■2007年3月14日 予算委員会(一般質疑) 大金持ち優遇の証券税制延長、「成長力底上げ戦略」ジョブカードの問題点を追及 |
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。 格差を是正する観点で質問したいと思います。 まず、尾身大臣にお伺いいたします。 今回延長されようとしております証券優遇税制、その減税の規模は幾らぐらいでしょうか。 ○国務大臣(尾身幸次君) 証券優遇税制の一年延長につきましては、制度の改廃ではないため、従来からの考え方に従いまして、その増減収額を計上していないところでございます。 また、一年延長せずに廃止した場合の増収額が延長したことによる減収額になるのではないかとの御質問でございましたら、株式譲渡益につきましては、将来の株価や株取引高は予想できず、また、いつどの程度の額を売買するかは資産状況等を踏まえた個人の判断によるものでございますので、過去に改正を行った際においても影響額は見積もっていないところでございます。 ただ、地方税におきましては、優遇税率の対象となる個人保有の上場株式の配当、譲渡益について源泉徴収しており、優遇税率を廃止した場合の増収額を総務省として試算しております。その試算に即して、国税について廃止した場合の増収額を機械的に試算するとすれば、配当に係る機械的試算額は二千四百億円、株式譲渡益に係る機械的試算額は三千六百億円となるというふうに計算ができるわけでございます。 ○大門実紀史君 試算として初めて数字が出ましたけれども、国税で約六千億ということは、先ほどありました、総務省が言っております一千五百億、合わせて七千五百億が一つの推計ですが、今政府が言われた、まとめとしてそういう数字と理解してよろしいでしょうか。 ○国務大臣(尾身幸次君) ですから、私どもとしては計算を、そういう試算をしていないんでございますが、総務省の試算から推計をするとそういう数字になると、こういうことでございます。 ○大門実紀史君 総務省の試算、そして今、それを基にすると国税で六千億と。これには、実は株式譲渡益の申告課税分が含まれておりません。したがって、それ以上、七千五百億以上になるというふうに思いますが、いかがでしょうか。 ○国務大臣(尾身幸次君) 先ほど申しましたように、これはあくまでも種々の影響を捨象して計算した総務省の計算でございますが、機械的な試算でございまして、いわゆる改正増減収と異なるものでございます。 特に、株式の譲渡益につきましては、将来の株価や株取引は予想できないということ等から、先ほど申し上げましたとおり、過去に改正を行った際においても影響額は見積もっていないわけでございまして、この点御理解をいただきたいと思います。 ○大門実紀史君 分かりました。我が党の試算では七千五百、大きく超えるというふうに試算をしているところでございます。 資料の一枚目をごらんいただきたいんですけれども、申告所得に占める金融所得の割合をグラフにしたものです。 要するに、富裕層、お金持ちほど株などの所得が多いということでございます。したがって、その金融所得について減税するわけですから、富裕層、特に大金持ちほど、見てもらって分かるとおり恩恵を受けるのは明らかだと思いますが、いかがですか。 ○国務大臣(尾身幸次君) この証券税制の一年延長でございますが、これは、株式の配当及び譲渡益に対する課税につきましては、勤労性所得に対する税負担とのバランス、あるいは預貯金の利子の課税の中立性の確保、簡素で分かりやすい税制の構築といった観点が重要でございます。 こうした観点から、金融所得課税につきましては、上場株式等の配当及び譲渡益に係る軽減税率を廃止して二〇%定率課税による課税方式の均衡化を図ることと、金融所得間の損益通算の拡大を進めることが課題となっております。 こうした中で、十九年度の改正の議論におきましては、軽減税率の廃止に関しまして金融所得間の損益通算の範囲をどのように定めるか、軽減税率の廃止による市場への影響に関してどのような措置をとるかといった点が論点となっておりまして、これらについて更なる検討が必要とされたところでございます。十九年度改正におきましては、このような議論を踏まえまして、上場株式等の配当及び譲渡益に係る軽減税率についてその適用期間を一年延長し、この延長期間の間に金融所得間の損益通算範囲の拡大策や市場の混乱を回避するための特例措置等について検討を行った上で廃止することを決めたものでございます。 ○大門実紀史君 資料の次の二枚目をごらんいただきたいと思います。 これは申告納税者の国税負担率でございます。これは説明するほど難しい数字ではございません。負担率が、グラフにしただけです。所得五千万を超えると負担率が下がります。 大臣は、これなぜ下がるとお思いでしょうか。 ○国務大臣(尾身幸次君) 今、表を見せていただいたわけで、私がここでなぜ下がるかということを申し上げるのは、ちょっと僣越かなと思います。 ○大門実紀史君 じゃ、僣越ながら私が説明いたします。 これには源泉分離課税が入っておりません。したがって、入れればもっと高額所得の方の負担カーブが下がるはずということです。なぜならば、日本は、先ほど言いました、資産課税のところで、証券取引とかですね、分離課税でできることになっております。したがって、その分で減税措置、先ほどの減税措置と合わせて富裕層ほど、所得の高い人ほどそういう所得が多いわけですから、さっきのグラフ、したがって、ここで負担率が下がるのは、正に総合課税になっていない、源泉分離になっているということと、先ほどの減税措置が継続されているからということでございます。アメリカは、ちなみにもう総合課税でやっておりますですけれどもね。したがって、申し上げたいのは、もう日本は累進税といっても、今や高額所得者、超高額のところへ行くともう累進になっていないと、累進が崩壊しているというふうなことを表すグラフでございますので、残余の質問は委員会でやりたいと思いますけれども、是非御研究をいただきたいというふうに思います。 じゃ、委員長、続けて、柳澤大臣も来られましたので雇用の問題に入りたいと思います。 まず、大田大臣にお伺いいたします。 雇用労働面での格差是正について聞きたいわけですけれども、成長力底上げ戦略という中に人材能力戦略というのがあります。これは一体何でしょうか。 ○国務大臣(大田弘子君) フリーターですとか子育て後の女性など、これまで能力を開発する機会に恵まれなかった方に企業の現場で職業訓練を受けることをサポートしようとする制度で、ジョブ・カード制度と呼んでおります。職種ごと、業種ごとに作成されたプログラムに沿って企業の現場で訓練を受け、目標水準が達成された場合にその実績をそのジョブ・カードに記入していくと。 日本の場合は職業訓練が企業の中で行われてきましたので、一度非正規雇用になりますと職業能力を形成する機会に恵まれないと、そのまま非正規を繰り返さざるを得ないということになりがちですので、職業能力を形成する機会を支援しようという制度です。 ○大門実紀史君 私は各省庁にも伺いましたけれども、これはもう中身はほとんど既にやっていること、あるいはそれにちょっと毛の生えた程度のことで、一個一個頑張ってもらうことは否定はしないんですけれども、余り、戦略といって大げさに言うようなことなのかと。これは何とか対策で十分じゃないかと思います。 特に、そのジョブ・カードが分からないので、ジョブ・カードそのものについてもう少し詳しく説明してもらえますか。 ○国務大臣(大田弘子君) ジョブ・カードは、この職業訓練の全体の仕組みをジョブ・カード制度と呼んでおりますけれども、職を求める方が、まずキャリアコンサルティングを受けまして、企業の中でトレーナーに付いて職種ごと、業種ごとに作成されたプログラムで訓練を受けます。そして、その一定の評価に、実績に達したと評価された場合に、それがジョブ・カードに記入されます。他方、大学や専門学校でも実践型教育プログラムを用意して、それを受講した場合もジョブ・カードに記入されます。このジョブ・カードを求職活動の際に活用してもらうという制度です。 実際のジョブ・カードの様式ですとか形、これは具体的に政労使で構成します円卓会議、この下に構想委員会を設置しますので、そこで検討を進めることとしております。 ○大門実紀史君 私は、そんなに一生懸命説明されるような話なのかなと思うんです。 柳澤大臣、厚生労働省、お聞きしますけれども、かつてジョブパスポートというのがございました。これは一体何だったんですか。 ○国務大臣(柳澤伯夫君) ジョブパスポートでございますけれども、これは学生生徒や職業経験が少ない若者を対象にした制度でございまして、ボランティア活動や職場体験など、社会体験活動をジョブパスポートに整理をし記載することを通じまして若者が自らキャリア形成や職業選択について理解を深めることを促す、これがその制度の趣旨でございます。 また、企業に応募する際に参考書類の一つとして活用することによりまして、職業経験が少ない若者が企業に対して社会参加への意欲や適正能力をアピールできるようにすること、これが二つ目のねらいでございますが、そういうことで平成十七年度より実施している事業でございます。 ○大門実紀史君 これは、普通の文房具屋さんに売っている履歴書と何が違うんですか。 ○国務大臣(柳澤伯夫君) ジョブパスポートの様式でございますけれども、インターネット上からダウンロードできるほか、ハローワークやジョブカフェなどにも置いておりまして、自由に入手、コピーすることができるため、その全体の実績を把握することは困難でございますけれども、インターネットだけにおけるジョブパスポートのダウンロードの件数は約一万二千件というように、かなり活用をされております。 履歴書と何が違うかということですが、ボランティア活動歴であるとか、そういうことを記入する欄もありまして、まあ履歴書ですとなかなかボランティア歴のようなものはちょっと記載をする例は少ないのではないかと、このように考えるところです。 ○大門実紀史君 ここに用紙があるんですけど、これ履歴書ですよ、履歴書の用紙ですよ。これ、別に普通の売っている、コンビニで売っている履歴書にボランティア歴書いたって構わないし、技能講習何級って書いたって構わないですよね。これ、何のためにこんなものを作られたのか、何でこれがパスポートなのかですね。これ、履歴書なら文房具屋さんで買えばいいんですよ。こんなものを普及されたら文房具屋さん困っちゃうじゃないですか。 では、大田大臣に聞きますけれども、先ほどのジョブ・カードとこのジョブパスポートはどこが違うんでしょうか。 ○国務大臣(大田弘子君) ジョブ・カードは、企業の中で職業訓練の機会を与えるというところに主眼があります。それを書く媒体であるカードに重きがあるわけではなくて、職業訓練の機会を提供するというところに重きがございます。 これは、今まで企業の中で行われていた職業訓練を社会横断的な職業訓練へとかじを切るもので、私はとても重要だと考えておりますので、一生懸命力を入れて説明させていただいております。 ○大門実紀史君 大臣がおっしゃる訓練プログラムが大事なのは分かっているんですよ。このカードというのが結局履歴書になっちゃうんじゃないかと。職業訓練受けたのを自分で書けばいいだけでしょう。だから、あんまり新しい名前をぽんぽん出さないで、履歴書に書いてもらえばいいんですよ、こんなの作らなくったって、そのプログラムは大事だと思いますが。 仮に、もしそれを、今勘違いをされているように、いろいろ名前で勘違いが起きているんですけれども、データベースをつくる、政府が、個人の職業訓練の、これ膨大な費用が掛かりますよ。それをICカードで出すなんていったらもう大変なことになりますよね。もう何千億掛かりますよ。尾身大臣、恐らくお許しにならないと思いますよね。もう大変な話です。 だから、要するにこれは履歴書に書くって話なんですよ。だから、あんまりジョブ・カードとか使わないでいいんじゃないかと思いますから、もうちょっとやめたらどうですか、ジョブ・カードという言い方は。 ○国務大臣(大田弘子君) これは自分で書くわけではありませんで、きちんと企業の中でその訓練をやるトレーナーがいて、その人がある目標水準に達したということを評価した場合に書くということになります。自分で履歴書に書くわけではありません。 それから、新聞報道で、一部ICカードという言葉が出ましたけれども、これまでの構想チームでそういうことはまだ検討しておりませんで、データベースを作るとか電子媒体でやるとか、そういうことはまだ何も議論しておりません。文字どおりのパスポートのようなものになるかもしれません。それはこれから構想委員会で様式や形については検討してまいります。 ○大門実紀史君 提案している大臣が勘違いされていますよ。企業が出すのは修了書です。履修証明書です。企業がその個人のに書いてあげるんじゃないんです。それをもらって自分で書くんです。だから履歴書に書くのと同じだから、誤解の受けるようなものはもうやめられた方がいいと申し上げたわけでございますので、円卓会議か何会議か知りませんけども、最初にもうやめるということを決められた方がいいんじゃないかと思います。 こういうもう、こんなばかばかしい議論をしているよりも、正社員の雇用を増やすと、正社員と非正社員の均等待遇を実現すると、それに正面から取り組まれた方がいいんじゃないかと申し上げておきたいと思います。 最後に大きな話をしたいと思いますけども、今の経済の根本問題は、大企業だけがもうかって家計が良くならないという話が続いております。大臣は、大企業主導の景気回復が家計などに波及するメカニズムは続いているとおっしゃっていました。一体どういうメカニズムなのか、そしたらいつになったらそれがつながって波及するのか、教えていただけますか。 ○国務大臣(大田弘子君) 今回の景気回復は企業のリストラの過程で回復が行われましたために、企業から家計への波及は、先生御指摘のとおり遅れております。ただ、失業率ですとか有効求人倍率を見ますと、改善傾向で推移しております。それから、正規雇用者も足下で増加しておりますので、企業から家計への波及は徐々にではありますが確かに進んでいると見ております。 昨年の半ば以降、波及に足踏みが見られまして、賃金の伸びが鈍化しております。これが懸念されますけれども、他方で新卒の就職内定率ですとか初任給は改善しておりまして、労働需給は引き締まってきております。したがいまして、景気回復を持続させることで波及は今後も緩やかではありますが進むと見ております。 さらに、原油価格が依然高水準ではあるんですが、一時よりは低下してまいりました。原油価格は中小企業の収益を押し下げる大きな要因でしたので、仕入れコストが低下することによって、常用雇用者の七割強を占める中小企業の収益圧迫が緩和されて、賃金全体に良い影響を与えると期待されます。 ○大門実紀史君 竹中大臣も五年前に同じことを言われてたんですね。もう一向にその話が続いているんです。ちょっと良くなった話をすぐ出されてね。 資料を用意いたしましたけども、三枚目ですかね。要するに、これがすべて表していると思います、大企業の経常利益と労働分配率の推移ですけども。つまり、もうこれは、賃金だけじゃなくて、分配率ですから雇用も賃金も入ります。幾ら経常利益が出ても分配をしないと、そういう姿勢になってきちゃっているわけですよね。これがある限り、ちょこちょこっといろいろ数字がちょっと良くなったとか、いつも針小棒大に言われるんだけども、ずうっと変わらないわけですよ、ずうっとこの、この線で行っちゃっているわけですよ。ですね。ですから、まあいろんなことを言われるのは、もう私も竹中さんと随分議論いたしましたから、非常に聞き飽きた気がしてね。 もっと、やっぱりもう直接に、雇用の問題でいえば正社員をどう増やすかということと、正社員と非正社員の均等待遇を本格的に、本格的にやるというようなことに踏み出さない限り、少しちょっとずついろんな数字を合わせても、結局いろんな答弁がずうっと続けられてもこうなってしまったということにあると思います。その辺の根本的なところに踏み込む必要があると思いますが、大田大臣のお考えを聞きたいと思います。 ○国務大臣(大田弘子君) リストラの過程でしたので、今回、労働分配率の下げがずっと続いてきております。ただ、企業を見ておりますと、これまで人件費を主にコストととらえてずっと抑制してまいりましたけれども、ここへ来て本当の人材投資というようなものが始まっているように感じております。労働分配率もやや下げ止まり感も出てきております。 先ほどの底上げ戦略も含めて、やはり政府としては職業訓練の機会を与える、あるいは最低賃金の引上げに向けて議論をスタートさせると、そのようなことをすることが必要だと考えています。 ○大門実紀史君 今議論されている労働ビッグバンというのがございますけれども、経済諮問会議で。じゃ、労働ビッグバン進めれば労働分配率は上がりますか。 ○国務大臣(大田弘子君) 労働ビッグバンは、働く人全体の立場に立って、労働組合に入っていない人ですとか、これから社会に出ようとする若者のことも含めて、働き方の変化に対応した労働市場全体の在り方を中長期的な視点で考えようとしております。 複線型でフェアな働き方を実現させるとともに、それが経済活力と両立するような環境の整備を図ることが重要だと考えております。このことが長い目で労働分配率の上昇につながると考えておりますので、この中で正規、非正規の壁ですとか、働き方の壁ですとか、性別の壁などを克服する方法を検討してまいります。 特に平成十九年は、若者、女性、高齢者の就業率の向上、それからワーク・ライフ・バランスを推進するための施策の在り方を検討してまいりたいと考えています。 ○大門実紀史君 またこの議論はしたいと思いますが、今言われたのは就業構造のことばかりで、諮問会議あるいは専門調査会で議論され始めましたけれども、労働ビッグバンそのものは正社員も賃金下げようというふうなことがもう言われているわけですから、そうはならないということを申し上げて、私の質問を終わります。 ありがとうございました。 ○委員長(尾辻秀久君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手) |
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