国会質問

● ● ● ● 大門みきし Daimon Mikishi  ● ● ● ●


■2002年03月28日 財政金融委員会
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 法案の質問に入る前に、午前中、浜田委員からもございましたけれども、今大変焦眉の課題になっています中小企業への融資、地域金融の問題について質問させていただきたいと思います。
 最初に、経済産業省おいでいただいていますけれども、この間の中小企業融資の現状がどうなっているか、簡単に御報告いただきたいと思います。

○政府参考人(小脇一朗君) お答え申し上げます。
 最近の中小企業に対します民間金融機関の貸出し姿勢についてでございますけれども、平成10年ごろの未曾有の信用収縮の時期ほどではございませんが、昨年に入りましてから再び厳しくなってきておりまして、特に昨年の秋以降、景況全体が悪化を続ける中、厳しさを増しておると、このように認識をいたしております。
 具体的には、私ども中小企業庁で実施しております中小企業への貸出し実態調査によりますと、金融機関の貸出し姿勢が厳しくなったとする中小企業の割合が、平成10年10月には35%でございましたけれども、その後急速に改善をいたしまして、一昨年9月には19.4%まで低下をいたしました。しかし、その後再び上昇に転じまして、本年2月、直近時点でございますけれども、24.6%にまで達しているという状況でございます。
 こうした中、私どもその状況をよりつぶさに把握をするというために、本年1月から2月に掛けまして、全国25の道府県に私も含めまして中小企業庁の部課長が分担をして出張をいたしまして、地域の金融機関あるいは中小企業の生の声を聞いてまいったところでございます。
 本調査におきましても、長期にわたる業況不況から、多くの中小企業の資金繰りが極めて厳しくなってきておりまして、また金融機関の選別融資も激化をして、一部の業況の良い企業には各金融機関とも激しい貸出し競争を行っている一方で、多くの業況の悪い企業に対しましては反復融資の拒絶が増加していると、こういった状況を把握しているところでございます。
 こうした厳しい状況認識を踏まえまして、先般のデフレ対応策におきましては中小企業金融に関する緊急の対応策を取りまとめたところでございまして、今後とも、やる気と潜在力のある中小企業が連鎖的な破綻に追い込まれることのないよう、金融面でのセーフティーネット対策に万全を期してまいりたい、このように考えております。

○大門実紀史君 今御報告いただいた中の、25都道府県のヒアリングですか、この中で、後で御質問さしていただきますが、金融検査マニュアルについて、かなりあれがあるために融資が厳しくなっているという声も寄せられたというふうに、これは経済産業委員会で、そういう質問に対して、平沼大臣もそういう声があったと、非常に具体的に平沼大臣はおっしゃっているんですけれども、BIS規制、そういうものを信金、信組、地域の金融機関に適用することそのものがやっぱり、大臣がおっしゃっているわけですが、おかしいと。それは中小企業の皆さんに大変な思いをさしているということは事実だというふうに大臣もおっしゃっていますが、中小企業庁として、このマニュアル問題、マニュアルのために、午前中、浜田委員からございましたけれども、マニュアルのために貸すに貸せない状況が起きているということについて、経済産業省、中小企業庁としてどういうふうに対応されるおつもりですか。

○政府参考人(小脇一朗君) お答えを申し上げます。
 合理的な内容の検査マニュアルに基づきまして金融検査が厳正に行われるということは、金融システムの健全性を保つために重要なことと考えております。
 ただ、実際の検査に当たりまして、中小零細企業向けの貸出し債権を査定する場合には、その企業の販売力あるいは成長性あるいは代表者の収入、資産等といった各中小企業の特性に十分配慮することが必要となるところでございまして、検査マニュアルにもそうした趣旨の中小零細企業への配慮規定が盛り込まれているというふうに承知をいたしております。
 先ほど御答弁申し上げました、私どもこの1、2月に行いました地域金融機関に関しますヒアリング調査でございますけれども、そこにおきましても、金融検査マニュアルの中小企業向け配慮規定の趣旨が必ずしも検査の末端まで十分に浸透しておらず、中小企業金融の実態に合っていない事例が見られると、こういった指摘がございました。また他方では、金融検査を受ける金融機関の側に、検査内容に対します習熟、あるいは資料の整備、説明の適切さ等の点で問題があるケースもあると、こういった指摘もあったところでございます。
 こうした現場からの指摘も踏まえまして、今般のデフレ対応策の中で金融庁におかれては中小零細企業等の債務者区分の判断につきましてマニュアルの具体的な運用例を作成、公表するといった措置が取られるということになっていると存じているところでございます。
 この具体的な運用例の作成、公表に関しましては、かねてより私ども経済産業省から金融庁に対しまして要請をいたしていた点でございまして、当省といたしましては、今後も中小企業金融の円滑化を図ると、そういう観点からこうした取組に重大な関心を持って注視をし、必要に応じ金融庁に対しましても意見を述べてまいりたい、このように考えているところでございます。

○大門実紀史君 どうもありがとうございました。
 私ども日本共産党の調査でも、各地方の商工会議所の会頭の皆さんや中小企業団体の方々も、今のマニュアルがあるためにどうしても信金、信組や地方銀行が貸すに貸せない状況に追いやられているという話をたくさん聞いてまいりました。これは前にも申し上げたと思います。
 全国信用金庫組合の中央協会の会長の田附さんももう直近でそういう発言をされておりますし、信用協会会長、全国の信用協会会長の長野さんも、今、特に信金、信組の段階では貸し渋りじゃなくてマニュアルのために貸したくても貸せないといいますか、貸した途端にマニュアルで不良債権に分類される、だから貸せなくなっているんだという話をされているところです。
 実際、数字の面で見ましても、信金、信組の貸出し状況でいきますとかなり落ち込んでいます。例えば信金の貸出しでいきますと、これは今年1月ですけれども、前年比でマイナス3.16%、27か月連続マイナスになっていますし、信組の場合は36か月連続マイナスということで、やはりこのマニュアル、もちろんその前の検査プラスこのマニュアルどおりやれというふうなことで貸すに貸せない状況が地域金融の中で今実際起きているというようなことが、先ほど言われましたけれども、経済産業省、中小企業庁にはそういう声も多く寄せられているということだと思います。
 柳澤大臣にお伺いしたいんですけれども、金融庁として、こういう状況に陥っている地域金融ですね、このまま放置すると、たとえこのペイオフの後でも大変なことになると思うんですが、金融庁として、中小企業金融あるいは地域金融というものを、こんな状況、袋小路に今入っていると思うんですけれども、どういうふうに今後なされようと考えているのか、ちょっとお考えをお伺いしたいと思いますけれども。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 午前中の御質問にもお答えいたしましたように、金融機関が中小企業の方々に対して融資をするということは、金融機関の側にとっても大事な分野だというふうに実は認識をしております。
 ところがそれが、今言われたようなことがあるということにつきましては、私ども、資産の査定というのは信用リスクに応じて適切にやる、それでなければ健全性が確保できないということは、これはちょっと譲れないところで正直ございます。
 ただ、その信用リスクというものを計るときに、中小企業の方々の特殊性、先ほど中小企業庁の方も言っておられましたけれども、そういうことを本当によく勘案するということは、これは必要だし、またそういうふうにしなければならないということでございまして、それを今後とも徹底させていくことが大事だと、このように考えております。

○大門実紀史君 今後ともとおっしゃいましたけれども、実際、マニュアルには随所に、その実態をよく見てと書かれていますよね。それにもかかわらず、これだけ、本当にもう私思うんですけれども、金融庁だけが今の検査のマニュアルでいいんだと、あとの人たちは何とか見直してくれと、何とか考えてくれという声が本当にもう全国で沸き起こっているというふうに私感じておりますけれども、なぜこれだけそうしたら批判が起きているんでしょうか、マニュアルに対して。どういうふうにとらえておられますか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) これは結局、検査マニュアルというものが制定されたのは99年7月でございます。平成11年の7月ということでございまして、そういうマニュアルをもって検査をするということ、まあまだそう日がたっていないという背景が一つあろうと思いますし、それからまた信用組合におきましては、これまでは都道府県の検査であったということ、それが国の検査になったというようなことも若干影響があるんではないかと、このように思います。
 いずれにしても、新しいシステムの下に置かれているということも、若干いろいろな言葉遣いだとかなんとかということも変わってきているはずでしょうから、そういったようなことが一つ制度的な背景としてある。
 それから第二番目には、やはり景況の問題があると思います。景況が良ければそういうシステムが変わってもまあそれほどの、何と申しますか、不連続感というものを持たないですっと自然に吸収されていったようなことも、たまたまそういうものが適用される時期が非常に経済的に厳しい時期に当たっているというその両面から、やはりそうした声が挙がる背景があるんではないかと、このように考えます。

○大門実紀史君 そうしますと、マニュアルの中に書いてあります実態を配慮するという部分は、率直に申し上げて、十分に行われてきたというふうにお考えですか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 今のお話は、金融庁検査になり、またマニュアル検査になって以降でございます。そういうお話だというふうに受け止めさせていただいてお話ししますと、私の立場から、いや必ずしもそこがとなかなか言いにくいところですが、率直に言って、財務局の検査が多いわけですね。そうすると、財務局の金融検査、これは部門は昔からありましたけれども、まあ何と申しますか、若い人たちが入る、あるいは定員増があるということで、新人も来るといったようなことで不慣れな面というものがあったであろうということは、私としては想像しているところでございます。

○大門実紀史君 そうすると、今度のデフレ対策に、そういう実態配慮の部分をきちっとやっていこうといいますか、その訓練、模擬検査ですかね、研修とかですかね、そういうのをやらなければいけないというのは、率直に言って今まで、少なくともこの平成11年の後の検査でその実態配慮が十分行われていなかったからわざわざデフレ対策に入れられたということじゃないんですか。先ほどの中小企業庁の経過からいっても、実態がちゃんと配慮されていないという声が多いので、経済産業省としては金融庁にちゃんと実態配慮してほしいというのがあってデフレ対策に入れられたということは、今までやっぱり配慮されてなかったということにならないでしょうかね。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 結局、運用の問題でございます。じゃ、一刀両断に、配慮されていなかったということを私がもしここで言うという根拠も実はないんですね。つまり、みんな硬い話ばっかり、厳しいことばっかり、運用面での配慮というものが記されているにもかかわらず、それらを無視して行っていたというようなことを言い切るという状況では私はないと思います。
 しかし、私自身も、実は私、同級生に、個人的なことを申して恐縮ですが、大蔵省の金融検査をやっていた人間がおりまして、今はもう卒業してOBですけれども、当然。高校時代の実は同級生なんですが、まあ私の極めて親しい人間ですが、そういう友人からも、最近の検査について何か聞いているかいというような話は私も率直に言って聞いたところです。
 だから、やっぱりちょっとまだ、最近やっぱり人が増えているというようなこともあって未熟な者もいるというようなことは聞くぞというようなことで、アドバイスというか、そういう彼の見方というか、そういうものも聞いておりますので、その点は私自身も注意を払っていかなきゃいかぬ点だと、こういうふうに思ったことなんですが、じゃ、そういうことだから全般的にそうだったかということは、到底私として言えないところでございまして、これはやっぱり個別に、制度、制度というか、施策としてはよくそれを徹底するようにやるということでございますけれども、だからといって、今、大門委員が言うように、みんな徹底してなかったんだというふうに思わないとおかしいじゃないかというところまでは、私はそんなことは到底言えないということでございます。

○大門実紀史君 信金、信組が破綻に追い込まれた問題は我が党ずっと取り上げてまいりまして、大臣、恐らく都市銀行のことで頭一杯で、信金、信組の方は現場の方の話を直接余り御存じないんだと思いますけれども、かなり実態配慮ということが否定されているのを指摘してきたつもりです、具体的に。
 船橋信金などでは、この前も言いましたけれども、セーフ・ハーバー・ルール、これは全く否定されてしまうというようなことが起きていますから、そういう破綻したところには象徴的に現れていますけれども、午前中浜田委員からもありましたとおり、破綻していないところもすぱっと2%ぐらい、金融庁の検査でいろんなものを否定されて、自己査定を否定されて自己資本比率が落ちてしまうというケースも多々あるわけなんですね。
 今日、せっかく五味検査局長が来られておりますのでお聞きしたいと思うんですけれども、大臣言われましたけれども、現場では、私見ている限り相当、実態配慮どころか、いろんなものが否定されています。否定されています。これはどこの指示でされたのか。地域金融機関、特に信金、信組の整理統廃合、これは具体的にどこが、金融庁のどの部署で、どこが仕切って、統括して、そういう自己査定なんかも危なっかしいんだと、ひどい例一杯あるわけですけれども、そういうかなり現場の検査官が自信持って否定できるような指示をどこが出されてきたのか。五味検査局長が一番御存じだと思いますので、ちょっと伺いたいと思います。

○政府参考人(五味廣文君) 検査は、主任検査官と申す者を任命をいたしまして、これがチームを率いて行います。その検査の眼目となりますのは、金融機関のリスク管理体制あるいは内部管理体制についての検証を行うということでありまして、この検査を行う際に、何らかの予断を持って、結果をあらかじめ決めて行うというようなことは一切しておりません。また、そうした指示はだれからも出ておりません。

○大門実紀史君 今、検査局長、指示出していないということですので、この問題、あしたの金融特で引き続き信金・信組破綻問題をやらせていただきますので、追及したいと思います。
 先ほどのお話に戻りますけれども、じゃデフレ対策で、先ほど御質問ありましたけれども、その実態配慮のところをやっていくと。先ほどちょっと聞いていてよく分からないんですけれども、御答弁がよく分からなかったんですが、模擬検査とおっしゃいましたっけね、研修ですか、研修の中身のことですかね。これはいつごろからやられておられたんですか。今回のデフレ対策で初めてやられるんですか。

○政府参考人(五味廣文君) 新任の検査官に対します研修あるいは経験の浅い検査官に対します研修は、当然のことながら以前より行われておりますし、また、経験を積んだ検査官に対しましては、そのレベルに合わせた研修というのを別途行っているということで、これまでも行ってきておりました。
 新人に対する研修といたしましては、これまではいわゆる座学と言われる形での研修、プラス、ケーススタディーと申しまして、グループで特定のケースを扱いまして、そこに教官的な、教官となるような立場の者が入る、あるいは入らない場合であれば、そのグループだけで議論をして論拠を詰めて、その結論を研修の素材としてみんなで議論をしてみるというようなことを行っていたわけでございますが、今回、これに加えまして、新任の検査官につきまして模擬査定研修といったものを始めてみました。これは本庁で最初にやりまして、これは私の記憶では2月の8日だったと思いますが、行っております。
 これは、したがいまして、デフレ対応策を受けて始めたということではなくて、その前から、より有効な研修ということをいろいろ模索をしております中で出てきたアイデアでございまして、その段階で始めたものでございます。

○大門実紀史君 そうすると、この間かなり評判の悪い検査官の事例がたくさん出てきて、本当にあったんですけど、机たたいてとか、入ってくるなり、おまえのところなんか正常先あるわけないと言って信用金庫に入ってきた検査官いるわけですけれども、そういうことを改善するためではないわけですね。それとも、今まであれですか、そういう机たたくようなことを模擬検査で研修されていたんですか。

○政府参考人(五味廣文君) 特定の金融機関の検査に関して、机をたたき、おまえのところには正常先などないと言ったという御質疑が国会でございましたので、調べてみました。そうした事実は私どもの調査の範囲では把握できませんでした。
 次に、研修におきましては、当然のことでございますが、特に模擬査定研修では、中小企業あるいは零細な個人事業者等の実際の実例を使いまして、もちろん債務者名は消してありますが、そうした資料を基にして、新人の検査官が検査官の役をやり、ベテランの検査官が金融機関の支店長、すなわちその案件の説明役を演ずるという、一種のロールプレーで行われているものであります。
 その過程で検証されますのは、検査官が正しい着眼を持って中小企業あるいは零細事業者の資産の査定というものをその事例にふさわしい形で行っているかどうか、特に、機械的、画一的な査定を行っていないかどうかといったことを、実際に査定をやらせてみながら、支店長役として様々な反論も行いながら検証をし、それを事後的に検証する、プラス、当然のことでございますが、検査態度といったようなものも問題があることがあれば指摘をされます。
 非常に2月の8日というのは狭い部屋でやりまして暑かったんですけれども、みんな上着は脱いでいたんですが、支店長役をやっていた検査官のうちの一人が上着を脱がずに一生懸命汗をふきながら説明をしておりまして、私、現場に行って、なぜ上着を脱がないのかと、こう申しましたところ、検査官殿が上着を取ってよいとおっしゃらないのですと、こういうことで、その検査官慌てて失礼しましたと言った、こんなケースもありましたけれども、検査態度といったようなものについてもこの研修では重視をいたしております。

○大門実紀史君 だから、今お聞きしたように、非常に硬直的な模擬をやっていらっしゃるんですよね、上着一枚も脱げないような。中小企業のおやじさん相手にそんな検査官送り込むからそうなるんですよ、分からないんですよ。
 私は、そういうことはほとんど役に立たないなと思います。なぜかといいますと、後でマニュアルそのものの問題申し上げますけど、結局こういうことなんですね。このマニュアルにかなり細かくいろいろ決められております、この中には。この中に非常に細かく決められているのに、実態見て判断しなさいよと言ったって、これは限界あるし、私、無理だと思うんです、そもそもこの仕組みそのものが。マニュアルで細かいところまで決めておいて、あとは実態見なさいなんて、できっこないと思うんですよね。やっぱり実態に合ったものに、細かく書くんだったらですよ、する必要があるというふうに思いますので、このマニュアルそのものの問題点といいますか、矛盾について質問していきたいというふうに思うんですけれども、私、時間の関係で全部お話しできるかどうかあるんですが、そもそも何だろうと、このマニュアルというのは。調べてまいりました。
 そもそも、国際金融危機があって、銀行の健全性をきちっとして、リスク管理をきちっとして銀行の体力をきちっと保持して、そういう投機マネーに負けないようにというようなことの出発点と、バーゼルの銀行監督委員会等々から示したいろんな基準があって、それでそういう流れでいろいろやってきたという、流れはそういうことだと思うんです。
 ただ、なぜ日本だけこんなに批判が起きているのかなということで、外国の例を幾つか調べて、まだ全部正直言って調べ切っておりませんが、例えば健全性のグローバルスタンダードの本家でありますアメリカなんかがどうなっているのかということで調べてきましたけれども、かなり違うんですね、日本と。私なんかよりも五味さんの方がもちろんお詳しいと思うんで、ちょっとむしろ聞きたいんですけれども、日本は信用組合まで金融庁の監督下にわざわざ移して、一本ですよね。金融庁一本ですけれども、アメリカの金融機関の監督体制というのはどういうふうになっていますか。

○政府参考人(五味廣文君) 米国におきましては、州法銀行と国法銀行という大きな免許の根拠の違いがございまして、国法銀行として設立をされたものにつきましてはOCC、これは財務省の下にある機関でございますが、このOCCが監督検査を行うということ、それから州法銀行につきましては、各州の銀行当局及びその銀行がフェデラル・リザーブ・システムに加入している場合にはFRBがこれをチェックをするということ、それから持ち株会社につきましては、これはFRBの方がチェックをすると、大まかに申しますとこういったようなことになっておりますが、さらに、中小金融機関につきまして独自の監督機関というものが連邦に置かれているというように聞いております。

○大門実紀史君 ありがとうございます。
 それぞれマニュアルも別個に作っていると思うんですけれども、そういうことでよろしいですか。

○政府参考人(五味廣文君) 監督に必要なマニュアルというものは各機関が持っておるというふうに聞いております。私、実際に見たことがあるものは、申し訳ございません、FRBのものとそれからOCCのものでございます。あと、それぞれマニュアルは持っておりますが、その基幹となります債権分類でございますとか引き当てでございますとか、こうした基幹となります基準部分につきましては、連邦の金融機関検査評議会と訳しておりますが、フェデラル・フィナンシャル・インスティチューション・ザ・エグザミネーション・カウンシル、ここで合意をいたしました共通基準がそれぞれ使われているというふうに聞いております。

○大門実紀史君 私はOCCの二つマニュアル手に入れまして、ラージバンクとコミュニティーバンク、ここにありますけれども、なぜ別々にそれぞれマニュアルを作っているというふうに金融庁は理解されていますか。

○政府参考人(五味廣文君) 実は、なぜかというところは、申し訳ございません、私、存じません。
 このFRBにおきましては、金融機関による違いというのはありませんで、全体が一本のマニュアルということで行われているということでありまして、OCCにつきましては、定義を定めてラージバンクスとコミュニティーバンクということでこれを分けておると。分けておりますけれども、この内容を見ますと、共通部分というのは当然共通でありまして、先ほど申しましたように、引き当てでございますとかあるいは債権分類でございますとか、こういったところは先ほどの共通基準が別途ハンドブックとして出ておりまして、このバンクスーパービジョンの二種類のものがあるというのは、実は共通編でバンクスーパービジョンプロセスというのがありまして、この共通編に基づいて定義を定めて、ラージバンクスとコミュニティーバンクスを分けてチェックを入れるということで、内容を見ますと、そうした基準面のお話ではなくて、監督を行っていく上で、大きな銀行、ここではたしかラージバンクというのは1億ドルだったと思いますが、10億ドルですか、10億ドルの資産ということで分けておったと思いますが、監督をするプロセスについて、このラージバンクについては、中身を見ますとプロセスがかなり詳細、濃密に記載をされている、基準の話はなくてプロセスの話であるということで、コミュニティーバンクにつきましては、監督のフレキシビリティーというものを生かすという観点から、非常にラージバンクに比べますと簡略化された記述で行われているということで、また、各リスクのチェックの内容を見ましても、いわゆるミニマムスタンダードとしてチェック項目が要求されているものというのはラージバンクのものには数多く載っておりまして、これも私どものマニュアルもそれは載っておりますけれども、スモールバンクスの方はその辺は簡略化をされていると。
 こんなやり方ですので、恐らくその監督理由といいますのは、FRBの方がそうなっていないのでちょっと私も混乱しているんですけれども、監督の何かやはりプロセスというところから、非常にリスクエクスポージャーの大きい銀行をチェックする場合と、それはそれほどでもない場合ということで、基本的に違うというお考えがあるのではないか。
 端的に言うと、ラージバンクスの方は、あれですね、コンソリデーテットベースで、コンソリデートベースで見なさいというのが基本になっていまして、コミュニティーバンクスの方はそうなっていないということですから、多分それはやはり銀行のリスクプロファイルが非常に複雑化してきている中でのリスク管理チェックというところで、プロセスを分けて書いた方が効率的なチェックができるという発想ではないのかと、こう思います。

○大門実紀史君 そうすると私の方が五味さんよりも詳しいか分かりませんけれども、調べてみますとこういうことなんですね。もちろんOCCしか私、分かりませんけれども、私は正直申し上げて中身違うんじゃないかと思ったんですね。コミュニティーバンクですから、地域銀行とラージバンクですね。中身違うと思ったら、ほとんど変わりません。おっしゃったとおり、詳しく記載されている等との違いで。
 そうすると、どういうことなのかというふうに考えますと、どうも日本の金融検査マニュアルと違いまして、基本的な、哲学という言い方していますけれども、基本的な考え方をそれぞれの銀行に合ったように、そのクレジットリスク、信用リスクの取り方の考え方をそれぞれに合ったように書いていますけれども、基本は同じだというふうに私も分かりました。
 何が日本と違うのかといいますと、日本の金融検査マニュアルですね、例えば三か月延滞すると要注意だとか、赤字が続くと要注意だとか要管理だとか、そういう詳しい、非常に、最終的に判断するそういう細かい中身まで書かれているのが日本の金融検査マニュアルで、アメリカの方はそれぞれの銀行に合ったマニュアルを作って、銀行に合った考え方でやりなさいと。もちろん基本は同じですけれども、リスク管理の区分も同じですけれども、そういうふうに分かれていると。
 つまり、どう言いますかね、アメリカのマニュアルというのは、これはアメリカの銀行の歴史も読みましたけれども、相当みんな裁量性、裁量に任せてやってきたと。いろいろあって、早期是正措置を入れるときに余り裁量を認め過ぎて、一遍、預金保険公社法ですかね、それで裁量性を認めない働きをやったけれども、また反発があってまた認めるというふうに歴史があるわけですけれども、いずれにせよ、かなりそれぞれの裁量性を認めている、基本的な考え方としてですね。そういうものになっていると。ところが日本の方は、実態判断とか書いてありますけれども、基準の中に、マニュアルの中に、もうこれは要管理とかこれは要注意というのがびしっともうはまりこんでいると。この違いが非常に大きいということが分かりました。
 つまり、アメリカの方は、これをマニュアル、プラス、調べてみますと検査計画というのを別に作っているようです。原文まだ手に入っておりませんけれども。つまり、それぞれの銀行に応じて、検査計画の中で、更に債務者区分のところはそれぞれ違うやり方でやっているということのようです。ところが、日本の場合はもう非常に全国これ一つで、大銀行から信用組合、信用金庫まで、ちょっと赤字なら何々、延滞したら何々と、非常に細かく個々で決められていると。だから無理が生じているんではないかというふうに思います。
 つまり、アメリカの方は、現場のところはプラス検査計画のところでかなり柔軟なといいますか、実態に応じたことがきちっとやれるようになっているというふうに思いますが、その辺、もしどなたか調べておられたらお願いします。

○政府参考人(五味廣文君) その検査計画というのを私は実は見たことがないんでございますが、聞いた話ですけれども、引き当て率が、例えば先ほどのスタンダードでいいますと、サブスタンダードの区分に入っているもので15%というようなことが書いてありますが、これはアッパーリミットでなければローワーリミットでもないということも併せて書いてあるわけでございますね。その実態を見て判断をするものであるということで。
 聞いた話ですが、その際にこの15%というものを機械的に適用しないために、その時々の経済情勢ですとか、あるいはその銀行が持っている貸付けのポートフォリオですね、どんな業態に貸しているのかとか、どんなプロジェクトに貸しているのか、そのプロジェクトの属しているセクターの将来性はどうなのかとか、あるいは、経済の状況が落ちているときにそのセクターにどういう影響が出るかとか、こういったようなことを、たしかその都度、いろいろ検査に出る際に議論をして、15%が機械的適用にならないようにしつつ、あとは、いろんな議論を踏まえてその検査官が判定をしていくといったようなことを聞いたことがございます。
 私どもですと、検査に出る前にその検査の実施のための指針というものをそれぞれ話合いをしまして、このマニュアルに書いてあるとおりでは当然いけないわけですが、ある方向性を持って、どこを重点にどういった考え方でチェックをしたらいいかということをやってまいりますので、あるいは何かそれに似たものがあるのかどうか、ちょっと公表されたものとして私は、というか、公表されていないものであってもちょっと見たことがありません。
 あとは、マニュアルで、先ほどおっしゃいました赤字の先、あるいは要管理先といいますか、延滞が3か月というようなお話ですね、こうした延滞先についての考え方と申しますのは、公認会計士協会が作っております会計の方の原則、こちらの実務指針ではっきりと定義がされましたものでございまして、こうしたものを受けて、日本のマニュアルはこれを採用をしチェックを入れているということでありまして、アメリカはアメリカのやり方があるんでございましょうけれども、私ども、公認会計士協会の実務指針というものをベースにして引き当ての準備作業というのを行うというのは、これは合理的なことであるし、分かりやすいことであろうと思っております。

○大門実紀史君 要するに、日本は、アメリカで言うマニュアルプラスルーチンワークといいますか、作業マニュアルもこれ一冊で兼ねていると。私、分かりやすく言えば、アメリカと比べてみると。アメリカは、マニュアル、プラスそれぞれに金融機関に応じた検査計画があると。その中に恐らくいろいろ、こういう場合は要注意、こういう場合は、向こうは言い方は違いますが、要管理とか、向こうは三区分、基本的に三区分みたいですけれども、それに分けることが決められているというふうに全体像、体系を理解するわけです。
 その点でいきますと、このマニュアルについて冒頭申し上げましたとおりいろんな批判が起きているというのは、つまりそこではないかと思うんですね。ここで、すべてこの一冊の中に作業マニュアル的なもの、さっき言った3か月、いろいろ基準があるんだとおっしゃいましたけれども、それそのものがやっぱり都市銀行の場合と地域金融機関の場合と違うわけですから、それが公認会計士か何かが良ければいいというわけじゃなくて、実態に合わせてやるべきだと思うんですよね。そこがこのマニュアルの一番の欠陥だと。
 ですから、これをこのままにして一体幾ら実態判断といっても、私はやっぱり無理があると。つまり、こういうものを出すんなら、基本的な考え方、リスクの取り方の基本的な考え方にやっぱりアメリカのように押さえ、そこに押さえて、それだけ示して、あとはやっぱり金融機関ごとの別途の債務者区分の、もちろん引き当て率は同じでいいと思いますけれども、その区分に分ける前の分け方のところで、別のマニュアル、作業マニュアル的なものを作らないと解決しないというふうに思います。今、その検査計画については資料を取り寄せ中ですので、またはっきりしましたら御質問をしていきたいというふうに思います。
 税制の方に入らせていただきます。柳澤大臣、結構です。どうもありがとうございました。


○委員長(山下八洲夫君) 金融庁、中小企業庁、離席結構でございます。

○大門実紀史君 時間が少なくなりましたけれども、幾つか税制に関して質問をしたいと思います。
 一昨日、この財政金融委員会で自民党の清水委員が、選挙のないうちに消費税上げたらどうだという、大変率直なといいますか、是非テレビで放映してほしかったなと思いますけれども、そういう御意見ありましたけれども、これは自民党あるいは与党の考えでしょうか。

○国務大臣(塩川正十郎君) これは清水さん自身の個人の意見だと思います。

○大門実紀史君 分かりました。
 ちょっと絞って、時間の関係で一つだけ御質問したいと思います。
 今、課税最低限の引下げ問題がございますけれども、引き下げるという話がよく出るわけですが、このときによく使われるのが、政府の方で宣伝されるのが、四分の一が、就業者の四分の一が税金を納めていないという話をよくされるわけですが、この根拠を簡潔に、時間がありませんので、説明していただけますか。

○政府参考人(大武健一郎君) お答えをさせていただきます。
 現在、統計を取ってまいりますと、12年分で申しますと、全日本人のいわゆる15歳以上の人口が1億836万人、そのうち、いわゆる労働力人口として6766万人、うち、平成12年でございますが、失業者除いた就業者数、6446万人。それに対して、他方、給与所得者並びにいわゆる納税者数全体を取ってまいりますと4773万人ということになりますので、それを差っ引きいたしますと、非納税者が1673万人、すなわち、就労者のうちの約四分の一が非納税者になっているのではないかと、こういうことでございます。

○大門実紀史君 私、調べてみましたら、大変それトリッキーな数字だと思うんです。大体その就業者は、調査期間の間に、毎月末の一週間ですけれども、一時間以上勤務した者という定義なんですよね。なおかつ家族従事者の場合は、無給であっても家族従業者の場合は入ってしまうと。そういう計算で四分の一しか納税していないというようなのは、大変何かためにする議論ではないかと。
 こちらで、私の方で計算してみますと、もう少し正確な数字として、民間サラリーマン、常用の雇用者、4056万になりますけれども、それに占める納税者数が3878万ですから、95.6%。この場合、税金を納めていないという人は4.4%です。これに公務員も含めて雇用者全体5331万人で見ても、税金を納めていないと言われる人は16%ぐらいにしかならないんですけれども、私が申し上げた方が正確な数字ではございませんか。

○政府参考人(大武健一郎君) 取り方がいろいろあるのかとは存じますけれども、現在の就労形態というのは、今、常雇用と申されましたが、短期雇用も多数増えておりますし、あるいはまた、雇用という形態を取らないようないろんな種々の就労形態があるかと思います。
 そういう意味では、母数に何を取るかという問題でございますが、やはり労働力人口から取っていくというのが母数の取り方の一つではないのかなというふうに思いまして、我々はその統計を取っているということでございます。ましてや、今の給与所得者だけで限っておられますけれども、もちろん自営業者等も別におありになるだろうと存じます。

○大門実紀史君 そうでしょうかね。私が言った方が現実に近いんじゃないですか、働いて税金を納めるということでいきますと。皆さんが取られている数字だと、本当に税金、どれぐらい働いた人がこの対象になっているのか、そういうところが非常に不明確だし、非常に数字を大きくするためにはその方がいいかも分かりませんけれども、実態に合っていないんじゃないかというふうに思いますので、もう一度再考してもらいたいというふうに思います。
 最後に、塩川大臣にお伺いいたしますけれども、今、税調と経済財政諮問会議で税制の抜本改革の論議が進められているということですが、これは減税先行ということになっていますけれども、2002年、2003年は減税先行ということでお話しされているようですが、2004年から2006年に掛けてということになりますと、この後半の方はどういうふうな抜本改革を目指すということになるんでしょうか。

○国務大臣(塩川正十郎君) まだ減税先行ということは決めたものではございませんで、ある一部の方はそう言っている人もありますけれども、それはやっぱり減税が経済刺激に大きい作用をもたらすということを優先的に考えておるんだと思っております。
 先ほど午前中の櫻井さんの御質問でございましたでしょうか、あのときにも私は答えましたように、これからの減税はこういうことで減税いたしますけれども、そのバランスシート上から考えると、後年度においてこういう増税をさせてもらって、それでバランスを取るようにいたしたいということを明確に意思表示をして、それを法律案にして私は提出する方が国民の方も安心感を持ってくれるのではないかと。余り減税減税続きましたら、国民、気持ち悪う思いますからね。ですから、そういうことをきちっとしておく方が私はいいと。
 そういう意味において、減税先行という考え方は、一部では取り方によったらそういう取る人もあるかも分かりませんが、私はあくまでもバランスを取った上で減税の仕方を考えていくということを申したいと、こういうことでございます。

○大門実紀史君 ただ、もう時間があれですけれども、それじゃ一問だけお伺いします。
 結局、2006年までの五年間の道筋で、例えば中期展望なども考えておられるわけですけれども、減税先行でないとするとちょっとあれなんですが、その景気刺激も含めて減税先行ということになりますと、プライマリーバランスを改善するということと併せると、どうしても2004年からはかなりの大増税をやらないと帳じりが合わないんじゃないかというふうに推測されるわけですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○国務大臣(塩川正十郎君) 大増税ということじゃなくても、私はバランスシート上からいってプライマリーバランスは取れると思っておりますが、しかし2010年というのは、いずれにしましても、現在のような状況で進行しますと非常にしんどいということは事実でございまして、2010年にどうしてもプライマリーバランスを取るということになりましたら、かなりな増税は必要であろうと思っております。
 しかし、そういうことが日本の経済にとっていいのかどうかということも考えなきゃなりませんので、私たち、一応目標は2010年、そうでないと財政の秩序が立ちませんので、そこに置いて努力をするということは当然でございますが、そのためにむしろ角を矯めて牛を殺してしまうというようなことになってはいけませんので、そのプライマリーバランスを取るについては十分な慎重な姿勢で臨んでいきたいと思っております。
 ですから、大増税によってそのプライマリーバランスを取るというような考え方は持っておりません。それよりも、むしろまだまだ歳出面において見直すべき点がたくさんございます。私は、平成15年度予算においても更に一層の財政、一般会計の財政支出のいわゆる適正な評価、行政評価をして、それへの切り込みをすべきものは切り込んでいくし、伸ばすものは伸ばしていくという、この節を厳しくやっていきたいと思っておりまして、そういう面から財政上の負担を余り国民に掛けないようにしたいと思っております。
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