動車の国内販売などに一定の関係があると思いますが、二〇〇五年度には八十六万人でありましたが、二〇〇九年度には百一万人まで増えました。その後、二〇一二年度にはまた九十七万まで減少しましたが、それ以降は雇用者数は増加傾向にありまして、二〇一四年度には九十九万人、足下の二〇一五年度は国内雇用者数は百万人にまで増加をしているところであります。
○大門実紀史君 とにかくトレンドで見ていただきますと、輸出が伸びても、海外生産が増えるだけ、国内生産は横ばいと。これは、生産拠点を海外へ移しているということがあるわけでありまして、ですから、それと非正規雇用とか増やしていますので、労働分配率も下がって、利益は上がっているんですけれども、労働分配率が下がっているということでありまして、つまり、自由貿易で幾ら輸出を伸ばしても、海外生産が増えるだけで、国内の雇用も増えないし、賃金も上がらないという状況が続いておりまして、一方、巨額の内部留保が積み上がっていて、例えばこの自動車でいうと、トヨタ一社で十六兆八千億、三位、ホンダが六兆二千億、日産が四兆一千五百億というふうに内部留保をため込んでいるわけであります。
トヨタは、ちなみに、二〇〇九年から二〇一四年まで国内で税金を払っていなかったということで社会的批判を受けたわけであります。
ですから、輸出産業が伸びても国内経済にほとんど寄与しない時代になってきているということだというふうに思います。ですから、輸出輸出というのをおっしゃりますけれども、海外生産増えるだけで日本の雇用は上がりませんし、むしろ大企業の内部留保だけが積み上がっていくと。
今まさに、日本が全体が今そういう状態に、まさにこの結果の状態にあるんではないかというふうに思いますが、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 輸出が増えると、例えばトヨタの場合は、リーマン・ショックで損が出た後、繰延べ決算の関係でしばらく税金を払っていませんでしたが、今はがっとたくさん払っていただいていると、このように思っておりますが、更に利益を上げている部分をもっと労働分配率を上げてもらいたいというのが我々の希望でもあるところでございます。
そこで、グローバル企業が現地生産を現在は進めているわけでありますが、それによって輸出企業、言わば多国籍企業が生産を増やしてもなかなか雇用が増えていないではないかという御指摘でございますが、グローバル企業が現地生産を進める背景には、我が国のFTA比率の低さが一因と考えられるわけでありまして、TPPが発効すればTPP域内のどこで生産してもTPPの低い関税が適用されるようになりますので、これによって国内にいながらにして域内市場に進出できるようになるのは事実でありまして、そして、既に実際に海外生産の一部を国内に戻そうとする動きも見られているわけでありまして、このようなチャンスを生かして、委員の御指摘のとおり、それが働く人々の所得の向上につながるように支援をしていきます。
具体的には、TPP協定を通じて日本国内の中小企業等からの輸出が拡大するよう、海外輸出向けの新たな商品やサービスの開発や販路の拡大を支援しますし、また、先ほど申し上げましたように、一層拡大して得た大企業の収益が全国津々浦々の下請の中小企業の収益として波及するように国内の取引慣行の適正化に取り組みます。そして、また同時に、各企業における賃上げを働きかけていきたいと、こう考えておりまして、しっかりと輸出が伸びていくことが地方も含めて全国津々浦々で働く人々の利益につながるように努力をしていきたいと、こう思っております。
○大門実紀史君 今、中小企業のサプライチェーンの話が繰り返し今日は朝からありましたけど、私はそうならないと思うんですよね。
なぜならば、メキシコで日産なりトヨタなりが今生産の工場を持っております。その周りにサプライチェーンの中小企業がくっついていって部品を生産しております、このサプライチェーンがありますね。今度、TPPに入れば、日本から、そこで作らなくてもNAFTAの関係で関税がゼロなんですけれども、日本で作って送っても関税ゼロだから、いながらにして日本の中小企業は日本で仕事ができますよというようなことをおっしゃっているんだと思いますが、そうならないですよ。日本で作って運搬する費用だけでもコスト高になりますから、日産にしろトヨタにしろ、そんな割高な部品は買いませんよね。むしろ、引き続きメキシコに出てこれるような力のある中小企業を選択する、淘汰して引っ張っていくと、これが引き続き続くわけでありまして、そんな夢みたいに関税ゼロなんて、日本で作ってメキシコまで運んで部品を納めますなんて、そんな甘い世界ではありませんよ。そんなことは全然説得力ありませんので、もうおっしゃらない方がいいと思いますよ。
もう一つは、TPPはアメリカによって日本の経済主権が侵害されるという話が衆議院の議論でもありましたけれども、大体お答えのあることが、日本は独自の判断でやるんだ、アメリカから幾ら要求してきても自分たちの判断でやってきたんだということをずっとお答えなさってきましたけれども、本当にそうなのかということでございます。
歴史的に、アメリカが日本に市場開放要求をしてきたのは特に農産物と保険でありました。郵政民営化のときも、この参議院では大議論になりましたよね。私も、小泉総理や当時の竹中平蔵大臣にこのアメリカの要求に応えるべきじゃないと質問をしたら、必ずおっしゃるのは、いやいや、大門さん、アメリカの要望に応えているわけじゃないんだ、自主的に判断してやってきているんだと、絶えずそういうふうにおっしゃるんだけれども、実際にはどうなってきたかということであります。
あれから十年たちました。今全国の郵便局二万局の窓口で、アメリカの保険会社A社のがん保険が販売されております。A社というのはアフラックでございまして、だからA社と言うんですけれども。
日本郵政は財務大臣が筆頭株主でありまして、政府所管の持ち株会社、政府の会社です。民間会社だったら、どこの保険会社と何やろうとそれは自由ですけれども、政府の会社が特定の外資の商品を全郵便局で販売する、この公的ネットワークを一民間企業、しかも外資に独占的に使わせるというのは、これは異常事態じゃないかと思うんですけれど、麻生金融担当大臣、いかがですか。
○国務大臣(麻生太郎君) まず基本的に、金融分野を含めまして、これは日本経済全体として健全に発展していくためには、国内とか外資とかいうのに関係なくこれは適正な競争というのは行われて、いわゆる国民へのサービスが向上していくということが極めて重要なんだと思っております。
今のアフラックの話が出ましたのですが、これは様々な経緯があったというのはもう御存じのとおりですので、あのときは私も総務大臣していましたので、かなりこれ使っていましたし、その前は政調会長のときにこれ始まっていますからよく知らないわけじゃありませんが、この第三分野というのは、がん保険を含みます社会保障関係全体の保険のことを第三分野というんですが、少なくとも平成十三年に、いわゆる二〇〇一年ですから、あれのときに完全に自由化されて、今十五年以上たっているという経過になります。
こうした中で、これは第三分野というもののシェアとかいうものを見てみると、いわゆる、何というか単品の、単品のがん保険だけを見ますと、これはおっしゃるとおり、アフラックという会社のシェアが六七%です。そこだけ見るとえらいでかいように見えるんですが、これがん保障、いわゆるがん保険を含めましたこれ全体の、第三分野全体では、国内のいわゆる保険会社、日本の持っております国内の保険会社のシェアは実に六六%ありますし、国内の中で全体を見ますと、社会保険全体というものはがん保険の単品の十四倍のマーケットということになりますので、その意味からいきますと、我々、いろいろな見方があるんだと思いますが、これは金融機関というものがそれなりの努力を重ねてこられてきた結果、私ども今このような数字が上がってきているんだと思っておりますので、いずれにしても、我々としては、適正な競争というものがきちんと今後とも行われていくということをしていかないと、契約者の保護というものと、それから利便性、便利という話になりますと、これは我々としては、適正な行政というものの立場に立ちますと、適正な行政がきちんとなされていくためにきちんとした競争がなされていくというのは極めて大事なことだと思っております。
○大門実紀史君 これだけでも大きな問題なのでまた改めてと思いますけれど、申し上げたいことは、元々、元々アメリカの日本に対する資本自由化要求があったわけですね。貿易・通商摩擦があったわけです。そのときに、アメリカの保険業界が強く要望したときに、第三分野なら取りあえず開放していいかということから始まっていると。その後はもう爆発的にアフラックがシェアを占めると。誤解のないように言っておきますと、別にアフラックの保険が悪いとかなんとか言っているわけではありません。私もお世話になりましたので、そういうことで言っているわけではなくて、余りにも異常な、異常な優遇だということを申し上げているわけであります。
この流れはあるんですけれども、もう一つ、今日もう時間の関係で一つだけ申し上げたいんですけれども、二〇一六年現在、今二万局でやっていますけれど、この背景には実はあのTPPがあります、TPPのことがあります。
二〇一〇年、日本がTPPに参加したいと願い出たときにアメリカの通商代表部、USTRのカーク代表が、TPPに参加させてあげる条件としてアメリカ牛肉の輸入制限撤廃とこのかんぽのがん保険を、かんぽにがん保険をやらせるなということを当時の前原外務大臣に要請したわけですね。実は当時、かんぽ生命は日本生命とタイアップして医療保険に出ようと、進出しようと考えていたんですが、それをストップさせることがTPP参加の条件だよということを前原大臣に突き付けたわけであります。で、そのとおりになって、かんぽ生命としては扱えなくなって、むしろもう一緒にタイアップするというふうにさせられたということであります。ちなみに、アフラックの政治力は格段に強いものがありまして、アフラックの日本代表会長のチャールズ・レイクさんは、実はアメリカの、USTRの元日本部長さんであります、でございます。
だから、いろいろ言っても、このがん保険一つ取ってみてもアメリカの要求があったから、それはもちろん最後は経営判断したとなるんでしょうけど、アメリカの強い要求の下にそういう判断をしてきてこういう結果になっていると、異常な事態になっているということでございます。
もう一つは、TPPにおけるこのアメリカの要求を受け入れる仕組みについて取り上げたいと思うんですけれども、今日はISDSがかなり議論になりました。これは、外国の投資家などが日本の制度に異議を申し立てて損害賠償を求めるということですね。環境、食の安全、地域振興など、日本が必要と考えて行っている規制も変えられてしまうのではないかという懸念が広がっているわけでございます。
この問題、また我が党もこの委員会で取り上げていきたいと思いますけれど、今日は、単に外国の投資家が日本政府を訴える、異議申立てをするという形を超えて、超えて、むしろ日本が積極的にアメリカの投資家からの意見を求めて、それに基づいて政府自ら規制緩和を推進するという仕組みが今回のTPP協定とサイドレターに組み込まれているという点を取り上げたいというふうに思います。
そもそも、日本がTPPに参加する条件として、先ほどのこともありましたが、もう一つ、アメリカから二国間協議を求められて、アメリカが関心を持っている事項についていろいろ話を聞かされた、要求を突き付けられた、一方的な片務的な交渉だったわけですけれども、そういう下で交わされた協定案の二十五章、規制の整合性という部分がありますけれども、その四条に調整及び見直しの手続又は仕組みという文章があります。二千七百四ページのところにあります。
書いていることは非常に複雑な言い方を書いてあるんですが、要するに何を言っているかといいますと、日本は外国人投資家の意見を聞く、聞く調整機関を設立して規制の見直しを進める、その調整機関は規制の見直し、改善について勧告をするということが書かれております。協定案二十五章四条に書かれております。外国投資家、これはもう当然アメリカですけれども、アメリカの意見が政府の政策に関与する仕組みが書かれているわけであります。
岸田外務大臣に伺いますけど、ここに書かれている調整機関とは具体的にどこが担うことになりますか。
○政府参考人(澁谷和久君) 規制の整合性のチャプターにここで規定されております機関といいますのは、規制を制定する際の政府部内の調整等を行うためというふうに書かれておりますので、我が国は、現時点において政府内で規制を行う際には各省間の調整の仕組みがもうでき上がっておりますので、新しい機関を設立することは当面不要ではないかというふうに考えております。
○大門実紀史君 不要、要らないということは、今ある機関を使うということですか。
○政府参考人(澁谷和久君) 調整を行うための機関が必要であれば設立するということですので、現時点で私ども、政府部内で規制を新たに策定しようとする際は、通常、各省調整を行ってから法律ないし政令を策定いたしますので、調整の機能は十分我が国の政府内ででき上がっているというふうに考えております。
○大門実紀史君 外務大臣はあれですか、承知されておりませんか、この点について。ちょっと事務方が言っているのは同じことばかり繰り返すので。
○国務大臣(岸田文雄君) 規制改革については、今現状、我が国政府の中で各省庁の調整する仕組みがあり、その仕組みに従って行われています。これを改めるとか何か加える、そういったことは全く考えていないということであると考えます。
○大門実紀史君 資料をお配りいたしました。これはサイドレターですね。
ここに書かれているのは、要するに、今言った調整機関というのは規制改革会議がやるということを書かれているわけですね。外国の投資家、つまりアメリカの投資家、利害関係者から意見、提言を求めて、その意見、提言は実現可能性に関する各省庁から回答をもらって検討して、可能な場合には行動を取るために定期的に規制改革会議に付託する、日本国政府は規制改革会議の提言に従って必要な措置をとると。
ですから、これわざわざサイドレターに書かれているわけですので、この調整機関は誰が見ても規制改革会議だと思うわけですが、違うんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国の制度ですが、行政機関が行う政策の評価に関する法律に基づいて、各府省において規制の新設又は改廃に際する規制の事前評価とその結果の公表、そして法令等を整備する際の省庁間での法令協議等を行っています。さらに、この規制の在り方の改革を調査審議する内閣総理大臣の諮問機関として規制改革推進会議がある、これが我が国の制度であります。
○大門実紀史君 ですから、今、名前が、規制改革じゃない、規制改革推進会議になりましたけれど、そこが担うということであります。
規制改革会議本部の担当者に聞いたんですけど、今までこういうアメリカ、外国投資家の意見を集約して聞いて、それを日本国政府の政策に反映してもらうために規制改革推進会議、前だと規制改革会議として提言をしてきたのかと言いましたら、そういう仕組みはありませんでしたということでありますので、TPPをきっかけに、このアメリカの利害関係者が日本の政策に、政府の政策に直接関与をする仕組みがつくられてくるわけであります。
こんなことはもう前代未聞じゃないかと。一つの国の政府に、外国のビジネスマンが出てきて、おたくの国はこうしなさいと。こういうことが行われたら、ISDSで一々訴えなくても、もうそのまま日本の規制緩和をやらされるということと、TPPの協定案がどうあろうと、それを超えてこれからどんどんどんどんアメリカの多国籍企業、投資家の要望に基づいて限りなく規制緩和が広がっていくということになるんではないかと思います。
これは、幾ら何でもまさに経済主権が侵害されることに当たるんじゃないかと思いますが、大事な問題ですので、もう時間ないので、総理に一言答えてもらいます。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、関係者の意見は聞きますが、それを反映させるということは義務ではないわけでありますから、これは聞きおき、聞きおくことになるわけでありますが、聞くわけでありますが、我々が判断し、それが、その意見が、正しければ反映するわけでありますが、その意見が我々の仕組みに合わなければ、当然これは聞くだけになるわけであります。
○大門実紀史君 私は、それもおかしいと思うんです。特定の国の特定の投資家の特定の多国籍企業のビジネスの人たちの意見をわざわざ聞いて、それを政府の政策に反映しますという仕組みをつくっていることがおかしいと申し上げているのであって、聞いてどうするか分かりませんじゃないです、これ。ちゃんと書いてあります、提言に沿って必要な措置をとるまで書いているじゃないですか。ですから、もうこうなりますと、そもそも経済主権そのものがもう全く穴を空けられているということになるというふうに言わなければならないというふうに思います。
大体、この規制改革推進会議そのものがおかしいんですね、元々。市場原理主義というか強欲資本主義といいますか、今までもグローバル企業向けに解雇規制のルールを緩和しようとしたり、アメリカが求めてきた混合診療の規制を外していこうとしたり、さらには今回、農業改革まで、小川さんからありましたけれども、押し付けがましく言い立てるというふうな、元々おかしいんですよ、この規制改革推進会議。このおかしなところにアメリカが今度一緒にやるわけですよ。一緒に参入して際限のない規制緩和をここで打ち出していく、それが政府の政策に反映されていくということでありますので、もうこの仕組みを認めれば、ISDSどころか、本当にふだんから、外資、アメリカの要望が日本の政策になってしまうということになりますので、この点は本当に禍根を残すことになるというふうに思います。もう少し日本を愛してもらいたいなと、日本を愛する気持ちを持ってもらいたいなというふうに思います。
以上申し上げて、質問を終わります。