国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2002年04月11日 財政金融委員会
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 法案の審議に、法案の質問に入る前に、今回の確定申告のときに起きましたある事件について、国税庁に先にお聞きしたいというふうに思います。
 これは先月の3月13日に東京の練馬東税務署で起きた問題でありますけれども、この3月13日といいますのは、毎年、全国で重税反対統一行動ということで取組が行われている日であります。
 これは御存じでない方いらっしゃると思いますので若干申し上げますと、もう1970年から行われておりまして、今年で33回目、33年目になる、全国で591か所、参加者が23万5千人というふうな取組です。いろんな中小企業団体あるいは労働組合の方々が税金に関する要求を持ち寄って集会とデモ行進をされて、その後、申告する方はみんなで確定申告、いわゆる集団申告という言い方をしていますが、するというふうな、全国で、この種のといいますか、税金での市民行動としては最大の取組だと思います。
 もう歴史も長いということもありまして、非常に整然と全国各地で取り組まれておりまして、集団申告についても各税務署で特別の受付体制を取っていただいて対処してもらっていると。私もお話聞いたことありますけれども、ある税務署では、個人がぱらぱら申告書持ってくるよりも、非常にみんなで点検し合ってきちんとしたものをまとめて持ってきてくれるということで、そういう点では効率的な申告受付もできるというような話を私聞いたこともあります。ですから、既に定着している取組であるんですけれども、それにもかかわらず、この3月13日、練馬東税務署で異様なことが起きました。
 複数の目撃した方の話、私も直接聞きましたけれども、かいつまんで概要を言いますと、そういう集会をやってデモ行進をされて、デモ行進はもうもちろん警察に届出して、終わって、それからさっき言ったみたいに各自が、申告する人は申告するというふうに、練馬東税務署に申告に来られたわけです。そうしましたら、練馬東税務署の敷地内にあります練馬東税務署の文書倉庫の二階の窓から窓を少し開けてビデオカメラを回している人がいると。つまり、申告に来た人たちをビデオで写している人がいるということが分かりまして、だんだん、申告に来た人もおかしいな、何でビデオを撮られなきゃいけないんだということで、練馬東税務署の北原総務課長に調べてほしいと、あそこで変な人がビデオを撮っているということで要請しました。
 その文書倉庫に北原課長と一緒にビデオを撮られた人という人たち何人かが行きまして、そうしたらかぎが掛かっていた、外からかぎが掛かっていたと。総務課長さんがかぎを取りに行ってきますということで、かぎを開けて中に入りますと、中に二人の人がうずくまって隠れていたということなんですね。その横に大きなかばんありましたので、ビデオを撮っていたんですかと聞きましたら、二人はうなずかれたと。これは練馬東税務署の北原総務課長も確認しておられます。 そこのところで北原総務課長が、この二人はうちの署員です、だから税務署内で話合いしましょうと言って下に降りていったら、二人は外に逃げ出しちゃったらしいんですね。何だということで、勝手にビデオを撮っておきながらということで何人かが追い掛けて押し問答していたら、その一人が、私は練馬警察署の野沢だということで警察手帳も出したということです。結局そのまま二人は練馬警察に逃げ込むように入っていったということで、後で警察庁に伺いましたら、この野沢という方は練馬警察の警備公安課に実在するということをお伺いしました。
 何が問題かといいますと、もちろん一般にデモ行進というのは、警察に届け出をして、パトカーが先導してくれたり交通整理してくれてやりますよね。確かにそのときにも、私、何度も何回も目撃していますけれども、隠れて道端で写真を撮ったり、ビデオを回している、恐らく公安の方だと思いますが、そういうのを目撃したことがあります。最近の有事法制の集会でも、各党の国会議員が参加するような集会にもかかわらず入口のちょっと陰に隠れて写真を撮ったりする。いわゆるその公安警察が非常に旧態依然とした、いまだそういう市民のいろんな行動、市民運動とか組合運動を、敵視しているのか分かりませんが、監視しようというふうな旧態依然とした体質を示すものだと思いますけれども。
 ただ、13日の集団申告というのは、もうそういうデモだとか集会とか終わって、各自がもう納税者として申告に行く、それだけのことなんですね。そういう申告行動、申告にもかかわらず、隠れてビデオを撮ったり写真を撮ったりしていたというのは決して許されるということじゃないというふうに思います。
 警察庁にこの前来ていただいて聞きましたら、練馬警察はビデオを撮っていたことは否定しているという報告を受けているということです。ただ、見付けられたときに野沢という警察官本人が認めているわけですけれども、後で警察署は否定しているということで、これも相変わらず警察の隠ぺい体質を、これだけ不祥事が続いていろいろ批判を受けているにもかかわらず、言ったことを隠してしまうというふうなことで何も変わっていないなというふうに思いますけれども、いずれにしても何人も、何十人もそのビデオのカメラを目撃しているわけです。ですから、何か分からないでカメラに向かってピースサインした人もいるぐらいですから、カメラでないとピースサインなんかしませんから、それぐらい目撃されている事実であります。
 国税庁にちょっと伺いたいんですが、今の時点では練馬警察はビデオは撮っていないということであくまで否定しているので、今日は一般的な見解で結構なんですけれども、警察が税務署の敷地内から納税者、申告に来た人をビデオで撮るというふうな行為は、税務署として容認しておられるような行為なんでしょうか。

○政府参考人(福田進君) お答え申し上げます。
 御案内のように、確定申告の時期は多数の納税者が来署されますので、事故等の不測の事態に備えるために、税務署の実情に応じて警察署に対しまして私ども警備要請を行っている税務署もございます。
 今、先生の御質問でございますが、そういった場合に一般的に税務署から警察当局に対して確定申告期の警備をお願いすることがあるわけでございますけれども、その際に、警察当局から確定申告の状況をビデオ撮影したいと、仮にそういった依頼があったときにどういう対応をするかということ、御質問だと思いますが、そういった場合にはビデオ撮影は御遠慮いただくことになろうかと、こういうふうに存じます。

○大門実紀史君 そうしますと、練馬警察がビデオを撮っていたという事実が後で判明したら、国税庁としてといいますか、練馬東税務署でも結構なんですが、抗議されますか。

○政府参考人(福田進君) 繰り返しになりますけれども、状況を撮影したいと御依頼を受けた場合にはお断りするわけでございますので、それはお断りする事柄ですよということを申し上げる、かように存じます。

○大門実紀史君 これも一般的な見解を取りあえずお聞きしたいんですけれども、税務署というところは、今おっしゃいましたように、混雑する時期ですから交通整理等の警備を頼むということはあると思うんですけれどもね。それなら分かるんですが、そうではなくて、警察の方から特定の目的を持って、ある何かを見たいとかそういうことで別の、ですから交通整理とか警備とかとは別の特定の目的を持って税務署の敷地内を貸してほしいというふうな要請があった場合、これはお断りされるでしょうか。

○政府参考人(福田進君) なかなか仮定の御質問ですのでどこまで正確にお答えできるかは別にいたしまして、今お話のございましたように、その特定の目的、私どもがお願いしている警備以外の目的で、単に今御質問のように特定の団体の集団申告の状況を見たいと、そういう御依頼が警察署からあった場合には御遠慮いただくことになろうかと、こういうふうに存じます。

○大門実紀史君 今回のそもそもの問題点は、今おっしゃったようなことであるにもかかわらず、なぜ税務署の文書倉庫、わざわざ文書倉庫に警察官が隠れていたのかということですね。もう一つは、だれがそんなことを許可したのかということだというふうに思います。これは、ビデオ撮影云々以上に、そもそも税務署と警察署の関係というのは何なんだろうということにかかわる非常に重大な問題を含んでいると私は思います。
 今おっしゃいましたとおり、申告時期は税務署周辺は混雑しますので、交通整理、駐車違反含めて一般的に警備頼まれるのは分かるところなんですが、もしそういう目的だったら、制服の警官が堂々と、交通整理ですから税務署の前にいればいいわけですし、何も、私、現地見てきましたけれども、あんな文書倉庫の暗いところに警察官が二人も隠れている必要は何もないわけです。非常に変な話なわけですよね。
 先ほど私申し上げましたけれども、最初、北原課長は、練馬東税務署の北原総務課長は、隠れていた二人が見付かったときに、うちの税務署員ですというふうに最初かばったんですよね。なぜかばう必要があったのかと、うそまで言って。後で自分で、私、警察ですと言っているのに、何で北原課長がかばう必要があったのかということで、いろいろ調べてみますと、現地の練馬東税務署の方がもうはっきりおっしゃっているんですけれども、練馬東税務署の課長補佐の佐々木さんが、これは実は、当日の朝、3月13日の朝、警察から集団申告を見たいので見せてくれと頼まれたので文書倉庫の二階を貸したんだというふうに認めておられます。
 3月25日に私の部屋に国税庁の総務課の調整室の霜山課長補佐にも来てもらってお聞きしましたら、その時点でもやはり、現地の報告では、3月13日の午前中、練馬警察から三・一三の集団申告を見たいとの申出があったと、業務に支障を来さない適当な場所を提供したという報告を現地から受けておりますというふうにおっしゃっております。
 つまり、警察の方ははっきり警備一般じゃなくて三・一三の集団申告を見たいと、どこか場所貸してくれというふうに要請したと、それに税務署はこたえたということは現地の練馬東税務署の総務課長さんの話でも明らかなわけなんですけれども、これは先ほど言われたのと違った対応がされたんではありませんか。

○政府参考人(福田進君) 今お話のございましたように、練馬東税務署では、納税者が多数来署いたします確定申告の警備を練馬警察署に依頼いたしました。依頼いたしましたところ、3月13日に警察官二名が税務署に来られて、どこか適当な待機場所がないかと、そういう御相談を受けたわけでございまして、税務署としては依頼してお願いしているわけでございますので、警備上の理由により警察の方に場所を提供したものと私どもは承知しております。
 警備上の理由により警察の方に待機場所を提供することは、そのこと自体は妥当な措置だと考えておりますけれども、練馬東税務署の場合に、結果的に、今、先生御指摘になられましたように、集団申告の方に誤解を与えるような待機場所に結果的になったと、こういうふうな報告を受けております。

○大門実紀史君 この問題、余り長くやりたくないんですけれども、はっきりさしておきたいと思います。
 集団申告を見たいという警察の要請があったと。警備一般ではないんですね。集団申告を見たいというふうにはっきり要請があったということを当該の税務署の総務課長補佐さんが認めておられるわけですから、今言われたのは一般的な話で、仮にそうだとして、なぜその、さっきも言いましたとおり、警備一般だったらば、制服の警察官が来て、警官が来て堂々と表にいればいいわけですよ。玄関前にいればいいわけですよ。あるいは、その門の前にいればいいわけですね。そういうことだったら、何でああいう倉庫の、文書倉庫の暗いところ、隠れるようなところを提供されたんですか、今おっしゃるような理由だったら。

○政府参考人(福田進君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、練馬東税務署としては警備をお願いした。警備をお願いしてお巡りさんが二人、お巡りさんというか警察官が二人来られた。その方から適当な待機場所がないかと言われて、適当な待機場所を提供した。結果的にそれが集団申告の方に誤解を与えるような場所になったということであると認識しております。

○大門実紀史君 そういうことじゃないと思うんですよね。適当な場所が文書倉庫の奥ということはあり得ないですよ。おかしいでしょう。やっぱり、ビデオを撮るとか何か特別な目的があるからそういう場所を警察は貸してくれと言ったわけでしょう。ちょっとちゃんと調べた方がいいんじゃないですか、それ。理屈が合わないんじゃないですか。警備一般だったら、どうして警備一般の人がその倉庫の二階に隠れる必要があるんですか。
 ちゃんと調べてから答えした方がいいんじゃないですか、そしたら。

○政府参考人(福田進君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、今回の場合は練馬東税務署という特定の税務署でございまして、結果として、先ほどから繰り返し御答弁を申し上げておりましたように、集団申告に参加した方に誤解があったという部分があったということは承知をしております。
 いずれにいたしましても、どういう場所がいいのか、これは各税務署の署ごとの実情にもよろうかと思いますので、今後ともこのことについては私どもとしては適正に対処していきたいと存じております。

○大門実紀史君 適正に対処するには、何があったか事実関係をきちっとお調べになるべきだと思うんですよ。そうじゃないですよね。どうして暗い倉庫の二階に隠れることが警備一般に必要だったんですか、そしたら。調べて、同じことを言わないでくださいよ。聞いていることに答えてくださいよ。

○政府参考人(福田進君) 先ほど先生の御指摘の中にございましたように、私どもの方で担当者が練馬東の担当者から事情を聴いて、先ほどからそれを基にして私答弁させていただいているところでございます。

○大門実紀史君 ちょっと、余り長くやりたくないんで。
 3月26日にそのビデオ撮られた方々が抗議にもう一度練馬東税務署に行かれて、この26日に謝罪されているんです、練馬東の皆さんが、総務課長さん含めてね。謝罪した内容も幾つもありますけれども、簡単に言いますと、今回のような警察からの要請があっても、今後受け入れませんと。今回の要請があったら今度は、次は受け入れませんということをはっきりおわびしながら申されているわけですよ。
 今回の要請というのは、ただ誤解を与えたとかいうんじゃ不自然過ぎるんです、そんな文書倉庫の二階なんかへ隠れているということそのものが。ですから、もう一度きちっと現地調査して、国税庁から行かれて、現場も見られて、あるいは関係者の意見も聞かれて、もう一度御報告をお願いしたいというふうに申し上げておきます。
 いずれにせよ、私申し上げたいのは、国税庁が、今、税務署が納税者に開かれた税務署を目指すとおっしゃっているようなときに、こういう何か警察に言われたからといって、はいはいと言って隠れ場所を提供すると、こういうようなことはおやめなさいと、それを申し上げたいわけです。二度とこういうことのないようにしてもらいたいという意味で申し上げているんで、よく、現地の報告しか聞いていないということでしたら、改めて調査して報告をしてもらいたいと思います。
 たばこ法案の方に入りたいと思います。たばこの関係の質問に入りますので、もしあれだったら国税庁の方、結構ですから。

○委員長(山下八洲夫君) 国税庁福田次長、席を外れても結構でございます。

○大門実紀史君 では、たばこの関係、お話、質問したいと思います。
 午前中の議論をお聞きいたしまして、私自身もたばこの有害性を改めて認識いたしました。私もやめようかというふうに少し考え始めておりますけれども。私も一度やめたことございますけれども、また再開をいたしましたけれども、それはやっぱりなぜ再開したかというと、簡単に言えば、そこにたばこがあったからというふうなことがあると思うんです。
 つまり、外国に比べてかなり日本はたばこが町にあふれている、自動販売機含めてあふれているということと、午前中も御指摘ありましたけれども、行政のたばこ規制、喫煙規制の姿勢が諸外国に比べてやはりかなり弱いというふうに思いますし、啓発活動も弱いというふうに思います。
 この根本的な原因が何かというふうに外国なんかと比べて考えますには、一つは、ほかの国に比べて、生産団体あるいは販売団体、そういう業界の、たばこを売る側、作る側の発言力といいますか、政治力がかなり強いし、与党の方もそういう発言をかなり受け入れておられるという背景が、根本的に外国、先進国とは違うのかなというふうに思います。
 具体的に指摘したいと思いますが、例えば、午前中、円委員が取り上げられましたけれども、健康日本21というのがありまして、この数値目標が消えてしまったと。取り下げられた経過についてお話がありました。
 ちょっと少し詳しくその経過とその背景を申し上げますと、健康日本21というのは、2010年までの国民の生活習慣改善ということを目標にして取りまとめられたわけですが、各分科会が九つあって、食生活とか運動、アルコールとかたばことかあったわけですが、ほかの分科会、ほかのテーマはそれぞれ数値目標が決められました。最終的に決められましたけれども、このたばこについては、当初は、先ほど午前中ありましたとおり、未成年者の喫煙をなくすということ、成人の喫煙率を男女とも半減させる、あるいは国民一人当たりのたばこ消費量を半減するというような三つの数値目標が当初あったんですが、これが立ち消えてしまって、数値目標のない案になったということです。
 この経過の中で、公聴会、シンポジウムが開かれる、あるいは国民の意見を広く上げてもらうというふうなことがあった中で、非常に強くこの数値目標に反対されたのがたばこ販売協同組合、たばこ商業協同組合、耕作者関係団体の方々です。これは、署名を物すごい数集められたりやられました。こういう方々は、自民党の政務調査会の中の四つの委員会、たばこ・塩産業特別委員会、葉たばこ価格検討小委員会、総合農政調査会、農林部会、この四つの委員会にかなり強く働き掛けられて、この四つの委員会が連名でこの数値目標に対して反対の決議文を出されて、厚生大臣に提出されたという経過があります。
 反対の決議文というのは、要するに大人の嗜好品であるたばこに対して行政が数値目標を設定することは、憲法の趣旨にかんがみて問題だというふうな内容の決議文です。これが厚生大臣に提出されてから、この検討委員会の中では、たばこ分科会の中では、数値目標を含まない二つの案を加えて三つの案で検討に入って、結局その数値目標の、半減の数値目標が入っていたのが消えてしまったと。午前中、厚生労働省からありましたとおり、四つの、これは手段だけですけれども、知識の普及だとか、未成年の喫煙をなくす、あるいは公共の場での分煙、あと禁煙支援プログラムという手段の列挙だけに終わってしまったという経過があるわけです。
 この経過を見ますと、塩川財務大臣にお聞きしたいんですけれども、よろしいですか。率直に言って、こういう業界団体の姿勢、あるいは自民党関係部会の姿勢を改めていかないと、売る側、生産者側のことばかりやっていると、結局、喫煙率の低下とか、行政が積極的にこの問題に取り組むということは非常にこの経過からいって難しくなってくるのではないかと思いますが、いかがでしょうか、その辺。大臣の見解を伺いたいと思います。

○国務大臣(塩川正十郎君) 喫煙の禁止目標の数値決定をするという、このこと自体が実は非常に難しいことでございましたし、また、たばこ産業の育成ということ、葉たばこの健全経営ということもそこに絡んでおって、四部会から、農林関係四部会から出てきたということで、これも私も今見て承知したのでございますけれども、どういう趣旨であったかということ等につきましては、私も余り定かじゃございませんけれども、余りこの問題について、禁止目標をどうするということを積極的に
政治家が関係することよりも、むしろ厚生省がやっております運動をそのまま是認していった方が私はいいように思っておりまして、我々としては所管外のことでございますけれども、厚生省がお決めになっておやりになったことについては、私たちも同調していきたいと思っております。

○大門実紀史君 厚生労働省にお伺いしたいんですが、この半減という数値目標は結局なくなったわけですが、半減でなくても、例えばとにかく三分の一を減らそうとか、そういう数値目標は必要ではないかと思いますが、厚生労働省としてのお考えをお聞きしたいと思います。

○政府参考人(下田智久君) 数値目標の議論につきましては、既に申し上げましたので細かいお話は避けさせていただきますが、いずれにしましても、この数値目標を決めるときには様々な議論がなされたというふうに承知をいたしておりまして、強い賛成意見と、それから強い反対意見と、両方かなり拮抗しておった状況であるというふうでございます。
 ただ、実効性という観点から考えていった場合に、この健康日本21、十年計画でございまして、やはりこの期間で半減させる目標を掲げるのは諸外国の状況から見て不可能であるといった観点、あるいは禁煙を強要するのは行政としていかがなものかといった意見、こういった点を勘案して、委員会で現在のような四つの目標が決められたというふうに考えております。これはいろんな御議論をまとめ上げて作られたものでございまして、当面、数値目標の取扱いについて現行の四つの方針でやらさせていただきたいと、このように考えておるところでございます。

○大門実紀史君 日本の、先ほどの反対決議文もそうですが、ちょっと外国と比べて違和感がありますのは、たばこを嗜好品という、つまり大人の嗜好品だとか、そういう議論が非常に日本では強い。もう諸外国ではそういう議論がされていないわけですけれども、厚生労働省の喫煙と健康に関する実態調査でも、喫煙者二人に一人の1800万人が、嗜好品というよりもニコチン依存症だというようなふうにもうはっきり出ているわけですよね。この点からいきますと、個人の嗜好品だから規制しにくいんだとか、それは本人任せだというのは、かなり遅れた、日本の遅れた議論の反映だというふうに思います。
 先ほど、そういう業界団体の反対意見について申し上げましたが、塩川大臣にもう一つお伺いしたいんですけれども、たばこの喫煙率を下げていく、こういう問題で、外国と比べてまたもう一つ日本の特殊な条件は、財務省がJTの大株主であると同時に監督官庁であるというふうな性格がございますですよね。ですから、一方で一手経営的にということと、やっぱり何といいますか、これからは少なくしていく方向という、両方をどうやっていくかというふうな難しい問題があると思いますが、少なくともその歴代のJTの会長さん、社長さんが、本田さんは生え抜きということですけれども、財務省から天下りをずっとされてきたということは、やっぱりそういう問題に及び腰になっていくんではないかというふうな気がするんですが、この財務省からJTへの天下り問題というのは私はやっぱりやめるべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

○国務大臣(塩川正十郎君) 現在、本田社長は財務省出身じゃございませんで、おいおい完全民営化の方向に向かっていくということは、そういう傾向にあるということでございまして、これをまたフィードバックするというようなことは恐らくないであろうと思いますけれども、しかし見ていますと、たばこ産業の会社に詳しい人材ということを中心にこういう社長とか経営者を選ぶべきであると思っておりまして、何も財務省出身だから絶対やったらいかぬというようなものではないと思いますけれども、このたばこ産業株式会社並びにたばこ産業界の実情に詳しい者、それはやっぱりずっとプロパーでやってきた人が一番詳しいんだろうと思いますし、そういうところから自然に選ばれていくんじゃないかと思っております。

○大門実紀史君 私申し上げたいのは、全体として喫煙率を低下させていく、健康問題を考えていく、この方向の中で、やっぱり売手側の業界団体の皆さんの、もちろん今生産してそれで御飯食べておられるわけですから、どうやっていくかということを考えなきゃいけませんが、ただ、余り半減しろとかいうことはやるなとか、そういう声を受けていく、そういうふうな体質と、そうは言われても、本田さん生え抜きでやっておられるわけですから、わざわざ天下りとか、財務省と特別な関係をやっぱり持たない方がいい。そういうことをやっぱりやっていかないと、喫煙防止対策、基本的に日本の場合は進まないということを申し上げたいと思います。
 最後になりましたので、一つだけ、今の厚生労働省の健康21の目標に掲げておられます未成年者の喫煙防止問題ですけれども、午前中も議論ありましたが、外国の例を調べてみますと、かなり厳しく自動販売機については規制がされております。例えばフランスなんかは法令で、日本の場合は許可するしないですけれども、法令で設置条件を規制していますし、韓国なんかは特に厳しくて、青少年の入室できない屋内に限り自動販売機は設置可能というふうにされています。これぐらいのことに取り組まないと、未成年の喫煙防止策につながっていかないというふうに思います。
 といいますのは、アメリカで九八年に州政府とたばこ産業の訴訟がありまして、和解成立した際に、たばこ産業が未成年者の喫煙防止に尽力をする、努力すると約束したんですけれども、一向に効果が上がらないということで、今、連邦政府は、18歳未満の喫煙率が2004年までに半減しない場合、半分にならない場合、一人当たり3千ドルの懲罰税を業界に課すというようなことも今検討していると。ですから、日本と違ってかなり厳しく、この特に未成年者の喫煙についてはどうやってなくそうかということで相当の厳しいいろんな施策を取っているわけですが、そういう方向が必要だと思いますが、御見解を伺いたいと思います。

○政府参考人(寺澤辰麿君) お答え申し上げます。
 未成年者の喫煙防止につきましては、財務省といたしましても重要な課題であると認識しておりまして、従来よりこの点についてたばこ小売販売業者等に対して指導を行っているところであります。
 先生御指摘の自動販売機の問題でございますが、未成年者喫煙防止の観点から、たばこ事業法の規定に基づきまして、その設置場所が十分な管理、監督が難しいと認められる場合には、製造たばこの小売販売業の許可をしないといった施策を行っているところであります。また、未成年者の深夜におきますたばこ自動販売機による購入ということを考えますと、これについて自主規制が行われるように全国たばこ販売協同組合連合会に対しまして協力要請を行ったところでありまして、平成8年4月以降、深夜の時間帯におきますたばこ自動販売機の稼働を自主的に停止することとしたと承知しております。
 さらに、今後の動きといたしましては、成人識別機能が搭載された自動販売機、これを導入することがより積極的な対策になるということで、日本たばこ協会等におきまして、平成14年4月1日より千葉県八日市場市におきまして成人識別機能を搭載した自動販売機を実際に稼働させまして、技術面、運営面の基礎的な検証を行うということとしております。平成20年を目途に全国に一律の稼働に向けた取組を行っているというふうに承知をしております。
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