国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2016年11月9日 参議院本会議

消費税増税は延期ではなく断念を

<赤旗記事>

2016年11月10日記事

質問する大門実紀史議員
=9日、参院本会議
 
質問する山下芳生副委員長
=9日、参院本会議

消費税増税断念こそ
参院本会議 大門・山下両議員が質問

 消費税率10%への増税を2019年10月に再延期するための消費税法と地方税・地方交付税法の改定案が9日の参院本会議で審議入りし、日本共産党の大門実紀史、山下芳生両議員が質問に立ちました。

 大門氏は、非正規雇用の増加による賃金や所得の低下が個人消費を落ち込ませ、可処分所得も社会保障保険料の引き上げや「異次元の金融緩和」の円安誘導などによる物価上昇で減少してきたと指摘しました。

 大門氏は、消費税増税が現在の消費低迷の最大の原因であり「増税予定」そのものが経済を停滞させているとし、「消費税頼みの考え方を改め、応能負担の原則で税制を抜本的に見直すべきだ」と主張。トヨタなどトップ企業10社で減税額の4割を占める研究開発減税の見直しを求めました。

 一方、山下氏は、消費税増税が景気を冷え込ませ、地方財政にも大きな打撃を与えてきたと指摘。地方への税源移譲をはるかに上回る国庫補助負担金と地方交付税削減を強行した小泉政権下の「三位一体改革」など、歴代自民党政権の政策が地方財政悪化の根本要因だとし、「消費税増税は延期ではなくきっぱり断念すべきだ」と求めました。

 山下氏は、地方財政の悪化は保育の量と質の低下をもたらすなど住民へのしわ寄せとなって現れていると強調。介護の「要支援」サービス事業が市町村に移管される問題についても、「自治体への財源保障なき事業押し付けはやめるべきだ」と訴えました。

 麻生太郎財務相は「消費税増税を断念、撤回することはない」とする一方、研究開発減税については税制度にゆがみを生じさせる面もあるとし、「しっかりと検討を行っていきたい」と述べました。高市早苗総務相は「消費税は地方財政の安定化に寄与してきた」と事実をあべこべに描き、消費税増税路線に固執する姿勢を示しました。

≪議事録≫

○大門実紀史君 日本共産党を代表し、消費税増税延期法案に関連して質問をいたします。
 日本経済が停滞から抜け出せない最大の理由は、経済の六割を占める個人消費の低迷が続いていることです。九月の家計調査を見ても、うるう年で二月が一日多かったためにプラスになったことを除くと、十三か月連続のマイナスとなっています。個人消費が増えなければ、企業の売上げも設備投資も増えません。
 石原大臣は、個人消費が伸びない要因がどこにあるとお考えでしょうか。
 消費低迷の第一の要因は賃金、所得の低迷です。この間、低賃金の非正規雇用が雇用者数に占める割合は四割近くにまで上昇しましたが、非正規の年収は正規の三割台にとどまっております。年収が二百万円以下のいわゆるワーキングプア層は一千百三十万人と、三年連続で一千百万人を超えました。賃金の低下は、一時的な現象ではなく、非正規雇用の拡大によってつくられた低賃金構造に根本的な原因があります。
 家計調査を見ると、非正規雇用が多い低所得の勤労者世帯ほど消費を減らしています。年齢でいえば、三十九歳以下の若い世帯の消費の落ち込みが深刻です。石原大臣が序文を書かれた今年度の経済財政白書でも、個人消費が伸びないのは、特に三十九歳以下の若年子育て世帯が消費を抑えており、その背景には非正規雇用の増加があると指摘をされております。そうであるならば、非正規雇用を拡大する労働法制の改悪をやめ、正社員化の道を広げることこそ景気回復にもつながるのではありませんか。
 実収入から直接税や社会保険料などを除いた可処分所得も、安倍政権発足前と比べて減少しています。その原因は、賃金の伸び悩みや年金給付額の削減などに加え、年金、介護、医療などの保険料が引き上げられてきたことにあります。消費税増税や異次元金融緩和の円安誘導による物価上昇も実質可処分所得を減少させました。まさに安倍内閣の経済政策、アベノミクスそのものが国民の可処分所得を減少させ、消費を冷え込ませてきたと言わなければなりません。
 今こそ、手厚い中小企業支援とセットにした最低賃金の大幅引上げや年金改悪のストップなど、具体的に国民の賃金、所得を上げる政策に踏み出すべきではありませんか。石原大臣の答弁を求めます。
 消費を低迷させている第二の要因は、国民の将来不安の増大です。内閣府の国民生活に関する世論調査によれば、国民が不安を感じる事柄は、〇三年以降、老後の生活設計についてがトップになっています。将来の年金受給額が減り、医療や介護の負担が増えるのではないか。社会保障制度への不安が消費者意識に重くのしかかり、消費を冷え込ませる要因になっているのです。
 政府の厚生労働白書でも、社会保障の充実は国民の将来不安を取り除き、経済を活性化させると指摘をしております。社会保障の連続改悪をやめ、むしろ充実することで、国民の将来不安を取り除き、景気を回復させ、税収も増やすというプラスの好循環に方向転換する必要があるのではないでしょうか。石原大臣の答弁を求めます。
 消費を冷え込ませた第三の要因は、消費税の増税です。二〇一四年四月の消費税率の八%への引上げ後、個人消費は一四年度、一五年度と二年連続でマイナスとなりました。二年連続のマイナスは戦後初めてのことです。麻生財務大臣は、二〇一四年の消費税増税が現在も続く消費の低迷を招いた最大の要因だという認識をお持ちでしょうか。
 安倍政権は二〇一五年十月に予定していた税率一〇%への引上げを延期することにしましたが、それ以降も消費は伸びていません。なぜなら、消費者は、先送りになっただけで近い将来に増税されると考え、消費を抑えようとします。企業も、増税後の景気悪化を予想し、設備投資を控えるようになります。増税予定そのものが景気を停滞させているんです。この点からも、消費税増税は延期ではなく、きっぱり断念、撤回すべきではありませんか。
 いつから日本の政府は、財源といえば消費税のことしか思い浮かばなくなったのでしょう。八〇年代のレーガン、サッチャーの新自由主義路線を模倣し、日本でも直間比率の見直しが進められ、国際競争力の名の下に法人税率、所得税の最高税率の引下げが行われる一方で、国民には消費税を押し付け、税率を引き上げてきました。
 その結果どうなったか。大企業は空前の内部留保を積み上げ、巨万の富を持つ超富裕層が出現する一方、国民生活は疲弊し、経済も長期停滞から抜け出せなくなってしまいました。今後もこの方向を続ければ、国民の暮らしも経済も落ち込んでいくだけではありませんか。
 大体、消費税は国民にとって一利もない税金であります。
 第一に、こんなに増税するたびに景気を悪くする税金は見たことがありません。
 第二に、所得の低い人に手厚くする社会保障の財源を所得の低い人に重い消費税で賄うこと自体、自己矛盾であり、所得の再分配に反します。
 第三に、社会保障のための消費税という話そのものがでたらめです。
 消費税創設以来二十八年間でその税収は三百二十八兆円にも上りますが、ほぼ同じ時期に、法人三税は二百七十一兆円、所得税、住民税も二百六十兆円も減少してしまいました。不況による税収の落ち込みに加え、大企業、富裕層への減税が繰り返されたからであります。結果的に、消費税はその穴埋めに消えてしまったことになります。
 五%から八%への増税分八兆二千億円も、社会保障の部分的手直しに充てたのは僅か一兆三千五百億円で、残り六兆八千五百億円は赤字削減などの口実を付けて他の用途に消えてしまいました。
 本法案は、こういう消費税を一旦延期しても二〇一九年十月には必ず引き上げるという法案であり、容認できるものではありません。
 麻生大臣、税金は苦しい庶民から取るのではなく、もうかっている大企業や大金持ちから取るべきです。消費税頼みの考え方を改め、応能負担の原則で税制を抜本的に見直すべきではないでしょうか。
 この点では、研究開発減税の見直しは緊急の課題です。トヨタ一社で一千億円以上の減税、トップ企業十社だけで減税額の約四割を占める異常な大企業優遇です。総理も麻生大臣も来年度税制改正での見直しを約束されました。政府税調も抜本的な削減を求めております。政府として、研究開発減税の削減に踏み出すべきときではありませんか。
 このことを含め、応能負担の原則に基づく税制改革を強く求め、質問を終わります。(拍手)

○国務大臣(麻生太郎君) 大門先生から五問頂戴しております。
 まず、二〇一四年の消費増税が個人消費に与えた影響についてのお尋ねがあっております。
 消費税率引上げにより、二〇一四年度の個人消費が、駆け込み需要の反動減等により三兆円程度減少したことに加え、消費税率引上げによる物価上昇によりまして二兆円台半ば程度減少したと試算されているものと承知をいたしております。
 一方で、個人消費は、足下になりますと、二四半期連続のプラス成長となっておりますなど、総じて見れば底堅い動きとなってきているものだと認識をいたしております。
 次に、消費税率引上げを断念すべきとのお尋ねがありました。
 消費税率一〇%への引上げは、国民の安心を支えます社会保障制度の次世代へ引き渡すその責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信頼関係を確保するといったために必要なものであり、これは断念とか撤回するということはありません。
 このため、政府としては、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針の下で、民需主導の経済の好循環を確実なものにすることを通じて、二〇一九年十月の消費税率一〇%への引上げが可能な環境を確実に整えるべく、経済財政運営に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、税制の在り方についてのお尋ねがありました。
 消費税につきましては、税収が安定をしており、勤労世代など特定の者への負担が集中しないといった特性から社会保障の財源としてふさわしいと考えており、その税率引上げによる増収分は、全額社会保障の充実、安定化に充てることとされております。
 同時に、税制全体を通じて見れば、近年、所得税につきましては、所得再分配機能の回復を図るための最高税率の引上げ、法人税につきましては、企業の前向きな投資や賃金引上げを促し経済の好循環をより確実なものとするため、課税ベースの拡大と税率の引下げといった見直しを行っており、国民の暮らしも経済も落ち込んでいくという御指摘は当たらないものだと考えております。
 最後に、企業や富裕層に対する課税についてのお尋ね、ああ、もう一問お尋ねがありました。
 安倍政権の下で法人税改革として実効税率二〇%台への引下げを行ったところですが、これは単なる税率の引下げだけではありません。御存じのとおりです。課税ベースの拡大により、財源をしっかりと確保して行ったものでもあります。課税ベースの拡大に当たりましては、外形標準課税等につきましては中小企業を引き続き対象外とするなど、中小企業には十分な配慮を行っております。
 また、所得税につきましては、所得再分配機能の回復を図る観点から、所得税の最高税率を四〇%から四五%に引き上げる、また金融所得に係ります分離課税の税率につきましても、一〇%の軽減税率を廃止して二〇%の本則税率にするといった税制改正を行っており、まずはこうした見直しの影響を見ていく必要があろうと考えております。
 最後に、研究開発税制についてのお尋ねがあっております。
 研究開発税制などの租特、いわゆる租税特別措置につきましては、特定の政策目的を実現するためには有効な政策手段となり得る一方で、税負担のゆがみを生じさせる面があるという点から、真に必要なものに限定していくことが重要だと、私もそのように考えます。
 研究開発税制につきましては、今年度の税制改正において、その制度の全般にわたり、めり張りを利かせつつ、研究開発投資に向けた有効なインセンティブとなるようしっかりと検討を行ってまいりたいと考えております。(拍手)

○国務大臣(石原伸晃君) 大門実紀史議員にお答え申し上げます。
 まず、個人消費についてのお尋ねがございました。
 個人消費の動向については、消費者マインドに持ち直しの動きが見られる中で、総じて見れば底堅い動きとなっております。また、個人消費を取り巻く環境を見ますと、有効求人倍率は一・三八倍と約二十五年ぶりの高水準、失業率は三%と約二十一年ぶりの低水準、雇用者の所得の合計であります総雇用者所得は、名目、実質共に十五か月連続で前年比プラスとなるなど、雇用・所得環境の改善は続いております。
 ただし、所得の伸びと比べますと個人消費に力強さを欠いていることは、議員の御指摘のとおり、事実だと思います。この背景として、子育て世代を中心とした先行き不透明感や一部の高齢者世帯の節約志向等が考えられると経済財政白書の中で分析をしております。
 消費と賃金、所得についてお尋ねがございました。
 賃金については、今春で三巡目となった賃上げや最低賃金引上げに向けた取組もありまして、名目賃金は二〇一四年春以降増加傾向にあり、実質賃金も八か月連続で前年比プラスになるなど改善が続いております。ただし、先ほども申し上げたとおり、所得の伸びに比べると個人消費に力強さを欠いているのは事実であります。
 こうした課題について、経済財政白書において、持続的な賃金上昇や正規、非正規雇用者間の待遇格差の是正等を通じて将来への展望を明るいものとすることが必要だと指摘をしているところでもございます。
 政府としては、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジであります働き方改革を断行してまいります。持続的な賃金上昇とともに、同一労働同一賃金の実現やこれまでの賃金体系の見直しなどにより、非正規の方の処遇を改善し、中間層の厚みを増すことで所得の底上げ、消費の拡大につながっていくものと考えているところでございます。
 賃金と所得の向上についてお尋ねがございました。
 賃金については、今世紀に入って最も高い二%水準の賃上げを三年連続で実現し、パートの平均時給も過去最高水準に上昇するなど、経済の好循環は着実に回り始めております。経済の好循環を確実なものにするためには、賃上げが今春の三巡目にとどまらず、四巡目、五巡目と続いていくことが重要でございます。このため、政府としては、賃上げ促進税制の導入、ものづくり補助金や下請中小企業の取引条件の改善による中小企業の賃上げのための環境整備に取り組んでいるところでございます。
 また、議員御指摘の最低賃金についても、全国加重平均で千円を目指し、今年度の最低賃金の引上げ額は全国加重平均で二十五円となりました。また、先般成立した補正予算においても、最低賃金引上げに向けた環境整備を行うとしたところでございます。
 また、年金については、高齢期の所得の底上げを図りまして、喫緊の課題である無年金の問題に対応すべく、年金の受給資格期間の十年への短縮を盛り込んだ法案を今国会に提出しているところでございます。
 今後とも、こうした経済の好循環の流れを確かなものとし、国民の所得の向上に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 最後に、景気を回復させ税収も増やすというプラスの好循環についてのお尋ねがございました。
 安倍内閣としては、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことによりまして、経済全体のパイや個人の所得を増加させ、その果実を所得の再配分に活用することで更なる成長につなげてまいりたいと考えております。
 政権交代後、デフレ脱却を目指して経済再生に取り組む中で、名目GDPは三十三兆円増加、税収は国、地方合わせて二十一兆円増えました。
 経済成長の果実を生かして、子育て支援や介護離職者ゼロに向けた取組などの、議員の御指摘される社会保障の充実を行うことによりまして、国民の将来不安を取り除くとともに、安心できる社会基盤を築き、その基盤の下に更に経済を成長させていくという成長と分配の好循環をつくり上げてまいりたいと考えております。(拍手)

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