国会質問

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■2014年10月8日 予算委員会 前半は経済の問題、後半はカジノ、賭博場解禁の問題について質問
<赤旗記事>

消費落ち込みの原因は実質賃金低下 消費税再増税中止し最低賃金引き上げを
参院予算委 大門議員が迫る

質問する大門実紀史議員=8日、参院予算委

 日本共産党の大門実紀史議員は8日の参院予算委員会で、消費落ち込みの原因が実質賃金の減少にあることを示して、「いまやるべきことは消費税増税ではなく、賃金の引き上げ、特に低所得層の賃金の底上げだ」と述べ、最低賃金の大幅な引き上げを提起しました。安倍晋三首相は「成長戦略を進めていくことで、将来は(物価上昇に賃金が)追いついていく状況をつくりたい」などと従来の答弁を繰り返しました。

(論戦ハイライト)

 円安と消費税増税による物価上昇で実質賃金が低下しつづけています。大門氏は、特に低収入層に大きな打撃となっていることをデータで示し、「この層の底上げなしに、消費全体が上向くことはありえない」と強調。消費税率10%への再増税中止を一刻も早く打ち出すよう求めました。

 首相は「消費動向を分析しながら、消費税(増税)の判断をしていく」と述べるのみ。大門氏が、米国で経済効果が実証されている最低賃金の大幅引き上げを求めたのに対しても、首相は「(最低賃金)2桁の伸びを続けていきたい」と答えるだけでした。

 大門氏は「従来通りの枠ではなく、大胆な最賃の引き上げを政府あげて取り組むべきだ」と求めました。

 大門氏は、アジア諸国との企業負担軽減競争に突き進む安倍政権の姿勢を批判し、日本の企業負担が諸外国に比べて重くないことを財務省資料(グラフ)で提示。「(法人)税の引き下げ競争は、やめた方がいい」と迫りました。

 首相は「競争の観点から見れば、日本の法人税が高いという意見がある」と答弁。大門氏は、法人税引き下げ競争の弊害が国際的な議論になり、企業に応分の負担を求める流れがアジア諸国で強まっていることをあげ、「『税の引き下げ競争はやめよう』と呼びかけることこそ必要だ」と首相の姿勢を批判しました。


<論戦ハイライト>

安倍政権の経済政策追及
参院予算委で 大門議員

 8日の参院予算委員会で日本共産党の大門実紀史議員は、さまざまなデータを示して消費税再増税の中止、最低賃金引き上げを求め、法人税引き下げ競争やめよと安倍晋三首相に迫りました。


消費税増税の中止、最低賃金引き上げを

安倍首相(左端)に質問する大門実紀史議員(右端)=8日、参院予算委

 アベノミクスの下で、国民の実質賃金が低下していると指摘した大門氏。総務省「家計調査」(2人以上の世帯のうちの勤労者世帯)をもとに、最も収入が低い階層で実収入と消費の落ち込みが大きいことを示しました。

 この世帯層は、賃上げから置き去りにされた大企業の非正規雇用労働者や中小企業で働く人が多く、円安と消費税増税で物価だけが上がりました。

 大門氏は、2012年12月の安倍内閣発足時と比べ、「年収300万円世帯だと可処分所得で(年間)7、8万円の負担増だ」と指摘。「生活を切り詰めるしかないところに追い込まれている。この層の底上げなしに消費全体が上向くことはあり得ない」と強調して「消費税の再増税は中止すべきだ」と主張しました。

 安倍首相は正面からの答弁を避け、「消費税の引き上げは社会保障費、子育てのため」とごまかしました。

 大門氏は、所得の低い層の賃金を底上げするために、最低賃金の大幅な引き上げが重要だと提起。今夏の最低賃金改定は2%程度の引き上げにとどまり、消費税増税分にも追いつかないと指摘しました。

 改定された最低賃金は、全国で最も高い東京都の場合でも時給888円、月(160時間労働)に14万2000円です。最も低い時給677円の地域では同10万8000円(同)にしかなりません。

 大門 これで家賃、光熱費、税金、社会保険料を払い、残ったお金で生活できるか。

 首相 できることであれば、最低賃金がもっともっと上がる経済状況をつくっていきたい。

 日本と対照的に、最低賃金引き上げを経済対策として取り組んだのが米国です。2007年から5年間で、中小企業支援8800億円とセットで取り組み、41%も引き上げました。(グラフ参照)

 大門氏は、こうした取り組みにより540万人の賃上げになって消費も拡大し、当初は心配した米国経済界、中小企業団体も歓迎したことを紹介。経済効果があるとわかって次の段階の引き上げもすすめられている動きを示し、米国の最低賃金の伸びが06年に比べ2倍近い96・1%、日本は同年比で15・9%の引き上げにとどまっていると述べました。

 大門 フランス、イギリス、ドイツ、アジアでも経済対策として(最低賃金の引き上げは)有効ということで広がり、取り組み始めている。本気で大きな規模で考えてほしい。

 首相 今は2けたの伸びを続けている。これを持続したい。

 首相は米国はじめ、諸外国のような大規模な引き上げには背を向けました。

法人税引き下げ競争やめよ

 法人税率30%なかばから、アジアなみの20%台に引き下げる―。この安倍政権の方針をめぐって大門氏が示したのは、財務省が作成した「企業負担の国際比較」(1面グラフ参照)です。それによると、日本の法人税負担の対GDP(国内総生産)比は3・2%です。韓国(3・5%)やシンガポール(3・9%)よりも低く中国(3・2%)と同じ水準です。

 大門 これで「アジアとの競争だ」というのは違うのではないか。

 首相 投資する環境を整える観点から、成長指向の税体系に変えていく。

 データを示し、本当に引き下げが必要なのかを問う大門氏。消費税や所得税など国民負担の増大を招く「法人税の引き下げ競争」は、OECD(経済協力開発機構)などでも弊害が議論になっています。

 麻生太郎財務相もこの問題に関して「法人税の(引き)下げ競争をやって行き着くところは何か考えないといけない。全体として話し合っていかないといけない大事な問題だ」と答弁しました。

 実際に、韓国では法人税減税を撤回し、野党からさらなる増税案が出されて攻防が続いています。中国やシンガポールも企業の社会保障負担を増やす方向になっています。

 大門 引き下げ競争をあおることは日本がやるべきことか。尊敬される提案をすべきだ。「お互いの首を絞めあうからやめよう」と。それが日本がとるべきアジアでのリーダーシップだ。

 首相 日本の法人税は競争の観点からいえば、高いという意見があるのも事実だ。

 従来の発想から抜け出せない首相の答弁に対し、大門氏は「もっと大きな判断をするべきだ」と述べました。


<赤旗記事>

まるで依存症製造計画
“人の金巻き上げ経済成長か”
参院予算委 大門議員 カジノ合法化を追及

 日本共産党の大門実紀史議員は8日の参院予算委員会で、「成長戦略の目玉」(安倍晋三首相)とカジノ賭博場の合法化を推進する安倍内閣の姿勢を厳しく追及、「カジノは経済対策になど値しない。(カジノは)やめて、まともな経済対策を議論すべきだ」と迫りました。


パネルを示して質問する大門実紀史議員=8日、参院予算委

 大門氏は、「刑法が賭博を禁じていることの重みを受け止めるべきだ」として、カジノ解禁が引き起こす犯罪、ギャンブル依存症などは、推進派がいうようなあれこれの対策で防ぐことができるものではないことを指摘しました。

 安倍首相は「IR(カジノを中核とする統合型リゾート)は、観光振興、地域振興、産業振興に資する」とカジノの「経済的効果」をのべたうえ、弊害を防ぐための「制度上の検討が必要だ」とのべ、対策さえ行えばカジノから利益が得られるという態度をとりました。

 大門氏は、「カジノは人の金を巻き上げるだけで、人々のくらしを豊かにするものは何も生み出さない。逆に社会的コストは膨大になり、経済成長の目玉になどならない」とのべました。

 大門氏は、カジノ推進派が集まる大阪商業大学アミューズメント産業研究所の試算で、大阪市のベイエリアにカジノがつくられれば周辺60キロ圏内に住む成人1555万人中91万人がカジノに来て、415億円を使うと想定(表参照)していることを指摘。「カジノは外国人を呼び込むといわれているが、主なターゲットは日本人客だ。91万人が繰り返しカジノに来る依存症者になることを前提にしている」としたうえ、「こんな『ギャンブル依存症製造計画』がなぜ成長戦略なのか」とつめよりました。

 大門氏は、推進派が日本のカジノの「お手本」とするシンガポールでも低所得者の自己破産の増加や依存症の増大が問題になっていることをあげ、カジノ法案は「断固、みんなで阻止する」とのべました。


<赤旗記事>

カジノ議連
首相「最高顧問やめる」
大門氏の追及に答弁

 日本共産党の大門実紀史議員は8日の参院予算委員会で、刑法が禁じる賭博場・カジノを「成長戦略の目玉」と位置づける安倍晋三内閣の姿勢を追及。同法案を推進する超党派のカジノ議連(「国際観光産業振興議員連盟」、会長・細田博之自民党幹事長代行)の「最高顧問」をやめるよう首相に求めました。

 大門氏は、カジノがもたらす大きな社会的な弊害をあげ、「多重債務問題や依存症対策、青少年の健全育成などの総責任者である首相がカジノ議連にいることはふさわしくない」として、首相を追及。安倍首相は「ご指摘はごもっともなので、最高顧問をやめさせていただく」と答弁しました。

 一方、下村博文文部科学相は「顧問をやめるつもりはない」、塩崎恭久厚労相は「現状のままでいく」と役職辞任や退会を拒否。カジノに固執する態度を示しました。

 同議連では、麻生太郎副総理・財務相が今年4月、大門氏の追及を受けて最高顧問の辞任と議連からの退会を表明しました。


<赤旗記事>

「大きな力に」「説得力あった」
大門氏の質問に反響

 日本共産党の大門実紀史議員は8日の参院予算委員会で 日本共産党の大門実紀史議員の質問(8日、参院予算委員会)にたいする感想が、国会や党本部、赤旗編集局にメールや電話で寄せられました。

 大門議員室には、自民党元衆院議員から「全面的に賛同します」との電話が入りました。カジノ問題に取り組む市民団体からは、「カジノ反対運動に大きな力を与えていただいた」とのメールが寄せられました。

 「素晴らしかった大門質問」と編集局にメールしてきた東京都の男性(65)。「カジノ賭博解禁の問題では、人のお金を巻き上げるのがなぜ投資対象になるのかと追及。カジノ議員連盟の(最高)顧問になっている安倍首相に(最高)顧問をやめると言わせました。素晴らしい質問でした」と書きました。

 「私自身、親の代から後を継いで創業60年余りの商売を続けています」という女性は、「赤字でも支払わなければならない消費増税は大反対。低所得者層の生活の向上が景気を回復させるために大切であるということは、大門議員の質問にとても説得力を感じました」と党本部にメールを寄せました。

 党本部に電話してきた男性は「言葉がでないほど、感動した。とくに、カジノ問題の質問はよかった」と語り、東京都の男性は「カジノ議員連盟に約200人もいて、安倍首相が最高顧問というのには、まったくあきれ返ってしまった」と語りました。

 「支持者ではありませんが」という鳥取県の男性は「首相もたじたじだった」、「こういう質問をしていると、共産党の支持は増える。がんばってください」と激励しました。


≪議事録≫
○委員長(岸宏一君) 次に、大門実紀史君の質疑を行います。大門実紀史君。
○大門実紀史君 今日は、前半は経済の問題、そして後半はカジノ、賭博場解禁の問題について質問をいたします。
 まず経済の問題ですけれども、パネルを用意いたしましたが、景気の現状について総理の認識をお伺いしたいというふうに思います。(資料提示)
 この間の賃金と物価の関係をパネルにいたしました。僅かに名目賃金が上昇しておりますけれど、それを超える、上回る物価上昇のために実質賃金が下がってきているということでございます。しかも、物価の中でも生活必需品の上昇率が高い、食料、電気代、ガソリン代などの生活必需品の上昇率が高いわけであります。したがって、賃金の上がっていない家庭には今大変重い負担がのしかかっているというのがこのパネルからも分かるというふうに思います。
 この間の、昨日も議論がありましたけれど、消費の落ち込みというのは、単なる消費税の増税前の駆け込み需要の反動減ではなくて、このグラフにあるように、実質賃金の減少というのが根底にあるのではないかというふうに思いますけれども、まず総理の御認識を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、我々の政策、いわゆるアベノミクスは、二%の物価安定目標を置き、そしてデフレから脱却をしていくというものでありますが、時差があるものの、物価上昇に賃金が追い付いていくというふうに申し上げてきたところではございます。
 その意味におきましては、消費税分を取り除きますとだんだんプラスにもなってきているわけでございますが、この消費税はワンショットでございますので、これに更に成長戦略をしっかりと進めていくことによって、将来は追い付いていけるような状況をつくっていきたいと、そのように考えておりますが、基本的には消費税は将来の社会保障費の給付のためのもの、これを国民の皆様に負担していただくということでございます。
 そこで、今申し上げましたように、消費税引上げの影響を除いた実質総雇用者所得は、四月、五月はマイナスでございましたが、六月以降は七月、八月とプラスになっております。そしてまた、実質賃金を見ますと、確かにマイナスではございますが、マイナス幅は縮小してきていると思います。そこで、反動減がございました。そして、七―九に果たしてまた成長軌道に戻れるかどうか。その際、委員が御指摘になられたように、消費税の影響が、このデフレから脱却していくためには、マインドをこれは払拭していく必要がありますし、消費が今まで引っ張ってきたわけでありますから、消費がしっかりとしているということも重要であります。そうした点もしっかりと見て判断をしていきたいと、このように思っております。
○大門実紀史君 消費税を除いた雇用者報酬云々というのは昨日もありましたけれども、雇用者所得というのは一人当たりの実質賃金掛ける雇用者数でありますので、この間、安倍内閣になって非正規雇用の人たちが増えていて、なおかつ雇用者数全体が増えております。したがって、一人当たりの賃金は低下しているけれども、雇用者数が増えているので、その掛け算ですから、マクロ経済としては増えているかも分かりませんが、今申し上げているのは具体的な生活実感のところの話でございますので、消費税を除いた話はちょっと違うんじゃないかなと思っております。
 それで、パネルの二枚目を用意いたしましたけれども、資料の二枚目ですけれども、総務省の家計調査を分析いたしますと、更に中身を詳しく見ますと、全世帯平均の実収入あるいは消費支出よりも第一分位、つまり五階層に分けて一番所得の低い層ですけれども、このときの調査でいいますと、収入が四百三十三万円以下で平均収入が三百三十万円の世帯ですけれども、この層の落ち込みが実収入も消費支出も大変落ち込んでいるというのが分かるというふうに思います。つまり、この世帯は賃金の引上げから置き去りにされた、例えば大企業の非正規労働者とか中小零細企業の労働者とか、そういう方々が多いわけでありますし、安倍内閣になってからの計算をいたしますと、所得、例えば三百万円ぐらいの層ですと、可処分所得にいろいろ負担増行きますと、七、八万円負担増になっております。そういうことも加えて大変苦しい状況になっていて、グラフを見てもらえれば分かるんですけれども、支出の方ですけれども、三月にほとんど駆け込み需要と言えるほどの支出がないんです。そもそも買いだめする余裕も余りなかったということは分かると思います。
 こういう方々が、再増税が予定されているということも含めると、もうただただ生活を切り詰めるしかないというところに追い込まれているわけであります。お金持ちが百貨店で高額商品を買っているというのもありますけれども、それだけでは消費全体が底上げできないわけですね。この第一分位世帯が全体の消費を下押ししているというのが分かるというふうに思います。
 したがって、この層の底上げなしに消費全体が上向くということはあり得ないと思いますが、総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今般の消費税の引上げは、先ほど申し上げましたように、伸びていく社会保障費、そしてまた子育てのための支出でありまして、これはまさに国民にこれは給付として基本的には返ってくるものでございますが、そして、確かに今、大門委員御指摘のように、消費税の引上げというのは、これは低所得者の方々あるいは年金生活者の方々にとって打撃となるわけでありますが、負担となるわけでありますが、そうした方々への配慮については、国民健康保険料などの保険料について一層の軽減を行うこととしておりますし、また、九七年の消費税率の引上げ時に行った臨時福祉給付金の対象範囲を更に広げた簡素な給付措置を講じるなど、万全を期しているところでございますが、そうした消費動向を分析をしながら、例えば今後の消費税の判断、あるいはまた今後の対策についてもよく考えていきたいと、このように思っております。
○大門実紀史君 消費税を中止すべきじゃないかというのは次の質問だったんですけれども、もう答えてもらったので申し上げたいことを申し上げますけれども、今まで消費税の増税が社会保障の充実に使われたとは言えない状況でありますし、今一番大事なのは、これ以上景気を落ち込ませると税収全体が下がってしまってもうそれどころではない事態になるということがありますので、まず、この消費の底上げを、こういう世帯層の所得も含めて底上げが一番大事だということではないかというふうに思います。
 最新の世論調査でも、国民の七二%が消費税増税に反対しております。その理由は、こういう所得の低い方々の負担が重くなり過ぎるからというのが四九%で最も多い、景気に影響を与えるというのが二割でございますので、今日の私の質問のようなことが国民の皆さんが今思っていらっしゃるということでありますので、再度聞きませんが、消費税増税については、再増税についてはもう中止すべきだと早くアナウンスメントした方が、今は萎縮しておりますのでいいのではないかというふうに、決断をしてもらいたいというふうに思います。
 大事なことは、先ほど申し上げましたとおり、この層の底上げであります。その点では、我が党が一貫して提案を、この委員会で私何度も提案してまいりましたけれども、やっぱり最低賃金の引上げ、しかも大幅な引上げが大変重要なときに、避けて通れない課題になっていると思うんですね。この点で厚労大臣、この間の最低賃金引上げの取組について説明をお願いいたします。
○国務大臣(塩崎恭久君) 最低賃金の引上げにつきましては、政府としても重要な課題として認識をしております。
 地域別最低賃金の引上げ額は、全国平均で、平成二十五年度は前年度比十五円、平成二十六年度は対前年度十六円の引上げが行われ、平成二十年の改正最低賃金法施行後初めて全都道府県で最低賃金と生活保護水準の乖離が解消されることとなりました。
 一方、政府としては、最低賃金の引上げによりまして影響を与える中小企業・小規模事業者への支援をしっかりと行っていくことが重要であり、最低賃金引上げに向けて業務改善に取り組む中小企業・小規模事業者に対する助成、そしてまた業種別中小企業団体に対する助成を行っておりまして、これらの事業を的確に実施しつつ、最低賃金引上げに向けた環境整備に努めてまいりたいと思っております。
○大門実紀史君 本当に、この予算委員会で何度も総理と議論をさせてもらって、総理の御指示で厚労大臣が審議会に出て、上げるようにというようないろんな努力をされてきたのはもちろん承知をしております。それは承知の上なんですけれども、それでもやっと二%程度と。これは消費税増税分にも追い付かないわけであります。
 例えば、今回改定したと言いますけれども、週四十時間、月百六十時間働いた計算でいきますと、東京が八百八十八円でございますので、月にすると、百六十時間働いたとしますと十四万二千円ですね。一番低い九州、沖縄などは六百七十七円です。これだと百六十時間働いて十万八千円ですね。これで家賃を払って、光熱費、税金、社会保険料を払って、残ったお金で生活できるのかというふうに思います。
 努力されてきたのは承知の上ですけれども、総理、この金額というのはまだかなり低いんではないかと思いますが、御認識いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、できることであれば最低賃金がもっともっと上がっていく状況を私もつくっていきたいと思っておりますが、今回、何とか六都道府県で、政権交代前には六都道府県で生活水準の間に乖離が生じておりましたが、今年度には全て解消されることにはなったわけでございまして、言わば第一歩ではないかと、このように思っております。
 言わば最低賃金は、中小・小規模事業者の方々が、こんな賃金を払うんではもう店を閉めなければいけない、あるいはもう外に出ていこうと思ってしまっては根っこから仕事がなくなってしまうわけでございますので、そこのところのあんばいも大切なところであります。中小・小規模事業者の方々の生産性を引き上げていくという支援もしながら、我々、例えば物づくり交付金、物づくり等の交付金等で、従業員の賃金を上げていたところに対しては優先的にそれを、補助金を出すようにもしているわけであります。そうした補助金を使って生産性を上げて、更に賃金を上げていくことができるような、そういう仕組みもつくっていきたいと。
 いずれにいたしましても、今後ともこの最低賃金が上がっていくような、そういう経済状況をつくっていきたいと思っております。
○大門実紀史君 従来型のといいますか、従来型の中で努力しようというお話だと思うんですけれども、これも何度か御紹介いたしましたけれど、アメリカでどういう取組をやっているかということで、アメリカは大きな経済対策として取り組んだわけであります。思い切ってあるときにがばっと支援をして、そのときに一気に上げると。これが大変経済対策としても有効であったということが分かって、その後も、今も次の段階の引上げを進めているということであります。
 最初の八千八百億円の支援をして上げたときは、五百四十万人の方々の賃金が上がったと。これは、経済界は最初心配したんですよね、いろんな影響が出ないかと。結局、経済界も、そして中小企業団体からも歓迎の声が出て、効果があると分かったので、次の段階、また大幅な引上げを想定しているところでございます。
 これ、比べてみて明らかなとおり、もうアメリカは、二〇〇六年を起点としますと、もう倍近く、九六・一%ですけれども、日本は僅か一五・八%というふうになっております。これは、フランスやイギリス、ドイツでもアジアでも経済対策として有効だということが広がっているので、みんな取り組み始めているんですね、大きな規模で。だから、前もこれ御提案したら、総理はちゃんと御指示されて、各省庁相談しろと。それと、中小企業に関する最低賃金の助成金について使い勝手を良くしろと指示されて、確かに件数は増えてきたのは確かなんですが、それでも直接支援は三十億円前後の枠でとどまっているわけですね。
 私が申し上げているのは、そうではなくて、もう諸外国で成功している経済対策なので、大胆に大きな規模でやるべきではないかというふうに思います。政府を挙げた取組としてやるべきではないかというふうに思います。この点で知恵を貸せと言われたら幾らでも貸しますので、本気で大きな規模で考えてほしいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(甘利明君) 共産党さんがアメリカを褒められるということですから、よっぽどのことだと思いますが、私、昔の労働大臣の記憶を呼び起こしますと、二円、三円を引き上げるのにもう大変な苦労をしたのを思い起こします。その点から考えると、二桁台を続けているというのはかなり努力を評価していただいていいかと思うんですね。
 賃金体系を、中小というよりも零細を見ますと、最賃にかなり張り付いている部分が多いんです。ですから、そこはうまくおっしゃるように対策を打ちながら、相談をしながらしないと、これがいきなり倒れる危険性があります。だから、かなり余裕があって最賃のところから離れたところに給与体系があればいいんですが、そっちにかなり零細になればなるほど張り付いちゃっていますから、そこはまさに余り強引にできないというところがありますから、対策、効果的な対策と併せながら、しっかり対話を交わしながら進めていくということになろうと思います。
 それにしても、過去の経験からすればこのところの引上げ幅はかなり頑張っている方だなというふうに評価をしたいと思います。
○大門実紀史君 総理。私は総理に聞いたんです。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この御提案でありますけれども、言わばこうした形でがっと最低賃金を上げて、そしてそれで消費を喚起をしていくということも、それは考え方としては一つのお考えなんだろうと、このように思います。
 この日米の比較でありますが、これは多少、為替の、今円安になっておりますので今の為替レートでありますとこういう差が付いてくるんだろうと、このようにも思いますが、これは、この最後のところの十・十ドルのところは、まだこれは国会、国会というか上院にまだ出した段階で、通るか通らないかというのは、状況としては中間選挙もございますので分からないところでもありますが。
 いずれにいたしましても、基本的には、これも共産党の皆様から御提案もございましたことでもございますが、政労使で話し合って我々が賃上げを呼びかけた、この結果、賃上げが実現をし、それはある種、消費についてもいい影響を与える、当然、賃金が上がれば、それは消費が拡大をしていくということは事実であろうと思います。しかし同時に、地方の中小零細の企業の方々の存立ということ、競争力ということも考えながら我々も判断をしていきたいと。
 いずれにいたしましても、繰り返しになりますが、今二桁の伸びを続けているわけでありますが、こうした伸びを是非持続していきたいと、このように思っております。
○大門実紀史君 共産党云々とありましたけれども、自民党こそ、これこそアメリカ追随で、勉強してほしいなというふうに本当思います。いずれにせよ、思い切ったことをやらなければならないという提起だけはさせていただきます。
 法人税の実効税率の引下げの問題に触れたいと思いますけれども、新成長戦略で法人税の実効税率三〇%台半ばなのを今後数年でアジア並みの二〇%台に引き下げるというようなことをおっしゃっておりますけれども、もうこの問題も何度もこういう場で我が党指摘してきましたけれども、実効税率三五%とか言うけれども、実際には六%とか五%しか負担していない、払っていない大企業もいっぱいいるわけでございまして、大事なことは、余りこの表面税率だけ比べてアジアはどうのこうのと言っても正確な議論にはならないんではないかと思うんですね。
 やっぱり、ちょっと麻生大臣にお聞きしたいんですけど、余り表面税率だけアジアとかと比べても、それぞれ課税ベースが違いますから正確な議論にまずならないと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(麻生太郎君) これは大門先生おっしゃるように、企業にとりまして、法人税率もありましょうけれども、社会保障の負担等々を比較しますと、これは法人によりましては随分違うので、そこに人様の作られた資料をこちらの方が先に拝借してしゃべるのもいかがなものかと存じますけれども、お配りになった資料はそのとおりです。
 したがいまして、これは、日本より法人税というものが高いのはアメリカとか高いところは幾つもありますし、日本としてもというので、これは基本的には今後、各国、これは今後財務大臣レベルの話になっていくと思いますが、少なくともBEPSのときに日本が主導して、この種の税金を払わないで海外でというところのやる競争をやめようと、で、みんなでやろうというので、G20でこれは日本がリードしてスタートさせましたものが、これは思いのほか早く今年中に原案がほぼまとまるというところまで今来つつありますので、こういったのと同じように法人税の下げ競争をやって行き着くところは何になるんだというところもちょいと考えにゃいかぬところなんではないのかというところは私どもとして考えております。ただ、日本だけがアジアで一番高いとかなんとか言われると、なかなか話が込み入りますので、こういったところも全体として話し合っていかねばならぬ大事な問題だとは思っております。
○大門実紀史君 ですから、表面税率の比較よりもGDP比というのがよく国際比較されていますので、これを見ますと、日本は欧米の中でも、確かにアメリカ、イギリスよりは高いですけれど、ドイツ、スウェーデン、フランスよりは低いというのは分かりますよね。
 よくこの議論であったのは、アジアよりもと、アジアよりと言っていましたけれど、これGDP比ですから、実際の税負担のGDP比の割合ですけれども、これが、今のところ国際比較ではこれが一番使われているあれですが、見てもらうと分かるとおり、日本は既に韓国やシンガポールよりもGDP比の負担では低くなっているんですよね。中国と変わらない状況なんですよね。これでアジアより低くすると、アジアとの競争だというのは、総理、ちょっと違うんじゃないかと思うんですけど、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどは財務大臣は財務省としての立場で御答弁されたわけでございますが、確かにこの対GDP比としてはそういうことになっているわけでありますが、言わば絶対値としての法人税率については確かに日本は高いと認識されているのも事実でございまして、それを見て投資家が判断をするのも事実でございます。
 そして、確かにどんどんどんどん法人税率を下げていくという競争の中に入っていくことは避けなければいけないわけでありますし、低いと言われているイギリスも、昨年のロック・アーン・サミットでは、言わば税を回避するために他の国に拠点を置いたりしながらかなり脱法的な行為によって負うべき負担を避けているということは避けなければいけないという発言がイギリスからもあったわけでございますが、しかし、その中で引下げ競争という、言わばこれは相当低いという、言わば全体的な魅力の中で法人税だけで勝負をするということを我々はするつもりは全くないのでございますが、しかし、国際比較の中において、企業が、投資家が投資をするという環境を整えていくという観点から、成長志向の税体系に変えていこうと、このように考えているところでございます。
○大門実紀史君 投資家の判断といいますと、一番はやっぱりその国に需要があるかですね。その国が景気がいいかということですよ。法人税でそんなに動くわけじゃありません。これは単に企業の負担を減らして内部留保を増やしてしまうだけというのは、この間もそうですから、投資にも回りません、回っておりません、この間、減税したって。前の二五・五にしたときも、投資増えたかって、増えておりませんから、単に負担を減らしてあげて内部留保が増えるだけではないかというふうに思います。
 本当に、ですから引下げが必要なのか甚だ疑問でありますし、そもそも総理から若干言及ありましたけど、いつまでもこんな競争を続けるのかということなんですね。麻生大臣言われた租税回避そのものも重要ですけれど、この全体の税の引下げ競争、これを世界中の国々がやればどうなるかといいますと、法人税は限りなくゼロに近づいていって、でもその国は食べていかなきゃいけませんから、ほかの税を増やすしかないと。消費税とか勤労所得税ですね。そうすると、国民が苦しくなって、世界を動き回るグローバルの大企業だけがどんどんどんどん楽になって、どこでも税金払わないという社会になってしまう、世の中になってしまうわけですね、ワールドになってしまうわけでありますから、その税の引下げ競争そのものをもう考え直す時期に来ていると。
 これはOECDの中でもそういう議論がありますし、実は、この韓国、中国、シンガポールとありますけれど、韓国も、中国でさえ今までは安くして負担を減らして企業来てくれというふうなことをやっていましたけれど、今、増税の方向、社会保障負担は増やす方向にそれぞれ動いているんですね。韓国は、一遍決めた法人税の減税をやめて増税すると。更に増税案が野党から出されていて、今攻防が続いております。中国は、特に社会保障負担のところですね、今まで免除していた外国企業に対してきちんと負担してもらうと。シンガポールも同じようにやっています。それぞれ、やっぱり社会保障がもたないということで企業負担を増やす方向になっているんですね。
 このときに、日本だけがアジアだアジアだと、アジアにけんか仕掛けるように更に引下げだというような引下げ競争をあおることは、少なくともアジアのリーダーだった、リーダーと言われてきた日本がやるべきことなのかと。そうじゃなくて、もっと尊敬される提案をすべきだと。こういうことはお互いの首を絞め合うんだからやめようというようなことこそ日本が取るべきリーダーシップ、アジアでのリーダーシップじゃないかと思いますが、いかがですか、総理。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先般もニューヨークでハーバード大学のポーター教授と議論をしたところでございますが、そこで、自分は税の引下げ競争をせよと言っているわけではないけれども、しかし、要は、しっかりと名目GDPが成長していく中において税収も確保していくということが大切ではないかと。その中において、日本の法人税を見たときに、言わば競争の観点からいえば高いのではないかと、そういう御意見があるのも事実でございます。
 言わば、企業が、日本の中に存在する企業もそうでありますが、果たして次にどこに設備投資をしようというときにいろんな条件を見るわけでございます。安定的な電力を確保できるかどうか、人件費はどうか、政治的に安定しているかどうか、そしてまた、さらにはこの法人税がどうか、ビジネスがしやすいかどうかという観点から判断するのは事実でありまして、グローバルな経済の中においては、そういう現実が動いている中において、日本が総合的に競争力を維持することによって雇用を確保し、賃金を更に増加させ、そして経済を成長させていきたいと考えているわけでありますが、その中では、我々は数年で二〇%を切っていく必要があるだろうと、法人税率について、実効税率についてこのように考えているところでございます。
○大門実紀史君 せっかくいろいろ申し上げたのに、何かもう同じような範囲で、もっと大きな判断をされるべきではないかというふうに申し上げておきたいと思います。
 それで、そんな中に、なぜこんな話が出てくるのかというカジノの話でございます。
 カジノ、すなわち賭博場を解禁しようという法案が自民党、維新、生活の党の議員立法で提出されております。与野党の政治家が集まって賭博場を解禁しよう、何ともおぞましい話だなと、こんなことは今まで国会であったかなというふうに思います。
 法務大臣に聞きますけれど、そもそもなぜ賭博場は、賭博は刑法で禁じられているのか、その重みも含めて説明してくれますか。
○国務大臣(松島みどり君) お尋ねの現行の刑法の趣旨について答弁いたします。
 賭博行為は、勤労その他正当な原因によらず、単なる偶然の事情により財物を獲得しようと他人と相争うものであります。そして、国民の射幸心を助長し勤労の美風を害するばかりでなく、副次的な犯罪を誘発し、さらに国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれすらあることから、社会の風俗を害する行為として処罰することとされております。
 このような趣旨は、現段階においても妥当するものであると法務省としては考えます。
○大門実紀史君 もう少し重みを持って答弁してほしかったなと思いますけれど。
 総理、この刑法で禁じられていることの重みというのはいかが捉えておられますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今法務大臣が答弁をされましたように、賭博行為の禁止は社会の秩序を維持する上で必要なものと考えているところでございまして、賭博行為というのは、国民の射幸心や勤労を怠る風潮を助長し副次的な犯罪を誘発するなど、国民の生活に重大な弊害をもたらすおそれがあることから犯罪として禁止されていると、このように承知をしております。
○大門実紀史君 刑法、法律でこういうものを禁じているというのは、今、推進派の方々は、いろいろ対策を取ると、依存症対策なり対策取ると、だからいいんだと、できるんだと。この論理が間違っていまして、そういう対策が取れないものというのがあるんですね。対策を取ったって防止できないものというのが世の中にあるわけです。そういうものを法律で禁じる、刑法で禁じるという、長い、いろんな事件あるいは歴史的な経過を踏まえて、対策を取っても防止できないから、犯罪が防止できないから、副次的なものが、犯罪が防止できないから法律で禁じたという経過があるんですね。
 法務大臣、そういうことじゃないんですか。対策取れないから禁じているんじゃないですか。
○国務大臣(松島みどり君) 法務省といたしましては、これまでも、刑法を所管する立場から、目的の公益性、運営主体等の性格、収益の扱い、射幸性の程度、運営主体の廉潔性、運営主体の公的管理監督、運営主体の財政的健全性、副次的弊害の防止、こういったような点に着目し、賭博に関する立法について意見を申し上げてきたところでございます。
○大門実紀史君 まだよくお分かりになっていないんだと思います。
 賭博の禁止されたのは、西暦六八〇年ぐらいですか、持統天皇がすごろく禁止令というものを出されて、それから一千三百年ぐらいですか、ずっと続いている、それぐらいのものなんですね、日本では。民営賭博というのはそれぐらいの長い間禁じられていることなんですね。それをこんな軽々しく、金もうけちょっとしたいからといって解禁していいのかということなんですよね。そういうふうにきちっと重く捉えなきゃいけない問題だということであります。
 総理は、成長戦略の中にこの賭博の解禁を入れられたと。成長戦略の柱になると、シンガポールを視察されたんですか、柱とおっしゃったのか目玉とおっしゃったのか分かりませんが、これ、なぜ賭博場の解禁が成長戦略なんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 統合型リゾート、いわゆるIRについては、私も五月にシンガポールを訪れた際に視察をしたところでございます。会場が併設をされておりまして、家族連れで楽しめる水族館があったりと、総合的なリゾート施設となっておりまして、言わば、面積でいえばいわゆるカジノは三%にすぎないわけでありまして、観光振興や雇用創出といった効果は非常に大きいということを実感したところでございます。
 リー・シェンロン首相からもいろんなお話を伺ったわけでありますが、これはまさにシンガポールにおいても大変な議論があったところでございます。そこで、シンガポールにおいても、ギャンブル依存症や治安の問題などについて慎重に検討を重ねた上、厳格な対応が行われているということも印象に残ったわけでございまして、我が国においても、IRが観光振興、地域振興、産業振興等に資することが期待される一方で、カジノについては治安や青少年への悪影響等の観点から制度上の措置の検討も必要であると思います。
 このため、政府としては、現在国会で審議中のIR推進法案の状況やIRに関する国民的な議論を踏まえ、関係省庁で検討を進めてまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 IR施設の収益の八割は賭博場ですよ。みんなそういう試算を出しているんですよ。
 それと、ちょっと基本的に何か勘違いされていると思うんですけれど、この賭博場は別に物づくりでもなければ純粋なサービス業でもないんです。新たな付加価値を生み出すんじゃなくて、つまり人の金を巻き上げるだけなんですよ。そうなんですよ。いや、本当にそうなんですよ。賭博というのはそういうものなんですよ。だから禁じられているんですね。
 だから、普通、人々の暮らしを豊かにする、付加価値を生み出して、それなら成長戦略とか経済対策という言い方は分かるんですけれども、なぜ人の金を巻き上げて経済対策なんですか。説明してくれますか。
○委員長(岸宏一君) 甘利大臣。(発言する者あり)
○国務大臣(甘利明君) 成長戦略の担当大臣です。
 賭博場をギャンブル場と言われますけれども、IR、インテグレーテッドリゾートなんです、統合型ということです。つまり、それは求心力の一つにはなりますけれども、その周辺をいろいろ整備をすることによって観光資源として力を持ってくると。これは、ラスベガスでもどこでもカジノだけであれだけ集客はないんですね、家族が楽しめるというコンセプトでつくっているわけでありますから。
 ですから、観光立国を目指す上でも、これをみすみすシンガポール、シンガポールは相当GDPに貢献をしているはずです。人の金を右から左へよこしているだけで、取っているだけであんなことにはなりません。それは、外からたくさん人を引っ張っているということですよ。そういうことを通じてGDPに貢献をしているという、その点から今検討がなされているということであります。
○大門実紀史君 総理に。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに先ほど申し上げましたように、統合型リゾートでございますから、面積にして三%、九七%はほかの施設でありますが、そういう形で、どちらにしろ投資が起こるわけでありますし、それによって大きな雇用が創出されるのも事実でございます。
 シンガポールにおきましては顕著に観光客は増えているわけでありますし、観光客がやってきて、そこだけではなくて、他の観光地も回り、消費をするということが見込まれるわけでありますから、これは当然経済成長にも資するものだと考えております。
○大門実紀史君 だから、人の所得をこちらに奪っただけでどうして経済成長になるんですかと。
 附属でホテルを造ったり、カジノの建設、それは確かに新たないろいろなものを生むかも分かりませんけれども、雇用されるという話も、結局、そこで雇用された人数の何倍もの、何倍ものギャンブル依存症を生んで、その人たちの人生が奪われるわけですから、雇用だって普通の事業と同じようにカウントしちゃ駄目なんですよね。
 資料を用意いたしましたけれども、何か外国人限定でやるという話がちょっと聞こえてまいりますけれども、外国人ならいいのかという話もあるんですよね。外国人なら巻き上げていいのと。そのどこがおもてなしなんですか。外国人から金を巻き上げて何でおもてなしになるわけ。
 日本の今のカジノの試算は、ほとんど日本人をカウントしております。これは、大阪の賭博場推進に熱心な大阪商業大学というのがあるんですけれども、そこの研究所が試算したものでありまして、大阪のベイエリアにカジノをつくると。周辺六十キロ圏内、大阪、私のふるさとの京都、神戸、和歌山、この辺りに住む日本人の成人一千五百五十万人中、カジノに九十一万人が来る想定であります。
 問題は、この計算が何を意味しているかといいますと、九十一万人が来て平均四万円消費をすると。これは、もちろんカジノですから、一晩で家や会社を失う人もいるわけですから、一回だけスロットをやって帰っちゃう人もいるわけですから、平均ですけれども、一人四万円消費をするという計算になっています。
 要するに、六十キロ圏内の住人から四百十五億所得を吸い取るという話なんですね。この試算は、しかも九十一万人が繰り返し来るということでありますから、つまりリピーターを想定していて、リピーターというのはギャンブル依存症でありますけれども、依存症になる人を想定した計画だということであります。
 日本人ということでいえば、関係者はみんな日本人がターゲットだと言っているわけでありまして、例えばこの大阪商業大学の学長さんの谷岡さんは、毎日新聞で堂々と、高齢者のたんす預金などが世の中に出てくると、カジノを通じてね。高齢者の今持っておられる資産まで狙われているということであります。言わばもうギャンブル依存症製造計画みたいなものなんですよね。何がこれが経済対策なのかと、恥ずかしくないのかと私思います。
 ですから、カジノというのは経済対策という名に値しないと。しかも、社会的コストが大変掛かると、依存症対策ですね。そして自己破産する、そういう社会保障給付とかですね。これは、韓国ではその費用が依存症対策含めて七兆円以上掛かっているというふうに言われております。そんなことは一切カウントなしに、何かこういうことばっかりでみんな浮き足立っているというのが今の状況ではないかというふうに思います。
 ギャンブル依存症は今でも深刻な事態にありますが、厚労省が調査をされておりますので、ちょっと報告してくれますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 平成二十五年度の厚生労働科学研究におきまして、成人の飲酒等実態調査という調査の中で、成人男女四千人に面接調査を行った結果として、ギャンブル依存の疑いのある人は成人全体の四・八%、男性の八・七%、女性の一・八%、人数にして五百三十六万人と推計されると報告されています。
 ただ、この数値については調査対象にパチンコやスロットなどの遊技を含んだ調査に基づく結果であり、あくまで研究結果の一つとして承知をしているところでございます。
○大門実紀史君 今でも公営ギャンブル等々、パチンコ等々でそれだけの依存症が発生しているということでありますから、これに賭博場を解禁したらもう倍加してしまうということであります。これが今一番広がっている懸念だというふうに思いますけれども。
 次のパネルで、このカジノを推進してきた議員連盟というのがございます。全体で二百人ぐらいの議員連盟でございますけど、安倍内閣の大臣と副大臣の方と議員連盟の役員の方をお名前を挙げておりますけれども。
 私、麻生大臣に、副総理に以前、金融担当大臣でございますので、多重債務対策をやっていらっしゃる立場からするとやっぱりこれ相反するんじゃないかということで、最高顧問をやっていらしたんですけれども、良識ある判断をされて降りられて、そして議員連盟も退会されたということでございます。
 総理も、最高顧問まだ載っていますけれども、総理は多重債務だけじゃなくて依存症対策そして青少年の健全育成全ての総責任者だと思うんですけれども、総理大臣とこの賭博場解禁議員連盟の最高顧問というのは相反するんじゃないですか。一議員ならいいですよ、一議員でやっていらっしゃるのは自由ですよ。総理大臣としては合わないんじゃないですか。ふさわしくないんじゃないですか。お辞めになるべきだと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 御指摘もごもっともかもしれませんので、私、いろんなところの顧問をやっておりますが、そういう意味におきましては最高顧問は辞めさせていただきたいと思います。
○大門実紀史君 厚労大臣と、じゃ、下村大臣、いかがですか。
○国務大臣(下村博文君) 私、総理とは別の機会に、やはり五月にシンガポールに行ってまいりました。今世界百か国以上で実際カジノ解禁されておりますが、それぞれ国の歴史によって中身も相当違う部分があります。
 シンガポールで国際観光統合産業としてのカジノ解禁された後、教育関係者がどんな意見を持っているかということをそのときもちょっとお聞きしましたが、導入のときには国論を二分するような賛否両論、激しい議論がずっとあったと。しかし、実際に導入された後、世界で最先端の依存症対策や犯罪対策や、あるいはいろんなことの中、今その問題はクリアされているということを教育関係者の方々は言われておりました。
 ですから、要はどう活用するかという知恵の問題であるというふうに思いますし、私は、そういう意味ではこれから顧問を辞めるというつもりはありません。どう活用するかということだと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 私は最高顧問でも顧問でもありませんので、平のメンバーでございます。
 元々私がこれに入ったのは、カジノもさることながら、やはり国際観光産業振興議員連盟ということで、元々、例えば見本市をやる場も少ない、それからコンベンション、国際会議を開く大きな場所も少ない、そういう中で、なかなか日本に海外の人も来てくれないというような中でどうやってこのIRを子供でも来れるような、日本でも競馬には子供連れで随分たくさんの人が行っているようでありますけれども、私自身は余りそっち方面は関心が薄い方でありますが、それでもやはり国際の観光産業としては何らかの形でこういうものは、外国の人も来てくれるようなところは必要だということなので、肩書は特にございませんので、現状のままでいきます。
○大門実紀史君 本当にもっと勉強させていただきたいなと思うんですね。
 下村大臣、そこまでおっしゃるんだったら、シンガポールで今どうなっていますか、依存症、どれだけ増えているか言ってください。
○国務大臣(下村博文君) 教育関係者の話ですと、外国人とそれから国内人で対応を別にしていると。国内人、つまりシンガポールの方の話ですと、まず入場料が必要だと。一回、日本円で約一万円ぐらい掛かるそうでありますが、その中で、IDカードを使って、シンガポールでは依存症とかそれから生活保護あるいは犯罪歴のある方、こういう方々は入場できないようになっているというふうに聞いております。
○大門実紀史君 もう時間がないので簡単に紹介しますと、シンガポールでは今、国内の、シンガポールの人ですけれども、低所得者層の自己破産が続出しておりまして、入場制限措置が二十万人を超えております。自己破産申請も一・五倍になっております。
 こういうことも分からないで、知らないで、何でそうやって推進のことばっかり言っているのか。ちゃんと勉強すべきですよ。何考えているんですか、この内閣は。総理がちゃんとちょっと考えるとおっしゃっているのに、引き続き続けるとは何事だと申し上げたいというふうに思います。
 もうこんな経済対策に値しないことをこんなところで議論するよりも、やめて、もっとまともな経済対策を議論したいというふうに思いますし、これは各党の中でも御意見がいろいろあるようでございますから、良識の判断をしてもらって、ここで解禁してしまうと最初は外国人限定であっても必ず日本人に広がることになりますので、世界の例がみんなそうなっておりますから、断固みんなで阻止したいということを呼びかけて、私の質問を終わります。
○委員長(岸宏一君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。

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