国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2007年4月9日 決算委員会(政策金融機関の決算審査)
○大門実紀史君 大門でございます。
 政策投資銀行に絞って質問いたします。
 政策投資銀行については、ファンドの出資の問題含めて様々な問題点を当該委員会で何度も質問して、厳しく指摘をさしていただいてきたところでございます。小村さんとも何度も質問をさしていただいておりますけれども、これから完全民営化されるということでございまして、私はなくすことには大賛成でござい ますけれども、その完全民営化というのが何なのかというのが、場合によっては国民に損失を生む、国民負担を生むということもありますので非常に疑問を持っているところですが、その前にやっぱり今までやってきたことをきちっと総括をされるべきではないかという点もありますので、今日は法案の審議ではありませ んから、その前提として幾つかの今までのことも含めて質問したいと思います。
 まず、政策投資銀行が何をしてきたかという点ですけれども、資料をお配りいたしましたけれども、融資先を資本金別に分けてみました。要するに、申し上げ たいのは、百億円以上の大企業に七三・一%、一億円以上で見ますと、合わせますと九四%の融資をしていて、一億円未満はわずか五・九%というところでございます。これは、戦後の経済復興期ならともかく、今どきこういう大企業中心に巨額の低利の融資を続けているということは何を意味するかということなんですけれども、民間では既にもう長期信用銀行、長銀がそういう役割終えて、政府機関としてこういう役割を引き継いできたといいますか、いまだ行ってきたのが政 策投資銀行でございます。
 大企業というのは、今や社債発行を含めて自分で調達が可能でございます。そういうところに巨額の融資をしてきたという意味は何を意味するかといいます と、大企業が社債あるいは市場から調達できる市場金利と政投銀が融資をする低利の融資、政投銀の低い金利、この差額を財投資金、つまり国民のお金が埋めて きたということに変わらないわけでございまして、これは言い換えれば補助金のばらまきと言われても仕方がないことだと思いますが、その辺の認識はいかがで しょうか。

○参考人(小村武君)  私どもの銀行は特定の政策目的、これにかなうプロジェクトについて融資をいたしてまいりました。たまたま資本金が大きい企業はございます。これは、例えば 原子力発電、あるいは電線の地中化というような電力会社、あるいは鉄道、私鉄、こういった会社は非常に長い資金が必要であります。しかも、開かずの踏切対 策だとか特定の政策目的に着目をいたしましてお金をお貸しをしているということでございまして、大企業だからお金を御融資すると、そういう関係ではござい ません。

○大門実紀史君  申し上げていることがお分かりになってないんですか。大企業とか言っているわけじゃないんです。大企業ほど資金調達がしやすいときに、自分でできるとき に、今どき、戦後の復興期ならまだ分かりますよ、今どきこういうことをやっているというのは差額を埋めているということになりませんかと。これは一種の補 助金に、これは国民のお金使っているわけですから、財投資金ですね、補助金のばらまきと言われても仕方がないんですかということを申し上げているわけです けれども、その辺の認識、結果としてそうなっているというのは間違いないと思いますが、いかがですか。

○参考人(小村武君)  今や大企業は自らの力で資金調達をする能力というものは相当付いてまいりました。先生おっしゃるように、マーケットにおいては社債を中心に調達をするよう になってまいりました。私どもも、いつまでも重厚長大とかそういう産業金融の中心を果たしてきた時代からは変わってきております。
 ただ、過去の景気対策等々、あるいは国の政策等に基づいて、私どもの金融というのは非常に長期の期間リスクを取るという特色がございます。したがって、 残高としてこうした金額がまだ積み上がっていることは確かでありますが、フローで見ますとむしろ返済の金額は多いという、だんだんそういう傾向になってくると思います。

○大門実紀史君 フローは関係ないんです。申し上げているのは、こういう融資の、何を生んでいるかということでございまして。
 いろいろ政策目標とおっしゃいましたけれども、これは古くなりますけど〇二年の会計検査院の報告でも、このときはちょうど貸し渋り対策ということで政投 銀も動員されて金融環境対応融資制度というのをやられましたけれども、これも後で会計検査院が指摘をしておりますけれども、中堅中小企業対策として行われたはずなのに、結局は十億円以上の大企業に八二%の貸付けがあったと。これはもう会計検査院が、私が申し上げるまでもなくそういう結果になったということ も指摘されているわけでございます。
 あるいは、私、投資ファンドの問題も再三指摘しましたけれども、そんなにきれい事ではないというふうに思いますし、民営化の前提として第三セクターの融 資、これも会計検査院が過去に、〇四年ですね、検査報告で指摘をしています。政投銀の不良債権の半分以上が第三セクターだったと。
 私も、政投銀があちこちにお金出して破綻した北海道の石狩新港、マイカルも含めて見てきましたけれども、相当あちこちに不良債権をばらまいた、そういう 手助けをしてしまったと。今、不良債権が少ないというのは、債権放棄とかあとは自治体に押し付けたとか、いろんなことで今自治体がかなり政投銀を恨んでいるといいますか、不満を持っていまだ思っているところはたくさんあります。
 この問題もまた時間があればやらなきゃいけないんですけれども、ちょっと聞きたいのは、この第三セクターへの不良債権の総額とか、あるいは今まで債権放 棄をした総額とか、先ほど大久保委員のとき、個別のことには答えられませんとおっしゃいました。個別ではなくて結構です。第三セクター全体としてどれぐらいの不良債権があって、どれぐらい債権放棄をしたのか、お答えいただけませんか。

○参考人(小村武君)  私どもの役割は、貸し渋りのときも中小企業に金を貸さなかったじゃないかという御質問もありましたので、この場をかりましてお答えいたしますが、中小企業 については中小公庫で対応する。私どもの分野については、特別の立法において、例えば日産自動車に対する緊急融資等々を図ったわけであります。
 それから、御質問の第三セクターの問題でありますが、確かにバブルの時期に、地方経済あるいは地方公共団体の財政力というものについて、大変皆さん楽観 視したことも確かであります。私どもの銀行もまた反省すべき点は多々あったと思います。新銀行になりまして、第三セクターのそうした融資を引き継ぎまし た。引き継いだ結果、バブルの崩壊に伴う地方財政の困難化によりまして第三セクターが行き詰まった。そういったものについて所要の措置を講じたわけであり ます。
 十七年度の決算におきまして、個々の債権放棄につきましては財務大臣の御承認を得なければなりません。この承認を得て、貸付金あるいは出資金、これは第 三セクターだけではございませんが、総額、貸付金については六百八十六億円、出資金については十八億円の償却を行いました。このうち第三セクターがどの程 度かというのは、これは金額を言いますと個別の企業を類推されることもありましょうが、約、今申し上げた金額の過半が第三セクターであると御理解いただきたいと思います。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 相当の金額の債権放棄を行うような今までの投融資をされてきたということだと思います。
 私、このさっきの大企業の、いまだ大企業に対するああいう低利の巨額の融資をやっているということは形を変えた補助金のばらまきだと言われても仕方がないことだと思いますし、開銀時代のリゾート開発とか、北東公庫の苫東とかむつ小川原とかいろんなことがあったわけで、余り大してろくなことをされてこなかったんじゃないかというふうに政投銀というのは思っておりますから、なくなってもいいなと私は思っているわけですけれども。
 ただ、さらに今、多分後でおっしゃると思いますけど、環境とかエネルギーとか地域再生とか、何かもっともな名前を付けてやっていらっしゃいますけれど も、これも一つ一ついろいろ問題を抱えておりますし、別に政投銀が何かもう存在意義が薄れてきたからといって、そんな取って付けたようにいろんなことをやらなくても、必要な案件ならばほかの公的な機関でやればいいと私は思っておりますので、と思うんですけれども、ただこれから出てくる完全民営化法案もよく 分からないといいますか、何もはっきりしないような法案が出てくるというふうに思います。
 基本的な方向だけ今までの経過と関連するので聞いておきたいと思いますけれども、その前に、私資料を見ていてちょっとびっくりしたんですけれども、天下りの問題でちょっと聞いておきたいと思います。
 小村さん含めて政投銀の総裁というのは、歴代財務省の、大蔵省の事務次官級がなられておりますけれども、なぜそういう事務次官級でなければ総裁はいけないんでしょうか。

○委員長(泉信也君) どなたに伺ったことですか。

○参考人(小村武君) 私がやはりお答えする立場ではないと思います。私は、これまでも職務について自らポストを求めたことはございませんし、また拒否したこともございません。任命権者が御判断いただいたことと存じています。

○大門実紀史君 間違えました。財務省に聞こうと思ったんですけれども。じゃ、ついでに聞きますけど、財務省来ておられますね。
 政投銀の総裁、副総裁、理事が、十六人中六人が天下りでございます。これは小村さんに聞いた方がいいかなと思いますけれども、どうして、この天下りで も、海上保安庁長官とか防衛庁の参事官、これ何で政投銀に関係があるんですか。こういう理事をなぜ総裁は、総裁が任命されているんですね、理事は。いかが ですか。

○参考人(小村武君)  海上保安庁長官は最終ポストであります。それまでには航空局長あるいは鉄道関係の仕事をいたしておりまして、私どもの業務と大変密接な関係があります。そ れから、防衛庁参事官の者は、これは経済産業省に長く勤めておりまして、主としてエネルギーあるいは経済産業省所管の各種の業界においてその事情を通じた 者でございます。

○大門実紀史君 またその問題を深くやりたいと思いますが、これは今度、特殊会社になりますけれども、そのときにはこういう天下りは排除されるんでしょうか、財務省。

○政府参考人(香川俊介君) 特殊会社になった後に完全民営化するわけですが、完全民営化した後は、その新しいビジネスタイプの、ビジネスモデルの会社にふさわしい方をその民間の会社の判断でやられることとなると思います。
 特殊会社の間は、必要と認められる識見及び能力を有する者のうちから適材適所で選ばれるということで、今法律におきましても、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないよう十分に配慮するという方針で選ばれると思います。

○大門実紀史君 そうすると、特殊会社の間は五年から七年と言われていますが、天下りは排除されないというふうに理解を取りあえずしておきます。
 あと、この政策投資銀行が完全民営化のときには株式の売却と、つまり売られるわけでございますけれども、財務省としてこの政策投資銀行の売却収入、どれぐらい見込んでおられますか。

○政府参考人(香川俊介君)  平成十八年三月に経済財政諮問会議に提出しました財務大臣資料によりますれば、平成十七年三月末の純資産額ベースで機械的に算出しまして、一・九兆円とい う数字を出しております。また、この数字が平成十八年三月末におきましては約二兆円となっております。ただ、当該純資産額に該当する政府保有株式の処分収 入の実際の見込みにつきましては、株式市場の動向等にも左右されるものであり、現時点でお答えすることはできません。
 いずれにせよ、政府が保有する政投銀の株式につきましては、市場の動向を踏まえつつ、おおむね五年後から七年後を目途としてその全部を処分するとともに、処分に当たっては、企業価値の向上を図りつつ円滑な処分と処分収入の適正な確保を図ることが重要と考えております。

○大門実紀史君  つまり、今の政投銀の売却のときに、幾らか分かりませんが純資産額が一つの目安になると。それ以上で、民営化の企業価値が高まって株価が上がればそれ以上 で売れると、しかし、そうでない場合は、逆に国民の損失といいますか負担になるという可能性もあると、両方あると思うんですけれども。この構想は国民負担 を生まない、損失を生まないということが確約できるような案でございましょうか、財務省。

○政府参考人(香川俊介君) 処分に当たりましては、先ほども申し上げましたが、企業価値の向上を図りつつ処分収入の適正な確保というものを図ることが重要と考えておりますが、実際に幾らで売れるかということにつきましては、株式市場の動向等がございますので現時点ではお答えすることはできません。

○大門実紀史君  いや、幾らかとか聞いてないんです。つまり、この案がうまくいかない。つまり、この企業価値を高める完全民間会社と、これがうまくいかなかったら純資産で 売っても私は損失だと思いますが、純資産以下と、つまり国民負担、国民損失になる可能性があるわけです。そうならないような案かどうかと聞いているわけ で、幾らで売れるかなんて聞いていませんから、ちゃんと質問を聞いて答えてくれますか。

○政府参考人(香川俊介君) 幾らということは言えないということは別としまして、処分収入の適正な確保を図るように企業価値の向上を図っていただきたいと。企業価値の向上を図れば、処分収入の適正な確保は可能であると考えております。

○大門実紀史君 だから、それができなければ損失になるということだと思います。
 小村総裁、国民負担、国民損失を生まないというふうな、この構想でですね、それは確約できるんでしょうか。

○参考人(小村武君) 新しい会社の経営者がどういうビジネスモデルを持って臨むかという際に、私どもは今考え得る最善の策を考えております。
 株主がどういう株主になるかによって、そういうまたビジネスモデルを否定されるかもしれません。ただ、今私どもが作成しつつあるビジネスモデルに理解の ある方々が株主になっていただければ、きちっと民営化会社として経営をできるように、そういう仕組みをつくるというのが今私に課せられた仕事であろうと存じております。

○大門実紀史君  そのビジネスモデルですけれども、資料の三枚目に政投銀が出しておられるのを書きましたけれども、私はこれ抽象的でよく分かりません。四つのDNAという のは何なのか全然、余り昔のDNAなんか引き継がない方がいいんじゃないかと私は思いますけれども。要するに、何をやろうとしているのかがさっぱり分かり ません。幾つか、長期的な視点と行動とか、長期的視点からのアドバイス、出資と融資が一体ととか、これは何も、今までと何が変わるのかというふうに思ったりもいたします。
 もう一つ申し上げたいのは、もう一枚最後の資料を付けておきましたけれども、いろいろ言っても今までは政府保証の資金を使ったからいろいろできたわけで ございますが、利ざやと資金調達コスト、ROE、すべて民間に比べてこういう状況でございます。これが民間になったときに、いろいろここに書かれているよ うな、こんなことができるのかというふうにもう素朴、率直な疑問を抱くわけでございます。
 それともう一つは、日本経済センターが推計をしておりますけれども、今の政投銀の純利益ですね、これは民営化されれば二分の一から三分の一になるという試算も出ております。こういう企業を買う、本当に売れるのかと、どこが買うのかというふうに思いますが、いかがですか。

○参考人(小村武君) 今、私どもは政府系金融機関であります。利益を上げることを目的とするよりも政策目標の達成、これは財政資金、税金を使うよりも、金融という手段をもって政策を実現するということでその使命を果たしております。
 ただ、私どもの場合には、収支相償という原則であります。これは、収益を上げるということだけではなしに、また損失を出して政府から税金で穴埋めをして もらうと、そういう銀行であってはならないということで、収支相償が今原則であります。おっしゃるように、民間ベースになれば収支相償では経営はいたしか ねます。やはり収益性というものを加味をしていかなきゃいけない、今のままのビジネスモデルでもつはずがありません。
 ただ、これまで五十年間培ってきたこの四つのDNA、長期的な視点を持って行動する、中立性を維持する、パブリックマインドを持つ、信頼性の高い組織に する、この要素、四つのDNAは私どものこれからのビジネス展開をする上においても大変重要な視点であり、だからこそお客様が付いてきてくださると思いま す。簡単に、例えばどこかの外資と組んで短期の利益を追い、どこかで相場を張るなり、株式の買占めをして売り飛ばしてもうけるとか、そういうことはしない で、民間金融機関として真っ当な機関としてやっていこうということがここに書いております我々のビジネスモデルであります。
 もちろん、これまでも制約は非常に多うございました。長期の、五年以上の資本形成でないと金は貸しちゃいけないとか、短期のものを貸してはならない、あるいは短期の借入れもしてはならない、大変制約の多い中で今日運用をしてまいりました。そういう制約がなくなるという意味においては白地に絵をかくところ がありますから、我々のビジネスチャンスもまた広がってくると思います。

○大門実紀史君 私は、そのDNAはもうお捨てになった方がいいんじゃないかと、それを引きずっているから、引きずって考えているからこういうモデルしか出てこないんではないかと思います。
 私は思うんですけれども、政投銀これからどうなるかと。一つは、純資産以下にたたかれて売却、つまり国民負担、国民損失を生むと。これは銀行グループの 傘下とか、払下げ同様にどこかに売却されると、これは国民の損失を生みます。二つ目は、話が出ておりますが、郵貯銀行と合併をすると。これもあながち、か なり可能性も低くないと私は思っております。しかし、これはもう郵貯銀行と一緒になるなんてことは、財投の入口と出口が民営化後にまた一緒になっちゃうと いう、もう全く笑い話のような、ばかにされる話になりますですね。三つ目に思うのは、やっぱり財務省の管理下で、五年から七年といいますけれども、ずるず ると生殺し状態でいくと、更に更に損失を生むという形。
 この三つの、余り暗いことばかり考えたくありませんけれども、今の案を見ていると、この三つの方向、三つのような形しかないような非常に危険性を感じるわけですけれども、そうならないと言えるだけの材料がないんですけれども、総裁いかがですか。

○参考人(小村武君) 大門先生、私どもの銀行に大変御理解がこれまでもあると私は信じております。励ましの言葉として私今受け止めておりますが。
 確かに、私どもの銀行は現在預金機能も決済機能も為替機能もございません。大変低い金利で預金を集めてそれで利ざやを得るという、先生お示しのこういう 表でも表れておりますが、そういうビジネスモデルではございません。したがって、調達金利の問題とかいろんな問題抱えておりますが、これを一つずつクリア していかなけりゃなりません。
 先ほどの日本経済研究センターでございますか、の研究も、ただ調達金利のところだけを修正をして利益が半減するとかということでありますが、私どもの銀 行は、民営化後株式会社になった後は今までと同じようなことをしていては確かにそういう問題がございます。したがいまして、新たに例えば国際ビジネスに乗 り出すだとか、いろんなビジネスのチャンスがございます。あるいは、投資業務に重点を置いていくとか、いろんな課題がこれからございます。
 そういう面において、大変御心配を掛けて申し訳ございませんが、私どもも先生の御心配を常に頭に置きながら、きちっとしたビジネスモデルをつくって、皆さんの、マーケットの評価に堪え得るようなものにしていきたいと、こう考えております。

○大門実紀史君 終わります。
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