■155-参-財政金融委員会-3号 2002年11月07日 |
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。 竹中大臣、このたび金融担当兼務、大変御苦労さまでございます。いつまでおやりになるか分かりませんけれども、取りあえずよろしくお願いしたいと思います。 竹中大臣とは、予算委員会あるいはこの委員会にも来ていただいて、構造改革、不良債権処理については随分議論してきたつもりですが、私、今回大臣が出されましたこの加速案ですね、これについては、ちょっと今までと違って、どういいますか、何かちょっと奇異なものをといいますか、何か異質なものを、今までと違うものを感じるんです。しかも、なぜ今この時期にこの加速策が出されたかというふうなところも、ずっとこの委員会でこの問題を柳澤大臣とやってきた者としては非常に、今出されたこの動機というのも非常に不自然な気が私は実はしています。 〔資料配付〕 ○大門実紀史君 それで、今資料をお配りしていただいていると思いますが、よく考えてみますと、そもそもこの不良債権処理を急げというのは、一年半前の森前首相、ブッシュ大統領との会談があって、その後、ちょっと資料に書きましたけれども、早期最終処理方針。その後、小泉内閣発足して骨太方針、その第一課題が不良債権の早期最終処理というふうになったわけですし、細かく今日触れませんが、この経過見てもらえれば分かるとおり、なお、この資料というのは、日本の報道だけではありませんで、アメリカの報道も含めて簡単に要点だけ、重立ったものだけまとめたものですが、要するに、その都度、その大方針が出た以降も、いろいろその不良債権処理のやり方、テクニックのことも含めてアメリカがかなり事細かくアドバイスをしているというのがお分かりだと思います。 今回の加速策も、九月十二日ですね、今年の、この日米首脳会談の後出てきたということで、私は、大体そもそもなぜアメリカがこの日本の不良債権処理についてこれほど、手取り足取りといいますか、やり方の一つ一つまでアドバイスしながらやってきているのかが非常に不思議に、振り返ってみると特に思うわけです。 そういう点で竹中大臣にお聞きしたいのは、大臣は金融担当に就任される前から、ハバードCEAの委員長を含めアメリカの政府高官の方々とは何度もお会いされていると思いますし、電話でも連絡取り合っておられるというふうに思いますが、大臣はそのアメリカの要請、なぜこんなに、早く処理してほしいというふうな要請についても直接お聞きになったことはあるんじゃないかというふうに思いますが、なぜこれほどアメリカが日本の不良債権処理に御執心といいますか熱心なのか、大臣、分かる範囲で教えてもらえればと思います。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 私の経済財政政策担当大臣としてのカウンターパートは、アメリカの政府の中ではそのCEA委員長のハバードないしは大統領経済補佐官のリンゼーということになると思います。したがって、経済問題に関する情報交換は、カウンターパートとしては当然のことながらしております。 しかしながら、今御指摘にありましたように、これは、アメリカの政府というのは非常にきっちりといいますか、はっきりとしておりまして、要請をしたというようなことは一度もございません。さらには、アドバイスというお言葉がございましたが、そういうことはアドバイスを受けるような性格のものでもございません。そういうことについても特にありません。 また、不良債権問題そのものは、これは決してアメリカではなくて、日本の不良債権問題をやはりきっちりとしてほしい、そうすることによって日本の経済を安定化させてほしいというのは、これはアメリカのみならず、例えば、今年の最初にイギリスに参りまして、イギリスのエディ・ジョージ中央銀行総裁にお目に掛かりましたときも、やはり大変不良債権問題をしっかりと解決していくことは重要だというようなお話は、当然のことながら意見交換の場ではありましたし、アジアの首脳とお話ししましても、大変高い関心があるということは、これは事実であろうかと思います。 したがって、この問題は、やはり経済、日本の経済にしっかりとしていただきたい、してもらいたい、そのためにはやはり金融の問題をしっかりと片付けなければいけないというのは、かなり幅広い認識、同時にこれは日本に対する期待の大きさでも あろうかと思います。 最初に戻りますが、要請とかアドバイスとか、そういう性格のもの、そういうことは一切ございません。 ○大門実紀史君 要請、アドバイスはないということですが、絶えず重要、強調をしてきたということで、表現の問題が多分にあると思います。 今言われましたようなことも含めて、マクロ的にはアメリカの国債を日本の銀行を含めて機関投資家がたくさん買っている、そういうことに対するアメリカの不安なども私はあるんではないかと思いますし、言われているような投資ファンド、投資銀 行のこともあるのかもしれません。 いずれにせよ、私思うんですけれども、アメリカが日本国民の幸せを願っていろいろアドバイスするということは余りないんですよね。そんなこと、今のグローバル化の中ではあり得ないと。やっぱりアメリカはアメリカの何か利益があって、メリットがあって強調したり重要視しているというふうになっているというふうに思います。 ですから、そういうアメリカが、不良債権処理のスピードが遅い、スピードが遅いと、これはこちらでは報道少ないですけれども、向こうのワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、ニューズウイーク等々には政府高官が直接インタビューで答えています、たくさん。ここに向こうの英文の資料ありますけれども、読んでみましたけれども、かなり答えていますね。政府に直接そういう言い方したかどうかは今言われたとおりかも分かりません。 このことは、私ちょっと調べてみたんですが、竹中大臣もかつてフェローだったんじゃないかと思いますが、IIE、国際経済研究所ですね、これはワシントンの有力なシンクタンクで、ここのアダム・ポーゼンさんという方、御存じかも分かりませんけれども、ずっと読んでいますと、この方は日本担当で、ずっとこの日本の不良債権処理についてかなり強硬といいますか、なことを提案されてきました。 IMFのレポートもこの間読んでみたんですが、かなり日本の不良債権処理、早くやってもらわないと困ると。ちょっと公的資金を入れたらどうかとか、踏み込んだこともIMFのレポートで出てきています。 ちなみに、余り御存じのない方、私も最近知ったんですが、申し上げておきますと、アメリカの政府・財務省とIMF、FRB、今申し上げたような有力なシンクタンク、こういうところが大体アメリカの金融経済政策を考えていて、それが打ち出されたものをワシントン・コンセンサスと言うらしいですけれども、そのワシントン・コンセンサスにかかわっているような人たちのレポート、論文をずっと読んでいきますと、日本の不良債権処理を早くしてもらわなければ困ると。これは、次々といろんな方が言っています。 そもそも、この一年半前の森・ブッシュ会談の前に、その前の二〇〇〇年の末辺りに、米国の日本研究のタスクフォース、そこにはさっき申し上げたような有力シンクタンクの方々がみんな加わっておるわけです。ポーゼンさんも、エドワード・リンカーンさん、御存じの人だと思いますが、そういった方々が加わっているわけですが、そこで出されたのが、日本の不良債権処理を早くやらせるべきだと、かなり強い言い方で書かれて、その後、森前首相とブッシュ会談が行われるというふうな流れになっているんですね。 今日、ちょっと細かく、そのワシントン・コンセンサスの人たちが言ってきたこととアメリカ政府がどう動いたかというのは、政府の動きはここに一覧表にしましたけれども、そのバックにあるワシントン・コンセンサスの動きについては細かく触れる時間ありませんが、要するに、それをずっと見てきますと、日本の不良債権処理について絶えず提案をしてアメリカ政府に働き掛けてきている、それで日本との会談が行われてきていると。これは時系列的に一致するわけです。 特に今回、今年のことでいきますと、五月にそのアダム・ポーゼンさんがレポートを出していますし、IMFも九月には声明を出していますけれども、ここには、日本の不良債権処理は要するになっていない、今のやり方はなっていない、もっと急ぐように米国政府は日本に圧力を掛けなさいと、ここまではっきり言っています。公的資金を入れて早期処理をしろというふうなこともこの中に出てきます。つまり、アメリカは非常にいら立ちを、この早期最終処理方針は出発したけれども、ずっと一年間見ていて、かなりいら立ちを表してきていることが読み取れるんですね。その上での九月のブッシュ・小泉会談、それで今回の加速策というふうに見て取れなくはないと。そういう流れに事実経過ではなっているというふうに思います。 私は、そういう点で、柳澤大臣が更迭されたということも、一体どういう意味が、どういうことなのかというふうに、そのアメリカの、特にハバードさんの向こうでしゃべっていることも含めて調べてみますと、日本では九月十三日にハバードさんと柳澤大臣の会談があって、ハバードさんが、更に厳しい銀行検査をやるべきだと。もう一つは、ハバードさんは公的資金に慎重ですけれども、将来的には公的資金も念頭に入れてと、それで銀行の改革と。この辺のことをハバードさんが柳澤大臣に言われたら、強調されたら、そんな状態にはないと。柳澤大臣は、そんな状態にはないんだと、今は必要ないということで突っぱねられたと。意見対立があったという報道がワシントン・ポストでされています。 その後、柳澤大臣が更迭をされて、竹中大臣が就任をされると。竹中大臣については、元々アメリカの評価は高いわけですけれども、この経過の中でかなり高くなってきていますね。十月三十日、竹中大臣が就任されるとすぐ、ワシントン・ポストのインタビューでハバードさんが、彼は優秀だ、これで不良債権処理が進む、歓迎というふうなことを答えておりますし、その後も、竹中方針支持、自民党の皆さんや銀行から反発が出ても、異例の支持表明をする、竹中案でやらないと日本は大変なことになるという警告までやる、ちょっと異常なかかわり方だと思いますが、そういうことがあったというふうに思います。 そこで、ずばり私聞いてみたいなと思っているんですけれども、竹中大臣が金融大臣を兼務される、これについてアメリカの強い期待があったんではないかというふうに思いますが、そういうことを聞かれておりませんか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 閣僚の任命というのは総理の権限の中でも最も重要なものの一部に属すると思います。これについては、総理が様々な点を考えて、総理の責任においてなされたことでありますので、私がどうこう申し上げるという立場にはないと思っております。 ○大門実紀史君 じゃ、今度総理に聞いてみます。 それでは、今回の加速策の中身そのものを私、先ほど言いましたけれども、ちょっと今までと違って異質だな、異様だなと思っていることがありますので、その点に絞って時間がないのでお聞きしたいと思うんです。 まず、銀行レベルのこのシナリオ、スキームなんですけれども、これは金融再生プログラムの四ページですか、に書かれている部分なんですが、簡単に言いますと、資産査定を厳格化して、税金繰延資産を見直す等々のことで厳しくやっていって、自己資本不足に陥った場合は特別支援を行うと。それが今のところメニューでは、日銀特融、公的資金の投入、検査官の常駐というふうなことが並べられております。そういうことを受けた銀行は特別支援銀行になると。 これはある種の、度合いがちょっと分からないんですけれども、この前金融庁にレクしたら金融庁も今の段階では分からないというふうに言っているので特に聞きませんが、いわゆる何らかの公的管理の銀行にこの特別支援銀行はなるんだと思います。例えば、資本注入の度合いが大きければ、あるいは普通株へ転換されたらもう事実上国有化ということもあるわけですが、いずれにせよ公的管理の段階にここで入るのではないかと思うんですね。 私が聞きたいのはその先なんですけれども、この特別支援銀行がさらに、金融問題タスクフォースですか、タスクフォースというのは特別委員会か何かだと思うんですけれども、それがこの特別支援銀行の事業計画をチェックすると。モニタリングをする等々、金融担当大臣に報告をして、その後なんですけれども、それでも黒字体質に転換しないなど、必要と思われる場合は適切な措置を大臣に進言するというふうになっています。つまり、特別支援銀行になっても経営が改善しないというところについてはこのタスクフォースが適切な処置を、ある意味で最終的な適切な処置を大臣に進言するということになっているんですが、特別支援銀行になっても要するに経営改善しない駄目な銀行が適切な処置を受ける。これは具体的には、その次には何が待っているんですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) この枠組みをなぜここにこういう形で書いているかということでありますけれども、三つの意味があるというふうに考えております。 一つは、万が一にも経営難に陥るような銀行が生じた場合には、政府が日銀と協力して万全を期してそこから経済の、つまり金融から経済の底割れを絶対に起こさないようにやっていくという、政府は責任を持って対応いたしますということであります。 御質問の個別にその先どうなるかというのは、これは個別の事案でございますから、その個別個別で適切に判断をしていくということになるわけだと思います。 もう一つ、そこでモニタリングのための仕組みを考えているのは、これは政府が管理するというふうに言っても、これは言わば、何といいますか、官僚機構、政治の機構が直接経営に対してそれを丸抱えにするというような形になると非効率なことも生じ得る。ですから、そういった形できっちりと客観的に専門的にモニタリングしてくれる人を、アドバイスしてくれる人をやはり作っておくべきだというのがその趣旨でございます。 第三番目には、もう一つ、そうしたことを通して、今度は個別のことだけではなくて、全体として不良債権問題がどのように終結に向かっているのかということをしっかりとモニタリングしてもらう。これは時々マクロプルデンシャルポリシーというふうに呼ばれることがありますけれども、そういう機能が今日本の政府の中にはないというふうに思っております。そういうことも含めてやっていただきたいと。 委員御指摘のその先がどうなるかということについては、これは個別個別の場合でございますから、その委員会の様々なアドバイスに基づいて、政府が責任を持ってこの問題から経済の底割れを起こさせないような措置としてどういう政策を取るべきかということを適宜適切に判断をしていくということになると思います。 ○大門実紀史君 モニタリングしても駄目な銀行で、それは個別であれ何であれ、公的資金が投入されて特別支援銀行になっていると。いろいろモニタリングをやっても、それでも駄目な銀行が適切な処置と言われると、もうそれ以上考えたら、当然、いつまでも公的管理だとか、更に公的資金を入れて国有化、全く国有化、永遠の国有化なんてあり得ないわけですから、当然営業譲渡とか株式譲渡で受皿にと、しかないんじゃないですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) それはその状況によってどのような改善策があるかということをこれは個別に判断せざるを得ませんですから、どのような方策が国民経済にとって一番良いかということを判断していくということになるわけです。 ○大門実紀史君 ですから個別に判断するのは当たり前で、そういうケースの次にはもう営業譲渡か株式譲渡しかないと、私はもう今のスキームだと思うんですよね。それ以外考えられませんから。その場合、日本の銀行にそういうところの受皿になる余力はありません、こういうスキームの中ですから。当然、長銀がリップルウッドに譲渡されたように、外資が受皿になることになるんじゃないですか。そのまれのケース、個別のケースでそういう場合だったらそれしかないんじゃないですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 日本には非常に厚い貯蓄資金があって、投資のための原資は十分にあるというふうに思っております。そうしたところを活用して、さらには優秀な経営ノウハウを持って積極的にいろんな形で貢献してくれるというようなところは、私は当然に存在していると思います。もちろん、最終的にどのような決着になるか、どのような主体が登場するかというのは、これは予見を持っては言えませんですけれども、今、委員が御指摘になったように、非常に一方的にこういう形になるはずだということは、私は決してそういうことではないと思っております。 ○大門実紀史君 私はなるはずだと言っているわけではなくて、このスキームの先は何ですかと、スキームをお出しになったわけだから、初めてこういうスキームを、その先こういう処置までやると、ここまで出されているわけだからお聞きしているわけです。 もう一つ、これに関連するわけですが、今回の経済財政白書の中でも韓国の例をわざわざコラムで取り上げられております、五十一ページですね。竹中大臣は、韓国の例を国会でも言われたことがあると思いますが、参考にするんだと。外国の、特にニューズウイークでしたか、なんかのインタビューでも韓国の例、韓国の例というのをよく言われるわけですが、一体、大臣は韓国の例を言われるときに何を参考になさろうとしているんですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 私は、韓国だけではなくて、こうした問題に悩まされた国の経験、アメリカもそうだったと思いますし、スウェーデンを中心とする北欧の国々もすべてそうであったと思います。そういうところで様々にいろんな試行錯誤がなされて、その中でうまくいった政策もうまくいかなかった政策もある。そういうところからの経験に関してはやはり謙虚に学ばなければいけないというふうに申し上げたつもりでございます。 その意味では、韓国にしてもスウェーデンにしてもやはりアメリカにしても、学ぶべきところは、これは私自身の当初から申し上げていることでありますけれども、やはり資産の査定をきちっとやる、それできちっとガバナンスが働くような仕組みを作っていく。自己資本についてもきっちりと見ていく、それと再生のメカニズムをきっちりと取り入れていく。そういうことをバランス良く、どれ一つということではなくて、それをバランス良くきっちりとやっていきたい、そういうつもりで申し上げた次第であります。 ○大門実紀史君 ですから、韓国の場合は何を学ばれるんですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 不良債権の査定を、洗い出しを厳格に行ったということ、それに関して公的資金が必要になった場合にはそれを速やかにスピードを持って投入して処理したこと、そういったこと一連のものについて学ぶべきことはそれぞれにあると思っております。 ○大門実紀史君 具体的におっしゃいませんので、一度お聞きしたことがありますが、韓国はとにかく一気に処理をしてV字型の回復をやったというようなことも含めておっしゃいましたし、この経済財政白書に書いてあるのはそういうことですね。 ですから、私はそういうことそのものは大変危険だなというふうに思っております、韓国のまねをするのは、今この日本で。御存じのとおり、韓国は九〇年代、GDP成長率が十年間平均で六・二%ですよね、高度成長です。日本は九〇年代平均して一・七か何かですから、全然経済状況が違うと。そのときに韓国がやったことを、非常にドラスチックな韓国のやり方を日本でまねすると大変なことになるというふうに、まず経済的には申し上げたいと思います。 さらに、私、このコラムに載ったものですからいろいろちょっと批判したくなるんですが、韓国のこのコラムに載っているのは、やり方を正確に伝えていないと、問題点とか伝えていません。このグラフにあるとおり、一遍思い切ってやればその後景気回復するよと、これだけを強調するためにこのコラムで取り上げられたような、そういうものになっていますので、少し韓国で何がやられたかということを簡潔に申し上げたいと思うんですけれども。 このコラムには書いてないんですが、韓国はIMFが入っているんですね。まず、そこが全然違います。IMFの監督下で処理が進められたと。そんなことをまねするのは大変な事態、大変なことになります。 主要行でいきますと、韓国で、これはカウントの仕方といつの時点かとあるんですが、結論だけ言いますと、韓国の主要行としては九つ大きいところはあると言われています。そのうち七行が、これは九八年から二〇〇〇年の間に、主要行の九行のうち七行が国有化されました。二〇〇〇年三月時点は、このコラムにも書いてありますけれども、九行でいきますと、三行がまだ国有化のまま、残り六行のうち五行が外資系です。外資系の銀行ですね。これ御存じのとおり、ゴールドマン・サックス、JPモルガンとかアメリカ系の外資系銀行が受皿になったわけです。一つ残っております朝興銀行は、これは何と日本の新生銀行が買取りを名のり出ていると、リップルウッ ドが名のり出ていると。 つまり、もう韓国の場合はまず国有化して、これから更に増えると思いますが、ほとんどが外資系に、受皿になって外資に売却されたということが、そういうことが書かれていないんです、このコラムについて言えば。 もう少し触れておきますと、公的資金の問題ですよね。韓国は幾ら使ったかと金額だけちょっとばくっと書いてあるんですけれども、相当の金額ですよね。百五十五兆ウォンというと、韓国のGDPの三割ぐらいです。十ウォンが一円ですから、日本のGDPは韓国の十倍ですから、日本でいうと百五十兆ぐらいのお金を、公的資金をつぎ込んだと。しかも、不良債権の売却に相当使っているということですよね。こんな形を日本でやったら、もう幾ら使わなきゃいけないのかと、大変なことになると。 ですから、なかなか今ははっきりおっしゃいませんけれども、以前ほど韓国のやり方やるんだということをおっしゃいませんが、本当にこれやったら、先ほど言いましたとおり、日本の経済もクラッシュに落ち込みます。日本の財政も、こんな公的資金、これだけ出せるものありませんから、日本の財政もパンクになります。ですから、どの点取っても私は韓国の例は参考にならないと、これを述べるべきではないというふうに指摘しておきたいというふうに思います。 こんなやり方やってだれが得するのかを考えてもらいたいんです、日本の場合ですね。経済が破綻して、もう国民生活更に大変になって、日本の銀行までもうがたがたにさせられて、どこが最後に得するんですか、これ、同じやり方日本でやったら。外資しかないんじゃないですか。外資系投資銀行しかないんじゃないですか。私、そう思います。 その外資、アメリカの投資銀行でいえば、いかにアメリカ政府に強い圧力を持っているかと。これはなかなか日本では御存じないようですし、私、調べたんですけれども、例えば昨日のワシントン・ポスト読んでいましたら、リンゼーさん、今度補佐官を降りる様子なんですけれども、もうリンゼーさん、どこで仕事を探しているかというと、ウォール街で仕事を探し始めたということが昨日のワシントン・ポストに載っておりました。もう御存じのとおり、ボルカー前FRB議長も、クエール前副大統領ですかね、彼らとか、シードマンさんもそうですけれども、みんな、政府高官経験者あるいは政府高官は、ウォール街に戻るか、ウォール街から来た人というふうな関係ですから、アメリカの投資銀行の要求というのはアメリカ政府に直接反映するようになっているんですよね。ですから、この話を私は荒唐無稽でも何でもないというふうに考えているところです。 しかも、私、驚いたんですけれども、調べている中で、ヘンリー・カウフマン博士、御存じだと思いますが、堂々と言っているんですよね。今度は、もう日本の不良債権の方はやくざが絡んで大変だから、直接銀行と企業の買取りに乗り出したいと。これは表ではもう堂々と言っているんです。特に向こうの投資銀行、投資ファンドの関係者たちはこういうことを、全部取り上げませんけれども、堂々と向こうで言っているんです。日本人だけが知らない、そういうことを。知らない状況で、何かもう国内だけで不良債権処理した方がいいとか、したら大変だとか、こんな議論をやっていると。 この背景にアメリカのこういう事情があるということを指摘したいと思いますし、今回の加速策が求めるのも、若干妥協で時間的にはストップされたのか立ち往生されているのか知りませんが、スキームですね、メニュー、スキームがそういうことにこたえるようになっているんですね。そういうメニューになっているということなんです。 ですから、今回の加速策、私、冒頭にちょっと異様だと、異質だと申し上げたのは、例えば柳澤大臣のときは、少なくとも大銀行の存在は前提にして、それでオフバランスをさせると、こういう考え、枠組みだったと思いますが、今度は、メニューが出ているんですけれども、スキームが出ているんですが、場合によってはそれ、場合によってはといいますか、それを前提にはしないと、大銀行の存在を前提にはしないと。ですから、銀行整理の中でも、もちろん破綻処理の中で不良債権というのは処理できるわけですから、何も銀行がオフバランス化、生きたまましてもらわなくても破綻させて売却すれば不良債権処理はできるわけですから、どちらにもできるわけですけれども、今回のスキームというのは柳澤大臣のときと全然違うという、そこが私は異質だなというふうに思います。つまり、銀行の意識的な追い込みになっていると。そういうことが今回の目玉になっているんですね、このスキームの。 ですから、大手七行の方々が異例の反対声明を出したと。これはマスコミとかが言うように、私は、単に自分たちの権益を守りたいだけでああいうものを出したんではないと。日本共産党の私が大銀行の代弁をするのは変ですけれども、彼らは日本の金融資本としての危機感を私は表明したんだというふうに見ています。 この辺のことを、大臣、いかがお考えですか。 ○国務大臣(竹中平蔵君) 私も、大門委員が日本の大銀行を支持したのをちょっと驚きを持って今聞いておりましたんですけれども、誤解ないように是非申し上げますが、我々が韓国のまねをしているとか、大銀行の存続を前提としていないとか、そういう部分を部分部分で決め付けて話を展開していかれますと、これは非常に話がねじれていくと思います。是非とも、今回の目標は日本の経済を強くすることであり、日本の銀行を強くすることであり、もって国民経済、国民生活を豊かにするものであるという、この経済政策が目指す本来のところを是非とも御理解をいただきたいというふうに思っております。 韓国の事例を大門委員御紹介してくださいましたけれども、韓国は言わば通貨危機というパニックが起こって、パニックの中で非常に急激な資産劣化の中でああいう措置を取った。先ほどから申し上げましたように、日本はパニックではないんです。パニックが起こってからでは遅いから、だから今のうちにきちっとした対応策を取っていきたいというのがこの政策の目指すところでございます。 ともすれば、部分部分を決め付けて何とか陰謀説みたいな議論というのがはやるわけでありますけれども、私は、経済政策というのは決してそんなもので成り立っているわけではなくて、一つ一つの経済事象を冷静に分析して、それによってどのような対応策を取るべきかということの積み上げであるというふうに思っております。資産をしっかりと査定するということはやっぱり必要じゃないでしょうか。銀行のガバナンスを強化するということは必要じゃないでしょうか。そういう観点からこの政策プログラムができているという点を是非とも御理解賜りたいと思います。 ○大門実紀史君 もう時間が少なくなってきましたので、私、陰謀説なんて細かい、せこい話をしているわけじゃなくて、国と国との利益、自分たちの利益がないとアメリカがこういう行動をするわけないと。その背景にはいろんなワシントン・コンセンサスの堂々とした戦略があると。戦略の話を申し上げているわけですので誤解のないようにしてもらいたいと思いますし、そうはいっても、スキームとメニューからすると、単に今までどおり銀行がオフバランスしてくれりゃいいですよというふうにはなっていないんです。だから、大銀行が戦々恐々として、UFJだとかいろいろなところがリストラやらなきゃいけない、資金圧縮しなきゃいけないと、こんなふうになっているわけですよね。そんな簡単な話じゃないと、今回のことはというふうに申し上げたいと思いますし。 今日は、もう一つの話ですけれども、これは自民党の幹部の皆さんがよく言われることですが、不良債権市場、不良債権ビジネス、ハゲタカファンドと言われますが、この話は次回やりたいと思います。 いずれにせよ、最初にお配りした時系列のを見てもらって分かるとおり、早く不良債権を市場に出せと、市場に出せとかなり強調しているんですね。関係ないんですよね、不良債権処理とは。処理した後の話でしょう、オフバランスした後の話でしょう。市場に出ることをアメリカが事細かに要求してきていると。私はこれはもう一つの重要なアメリカの要求が今回の加速策に組み込まれているというふうに思います。 ですから、今回の加速策は、あれこれと違ってアメリカの二つの要求、外資投資銀行、それと不良債権ビジネス、これは投資ファンドの方だと思いますが、これが非常に色濃く出された案だと思っておりますので、引き続きこれについては追及をしていきたいと思いますし、これは与党も野党も私はこんな案に乗せられたら大変なことになると思うんですよね。 ですから、将来、不良債権処理をどう処理するか、公的資金どうするかと、これは考え方はおいておいて、今回の案だけは一致してみんなで反対していくことを呼び掛けて、私の質問を終わります。 |
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