■2004年11月16日 財政金融委員会(関税暫定措置法改正案) |
○大門実紀史君 大門でございます。 我が党は今回のメキシコとのEPAに残念ながら反対でございます。したがって、本法案にも残念ながら反対でございます。ただ、EPAやFTAについて一 般に反対という立場は取っておりません。二国間交渉によるEPA、FTAは、お互いの条件をよく考慮して進めるならば相互に経済関係深めることできます し、発展も促せるという点で一般に反対はしているわけではございません。 ただ、今回のメキシコとのEPAは、農協の宮田会長がおっしゃっていますけれども、その言葉をかりるならば、工業サイドの要求の実現のために農業にしわ 寄せが来ると、そういう構図になっていると。今日も議論ありましたが、セーフガードの問題、いろいろ歯止めは掛けているという話ですが、我が党もいろいろ 詰めてみましたけれども、やっぱり穴がぽっかり空いているということを指摘せざるを得ない。したがって、しわ寄せは来るという判断をして反対をしているわ けでございます。 それそのものの問題点は既に今までの衆参の委員会で触れておりますので、今日はもうその議論の重複は避けます。このEPA、FTAの在り方そのものについて、谷垣大臣の見識を伺うという質問にしたいというふうに思います。 まず、こういう二国間協定というのは、当然、譲り合いとか痛み分けになるのは現実の姿として当然のことだと思いますね。日本がこれから結ぼうとする EPAにしろFTAにしろ、韓国を除けば東アジアの途上国が主な相手になりますから、当然日本の方は工業製品を輸出する、拡大したいと、相手の方は農産物 を輸入してくれと、こういう関係にならざるを得ないというのが今後のFTA、EPAだというふうに思います。問題は、日本がこれ以上の農業の、農産物の輸 入を拡大することをどう考えるかということに私は一つこの問題尽きるんではないかと思っています。 既に日本は世界一の農産物の純輸入国になっています。先進国の中で食料自給率も最低ということになっていますし、関税率も、OECDの資料によります と、全品目の平均で日本は五%と、これはアメリカに次いで世界で二番目に低いんですね。農産物の平均も、日本は一二%ですけれども、これは世界で五番目に 低いんです。ですから、何も今関税が高くて、総理が一度どっかで言われましたけれども、農業鎖国をやっている場合じゃないと言われましたけれども、もう全 く認識が違う、もう十分に市場開放はされていると、これは関係者の方も指摘されているところでございます。 そういう中で、今農家の皆さんがいろんなこの輸入の拡大で苦境に陥っているというのは、私たちが選挙で農村回れば、どの党の議員もそういう話を伺うというのが現実ではないかというふうに思います。 ただ、先ほど申し上げましたとおり、今後の東アジアのEPA、FTA考えますと、どうしても工業製品を輸出して農業を輸入してほしいと、この関係になら ざるを得ないということに具体的になります。そういう、ですから農産物の輸入促進はEPA、FTAをやっていこうと思うと避けられない、減ることはない、 促進することになってしまうと。この辺のことを谷垣大臣は基本的な考え方としてどういうふうにお考えでしょうか。 ○国務大臣(谷垣禎一君) 今、大門委員からお話がありましたように、このところの日本の国際関係見ておりますと、アジアとの関係というのは、これはもう非常に深くなってきておりま して、要するに日本自身の判断としてアジアとの共生というのを進める必要があると。もちろん、この理由述べますと長くなりますから、結論だけ申しますと、 大方そういう理解になってきているんではないかなと私は思っているんです。 このアジアとの共生を進めるということになってきますと、先ほど申しましたように、やはり人、物、金の移動をできるだけ自由にしていくということを考え ざるを得ない。そうなりましたときに、結局、先ほど大門さんが指摘されましたように、日本は世界に冠たる工業国家でありますから、日本から輸出するものは 勢い工業製品である、アジア各国から入ってくるものはやはり、農業だけとは言いませんが、農業が多いだろうということは、これもやむを得ないことだろうと いうふうに私は思います。 また、FTAを結ぶ上からもWTO等の協定を遵守しなきゃなりませんけれども、WTOも実質上すべての貿易について関税その他の制限的通商規則を廃止さ れると、どこかの分野を除くというようなことはWTO協定上も認められていないということだろうと思います。そうなりますと、今も委員が、いろいろ日本も かなり農産物に関してはもうぎりぎりのことを今までやってきたはずだという御趣旨だったと思います。 先ほどから、私、三つ言っておりますけれども、農業の多面的機能、これは農村のいろんな役割というものもあると思います。それから、食料安全保障という ことも、余りきゅっきゅっ締めていくわけにもいかないところがございます。それから、これも先ほど来の御議論でございますけれども、日本の農業自体もそう やっていく中で足腰を強くしなきゃならないと、これは当たり前のことだろうと思いますが、そのための構造改革の流れというものも必要だろうと思います。 こういったものをすべて勘案しながらやはり考えていかなきゃならないんで、なかなか解は簡単ではないと私も思いますけれども、先ほどからの御議論のよう に、例外品目であるとか関税割当てであるとか、あるいは二国間セーフガード、こういうものを適切にビルトインして、私はアジアとの共生と先ほど申しました ような日本の農業の持っている役割というものの両立を何とか果たしていかなきゃいけないんじゃないかと思っております。 ○大門実紀史君 私は、今言われた農業構造改革とか等々、今日ここは農水委員会ではありませんので触れませんが、要するにそのまま今の政府の農政だとそういうことに耐えら れる日本の農業を作れないんではないかというふうに懸念をしています。むしろ、今頑張っている農家の方々を、日本の農業のいいところもあるわけですから、 直接支援するようなことが求められているという点だけ、その点では指摘しておきたいと思います。 もう一つ、私は思うんですけれども、アジアの方で輸出するアジアのそれぞれの農業、途上国の農業が今どうなっているかということなんですけれども、本当にその国にとって今いい農業生産をやっているんだろうかと。この点もよくやっぱり考えておく必要があると思います。 例えば、大体途上国の農産物輸出には、今いわゆるアグリビジネス、多国籍のアグリビジネス、例えば日本の商社が行って物を作らせるとかメーカーが作らせ るというアグリビジネスがかなり入り込んでおります。例えばメキシコからの豚肉の輸入の問題でも、メキシコではもう豚肉の生産というのはアグリビジネスが 大体やっていまして、大規模な。やっぱり大規模ですからいろんな安全衛生管理に心配が生まれています。感染症を防ぐためにワクチンの技術を日本から技術援 助しているとか、いろいろアグリビジネスそのものがメキシコの豚肉でも問題になっているんです。 中国の輸入野菜について言えば、去年、残留農薬が問題になりましたけれども、あれも、中国人が今作っている日本向けの野菜というのは中国の人が食べな い、ホウレンソウだとかゴボウなんというのは中国の人、食べません。日本向けにアグリビジネスでやっているわけですね。あるいはタイなんかでもエビとかブ ロイラーの問題が、これが問題になってきましたけれども、環境破壊を起こしてマングローブの林を絶やしてしまったとか、あるいはえさの沈殿で海水汚染が拡 大するとか、そういういろんな問題をアグリビジネスが環境破壊あるいは食品の安全の問題で引き起こしています。それが実際には今途上国の農業生産の実態な んですね。 もう一つは、その途上国自身も自分たちの国の国民を養うために農業生産するよりも、そういう輸出向けの農業生産に力を今入れていって、自分たちの食料よりも外貨を稼ぐ農業に今傾斜しているという問題点があります。 ですから、例えば中国なんかで言えば、自分たちの人口を賄う食料生産をしなければいけないのに、輸出の方の農業生産をやっていると。穀物は輸入するよう になってきていると。東アジアでは今穀物の輸入が物すごく増えているんですね。本来自分の国で生産できるものまで、そういうものは輸入して、日本とかそう いうところにさっき言ったアグリビジネスが輸出をしていると、こういう問題が生じています。 したがって、今の東アジア、途上国の農業生産というのは、決して東アジアの農家の方、国民の人にとって必ずしもいい生産をしているとは私はなかなか言え ないのが実態だと。そういうところとFTA、EPA結んでいって、どうぞどうぞ輸出してくれというのも、もう一ついろいろ考えなきゃいけないことが私はあ るんではないかというふうに思います。 そういう点でいきますと、単に農産物を輸入してほしいと言われて、そのレベルだけではなくて、もっと日本の農民と、今始まっていますけれども、向こうの 農家の方と、それは地場の農家の方ですけれども、アグリじゃなくて地場の農家の方ですが、そういうところの交流を深めて、本当にお互いの農家がちゃんと やっていけるような、譲り合うところは譲り合ってやっていけるような、本当の農業の輸出入の交流というものが今重要になっているというふうに思います。 今、おかしなことが進んでいるんです。工業製品を輸出するのも多国籍企業、途上国から農産物を輸入するのも多国籍のアグリビジネスと。国民不在といいま すか、それぞれの農家の不在というような形で進んでいます。そういう点では、WTOと違いまして、二国間のことですから、いろんなことを相談して、それぞ れの当面の利益だけではなくて、将来のお互いの食料主権あるいは自給率の問題、こういうものをお互いでよく話し合って、その上で譲り合うところは譲り合う とか、そういうふうなことが、本当の農業でいえば、二国間の協定であるべきだというふうに私は思います。 そういうふうにしていかない中で、とにかく工業製品で、向こうが、アグリビジネスが言っている、輸出したいと。これに乗っているようなことを繰り返して いては、本当に今のグローバリゼーションというのはもっともっと問われておりますので、そういう中身のよく見たグローバリゼーションに対応していくことは 必要だと。その中で、二国間協定も考えていくべきだというふうに私は思っているんですが、大臣の御見識を伺えればと思います。 ○国務大臣(谷垣禎一君) 今、大門委員の御質問は、私、当局としてなかなかお答えする知見がないわけでございますけれども、要するにこのFTAをやりますときに政府の中でも連携を 取らなければいけないわけですが、今の御質問で申し上げますと、主として農林水産省が、先ほどもどなたかがおっしゃったみどりの、何と申しましたっけ、み どりのアジアEPA推進戦略というものを農水省が中心になってお作りになっておりますが、その中に、EPAを通じてアジアの農山村、農村あるいは山村、漁 村、こういったところの貧困等の解消にどう結び付けていくか、あるいは地球環境の保全や資源の持続可能な利用というものをどうこのEPAの中に織り込んで いくかという視点を出しておられますので、やはり今後そういうようなことも十分意識しながらEPAの交渉を続けていく、EPAの交渉をやっていくことが必 要かなと思います。 ○大門実紀史君 私も農水省のを読みましたけれども、もう言葉だけでほとんど何も考えてないと思うんですね。それで、谷垣大臣にそういう観点を持っていただきたいと思って申し上げたわけです。 とにかく、今グローバリゼーションが、グローバルの時代ですし、二国間協定、EPAもFTAも結ばれていく方向というのは何も否定はいたしませんけれど も、もう少し、もう一歩考えて、アジアとの共同、東アジアの国々との共同ということを考えたときに、単に今までやってきたアメリカ型といいますか、アメリ カ型のグローバリゼーションといいますか、企業中心といいますか、企業がもうけていくことを一つの基軸としたグローバリゼーションじゃなくて、今いろんな グローバリゼーションの動きが世界で広がっていますけれども、そういう点を踏まえて、何といいますか、グローバルスタンダードの、日本がせっかくイニシア 取れる二国間協定ですから、アジア・スタンダードといいますか、そういうものを一緒に模索していくという方向に今後切り替えていくことを求めて、質問を終 わりたいと思います。 |
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