■2006年11月30日 財政金融委員会 |
○大門実紀史君 大門でございます。 もういろいろ御議論ありましたので、通告した質問はもうやめて、素朴な疑問をお伺いしたいと。これはもうだれにでも、基本的な問題ですので、お答えできると思いますので。 今日もいろいろ出ていましたけれども、農業の構造改革論ということでございますけれども、私いまだよく分かりません。教えてもらいたいと思いますけれど も。要するに、東アジアとのEPA、FTAを拡大していくと、どうしても日本の農業の問題が出てまいります。毎回議論になります。それについて、政府諮問 会議でも今言われていますが、日本の農業の構造改革をやって競争力を強めて東アジアから農産物が入ってきてもまあ打ち勝ってくれと、頑張ってくれという話 ですけれども、そんなことがあり得るのかなという疑問がずっと私思っておりまして、農水省はもうさんざん農業の構造改革と言われておりますから、まず農水 省、聞きたいんですけれども、私は、農業というのはもちろん経済論だけで割り切る問題ではないと、多面的な機能があると思っておりますが、経済論としても おかしいと思うんですけれども、なぜ日本の農業が構造改革をやればアジアからの、東アジアからの農産物の輸入に対して勝てるのかと、この経済メカニズムを 説明していただけますか。 ○政府参考人(笹谷秀光君) お尋ねの件でございますが、EPA交渉になりますと、基本的には、アクセスの改善といったようなことが主たるテーマになりますのと、それから農業の協力と いうこともテーマになるわけでございます。そういう中で、相互に攻めるところは攻める、守るところは守る、譲るところは譲るといった形でいろんな各般の交 渉を展開するわけでございますが、我が農林水産省といたしましては、世界においての多様な農業の共存ということを基本に考えて展開しておりますので、その 交渉を通じまして、双方の農林漁業、それから食品産業の振興にも役立ち得るような、共存共栄を図られるような成果が上がる交渉に向けて臨んでいるわけでご ざいます。 その過程で、当然アクセス改善も行うわけでございますので、そのアクセス改善が国内で進捗中の農業の構造の改革に悪影響のないような措置も講じつつ行う わけでございまして、そのような交渉を経まして、双方の農業に、また農林水産業にとって共存共栄が図られるよう戦略的かつ積極的に取り組んでまいりたい と、そういう基本姿勢で臨んでおります。 ○大門実紀史君 いや、基本姿勢じゃなくって、説明してほしいと、なぜ勝てるのか説明してほしいということでございます。 これは二年前ですかね、二〇〇四年にあのメキシコとのFTAのときに、当時の谷垣財務大臣と議論をさしていただきました。尾身大臣は、私が申し上げたい のは、今みたいないい加減な話じゃなくって、経済のメカニズムとしてどうやったら東アジアの農産物と日本の農産物が、どういう仕組みで勝てるのかと、構造 改革をやればですね。これについて、基本的な政府の姿勢にもかかわりますんで、尾身大臣のお考えを聞きたいと思います。 ○国務大臣(尾身幸次君) 昨今、農業の近代化といいますか競争力の強化についての考え方が農林水産省を中心にやや変わってきて、今までの守り一辺倒の姿勢から攻めの姿勢に変わって きているように私は感じております。生産性の向上やあるいは農産物の輸出の促進というようなことを大きな旗印に掲げているということについて、私自身は農 業政策の担当ではございませんが、高く評価しているところでございます。 五十年ほど前になりますが、私が大学を卒業してどこに就職しようかなと思いましたときに、繊維産業は当然アメリカと競争できるけれど、自動車産業は絶対 に競争できないと考えておりまして、少なくとも自動車産業だけには就職したくないなと実は思っておりました。その自動車産業が今や日本一になっているわけ でございますから、そういう意味で、その当時の五十年前の私の先入観というものが違ってきているというふうに思います。 そして、日本の農業につきましても、日本の農産品の品質は世界一であるというふうに私自身認識をしておりまして、そういう品質上の優位を持って競争する ということが、将来、全体の人類の生活水準の向上が実現したときには可能なのではないかと、私専門家ではございませんが、そういう意味で、農林水産関係の 政策をやっている方々の高い志を評価しながら我々としてもそれをサポートしていきたいと、こういうふうに考えております。 ○大門実紀史君 日本の農業が品質を高めてコストを削減するために頑張るということは何も否定しているわけではありません。具体的にEPA、FTAの議論で、入ってくるも のに対して構造改革をやって競争に勝て、頑張っていけと、このことについて申し上げているわけですけれども、具体的にもう少し申し上げますと、東アジアか ら日本に入る農産物というのは、向こうでは、実は向こうの小農民が生産しているというよりも、アグリビジネス、多国籍大企業が現地の人を雇ったり農地を開 発したり農地を借りたりして作って、日本で売れるものを生産しているわけですね。 したがって、向こうの農民と競争しているというよりも、向こうの大企業と、農業大企業と日本の農民が競争しているということ、東アジアの農産物の場合。 今度のフィリピンですとバナナもそうです。パイナップルもそうです。向こうに巨大なプランテーションがあって、デルモンテ社とかドール社という世界的な企 業が生産をしているわけですね。こういうものとの関係をリアリティーを持って申し上げておるわけですが、例えば中国の野菜もそうですね、あれは日本の商社 が向こうで作らせるとか。向こうの農民と競争しているわけじゃありません。そういうものに対して、構造改革をやれば、競争したら勝てると、勝っていけとい うのは、私かなり乱暴な、絵そらごとの議論が続いていると思います。 例えば、どこまでそういうものに対して日本の農業が向こうで、向こうは賃金安いですから、賃金安いところで生産をする農産物に、どこまでそれじゃ農業の構造改革をやって生産性高めれば勝てるのかと、こういうふうに聞いたら農水省はどういうふうにお答えになりますか。 ○政府参考人(笹谷秀光君) お尋ねでございますが、例えば今回の日・フィリピン連携協定におきまして、果実につきまして、先生御指摘のようなパイナップルとかバナナについて関税のア クセス改善を行っているわけでありますが、国内への影響は最小限になるよう、いろんな形で、例えばフィリピン側の要求をよく受け止めつつも、即時又は段階 的に撤廃を行う、それから関税割当てを設けるなど、交渉におきましては国内果樹農業の振興に悪影響を及ぼさないような配慮もしながら、国内生産が少なく関 税率が低い熱帯果実を中心としまして協定発効時点での関税撤廃に応じるなど、その他の品目につきましては個別品目の事情に応じまして展開をするなど、いろ いろ極力国内への影響も回避しながら進めつつ、一方におきまして国内の果樹の農業についての構造改革も進めると、こういった二重のアプローチで展開をして いるところでございます。 ○大門実紀史君 何重のアプローチやったっていいんですけどね、あなた官房審議官でしょう。官房審議官ともあろう人が、自分たちが掲げている農業の構造改革について説明が できないんですか。なぜ生産性を上げて勝てるのかということ、それだけを聞いているのに。説明もできないんですか、経済的に。 もっと申し上げますと、東アジアの各国と日本の賃金は数十倍の差があります。あります。為替、通貨の価値も経済力違いますから物すごい差があります。つ まり、例えば品質を上げていくといっても、結局日本で売れるものだったら、東南アジアで生産しているアグリビジネスはいずれ日本で売れるような品質のもの を開発いたします。日本も頑張ったとしても、これはもう時間の問題で、いずれ開発いたします。 残るのは何かですね。残るのは何かというと、賃金と為替です、農業の問題ではですね。賃金と為替のこれだけの格差を超えて東アジアの農産物に日本の農業 が打ち勝つということはあり得ないと。逆に言えば、日本経済がよっぽど沈没をして為替の差が東アジアの国となくなるか、賃金がよっぽど下がって同じになる か。これはこういう世界しかないことを何かいかにも頑張ればできるようにおっしゃっているんで、核心の問題を申し上げているわけでございます。 尾身大臣、説明できますでしょうか。 ○国務大臣(尾身幸次君) 私は、先ほど申し上げましたように、農業の構造改革をして日本の農業が世界に通用するような農業を目指していく、その志を高く評価しながら我々としてもこれをサポートしてまいりたいと考えております。 ○大門実紀史君 幾ら聞いても答えが出てまいりません。今の政府が掲げておられる農業の構造改革論、それで頑張っていけばEPA、FTAを幾ら結んでも大丈夫だというのは、本当に架空の世界の話をなさっているということを指摘して、ちょっと早いですけれども、質問を終わります。 |
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