■2007年4月26日 財政金融委員会(FRC報告・一般質疑) 生命保険会社の不払い問題、死差益による不当な儲け主義を追及 |
○大門実紀史君 大門でございます。 破綻報告については足利銀行問題をフォローしてきましたけども、既にもう何回も取り上げておりますので、今日ももう議論がありましたので、とにかく地元の中小企業、経済活性化のために、受皿問題も含めて、金融庁、御尽力をいただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。 この間、大問題になっています生命保険の不払問題について質問をしたいと思います。 ちょうど二年前になりますか、四月だったと思いますが、この委員会で明治安田生命について、当時は伊藤大臣でございましたと思いますが、取り上げました。そして、そのときにほかの生保も不払の可能性があるということを御指摘して、調査に入っていただきたいということを申し上げて、その後、金融庁努力されて、不払問題だけではなくて今回の大規模な、支払漏れという言い方もどうなのかとありますが、とにかく顧客にとっては不払というものを摘発されたということで、金融庁の御努力には敬意を表したいと思っているところでございます。大変毅然とした対応をされていると思います。 ただ、この根底にあるのが、明治安田からやってきまして、やり口としてはいろいろあるんですけども、根底にあるものはやっぱり、何といいますかね、利用者、顧客不在のもうけ主義といいますか、そういうものが根底にあるので次々といろんなことが起こるんではないかというふうに思っているところです。そういう点で、不払問題そのものよりも経営構造、業界の体質そのものについて今日は質問したいと思います。 お手元に「大手生保八社の二〇〇六年度上半期の業績」というものをお配りをいたしました。いわゆる三利源というのがこの間公開されるようになりまして、それを数字として入れてございます。 三利源、もう御存じの方いらっしゃると思いますが、簡潔に申し上げますと、危険差益というのは想定していた死亡率と実際の死亡率の差と、それで予定した保険金と実際の保険金支払額との差が生んだ利益ということでございます。利差益というのは、予定利率と実際の運用利回りとの差になります。費差益というのはコスト、事業上の差益ということでございます。 問題はこの危険差益、死差益という言い方を従来しておりますけども、この部分ですが、異常にここが大きくなって、利差益、つまりマイナスになっていますから逆ざやですね、逆ざやの損をこの死差益が埋めているという構造になっております。異常な姿だと私は思いますけども、金融庁として、なぜこの危険差益がこれだけ膨らんでいるというふうに把握されているのか、この原因は何があるのか、どうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。 ○政府参考人(佐藤隆文君) 御指摘いただきましたように、生命保険会社におきまして一般的に死差益が利差損を補っているという、こういう構図になっているのは現状、事実であると思います。 これが正常な姿かどうかについては御議論のあるところであろうかと思いますが、保険会社が財務の健全性を維持しながら保険金の確実な支払を行っていくということ、契約を履行していくこと、これはトータルとして採算が取れているということも重要であろうかと思います。したがいまして、死差益が利差益を補っているという現状も、財務の健全性、保険会社としての財務の健全性を維持し、確実な保険金の支払を行うと、この根本に照らした場合に一定の役割も担っているかなという気もするわけでございます。 また、そもそも死差損益でございますけれども、これは御指摘いただきましたように実際の死亡率と予定死亡率との乖離によって生じるわけでございますが、予定死亡率は、御案内のとおり保険数理に基づいて一定の安全率を見込んで算出されているということでございますので、ある程度の死差益が生じるということは元々不自然なことではないのではないかというふうに思っております。 なお、死差益、利差損、費差益を合わせまして保険会社全体として剰余金が生じていれば、契約者配当といった形で契約者に還元される仕組みになっているということも委員御案内のとおりでございます。 ○大門実紀史君 そのある程度の死差益、当然なんですけれども、ちょっともうある程度を超えているというふうに見られるんじゃないかと思います。朝日生命なんか異常ですよね。利ざやの損を死差益で埋めて利益の二七四%になっていると。これはもう異常な姿で、ほかのところも異常でございます。医療保険で言えば、死差益というよりも危険差益という言い方の方に該当すると思いますけれども、いわゆる第三分野、この間問題になっております医療の部分ですが、これがこの危険差益を膨らませる原因の一つになったと私は思っておりますが、その点の認識はいかがでしょうか。 ○政府参考人(佐藤隆文君) 一般的にはこの死差益あるいは危険差益というのは様々な要因で決まってくる面もございますけれども、やはり大きいのは死亡率について乖離が大きかったということであろうかと思います。したがいまして、医療保険のようなところでこれが大きくなる方向で貢献しているということについてはちょっと確認できておりませんが、一つの見方といたしましては、例えばこの乖離が大きくなって死亡率が下がるということの場合には、例えば医療保険の場合ですと保証期間が長くなるというふうに作用いたしますので、むしろこの危険差益というのは小さくなるような方向に働くと、そういう面もあるかと思います。 ○大門実紀史君 それはならないですよ。今回、各生保が保険料を引き下げていますけれども、それを見てもそういうふうにはなりません。 私はこれ大きな影響とは言いませんが、この間個人の保険契約の全体の契約数は横ばいですよね。その中で医療保険、第三分野が増えております。もう一つは、医療保険の部分というのは予定した入院給付と実際の差額ですから、これいわゆる予定死亡率とか何か客観的なデータがないものですから、各社がそれぞれ自分でリスクマージンをやると。だから多めに、新しく始めたところはそれを多めに想定したりすると。もう一つは、今回これだけの不払が起きたのはこの部分が多いわけですから、当然この部分が膨らんでいるんではないかと思います。大きな影響を与えているんではないかというふうに、それを是非認識してほしいなというふうに思います。 いずれにせよ、この三利源、死差益が膨らんでいる実態というのは金融庁としては検査のときに把握されていたというふうに当然思います。そうすると、今までは公表されていなかったわけですね、これね。明治安田生命の事件以来公表するようになったわけですけど、各社も。金融庁としては公表される前からこの危険差益が膨らんでいるのは恐らく検査のときに当然御存じだったと思います。そうすると、先ほど佐藤さん言われたとおり、配当に回すとか、責任準備金に回すとか、あるいは保険料も金融庁が認可するわけですから、下げるべきではないかとか、こういう指導があってしかるべきだったというふうに思うんですが、いかがですか。 ○政府参考人(佐藤隆文君) 保険料の認可についてのお尋ねでございますけれども、金融庁におきましては、保険会社各社からの申請を受けて保険料の算出方法を保険業法上の審査基準に基づいて審査し認可を行っているということでございます。 保険業法上の審査基準といたしましては、保険数理に基づき保険料が合理的かつ妥当なものとなっているかどうか、あるいは不当に顧客に対して差別的な取扱いになっていないかどうか、こういったものが主要なチェック項目となっているわけでございます。 そこで、標準生命表を踏まえた予定死亡率を用いているという保険商品につきましては、死差益の発生原因となる死亡率等を合理的に見積もっているというふうに認められるために、死差益の発生状況といったものがこの保険商品の認可の過程でチェックする項目にはなっていないということでございます。 ○大門実紀史君 今おっしゃったその標準生命表に関していえば、この死差益を膨らませた原因の大きなもう一つの理由が標準生命表の問題だというふうに思います。この点は金融庁もきちっと指導すべきじゃなかったかなという点があるわけですけれども、その点をお話ししたいと思いますけれども。 これが標準生命表の改定されて出たやつですけれども、これは予定死亡率の、各社が責任準備金とかあるいは保険料の物差しにする予定死亡率の一つの基準になるものでございます。これは寿命と死亡率の推計が載っているやつでございますけれども、これは日本アクチュアリー会で公表して、金融庁が検証するという仕組みになっております。 昔からこの生命表というのはほぼ五年ごとに改定されてまいりました。しかし、どういうわけか九六年から十年間改定がされませんでした。その間も平均寿命は延びておりまして、例えば男性ですと一・五歳、女性が二歳、この十年間で延びております。これは標準死亡率全体でいくと、一二%死亡率が男性の場合低下した、女性だと一八%低下したというふうに換算されます。したがって、それに基づいて保険料が下げられてしかるべきだったわけでございますけれども、やっと十一年ぶりにこれが改定されて、この四月から各社が値下げをするというふうになっております。 もし五年前に、過去ずっと五年ごとに改定していたわけですから、五年前に改定されていれば保険料をもっと早く下げることができたはずだというふうに思いますが、なぜ十年間もこれが改定されなかったのか。金融庁は毎年この報告そのものは受けておられたと思いますが、なぜ十年間も改定されなかったんでしょうか。 ○政府参考人(佐藤隆文君) 標準生命表の改定についてでございますけれども、予定死亡率、御案内のとおり、保険業法第百二十二条の二に規定された指定法人である日本アクチュアリー会が作成することになっておりまして、当局がこれを検証すると、こういう制度になっておるわけでございます。 具体的には、日本アクチュアリー会が各生保会社における毎年の経験死亡率、実際の死亡率の動向等に基づいて予定死亡率の見直しの必要性について審議を行い、その結果を当局に報告すると、こういう流れになっております。 これを受けまして、当局といたしましては、日本アクチュアリー会からの報告内容を毎年確認しているわけでございますが、平成十七年度までは生保標準生命表一九一六と経験死亡率の乖離幅が比較的小さかったために改定は必要ないというふうに判断されてきたわけでございます。他方、平成十八年度におきましては、この生保標準生命表一九一六との、あっ、ごめんなさい、一九九六と経験死亡率の乖離幅が大きくなったということで、当局及び日本アクチュアリー会において改定を要するというふうに判断をしたものでございます。 ○大門実紀史君 途中は余り変わらなかったから、その後変わったからというのは成り立たないと、この数字を見てもらえれば思うんですね。 このアクチュアリー会というのは、二枚目の資料に付けてありますけれども、どういう構成かというと、要するに生保の団体でやっているんですよ。自分たちで改定するかどうか決めているわけですよね。つまり、改定しなければ死亡率を変える必要はありませんから、高い保険料のままいただけるという関係になっているわけです。したがって、この死差益がこれだけ膨らんできたというのは、この改定を行わない、死亡率の改定を行わない。死亡推定率下がっているわけですけれども、高いままの保険料で取れるわけですね、改定しなければですね。それ、お手盛りなんですよね。そういう仕組みでこの死差益がここまで膨らんでいると。これはもう、冒頭申し上げましたけど、不払は具体的な、まあ事件的なものですけれども、業界の体質そのものが、こういう自らお手盛りで改定をしないという中で、それを続けて死差益をこれだけ膨らませて利益を膨らませるということになっているわけでございます。 私は、この業界全体の経営の体質といいますか、こういう経営の方向といいますか、なおかつ金融庁がこういう指定団体に、身内の指定団体に任せていると。この辺はもうメスを入れるべきときに来ているんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。 ○国務大臣(山本有二君) 御指摘のアクチュアリー会についてのお話につきましては、今後また検討も必要かもしれません。また、生保全体としての経営体質、こうしたものは、不払事実につきまして我々も懸念を覚えているところでございます。 そういった点含めて、今後議論を重ねていきたいと思っております。 ○大門実紀史君 今も大臣の御答弁いただきましたように、業界の体質そのものにメスを入れるような金融庁の指導監督をお願いして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。 |
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