≪議事録≫
○大門実紀史君 大門でございます。
先ほど麻生大臣が、税が高い、海外へ逃げる逃げるといっても逃げないじゃないかと、この国もいいところがあるんじゃないかと。私もそう思って、よく逃げる逃げるというんですけど、そんなに逃げていないなと思うんですよね。逃げていないけれども、日本にいながら租税回避をしようと、税の負担を逃れようという動きの方が強いんじゃないかなと思っておりまして、タックスヘイブンの問題を国際課税との関係で、法案との関係で今日は取り上げたいと思いますけれども。
今回の改正では、今回の法案、全体は反対なんですけれども、この点はなかなか、国際課税の点は前進面があるのかなと思っております。今までどちらの国でも課税されないような、二重非課税になっているような配当について課税対象とする、あるいは富裕層の含み益がある株式を海外に持ち出して売却しようというようなことについても課税逃れを防ぐための対策を講じられたという点は評価したいというふうに思っております。
この問題は、いずれにせよ国際協調が大変重要な問題かと思いますので、資料の一枚目に、OECDの、この委員会で何回も取り上げさせていただいてきましたけれど、OECDの租税委員会の資料を配付させていただいております。ちょっと初めて聞く方は分かりにくいと思いますので、このBEPS、これは何かということですね。参考人、主税局長で結構ですから、ちょっと分かりやすく説明してもらえますか。
○政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。
BEPSでございますが、英語ではベース・エロージョン・アンド・プロフィット・シフティングという略語でございまして、日本語では税源浸食と利益移転という訳語を付けてございます。
意味するところでございますが、グローバル企業が国際的な取引を行う中で、各国の税制とか租税条約の隙間ないしは抜け穴があればそれを利用いたしまして、どこの国にも課税ベースを認識されないようにすると、これが税源の浸食ということでございます。税負担の低い国や地域に、経済実態のない子会社に利益を移転させるということで、これが利益移転ということでございますが、これらによりまして企業グループ全体の税負担を軽減する、言わば一種の租税回避スキームのことを指してBEPSと呼んでいるというところでございます。
○大門実紀史君 そうなんですね。日本語直訳で言うと税源浸食と利益移転と。ストレートに租税回避と言えないといいますか、一応合法的じゃないかというふうな意見もあるわけですのでそういう言い方をしているんだというふうに思いますけど。
分かりやすいのはスターバックスの例ですかね。イギリスで三千億以上の所得を上げていたけど、結局、払ったのは何年間ですかね、払ったのはたった十一億円とか、この何年間はイギリスで一銭も払っていなかったとか、大問題になりましたけれども。
あれは、いろんなスターバックスが手法を使って、オランダに、オランダ本社に移転したりスイスからコーヒー豆をとか、いろんなあの手この手を使って、とにかく税率の比較的高いイギリスで法人税を払わないということで大問題になって、そういうこととか、アマゾンもありましたし、あとはアップルですかね、グーグルとかアップルもあって、そういうことが問題になって、こういうOECDでも、はっきり言って租税回避を、この隙間をついた租税回避を何とかしなきゃいけないということでこのBEPSという行動計画ができて、十五項目を発表して、そのテーマが今精力的に話合いが進められているということだというふうに思います。
この租税委員会には、議長は日本から出しているということですので、このプロジェクト、この行動計画も日本がイニシアチブを取って進めていっていただいていると思いますけれども、改めて大臣から決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) これは今、多国籍企業が税制の隙間を狙って、よく言われるのは、ケイマン諸島等々、法人税の安いところに利益を全部集めて、自国からそこに、売った金と買った金の差額はそこのケイマン諸島にある子会社が全部持っているというふうな形になっているというので、早い話が、いろいろ利用されている施設一切、日本が消費者だったりアメリカが消費者だったりいろいろあるんですけれども、その国で税金は全然納めないで、本国ではもちろん納めないでというような形になっておるというので、これはふざけておるじゃありませんかといって、二年ぐらい前になりますか、五月でしたけれども、バッキンガムシャーというイギリスのロンドンの郊外でG7があったときに日本からこれを振り込んで、ぼっと各国が飛び付いて、各国はうそですね、アメリカ以外は皆飛び付いて、結果的にOECDの委員長が、租税委員長は大蔵省のが行っておりますので、これは選挙で選ばれていますから、日本が指名したんじゃなくて、選挙で選ばれてそれがなっておりますので。
それが税制をやり始めて、ほぼ二年弱でほぼ原案を作り上げるところまで来ておりますので、こういったプロジェクトの取組は結構段階的に進められてきて、昨年の九月に、その第一弾というのはもう既に報告書が公表されております。この公表されたものにおきまして、課税上の課題への対応についてOECDの勧告というのが示されておりますけれども、これを受けて日本でも、今御議論をいただいております法案でインターネット取引に消費税課税を行う改正というのを盛り込まさせていただいたということであります。
今後、このプロジェクトは第二弾の報告書を出しますが、この九月に報告書を出すということになっておりますので、本年中に最終報告を取りまとめることとされておりますけれども、日本としてもこれはすごく大事なところなので、少なくともそれを買った国、本なら本を、紀伊国屋から買ったら千円だけどアマゾン・ドット・コムに頼むと七百円とかいうようなことになると、それは当然そっちの方で買いますから、最終的に払った日本が納めているんだから、買った国にはなる、ここに落としてくれ、金はということをきっちりしようやという話を今申し上げているところで。
こんなに早く事が進むとは思いませんでしたけれども、各国これはかなり頭に血が上っていた話だったと思ったので、それでみんなぼっと一緒になったんだと思いますので。いきなり、あの話が終わってすぐアップルが、アメリカの上院で社長が査問されたりするような騒ぎになりましたので、あの頃から一斉に事が動き始めたかなとは思っておりますけれども、すごく不公正極まりない話だと、私はそう思っておりましたので、是非こういったことは進めていった方がいいと思っております。
○大門実紀史君 このBEPSのプロジェクトというのは大変野心的なプロジェクトだというふうに思いますから、本当に、合意するのも、今度報告があるということで、なかなか大変なところが実はあるんじゃないかと思いますし、この法的な拘束力がどこまであるのかとか、合意した上で各国が国内法あるいは租税条約と、そこまでいくのかどうかもいろいろありますから、本当に難しさがある話だし、できるだけたくさんの国が参加してくれないと実効性もないし、新興国はどっちかというと呼び込みたいからそうじゃない方向の意見を言ったりということで、難しさがいろいろあると思うんですけれども、是非日本がイニシアチブを握って頑張ってもらいたいと思います。
この中にもありますが、三つ目の外国子会社合算税制、これはタックスヘイブンでございますけれども、これについて、今日は長いことこの問題を何回も取り上げてきた議員としてちょっと問題提起を、何がけしからぬという意味じゃなくて、これから考えていただきたいという点で幾つか問題提起をしたいと思いますが。
なかなかややこしい制度でございまして、資料の二枚目にタックスヘイブンの概要というのがあります。この資料は、済みません、ちょっと古い、前の税制改正のときに出た資料でありますので、トリガー税率、つまりタックスヘイブン税制が発動される税率が二五のままになっていますが、これは今二〇になっていますけれども、ちょっと数字は古いんですけど、大きな概要は変わらないと思います。
ちょっと参考人の方から、今日は時間ありますので、ゆっくりじっくり丁寧に説明していただいて結構ですので、どうぞ。
○政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。
まず、この外国子会社合算制度というものの趣旨でございますが、税負担の低い外国子会社の所得につきまして、経済実態がない場合に日本の親会社の所得とみなしてこれを合算して課税をしましょうという制度でございます。それをどういう形で把握をするかというスキームがこの資料二で示されているものでございます。
ちょっと左から順番に御説明をさせていただきます。
まず、この制度の対象となる企業でございますが、この資料の左側でございます。縦に点々で囲まれております居住者・内国法人等が合計五〇%超を直接及び間接に保有と書いてございますが、そういう会社、それを外国関係会社ということで定義をいたしまして、その会社を定義した上でその租税負担の割合、これが二〇%と書いていますが、これは現行は二〇%以下でございますが、その国に所在する会社をまず引っ張り出しまして特定外国子会社というふうに定義をいたします。現在、この二〇%以下のところを今回の改正では二〇%未満にお願いをすることにしておりますが、いずれにしても、こういう子会社の中から非常に税率の低いところをまず抜き出して、これを念頭に置いた制度を組み立てるというのがスタートラインでございます。
それでは、その経済実態があるかどうかということを判定する必要が出てまいりますので、これが真ん中にございます、適用除外判定という欄がございます。特定外国子会社等に該当した企業がありました場合に、この四つの基準に全て当たるか当たらないかということを判定をするということでございます。事業基準、実体基準、管理支配基準云々とございますけれども、こういう要するに活動実態があれば、それは言わば抜け駆けをしていないということでございますので、その判定をこの基準に沿ってやるということでございます。
その結果、全部の基準を満たしているかどうかを判定するわけですが、満たさないということになりました場合は、この上の会社単位の合算課税というところに矢印が出ておりますけれども、その場合には、その特定外国子会社の所得を内国法人の親の方の所得とみなしまして、その持分割合に応じまして会社単位で合算をするということになりまして、会社単位の課税というふうになるわけでございます。
一方、この除外判定基準を全て満たした場合には、基本的にはセーフではございますけれども、近年の改正で、その中であっても、例えば一定の配当や債券の利子のような資産運用的な所得、いわゆるパッシブインカムと呼んでおりますが、そういうものについては内国法人の所得とみなしまして、これを合算して課税をするというような形にしておるということで、このフローチャートでは、資産性所得ありという矢印の先に資産性所得の合算課税と、こうなっているところでございます。
以上が大きな流れでございます。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
今日、ちょっと問題提起として申し上げたいのは、この表でいえばどの部分かといいますと、入口の特定外国子会社を支配している五〇%を超える資本を、株とかですね、資本金を出しているこの五〇%問題と、一番右側の資産性所得とは何かと。この辺が、いろいろ頑張ってこられましたけれども、まだちょっと検討の余地があるのかなと思いますので、その辺を後でちょっと質問させていただきますが。
その前に、資料の三枚目で、今全体で、このタックスヘイブン税制でどういう深刻な状況になっているかという数字でございますけれども、この一番上の欄は、先ほどありました、この特定外国子会社を支配しているといいますか、親会社の数でございます。
その下の、今説明していただいた適用除外の数、適用される数。適用除外の数が平成二十五年度だと四千六百一件、これはペーパーカンパニーではないと判定されたということですね。その下の適用対象の数の四千三百五十がペーパーカンパニーと判定されたと。そこが留保している課税対象留保金額が三千七百七億円と、そういうふうに見る数字であります。
何が申し上げたいかといいますと、かなりペーパーカンパニーの数が増えてきて、課税対象留保額も増えてきていると。ここ二、三年、数字が余り大きく膨らんでいないのは、これは、先ほど、トリガー税率といってタックスヘイブンが発動される税率が二五から二〇に引き下げられましたので、その影響もあるのかなと思いますが、この二、三年は数としては伸びておりませんが、全体としてはこれだけ増えてきているということで、やっぱり大きな問題になってきているということだと思います。
次の資料の四枚目ですけれども、これが初めて今回国税庁から出していただいた資料であります。これ何を意味する表か、国税庁からちょっと説明してください。
○政府参考人(佐川宣寿君) 委員御提出の資料四でございますが、ここにあります右から二番目の表の特定所得の金額の合計と申しますのが、今主税局長の方から説明をいたしましたいわゆる資産性所得でございますけれども、この表そのものは、平成二十五事務年度における資本金一億円以上の大規模法人のうち、右から二番目が、いわゆる資産性所得の対象金額のある法人数が右肩にありまして、五十二社でございます。その五十二社の特定所得の合計金額が四億四千二百十八万五千円ということでございます。
それで、その一つ右、一番右でございますが、実際にそのうち課税対象となるものがこの部分課税対象金額という欄でございまして、実際に課税対象となる申告法人数は右肩の一件、一法人でございまして、その金額が三千三百四十万円ということでございます。
したがいまして、この特定所得がある法人数と課税対象となる法人数とに差が生じているわけでございますが、その理由といたしましては、法令上の金額基準といたしまして、一つは特定外国子会社等の特定所得に係る収入金額の合計が一千万円以下である場合、あるいは特定外国子会社等の特定所得の合計額が当該特定外国子会社の税引き前所得の五%以下である場合、この二つのケースにつきましては課税対象とならないというのが理由でございます。
○大門実紀史君 先ほどの資料の二枚目の一番右側の、適用除外と判定されたと、ただし株の配当とか債券の利子とか資産性所得がある場合は、いろいろさっき言った適用除外はまだあるんですけれども、資産性所得の合算課税をするという法改正をしたにもかかわらず、租税回避の防止ということでしたにもかかわらず、課税されたのはたった一件、課税対象額三千三百四十万円ということであります。
この数字を財務省としてはどういうふうに今捉えておられますか。
○政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。
ただいまの国税庁からの説明で、例えば申告件数が五十二件、申告金額が四億円強、そのうち課税対象が一件、三千万程度というのは、限定的という印象が率直にございます。
この原因は一体何だろうかというふうにちょっとつらつら考えますと、一見すると数字は小さいわけですが、そもそも経済実態がないとみなされた外国子会社につきましては会社単位で合算課税をされるということなので、それ自体の資産性所得もその会社単位の合算所得の中に取り込まれているということがそもそもあるんではないかと。
それから、今回のこの資産性所得の課税のところの対象というのは、外国子会社の、本業については経済実態があるわけですが、本業以外の活動から生じる所得が別途あるというようなことなので、全体としては例外的なケースというようなこともあるのかもしれないなというふうに印象は持っております。
したがいまして、限定的であるという感じではありますが、そういう制度的なことも背景にあるということであれば、まずは制度的な対応をすぐにするということにならないかもしれませんが、一方でBEPSのプロジェクトでいろんな議論をしておりますので、このような辺りも問題意識を持ちながら、どういう形でしっかりとした対応をすべきかというところにもちょっと問題意識としては持っておきたいというふうに思っております。
○大門実紀史君 先ほど言われた、適用除外の条件を満たさない方でというのはちょっといろいろ議論があるんですけれども、専門的になり過ぎるので今日は時間の関係でやめますけれども、いずれにせよ分からないですよね、なぜこうなるのか。
私は、これ去年の四月に、この資産性所得の、資料五枚目にありますけれども、中身がちょっと狭いんじゃないかと、これだけが資産性所得にするには狭いんじゃないかという指摘もさせていただいたところであります。例えば、もうちょっと広い意味での知的財産なんかも入れるべきじゃないかと質問させていただきましたけれども、いずれにしても、ちょっと今はまだ分からないところあると思うので、そういうことも含めて、今おっしゃったように、なぜたった一件なのかということは調べていただきたいなと思います。
資料の六枚目が、これが国ごとに見た今の状況でありまして、例えば、よく名前が挙がるのがケイマン諸島ですけれども、ここは特定外国子会社とされるところが四百八十八ありますけれども、適用除外の件数は二つだけと。つまり、ほとんどペーパーカンパニーということを示しているわけであります。
これ全体の数字で、これだけ見るとかなり今は大分把握されるようになった、タックスヘイブン税制で引っかけられるようになったと見えるんですけれども、ちょっとそもそも、ここに出てくるのは、先ほどの資料の二枚目の流れからいきますと、申告義務のある対象に限られていると。つまり、さっきの表でいきますと、最初の入口の、五〇%以上を日本にいる会社とかが持っている子会社である、五〇%以上を持っている外国の子会社ということが最初にあるわけですけれども、この特定外国子会社の範囲が妥当なのかどうかということは、もうそもそも論ですけれどもあるわけですね。
最近もいろんな本が出ていますけれども、例えばタックスヘイブンに会社をつくる本とか、まあ脱税指南と言ったらちょっとかわいそうかも分かりませんけれども、いかに税を逃れるかというようなこういう本がいっぱい出ているんですよね。その中の一つの指標が、この五〇%を超えると特定外国子会社になってしまうので、日本に住んでいる人の資本金の出資の割合、株の持っている割合を五〇%を超えないようにすると。四九%とか四八%にすればそもそもこの特定外国子会社じゃないのでタックスヘイブンの対象にならないというような、こういう租税回避の指南書まで出ているわけなんですけれども、ちょっと確認ですけれども、そういうことでいいんでしょうか。
○政府参考人(佐藤慎一君) 御指摘のとおりでございます。
○大門実紀史君 じゃ、何で五〇%にしたのかというと、最初の趣旨にあったとおり、その子会社に対する支配力を表すと。
しかし、考えてみますと、その子会社に対して日本の会社が例えば四八%株を持っている、残りはちょっと分散して誰かが持っていると、一番支配力を持っているのは日本の親会社になるわけですね。その場合だったらば、そもそもこのタックスヘイブンの対象外になると。
やっぱり矛盾があるといいますか、そういうことは幾らでも使われそうだし、使っているのかも分からないと、その抜け道をですね。その辺はいかが把握されていますか。
○政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。
先生おっしゃいますように、この制度は、入口の段階で五〇%超という形で捕まえておりますけれども、これはまさに、御指摘ございましたように、日本の法人が当該外国法人を排他的に支配をするということをイメージをすると、一つの割り切りとして五〇%超というのはあり得るだろうということで制度設計をしておりますし、ほかの主要国におきましてもほぼ原則五〇%ということもございます。したがいまして、それ自体としてはそれなりの意味があるかなと思っておりますが、ただ、おっしゃいましたように、こういうものは制度の言わばいろいろイタチごっこという面もございますので、どういうふうに物事を考えるべきかということはまだ議論としては残っているというふうに思っております。
この点も含めて、例のOECDのBEPSプロジェクトでも、そうした支配要件を含めましたところで、できるだけ国際的に調和をした議論で答えを出していくという流れになっておりますので、問題意識を持って臨んでいきたいというふうに思っております。
○大門実紀史君 これも本当に国際協調で考えなきゃならないし、アメリカはちょっと違うやり方をやったりしていますのでありますけど、やっぱり五〇%というのはもう既に相当抜け道で使っているところはあるんじゃないかと思いますので、引き続き研究してほしいなと思います。
もう一つ、今回の税制改正でタックスヘイブン対策税制の課税対象の範囲を、簡単に言えばトリガー税率を二〇%以下から二〇%未満にされましたけれども、その理由はどういうことでしょうか。
○政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。
先ほどの冒頭、先生からお示しされました表の中にトリガー税率二〇%と書いているところがございますが、そこの税率を、今回二〇%未満ということで低税率に要件を見直すことを御審議賜っているということでございます。
要するに、この二〇%未満にいたしました理由を御説明せよということでございますが、実際には、このOECDプロジェクトで、今回の先ほどの支配基準もございますし、経済実態の判定基準の見直しなど進んでおるという状態でございますが、その中にあって特殊な状況が起こっておるということが一つのきっかけでございます。
それは、英国のロイズ市場で活動いたします日本の損害保険会社に対しまして、英国の法制上の義務に沿って保険業務を二つの法人に分けるということになっておりまして、そうしますと、本来は経済実態のある事業活動を行っているにもかかわらず、各法人単位で見れば実態がないと判定されることも十分懸念されるわけでございます。これは、潜在的にそういう状況にございましたけれども、たまたまイギリスが法人税率を現行の二一%から二〇%に下げるというようなこともございまして、この問題が顕在化するというようなことが生じたというのも事実としてございます。
こうした会社が今までは長きにわたって英国の市場で経済実態を伴う形で事業展開をしてきたわけですが、こうした環境の変化から、我が国の税制、適用されてしまいますと事業の実態と乖離した結果が生じかねないということで、それに対して何らかの対応が要るであろうというふうに考えたところでございます。もとより、この話を部分的にいじるというのもいかがかというのもございます。
ただ、OECDプロジェクトにおきましてしっかりとした議論をしていくということはございますが、やはり急を要するという点もございますので、まずは制度をやみくもに複雑にすることのないようにということで、このトリガーのところの税率を二〇%以下から二〇%未満ということに変更するということで取りまとめ、今御提案しているところでございます。
○大門実紀史君 新聞記事とイギリスのロイズマーケットの資料を、仕組みを付けてきましたけれども、事情は分かりますが、これそのものをもう少し本当は考えられるべきかなと思いますけれども、この機会に保険所得について。
先ほどの資産性所得の範囲が狭いんじゃないかという議論とも通じるんですけれども、保険会社等の保険所得について、きちっとそもそも考える必要があるんじゃないかと思うんですけれども、簡単に言いますと、やっぱり保険所得というのは割と、何といいますか、付け替えがしやすい、どこかに移しやすい、そういう種類の所得でありますので、アメリカなんかは、いろんな事例、事件があったものですから、この保険所得については資産性所得に含めるというようなことをやっておりますけれども。私なんかは、やっぱりアメリカは、もちろんちょっと税金を掛ける仕組みが、所得の捉え方が違うとはいえど、保険所得というのはやっぱり付け替えられやすいと、足が速いというようなことから、原則として合算課税の対象にした上でいろいろ考えるというふうになっていると思うんですね。
ですから、この保険所得は、別にアメリカのまねをするという意味じゃなくて、保険所得の性質を考えますと、アメリカと同じように原則として合算課税の対象と、資産性所得にする方が合理的ではないかというふうに、たまたまこの保険会社の二〇%未満の問題を見て考えたんですけれども、その辺いかがでしょうかね。
○政府参考人(佐藤慎一君) 御指摘のとおり、この保険所得の扱いというものは一つの重要な課題だというふうに思っております。
アメリカの取扱いは先生から御指摘あったとおりでございますが、日本の場合、この図で御覧いただきますと、保険業につきましては、この表の四のところに非関連者基準というのがございますけれども、外国子会社の受け取ります保険料収入の五〇%超が関連者、すなわち親会社からの収入である場合には外国子会社に経済実態がないとみなすといったような取扱いになっているというようなことでございます。結局、そういう場合であれば、グループ内に自由に所得が移転ができるということへの対応ということでございます。この辺り、やはり問題意識としてはなお詰める必要があると思っています。
何度も繰り返しますが、まさにBEPSプロジェクトが詰めの段階へ入っておりますので、こういう辺りも問題提起しながら、できるだけハーモナイズされた制度になるようにという方向で検討、研究していきたいというふうに思っております。
○大門実紀史君 もう問題点の指摘は以上でございます。今日は、特にその五〇%問題と資産性所得の部分ですね、保険所得どう思うか、どう捉えるかということを指摘させていただきました。
改めてですけれども、今日の指摘させていただいたことも含めて、麻生大臣に、このペーパーカンパニー問題、どういうふうに、さっきと同じあれかも分かりませんが、最後に御感想を聞いて、質問を終わりたいと思いますが。
○大門実紀史君 とにかく今、国際協調の機運が非常に高まっているときですので、チャンスでありますので、是非イニシアチブを取って頑張っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。 |