■2007年5月21日 決算委員会(経済産業省等の決算審査) 既払い金返すべきー悪徳商法背後にクレジット(信販)会社介在 |
○大門実紀史君 大門でございます。 経産省の決算概要を見ますと、消費者行政という項目も金額もございません。聞いてみたら、わずか五億四千万程度ということでございます。とにかく予算的にも、取組もあるいは法改正も消費者保護という立場を強めていただきたいというふうに思います。 そういう立場で、今日は昨年から議論になっておりますクレジット被害について質問をしたいと思います。 昨年もこの決算委員会で取り上げましたが、独り暮らしのお年寄りあるいは認知症の方、知的障害者の方をねらった、呉服を買わせるとか高価な商品を次々と買わせるという、あるいは住宅リフォーム事件もございました。そういう次々販売というのがありますし、また、若者とか女性に対して訪問販売、キャッチセールスということで、こういう悪徳商法が手を変え品を変え後が絶たないわけですけれども、被害を助長しているのがクレジット契約の存在ということはもう既にマスコミでもかなり指摘されているところでございます。 すなわち、クレジット会社、信販会社の関与なしにはこういう悪徳商法そのものが成り立たないということで、国民生活センターも〇二年、〇五年の報告書の中で、この悪徳商法の業者を裏で支えているのがクレジット会社、信販会社だということ、厳しい指摘もしているところでございます。 例えば、お配りしました資料の一番最後、三枚目からになりますが、業界大手のオリコが関与した事例だけでも、悪徳商法の被害の事例だけでもこんなにたくさんあるということで、最大手というオリコでさえこれだけかかわっているということでございます。 初めてお聞きになる方はちょっと分かりにくいと思いますので、資料を用意いたしまして、資料の一枚目にどういう仕組みになっているかを書いておきました。要するに、信販会社が悪徳業者と加盟店契約を結ぶわけです。その業者が詐欺的な勧誘あるいは押し付け販売ということで被害を生むと。で、クレジット契約、この場合多いのは、個々の商品について一つ一つ契約を交わすという個品式という契約が多いわけでございますが、それで商品を引き渡して、信販会社が業者に代金を立替えをして被害者に請求をすると。被害者が支払を始めたりするわけですが、途中で事件が発覚をするというふうなパターンでございます。ただ、発覚したときに未払金は、まだ払ってないそのクレジットのローンの分は被害者は払わなくていいと。しかし、既に信販会社に、クレジット会社に払った既払い金は返してもらえないというのが今の現状でございます。 ちなみに、右の下の方に、先ほど言いました個品クレジットの取扱い、いかに多いかということも資料で付けてございます。例えば、被害の実例を一つ申し上げますと、去年の九月二十九日、大阪地裁で判決が出た事例でございますけれども、これは被害者が七十八歳の女性で、認知症で独り暮らしの方でございました。悪質な呉服販売業者が女性の判断能力がないのに付け込んで、わずか二年間で合計千九百万円もクレジットを組ませたと。この信販会社はオリコ、ライフなど四社でございますが、寄ってたかってクレジット契約にオーケーを出してこういう被害を生んだわけでございます。特にオリコは、この女性がほかにも多額のクレジットを組んでいるのを知っていながら、自宅があると、いざというときは自宅を取ればいいと言わんばかりにどんどんクレジット契約、与信をオーケーしたということでございまして、これ私取り組んでまいりましたけれども、サラ金のアイフルの不動産担保ローンと同じようなことを大のオリコがやっていたということでございます。 この判決そのものは、ほぼ全部の契約を公序良俗違反として売買契約そのものを無効といたしました。しかし、先ほど申し上げたように、まだ支払っていない未払金は当然割賦販売法の三十条の四に基づいて払わなくてよいということになりましたが、また弁護士さん頑張られまして、割賦販売法適用外の一、二回払い、これも払わなくていいよという前進面もあったわけですけれども、ただ既払い分の、この方の場合でいえば五百五十万円が返してもらえないということになりました。裁判所は信販会社の責任を認めているわけですから既払い金も返せという判決下してもよかったと私は思うんですが、ただ、ここは司法の責任だけではございません、立法府の責任があるというふうに思います。 現在の割賦販売法では、先ほど言いました三十条四項に、抗弁対抗という言い方ですが、要するに、こういう悪徳商法というふうになった場合は未払の分については払わなくていいということになっておりますが、既払い金については返させる、返還させる根拠がないということでございます。来年の法改正でこの既払い金を返してもらえるような根拠をどうつくる、どう法改正に盛り込むかというのが私は最大の今の焦点ではないかと思うところでございます。 そこで質問に入りたいと思いますが、大臣に素朴にお聞きしたいんですけれども、被害者の立場になれば、これはもうだまし取られたお金でございます。未払金払わなくていいなどというのはもう当たり前の話でございまして、常識で考えれば、だまされたんだからこの既払い金も返してあげるべきだというふうに私は思いますけれども、大臣はこの辺のところ、素朴に見ていかが思われるか、まずお聞きしたいと思います。 ○国務大臣(甘利明君) この事件になっている一覧を見ますと、本当に名前が通っているところがクレジット会社としてかんでいるということがこれだけの件数あるわけでありまして、これは本当に放置ができないと思っております。 個人的にどう思うかと言われれば、それはもう返すべきだと思いますよ。ただ、要するに、そのための法整備をしなきゃいかぬというふうに思っております。 クレジットといっても、カードの方はまあそんな大きなトラブルはないんですけれども、個別の、個品割賦という方ですよね、これ、本当にしつこく訪問販売業者の訪問を受けると、即刻現金みんな払う必要ないものですから、どうしても押し切られちゃうという、しつこいのには、という面があるのと、それから、このクレジット業者が契約を結ぶ相手の業者がちゃんとしたところかどうかの確認がどうもおろそかじゃないのかなという点があると。この二つが重なって不幸な事件が起きてしまっているんだというふうに思っております。 経産省といたしましては、これまでも特商法に基づいて悪質訪問販売業者に業務停止の行政処分を行うとか、クレジット業者に対して悪質訪問販売業者の排除を指導はしてきておりますけれども依然トラブルは続いていると。これは抜本的な対策が必要だというふうに考えております。 どうしても、もう最高裁判例なんか見ますと、返さなくていいと言っているんじゃなくて、今の法体系では限界があるということなんだと思います。そうすると、やはりこの割賦販売法及び特定商取引法の改正を視野に入れて何か考えなきゃいけないと。そこで、これを視野に入れまして、産業構造審議会において適切な措置について今検討をいただいているというところであります。 ○大門実紀史君 ありがとうございます。そういう方向で是非頑張ってほしいところなんですけれども。 具体的にじゃどうするかということでございますが、これは松井審議官で結構でございますが、今大臣も言われました産構審の分科会小委員会でいろいろ議論されていると思いますが、この既払い金をどうするかと、どうやって返してあげるかと。その点ではどういう議論になっているか、教えていただけますか。 ○政府参考人(松井英生君) 少し背景も含めて御説明させていただきたいと思います。 先生御案内のとおり、訪問販売をめぐるトラブル、いわゆる苦情相談というのは非常に多うございまして、二〇〇五年度にPIO―NETに寄せられました苦情相談は約十七万件ございます。そのほかに、通信販売ですとか電話勧誘ですとか架空請求ですとか、そういう特商法関係の全部をひっくるめますと八十万件ほどございますけれども、訪問販売だけに限って見れば十七万件ございます。 先ほど大臣からも御答弁いたしましたように、特商法関係の行政処分、一生懸命我々やっておりますけれども、二〇〇六年度に都道府県と一緒にやったもの全部合わせましても八十四件でございます。もちろんこれは一件当たり何百件かの苦情相談がございますので、先ほど言いました十七万件に対して八十四件という割合ではございませんけれども。したがって、今までの行政対応ではまだまだ限界があると。 先生御指摘のとおり、この裏にはクレジット契約が絡んだものが非常に多いように見受けられます。大体三分の二以上はやはりクレジット契約が絡んでいると。つまり、訪問販売されても現金で支払っている場合にはそんな多額なことにもならないわけでございますけれども、いやクレジットでよいからと、こういう言葉に釣られて大きな多額な契約をしてしまってトラブルになっているというのが現状、先生御指摘もあったとおりでございます。 したがいまして、このような問題を解決していくためには、特商法の規制強化だけでは対応できないということで、やはりクレジット契約に関する規制を表裏でやっていかなくてはいけないんじゃないかなと、こういうふうに私ども考えておりまして、そこで産業構造審議会で、特商法の検討と割賦販売法の検討と表裏で対応を強化してこういう問題を解決していこうと、こういう趣旨で審議会に御検討をお願いしたわけでございます。 現に産業構造審議会におきましては、商品の売買時にその支払のためにその都度クレジット契約を結ぶ、いわゆる個品割賦購入あっせんによります訪問販売等の消費者トラブルが集中している実態を踏まえまして、悪質商法を助長するような不適正な与信を排除するとともに、消費者被害を救済するための適切な方法について議論を行っております。 その中で、委員の方々からは、例えば個品割賦あっせんを行うクレジット会社に対する規制を強化して、例えば登録制を導入したらどうかとか、あるいは訪問販売業者の加盟店を調査をしっかりやったらどうか、それから消費者の支払能力の調査や与信契約の書面交付を義務付けるべきなどの意見が出されております。 これらについて委員の方々に引き続き議論を深めていただき、これを踏まえて具体的な措置の内容を検討してまいりたいと、こういうふうに思っております。 ○大門実紀史君 私も資料を読ませていただいて、今一つの議論として、簡単に言います、要するに、今回いろいろ法改正していこうという中で、適正与信を信販会社にも責任持ってもらうとか書面交付の契約書にも責任持ってもらうと。つまり、そういう義務を課して、信販会社に義務を課して、それには注意義務というものが発生します。それは、もしも注意義務違反、つまり悪徳業者がとんでもないことやったと、そうすると注意義務違反に問われると、それをもとに、言ってみれば損害賠償責任を問うことができると、こういう仕組みで裁判のときに既払い金も返す根拠にしていけるんではないかと、そういう意見だというふうに思いますが、簡単でいいですから、そういう理解でよろしいですか。 ○政府参考人(松井英生君) 先生御案内のとおり、割販法の三十条の四は、販売業者に生じている事由をもって消費者にクレジット会社からの支払請求を拒む権利を認めたものですけれども、これだけでは先ほど申しましたように既払い金の返還請求はできないというものでございますけれども、先生おっしゃったようなその義務を別途、調査義務を別途クレジット業者に課しまして、その義務に違反をしたということをもって損害賠償請求という形で既払い金を返還するということも一つの良い案ではないかなというふうに考えて、今現在、法律の専門家と議論をしているところでございます。 ○大門実紀史君 私は、そういう考えに経産省も今踏み込まれているというのは、もう今までに比べると大変前進だと思いますから大変評価するところではございます。ただ、本当にそれが、そういうものが本当にそれで裁判になって既払い金返還までに結び付くんだろうかというところは少し危惧が残っております。 いずれにせよ、考え方は、もう一度確認いたしますけれども、経産省も今そういう方向でと思っていらっしゃるのは、今までと違って、そういういろいろ注意義務を課した後、信販会社に課した後そういう悪徳業者の事例が起きた場合はそういう注意義務違反と、今度は行政処分も付ける方向らしいですから、そういうものに違反したからそういうことが問われると。責任が問われるから、言わば結果としての行為責任を問うという形で既払い金返還まで結び付けてあげたいと、そういうお考えということでよろしいですか、簡単にお願いします。 ○政府参考人(松井英生君) その考え方だけですべてだとは思っておりませんけれども、いろんなオルタナティブの中で一番実現性が高い案ではないかなということで、現在、法律の専門家とともに検討を進めておるところでございます。 ○大門実紀史君 私は、その方法を何も否定はいたしません。ただ、そうなると、もう時間がないんで議論だけといいますか意見だけ、ちょっと意見交換をしたいと思いますが。 要するに、そうなると、裁判をやらないと分からないと。裁判やってみないと分からないというところがございますし、本当に、例えば契約書はまともであったと、ふだんもそれなりの管理をしていたと、しかしそういう詐欺的な勧誘をやって被害が出たと。そうすると、本当に司法の場で信販会社の責任を問うて既払い金の返還の根拠まで行くのかなと。しかも、仮にそうなった場合、そういう判決が出るという場合でも数年掛かりますね、裁判をやりますと。信販会社も簡単にはうんと言いませんから、最高裁まで行く可能性があります。そうすると、もう五年や六年掛かると。その間にまた被害が生まれると、これ救済するのに、これから法改正来年やってまだ何年も掛かるということも想定されるわけですね。 私は、そういうことではなくて、そもそも大体裁判みんな起こせるかといいますと、今消費者センターにそういう苦情が来ます。その平均金額というのは八十万円ぐらいだそうで、みんなが新聞に載るような大事件ですと裁判ということになりやすいですけれども、独り暮らしのおじいちゃんとかおばあちゃんとかそういう方々あるいは裁判費用がない方、裁判起こして数十万円の金取り戻すというまでなるだろうかと。泣き寝入りがやっぱり多くなるんじゃないかと思うんですね。 そういう点で、私、もちろんそれはそれでやっていただいた上でですけれども、今消費者センターでは三十条の四を使って、そういう事例の場合は、もう未払金払わなくていいですよということを信販会社にも間入って連絡してあげて救済をその場でされているわけですね。やっぱりそういうすぐ救済できると、こういう悪徳事例は、そういうものも同時に考えないと、なかなかまた何年後かにまた法改正しなきゃいけないと、そんな事態になるんではないかというふうに思います。 その点では、もうずばり、これは私の意見ですけれども、三十条の四、抗弁対抗は今未払金だけですが、それにもう既払い金も返すと、こういう悪徳事例の場合はですね、もう書き加えちゃった方が早いし、そうすると消費生活センターでも救済ができるということになりますし、一番いいんではないかというふうに思っているところです。 ちなみに資料に、せっかく配ったんで、時間が余りありませんが、二枚目の資料で言っておきますと、信販会社にとって既払い金を返すというのは相当の抵抗をします。なぜならば、これはダンシング事件と言いまして、モニター商法ですね、布団を買ってもらってそのモニターになってくれれば、モニター料で、高級布団ですけれども、その代金を払いますよというダンシング事件ということで大きな社会問題になりました。四十二億円の被害で、一万四千人ぐらいが被害に遭ったという事例ですけれども。 このときは、これは三つの信販会社が入っておりますが、例えばこのクオークというところが最初にかかわったんですが、途中でこの業者はやばいなというところで取引を抑えていくわけですね。そうすると、今度はオリコが入ってきて取引を増やすと。オリコもここはやばいなと。で、今度はファインというところが入ってくる。なぜこういうことになるかというと、ここはやばいからすぐ取引停止と、で、倒産しちゃいますとクレジットで組んだ分の未払金がもらえないと、できるだけ延ばした方が未払金が既払い金に変わるわけですね、返さなくていいわけですね。だからこういう行動になるわけですよね。この間に、ずっとこれが存続したものですから被害がどんどん広がると、こうなったわけです。 ですから、既払い金というのは、そう簡単に信販会社がはい分かりましたといって返すものではありませんから、私が今心配したように、裁判になって何年も掛かって、それも裁判も必ず勝つとは限らないというふうな事態になっていく可能性が強いということで、もうさっき言いましたように三十条の四にすぱっと入れた方がいいんではないかというふうに思います。 まず、それは私の意見で、まだまだこれから議論してもらいたいんですけれども、私はとにかくそういう裁判も起こせない人たちをどう救うのかと、この点では経産省はいかがお考えですか。 ○政府参考人(松井英生君) 今特定商取法の議論の中におきまして団体訴権というのを導入しようという方向で検討しておりまして、そういう形で個人で裁判を起こせないような方についての別の道を準備したいと思っております。 それからもう一つ、今先生の御指摘の点につきましては、いわゆるクーリングオフについては少し前向きな対応をしようと思っておりまして、御案内のとおり、訪問販売でクレジットを利用したときは特商法及び割販法で訪問販売契約についてクーリングオフが認められておりますが、これに加えまして、つまり販売業者との間でしかクーリングオフがないんですけれども、これに加えましてクレジット契約につきましても連動してクーリングオフが認められるような制度にできないかと、そういうことも検討をしております。それによりますと、自動的に、少なくとも八日以内については止めることができると、こういうことになると思います。 ○大門実紀史君 最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、まだこれから議論をして、中間まとめが六月ということで法改正に向けてはいろいろ議論があると思うんです。私はさっきの三十条の中に既払い金の返還も入れるべきだと思っていますが、いずれにせよ、今の段階で経産省としては余り固め過ぎないで、もっともっと専門家とかいろんな意見を聞いてこれから法案にしていってほしいと。貸金業の場合もいろんな議論がずっとあってだんだんだんだんいろいろいい案になってきたわけですね。そういう点では余り今、経産省のお考えは分かりますけれども、私はそれだけでは心配ですので、弁護士さんや専門家を含めて意見を聞いて、もっと広い方向で意見を集めて法改正に臨んでほしいというふうに大臣にお願いしたいと思います。 もう一つ言えば、イギリスでは、むしろ行政窓口が物を買うならクレジットで買いなさいと言うんですね。消費者に指導するわけですね。なぜかというと、クレジット会社を通した販売店というのはクレジット会社が審査をして信頼できる販売店だと、こうなっているわけですね。そこまでいかなきゃいけないと私は思います。こんなことでぐちゃぐちゃ信販会社が文句を言っているようでは駄目だと思うんですよね。イギリスはクレジットが大変盛んな国でございます。そういうやっぱり健全な業界にしていくためにも、こういうことはすぱっと早く決着を付けるべきだと思います。 いずれにせよ、大臣にお伺いしたいのは、広い意見を聞いてこれから法案、法改正に向けていい案を作っていってほしいと思いますが、その点、大臣、最後にお聞かせいただきたいと思います。 ○国務大臣(甘利明君) 今日のこの委員会における御審議も含めまして産構審で適切に措置を検討をいただくということでありますし、経産省といたしましても審議会の議論を踏まえて更なる対策について検討を深めてまいりたいと思っております。 ○大門実紀史君 終わります。 |
戻る▲ |