国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2015年5月14日 財政金融委員会

酒の安値販売競争に公正なルールを

<赤旗記事>

酒の安値適正化必要
大門氏に財務相「町の酒屋守る」

(写真)質問する大門みきし議員=14日、参院財金委

 日本共産党の大門みきし参院議員は14日の財政金融委員会で、酒の安値販売が野放しとなっている問題をとりあげ、適正化を求めました。

 大門氏は、国が酒の小売販売免許の規制緩和を進めてきた結果、地域社会に根ざしてきた「町の酒屋さん」が消滅し、未成年飲酒やアルコール依存症等の社会問題が増加していると指摘。昨年の通常国会で「健全な飲酒環境の整備に関する請願」が全会一致で採択されたにもかかわらず、国税庁の取り組みが進んでいないと政府の姿勢をただしました。

 大門氏は、酒類の価格競争が激化する中、量販店がビール等を仕入れ以下の価格で売る=客寄せのための「おとり商品」販売の問題をとりあげ、「国の財政物資でもある酒類を、おとり商品としてよいのか」と質問。国税庁の佐川宣寿次長は、「酒類の特殊性にかんがみて不適切である」と答弁しました。

 また、自民党が安値販売を是正し、町の酒屋を守るため議員立法を準備していることについて、「飲酒運転撲滅など公益・社会貢献活動をやっているのが町の酒屋であり、日本酒文化の普及のためにも発展させるべきだ」と発言。これに対し麻生太郎財務大臣は、「私も町の酒屋の値打ちを感じている。守ることに賛成です」と答えました。

≪議事録≫
○大門実紀史君 大門です。
 今日は、お酒の話を取り上げたいと思いますけれども、昨年の通常国会で請願が採択されました。この財政金融委員会で請願が採択されるというのは本当にまれなことでありまして、平成に入ってたった四種類しか採択されておりません。その一つが、お手元に今配っていただいておりますけれども、健全な飲酒環境の整備に関する請願ということであります。
 紹介会派書いてありますけど、ちょっと後で気が付いたんですけど、みんなの党がこのときどうなっていたのか分かりませんけど、一応全会派ということで、後で中西さんから言ってもらえればいいと思いますけど、とにかく全会一致という形で財政金融委員会では採択されたという、画期的なというか珍しい請願であります。
 どういう請願かということは、改めて簡単に言いますと、要するに、国の規制緩和策で、規制緩和の議論は古くからあったわけですけれども、実際に手を着けたのは小泉内閣の規制緩和路線であります。それで、お酒の販売店が規制緩和によって急増しまして、その後、過度な競争になって今度は減少するというふうな混乱をしてきたわけですけれども、その中で、古くから地域に根差して頑張ってこられた、ある意味ではいろんな地域社会の重要な役割も担ってきていただいた町の酒屋さんが激減すると。過度な価格競争に急激に巻き込まれて、転廃業、倒産、自殺、失踪などのことが起きて、今もそれは続いております。
 また、未成年の飲酒とか飲酒運転とかあるいはアルコール依存症とかの問題も社会問題になってくるということがあって、これは単に酒屋さんだけの問題じゃなくて、お酒をめぐる環境がかなり悪くなってきているということがあって、そういうことがあってこの請願が出てきたわけですが。
 大本にあるお酒の酒販制度を改善して、そのことによって健全な飲酒環境にも資するというふうな請願でありまして、いろいろ書いてありますけれども、一番大事なのは、最初の、大きいのは、特殊性を有する酒類の危険な価格競争は収束させるべきであると。何も全部競争をやめろという話じゃなくて、お酒というのはやっぱり特殊な商品でありますので、依存症を招くとか青少年のこともありますので、そういうものについて、過度のいろいろ危険とも言われるような競争はやめるべきであるということが主な柱の請願であります。小売酒販組合が行う公益活動とか、あるいは中小零細酒販店を狙い撃ちにした規制緩和はやめてほしいというようなことがありますが、一番大きいのは、全体に影響するのは一番目かと思います。
 この請願を私たちは全会一致で採択したわけでありますので、必要な施策を進める責任というのは全会派にある、なおかつ財務省、国税庁にもあるということであります。それが請願の意味でありますけれども。
 まず、国税当局に聞きますけれど、国税庁は、この請願の前に、公正な取引のための指針に基づいていろいろ取組をされてきたのは承知しておりますけれども、それを取組をされてきたけれども、この請願が出てきて採択されたわけですね。そうすると、この請願に基づいて新たな取組といいますか、一層前に進めるような取組がされるべきでありますけれども、そういうことは国税庁として検討されているんでしょうか。
○政府参考人(佐川宣寿君) お答え申し上げます。
 まず、今先生おっしゃいましたように、国税庁では公正な取引のための指針に基づきまして取引状況の実態調査を実施しておりまして、指針に即していない取引が認められたものに対して改善指導を行っているところでございます。
 その改善指導を行った酒類販売場のうち、引き続き改善状況の確認が必要な酒類販売場等に対しましてはフォローアップ調査というものを実施しまして、改善状況の確認と更なる改善指導を行っているところでございます。
 公表してございますが、平成二十五年度におきましては、百八十五場に対しましてフォローアップ調査を実施しまして……
○大門実紀史君 聞いていない、聞いていない。そんなこと聞いていない。
○政府参考人(佐川宣寿君) かしこまりました。
 いずれにしても、一定の効果はあるというふうに我々は思っておりますが、引き続きどういうことをやるかということの御質問でございますが、現行の指導、そういう意味では、今申し上げましたように一定の効果はあるというふうに、今の指導もあると我々は考えております。
 したがいまして、引き続き、市場に大きな影響を与える取引を行っている酒類業者を重点的に調査をする、あるいは今も申し上げましたフォローアップもやる、さらに、独禁法規定に違反する事実があるというふうに思料したときには公取に報告して適当な措置をとるべきことを求めるということで、引き続き、効果的な改善指導に努めて、公正な酒類の取引環境の整備にしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○大門実紀史君 そういう取組をされてきたけれども、事態が止まらないのでこの請願が出てきたということなんですね。したがって、この請願採択を踏まえて次に何かやるということは当局としては何も考えていないということですよね、今のお話だとね。引き続き、今の、今までどおりやるわけでしょう。
 それで、それではまずいんじゃないかということで、自民党の皆さんが、この趣旨に基づいて、異常な安売り、これには歯止めを掛けなきゃいけないというふうなことを盛り込んだ酒税法などの改正案を、議員立法ですかね、今国会に提出されるということでありまして、その努力に大変敬意を表したいと思いますし、不当な安売りはしてはならないという基準を決めて、それに違反したら行政処分をやるということで、実効性のある法案だと思いますので、いい法案だというふうに思っております。
 ただ、一部マスコミが、何かこれは消費者が困るとか、お酒全体がいかにも値上がりするような報道をしておりますけれど、これは大変な誤解でありまして、そんな価格統制をしようというふうなことではなくて、異常な過度のものは取り締まろうということでありますので、野放しじゃなくて、何でも市場原理じゃなくて、ルールに沿ってもらおうというふうな当たり前のことだというふうに思います。だから、我が党としても、出されたら協力させていただきたいとは思っております。
 その前に、まず現状はどうなっているかということなんですけれども、なぜ今の国税庁の取組では不当な安売りが防げないのかということなんですが、今、佐川さんがちょっと説明を始められましたけど、簡単に言うと、二枚目以降の資料に国税庁が今取り組んでいることが書かれているわけであります。この枠の方でいきますと、左側に公正な取引というのはこういうものだと、合理的な価格を設定しなさいと、公正な取引条件設定しなさいと、こういうものがあって、それがどうなっているかということは右側の欄で、調査をいたしますと、あるいは酒税保全措置といいまして、余りにもひどい場合は措置をとりますと、事態解消の必要最小限の措置をとりますとか公取に報告をしますとか、というのが今の取組なわけですね。
 ところが、これでは、四枚目ぐらいにあるんですね、四枚目ですね。実際にどうかというと、国税庁が調査したら、一般調査の実施状況というのがありますけれども、千三百五十二件、ほんの一部の調査ではありますけれど、千三百五十二の売場を調査したら、ルールに沿っていないのが千三百五十と、ほとんどルールに沿っていないと。しかも、その中で仕入価格を下回る価格での販売、認められたのは四百二十もあるということなんですね。
 例えば、量販店のやり方なんですけれども、例えば、ビールならビールですね。一ケース幾らということで、物すごい安い値段で広告を打つわけですね。で、それそのものでは利益は出ないんですね、量販店も。それは利益は考えていないんですよ。いわゆるおとり商品と言いまして、それでお客さんを呼び寄せて、ほかの物を買ってもらって、そこで利益を出そうというやり方なんですよね。
 そのお酒を、市場競争ですから、市場経済ですからいろんなやり方あると思うんですけれども、全ての商品いろんなことがあると思うんですけれど、少なくとも、さっきからありましたお酒というのは特殊な商品でありますよね。このお酒をそういうおとり商品に使うということそのものについて、国税庁はどういう見解を持っておられますか。
○政府参考人(佐川宣寿君) お答え申し上げます。
 多種類の商品を取り扱っている事業者が、今先生がおっしゃいましたように、顧客誘引のために一部の商品を供給に要する費用を下回るような低価格で販売するということは、一般的な商品においてはあり得る販売方法であるというふうに考えられます。
 ただ、酒、酒類につきましては、国の重要な財政物資であるとともに、致酔性、依存性を有する社会的に配慮を要する商品という特殊性に鑑みまして、酒類をそのような販売方法で販売することは適切ではないというふうに考えてございます。
○大門実紀史君 そうですよね。お酒の場合は、いろんな商売の仕方があって、一般的な商品までとやかく言うつもりはありませんけれども、お酒をおとり商品に使うというのはいろんな意味からまずいということだというふうに思うんですよね。
 ところが、実際には、先日、私、京都の山科の酒屋さんの話を聞いたり、東京の知り合いの酒屋さんの話も聞きましたけれど、量販店はいつもおとり商品があると、毎日あると。手を変え品を変え毎回おとり商品を置いているということなんですよね。この近辺でいえば有楽町に電気量販店ありますけれども、あそこもお酒を扱っていますけれど、ちょっとのぞいてみましたけれど、ビール一ケースすごい値段で置いていますよね。あれもやっぱりおとり商品で、来てもらってほかの物を買ってもらう、あるいは電気製品も買ってもらうということのおとり商品だと思うんですけれど、もう日常茶飯事でおとり商品にされているわけです、お酒がですね。
 先ほどの国税庁の取組では、いろいろやっているとはおっしゃいますけれども、必要とあれば措置をしてきたと言いますけど、なぜこれなくならないんですか。おとり商品、これだけまずいということをずっと言ってきて、なぜ全然、全国で今日もこのときもあちこちの店舗でやられていると。なぜなくならないんですか、国税庁の今の取組で。
○政府参考人(佐川宣寿君) 大変大きな市場、お酒も含めて大変大きな消費市場の中で、様々な商品、販売形態があっていろんな流通が行われていると思うんですが、そういう中でいろんな競争が行われているというのは事実だと思っております。
 そういう事実の中で、我々、酒類に着目しまして、先ほど申し上げたような特殊性に鑑みまして、様々な調査を行い、指導を行っているところでございますし、まさにこの独禁法、厳しい処罰規定もございますけれども、独禁法に違反するようなことがあるんじゃないかと指導した場合にはまさに公取に報告しているというところでございまして、一生懸命やっておりますけれども、なぜなくならないかと言えば、更に努力をしていきたいというふうに思います。
○大門実紀史君 今の指針は、措置といっても、指導といっても口頭指導だけなんですね、たまに文書出しますけれども。で、罰則はないんですよね。だから、もう平気でいろいろなことをやっているわけですよね。いろいろ品を変えてやっているわけですよね。それではもう防げないということで、先ほど自民党の中で議員立法としてもう手を打とうということになってきているわけで、私は、本来だったら議員立法じゃなくて国税庁が今の段階踏まえて自ら法改正を提案すべき、そういう中身だというふうに思うわけですよね。
 もう一つは、議員立法が出てくるということなのでそれをみんなで通したいというふうに思いますけれども、考えていただきたいのは、以降はもう麻生大臣にお伺いいたしますけれど、町の酒屋さんというのは一体何だろうというふうに思うわけですけれども、大変、公益活動、社会貢献活動をたくさんやっていらっしゃいます。未成年の飲酒防止とか飲酒運転撲滅キャンペーンもやっておられますし、防犯とか地域の見回り活動とか、あるいは、私なんか子供の頃、京都で、京都は地蔵盆という子供のお祭りがありますけれど、ああいうときに世話役をやってもらうのは近所の酒屋さんとかですね、そういういろんな意味で地域の中心になって、政治的には自民党支持が多いですけれども、そういう層なわけですよね。
 もう一つ言えば、前にも申し上げましたけど、うちの、私の本家は造り酒屋なんですけれども、大阪で大門酒造といいますけれども、例えばうちですと、地酒なんですけど、利休梅という銘柄でやっているんですね。こういう地酒の世界は、大抵、うちだったら関西の町の酒屋さんが、大門酒造おいしいよと、利休梅おいしいよということで、お客さんに口コミで伝えてくれるということで地酒の世界はもってきたと。つまり、日本酒文化を、地酒の文化を、テレビでコマーシャルしているお酒って大抵おいしくないですよね、地酒の文化を支えてきてくれたのがこの町の酒屋さんでもあるわけでありまして、いろんな意味で大変重要な存在だと思うんですね。
 ただ、今更、昔の世界に戻せとは言いません。山科で私は酒屋さんに聞いたら、その酒屋さんは利き酒の日本酒のソムリエだということで、お客さんにも利き酒してもらってやるような、そういう存在を担いたいとおっしゃっているんですけど、昔のような世界に戻せということではなくて、これからの町の酒屋さんの、自分たちで考えてもらって、知恵も出してもらって、新しいこれから発展していく町の酒屋さんの姿も模索すべきだと思うんですよね。
 そういう点でいくと、こういう市場原理主義で、野放しの資本主義で、ただ潰してしまう、ただ潰していいのかというふうに思うわけでありまして、そういう価格の面もちゃんとしなければいけませんけれど、やっぱり国税庁として、財務省として、この町の酒屋さんの新しい役割を支援するという意味も含めて、これは大きな意味で位置付けて支援をしていってあげてほしいなというふうに思うんですけれども、最後に財務大臣のお考えを聞きたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 我々当選した頃、大体酒屋は三千二百軒ぐらいありましたかね、造り酒屋。今ばたばた潰れてかなりの数が減ったと思うんですね。
 それで、あれは加藤が主税局長ですから大分前になりますけれども、昔は、御存じのように、一級酒、二級酒、特級酒というのがあったんですが、今はないんですよ。みんな酒飲まない人たちばかりでしょうから、この辺は、こういったものに関してあの種のことを覚えている世代ってそんな、少ないと思うんですが、地酒はほとんど二級酒だったんですけれども、いわゆる越乃寒梅という売り方のうまい会社がありまして、うまい、まずいは別にして、少なくともえらい高くなった、えらい高くしたんですよ。新潟の酒ですよ。カザマがどれくらいもうけたか知りませんけど。それは別にして、もうけたんですよ、ここの会社は。しかし、これは二級酒だった、二級酒だったんですよ。これはどうして二級酒でって言ったら、それは二級酒でもうまけりゃ売れたんですよ。この人は頭が良くて、結果的にそういう売り方にして、税金は一級酒、特級酒並みにもかかわらず、二級酒だと申請して、二級酒の税金しか払わないようにしたんです。しかし、うまいから二級酒でもみんな買ったんですよ。営業としては僕はうまいやり方だと思って、僕はその現場まで行ったことありますから、その話を聞いて。
 それで、僕は何をやっていましたか、当時、忘れましたけど、とにかく税金は一級、二級というのはやめようということを大蔵省に言って、当時随分もめましたけど、一級、二級をやめました。なぜなら、金持ちの酒ですと、官官接待もない大蔵省の役人はそう言うんですよ。しかし、今、実際問題、金持ちは糖尿病になるといっていわゆる麦焼酎だ、芋焼酎を飲みですよ、金持ちじゃないやつが酒飲んでいるわけですから、おかしいじゃないですか、何でそんないいかげんな理屈で話しているんだといって、これが一番効きまして、一週間でこれは法律が変わった、大蔵省が変えたんですよ。だから、こういう説得力がある話を持っていかないから酒屋は駄目なんですよといって、当時ぼろかすに言い合ったことがあるんですが。
 結果として、今、日本酒というものは、フランス料理にも、日本食がこれだけ増えてきたのに、フランス料理を普通に飲めば間違いなくまずくなりますから、フランス料理を飲んで飯が酸っぱく感じない人はよほどおかしい人なんであって、必ず日本飯をフランスワインで飲めば必ず酸っぱく感じますから、そういったときは日本酒の方が必ず合うようにできとるわけですから、これだけあったら当たり前じゃないかといって、フランス人が今どんどんワインの代わりに日本酒を外国で飲むようになってきて、結果として日本酒というのはまた今勢いを盛り返してきて、日本酒のソムリエというものがすごく値打ちが出てきているという流れがあるということを知っている国会議員なんてほとんどいませんって、そういうようなことは。今、町の声というのはそういうものですよ、それが実態ですから。
 ですから、そういったような声を考えますと、僕は、今言われたように、町の酒屋さんでこういったもので本当に分かっている、例えば東京ならスズキデンシチ商店なんという酒屋が四谷にありますけれども、あのスズキデンシチ商店でも行って、酒の話でも一回、講釈でも一回聞かれるとそこそこ理解していただけるんだと思う。立派に町の酒屋として地元に、新宿で、あの人たちがいなかったらお祭りできませんから、あそこは。あの人たちが全部仕切ってやっているというのがありますので、私は、正直申し上げて、今言われたように、町の酒屋の値打ちというのは、大量のあれを売るのとは全然別の意味で私はすごく大事なものだと、私もそう思って、こういったものは残れるような形に考えるべきものだと。賛成です。
○大門実紀史君 終わります。

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