■2005年10月27日 財政金融委員会 課税最低限は今も低い、庶民増税中止を要求 |
○大門実紀史君 大門でございます。 今日は税制、政府税調の議論も始まりましたんで、税制の問題で、本格的な議論は来年の通常国会になると思いますが、基本的なお考えをお聞きしたいというふうに思います。 今、とにかく所得格差が開いているという指摘がいろんなところからされております。特に、全体としては余り所得上がってないわけですけれども、一部の方々が、かなり高額の所得者はそれはそれで増えているという資料がいろいろ出ております。例えば国税庁の高額納税者、所得税額一千万円を超える方というのは今七万五千六百四十人というふうに増えていますし、富裕層、特に昔でいう大金持ちと言われる方も、これは民間の調査でございますけれども、一億円以上純資産を持っている人が七十八万世帯で百六十三兆円持っているとか、銀行なんかはこういうところをスーパーリッチ層ということでいろいろ顧客に向けた商品を販売しているわけですけれども、とにかく二極化がかなりのスピードで始まっていると。そういう中で、税の在り方をどう考えるかというのは問われてきているんではないかなと思います。かつては、何といいますか、戦後は所得格差がひどかったですけど高度成長の中で平準化していくというのがありましたが、また格差が開いていると。ここで税の在り方をどう考えていくかというのが問われているんではないかと思います。 実は政府税調の中でも、今年の議論の中で、五月、六月ごろに、もうやっぱりこういう高額所得者からきちっと税金をいただくべきじゃないかと、最高税率をこのままでいいのかとか、そういう意見が出ております。私、所得税だけではなくって、後で申し上げたいと思いますが、配当課税とかそういう点も含めてですけど、こういう高額所得者、二極化しちゃっているわけですから、良くなっている人たち、こういうところからやっぱり税金をもらうべきところはもらうという方向はもう世論になりつつあるんではないかと。 税調の中でもこんなに議論されていると思いますけれども、こういう高額所得者への課税というのを谷垣大臣はどういうふうにお考えか、聞かせていただきたいと思います。 ○国務大臣(谷垣禎一君) これは、今は特に所得課税につきましては、大変御議論になりました政府税調でも中間報告というものを出しておりまして、その中で、いろいろな働き方、家庭の在り方も変化してきたから問題点は何かという議論をこの間やっていただきまして、それが、あるところからはサラリーマン増税だというような御批判も受けたわけでありますけれども、そういう全体の中でいろいろ議論をしていかなければならないと思っております。 それから、今年度におきましては、ちょっと議論が先になってしまうかもしれませんが、地方へ税源移譲するという関係で、どうしてもあの三兆円、今一生懸命やっているわけですが、地方税がフラット化していくということになりますと、所得課税は、もう一回、累進性のカーブと申しますか、全体でそんなに違うようにしてはいけませんので、所得税の機能が違ってくるというような形を今年はつくらざるを得ないだろうというふうに思っております。そして、その次の年は、やはりいろんな税制を含めまして、資産課税それから法人課税、所得課税、そういったものを含めて全体の体系を見直していく中で、今のような御議論も煮詰めていきたいと思っております。 ○大門実紀史君 高額所得者そのものの中身も随分変わっていると思うんですね。私、松下幸之助さんとか本田宗一郎さんとかが高額所得者に名前連ねられているときは、私は、もう頑張って技術を開発してああいう会社をつくられて、で、それなりの所得を得られるというのは非常に、別に、よく頑張られたなという気持ちはあるんですけれども、今この高額所得の名前が出てくる人たちは、何といいますか、後で取り上げますけど、自分で働いてというよりも、お金を動かしてとか株でもうけてとか、昔とはかなりこう、特にサラ金の社長がずらり顔並べているとか、昔とちょっと、大分違うわけですね。そういう点も含めて、この高額所得者の課税問題は考えていくときに来ているというふうに思います。 逆に、低所得者の方をどう考えるかということなんですが、私は、谷垣大臣が九月に日経新聞のインタビューでいろいろ答えておられるということを早くこれ谷垣大臣に聞きたかったんですが、税制の問題は今日になってしまったんで、ちょっと時間たちましたけど、なかなかいいことをおっしゃっているなと私は思うんです。低所得者の減税、これも議論していかなきゃいけないと。特に、消費税増税との関係もあるんでしょうけれども、消費税は所得に応じて税率が高くなる所得税と違って逆進性があると、そういうのを緩和するためにも所得税の改革の中で低所得者の減税も議論していかなければいけないという趣旨を発言をされたという、報道だけですので、実際にどういう発言をされたか分からないんですけれども、こういう低所得者の減税ということはいかがお考えなんでしょうか。 ○国務大臣(谷垣禎一君) 今委員から御指摘いただきました報道については、やや見出しが、低所得者に対する減税考えるというふうになっておりますが、必ずしもそこまでコンクリートなことを申し上げたわけじゃございませんで、今後やはり消費税の議論というものがどうしても社会保障との関係等で議論にならざるを得ないとすると、そのときにやはり所得再分配機能というのは何なんだということを考えていかざるを得ないんで、そうすると、その所得税と消費税の組合せをどうしていくかというような議論もやる必要があるんではないかという、まあそんな感じを申し上げましたんで、ただ消費税についても、一体どういうものにしていくかという議論が煮詰まっておりませんので、具体論、具体的な議論はこれからだというつもりで申し上げたわけでございます。 ○大門実紀史君 例えば消費税なんかでいきますと、安倍晋三さんなんかは、消費税増税に関連して、食料品とか生活必需品の軽減税率と、これも逆進性の問題ありますから、そういうものを発言されておりますが、こういう低所得者減税も一つの考える柱にということは、その消費税増税の中で軽減税率の問題ということも何か想定されて、この発言そのものというよりも、そういうことは谷垣大臣としても想定されているわけですか。 ○国務大臣(谷垣禎一君) まだそこまで具体的に考えているわけではございません。結局、それは、消費税率がどのぐらいになるかという問題が一つございます。 要するに、今おっしゃったような軽減税率を入れていくということは、コストの面でもかなり掛かるというようなこともございますし、煩雑ということも出てまいりますし、また、よく言われますように、軽減したものとの間でいろんな、税が中立的でないということもございますので、やはりある程度税率がどのぐらいかということがないと議論がなかなか進まないだろうというふうに思っているのが一つでございます。 そういうことで、まだ議論がそこまで来ているわけではございません。 ○大門実紀史君 消費税はまた来年本格的に議論になると思います。 今回、政府税調が、例の論点整理のときにいろいろサラリーマン増税出したことが大議論になっておりました。私、あのとき思い出していたんですけれども、大体、前回の配偶者特別控除の縮小、廃止のときに、ここで塩川大臣が座っておられましたけれども、あのころの議論ですが、日本の課税最低限は高いんだと、だからそういうものは見直さなきゃいけないんだというのは、課税最低限が高い高いということはかなり、前提として、配偶者特別控除とかいろんな控除を見直していくという議論があったわけですね。今、お手元に資料をお配りいたしましたけれども、その後、日本は課税最低限、むしろ諸外国に比べて低くなっているわけです。 ちょっと時間が少なくなっているんですけれども、簡潔に、ほかの外国に比べて日本が高いと言われていたんですね、塩川大臣のころは。それで特別控除を見直すという議論があったわけですが、今どうしてこういうふうに日本が逆に下がってきているのか、この辺の外国の経過を、幾つかの例でいいですから、簡潔にお答えしてください。 ○政府参考人(福田進君) お答えを申し上げます。 今、大門先生御指摘のように、我が国の課税最低限、平成十三年、二〇〇一年でございますが、主要国中最も高い水準でございましたけれども、平成十六年、二〇〇四年以降は主要国中最も低い水準になっております。 これには大きく分けて二つ要因があろうかと思いますが、まず第一に、我が国では、高いということで、平成十五年度の改正において、経済社会情勢の構造変化に対応して人的控除の簡素化等を図ると、そういった観点から今御指摘の配偶者特別控除のいわゆる上乗せ部分を廃止した結果、課税最低限が我が国では低下いたしました。 一方で、主要諸外国におきましては、児童を対象とした税額控除など、言わば社会保障給付の性格を持つものが税制上の措置として拡充されてきたと。幾つか、アメリカの子女税額控除、イギリスの就労税額控除、児童税額控除、ドイツの児童手当等々でございます。こういったことで、税制上の措置として社会保障給付の性格を持つものが拡充されてきたと。言わば制度的な要因がございます。 それからもう一つは、大きな要素として、二〇〇一年以降の為替の変動。二〇〇一年一月から二〇〇五年七月、この直近までの間を申し上げますと、ポンドで申し上げますと百五十九円から百九十八円、ユーロは平均九十七円から百三十八円といったことで、為替の要因がございまして、円建てで見た課税最低限が諸外国の場合には上昇したと、この二つが要因であろうかと考えております。 ○大門実紀史君 ありがとうございます。 そういうことで、とにかく前と違って今は欧米諸国に比べて低くなっていると。今現在が低くなっていると。これ、これから先の話でございますけれども、資料の二枚目ですが、政府税調でいろんな控除の見直しというのが議論されております。もちろん、言われていることを全部やったら大変なことになりますけれども、仮に試算をしてみました。我が党で計算をしてみました。現在が、これ為替レートは財務省の資料よりも私どもの方がちょっと緩くなっていますので、財務省の方がきつく出ているわけですけれども。いずれにせよ一ドル百九円で計算しておりますけれども。 日本が今課税最低限が三百二十五万。もしも、まず日本の@ですけれども、これは給与所得控除を六十五万円に縮小した場合。日本のAというのは、特定扶養控除の上乗せ分縮減、配偶者控除を廃止した場合。Bというのは、給与所得控除をいろいろ論点に出ているように縮小した上に扶養控除、配偶者控除を廃止した場合と。もうここまで来ると政権が間違いなく倒れてしまうと思いますけれども。ここまでは行かないと思いますが、いずれにせよ、論点整理をそのままやるとこんなことになると。 私、思い出すのは、塩川大臣のときにあれだけ、日本は外国よりも課税最低限が高いから高いからと、さんざんマスコミでも伝えて、宣伝されたのが、今はもう低くなっていると。更にとんでもないことになってしまうと。こういう議論をされているというのが、あのときの議論を思い出すと、何かその場限りでいろんな理由を付けられているなと思っておりますので、指摘をしただけのことでございます。 申し上げたいのは、次のところで申し上げたいのは、先ほど言いましたお金持ちの減税の問題で、今、株式の配当所得どうなっているかといいますと、これは特別に源泉徴収の部分で一〇%の税率でやるということが続いております。 これは二〇〇三年の四月以降、配当の税率が、現在は住民税と合わせて一〇%と、源泉徴収で済んでいるわけですね、本来二〇%ですけれども。特例の措置が続いていると。これは、なぜこのときにこういう特例の措置を設けられたんでしょうか。 ○国務大臣(谷垣禎一君) まず、さっきお示しになった課税最低限の問題ですが、あの中間報告には必ずしも税率構造をどうしていくかとか、いろんなこと触れられておりませんし、一方、子育て支援の関係から税額控除を認めたらどうかというような議論もありまして、かなりこれはいろんな仮定を置いた数字でございますので、これを前提にすべて議論していくというのは、私はちょっと留保をさせていただきたいと思います。 それから、配当所得課税に対する時限的な優遇措置の問題でございますが、これは、少子高齢化が進んでまいりまして貯蓄率が低下傾向を示していると、そういう中で経済活性化ということを考えますと、今ある金融資産をできるだけ有効に使っていくような方向で税制も考える必要があると、こういうことが背景にございまして、平成十五年度改正で、スローガン的に申しますと貯蓄から投資へという政策の要請に応じまして、株式投資になじみの少ない方を含めて多くの個人投資家の積極的な市場参加を促そうと、こういう観点から行った措置の一つでございます。 こういう上場株式等の配当についても源泉徴収だけで納税が完了する申告不要な制度を導入するということとともに、税率を一〇%とする優遇措置、これは平成十九年度末までの五年間の時限措置でございますので、税制改正をしない限り期限は、本則二〇%に戻るわけでございますけれども、今後、金融・証券税制につきましては金融商品間のやはり中立性というものが必要だろうと思っております。 それと、やはり複雑過ぎると分かりにくいですから、簡素で分かりやすい税制をつくっていかなければならないというふうに考えておりまして、金融所得課税の一体化を進めていく中で、この時限措置についても在り方を今後検討していかなければならないと思っているわけでございます。 ○大門実紀史君 このとき私も議論した記憶がございますけれども、要するに、もっと市場の活性化も含めて投資を呼び込もうということもあったわけですね。 これは財務省が九月の一日ですか、発表された資料によりますと、この配当課税は今税収が最高の状況になっていると。物すごい伸びているわけですね。つまり、もう活性化するといいますか、そこに呼び込もうと、投資に呼び込もうというのはかなり政策目的を私達成してきていると。バブル崩壊前の一・六倍の配当課税の税収になっています、最高の税収になっていますね。つまり、政策的にねらったように、ここにずっと投資が活発化したということになると思います。そういう点でいくと、当初の特例を設ける目的というのがもうほぼ達成されていると。もう今の段階でも私は達成されているというふうに思います。 そういう点で、今もう先にお答えいただきましたけれども、これの特例の延長をするのかどうかというのを次にお聞きしようと思っていたわけですけれども、検討していくということになると思いますが、全体の税の在り方と、それと政策目的が私はもう達成ほぼしていると思いますので、元の二〇%に戻すと。まあ法律はそうなっておりますから、それをわざわざ延長しないということを求めたいと思います。 その辺を総合的判断して、延長する方向には私ならないだろうと思いますが、もう一言、大臣からお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(谷垣禎一君) まだ平成十九年度末までということがございますので、もう少し事態をやっぱりよく見ながら検討したいと思っております。 ○大門実紀史君 終わります。 |
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