■2006年2月3日 財政金融委員会 個人投資家保護、株式分割に新規制も |
○大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。 与謝野大臣とは既に昨日初質問という形になりましたけども、これから短い間かも分かりませんが、よろしくお願いしたいというふうに思います。 ライブドア問題で、もう午前中の田村耕太郎先生の質問に尽きる気分でございますけども、幾つか付け加える面で質問したいと思いますが、まず最初に、そもそも論といいますか、このライブドア問題にも絡むんですけど、規制緩和に関する大臣のお考えを聞ければと思います。 私、規制緩和すべて反対という立場ではございません。必要な規制と、もうなくした方がいい規制があると思いますね。なくした方がいいというのは、やっぱり利権とか権益とか絡んで経済の活性化を阻害するようなものはやっぱり除去していくべきだし、ただ、すべてなくせばいいというものではなくて、あるいは新たに必要な規制もあると。それは、やっぱり投資家保護とか消費者保護とか、あるいは完全競争だとどうしても弱くなる立場だとか、そういう規制は必要だと、そういう立場でございます。 ただ、日本の場合は、規制緩和という言葉が一遍流行語みたいになると、もう猫もしゃくしもみんな規制緩和というふうなところが、この間やっぱり反省すべき点もあるんじゃないかと思っております。 例えば、あのタクシーの規制緩和なんというのが私はもう典型的な一番愚かな規制緩和ではなかったかと思います。需要と供給との経済のイロハも知らないで、供給側だけ過剰にしちゃって需要側は選択できないサービスまで供給過剰になると、ああいうふうに台車が増えて水揚げは下がるし、サービスも良くなっていないと、こんなことが生まれるわけですから、よく見て規制緩和というのはやっていくべきだと、そういうふうに思います。 監視委員会のことで、小さな政府論も私一言言いますと、今もう何でも小さな政府がと言えばいいみたいになっていますが、クリントンの二期目の就任演説のときに、もうもはや小さな政府というのは終わったんだと、そういう就任演説をアメリカのクリントンでさえしているんですね。その後、あの国民皆保険をつくろうというふうに、大きな政府といいますかね、そちらになっているわけですよね。これが今はもう何でもかんでも小さな政府と、もうこんなことを言っているのは今、日本ぐらいじゃないかと。世界ではこんな小さな政府論言っている国、今ありません。日本だけじゃないかと思うぐらいですけども、そういう流れで見るべきものも見ないと、私はいろいろ怖いことが起きるんじゃないかと思います。 そういう点で、金融の面の規制緩和ですけども、私はずっとここで五年間座っていろんなことを見てまいりましたけど、いろいろ新しい展開がございました、規制緩和の方向で。そのときに、今申し上げた立場でこういう投資家保護とか何かをやるべきだということを申し上げてきましたが、どうもそれが後手後手といいますか、後になってきているという流れがあると思います。 ですから、日本の金融の規制緩和は、先ほどもありましたけど、アメリカの後追い型をやっているんですが、その必要な規制の方は抜いて、好きにやったらいいじゃないかという部分を先に先行してきているんではないかと思います。これは単に、私は議論、今まで何回も金融庁とも議論してきましたけども、単に後手に回ったんじゃなくて、わざわざ分かっていて、確信犯で規制してこなかったというふうに私は思います。 なぜかといいますと、やるべきことはもう分かっていたし、アメリカのエンロン、ワールドコムの後にアメリカがやったことなんかも予想できたわけですね。ところが、ほとんど何も、いろいろつくりましたけども、実効のあるものは少なかったという点では、そういうものも大きく問われていると思います。 つまり、日本は一千四百兆、今はそれより下がりましたけど、個人資産を証券市場に引き入れたいと。この大目標のために、最初からあのイギリスみたいに、八六年のイギリスのビッグバンの後みたいに、規制と規制緩和と両方やるなんということをやると呼び込めないんじゃないかと、入ってこないんじゃないかというふうなことを危惧して、それは後だということで、先に呼び込むことをやってきたというふうな流れになっているんではないかというふうに全体のこの金融行政の規制緩和を見ているところでございますけども。 与謝野大臣、なられたばかりでございますが、自民党の重要な政策ポストにもいらっしゃいましたから、全体の流れとしてどういうふうに感じておられますか。 ○国務大臣(与謝野馨君) 一般的に規制と言われるものは、大きく分けると社会的規制それから経済的規制と、こういうふうに分けて我々考えていたわけですが、社会的規制は弱い立場を含めていろんなことがあるんできちんと残しておこうと、それから経済的規制はどんどんどんどんなくしていこうという風潮が実はあったわけです。 その中で、先生が言われたタクシー、言わば需給調整という側面を全く国が関与しないでやろうと。私も今のタクシーの現状を見ると、先生と全く同じ考え方で、あれだけ雇用条件が悪くなるということはちょっとひど過ぎるなというふうに思っております。ただ、その規制で守られている既得権者だけを優遇するというのもやっぱり良くないとは思いますし、一定の競争というものを社会が持っているということが大事であるということも事実ですけれども、タクシーの例なんかは、あれだけ雇用環境が悪化するということは嘆かわしいことだろうと私は思っております。全くその点は同感でございます。 そこで、証券の規制でございますけれども、やっぱり原則は二つでして、例えば東京証券市場で行われる価格形成というものが公正であるということ、それから善良な投資家がきちんと保護されると、この私は二点に尽きると実は思っております。 そこで、やはり今回も個人投資家が、たくさんの方がライブドアで損を出しておられますけれども、一方では、やはり一日じゅうパソコンの前に張り付いてやっていることが貯蓄から投資という名前に値するのかどうかということも考えなければなりません。それから、株の取引自体は、得をすることもあるし損をすることもあるんで、自己責任の原則はそこでは働くべきだと思います。 しかし、東証も我々も各上場会社もやっぱり必要であり、かつ正しい情報を常に開示、最大限開示するというのは制度上も、またそれぞれの企業の姿勢としても、言わば間接的な投資家保護ですけれども、それをきちんとやっていただかなきゃいけないし、ましてや、情報はきちんと開示したけれども元々粉飾決算があったなどということもまた投資家保護にはならないということで、やっぱり証取法は厳正に運用していく必要がある。これはもう日本の経済、それから国際的な投資家もたくさん日本に参入しているわけですから、そういう意味では証取法の現行規定をきちんと厳正に運用すると。 それから、いろんな体験を通じて分かったことについて、やはり証取法の中で、証取法自体を改善、改良していくという努力もこれから怠ってはならないと、そのように思っております。 ○大門実紀史君 ありがとうございます。 昨日、予算委員会でも少し触れましたけども、ライブドアの株は異常な特異性を持っておりまして、個人投資家があの急上昇も支えてきたと。つまり、急激な数が増えたわけですね。三年前に千五百人だったのが今二十二万人でしたからね。こんなのは異常なわけですね。それだけ引き込まれるいろんな要素があって、昨日は政治の責任も指摘さしていただきましたけれども、今日は仕組みの方で申し上げますと、やはり株式分割によって一株何百円で買えるようになっていったと。で、ネット取引というふうなところですね。あとは、非常にいわゆる素人の、アマチュアの、投資家と言っていいのかどうかというような方々までずっと入ってきたわけですね。 そういう点が指摘されて、大臣言われるとおり、片やデートレーダーといって、これはもう若い人がやってるみたいですけれども、一日じゅうパソコンの前に座ってチャートを見て、しかも買い越しを、持ち越しをしない。その日に買って、その日に売り抜けて、さやを稼いでいる人たちですね。そうかと思えば、本来入ってきてほしいと金融庁が願われたようなポジショントレーダーといいますかね、株を保有して値上がるのを楽しみに待つと。こういう人は片手間にやっているわけですね。仕事の合間にパソコン見てやっているわけですね。こういう人たちが一番今回大損をしたということはもう明らかだと思います。 そういう立場で、そういう人たちが今回のことで、もう嫌だと、もう危ないと思って引いていったら、金融行政が考えているような一千四百兆の個人資産が入ってきてもらうというのは、もう市場の信頼を失ったということで見込めないわけですから、この健全性といいますか、市場の公平、公正さを取り戻さないと金融庁がお考えになっていることも実現しないんではないかという点で、大臣言われたように、善良な投資家保護という点で何が必要かという点を質問していきたいと思いますが、もう午前中かなり今日は的確な指摘がありましたんで、ダブらないように申し上げたいと思います。 一つは、証券監視等委員会ですけれども、私はこう思います。本来的な在り方でいくと、我が党も民主党さん言われたような、全く一緒ではありませんけれども、今のままでいいのかと、独立性の問題とかですね。これは前、この委員会でもそういう議論になったことあります。重複して申し上げませんが、そういうものはありますけれども、私は今の証券監視委員会も少ない人数でかなり頑張ってきたと思います。そういう中で、どうしてもっと早く告発できなかったのかと、地検と一緒にやったとかありますけれども、それを非常に当面の問題として思うわけでございます。 さっき言いましたように、個人投資家が急速に引き入れられたわけですね。もう少し早く、少しでも、三か月早ければ何万人という人がこういう被害に遭わなかったわけですね。だから、去年、まあ選挙ありましたけれども、去年の秋から実際に着手したということだったら、去年の、まあ選挙があってやりにくかったかどうか知りませんが、とにかく十月にでもやっていれば、今年の、経団連に入ったということでまた入ったわけですね、個人投資家が引き込まれたわけですね。そうすると、何万人かという人がそこで救われたはずだと、手を出さなくて済んだはずだと思うんですね。 そういう点でいくと、監視委員会そのものが今現在頑張っておられると思いますし、どうしてもうちょっと早くできなかったのかと。荒木先生も同じ問題意識持たれておりましたけれども、その辺の原因を大臣としてどういうふうに思われているか、また今後そういうことにならないようにするためには一番何が必要と思われているか、教えてもらえればと思います。 ○国務大臣(与謝野馨君) 監視委員会は、監視委員会の名のとおり、社会的に注目すべき取引、また監視委員会が少し見ないといけないと思うような取引というのは非常に厳しい目で見ております。この一連のことについても、実は詳しくは監視委員会の方から説明を受けてませんけれども、言外に、非常に詳しい調査をその都度やってこられたようでございます。 これは、いろいろな状況が分かっていても、犯罪として切り取れるかどうかという判断が必要なわけですし、犯罪として立証するための端緒も必要なわけでして、実は監視委員会はそういう、むしろ積極的にこれは証取法違反ではないかという目で実は見てくださっていたんだろうと思います。しかし、なかなか端緒は見付からなかったと、犯罪として切り取れる部分がなかなか発見できなかったという苦渋に満ちた時間を過ごしてこられたんだと私は思っております。 ただ、姿勢としては、監視委員会は監視が役割だということで、しっかりと見てきたということは高橋委員長が私に述べておられた言葉でございます。 ○大門実紀史君 やっぱりそうなると基本的な仕組みにもかかわるのかという気もいたしますけど。 ちょっと気になるのは、監視を始めたのが平成十五年の秋、着手したのが去年の九月ごろというお話でございますと、要するにあれですね、ライブドアが最初に百分割をしたころから監視を始めて、今年の秋といいますと、つまり選挙終わってから具体的に着手したと。こうなると、私は、民主党さんも、大久保さんも言われましたけれども、やっぱり独立性を保っておかないと、政治の流れに左右されるところが感じられるという気がいたします。選挙で、大体、委員長はあれですか、総理大臣が任命ですか、そういうところが、総理大臣が推しているような候補者を立てているときにこれ着手できるんだろうかと。様子見て落ちたら着手しようとか、何か政治判断が働いたりしかねないという面もありますんで、独立性の確保というのはこういう点からも必要ではないかという問題点といいますか、疑念だけ申し上げておきたいというふうに思います。 先ほどの個人投資家のネット取引の方の具体的なところで、何がこれから改善されるべきかという点で幾つか申し上げたいと思いますけれども、一つは株式分割です。 昨日、予算委員会では、大臣は株式分割の在り方についてはこれから研究して改善すべきところは研究しなきゃとおっしゃっていましたけど、今日、朝ちょっと気になったんですけど、株券の問題が解消されていけばこういう問題は余り起こらないんじゃないかと。何か余り株式分割についてこれから改善していこうということがうかがえなかったんですが、その辺もう一度、どういうふうに考えておられますか。 ○国務大臣(与謝野馨君) 一応、印刷が間に合わない問題は解決できておりますし、また一応、五株以上に分割はしないでほしいという東証の要請は今のところ守られています、今のところ。したがいまして、こういうものをその要請ベースで残しておいていいのか、あるいは規則に格上げするのか、あるいは法律に書くのか、これはまあ少し研究しなければならないと思っておりまして、そういう意味では、来週月曜日から始まる有識者の皆様方にも御意見をこの点についてはお伺いいたしたいと思っております。 いずれにしても、分割というのはきちんとした目的を持って、不正でないきちんとした目的を持ってなされるべきことであって、分割によって株主の利益を害するということは絶対してはいけないということでありますし、それがもてはやされるということ自体が私はあってはならないことだと思っております。 ○大門実紀史君 株式分割の、若干そもそも論でございますけれども、この間話題になっているのは、株券ができ上がるまでの間に需要と供給だけで上がって、それをねらってとかありますが、そもそも株式分割、イギリスが株式分割を厳しくしているのは理由があります。そういう株券の出るまでの間高騰するからとか、そういうことではありません。本質論なんですね。つまり、株式分割は株主に、通常なら企業は増配をして株主にいろいろお返しするという形になりますが、株式分割という別の手法を使って、値上がりするであろう株を株式分割することによって、そのことによって株主に利益を与えると、こういうおそれがあるわけですね。そうすると、企業にとっては持ち出ししなくても、自己資金を持ち出さなくても株主に利益が与えられると、これが実はこの株主分割にはインプットされているといいますか、そういう性質を持っていることなわけですね。こういうことをいろんなところでやられては問題だということで、イギリスではそもそも厳しくなっていると、企業の本来の株主に対する利益の還元の仕方ではないということで厳しくなっているわけですね。 ですから、今話題になっているようなことだけを見るんじゃなくて、株式分割というのは本来何なのかと。それが違う目的でやられると変なことになってしまうし、仮に今回のことでなくても、もしも増配するよりも株式分割で株主さんに取りあえず手当てしておこうということが動機だとすると、その株は上げなければいけない株になってしまいますよね。上げることが先になってしまう株になってしまうんですね。そういうところに企業の変な行動を生む、この大本ができる可能性があるということを持った問題でございますので、そういう点をきちっと本質論を踏まえて研究をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 ちなみに、イギリスのことは調べておられますか。 ○国務大臣(与謝野馨君) 株式分割というのは、理論的に言えば、一株百円の株を二つに分割したら株価は五十円であるはずであって、株数が増えるという効果しかないはずでございまして、それがあたかももてはやされるというのはおかしい風潮だと思います。 ただ、株式分割をすることによって株数が増えることによって、例えば一つは流動性が高まるというような効果があるわけでして、やはり株式を分割する以上は正しい合理的な目的を持った株式分割でなければならないと思っておりまして、株式分割によって株主に利益を配分するなどということは邪道であって、株主に対する利益というものは配当を通じて行われるもの、無償増資で行われるもの、額面増資で行われるものというルートが正しい株主に対する利益還元であると私は思っております。 ○政府参考人(三國谷勝範君) イギリスの件でございますが、報道等でもそういったことが言われていることは承知をしております。 私ども、現在まで調べている範囲におきましては、イギリスの会社法におきまして、株式分割は株主総会の決議が必要であるという具合に聞いております。日本の場合には定款で、発行する株式の総数と、こう定められておりますが、その中で、取締役会の決議で行うことができるという日本の会社と比較しての話ではないかと推測しているところでございます。なお、これは会社法の問題ではございます。 なお、私どもといたしまして今、FSAの上場当局等に、現在調べている範囲でございますが、完全に確認し尽くしているわけではございませんが、現段階では、具体的な状況次第ではあるが、一般論としては上場規則上は株式分割についての直接の規制は存在しないという回答を得ているわけでございますが、まだ完全に調べ尽くしているわけではございません。 ○大門実紀史君 もう時間が少なくなりましたので申し上げませんが、明確に日本と違う規制がございますので、その大本は、大本はさっき言ったようにカンパニーの在り方ですよね。企業の在り方そのものをきちっとしろというところから生まれていて、その安易な株主に利益をもたらすためのことをやらせないための区分け、区分、規制が行われているということですので、十分研究をしていただきたいと思います。 終わります。 |
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