■2006年3月10日 予算委員会(税・財政・金融集中審議) 消費税は格差広げる、他国と比較し指摘 |
○大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。 私は、今日は税と格差の問題を質問しようと思っておりましたけれども、質問いたしますけれども、用意していた質問の半分ぐらい若林先生がもうおやりになりましたんで、だからというわけではありませんけど、先ほどから量的緩和のやり取りが続いておりますんで、一つだけどうしても言いたくなったといいますか、お聞きしたいと思いますので、御了解いただきたいと思います。 そもそも、今までの三十五兆という超量的緩和は、私は正常なことではなかったというふうに当該委員会でも質問してきたところですけれども、大体、必要な額というのは今でも十兆円ぐらいでございます。それが三十五までやってきたというこの異常さについて、あるいはそれについて何にも触れずに、何事もなかったかのようにただ解除をして、そういう議論だけを聞いていると、ちょっと違うんじゃないかなと思っておりますので、指摘をさしていただきたいと思います。 量的緩和の結果、私から言わせると、日銀は負の遺産を抱え込んだと、そういう指摘を二月の財政金融委員会でさせていただきました。福井さんには、もう総裁にはそういうお話を聞きましたんで、時間の関係もありますので、与謝野全体の担当大臣にお聞きをしたいと思います。 私が負の遺産というふうに申し上げたのは、日銀が今国債を九十八兆も抱えております。世界の中央銀行で自らの国の国債をこんな抱えている国というのは例がございません。国が発行したものを中央銀行が抱えるわけですから、タコが自分の足を食っているような、そういう構造になっております。これが一つの異常な点。 もう一つは、銀行の保有していた株を日銀が買い取りました。それが二兆円にもなっております。しかも、平成十九年までこれを売ることができません。十九年以降、十年掛けて売ると。民間の株を日銀が買い取っている、しかも持ったまま売れないと、これも異常なことでございます。 もう一つは、国庫の納付金が平成十三年に比べたら一兆円以上減っております。これは、量的緩和の結果、法定準備金を積むという関係で国に納めるお金が減ったわけですね。したがって、この財政が厳しいときに日銀から入るべきお金が一兆円も減っているということです。日銀そのものの問題でいえば、自己資本比率が今七・三〇まで下がっています。一応八%以上はなきゃいけないわけですけれども、ここまで自己資本も毀損しているわけでございます。 私は、全体見てきて、長い間の議論聞いて、私も質問してきましたけれども、こういう中央銀行の在り方、一口に言いますと、国債の引受機関化あるいは株の買取り機関化になってしまったこの日銀ですね、私は、やっぱり中央銀行としてきちっとした独立性を保つべきだと、だからそんなに踏み込むべきじゃないということを主張してきたわけですけれども、こういうことを何も触れないで、何もなかったかのように量的緩和の議論がされるというのは、私ちょっと違うんじゃないかと。こういうことをどう総括するのかと。今後そういうことがないようにするのか、また、あるいはもっともっとそういうことを日銀がやっていくのか。 私は、日銀の独立性にもかかわりますので、政府の見解といいますか、もちろん日銀の判断だというのはあると思いますけれども、お聞きしておきたいというふうに思いますので、与謝野大臣にお願いしたいと思います。 ○国務大臣(与謝野馨君) 日本の不況は、正にデフレスパイラルという余り先進国では見られない現象に直面をしたわけでございます。そのときには政府もいろいろな政策を通じてそのデフレスパイラルを回避しようと考えましたし、また、日本銀行も持てる手段をもって日本の経済の底抜けを防止するためにいろいろな措置をとったと私は考えております。 日銀自ら認めるように、これは各国で例を見ない異常な金融政策、これはその異常な金融政策から脱却をするということが今回の量的緩和解除の一つの大義名分であったわけですから、今までやってきたことが正常であったという意識は日銀の方にもありませんし、私どもはやはりデフレスパイラル、また金融のシステミックリスク、こういうものから抜け出すための異例、非常の手段であったと私は思っております。 そういうものを昨日解除するということを決定したということは、金融が正常化に向かって第一歩を歩み出したということで、これからは日本の金融政策全体が先進国の金融政策に近づく、その私は第一歩が昨日であったと思っております。 どのぐらいの期間掛かってそこまで到達するかは、また今後の経済情勢によるものだと思っております。 ○大門実紀史君 これぐらいにしておきますけれども、要するに、与謝野大臣は日銀の独立性を大事にされる方だというふうにお聞きしておりますので、私と一致すると思いますので、今後のことはきちっと、協力関係といっても、セーブするものはセーブしていただきたいというふうに思います。 本題に入ります。もう簡潔にお伺いいたします。 資料の一でございます。これはジニ係数、すなわち所得の格差の国際比較でございます。先日、川崎厚労大臣は、外国と比べてそんなに差はないんだと、正常なんだと、日本は、とおっしゃっておりましたので、この資料を用意いたしました。川崎大臣の厚労省の資料でございますけれども。 ジニ係数というのは、これは指数が〇・一上がるだけでも大変なことを示す数字でございます。〇・五でも大変なことです。だから、何となく見て、〇・二五とか〇・三三、余り変わらないじゃないかと、こんなレベルの統計数字ではございませんので、よく認識を持っていただきたいと思います。 総理に伺いたいんですけれども、日本がどういう国かという点なんですが、日本とアメリカとイギリスですけど、この三つの国がヨーロッパの大陸の国よりも格差が広がっていると。これは総理として、なぜだか、もし御見解あればお聞きしたいと思います。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 先日もジニ係数の問題が議論されたときに、私は、このジニ係数と格差の問題で識者の報告を受けたことを申し上げたわけであります。言われているほど日本に格差はないと。 そういう中で、ジニ係数というものが引用されたわけでありますが、今、果たしてこのジニ係数というのが、各国の比較と実際の日本の比較というもの、ジニ係数だけのことを取って日本においてほかの国と比べて格差社会であると言えるのかどうかはまた別の問題ではないかということを申し上げたわけであります。 ですから、この問題についてジニ係数がどうだこうだということは今触れなくてもいいのではないかと。一つの指標ですから。 ○大門実紀史君 データというのは、もちろん完全なデータというのは存在しないわけでございまして、いろんなある指標なりデータを基に議論をして分析をして政策を打っていくしかないわけでございますから、そういう点でお聞きしたわけでございますけれども。 資料二はもう若林さんからありましたので省きまして、資料三を見ていただいて、この三国がなぜ格差を、ほかのスウェーデンとかドイツとかよりも格差が開いているのかというのを私なりにいろいろ資料を取り寄せて研究して調べてみました。 まず中身の問題でございます。時間がないので端的に申し上げます。 税の問題でございまして、直接税の改善度、格差を是正する改善度、そのところを見ていただきますと、日本は〇・八四、アメリカが一〇・九、イギリスが六・六と。それともう一つは、この三国というのはこの直接税の改善度が非常に低い国でございます。例えばドイツの直接税の改善度は二七・七%と…… ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) どこにあるの。 ○大門実紀史君 それはここには付けておりませんけれども、先ほど若林さんが言われた税制の刻み方によってそういうふうになっているわけでございます。 ですから、日本はこの三国の中でも、特にアメリカの改善度でいきますと、アメリカの十三分の一、先ほど、ドイツのことはここに資料ありませんけれども、ドイツと比べると三十分の一以下という税の再分配効果といいますか、改善度が低いわけでございます。 これはもう先ほど谷垣大臣がそういう関連で御答弁をされたので質問はいたしませんけど、もう一つは、間接税というのがこういうものにどういう影響を及ぼすかということでございまして、残念ながら、日本とアメリカの間接税がどう影響するかというデータは探しても見付かりませんでした。格差に、所得の再分配にどう影響するか見付かりませんでして、イギリスがやっと入手いたしました。 イギリスは消費税率が今一七パーぐらいですけれども、実効税率でいくと一一パーぐらいでございますけれども、イギリスは間接税、イギリスの欄の一番右でございますけれども、直接税までですとこれだけの効果あるわけですが、間接税、イギリスの消費税が掛かった途端格差が逆に開いてしまうと、改善度がマイナスになってしまうと。理屈からいったら当り前なんですが、数字としては初めて発見いたしましたんで載せてあるわけですけれども、ですから、消費税というのは、いろんな議論がありますけれども、少なくとも格差を是正していくという点では正に逆効果になる税制だということがこのイギリスの例を見ても分かるというふうに思います。 谷垣大臣にお伺いいたしますけれども、この格差という点と消費税と、この及ぼす効果ですね、この点だけ、こういうことになってしまうんじゃないかと思いますが、簡潔にどう思われるかお聞きしたいと思います。 ○国務大臣(谷垣禎一君) 昔から消費税には逆進性があるではないかという形で提起されていた問題だろうというふうに思います。これは結局、私の立場から申し上げますと、ほかの税制やあるいは社会保障との組合せでどういう効果を出していくかということではないかと思います。 ○大門実紀史君 もう一つ、ほかの三国と日米英の違いがどこから生まれるのかを資料四に付けておりました。 当然、当初所得における格差と、それと再分配後の格差と、こう二種類あるわけですが、この当初所得における格差の是正にその国が取り組んでいるのかいないのかということが非常に重要でございます。 お付けいたしましたのは、フルタイム労働と、日本でいうパートという概念違いますが、フルタイムとパートという労働の時間数で賃金水準を比較したものでございます。 スウェーデン、ドイツ、フランスは、一般、フルタイムの労働者に近づける努力を一貫してしてまいりました。EU指令がございまして、合わせろと、同一労働は同一賃金だという努力を具体的にしてまいりました。イギリスはブレア政権になってやっと着手いたしましたけれども、まだまだ格差が開いております。アメリカと日本は、アメリカはほとんどそういうところに手を付けません。日本は厚労省がパート労働指針という指針だけ作りましたけれども、具体的な措置としてやっておりません。EUのような実効ある措置やっておりません。ですから、こういう格差が開く。つまり、当初所得における格差が開いていると、開くということでございます。それがこのスウェーデン、ドイツ、フランスとイギリス、アメリカ、日本との大きな差であるというふうに読み取れるというふうに思います。 私は、格差問題というのは、確かに高齢化の影響とか、私否定いたしません。いろんな要素があるのは分かります。ただ、今日も議論あったとおり、格差を、貧富の差が広がって、どんどん広がって、それでいいという方はだれもいないわけですね。小泉総理もそういうことはおっしゃっていないと思います。 そういう点でいくと、格差を固定しないということと、今起きている格差を是正をするという努力は政府として必要だというふうに思うわけでございますけれども、そういう点で、最後に総理の御所見を伺いたいと思います。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 格差が固定するというのは好ましくないと思っております。身分社会じゃありませんから。所得も、多いときもあるし少ないときもあるし、あるときは多くなると。そのチャンスが提供されなきゃいけない。そういう面において、固定化されないようにいつでも多くの人にチャンスが提供されるような社会、そして同時に、どうしても独り立ちできない人に対してしっかりとした社会保障制度というのはどうあるべきか、これはやっぱり十分政治として配慮しなきゃならない問題だと思っております。 ○大門実紀史君 終わります。 ○委員長(小野清子君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手) |
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