国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2005年5月12日 財政金融委員会
○大門実紀史君 大門でございます。
 先月の四月一日に開業いたしました東京都の新銀行東京について質問をいたします。
 今、この新銀行東京の事業計画が二つあるとかあるいは裏と表があるとかいうことがマスコミも含めて、我が党も都議会で取り上げましたけれども、問題になっております。
 まず、この新銀行東京の開業の経過と金融庁のそれに当たっての審査とかかかわり、この辺の流れを簡潔に説明をしていただけますか。

○政府参考人(佐藤隆文君) 新銀行東京開業までの経緯でございます。
 まず、平成十五年の三月に石原東京都知事が東京都が主体となった新銀行を設立する旨を表明されました。新銀行東京、これを受けまして平成十六年の四月一日、東京都がBNPパリバ信託銀行を買収して発足したということでございます。
 なお、これに先立ちまして、平成十五年の十一月、金融庁がBNPパリバ信託銀行より徴求いたしました銀行法二十四条に基づく報告あるいは東京都からのヒ アリング、これらを行ったわけでございますけれども、これによりますと、同行は平成十七年四月に開業を予定しており、平成十六年度はその準備期間であると いうふうな位置付けをしておりました。
 こうした状況にかんがみまして、金融庁といたしましては、同行の開業準備期間である平成十六年度の一年間について、預金者等の保護ないし開業準備に向け た円滑かつ適切な準備体制の確保等を図るという趣旨で、同行が形の上で発足いたしました平成十六年の四月一日に、銀行法二十六条に基づく業務の一部停止命 令を発出いたしました。
 その内容は、平成十六年四月一日から十七年三月三十一日までの間、既存顧客との既存取引に係る管理業務と資本の預け金への運用、この二つを除いて業務を停止すると、こういう命令を出したわけでございます。
 その後を含めまして十七年四月開業までの間における金融庁の対応でございますけれども、同行は東京都が既存の銀行を買収して発足したものでありますけれ ども、実質的には銀行の新規設立と同様のケースであるというふうに考えられましたので、金融庁といたしましては、同行の開業準備中においては銀行法に基づ く銀行免許付与に準じた審査を行うといった観点で監督上の対応を講じてきたということでございます。
 具体的には、銀行法が定める免許審査基準に準じて、新銀行東京に対しまして、以下のような点に関して銀行法二十四条に基づく報告等により確認作業を行ったということでございます。
 一つは、同行が銀行の業務を健全かつ適切に遂行するに足り得る財産的基礎を有し、かつ申請者の当該業務に係る収支の見込みが良好であるかどうか。二つ目 に、同行がその人的構成等に照らして銀行の業務を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ十分な社会的信用を有するものであ るかどうか、こういった観点でございます。
 新銀行東京は、このような手順を踏んで先般、本年の四月一日に本格的な開業に至ったというものでございます。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 つまり、新規の免許取得と同様の審査をされて開業に至ったということだと思いますが、その際、新銀行東京から当然免許取得、新しく取得と同様ということですと収支見込みを記載したような事業計画が出されたと思いますけれども、そういうものは金融庁に出されましたか。

○政府参考人(佐藤隆文君) 先ほど申し上げましたように、審査の過程で収支の見込みが良好であるかどうかといった観点が含まれておりますので、こういった議論の中で新銀行東京から事業計画についても報告を受け、説明を受けているということでございます。

○大門実紀史君 新銀行東京は今、企業に出資を募って回っております。このことももちろん金融庁に報告をされて新銀行東京やっているということでよろしいですか。

○政府参考人(佐藤隆文君) その点につきましても説明、報告を受けております。

○大門実紀史君  その際に、企業に新銀行東京の事業計画はこういうものですと、だから出資をお願いしたいということで、事業計画を見せながら出資を募っております。当然こ れは先ほど言われました金融庁に提出している事業計画と同じもので出資を募っていると思いますが、その点いかがですか。

○政府参考人(佐藤隆文君) 新銀行東京が出資を募っている民間企業に対して行っている説明でございますけれども、その説明に対しましては、金融庁が銀行法二十四条に基づいて報告徴求いたしました事業計画、これと同じもので説明を行っているというふうに承知をいたしております。

○大門実紀史君 ありがとうございます。これもレクのときは個別のことで答えられないと言われたのを、佐藤局長がきちっと答えていただきました。ありがとうございます。
 これは大事なことなんです。これが実は今、何といいますかね、マスコミも含めて東京都の主張との違いになっているところでございます。つまり、企業に出 資を募るときに出している事業計画が裏の事業計画とかいろんな言い方されていますが、私は正式な金融庁に出した事業計画だと思っておりますので、そのこと を確認していただいたわけです。それを私、手元に入手をいたしました、ある企業を通じて入手をいたしましたけれども、事業計画書というやつです。ただし、 不思議なことに対外秘と、表には出さないでくれと、非公表の事業計画書になっております。
 これが問題なのは、まあ都議会でいろんなことあるわけですが、それは金融庁の監督下ではないと思いますので、あくまで株式会社新銀行東京の話に絞りたいというふうに思いますけれども、これが、この内容と新銀行東京が公表している内容とに大きな食い違いがございます。
 四月一日、開業のときに、これは日銀の記者クラブですかね、記者会見をいたしまして、こういうニュースリリースを出しました。このニュースリリースと、この金融庁に出して合理的判断、金融庁がいろいろ審査されて固めた事業計画書との数字が違います。
 例えば、ニュースリリース発表いたしましたけど、ここでは経常利益が例えば三年後に五十四億円出しますと。四月一日の開店のときです、開業のときです ね、五十四億円出しますとなっています。ところが、この事業計画書では三年後にわずか四億円の黒字ですということを出しておりますし、融資保証残高も、こ のニュースリリース、記者会見のときは九千三百六億円と言っていますけれども、事業計画では七千四百二十八億円と、数字もいろいろ違います。
 また、具体的な事業内容も違うんですね。これはちょっと非常に驚くわけですけれども、この事業計画では、この銀行というのは、石原都知事が選挙公約で貸 し渋り、貸しはがしがひどいと、今の大銀行は駄目だと、中小企業に貸す銀行をつくるんだとおっしゃったわけですけれども、この事業計画ではそういうことが 書かれておりませんで、大企業向けシンジケートローンだとか不動産関連プロジェクト融資だとか、そういうことが書かれておりますが、この公に発表したリ リースの方には一言も書いてありません。
 私は、この新銀行東京、ちょっとおかしいなと思っていろいろ見たんですけれども、ホームページも、実は三月三十一日までのホームページにはいろいろQア ンドAということでいろんなことが書いてあったんですが、四月一日以降一切そういうものを書かなくって非常に、何といいますか、ディスクロージャーといい ますか、何をやろうとしているか数字的なことが一切ホームページにも載っけなくなったという不思議な対応をしているところです。
 ついでに申し上げますと、この新銀行東京というのは、東京都の中では、新銀行マスタープランというのが、これは東京都名で、東京都の名前ですけれども出 しておりまして、これが計画なんだということを都民には説明をしております。それで、さっきのニュースリリースは、それに基づいたもので新銀行東京が今度 は発表しているという関係になります。金融庁の監督下にある新銀行東京として二つのものを、二つのものといいますか、金融庁に出した事業計画と違うものを リリースしているというところであります。
 ついでに触れておきますと、このマスタープランといいますか、新銀行東京のリリースの方の基になっているやつですけれども、これでは中小企業へ貸出しも まだいいことが書いてあるわけです。既存金融機関が十分対応できていないリスクの高い分野へ資金供給しますと。あくまで中小企業の資金需要にこたえるとい うことをこちらには公にしているわけですが、この事業計画ではそういうものがないんですね。抜け落ちているわけでございます。当初都民に対して説明した銀 行とは違うものになっているわけですけれども、この都議会のことはとにかく置いておいて、金融庁の監督下にある新銀行東京が、このニュースリリースと金融 庁に出した事業計画書と違う、公に公表しているのは違うことを公表していると。
 これは金融庁、監督下ですから、好ましいことではないといいますか、どういうふうにとらえておられますか。

○政府参考人(佐藤隆文君)  委員御指摘いただきましたように、いわゆる新銀行マスタープラン、これは東京都が新銀行の設立に対して、同行の業務内容、収益計画等をまとめ、これを公表 したものでございます。他方、先ほど来話題になっております事業計画というのは、新銀行東京が自ら作成し、私ども銀行監督上の必要があって報告を受けてい るというものでございます。
 民間企業から出資を募る際の説明との関係でお尋ねがございましたので、私ども監督当局の立場からいたしますと、銀行が出資を募る際に出資要請先に対して どのような説明を行うか、これは第一義的には銀行の判断であろうかと思います。その際に、これが、新銀行マスタープランというのがいわゆる公表されている ということとの関係で、その公表されていない事業計画を用いて出資要請をするということについてでございますけれども、このことについて、それが直ちに法 令上の問題につながるというわけではないと思っています。ただ、私ども、この際に非常に重要なことは、出資の要請先に対しまして、その要請をしている銀行 の財務内容等に関して、その要請先の方が誤認をするような可能性のある資料によって説明すると、こういうことは避けなければいけないということで、信頼性 の高い正確な説明をするということが大事であろうというふうに思っております。
 そういうことは私どもの監督上の事務ガイドラインにも書いてあるということでございまして、私どもの観点からいたしますと、私どもの監督下にある新銀行東京が正確なデータに基づいて出資要請先に対して正確な説明をするということが第一であろうかと思っております。

○大門実紀史君  問題の所在はこういうことなんですね。文字どおり公的な銀行です。それで、出資者に対する説明責任が今言われたようにちゃんと果たしているのかどうかとあ りますけれどもね、預金者と出資者とこう分けて考えます。預金者には、このニュースリリース、四月一日時点でこういう銀行ですという説明をしているわけで すね。だから預金をこれで募るわけですが、それが事業計画書と違うものであると。これまず預金者に対するディスクロージャーといいますかね、一つの銀行と して問題点があります。これはもう銀行法の趣旨そのものにかかわる問題だと。銀行がそんな、本来持っている事業計画と違うことを記者会見で発表して、開業 しましたから預金をお願いしますと、これは銀行法の何条に反するとかいうよりも、その趣旨そのものに反するという点が一つあると思います。
 出資者でいえば、出資を募る企業には金融庁に確認を得たこの事業計画で募っているわけですからね、これはまあうそがないと。金融庁の出したものが本物ですからね、これはうそがないと思います。
 これは都議会の問題になりますけれども、都のレベルでいきますと、これは金融庁が物をコメントされるということではないと思いますが、都民に対しては、 この事業計画と違う、かつてのちょっとバラ色のもので、これで都議会に説明をして一千億円の出資、都民の税金を一千億使って出資を議会で決めたわけです ね。これはある意味では一つの銀行と仮定すると、出資者は都民でございます。都民に対して違う説明で出資を決定さしたと、こういうことになります。
 ただ、この時期がずれておりますから、この事業計画は都議会で一千億の出資が決定された後に作られていますから、その時点というよりも、後になってこう いう事業計画を作ったら、ちゃんと都民に、当初の計画、皆さんに示したマスタープランは甘かったと、金融庁にも指摘されたと、だから現実的にこういうもの にしましたというのを途中で、出資者である都民に都議会を通じて説明すべきものであると、問題点を整理すると私はそういうことになるというふうに思うわけ です。
 いずれにせよ、この金融庁の監督下にある新銀行東京が、新銀行東京が記者会見で言うことと、金融庁に出して承認を得ているといいますか、この事業計画が 違うと、こんなこと平気でやっていることは、やはり私は、そもそもの問題として、そもそもの銀行の在り方として指導されるべきではないかと、一言金融庁か ら物を言われるべきではないかと思いますが、その点いかがですか。

○政府参考人(佐藤隆文君) 一般論といたしまして、銀行が銀行業務をやっていく際に、正確なディスクロージャー、情報開示というのは非常に大事だと思います。これは市場規律が的確に機能する上でも大前提になることだろうというふうに思います。
 それで、この新銀行、実質的に発足したと申しましょうか、あるいは本格的な営業を開始したというのがこの四月でございますので、まだ発足したばかりとい うことではございますけれども、むしろその四月に本格開業したということを踏まえて、今後その銀行としての情報開示にも傾注をしていく必要があるというふ うに思います。
 聞いておりますところによりますと、六月末の株主総会以降に、この中長期の経営計画について公表する方向で検討しているというふうに承知をいたしております。

○大門実紀史君  それは当然のことでして、株主総会で事業計画を出してその後公表するのは当然のことですけれども、今の段階で二つのちゃんとした事業計画と違うことを公表 していると。しかもこれは半年にわたって、この事業計画、去年の十一月ですからね、できているのは。もう半年にわたって違うことを公の場で言っていると。 このことはやっぱり、次の株主総会を待たないで、すぐにも金融庁が、どうなんだと、どうするんだということを言われるべきだと思いますが、そこはいかがで すか。

○政府参考人(佐藤隆文君) 先ほど申し上げましたように、実質的には立ち上がったばかりの銀行でございまして、業務の実績等をよく踏まえた上で、銀行において適切な時期にルールにのっとって公表をするというのが基本であろうかと思います。

○大門実紀史君 すると、金融庁としてはあれですか、その違うことを今公表していてもそれは構わないということなんですか。

○政府参考人(佐藤隆文君)  先ほども申し上げましたように、新銀行マスタープランというのは、東京都が新銀行の設立に際して同行の業務内容、収益計画等をまとめてこれを公表したもの でございます。それに対しまして、私どもが議論をさせていただいたもの、これは新銀行東京自身が作成したものでございます。これを当局の方から直ちに公表 しろということは、この銀行免許の審査の過程における様々なやり取りの過程で出てきたドキュメントを外に出すということでございますので、それは競争上の 権利等を侵害する可能性がございますので、必ずしもできることではないというふうに思います。

○大門実紀史君 そうじゃないんですよ。これ、最後に混乱されているんですよ。
 私は、新銀行東京がニュースリリースで違うことを言っていると、マスタープランのことは言っていません。新銀行東京が金融庁に隠した、事業計画と違うこ とを言っていると。だから、新銀行東京の公表していることが違うことについて、マスタープランじゃないんです、その点についてちゃんと指導されるべきだと いうふうに申し上げたんで、そこを正確にちょっと答えてください。ほっておいていいんですか、金融庁は。

○政府参考人(佐藤隆文君) 先ほども申し上げましたように、発足して間もない銀行でございますので、しかるべき準備をして、銀行として責任を持ってしかるべき時期に情報開示をするということであろうかと思います。

○大門実紀史君 とにかくこの問題、そのままでは済みませんのでまた取り上げていきたいと思いますが、私の言った意味をよく理解してもらって、しかるべき措置をとってもらいたいと思います。
 終わります。
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