≪議事録≫
○大門実紀史君 大門でございます。
東日本大震災から丸三年たちました。私は主に被災地の中小企業金融問題に取り組んでまいりましたけれども、金融というのは、中小企業の二重ローンの問題、そして個人の私的整理ガイドラインの問題が主なことでございました。
それで、去年の五月の三十日に、この私的整理ガイドラインの問題、被災地の住宅ローンがなかなか返せないという方々の問題ですけれども、これを五月の三十日に取り上げまして、仙台弁護士会が会長声明を出すと、抗議声明を出すと。どこが相手かといいますと、このガイドライン運営委員会のやり方がおかしいということですね。被災者の立場に立っていないということで、様々な問題を指摘しながら抗議声明を出されたわけでございます。
それをこの委員会で指摘をいたしまして、様々問題があるということで麻生大臣からきちんと事実確認をするように対応しろということで事務方にお伝えをいただきまして、元々金融庁は被災地の金融問題は頑張って取り組んできてくれていたんですけれども、ちょうどこの私的整理ガイドラインのことで、そこまで現場の弁護士さんと運営委員会がもめているということはエアポケットになっていたということもあったわけですけれども、とにかく指摘をされて、金融庁の担当課長さんが本当に何度も現地に入られて、弁護士さんとガイドラインの間を橋渡し役をやると、調整役をやるということで頑張っていただいて、運用規準というのをまとめることまで頑張っていただきました。
その後、やっぱり従来よりは相談、解決が進んできております。これは本当に金融庁の頑張りだというふうに思いますし、大変現場の弁護士さんも有り難いと、金融庁のこと評価されているところでございます。私もよく金融庁頑張ってくれたなと思っております。
大臣から、後ろにもおられますんで、一言褒めてあげていただきたいなと思います。一言どうですか。
○国務大臣(麻生太郎君) 後でやっておきますから、心配せぬで大丈夫です。
○大門実紀史君 それで、そのごたごたは一旦落ち着いて進み始めているわけですけれども、課題がまだいっぱいあるのは事実でございます。
資料も用意いたしましたけれども、先日、岩手県の方の沿岸部に行きました。そこはやっぱり宮城の仙台弁護士会とはちょっとまた情報格差があったり、あるいは実情が違いますので、いろんな課題について伺ってまいりましたので、資料も用意いたしましたが、幾つか今後の課題で質問したいと思います。
資料はちょっと前後になりますけれども、二枚目、三枚目のところですけれども、今の被災者の銀行との関係、どういうふうになっているかという数字でございますが、要するに貸付条件の条件変更を受けている債務者がまだまだ多い状況にあります。この状況について、ちょっと金融庁の方で今の現状をどう認識されているか伺いたいというふうに思います。
○政府参考人(細溝清史君) 委員お配りの資料のとおり、二十五年十一月末現在でも、こういった貸付条件の変更を受けている者がかなりおります。
その状況につきまして、被災地の複数の金融機関にヒアリングをいたしました。そうすると、例えば移転先が決まらないことなどにより新たな住宅の取得ができない方、あるいは事業休業の影響により失った販路を取り戻せなくて業況が改善しない事業者など、様々なケースがございます。
被災者の置かれている状況はこのように千差万別でございますので、昨年十二月に、改めて被災地の金融機関に対して、被災者の状況を細かく把握した上で最適な解決策を提案し、その実行を支援することについて要請を行ったところでございます。
○大門実紀史君 一枚目の資料なんですけれども、これは個人版私的整理ガイドラインについて、それの下での相談の数でございます。
これまでに、一番上にあります五千二十一件の個別相談ですね、何らかの個別相談が寄せられているのに対して、このガイドラインを利用して債務整理が成立した、あるいは準備中まで行っているというのが四番と五番の数字ですけれども、これを合わせますと千三百七十五件になります。つまり、五千二十一件のうち、千三百七十五件が具体的な解決になってきているということなんですけれども、ただ、全体として五千二十一件相談が来て、まだ千三百七十五件かという声もあることは事実でございますけれど、私は私でこの中身は調査は何度もしておりますけれど、金融庁として、この数にとどまっているという理由についていかがお考えでしょうか。
○政府参考人(細溝清史君) これも、被災者の中にはいろんな方がおられますが、例えば被災した土地の買取り手続が終了していない、あるいは防災集団移転促進事業等が進捗途上にあり、住居の再建方法あるいは新居に要する費用が決まらない、そもそも債務整理を行うことにもちゅうちょしているといった様々な事情を抱えた方がおられると聞いております。今後、防災集団移転促進事業等の復興計画の一層の進展に伴ってガイドラインの利用が増加していくことも予想されるところでございます。
このため、昨年十二月に、改めて金融機関に対しまして貸付け条件の変更を行っている先も含め、私的整理ガイドラインの利用のメリットあるいは効果について丁寧に説明する、それから、これは債務者の状況次第なんですが、債務者の状況に応じてガイドラインの利用を金融機関から積極的に勧めるように要請しているところでございます。
○大門実紀史君 そうですね、この個人の私的整理というのは、中小業者のいわゆる買取り機構、税金なり公的資金を入れた買取り機構とは違いますので、民間、民民同士の、しかし被災者だからということでこういうガイドラインを作って何とかしてあげようということでありますが、民民の世界がありますので、どうしてもいろいろなことが関わってきて、そう簡単にすいすいいかないというのは十分承知しております。
ただ、やっぱりきちっと該当する人は救済していただきたいという点で、この前、岩手県回ったときに、先ほどありましたけれど、運用規準を作られたわけですね、もうごたごたしないように。そのときに、一つの妥協の産物ではあるんですけれど、年収七百三十万という一つの目安が、相談を受ける方のですね、まあ目安にすぎないんですけれども、出たわけでございます。七百三十万以上だと全部駄目とか、そういう話ではないんですけれど、ただ、目安として出た七百三十万というのが若干独り歩きしているのかなという気がしなくもないんですが、七百三十万以上は、年収の方はこのガイドラインを利用できない、つまり銀行に借金を減らしてもらうことはできないというような不安の声といいますか、誤解も一部あるかも分かりませんけれど、そういう声を結構聞いたんですけれど、この辺は金融庁として把握されておりますか。
○政府参考人(細溝清史君) 委員御指摘のとおり、昨年十月に運営委員会におきましてこのガイドラインの運用の明確化を図るという観点から運用規準というものが策定されております。その中に、年収基準も一つの目安として定められていると承知しております。
この運用規準は、これまで積み重ねた事例を踏まえて、ガイドラインの運用に当たってあくまで一定の目安として策定されたものでございます。実際の運用に当たりましては、個々の被災者の事情に十分配慮して柔軟に対応しているものと承知しております。したがいまして、基本的に年収水準のみをもってガイドラインの適否を判断するような運用は行われていないものと考えております。
ただ、運営委員会で年収、返済比率、資産保有の状況等を総合的に勘案して判断した結果が運営委員会の支部から相談者に回答される際に、年収水準のみをもってガイドライン不適合と判断されたと結果として受け止められてしまったようなケースもあったのではないかと思っております。
○大門実紀史君 今の七百三十万以上は駄目じゃないかというようなのが独り歩きしている可能性はなくはないんですけれども、ただ、具体的にどこで相談を受けてどこで、対応している窓口を考えますと、弁護士さんのところに来られたら、そんな一律におたく七百三十万超えているから駄目よと、これはないはずなんですね。ないはずなんですね。そうすると、あと無料相談会というのがあるんですけれど、ここも専門家が対応していますから、入口で年収聞いて、おたく対象外ということは、これもあり得ないなんですよね。
ちょっと心配なのは、運営委員会のコールセンター、そういう問合せの電話とか、そういう問合せのときに、うっかり七百三十万以上ですか、以下ですかとか、そういう対応というのは事実上あるんでしょうかね。
○政府参考人(細溝清史君) 個別の御相談でコールセンターの件数が多いのは御指摘のとおりでございます。このコールセンターにつきましては、コールセンター段階でガイドラインの適否を判断せず、全て本部につなぐという体制になっておりまして、コールセンターで受け付けた案件の相談者への回答は本部又は支部が行うということになっております。
○大門実紀史君 私もコールセンターのを聞きますと、具体的に運用規準そのものを手元に置いて、そこで電話を受けたりするわけではありませんから、多分おっしゃったとおり、そこで駄目みたいな話にならないで、そこでつなぐわけですよね、具体的な弁護士さんとかですね、だというふうに思います。
ただ、とにかく独り歩きして、相談する前から、うわさといいますか伝聞で、うちはもう超えているから言っても仕方がないと諦める人がいては残念だなと思いますので、一人でも多く救済しなきゃいけないと思いますので、こういう声があることを踏まえて、運営委員会として今後どのように対応されていくか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(細溝清史君) 運営委員会におきましては、この運用規準の実際の適用に当たりましては、引き続きこのガイドラインの趣旨、目的を踏まえまして、個々の相談者の事情に十分配慮して柔軟な対応を行うということとしております。
その上で、ガイドライン不適合の回答を行う場合に、相談者に対しまして、年収水準のみをもってガイドライン不適合と判断されたといった誤解を与えないように、仮に不適合とされた場合にはその理由について丁寧に説明するよう、運営委員会として指導を徹底していくというふうに承知しております。
○大門実紀史君 ありがとうございます。
私、この前、陸前高田、もう何度も行っていますけれども、見てきましたら、まだ何もかも流されたところがこれからという状況ですよね。そうすると、先ほどの数字もありましたけれど、取りあえず条件変更で利息だけ返すとか、元本据置きとかだとかいろいろあると思うんですけれど、そういう人たちが具体的にどこそこに家を建てる、次のことに踏み出すというときに、やっぱり過去の借金の問題を正面からどうにかしなければいけないとなってくるので、相談はこれから増えると、増えるときは一気に増えるというふうに思っておりますので、今日御指摘というかお伝えしたことも含めて、大量に相談が来たときでもスムーズに漏れのないように支援できるようにお願いしたいと思います。
最後に大臣の所見を伺って、終わりたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) これはいわゆる個人版の私的整理という話なんで、このガイドラインの運用規準というのは、これは前から大門先生からこの財金等々いろいろで御質問をいただいていたんですが、簡単に言えば、年収水準のみで一律に画一的に判断するのは問題じゃないかというところが一番の御指摘なんだと思いますので、各々の被災者の実情を踏まえた上できめ細かく対応するということが被災者に対して最も大切なところなんで、これは丁寧に説明をしていくようにということを今後とも徹底してまいりたい、そのように考えております。
○大門実紀史君 終わります。 |