国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2015年6月10日 地方・消費者問題に関する特別委員会

最賃を引き上げ、都市と地方の格差是正を

<赤旗記事>

2015年6月12日記事

最賃引き上げ必要だ
都市と地方の格差 大門氏強調

(写真)質問する大門みきし議員=10日、参院地方・消費者特委

 日本共産党の大門みきし議員は10日の参院地方・消費者問題特別委員会で、全国一律の最低賃金で都市と地方の賃金格差を是正すべきだと求めました。石破茂地方創生担当相も「賃金を上げることは地方創生のために必要不可欠だ」と認めました。

 大門氏は、最低賃金(時給)には、鳥取県などの677円と東京都の888円とのあいだに211円もの地域格差があると指摘。「地方は生活費が安いからいいだろうと思われがちだが本当だろうか」と述べ、佛教大学の金澤誠一教授が試算した25歳単身者の年間最低生計費で比較すると、岩手県北上市で273万4000円、さいたま市で280万5000円となり、時給換算で40円しか差がない事実を示しました。

 大門氏は、地域別最低賃金制度には、低賃金の地方から人を流出させる問題があることから、世界でも採用している国はまれだと指摘。「賃金が低い方が企業を誘致しやすいとみていた自治体も、最近は、地元で働きつづける人が増えてほしいから賃上げしてもらいたいと変化している」と述べ、「地方の人材確保と活性化のためにも、最低賃金引き上げが必要だ」と強調しました。

 石破氏は「アメリカもヨーロッパもリーマン・ショック(2008年の金融危機)は受けたが給料を上げている」「(都市と地方の)賃金の違いと物価の相違に乖離(かいり)があるのは間違いない事実だ。企業の努力で賃金を上げる余地がある」と答えました。

≪議事録≫
○大門実紀史君 大門です。
 私は、地方の賃金問題について質問をいたします。
 地方に人材を集めるとかあるいは地方に生まれて地方で仕事をしていくという上で、都市と地方の賃金格差を是正していくということは大変重要ではないかと思います。その点で、最低賃金の問題を取り上げますけれども、資料を配付しておりますが、日本は、都道府県別、地域別の最低賃金になっておりまして、地域、都道府県によって格差があります。東京都では八百八十八円、これは前年比十九円引き上げたわけですね。石破大臣の地元鳥取県では六百七十七円です。前年比十三円しか引き上げておりません。鳥取と東京を比べると二百十一円も差額があるわけですけれども、なぜこんなに格差があるのか、石破大臣、御存じでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) この最低賃金というものは、働く方々の生活費や賃金、企業の賃金支払能力を総合的に勘案し、地方最低賃金審査会で実情に応じて定められるというふうに承知をいたしておるところでございます。そこにおいていろんな議論の上でこういう形になっておるわけでございますが、これは、よく子細に見ますと、例えば鳥取と東京を比べましたときにそれだけ賃金に差があると、それではもう地方の方は物価が安いからよいではないかという話になりますが、賃金の格差ほど物価に格差があるわけではないということもございますので、私も所管外で余り物を申し上げるわけではございませんが、地方最低賃金審議会でいろんな議論がなされると思いますが、そこにどのようなファクターを入れて議論をされるかということにつきましてはまた担当にお尋ねをいただきたいと存じます。

○大門実紀史君 なぜこの格差があるかなんですけれども、とにかく格差がありますと、同じ仕事するならばもう都市部に出ていって仕事しようということになるわけですから、人口が都市部に流出をいたします。集中いたします。で、地域はますます過疎化が進むということで、賃金問題というのは実は、この過疎化の問題、都市集中の問題では大変大きなファクターなわけであります。
 一般的に、地方は生活費が安い、物価が安いだろうと、こう思いがちなんですけれども、実は余り最近はそうでもありませんで、大型店が進出したり流通が発達しておりますので、例えば地方の駅前の食堂入って何とか定食食べると分かるんですけれども、こんな高いのか、東京と変わらないじゃないかと。東京よりも、東京は競争がありますから、競争のない分高かったりするわけですよね。したがって、思うほど物価が安いわけではありません。
 実は、そういうことを調べた方がいらっしゃいまして、仏教大学の金澤教授という方が、これは二十五歳単身者の最低生活費と、最低賃金ですから最低生計費というものを物差しにするわけですけれども、それを調べられたら、もちろん地方と東京との違いとかあるわけです。例えば東京は、交通機関が発達しておりますから、住居費は高いですけど交通費は安いと、地方は、住居費は安いけれども、車使わなきゃいけないから交通費が高くなるという、そういう地域によっての特殊性はあるんですけれども、基本的に人が生活する最低の生計費というものを試算されました。
 それによりますと、大体どの地方もそれほど、最低生計費という点では、人が生活していく最低の生計費という形ではそれほど違いがないということで、ちなみに、大体どの地方も、税、社会保険料込みですけれども、月額二十三万、年収二百七十万円と、これが大体、全国共通大体最低生計費だということを調査されて明らかになっております。これはあくまでも最低生計費であって、その地域の基本賃金の平均ではありません。ありませんが、最低生計費ですけど、そういうのが出ております。
 これは鳥取の調査がありませんから、例えば比べますと、岩手県の北上市、これは最低生計費は二百七十三万四千円、月百五十時間で時給換算しますと千五百十九円。例えば埼玉のさいたま市は、最低生計費が二百八十万五千円で、これを時給換算すると千五百五十九円ということで、ほとんど差がありません。ところが、この最低賃金の表を見てもらうと、今申し上げた岩手は六百七十八円、埼玉は八百二円という大きな差があるわけですね。
 これ一体どうしてこういう差が生まれるのかと。これはちょっと厚労省、説明してくれますか。

○政府参考人(谷内繁君) お答えいたします。
 最低賃金法では、一定の地域ごとに地方審議会の調査審議を求めまして、その意見を聴いた上で地域別最低賃金の決定をしなければならないとされておりまして、働く方の生計費や賃金、企業の賃金支払能力の地域差などの実情を考慮いたしまして、都道府県ごとに最低賃金を定めているところでございます。
 例年、地方最低賃金審議会におきまして、都道府県別に最低賃金の改定額を夏に審議されることになっておりますけれども、その前に当たりまして、中央最低賃金審議会におきまして、都道府県を四つのランクに分けまして改定の目安を示しているところでございます。この目安につきましては、昭和五十二年十二月の答申におきまして、できるだけ全国的に整合性のある決定が行われるようにという趣旨から目安が示されているところでございます。
 地方最低賃金審議会は、この目安を参考として、地域の実情を踏まえまして毎年の改定額を決定しているところでございます。

○大門実紀史君 あれこれ言われましたけど、実はそうじゃないんですね。決め方がおかしいんですよ、今の最低賃金の。
 もうここは厚生労働委員会でもありませんし、その制度論は別のところで議論したいと思いますけど、指摘だけしておきますと、一つは、今申し上げた中で、最低賃金を考慮する要素の一つに事業者の支払能力というのを入れているんですね。これ、何か当たり前のことのように思いますけれど、世界で事業者の支払能力というものを最低賃金を考えるときの項目に入れているのは日本だけであります。日本だけです。もちろんほかの国も、経済状況とか雇用状況というのは勘案するとなっていますけれども、事業者の支払能力というような言葉をぽんと入れているのは日本だけです。したがって、最低賃金を決める審議会の中で、使用者の代表の方が一円でも上げたくないと、こう頑張るわけですね。それで足を引っ張ってしまうと。何かもう現実的にそんなことで決まっているのが日本の実情であります。
 もう一つ、この地域別最低賃金という形を取っているのも世界ではまれです。世界はもう全国一律の最低賃金制がほとんどであります。今、この弊害がやっぱり出てきているのかなと思うんですけれども、やっぱり、地域別というと何か実情を反映しているような感じがいたしますけれど、これは逆に地域格差を固定したり、あるいは拡大をしてしまうと。今、実は自治体なんかも、前は最低賃金が低い、賃金が低いことによって企業を呼び込めると、呼び込もうというようなことを、呼び込めるんじゃないかと思っていた地方の自治体も、今は逆だと。人が出ていってしまう、賃金を上げてもらいたいと、最低賃金を上げてもらいたいというふうに変わってきているわけですね。長年やってきた地域別最低賃金というのも、今考え直す時期に来ているわけであります。
 それと、なぜ全国一律なのかというと、もう発想が違いまして、最低賃金というのは貧困と格差をなくすための底上げする制度なんだと、だから全国一律なんだというのが世界の考え方なんですね。ところが日本は、個別的実情、中小企業の支払能力と、こういうところに非常に力点を置いたものですからそういう制度がずっと続いてきて、今やそれが悪循環をもたらしていると。つまり、賃金が上がりませんから人が出ていく、人が出ていきますと仕事がなくなる、仕事がなくなるとまた人が出ていくと、こういう悪循環をもたらして、先ほど言いました地方自治体も、最低賃金は上げてもらう方向で考えてほしいというふうに変わってきているわけですね。まだそういうことも気が付かないで同じことを繰り返しているのが今の厚生労働省の最低賃金のやり方であります。
 そういう制度論は厚生労働委員会とか予算委員会でやりますけれど、是非、石破大臣にお考えいただきたいのは、この最低賃金を上げるということは、地方の活性化、人材確保、非常に重要なことだと私思っておりまして、予算委員会等で安倍総理に、中小企業に大胆な支援をしながら最低賃金を大幅に上げると、アメリカとかフランスでは経済対策とやって大成功して、内需拡大成功したので、アメリカは引き続きまたやろうというふうになっておりますけれど、そういう外国ではもう発想の転換をして、賃金上げることが経済が良くなって中小企業も良くなるんだということでやっているわけですね。そういう発想の転換をしながらやっていくことが必要だということで、提案したら、実際、安倍総理は、検討させてくれということで、実際に厚労省の方が私の部屋まで来られて、あと、日本再興戦略の中に、中小企業を支援しながら最低賃金も上げるというのを書かれて、実際に大臣が審議会へ出ていって引上げしてくれということまで努力をされているんですね。
 上がったことは上がったんですけれど、ただ、私たちが言っているような規模のものではなくて、民主党政権よりは上げましたとか、何かそういう感ばっかりなんですよね。それでは駄目で、やっぱりもっと思い切ったことをやらないと、地方の賃金の問題も解決しないと思うんですよね。
 そういう点では、地方をどうするかという点で考えても、最低賃金を引き上げると、制度はすぐいじれなくても、やっぱり地方から上げていくということに是非石破大臣としても取り組んでいただきたいというふうに思うんですけれど、いかがでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) 我が党におきましても、それはよく検討しなければなりません。
 じゃ、例えばバスというのはもう駄目な産業だと、こういうふうに言われますが、そうではないだろうと。福島県やあるいは茨城県、あるいは岩手県でバスを運営しているホールディング会社、ここはもうどんどん賃金上げてきたわけですね。
 やはり、日本がずっと経済が低迷してきた、その間、ヨーロッパと比べてもアメリカに比べても一貫して給料が下がってきた。アメリカもヨーロッパもリーマン・ショックは受けたはずなんですが、ずっと給料を上げてきているわけで、やはり給料を下げ続ける、あるいは下請にいろいろな負担を強いるということが、一つ一つの企業の行動原理としては正しくても、それを全部足すと、恐らく物すごい合成の誤謬が起こって日本経済がこういうことになったという解説もございます。私もかなりうなずくところは多いのですが、そこは転換をしていかねばいけないのだろう。
 委員御指摘のように、制度をすぐに変えるわけにはいかないけれど、賃金の違いと物価の相違というのに乖離があることはこれは間違いない事実でありますので、その辺りが実感と随分違うんだと思っております。地方における給与を上げていく、それはもうできないことではないし、企業の努力というものは、そこに人手不足の今だからこそ賃金を上げる余地があるだろうと思っておりまして、そこは、委員の御指摘も踏まえながら、我が党としてもきちんと議論をして、地方の雇用者、特に若い雇用者、若い労働者も含めて、高齢者の方々もそうですが、賃金を上げていくということは地方創生のために必要不可欠なことだと承知をいたしております。

戻る▲