国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2015年3月31日 財政金融委員会

税収構造の変化問題について

≪議事録≫
○大門実紀史君 大門です。
 関税法案は賛成でございますし、質問しようと思ったことはもう全ておやりになりましたので、税の大きな話を一つ二つさせていただきたいと思います。
 先日、この委員会で平野達男先生と麻生大臣の間で税制の在り方について大変太い筋の議論がされたと思いますので、ちょっと関連して幾つかお聞きしたいんですが、資料を配付いたしましたけれども、これは財務省に作成していただいた最新の税収と歳出の推移であります。いわゆるワニの口と呼ばれるデータでありまして、歳出は一貫して伸びているのに税収はずっと落ち込んできたと、まるでワニの口のように開いていると、このまま開けばもうワニの顎が外れるというようなことまで言われてきたグラフであります。
 ただ、このグラフをどう見るかなんですけれども、政府、財務省、あるいは政府の審議委員の学者の方などがよくこのグラフを使って言われるのは、歳出の伸びは社会保障費の増大が最大の原因だと。税収の落ち込みの方は不況が原因だと、景気が悪かったからだと、デフレだったからだと。しかし、消費税が安定収入としてその中でも税収を支えてくれたと、だからこれからは社会保障の安定化のために消費税の増税が必要だと。よくこういう話に意図的に使われてきたのがこのワニの口のグラフでございます。
 私は、立場は違っても統計は客観的にお互い見るべきだと、その上で議論すべきだと思っておりまして、最初の伸びは、もちろん社会保障費の伸びもありますけれども、長いスパンでいいますとそれだけではありませんで、九〇年代は、もちろん公共事業費が増えましたし利払い費も増えてきましたと、ですから複合的要因でこの歳出は増えてきたと、こう見るのが、当たり前なんですけれども、重要だと思いますし、税収の減収、減った方は、これは不況だけが原因なのかと、これはよく見ておく必要があると思うんですね。
 税収構造の変化という議論が先日ありましたけれども、まさにそのとおりでございまして、法人所得税中心だったものを消費税にシフトしてきたと。実際このワニの口が広がり始めた最初、平成元年、これは一九八九年、消費税が導入された年であります。何が起きたかといいますと、消費税が増税されたということですね。まあ、いいことにと言ったらなんですけれども、代わりに減税できるんじゃないかということで法人所得税減税が行われてきて、税収が増えなくなってきたと。不況だけではなくて、その要因もあるというふうに見る必要はあると思うんですね。かつて七五%だった所得税の最高税率が、一五年以降ですかね、四五%、法人税も四三・三%だったのが二五・五になったわけですね。だから、当たり前のことを言っているわけですけれども、税収が減った原因は、不況だけではなくて税収構造の変化があったと、こういうのが正しいこのワニの口の見方ではないかと思うんですが、まず麻生大臣の御認識を伺います。
○国務大臣(麻生太郎君) そのとおりです。
○大門実紀史君 是非、そういうことならば、財務省も、政府の審議委員の方も、余計な、意図的にこのグラフを使わないように大臣からも言ってもらいたいなと思います。
 もうちょっと具体的に見ますと、不況のせいだけではないというので調べてみましたら、利益と税収の関係というのがあります。例えばこの平成元年、このときの企業の税引き前利益というのは合計、調べたら約三十九兆円ありました。そのときの法人税収は十九兆円あったんですね。リーマン・ショックの後はちょっと極端ですので、リーマン・ショック前の二〇〇六年を調べてみますと、企業の税引き前利益は四十九兆円あったんです。つまり、平成元年よりも二五%利益は増えていたんですけれど、税収の方は十五兆円に下がっております。つまり、利益は増えているのに税収は下がっていると。つまり、本当に不況も、ないとは言えませんけど、本当に不況も原因だと言えるのかどうかということもあるわけですね。だから、やっぱり税収構造の変化、不況というよりも減税効果の方が税収を下げたのではないかというふうにも見られるというふうにも思います。
 つまり、申し上げたいことは、こういう、不況というよりも、法人所得税中心の税収構造が消費税にシフトしてきたと、この税収構造の変化がワニの口を広げてきた大きな原因だと、いろいろありますけど、大きな原因だと。
 そうしますと、この間若干時間差はあっても、消費税を増税して法人税を減税していくというようなことは、このずうっとやってきたことを、同じことをまた繰り返そうとしているのではないかと。したがって、このワニの口は狭まらない、縮小しないのではないかと思うわけでありますので、このワニの口、狭めないと大変なことになるわけですけれども、そのためには、もちろん景気も良くしなきゃいけませんが、やはり税収構造についても考えていかないといけないのではないかと。
 もちろん、法人税、所得税、再分配大事ですから累進的なことを配慮しながらですけれども、その法人税収、所得税収の役割をもう一度見直していくということはなしにこのワニの口は縮小しないのではないかというふうに思うわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 今おっしゃられた話、これちょっといろいろ、時間もあるんだと思いますが、考えないかぬところは、何といってもまず、ワニのこの税収の方からいったら、これは間違いなく税収構造が変わってきた最大の理由は、それは何といっても人口構成が変わって、経済成長という高度経済成長が終わって、いわゆる少子高齢化になってきて、いろんな形でということから、当時はよく直間比率という言葉を、最近余り聞かなくなりましたけど、当時は二対八ぐらいあったものが今六五対三五ぐらいになっていると思いますが、随分と経済というか税の構造自体が変えていかないと、働いている人より働いていない人の数の絶対量が増えてくるという状態では、とてもではないけど、税を納めている人が非常に税負担が重くなるという点が一点。
 もう一点は、このワニの上の方の口の方でいくと、これはやっぱり、今言われた税金を払う人よりもらう人の方が増えてくる、いわゆる少子高齢化ということになると、高齢化の方がどんどんどんどん伸びてきて、しかも平均寿命も長くなってきているということになりますと、そういった意味ではそちらの方に、出る方が非常に増えてくる。年率一兆円とかよく言われておりましたように、今年も概算で八千何百億出てきていましたから、そういった意味では非常に大きな要素になってきておりますので、その分を抑える。
 いろんな意味で、きちんと歳出の方もというので、両方努力しないとワニの口は閉まらないんだと思いますので、景気が良くなってきて、いわゆるGDPという分母自体が大きくなりますので、その分だけ税収が上がってくる。当然のこととして、法人税、所得税、また消費税というものが入ってきて、ずうっとワニの下からの口が上がってきて、上の方のものも下がってくる。両方努力しないといかぬので、これなかなか、どれか一つやればみんなうまくいくなんというような単純な話ではなくて、今おっしゃるように、これは両方で努力していかぬとなかなかいかぬということだけははっきりしていると思っております。
○大門実紀史君 終わります。

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