国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2014年3月7日 予算委員会 増税中止緊急宣言を
<赤旗記事>
アベノミクス 格差拡大
大門議員「増税中止緊急宣言を」
参院本会議


質問する大門実紀史議員=7日、参院本会議

 7日の参院本会議で2014年度予算案に関連する所得税法「改正」案が審議入りし、日本共産党の大門実紀史議員は安倍政権の税制と経済政策について質問しました。

 大門氏は、アベノミクスが金融バブルをつくり、大企業と中小企業、お金持ちと庶民の経済格差を広げてきたと指摘。消費税増税と「成長戦略」でさらに格差を拡大する「二極化政策」を実行しようとしていると批判しました。

 賃金が伸びず個人消費が低迷していることについて、企業の収益がいずれ国民の所得・賃金に回るという「トリクルダウン」論は破綻していると強調。非正規雇用から正規雇用への転換や最低賃金の大幅引き上げなど、「企業収益が賃金へ回る回路を回復する」本格的な政策に踏み出すべきだと提起しました。

 予定される消費税率の引き上げを前に「景気が底割れに向かう危険性」も指摘されていることに触れ、消費税増税を中止する「緊急宣言」を出すよう求めました。

 さらに大門氏は、復興特別法人税を廃止し法人税の実効税率のさらなる引き下げを図ることは「世界の流れに逆行するもの」であり、各国が協調して法人税引き下げ競争を改めようと世界に呼びかけることが大事だと主張しました。

 麻生太郎財務相は「足元の経済成長を賃金上昇のきっかけにするため」と述べ、法人税減税を正当化しました。

≪議事録≫
○議長(山崎正昭君) 大門実紀史君。
   〔大門実紀史君登壇、拍手〕
○大門実紀史君 安倍内閣の経済政策と税制の基本的な考え方について質問いたします。
 いわゆるアベノミクスが始まって一年少しがたちました。本当に国民の暮らしや実体経済は良くなったでしょうか。
 日本銀行の異次元緩和という異常政策によって海外の投機マネーを呼び込み、急激な円安と株高をつくり出しました。おかげで一部の輸出大企業は巨額の利益を上げ、大株主であるお金持ちは更にお金持ちになりました。一方、庶民の暮らしや中小企業の経営は、収入が増えないのに円安による輸入物価の値上がりで苦しくなるばかりです。
 大企業の利益はリーマン・ショック前の水準を一気に回復しましたが、中小企業の利益は横ばいのままです。大金持ちが株高で資産を増やす一方、貯蓄ゼロの世帯は過去最多になっています。
 アベノミクスは、金融バブルをつくり出し、事実として、大企業と中小企業、大金持ちと庶民の経済格差を広げる役割を果たしてまいりました。麻生大臣は、アベノミクスが経済格差を広げてきたという認識をお持ちでしょうか。
 この上、逆進性のある消費税増税を強行すれば、経済格差は更に拡大をいたします。また、安倍内閣の成長戦略の目玉である雇用改革も、結局、低賃金の非正規労働者を固定化、拡大し、賃金を抑制する政策です。ある労働シンクタンクによれば、今議論されている雇用改革を全て実行すれば、労働者の賃金は年間約四十二兆円も減少すると試算をしております。
 異次元緩和で格差を広げた挙げ句、更に消費税増税と成長戦略で格差を広げる。これでは、アベノミクスは格差拡大の二極化政策と言われても仕方がないのではありませんか。
 経済の土台を冷え込ませて日本経済が良くなるわけがありません。昨年十―十二月期のGDPは、民間予測を大きく下回り、実質で前期比僅か〇・三%増にとどまりました。冷静に各経済指標を見れば、円安による輸出額の増大と消費税増税前の駆け込み需要が数字を押し上げてきただけで、実体経済の自律的な好転とは程遠い状態であります。
 何より、経済の約六割を占める個人消費が低迷をしています。住宅を除く消費支出は、昨年十月から十二月の三か月連続で前年同月を下回りました。個人消費が伸びないのは、国民の実質所得が増えていないからです。昨年十二月の勤労者世帯の実収入は四か月連続の減少、実質可処分所得も五か月連続で減少しています。賃金はもう十年以上伸びておりません。麻生大臣は、この原因がどこにあるとお考えでしょうか。
 安倍内閣は、企業の利益がいずれ国民の賃金に回るだろうと言い続けてきました。いわゆるトリクルダウン論です。しかし、この理屈は構造的にも実態的にも既に破綻をしております。九〇年代半ばから始まった非正規雇用の急速な拡大は、正社員の賃金も押し下げ、賃金抑制装置の役割を果たしてきました。賃金が上がらなくなったのは、単にデフレで企業のマインドが冷え込んでいたからではなく、非正規雇用の拡大という構造的要因にあったのです。
 二〇〇一年、経済政策の担当大臣に就任した竹中平蔵氏は、私の質問に対し、企業がもうかれば賃金に回ると、今と同じことを言っておりました。私は、回るわけがない、非正規雇用の拡大でその回路が断たれていると指摘をしましたが、彼には理解ができませんでした。事実、二〇〇四年から二〇〇七年にかけて大企業中心の景気回復期がありましたが、賃金に回るどころか、賃金は減少を続け、企業利益は内部留保として積み上がっただけでした。
 麻生大臣は、竹中さんと違い、企業に減税しても内部留保として積み上がるだけではないかと賢明な疑問を投げかけられました。麻生大臣は、トリクルダウン論など実際には機能していないと認識されているのではないでしょうか。答弁を求めます。
 本気で好循環を実現するというなら、まず政府主導で企業利益が賃金へ回る回路を回復することです。麻生大臣も参加された昨年のG20の首脳声明でも、非正規雇用の減少が目標に掲げられました。日本も本気になって非正規雇用から正規雇用への転換を図るときが来ているのではありませんか。
 さらに、資本主義国アメリカでも取り組んでいるように、政府主導で大規模な賃金引上げ政策に踏み出すことです。中小企業支援とセットで、均等待遇の実現、最低賃金の大幅引上げを内需拡大策として大胆に打ち出すべきです。
 今こそこういう本格的な賃金引上げ政策に踏み出すべきときだと思いますが、麻生大臣の見解を伺います。
 経済格差が広がり、国民の可処分所得が減少している今こそ、税制本来の役割である所得再分配機能を発揮することが大切ではないでしょうか。この点で、消費税増税は全く逆さまの政策です。四月一日を目前に、この間続いた駆け込み需要は早くも反動減に切り替わる兆しを見せております。このまま景気の底割れに向かう危険性も指摘をされています。
 麻生大臣、まだ間に合います。消費税増税を中止する緊急宣言を出すことこそ賢明な政策判断というものではありませんか。
 今なすべきことは、庶民増税ではなく、大もうけをしている大金持ちへの課税強化です。もうかっている大企業の負担を軽くすることより、苦しい中小企業や庶民の暮らしを直接支援することです。安倍総理は、先日の予算委員会でも、大企業に減税した分、個人の所得に回ることを期待していると答弁されました。だったら、最初から個人に減税すればいいのではありませんか。そもそも、これ以上の法人税減税が必要なのでしょうか。数々の優遇措置によって、既に大企業の実質負担率は二〇%台に下がっています。
 また、世界の流れを見れば、そろそろ法人税の引下げ競争をやめようではないかという動きが始まっています。際限のない法人税の引下げ競争は、各国共通に、税収の減少、国民生活の予算削減という事態をもたらしています。
 お互いの首を絞め合うような競争はもうやめよう、EUの首脳会議ではフランスとドイツが税の引下げ競争に歯止めを掛けるルール作りを提案、OECDの租税委員会でもそういう認識が出てきております。こういうときに復興法人特別税を廃止し法人税実効税率の更なる引下げを目指すなど、世界の流れに逆行するものではありませんか。
 今大事なことは、これ以上法人税引下げ競争に突っ走るのではなく、各国が協調して引下げ競争の愚を改めようと、むしろ日本から世界に発信することではありませんか。
 改めて麻生大臣の見解をお聞きして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(麻生太郎君) 大門先生から八問頂戴をいたしております。
 アベノミクスが経済格差を広げてきたのではないか、格差拡大の二極化政策なのではないかとのお尋ねがあっております。
 安倍政権におきましては、長引くデフレ不況からの脱却と経済再生を果たすための三本の矢を一体的かつ強力に実行し、着実に成果を上げてまいりました。今後さらに、企業収益が雇用拡大や所得上昇につながる経済の好循環を実現し、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るようにしていくことが重要と考えております。
 このため、非正規雇用から正規雇用の転換を支援する取組や企業による賃上げのための環境整備などに大胆に取り組んできたところでもあります。その結果、有効求人倍率や失業率が改善、パートタイム労働者の時間当たりの賃金が上昇など、幅広く雇用・所得環境に経済の好循環の兆しが見え始めておると、そう考えております。
 政府としては、このような兆しを持続的なものとするため、引き続き全力で取り組んでまいります。したがって、アベノミクスが格差拡大の二極化政策といった御批判は当たらないものだと考えております。
 賃金が上昇してこなかった原因についてのお尋ねがありました。
 過去十年以上にわたって景気拡張期があったにもかかわらず賃金が上昇してこなかった背景には、これは、バブルが崩壊後、過剰雇用、過剰債務を抱えていた日本企業が、人件費を抑制して収益を確保、その収益で資本や内部留保を厚くする、同時に、債務を圧縮して財務体質を強化することを優先してきたことなどがあると考えております。また、これまでも、先の見えないデフレ状況の下では企業が設備投資や賃上げといった未来への投資を控える傾向が強かった面もあろうかと考えておるところでもあります。
 いわゆるトリクルダウン論、滴が落ちてくるトリクルダウン論についてのお尋ねがありました。
 現内閣は、企業収益の拡大が賃金の上昇や雇用の拡大につながり、消費の拡大や投資の増加を通じて更なる企業収益の拡大に結び付くという経済の好循環の実現を目指しております。
 このため、これまで、企業の収益が賃上げのきっかけになるよう、所得拡大促進税制の拡充などの施策と併せて復興特別法人税の一年前倒し廃止を行うとともに、こうした施策による増益が賃金上昇につながるよう、政労使の三者で賃上げに向けた共通認識を取りまとめるなどの取組を行ったのは昨年の十二月の二十日、その答えが出てきておると思っております。
 現在、アベノミクスの効果もあり、有効求人倍率や失業率も改善、パートタイム労働者の時間当たり賃金も上昇するなど、幅広く雇用・所得環境の改善の兆しが見え始めていると考えております。
 非正規雇用から正規雇用への転換推進についてのお尋ねがありました。
 家計の所得向上にとって、非正規から正規への雇用形態の転換が重要な一要素であることは御指摘のとおりと考えます。このため、政府としては、これまでキャリアアップ助成金の活用、政労使会議において非正規雇用者のステップアップのための共通認識を取りまとめるなど、非正規雇用から正規雇用への転換を促すための取組を進めてきたところでもあります。
 これらの施策による非正規雇用者の処遇改善を通じて、経済の好循環が実現できるよう、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 政府主導の被雇用者の処遇改善や賃金引上げ政策についてのお尋ねもありました。
 具体的な賃金の水準は、個別労使間の交渉を通じて決定されていくものであります。政府としては、経済の好循環実現に向け、平成二十六年度税制改正において所得拡大促進税制の拡充や復興特別法人税の一年前倒しの廃止を行うとともに、昨年十二月二十日の政労使会議において賃上げに向けた共通認識を取りまとめるなど、企業による賃上げのための環境整備に大胆に取り組んできたところです。
 この政労使会議における共通認識には、非正規雇用労働者の適切な処遇についても盛り込まれておりますのは御存じのとおりです。また、中小企業や零細事業者に対する補助金、税制上の手当てなど、中小企業支援のための施策も拡充しております。最低賃金につきましても、本年度、全国平均で十五円の引上げが行われたところであります。
 このように、被雇用者の処遇改善や賃上げを含む経済の好循環実現に向けて、税制、予算、雇用政策など様々な手段を動員して対応しているところであります。
 消費税引上げの中止についてのお尋ねがありました。
 急速な少子高齢化が進む中、安定財源を確保し、世界に冠たる日本の社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡していくとともに、子ども・子育て支援を充実していくことは待ったなしの課題の一つであろうと存じます。
 このため、本年四月から消費税率を八%に引き上げることを確認したところであり、中止することは考えておりません。消費税率八%への引き上げに当たっては、これに伴う影響を緩和し、その後の経済の成長力を底上げするため、好循環実現のための経済政策を作成いたしております。今後、その着実な実施を進めるなど、景気の下振れリスクへの対応に万全を期してまいりたいと考えております。
 復興特別法人税の廃止及び法人実効税率の更なる引下げについてのお尋ねがありました。
 復興特別法人税の廃止は、足下の経済成長を賃金の上昇につなげるきっかけとするために決定したものであり、法人税の引下げ競争にくみするものではありません。
 また、昨年六月行われたG8サミットの場で、総理から、日本政府の考え方として、税源獲得を目指した各国による税負担の軽減競争によって国際的租税回避が助長される事態は避けるべきであること、各国は協調して税制の調和を図ることが不可欠であること等を説明したところでもあります。
 法人課税の改革に際しては、こうしたことも留意をしながら、今後、政府税制調査会において専門的な観点から検討を行ってまいります。
 最後に、法人税の引下げ競争についてのお尋ねもありました。
 国際的租税回避を助長しないよう、税源獲得を目指した各国による税負担の軽減競争を避け、各国が協調してそれぞれの税制の調和を図ることが必要であろうと存じます。
 日本としては、引き続き、OECDにおけるBEPS行動計画に関する議論を主導し、適正な課税の確保に努めてまいらねばならぬと考えております。
 以上であります。(拍手)

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