■159-参-予算委員会-11号 平成16年03月16日 |
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。 今日は、景気と雇用問題について質問をさせていただきます。 まず最初に、政府は景気が回復しているというふうにおっしゃっておりますが、午前中も自民党の方からありましたけれども、国民や中小企業にはその実感が伴わない、懸け離れているんではないかというふうに再三指摘されているところです。 総理に伺いますけれども、どうして中小企業、国民にそういう実感がわかないのか、総理はどういうふうにお考えですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) まあ人様々だと思いますが、やはり現在職を持っていない方にとっては、全然景気の実感なんかないというのは私は当然だと思います。また、この経済指標というのは、やはり今までの実績からいって、出てきた数字の指標を目安にしておりますので、そういうのを調べてみますと、企業業績も改善してきた、そういう企業が多く出てきた。また、景気にとって一つの目安となっております設備投資も増加してきた。さらに、物価にもここに来て下げ止まりの傾向が見えると。さらには、失業者、雇用情勢は厳しい状態が続いているものの、求人数等増えてきており、若干改善の兆しが見られるということからして、経済状況にも明るい兆しが見えてきたのかなと。 よく、私の改革をとらえまして戦前の大恐慌の事例の例を当てはめる方がおられましたけれども、戦前のあの浜口内閣当時の大恐慌のときには、アメリカも悪かった、ヨーロッパも悪かった、日本も悪かった、世界恐慌と言われるぐらい。そのときに改革をやったから、台風のときに窓を開け放つようなものだ、小泉は同じようなことをやっていると批判されましたけれども、現在、アメリカの経済も好転してきている、中国の経済も成長している、外部環境も当時とは大分変わっているんではないか。こういう好機をとらえて今まで進めてきた改革を促進していくことによって、明るい兆しが出てきた経済を大企業のみならず中小企業にも、また中央だけでなく地方にも広げていくのが小泉内閣の責務だと思っております。 ○大門実紀史君 よく分からないんですけれども、要するに、大多数の人は良くなっていないからそういう実感がわかないんだ、もうそれだけのことだと私は思います。 これから改革をということですけれども、小泉内閣発足して三年たちましたけれども、総理は最近、改革でまいた種が芽が出てきたというふうな言い方もされておりますけれども、三年たってようやく芽が出ると。そうすると、花が咲くのはいつごろになりますか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 石の上にも三年という言葉があります。桃栗三年 柿八年、いよいよ改革の種に芽が出てきたな、この芽を木に育てていく、花を咲かせ ていく。いずれ、私が退任するころには二%程度の経済成長を達成させていきたいな と思っております。 ○大門実紀史君 私は、花が咲くのは大企業だけで、国民の皆さん、中小企業の皆さん、いつまで待っても花は咲かない、まいた種も災いの種ばかりじゃないかというふうに思っているところです。 中小企業、国民に実感がないのは、要するに、よく言われている二極化しているわけですね。一部の製造業の大企業が増益になっていると。だけれども、国内需要が低迷していますから、国内需要に依存している中小企業等々がなかなか厳しい状況が続いているということだと思います。 その国内需要が低迷しているのは、なかなかわき起こらないのは、これはもう当然、所得環境が、雇用の環境がほとんど改善していないと。所得や雇用の環境が改善しないというのは、やはりこの間、言われている大企業の増益、企業の利益というものが所得環境、雇用の改善に結び付いていないからではないかというふうに思います。 お手元に資料をお配りいたしましたけれども、パネルにもいたしました。(資料提示) 見てもらいたいのは、要するに企業利益は、企業利益はですね、何だかんだ言っても伸びているんです、曲折あっても伸びてきているんです。ところが、賃金は一貫して下がり続けていると。利益が上がっても所得に、賃金、所得に結び付かない状況に今なっているということです。これは現実としてこういうふうに推移していると。 それはなぜかということなんですけれども、それは棒グラフの方を見てもらいたいと思いますが、簡単に言いますと、この間、小泉構造改革、小泉内閣が進めてきた規制緩和、先ほど竹中大臣が労働市場の構造改革と言われましたけれども、その雇用の構造改革が進んでいるからです。 まず、大きな話でいきますと、正社員が減って非正社員が増えると。これが、七年間で比べますと、大体四百万人正社員が減って、非正社員、パートとか派遣労働とか契約社員とか、そういう非正社員が四百万人増えているということです。賃金どうなるかといいますと、当然、見てもらって分かるとおり、この非正社員の方々というのは正社員の約半分の賃金です。だから、低い賃金の人たちがずうっと増えていると。なおかつ正社員の方も、この間、成果主義だとか裁量労働制とか、あるいはベースアップゼロとかで賃金の抑え込みをずうっとされていると。当然ですね、当然ですね、この利益が上がっても、元々利益はそうやって上げたわけですけれども、そういうふうに就業構造が変わってきておりますから、これは当然、所得だとかそういう雇用環境に、改善に結び付いていかないと。今そういうふうになっていると思いますけれども、いかがですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 大門委員から幾つかの御指摘がございましたが、まず、大多数が良くないんだというのは、これは経済、常にまだら模様ではありますけれども、これはいささか少し極端なのではないかと思っております。五百兆経済でありますから、一部だけが良くて全体が二%、三%成長するということは、これはあり得ないわけです。 我々、まだら模様を注意して見ておりますが、例えば街角の景気ウオッチャー調査というのをやっております。これは、タクシーの運転手の方とかスナックの経営者の方とか、正にその方の実感はどうですかというのを聞いて発表しているわけですが、この景気ウオッチャー調査によりますと、現状、すべての地域で改善はしております。まだら模様はまだございますけれども、そういう方向には行っているということは是非御認識を賜りたいと思います。 その上で、賃金の問題でございます。賃金、ここの図を今拝見いたしましたが、実は、この九七年の以前に日本の労働市場に非常に大きな変化が起こっています。九〇年から九〇年代の半ば後半にかけて、いわゆる労働分配率が非常に高まっていると。同じ価値を稼いでも、それを給与に回す部分と利潤に回す部分、その給与に回す部分が世界で類を見ないぐらい急激に上昇をしました。その結果、日本の企業が疲弊してその競争力が問われるようになった、それを正にリストラ等々でしっかりと立て直す時期のこのグラフでございます。 その意味では、労働者の一部の方は大変だということも事実だと思いますが、実は賃金は最近になって下げ止まってまいりました。企業が改善する中でリストラも一段落をしつつある。それが賃金の下げ止まりになって、これが雇用に、さらには賃金に、そして消費にいかに向かわしめるかと、そういう非常に重要な局面だと思っておりますので、我々はしっかりと見ております。 非正規社員等々の問題については、これは幾つかの問題があるということは承知をしておりますが、一方で働き方を多様化させたいというニーズもある中で、我々としてはしっかりと対応をしていかなきゃいけない問題であると思っております。 ○大門実紀史君 いろいろおっしゃいますけれども、マインドの改善だとか若干賃金が下げ止まりとか、私はもうそのちょっとしたことを針小棒大に言って、ちょっとそういうことはないんではないかと思うんです。日本の経済全体を見ると、重病人の小康状態といいますか、私、その範囲ででして、そんなに大騒ぎして良くなったというほどの話じゃないんです。 私がお聞きしているのは、私がお聞きしているのは、どうして、どうしてこういうふうな構造になっているのに利益が所得に、これは政府も言われているわけですね、ポイントは、所得や、大企業の増益が所得や雇用環境の改善に結び付くかどうかというのは、政府も再三答弁されているからお聞きしているわけですけれども、どうしてこういう就業構造になって、低賃金構造になっているのに利益が結び付くんですかと。 竹中大臣、一応学者ですから、私は理論的にお聞きしているわけだから、大臣もちょっと理論的にすぱっと答えてくださいよ。どうして結び付くんですか、こういう構造になって利益が、所得、雇用に。どうして結び付くんですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 一応ではなくて学者のつもりでございますけれども。 私は、私も事実を申し上げているわけでございます。雇用調整を実施した事業者の割合というのが、二〇〇二年の第一・四半期は三二%の企業で回答がございました。それが今、最近期は一七%ぐらいまで減っている。確かに、リストラをして賃金を下げて雇用形態も変えるということを企業はやってまいりましたけれども、それが一段落しつつあるというのは事実でございます。また、所得面で、定期給与でありますけれども、二〇〇三年前半は減少傾向にあったわけでありますけれども、これが今横ばいに転じております。これも事実でございます。労働分配率が上がった後、それを調整するという厳しいプロセスを日本経済は経てまいったわけですけれども、それが今実を結びつつあって、それから新しい局面に行こうとしていると、この認識は私自身は正しいと思っております。 ○大門実紀史君 私お聞きしているのは、そういう周辺の数字をいろいろ並べて、その状況を聞いているわけじゃないんです。どうして結び付くのかということを再三お聞きしたわけですけれども。 要するに経路が断たれていると思うんです、昔と違って。昔は言ってありましたね、パイの理論という、私たちは違うと思いましたけれども、一応企業側も言うような、利益が全体上がれば賃金も増えるよと、所得、雇用も増やすよと。昔はありましたけれども、今逆になっていると。幾ら利益が上がっても総人件費は抑えるという戦略になっているし、それに沿った規制緩和を政府の方はやられてきたと。こういう中ではそういうふうに結び付きませんよということを御指摘しているわけです。つまり、政府、小泉構造、小泉内閣の責任で目詰まりを起こしていると、波及しなくなっているということを指摘しているわけです。 そもそも、その非正規雇用の話が出ましたので、先ほど峰崎議員からもありましたが、私もフリーター問題、非常に今重大問題になっているというふうに思いますので、そちらの方に質問を移したいと思います。 私、埼玉でフリーターをしている二十八歳の女性から、直接どんな状況なのかと話を聞いてみました。人材派遣登録は二つの会社にしていると。一つは、登録後何にも連絡がないそうです。もう一つの方は、この一か月で四日間の仕事があっただけだと。それも、貴金属会社の呼び込み、受付、たったそんな四日間の仕事に採用者九十五人採用するのに二百四十人が応募したそうですね。応募したということです。しかも、国語テスト、小テスト、面接をやられた上で採用と。これは時給、交通費込みでたった千円だそうですね。時給千円と。こんな状況です。その後は仕事の紹介がないと。内実を聞きますと、仕事が欲しければ自分からもっと低い時給でいいですからとか、そういう売り込みをしないとこの人材派遣会社は仕事を回してくれないということも言っておりました。もちろん社会保険は入っていないし、派遣会社の方が社会保険が入らないような、入らなくていいような時間設定にしていると。職業能力を身に付けるなんてとんでもない、いわゆる単純労働ばっかりに派遣されてスキルアップなんかできないということ。あるいは、職安にも行っているけれども、フリーター状態・u桙ゥらもう長年、三、四年抜け出せないでいるということをこの女性は言っておりました。 先ほどもありましたけれども、フリーターと正社員の賃金格差、私の調べでは少し違います。年収でありますと、この十五歳から二十四歳で調べますと、年収平均だと、正社員だと三百八十七万になりますけれども、フリーターは百五万です。約四分の一です。こんな水準に置かれていると。これが社会にどんな影響を与えるかは、先ほど民主党の峰崎議員からありました。私もそのとおりだと思います。社会的に大変深刻な事態をもたらすというふうに思います。 問題は、私、問いたいのは、総理にお伺いしたいんですけれども、どうしてこのフリーターと言われている皆さんがどうしても正社員になれない、こういう状況が続いているのか、これは何が原因でどうしたらいいというふうにお考えですか。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これだと一言では言えないと思います。人様々だと思います。時代の変化にもつれまして、考え方にも、大企業に就職をすれば、ああ、これでいいという状況でもない。それぞれの好みも違って、学歴の高い人でも、人がうらやむようないい企業に入ってもすぐ辞める方も出てくれば、厳しい仕事でも一生懸命やっている方もおられる。それは人様々でございますが、このフリーターが増えているというのは必ずしもいい傾向でもない。 そして、今お話しのように、フリーターで、好んで、自分はそういうのを好むんだと、おられると思いますが、そういう方は少数だと思います。やはり若い時代から訓練なりあるいは知識の蓄積なりというものを備えて自分に合った仕事を見付けるということを奨励するためにも、この問題については、当面の対策と、それから子供のころから、学校の場から、一つの勤労の喜びなり勤労の重要性をよく理解してもらうような教育も必要じゃないかと。様々だと思いますが、やはり大きな時代の変化に今現れていると。 この時代の変化、これをどう適応していくかというのが我々に課せられた政治家の立場だと思います。同時に、これからの将来を担う若い方々にも、是非とも勤労の喜びなり勤労の重要性を認識してもらうような、そういう在り方というものも考えていかなきゃならない問題だと思います。 ○大門実紀史君 総理、人様々というのはもうやめていただけますか。これは話、議論になりません、人様々ですと。そういうことではないと思います。もっとちゃんと総体としてこの問題とらえていただきたいと思います。 ただ、総理言われたとおり、フリーターを自ら望んでいる人はそんなに多くないんですね。ところが、私、昨日もどこかの副大臣、あるいは今日は文部科学大臣が言っていましたけれども、このフリーターが増えている原因を、あたかも子供の職業意識が低い、あるいはやる気がない、学力が低下していると、それを主要な原因のようにこの国会の場で言われているというのは、私、開いた口がふさがらないで聞いておりました。 もちろん、高校生の卒業時のアンケートを取るとそういう子供たちもいます。いることは事実です。だけれども、すぐ社会に出て現実にぶち当たって、大変なことだとみんな気付いているわけですね。それをむしろ、私から言わせれば、そういう子供の言ってみれば未熟さです、子供の未熟さをいいことにして、それを安く使って、使い捨てのようにしている企業の方が私よっぽど非難されるべきで、子供たちを非難する話じゃないと思います。総理が言われたとおり、望んでいる人は少ないんだと、みんな正社員になりたがっているんだということを是非その副大臣だとか文部科学大臣に注意をしておいてほしいというふうに思います。 フリーター増加の原因は、国民生活白書、これは竹中大臣が冒頭に、なかなかのこと書かれておりますけれども、そこで指摘されているように、企業が新規採用を減少させていることが一番の原因なんです。しかも大企業ほど採用をしなくなっていると。先ほど坂口大臣お答えになりました、もうそのとおりだと思います。 大企業の現場、今どうなっているか。製造の現場は即戦力が欲しいと、即戦力欲しいと、だから業務請負。この問題点は我が党の小池議員が前回指摘しました。もう大変なピンはねのひどい形式です。業務請負にみんな大企業の製造現場は正社員、高卒の新規採用やめて移しているわけですね。事務の方も、坂口大臣言われたとおり、パートに、パート、アルバイトに切り替えていると。だから、新規採用が減ってこういうフリーターがたくさん生まれているんだということなんです。 ですから、まあ私思いますけれども、もうフリーターという呼び名をそろそろやめるべきだと。自由で気楽なとか、そうじゃなくて、もうみんな若い人たちは今毎日が気詰まりなんです。毎日がもう展望が見えなくて大変なんです。ですから、簡単にフリーターというような軽い言葉で言うような問題ではないというふうに申し上げたいと思います。 許し難いのは、私は企業の姿勢ですね。NHKのアンケートによりますと、フリーターを雇っている企業は何と言っているか。フリーターは会社を支える重要な戦力、社会保険、退職金は不要で、会社に非常に有利な雇用形態である、使い捨て、消耗品、かわいそうだが、今の状態が嫌なら辞めてもいい存在だと。便利な存在ではあるが、本人には申し訳なく思っているというふうに言いながら、これからも使いたい、増やしたいと、そういう答えた企業が五割以上あるんですね。 私は本当に余りにもひどいと思いますよ。目先の利益だけ追って、こういう若い人たちを、正に食い物ですね、するような企業。こういう企業について、総理、いかが思われますか。これは総理のお考え聞かせてください。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、さっき人様々だということは言うなと言われましたけれども、企業によってもいろいろあるんです。企業に、一つの企業に勤めたいと思うんだったら、これは採用を働き掛ける人もその能力を身に付けなきゃならないと。どんな企業だってやっぱり一定の能力求めます。それは、それぞれの個人が自らやる気を持って、そのような会社に勤めたいんだったら、自分はどういう知識を身に付ければいいか、どういう技術を習得すればいいか考えてもらわなきゃいかぬと。 これは、どの世界でもこれは当然のことなんです。やはり一定の、スポーツにおいてもそうです。このスポーツ出るためには日ごろから訓練しなきゃ出れないと。マラソンでも、オリンピックの枠が一つ足りなくて残念でしたけれども、この一つの枠を目指すのにどれだけ涙ぐましい血のにじむような訓練、練習をしているか。 やはり、今職のない人は、求人数が多いんです。何とかしても欲しいと言っている企業たくさんあるんです。それに対して、自分はその仕事をつかもうというんだったら、やる気を出して、やはり一つのそれは苦しさでありますが、乗り越えるための努力はしてもらわないと、努力しなくて何にも、得れるという状況じゃないということも御理解いただきたい。そして、企業もできるだけ社員を大事にするような環境を整える、そういう企業が私、発展していくと思うんであります。 すべてやる気のない人じゃありませんから、いかにやる気を持ってもらうか。そして、今職のない人が職を得るために知識なり技術を身に付けるためには一定の努力が必要だと、こういう点もやっぱり理解していくことが大事だと思っております。 ○大門実紀史君 よく分からないんですけれども、私が先ほど申し上げた、各企業が言っている消耗品、使い捨てというのは仕方がないとおっしゃっているんですか、それでは。 ○内閣総理大臣(小泉純一郎君) そう一部をとらえて言っているんじゃありません。大門さんの全体の質問の趣旨をとらえて私は答弁しているんです。 それは、そう言われれば、部分を取られて批判されるのは仕方がありませんが、そういうことではございません。 ○大門実紀史君 要するに、申し上げたいのは、青年は、ほとんどの青年は努力しているんです。だって、今、十年前に比べて、青年、若年失業者でずっと求職活動を二年以上続けているという人たちは十年前の倍の比率になっていますよ。みんな仕事探しているんですよ。私がお話聞いた人も、もう毎日のように職安へ行って、求人雑誌見たって、もう派遣労働ばっかりじゃないですか。派遣と短期ばっかりじゃないですか。それは行きますよ。いつまでたっても、能力を身に付けたくても、職業能力身に付けたくてもスキルがアップしないんです、技能がアップしないんです。そのまま三十代、四十代になってしまうんですよね。努力をしているんです。 もう一つ、国のこういうことの根本にかかわりますので質問したいと思いますが、これはフルタイム労働、パート労働の賃金を国際比較したものです。(資料提示) 見てもらって分かるとおりですけれども、主要国の中で、例えばスウェーデンですと、フルタイム労働者が一〇〇とすればパート労働者の賃金が八七・二ということを表します。イギリスなら、一〇〇のところパート労働者は五八・〇というようなことを表します。日本は一〇〇に対して五〇・五、四九・九、四九・七とずっと下がってきています。 どうしてこういうふうに日本はいわゆる正社員とパート労働の賃金格差が広がっているんですか。 ○国務大臣(坂口力君) この表を見せていただいて、諸外国のパーセントを私もよく存じませんけれども、日本の場合に、パート労働をしておみえになる方が女性の方が多いということも私は影響していると思います。男女の賃金格差ございますし、パート労働で百時間とか百三十時間とかというような範囲の中でされる方がかなりあるというようなことも影響して、平均してこれは落ちてきているんではないかという気がいたします。 ○大門実紀史君 女性が多いと低くてもいいということではないと、そういう意味で言われたんじゃないと思いますけれども。 私が聞いているのは、ほかの国、じゃ結構ですよ、ヨーロッパだけ比べてもらっても結構です。なぜそれだけ格差があるんですか。 ○国務大臣(坂口力君) ですから、諸外国がこれだけ高いかどうかということを私もちょっと数字持ち合わせておりませんのでよく分からないということを申し上げたわけです。 ○大門実紀史君 じゃ、私がお教えします。 つまり、イギリスとアメリカは、先ほど竹中大臣言われたような労働市場の構造改革というのを進めてまいりました。規制緩和ですね。流動化、進めてきて、もちろんヨーロッパもそういう非正規雇用、派遣労働とかも増えてきましたが、ヨーロッパは、やはりそれに対して規制を掛けなければいけないと。ほっておくと賃金格差が広がって低賃金労働者が先ほどから御指摘しているように増えてしまうと。世の中が大変なことになってしまうと。それで、規制を掛けなきゃいけないということでいろんなことをやってきたからこれだけイギリス、アメリカとは違うわけです。 その点から踏まえて、坂口大臣にお聞きしますけれども、このままで日本はいいんでしょうか。 ○国務大臣(坂口力君) ヨーロッパの場合には、御承知のように職務ごとの賃金が決まっております。いわゆる産業別協約というものがあって、それによって定められているということも私はあると思います。そこが日本は少し違うところでございますので、そうしたことも影響しているんだろうというふうに思います。 ただし、我が国も、パート労働で働いていただく皆さんの仕事の内容にもこれはよりますけれども、正社員の皆さんとパート労働の皆さん方の仕事の内容が同じであれば、これはやはり格差というものはなくしていかなければならないわけでありまして、そうした意味で我々の方も、昨年でございましたか、正社員とパートタイム労働者との間の均衡処遇に向けたルール作りというのをやりまして、そして指針を改正をしてお示しをしたところでございます。そうしたことを今後も我々としても努力していかなきゃいけないと思っております。 ○大門実紀史君 産業別労働協約のことを一言言われたので、アメリカもイギリスも産業別協約はございますので、それだけではないというふうに御承知おきください。 EU、欧州連合では、正規雇用と非正規雇用の今、大臣言われました均等待遇を目指して大変努力をしてきています。イニシアチブ取ってEUが努力をしてきています。例えば、九七年にはパート労働の均等待遇を図るEU指令というのを出しました。次に、九九年には有期雇用の指令を出して、そして今、派遣労働についてそういう指令案を出そうというふうな動きになっている。パートも有期雇用も派遣労働も、次々と、このまま放置しては大変なことになるということで、EUがイニシア取ってやってきているわけですね。御存じのとおり、EU指令は発せられますと、それぞれの国で何年か以内にそれをちゃんと法制化しなきゃいけないという大変強制力のあるものです。 日本はどうかといいますと、今、坂口大臣言われたとおり、パート労働についてはやっと厚生労働省が、二〇〇三年十月適用ですかね、パート労働指針を出されました。私、これ出されたことそのものは意義があると思っておりますけれども、ただ残念ながらスピードが遅過ぎる。これだけ先ほどパネルでしましたように急速に拡大している中で、しかも努力目標で終始していると。もう努力目標で終始している場合ではないと申し上げたいと思います。 しかも、派遣労働は何の、何も手が付いておりません。むしろ規制緩和ばっかりやっているんですね。で、今、派遣労働の事態は大変深刻なものになっておりまして、いわゆる派遣のダンピング競争が起きています。これは労働者派遣法が改正、改悪されましたから、製造現場への人材派遣が今年の三月一日、この前から解禁になっているわけです。そこで、今、特に大企業の製造現場の仕事を取ろうということで、業務請負会社と人材派遣会社が受注の、仕事を取りたい、労働者をうちの方が安く送るよというダンピング競争をやっていると。つまり、まあ元々その人材派遣も業務請負会社もピンはね会社ですから、ピンはね会社同士が更にダンピング競争をすると、またすさまじい事態ですね。これでは、更に更にそこで働かされる、送り込まれる労働者がピンはねされていくということになると思います。 で、今、派遣労働者の時給は下がっているんです。そもそも下がっているんです。九四年平均で一千七百四円だったものが、二〇〇一年で一千四百四十四円に下がっています。どんどんどんどんこの人材派遣会社等のダンピング競争をやっているから、人材派遣の労働者もずっと下がっているんですね。 こういうことを考えますと、私はもうやっぱりこのパート、有期雇用、派遣労働、同時に日本は急いでこういう均等待遇の方向に切り替えていくということをやらなきゃいけないと思いますが、そういうお考えはございますか。 ○国務大臣(坂口力君) ここは企業だけ悪いといっても、私は始まらない話だと思うんですね。企業は企業で一生懸命やっているわけであります。全体としての環境をどう整えるかということになってくるんだろうというふうに思っております。全体としてこの正規の職員を受け入れられるような体制を、経済体制をどう構築をしていくかということが今求められているわけでありまして、そうした方向に向けて今何をなすべきかといったことだろうというふうに思っております。 したがいまして、そうした中で一歩一歩前進をしている、していくことが大事でありまして、全体でいろいろの法律を変えるというようなことは、それはできたといたしましても、現実性がなかなか伴わない。そこが、現実がそうなるようにしていかないといけないというふうに思っております。 ○大門実紀史君 そういう問題ではございませんので、強力なイニシア取って進めなければ大変なことになるということを申し上げたいと思います。 EUでは欧州委員会がイニシアチブを取ってやっているという話をしましたけれども、そのEUの雇用・社会政策担当委員のディアマントプルさんが講演でこういうことをおっしゃっています。私、これ非常に重要だと思っているんですけれども、EUは次の目標を持ってやっていると。競争力の強化、社会的公正、労働条件向上、生活、質の向上、これを全部合わせてやるんだと。競争力の強化も一緒にやるんだと。つまり、社会政策への支出というのは決して経済の負担ではなくて、経済成長と社会的団結の健全なバランスを確保する手段であると、こういう考え方で世の中のことを考えておられるわけです。 日本も、そういう企業側の政策ばかり応援するような政策じゃなくて、もっとこの国の在り方をよく考えて政府が施策を取られることを求めて、私の質問を終わります。 ○委員長(片山虎之助君) 以上で大門実紀史君の質疑は終了いたしました。(拍手) |
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