国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2005年3月18日 財政金融委員会
○大門実紀史君 お疲れさまです。
 定率減税の縮小、廃止と景気の関係について伺います。
 この問題はもう随分議論がされてまいりました。予算委員会でも毎日のように、私も議論させていただきましたけれども、今日はちょっと少し整理して伺いた いと思いますが、政府の方は、定率減税の縮小、廃止をしても家計、景気が大丈夫だというその根拠として、当初はちょっとアバウトなことをいろいろ言われて いましたが、例えば不良債権の処理が進んだからと、企業の環境が良くなったからとか、それで企業利益が良くなっているとか、あるいは失業率が改善している とか、九七年よりはましだとか、何ですかね、いろんなことを言われてまいりました。
 ただ、要するにそういう状況的に良くなっても、家計との関係でいくと、やはり収入の問題、賃金の問題だというふうにつながるかどうかと。例えば失業率改 善しても、細かく申し上げませんが、パートや非正規雇用がずっと増えているんで一人当たり賃金上がっていませんよと、こんな議論もいろいろしてきたわけで すけれども、何となく家計が良くなっていくだろうというふうなことばかり言われているような気がいたしまして、この点では竹中大臣とは議論しております が、竹中大臣はさすがあいまいなことは申されません。
 要するに、ずばり雇用者報酬に改善の兆しがあるから、来年、再来年プラスで見込んでいると。だから、家計も良くなるということをはっきりと竹中大臣言わ れてきましたけれども、これについてもこの前予算委員会で議論させていただきましたが、この間良くなっているという根拠も、去年の十―十二月の雇用者報酬 がプラスになっているということを根拠にこれから良くなるとおっしゃっているのも、よく中身を見ると、去年の十―十二月というのはあの十一月の特別給与が 前年との関係で五割増しになっていると、五割増しなんて数字、普通出てこない数字が出てきていると、それでプラスになっていることは根拠にならないんじゃ ないかとか、あるいは正社員がこの間ずっと減ってきたけれども、増え始めているということもおっしゃいましたけれども、その三倍の数で非正社員が増えてい ますよというような、そういう議論をしてきて、かなり詰まった議論、詰めた議論をしてきているところですから、すなわち余り良くなるという根拠が、私も良 くなってほしいと思うんですけれども、今の時点で良くなるという根拠には乏しいんじゃないかというふうなことがずうっといろんなこと議論してきたある到達 点といいますか、そういうところにあると思うんですけれども、谷垣大臣とはここまで詰めた話をしておりませんので、どういう御認識か伺いたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今、大門委員が今までなさってきた議論を整理されておられましたんで、伺っておりまして、結論は多分ちょっと大門委員と私は違うんだと思いますが、論点は正におっしゃるとおりではないかなというふうに思っております。
 ですから、私は竹中さんよりちょっとラフに申し上げますが、大きな経済の、景気のトレンド自体は、企業業績も良くなってきているし、それを支える構造的 なものも不安はずっと減っていると。ただやはり問題は、家計というか個人消費に、より今までの回復過程と見てもなかなかそこまで及んでいかなかったねとい うのは共通の心配事であったというふうに私も思っております。
 ただそれが、やはり失業率等もようやく少し回復の、単に一か月回復というよりも趨勢的に見て回復の動向に入ってきましたし、それから竹中大臣の引かれて おりましたけれども、私も雇用者報酬が戻ってきたということがありますので、企業業績や何かが堅調だということを考えますと、その辺りはこれから戻ってく るという形ができているんじゃないかというふうに思っております。
 そういう中で更に申しますと、ニート問題があるとかいろんなこともございますけれども、そこら辺りも少し、例えばフリーターが多いではないかとか、何と いうんでしょうか、雇用の質がそういう意味での問題であるというような御議論もあったわけでありますけれども、その辺りもそのフリーター等の伸びが少し弱 くなってきて雇用の質が変わってきているんじゃないかというふうに私は思っております。ちょっと、大分粗っぽく申しますと、そういうことであります。

○大門実紀史君 じゃまた詰めた議論は竹中大臣としたいというふうに思います。
 消費税のことをちょっと伺いますが、この間、二〇〇七年から消費税二けたという話が当たり前のことのように議論をされておりますけれども、私は、そんな ことはこの状況から、二〇〇七年といったらもうすぐですけれども、可能なのかどうかと思います。もちろん我が党はいろんな財源論を、消費税に求めるべき じゃないという立場ですけれども、仮に将来消費税が必要だと思われている方でも、景気が悪くなったらやっぱり元も子もなくなる部分があるわけですね。景気 が悪くなって税収も落ちますからね。だから、景気との関係は共通して消費税の場合はよく判断をしなきゃ、どういう立場の違いがあっても判断しなきゃいけな いというふうに思いますが、その点で一言申し上げておくと、世界の事例見ますと増税によって財政再建に成功した国はございません。必ず景気の回復の道筋の 中で、もちろん増税をやったりしていますけれども、増税によってだけ財政再建に成功した国ありませんので、景気の回復の道筋の中で再建が成り立っています ので、それは申し上げておきたいと思いますが。
 その上で、この間、政府の見解といいますか、いろんな経済見通し等でこの定率減税の縮小、廃止のときにも言われておりますけれども、GDPの〇・五%以 内の、つまり二・五兆円ぐらいですかね、単年度の国民負担がGDPの〇・五%以内なら今のトレンドでいくと景気は持ちこたえると。で、もう少し、内閣府な んかの見通しでいきますと、潜在成長率今一・七か八ぐらいだと、二%行かないと思いますけれども、潜在成長率を超えるような負担を掛けると九七年の二の舞 になる可能性があると。これは政府の方も言われているわけです。これを政府の一つのメルクマールといたしますと、例えば二〇〇七年から二けた増税、消費税 やるとすると、これは十兆円を超える規模になると思います。つまり、先ほど言われた政府のメルクマール、単年度で〇・五%をはるかに超えるし、潜在成長率 そのものと匹敵する負担増になると思います。
 こういう点で、いろいろ議論されていますけれども、二〇〇七年からの二けた増税というのは政府の、何といいますか、今のマクロ経済の判断と合わない。そ うすると、そこまでやると景気が悪くなるという判断をされていながら、二〇〇七年から二けた増税という、当たり前かのように財務省一生懸命今やられていま すけれども、これはちょっと矛盾しているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○国務大臣(谷垣禎一君)  いや、それは大門さん、当たり前のように二けた増税とおっしゃいますけれども、まだそう決めたわけのものではありませんで、私どもが言っておりますこと、 あるいはやっておりますこともまだブレーンストーミングというとちょっとつつましやか過ぎるかもしれませんけれども、要するに、これから本当に必要な、特 に社会保障に関して本当に必要な公共サービスの水準というのは何なんだろうという問題とよく連動させ、整理させながら、じゃそれを支える負担というのは何 なんだろうというのを議論していこうというのを今やり始めているわけでありまして、もちろん私自身は、個人的な考え方としては、それをやっていけば公平に あまねく負担していただくという意味では消費税というものを中心に置いて考えざるを得ないだろうと思っておりますけれども、ただ、それを入れるときどうい う状況で入れるのかというようなことは、今、大門さんがおっしゃったような景気判断もよくよくしていかなければ、何にもそんなことしないで行け行けどんど んというわけにはいかないのは当然のことだろうと思います。

○大門実紀史君  私は、竹中さんと、竹中大臣と何度も議論しているんですけれども、こういうことじゃないかなと。要するに、単年度の景気への負担がGDPの〇・五%以内な らというのは、これは内閣府の一つの数字でございます。政府の数字でございまして、そうすると、消費税をひょっとしたら段階的に上げていく、政府のメルク マールであるGDP〇・五を超えない、段階的に上げていくということを実際には当局は考えておられるんではないかと。そうでないと、見通しとつじつま合わ ないじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) まだ考えていないんでちょっと御答弁のしようがないんですけれども、そういうアイデアもあるのかと思って聞かせていただきました。

○大門実紀史君 誤解のないように、私がアイデアを提案したわけではございません。当局の方はそういうシミュレーションをしているとしか思えないような発言だと思いますが、もしよかったら当局の方。

○政府参考人(福田進君)  お答え申し上げますけれども、税制、税財源が必要なときにどれだけの所要額が必要か、つまりどれだけの歳出が必要か、それに対してどういうふうに歳入を調 達するのか。その一つとして税制があり、その税制の中でも主なものとして、今大臣から御答弁がございましたように、消費税が有力な候補者になっている、こ ういうことであろうかと思いますが、その先どういうふうにしてやるかというのは前提条件によって大きく異なりますので、どういうふうに、いろんなケース、 もちろんシミュレーションやりますけれども、これでやるというようなことは現段階では決まっているわけでも何でもございません。

○大門実紀史君 私は税金取るべきところはほかにもあると思うんです。もちろん、いつも議論している大企業から取るか庶民から取るかという話は今日はちょっとおいておいて、もっと取るべきところがあるというお話をしたいと思います。
 外資系の、今、リーマン・ブラザーズとか、いろんなことが出ておりますけれども、外資の問題、私、ずっと取り上げてまいりました。特にこの間、非常に目 立つわけですけれども、私は別に鎖国政策を取るべきだと言っているわけではございません。外資入れるなとか、そんなこと言っているわけじゃなくて、外資で あろうと、日本で取引、商売するならばちゃんとルールを守るべきだと、こういう立場でずっと言ってきたわけですね。グローバル化の中ですから、外資がいろ いろ入ってくるのは、それはもう仕方のないことだというふうに思います。
 一口に外資と言っても、二つ、種類といいますか、あるかなと。例えば、実体経済に直接投資をしてくれる、こういう外資の動き方があります。もう一つは、 ただ投機マネーで入ってくる、この外資の動きもございます。よく外資に課税をすると逃げてしまう、投資が減るというふうな、特に経済産業省辺りからの話が ありますが、私が言っているのは投機マネーの方ですね。これは元々逃げ回っているわけですから、あっちこっちを。これ、いいときだけ来るわけですからね。 これの話をしているわけで、課税したら逃げるということではない、その部分のお話をしたいと思います。
 それでもう一つは、今の、どれだけのお金が動いているかということなんですけれども、世界の貿易額というのは一年間で約七兆億ドルですね。大臣にお渡し しました私は本出しましたけれども、そのときに調べましたけれども、一年で約七兆億ドルです。ところが、このマネーの動きというのは一日で一兆億ドル。つ まり、世界の貿易取引、一年間掛かるお金を一週間で動かしていると。すごいお金が動いているわけですね。この中に膨大なさっき言った投機マネーがあるわけ でございます。
 今、国際課税の問題がやっと日程に上ってきたところでございますし、こういう逃げ回って、逃げ回りながらもうけている、このお金は世界の国々がみんなで 税金掛けようといえばいいわけですよね。トービン税という発想もございますけれども、みんなで掛ければ逃げられないというのがこの世界でございます。
 リップルウッドの問題を一つ申し上げますと、この問題は我が党の赤旗の経済の取材チームが突き止めましたけれども、リップルウッドというのは、御存じの とおり、長銀をわずか十億円でLTCB・パートナーズですかね、買って、新生銀行にしたわけですけれども、新生銀行株を、去年の十二月に今度国際課税がさ れるという動きになってきたというんで、事実上、パートナーズを解散して海外投資家に分散をして、幾ら売っても課税されない仕組みを作って、約こちらの調 べでは三千億円の利益を上げております。もうそういう課税の動きになってきたからということもあって、そういう逃げたわけですけれどもね。
 こういうことも起きておりますし、今ライブドアの問題でリーマン・ブラザーズの動きも派手になっておりますけれども、この国際課税について今日は基本的 なところを教えてもらいたいなという意味で質問をさせていただきますけれども、そもそもこういう投機マネーが税金を逃れている、課税を逃れている仕組みと いうのを、どんなものがあるか、ちょっと幾つか教えてもらえますか。

○政府参考人(村上喜堂君) お答えいたします。
 近年、経済の国際化の進展に伴いまして、税負担を不当に回避するような国際的な租税回避行為が多々見られるところでありますが、これらはかなりの程度オーダーメードになっておりますので、いろいろケースがあるかと思います。
 一つのよく見られるケースは、不良債権ビジネスの収益につきまして匿名組合等を利用して我が国での課税を逃れているようなケースもございます。また、 タックスへーブンにある関係会社に利益を付け替える、日本にある、本来なら日本に申告すべき利益を海外に付け替えるといった事例もございます。あるいは、 租税条約を不正に利用いたしまして、条約相手国にペーパーカンパニーを設立し、我が国での課税を逃れるケースもございます。それから、必ずしも国際課税で はないんですが、リース取引等を利用しまして、リース取引を組合事業として行いまして、投資家に損失を分配するようなケース、こういったケースが見られる ところでございます。

○大門実紀史君  今回の法改正で国際課税に踏み込まれたのは一歩前進と、この部分は評価しておりますけれども、外資系の投資ファンドなどが課税逃れをしたり申告しなかった り、こういうところにメスが入ったということなんですが、問題は、そういう海外の投機マネー、投資ファンドとか投資家とか、そういう組合形式、いろいろあ りますけれども、こういうところが、日本において恒久的施設があるかどうかが課税のメルクマールになるという一つの物差しございますね。この恒久的施設の 認定が甘くなっていないかどうかという点があると思いますが、それはどのようにお考えですか。

○政府参考人(村上喜堂君) 恒久施設、パーマネントエスタブリッシュメントと申しますが、この規定は基本的にOECDの条約で決められておりますので、国際的な共通なルールで運用されていると思います。特に我が国において甘くなっているということはないと思いますが。

○大門実紀史君 いや、私が言っているのは、甘いかどうかではなくて、まず基本的な話ですけれどもね。
 申し上げました、例えば言いますが、あのリーマン・ブラザーズというのは、リーマン・ブラザーズ・ジャパンというのは東京支店で桂木さんいらっしゃいま すが、あのリーマン・ブラザーズ・ジャパンというのはケイマンにありますね。ケイマンにあるんですね。で、東京支店というのがあります。本拠地はジャパン でいえばケイマンですね。みんな租税回避のためにケイマンに本拠地を置くわけですが、こういう場合はどうなりますか。支店は、支店だけ、いかにもジャパン だから東京支店に、六本木にあるような、みんな思っているかも分かりませんが、あれはケイマンにあるんですね。この場合はどうなりますか。どちらが恒久的 施設とみなしますか。

○政府参考人(福田進君) 個別のことはともかくといたしまして、支店が我が国にあれば、いわゆる先生おっしゃいましたPE、パーマネントエスタブリッシュメントに該当いたします。

○大門実紀史君 ありがとうございます。来週この問題で集中審議があると思いますので、その個別の話はそこでまた伺います。
 もう一つは、外資系の投資ファンドというのは組合形式を取っている場合が多いわけですね。その業務執行組合員をケイマン諸島などのいわゆるタックスヘー ブンのところに置いて、日本にはアドバイザーという形で、それがさっき言った支店形式を取ったり、いろいろ複雑でややこしいんですけれども、アドバイザー という者を置いて課税逃れをしているケースというのがあります。こういう場合は、いわゆるアドバイザーを置いているという形なんかはどういうふうに判断さ れますか。

○政府参考人(福田進君) 当該事案において、アドバイザーと称されている者、今おっしゃった者がどのような役割、位置付けを持っているのかということで個別の判断がなされるというふうに認識しております。

○大門実紀史君 役割で、実態で判断するということでよろしいでしょうか。──ありがとうございます。
 こういう租税回避がいろいろ行われておりまして、ある学者の方の試算によりますと、こういう投機マネーが日本だけでも何百兆、年間にしますと、出たり 入ったりですけれども、動くと。これに課税すれば十五兆円の収入になるという試算も一つあります。それぐらい大きな規模のお金が動いていて、租税回避がさ れているというのが今の実態でございます。
 最後に大臣に伺いますけれども、こういう租税回避行為ですね、こういうものに対してこれから財務省として、今回も法案出されておりますけれども、これからどういうふうに対処をされていくか、決意をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君)  今、大門さんから国際的な経済活動が複雑化、多様化する中で、やっぱり税制面の、何というんでしょうか、一種の穴といいますかね、そういう問題点を指摘し ていただきましたけれども、これは税制面でもこういう国際的な経済活動の実態に即した見直しを随時行っていかなければいけないんだろうと思います。そうし て、そういう租税回避行為を防ぐということが大事ではないかなと思います。
 平成十七年度の税制改正では、いわゆる航空機リース等への投資を組合形態で行って租税回避行動をしていくというような例がありますが、こういう投資に参 加する投資家への損失を分配して、そこを何かうやむやにしちゃうわけですね。それを厳しく制限する措置を今度の改正で講ずると。
 それから、非居住者が組合を通じて日本企業の株式の大口の譲渡を行った場合に事実上課税を免れてしまうという問題があったわけですけれども、これに対応 して、課税要件の判定で組合を一体としてとらえる措置を講ずるといったような措置を講じて穴をふさいでいこうということを今度考えております。
 それから、執行面でも、国際的な租税回避行為に対しては国税の組織の総力を挙げてきちっとやっていくと、厳正な態度で臨むと。それから、税務調査を通じて適正公平な課税の実現を図っていくということを更に徹底していかなきゃいけないと思っております。
 制度、執行の両面で連携を図りながら、租税回避行為の防止、適切な課税の実現と、努めていきたいと思っております。
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