国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2014年3月26日 消費者問題に関する特別委員会 日立と三菱UFJ銀の偽装請負/告発女性の証言もとに大門議員追及
<赤旗記事>
日立 ⇒ 三菱UFJ銀 偽装請負
告発の労働者 報復解雇 証言もとに大門議員追及


質問する大門実紀史議員=26日、参院消費者特

 日立製作所が請負契約を装って三菱東京UFJ銀行に労働者を派遣する「偽装請負」を行っていたことが26日、明らかになりました。職業安定法が禁じる労働者供給事業にあたるとして日立、三菱東京UFJともに厚生労働省が是正指導しました。同日の参院消費者特別委員会で日本共産党の大門実紀史議員が、偽装請負で働いた女性の証言をもとに告発しました。

 問題の偽装請負は、日立が派遣先の三菱東京UFJと請負契約を結び、日立の子会社が社員を派遣させる形態です。請負契約としながら労働者への指揮命令は三菱東京UFJが行っています。

 偽装請負などの労働者供給事業は、人身売買や強制労働、中間搾取などの弊害があるとして原則禁じられています。

 厚労省東京労働局は昨年7月、日立の子会社に雇用されて三菱東京UFJ本店で働く女性の訴えを受けて派遣元の日立と派遣先の三菱銀を職安法44条違反(労働者供給事業の禁止)で是正指導しました。

 偽装請負は多くの場合、発覚しても労働者派遣法違反とされ、派遣元への指導にとどまるのが実情です。今回の三菱銀のように派遣先に職安法違反で指導する例はまれです。

 告発した女性は是正指導後の昨年9月、日立子会社を解雇され、現在は撤回を求めて労働組合とともに団体交渉を続けています。

 女性が加入する電機・情報ユニオンの米田徳治委員長は「日本一の電機会社と日本一の銀行による偽装請負。告発した労働者の解雇も許されない。雇用の確保を求め、今後は偽装請負の詳細な実態を明らかにしていく」としています。


メガバンクのフロア丸ごと偽装請負
三菱UFJ銀の監督 金融庁に徹底求める

 日本共産党の大門実紀史議員は26日の参院消費者特別委員会で、三菱東京UFJ銀行が「偽装請負」で日立製作所から子会社を通じて労働者を派遣させている問題を告発し、金融庁が同行の違法行為を改めるよう監督の徹底を求めました。

 大門氏は三菱東京UFJと日立の偽装請負を厚生労働省東京労働局が職業安定法違反で是正指導したことを暴露。東京・大手町の三菱東京UFJ本店で偽装請負で働き、東京労働局に内部告発した日立子会社の女性の訴えをもとに「メガバンクの最先端の職場のフロア丸ごとが、偽装請負で成り立っている」と違法行為の一端を紹介しました。

 こうした不祥事について、銀行法53条は30日以内に金融庁に報告するよう銀行に求めています。大門氏は「偽装請負を改善しますということも含めて、報告はあったのか」と金融庁に尋ねました。

 金融庁監督局の池田唯一審議官は、三菱東京UFJが是正指導を受けた事実を認め、「昨年8月に改善策の報告を受けた」と答弁。大門氏は、現在も三菱東京UFJ本店で偽装請負が続いているのではないかと指摘、「口頭で報告を受けただけでチェックをしていない」と金融庁の対応を批判しました。

 大門氏はまた、偽装請負を内部告発した女性が日立の子会社から解雇されたと指摘。日立や三菱東京UFJによる女性への報復を批判したうえで、不正を告発する労働者を守れるように公益通報者保護法の改正が必要だと強調しました。

≪議事録≫
○大門実紀史君 大門でございます。
 今日は、今消費者庁で改善の方向で検討に入っておられます公益通報者保護制度について質問をいたします。
 この間も、企業の中の内部告発をきっかけに企業の不祥事とか法令違反が明らかになって、そして消費者保護も図られるというケースがまだ相次いでおりますけれども、ただ、そうした内部告発をした場合に、その社員の方等が後で不利益を被ると、ひどい場合は解雇されてしまうというようなことがあるわけでございまして、そういう方々を保護しようということで公益通報者保護法があるわけでございます。ただし、それが本当にそういう告発者を守っているのかという点で、この間も問題点が指摘されておりますが、今日は具体的な事案でいかにひどい目に遭っているかという点を、しかも現場が大銀行の本店の職場ということでお話をしたいと思います。
 資料をお配りいたしましたけれども、一枚目ですが、簡単に言いますと、三菱東京UFJと日立製作所が請負契約を結ぶと。つまり、日立製作所から、実際は日立コンサルティングからなんですけれども、そこから送り込まれたコンサルタントの方々が請負契約で仕事をすると。三菱東京UFJ本店の、この業務はもうグローバル対応の最先端の、本店の二十三階、十八階というところで、最先端の重要業務で専門家が必要な部署でございます、そういうフロアなんですけれども。請負契約ですから、日立の人間がコンサルの人を連れていって、その日立の人間の指揮命令に従って働くのが請負契約なんですけれども、ところが実際はどうなっていたのかということで、去年の七月二十四日ですね、この日立コンサルから東京三菱UFJに、から出向いていた女性が内部告発をいたしまして、日立コンサル、日立製作所、三菱東京UFJに対し東京労働局が処分をいたしました。どういう内容か、厚生労働省、説明してください。
○政府参考人(宮川晃君) お答えいたします。
 個別の案件についてはお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、なお、一般論として申し上げますれば、労働者派遣法違反あるいは職業安定法違反が生じている場合には、各都道府県労働局におきまして行政指導や行政処分等の対応を行うこととしております。具体的には、実態を調査した上で法令違反が確認された場合は、行政指導により改善を求めるとともに、重大な違反が生じている場合は改善命令あるいは事業停止命令といった行政処分を行うこととしております。
 今後とも、労働者派遣法、職業安定法違反の実態を把握した場合には厳正に対処していきたいと考えております。
○大門実紀史君 そんなこと聞いていないんですよね。
 資料の二枚目に具体的な中身がもう出ております。これは内部告発された御本人から私に提供があったものですけれども、情報公開で取れる資料でございます。内部告発を東京労働局は何と苦情相談扱いにしているんですね。内容からいってそれそのものがとんでもない扱いだというふうに思いますけれども、とにかくこの二枚目に、実際にそうはいっても処分をしましたと、この三社に処分をしたと、職安法違反で処分したと、四十四条違反で処分したというのがはっきりと書かれております。つまり、偽装請負だということでございまして、本来ならば、請負契約ならさっき言ったように日立の人間が人を連れていって仕事を請けるという形なんですが、事実上、派遣と同じような扱いをしてきたということで、職業安定法四十四条違反であるということは明確に書かれているわけでございます。
 そこまでは一応処分をしたということなんですけれども、大変軽い、何といいますかね、助言レベルの是正指導なんですね。しかも、この東京UFJ本店のフロアはほかの、日立だけではありません、ほかの有名な電子関係の企業からも偽装請負がやられております。このメガバンクの最先端の部署で丸ごと偽装請負の職場になっていると、現場になっているということなんですが、そういうこともちゃんと東京労働局は調べないで、そういうところは全然見て見ぬふりをして、この一件に関してだけ一応軽い処分をしたということになったわけでございます。
 軽い処分で済ませたために、日立はこの内部告発した女性に対して報復を行いました。もう結論だけ申し上げますと、二段階で降格をして、この方は大変有能な方で、コンサル担当なんですけれども、降格をした上に給与を二割削減して、挙げ句の果てに勤務態度が悪いとかいろいろ理由を付けて解雇をいたしました。
 厚生労働省はこの女性が解雇されたということを把握していましたか。
○政府参考人(宮川晃君) その事実関係については、解雇ということについて把握しているわけではございませんが、いずれにいたしましても、労働者派遣法におきましては、申告した労働者に対しまして解雇等の不利益取扱いをすることは禁止されていることとされております。
 今後とも、指導監督の場面においてその遵守の徹底を図ってまいりたいと思っております。
○大門実紀史君 そういう一般論じゃなくて、この日立コンサルが解雇したわけですね、具体的には。これ、全部、日立製作所も東京三菱UFJも全部絡んでいるんですけれども、この件についてちゃんと調べられますか、解雇された理由について。
○政府参考人(宮川晃君) 先ほど申しましたように、労働者派遣法におきましては労働者からの申告ということが前提となっておりますので、その申告等がありましたら適切に対応してまいりたいと思っております。
○大門実紀史君 もう既に申告といいますか、そういう訴えもしているんですよね。ちゃんと今言われたとおりしてもらわないと困ります。
 こういう大きな問題は、本当に尾辻先生が厚生労働大臣のときだったら、きちんとやりなさいというふうになるような重大案件でございますので、この場でありますけれども、きちっと本当にこれからやってもらいたいというふうに思います。
 もう一つは、看過できないのは、この本店の中枢部門で、グローバル化の世界に窓を開けるようなその中枢のフロアでこういう偽装請負を承知で仕事をさせていた三菱東京UFJのコンプライアンスの程度なんですけれども、実は銀行法五十三条によりますと、こういう不祥事を起こした場合、三十日以内に金融庁に対して改善策を取ることも含めて報告しなければならないとなっておりますけれども、これは三菱東京UFJから、職安法四十四条違反という明確な指導を受けているわけですから、金融庁に対して改善策、改善しますということを含めて三十日以内に報告はあったんでしょうか。
○政府参考人(池田唯一君) 御指摘の事案につきましては、三菱東京UFJ銀行からは私どもの日常の監督の中で報告を受けております。
○大門実紀史君 確認しますけれども、改善、一か月以内ですよね、これは七月二十四日の処分ですから八月いっぱいぐらいで報告がまず行ったのかということと、改善いたしますというふうなことも含めて報告、そういう報告をしなきゃいけないとなっていると思いますが、そういう内容の報告ですか。
○政府参考人(池田唯一君) お答え申し上げます。
 三菱東京UFJ銀行からは、日常の監督の中で、まず昨年の七月二十六日に第一報の報告を受けまして、翌八月の二十九日、三菱東京UFJ銀行における改善策等についての報告を受けております。
○大門実紀史君 で、今もう大分たちましたね、去年の八月からですから。改善されたんですか。
○政府参考人(池田唯一君) 個別の事案についての私どもの行政対応、あるいはその過程で把握している事実についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもとしましては、一般論といたしまして、各金融機関における適切な法令遵守体制の構築、運用ということについては検査監督を通じて確認をしてきておりまして、そうしたことを私ども続けてきているということでございます。
○大門実紀史君 今現在も現場では、大手町ですかね、あそこの本店の二十三階、十八階で同じことが行われております。いろいろ言われたけど、結局、口頭の軽い報告を受けただけで、後のチェックも何もされていないんですね、金融庁。
 これは、さっき言いました日立だけではなく、もう一つ大きな大企業の電子系の企業も絡んでおりますし、そのフロア丸ごと、メガバンクの本店のフロア丸ごと偽装請負なんということを、こんなこと、銀行法のそもそも法令守りましょうの当たり前の話でございまして、こんなこと金融庁としても許すべきじゃないと思いますし、きちんとやるべきだと思いますし、厚労省にはこの偽装請負の問題で再調査を今求めているところでございますので、金融庁もきちんとした法令遵守当たり前ですから対応すべきだと。この三菱東京UFJ問題は、私、財政金融委員会ですので、継続してがんがん取り上げていきますので、きちっとした対応を今からしてほしいなというふうに思います。
 森大臣にお聞きいたしますけれども、今消費者庁でも、この公益通報者保護制度は本当に内部告発者をなかなか守り切れていないという声を受けて、どうしたらいいかということで調査も含めて検討されているんだというふうに思います。日弁連なんかの指摘も含めて考えますと、やっぱりこの不利益を被ることが守り切れないと。それには罰則が、こういう日立とか、こういうことをやっても罰則がないんですよね。しかも、裁判で証明してからというような大変なことになってしまうということがありますので、罰則があるだけでもこういうひどいことはなかなかやりにくくなったりするわけですよね。ですから、いろんな面、今御検討中だと思いますけれども、やはり抜本的な改善をしないと内部告発者が守れないし、それはひいては消費者の利益を阻害するわけでございますから、是非、この公益通報者保護制度、消費者庁の仕事としてきちっとした検討をしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(森まさこ君) 公益通報者保護法は公益通報した者に対する解雇の無効を定めておりますので、所要の要件を満たしていれば通報者の保護が図られなければならないと思います。しかし、そうではなかった場合には、御指摘のとおり、裁判でそれを争っていかなければならないわけでございます。そういったことも含めて、公益通報者保護制度のありようには様々な御意見をいただいております。
 この罰則についてでございますけれども、現在は公益通報者保護法本体にはございませんが、個別法で通報者に対する不利益取扱いを禁止し、これを罰則によって担保することを排除するものではなく、例えば原子炉等規制法や労働者派遣法など、通報者に不利益取扱いを行った事業者に対する罰則が定められております。
 こういった罰則を設けることについては、公益通報者保護法本体に一般的に設けるという点について様々な御意見がございますので、有識者や関係者の皆様のお声を幅広く聞いて検証、分析等を行い、検討してまいりたいと思います。
○大門実紀史君 この問題は引き続き、大きな問題ですのでいろんなところで取り上げていきますけれど、とにかく天下のメガバンクのワンフロア全体で偽装請負が行われているというような大変な問題でございますので、これは金融庁も厚労省も消費者庁も、政府の姿勢としてこういうものを許しちゃいけないと私は思いますので、きちっとした対応を求めて質問を終わります。

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