国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■154-参-災害対策特別委員…-5号 2002年05月29日
○大門実紀史君 今日はどうもお忙しい中、ありがとうございます。各参考人に一問ずつお聞きしたいと思います。
 島崎参考人、予知が難しいというお話、よく分かるんですけれども、そうしますと、今、大震法の仕組みそのものが、マグニチュード八クラスの地震なら高い確率で予知できるという前提でいろいろ組み立てられている仕組みになっていると思うんですが、その判定会の問題ですね、警戒宣言も。
 そうすると、実際問題、その大震法の仕組みといいますか、判定して警戒宣言を出していくという仕組みそのものがやっぱり無理があるというふうにお考えなのか。それとも、今の仕組みの中でも、予知の在り方あるいはいろいろ警戒宣言の出し方等を改善していけば一定の予知システムが可能だというふうにお考えなのか。もう一つは、そもそももっと違う予知システムを作らなければいけないというふうにお考えか。その辺の予知システムそのもののお考えを聞きたいと思います。
 塩坂参考人言われました、潜り込み説と左横すべり説おっしゃいましたけれども、これどちらかを取るかによって前兆現象のとらえ方、予知にも差が出るとすると、大変大きな問題だというふうに思います。
 いずれにしても、学会の論争が分かれているということだけで済ましていいのかどうかと。例えば、両方から研究していただく、アプローチをしていただいて総合的に見ていくとか、そういう前向きなといいますか、いろんな可能性を国民の命と財産を守るために検討していくというふうなことは必要だと思いますけれども、今、そういう総合的なものになっていないということをさっきおっしゃったのか、少し詳しくお聞きしたいと思います。
 岡田参考人には、私どもも耐震補助等々の公的助成が非常に重要だと考えているわけですが、先ほど言われました私的財産に、私有財産に公費を投入すること、このところでかなりネックな問題が起きていると。そこをやっぱり突破しなきゃいけない部分がかなり出てきていると思うんですが、その辺もう少し詳しく、公的助成のやるべき在り方ですね、この耐震問題に対する、少し詳しくお述べいただければというふうに思います。
 
○参考人(島崎邦彦君) ただいまの御質問ですけれども、現在の東海地震に対する予知体制そのものについて、私は疑問を持っておりません。
 ただし、私の発言が何か、地震予知が難しい、確かに難しいんですけれども、できない、できないというふうに申し上げているかのようにお受け取りになっては間違いでございまして、もしできた場合に大変震災の軽減に役立つことは間違いございま
せんので、その可能性があるのであれば、やはり現在のような体制を取って、少しでも、先ほど死者の数が四千人ですか、違いがあるわけで、現在の体制を取るべきだと思っていますし、私も判定会の委員としてその体制の一環に参画しているつもりでございます。
 ただ、こういう体制があるから必ず予知できるのだと言われると、それはそうではないと言わざるを得ない。その点だけでございます。

○参考人(塩坂邦雄君) まず、先ほどの潜り込み説というのが定説のようになっているということですけれども、これ非常に危険なのは、科学というのは仮説からスタートするんですけれども、それをある有名な先生が言うと、ずんずんそれが事実の
ように動き出していって定説になっちゃっているんですね。
 だから、定説というのは大体余り、定説になることはほとんどなくて、例えばそこのところを私は当然学会等でも出しておりますが、基本的には、先ほど説明したように、たくさんの矛盾があります。それを事実で説明をしているんですけれども、むしろそれは無視されている。むしろその反論が出てこないということは、簡単に言えば、無視されているということだと思うんです。
 ただ、それで行政が動いているものですから、むしろ後ずさりできないというところに一つ問題点があると思います。
 ですから、例えば阪神・淡路大震災のときに、明石大橋がありまして、あれが約一キロですか、大きな橋台があったのが、あれも実は地震の後でずれたんですよ、水平に。ということは、そこの活断層が動いたんです。そこも、れば、たらの話ですけ
れども、測っていれば、その変位が出てきたはずなんですね。
 だから、そういうことで、何というか、その学問とか研究が、あるところの一つだけで動き出して、それに行政が乗ったりマスコミが乗って、定説で動いていったことが、後で引き戻しができないというところが一番今問題になっているのかなと私は思います。

○参考人(岡田恒男君) お答えいたします。
 大変難しい、論理の整理をしなきゃいけない問題なんですが、私は主として建築学会でここ数年議論してきたことはこんなことでございます。これは私の考えでもございます。
 世の中に建っている建物は、全く私的なものから全く公的なものまで、かなり幅が広い。建物によってその程度が皆違うというふうにまず考えます。この建物は一〇〇%公的な建物と言っていいと思います。
 本当に私的な建物ってあるのかっていうのは、これ探すのが難しいんですが、あるいは山の中の一軒家でだれも訪ねてこないというのは、もしかしたらそうかもしれませんが。
 少なくとも町中に建つ建物につきましては、何らかの比率で公的な部分が私はあると思います。したがって、建物の持ち主は、全く勝手に建物を造ってはいけない。公的な建物だということを考えて造らなきゃいけないし、同時に、公的な、公的な部分については公費の投入あるべしではないかというのが私の考えなんです。
 例えば、住宅以外でも、病院なんかを考えたときに、病院は、仮に公立の病院でも私立の病院でも、災害のときには重要だってみんなおっしゃるんです。それでは、地震が来ても絶対に倒れないような病院をプライベートな病院に造ってくれというこ
とをどういう具合で言うかと。
 私は、最低限の、例えば建築基準法の世界は病院の院長さんに出してもらって、みんなが上乗せしてほしいんなら、それは公費を投入したらどうだと、みんながそういうのを求めているんだから。
 この論理でいかないかなというのを、既存不適格の木造に今度持ってきます。これは新しい建物の話です。
 これは法律が変わって、これは技術が進歩したからなんです。いろんなことがよく分かってきたからで、今の地震の話なんかもそうですが、昔は分からなかったことが、分からないからそれでよかったものが、新しいことが分かってくると、それじゃ駄目だと言って建築基準法が変わって、既存不適格って、もう駄目だと、こういうことになるわけです。補強しろと、こういうことになるわけですね。
 そうすると、それをやっぱり上げてあげるためには、今申した新しい建物に適用しようと私が言っている論理と同じで、建物の持ち主も、やっぱり公的な側面があるから、避難路をふさぐとかなんとかあるから、まず持ち主にも努力してほしいと、何とかそんなことにならないように補強してくださいとか建て替えてください。でも、一〇〇%できないから、その分はその町の人が、住んでいる周りの人の税金でマイナスの部分を格上げしましょうと。これは公的な性格になるんじゃないかなと。こんな議論を、私ども本当はそういうところは専門じゃないんですが、何とか我々の側からそういう発信ができないかと。
 それが実ったのかどうか、先ほど申しました、国土交通省が今年から新しい支援制度を作っていただいた。大変うれしく思っているんです。まだ実際には適用の条件や何か相当厳しそうでありまして、木造密集法と一緒になっていますから、なかなか一軒ずつというわけにいかないようでありますが、できるだけそういう幅を広げていただくためには、今申し上げたような何か理屈をみんなで理解していただけないかなというのが、私がこの数年いろんなところで申し上げている考え方であります。
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