≪議事録≫
<参考人>
宜野湾市長 佐喜眞淳君
静岡県立大学グローバル地域センター特任教授 小川和久君
沖縄大学人文学部准教授、トリニティ株式会社代表取締役社長 樋口耕太郎君
沖縄国際大学経済学部教授 前泊博盛君
○大門実紀史君 大門でございます。
前泊参考人にお伺いしますけれども、おっしゃったように、私も予算委員会の調査等で沖縄経済の調査、何回か伺っていますけれど、沖縄経済の発展が日本経済の、何というか、本当にリードする起爆剤になればと、本当にそういう可能性はあるというふうに思っております。
ただ、今、国会で審議されている、今もございましたけれども、集団的自衛権行使の安保関連の法案というのは、こういう話を、何というか、もう全然関係ないものにしてしまうというか、ぶっ潰してしまうんじゃないかと、そういう危険性があるんじゃないかと思うわけであります。
ちょっとそういう意味も含めて前泊参考人の御意見を聞きたいんですけれど、集団的自衛権行使でアメリカと軍事行動を起こす、やると、一線を越えるわけですね。そうすると、沖縄の基地というのがアメリカと戦っている国にとってどういう位置付けになるだろうと。今までと違う局面に入るんではないかと。場合によっては沖縄の基地が攻撃の対象になる、初めて攻撃の対象になると。あるいは中東派兵というのが、中東が第一の目的地のようでありますから、安倍さんの話ですと、そうすると沖縄の基地だけではなくて沖縄の町がテロの対象にもなり得ると。
こういう点で考えますと、今、国会でまさに大変な事態になっていますけれど、この法案が通れば、こういう沖縄振興とか、こういう話以前の大変な危機的な状況になるのではないかというのが一つ私の問題意識です。
もう一つは、こういう経済振興の、今日のお話にもありましたけれど、アジアを照準にしてアジアの需要を取り込むと、特に中国ですね。ユニバーサル・ジャパンの進出というのは、やっぱり中国を一つの、何というか、ターゲットといいますか、中国のお客さんをですね。ということは、そういう、集団的自衛権で今何か中国脅威論を非常にあおっている方々いますけれど、要するに緊張を高めて、東アジアの、こういう沖縄の、これからの需要、アジアの需要を取り込んでいくというようなこの戦略というものと逆の方向で、むしろ緊張を高めてしまう。
こういう点からも、今審議されている、私たちは戦争法案と言っているんですけれども、この法案については、本当に振興策までぶっ潰してしまうような話になるのではないかと思いますが、前泊参考人の御意見を聞きたいと思います。
○参考人(前泊博盛君) 沖縄に住んでいると、この安全保障の問題というのはまさに身近な問題で、ここにいらっしゃる皆さんは、安全保障の議論は有事の議論をします。有事になったらどうするかという話を先ほどからも展開をしていますけれども、沖縄においては平時における安全保障の問題が非常に深刻です。
これは、戦争でもないのに沖縄では例えば仮想敵国が攻めてくるという話をして一生懸命守っていますけれども、仮想敵によって沖縄で被害を受けたというのは、殺された人は一人もいないです、戦後七十年間。ところが、米軍によって殺された人はかなりいます。被害の総数は復帰後だけでも五千八百件を超しています。平時における議論を何度お願いをしても有事の議論だけしていますけれども、さらにこれに有事の議論が出てくるとどういうことになるかと。今、平時における四十二年間で五千八百件の被害を受けて、そしてそのうちの五百七十件、一割が殺人、強盗、レイプ、放火といった凶悪事件です。米軍こそが最も最大の脅威であることを沖縄が一生懸命訴えても、そこには耳を貸さないで、仮想敵が攻めてきたらどうするかという議論を一生懸命なさっている。これは国民に対してとても失礼な議論だと思いますね。
それに加えて、今度、有事においてこういう被害が及んだらどうするかという話ですけれども、これは柳澤協二さんもおっしゃっていますけれども、沖縄の海兵隊は核ミサイル三発で終わりだということを言います。そういう議論に対しては、ジョセフ・ナイさんもそうですけれども、ジャパン・ハンドラーと言われているアメリカの専門家たちが何と言っているか。余りにも多くの卵を一つの籠に盛り過ぎていると言います。沖縄に集中していることは、むしろ安全保障上もネガティブだという話をしています。
遡れば、六七年に、沖縄返還を前にしてアメリカは、もう既に沖縄の地理的優位性がなくなったということで、グアム、サイパン、テニアンに、沖縄の基地を全廃をして撤退をする、あるいは移動するという、こういう構想も立てていました。これは読売新聞にも大きく報道されています。しかし、それを日本政府がいてくれと頼んでしがみついて、そして沖縄に基地が残ることになったということも内部文書で明らかになってきています。
日本の中において、本当に日本の安全保障をしっかり議論しているのかどうかというところが心配になってきます。沖縄からすると、軍事安保に余りにも傾斜し過ぎて経済安保が軽視されているような気がします。それは中国との取引額を見ても、中国が三十兆円、今もう三十五兆円ぐらい行くかもしれません、アメリカが二十兆円。この差をなぜ無視して、第一と第二の貿易相手国を対立させるような形で選択をしなければならないのかという、安全保障の基本的な、経済安保の議論が全く欠けたところで議論をしている。それが非常にナンセンスなような気がします。
それから、攻撃をされることがないからこそ皆さんは受入れを拒否している。沖縄の基地が、普天間問題にしても、最低でも県外とおっしゃった方もいましたけれども、県外を受け入れない理由は、先ほどの儀間先生からもありましたけれども、森本さんが言うのは、政治的理由から沖縄に基地を置かざるを得ないという発言、これはまさに、この瞬間から沖縄では、基地は差別であるということを言われるようになりました。皆さんが引き受けないから沖縄が引き受けざるを得ないという話ですから。こういう形で、皆さんも多分知っていると思います、沖縄は日本じゃないから、沖縄の人たちが犠牲になって、そこで手を打てるからというふうに思っているかもしれません。そういう形で、沖縄に基地を集中させていることに対して全く反省がないままに安全保障の議論をすること自体が非常に非常識な話だと思います。
アメリカは既に国益委員会というものをつくって、アメリカにおける国益は何か、経済的なもの、あるいは政治的なもの、軍事的なもの、文化的なもの、全てを議論をした上で国益委員会の報告書を出しています。これは、防衛省のある方からこの中身について相談を受けました。こういうものがなぜ日本にはできないのかという議論をしたら、日本で議論したら二律背反でまとめ切れないと言ったんです。守るべき国益もないこの国が一生懸命防衛の議論をしていること自体がナンセンスだと思います。これはこの国会の怠慢だと思っています。
そういう経済的な安全保障も含めて、日米安保は経済と軍事の両方から安全保障を議論していたはずですが、いつの間にか軍事的な安全保障だけが議論されて、経済的な安全保障が軽視されているような気がします。是非、その辺りも含めて、今回の安全保障の問題の議論の中では、軍事だけではなくて、経済的なもの、それから文化的なもの、あらゆる人間の安全保障も含めて。
それから、外交力の強化もそうですね。日本ほど外交官の数が少ないところもありません。僅か五千人。中国は八千人から九千人。フランスは一万人を超します。アメリカは二万人を超しています。これだけ外交力の差がある。そういう中で、軍事力を強化しようという議論だけやっていることもアンバランスのような気がします。沖縄に余りにも依存し過ぎた日米安保をそろそろ国民全体で応分に負担をしていただくという発想も持っていただければというふうに思っています。
○大門実紀史君 終わります。 |